特開2020-80450(P2020-80450A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小島プレス工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020080450-スピーカシステム 図000003
  • 特開2020080450-スピーカシステム 図000004
  • 特開2020080450-スピーカシステム 図000005
  • 特開2020080450-スピーカシステム 図000006
  • 特開2020080450-スピーカシステム 図000007
  • 特開2020080450-スピーカシステム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-80450(P2020-80450A)
(43)【公開日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】スピーカシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/34 20060101AFI20200501BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20200501BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20200501BHJP
   G10K 11/175 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   H04R1/34 310
   H04R1/02 102B
   H04R1/02 104A
   H04R1/02 105Z
   B60R11/02 S
   G10K11/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-212123(P2018-212123)
(22)【出願日】2018年11月12日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 希
【テーマコード(参考)】
3D020
5D017
5D018
5D061
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BC01
3D020BD05
5D017AE11
5D017AF02
5D017AG06
5D018AF16
5D061FF02
(57)【要約】
【課題】本発明は、簡単な構造によってスピーカから特定の方向に向けて音を発することを目的とする。
【解決手段】車載スピーカシステム1は、スピーカ10、およびスピーカ10の前方を覆うカバー12を備えている。カバー12は、スピーカ10の前面を覆う前面領域と、スピーカ10の前面よりも外側にはみ出した外側領域、前面領域に設けられた音響穴18、および、外側領域に設けられスピーカ10の前方の領域とスピーカ10の後方の領域とを連通させる回り込み穴20を備えている。車載スピーカシステム1では、スピーカ10の前方に発せられ、回り込み穴20を通ってスピーカ10の後方に至る音と、スピーカ10の後方に発せられ、回り込み穴20を通ってスピーカ10の前方に至る音とが相殺し合い、あるいは低減し合う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカと、
スピーカの前方を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、
前記スピーカの前面を覆う前面領域と、
前記スピーカの前面よりも外側にはみ出した外側領域と、
前記前面領域に設けられた音響穴と、
前記外側領域に設けられ、前記スピーカの前方の領域と前記スピーカの後方の領域とを連通させる回り込み穴と、を備えることを特徴とするスピーカシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のスピーカシステムにおいて、
前記スピーカの前方に発せられ、前記回り込み穴を通って前記スピーカの後方に至る音と、前記スピーカの後方に発せられ、前記回り込み穴を通って前記スピーカの前方に至る音とが相殺し合い、あるいは低減し合うことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスピーカシステムにおいて、
前記カバーは、
前記外側領域の後面から後方に延びて前記スピーカの側方を通り、自動車における固定部材に係合する係合部を備えることを特徴とするスピーカシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のスピーカシステムにおいて、
前記自動車には前記スピーカの後面に対向する固定板が前記固定部材として設けられ、
前記係合部は、前記スピーカの後面と前記固定板の前面との間に隙間が空けられた状態で、前記固定板に係合することを特徴とするスピーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカシステムに関し、特に、スピーカの前面を覆う部材の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、オーディオ機器、ラジオ受信機、カーナビゲーションシステム等のアクセサリ機器が搭載されている。これらのアクセサリ機器からは、インストルメントパネルやドアに取り付けられた車載用のスピーカから音声が発せられる。
【0003】
車載用のスピーカには、用途に応じた様々なものがある。例えば、特許文献1には、6個のスピーカを用いた車載用のサラウンドシステムが記載されている。特許文献2および3には、特定の方向に音の発生方向が向けられる指向性スピーカが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−186925号公報
【特許文献2】特開2013−173430号公報
【特許文献3】特開2017−193207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カーナビゲーションシステムや、携帯電話のハンズフリーシステムでは、運転席や助手席の乗員に音声が向けられ、後部座席の乗員には音声が向けられないことが好ましい場合がある。この場合、特許文献2および3に記載されているような指向性スピーカを用いることも考えられる。しかし、指向性スピーカは構造が複雑であり、コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、簡単な構造によってスピーカから特定の方向に向けて音を発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スピーカと、スピーカの前方を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記スピーカの前面を覆う前面領域と、前記スピーカの前面よりも外側にはみ出した外側領域と、前記前面領域に設けられた音響穴と、前記外側領域に設けられ、前記スピーカの前方の領域と前記スピーカの後方の領域とを連通させる回り込み穴と、を備えることを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記スピーカの前方に発せられ、前記回り込み穴を通って前記スピーカの後方に至る音と、前記スピーカの後方に発せられ、前記回り込み穴を通って前記スピーカの前方に至る音とが相殺し合い、あるいは低減し合う。
【0009】
望ましくは、前記カバーは、前記外側領域の後面から後方に延びて前記スピーカの側方を通り、自動車における固定部材に係合する係合部を備える。
【0010】
望ましくは、前記自動車には前記スピーカの後面に対向する固定板が前記固定部材として設けられ、前記係合部は、前記スピーカの後面と前記固定板の前面との間に隙間が空けられた状態で、前記固定板に係合する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構造によってスピーカから特定の方向に向けて音を発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車載スピーカシステムの斜視図である。
図2】車載スピーカシステムの上面図である。
図3】車載スピーカシステムの分解斜視図である。
図4】車載スピーカシステムの断面図である。
図5】車載スピーカシステムの断面斜視図である。
図6】車載スピーカシステムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明の実施形態に係る車載スピーカシステム1の斜視図が示されている。また、図2には、車載スピーカシステム1の上面図が示されている。以下の説明における上下左右の用語は、スピーカ10から車室側を見た方向を示す。各図では、前方向がx軸正方向として定義されている。また、スピーカ10から車室側を見て左方向(図面の右方向)がy軸正方向として定義され、スピーカ10から車室側を見て上方向(図面から手前に向かう方向)がz軸正方向として定義されている。
【0014】
車載スピーカシステム1は、車室の天井、インストルメントパネル、ドア等に設けられ、オーディオ機器、ラジオ受信機、カーナビゲーションシステム等、音が発せられるアクセサリ機器に用いられる。スピーカは、スピーカ固定壁14の内部に配置されており、スピーカの前方はカバー12によって覆われている。カバー12にはスピーカから発せられた音が通る音響穴18と、スピーカの前後の領域を連通させる回り込み穴20が設けられている。図1に示されている車載スピーカシステム1では、カバー12に設けられた左側の2つの穴、および右側の2つの穴が回り込み穴20である。また、左右の回り込み穴20に挟まれた11個の穴が音響穴18である。後述するように、回り込み穴20が設けられていることで、車載スピーカシステム1からは前方に向けて音が発せられる。
【0015】
図3には、車載スピーカシステム1の分解斜視図が示されている。車載スピーカシステム1は、スピーカ10、カバー12およびスピーカ固定壁14を備えている。スピーカ固定壁14は、車室の天井、インストルメントパネル、ドア、シートのヘッドレスト等の一部であってよい。スピーカ固定壁14には、左右方向に長い長方形の角を丸めた略長方形のスピーカ受容穴16が設けられている。
【0016】
カバー12の裏面の左側には、前後方向に並ぶ2本の係合部22Lが設けられている。係合部22Lは、カバー12の後面から後方に延びる柱状部26Lと、柱状部26Lの後端に形成された引っ掛かり部28Lから構成される。引っ掛かり部28Lは、後端から前方に向かうにつれて左方向に厚くなる形状を有し、柱状部26Lとの境界において、柱状部26Lの側面と共に顎形状を形成する。カバー12の裏面において左側の2本の係合部22Lを結ぶ線上には、これら2本の係合部22Lの間を結ぶ左突出壁32Lが形成されている。
【0017】
同様に、カバー12の裏面の右側には、前後方向に並ぶ2本の係合部22Rが設けられている。係合部22Rは、カバー12の後面から後方に延びる柱状部26Rと、柱状部26Rの後端に形成された引っ掛かり部28Rから構成される。引っ掛かり部28Rは、後端から前方に向かうにつれて右方向に厚くなる形状を有し、柱状部26Rとの境界において、柱状部26Rの側面と共に顎形状を形成する。カバー12の裏面において右側の2本の係合部22Rを結ぶ線上には、これら2本の係合部22Rの間を結ぶ右突出壁32Rが形成されている。
【0018】
左突出壁32Lと右突出壁32Rとの間には、11個の音響穴18が左右方向に配列されている。また、左突出壁32Lよりも左側、および右突出壁32Rよりも右側には、それぞれ、2つの回り込み穴20が左右方向に配列されている。本実施形態における音響穴18および回り込み穴20は、カバー12の短辺方向を長手方向とするスリットによって形成されている。
【0019】
スピーカ10は、前後方向を厚み方向とする左右方向に長い略長方形の板状に形成されている。カバー12の後方における左突出壁32Lと右突出壁Rとの間には、スピーカ10の横方向の長さの間隔が開けられている。スピーカ10は、左突出壁32Lおよび右突出壁Rの間に固定される。
【0020】
カバー12は、各回り込み穴20および各音響穴18が、スピーカ固定壁14におけるスピーカ受容穴16と重なるように、スピーカ固定壁14に重ねられる。左側の2本の係合部22Lおよび右側の2本の係合部22Rは、スピーカ受容穴16を前方から後方に貫通する。
【0021】
固定板24は、自動車のボデーや、車室に設けられた内装部材であってよい。固定板24には、左右方向に長い略長方形状の固定穴30が設けられている。左側の2本の係合部22Lのそれぞれの引っ掛かり部28Lは固定穴30の左側の縁に引っ掛かり(係合し)、右側の2本の係合部22Rのそれぞれの引っ掛かり部28Rもまた、固定穴30の右側の縁に引っ掛かる(係合する)。これによって、カバー12にスピーカ10が固定された状態で、カバー12が固定板24に固定される。カバー12の左右の端部の後面は、スピーカ固定壁14におけるスピーカ受容穴16の左右の縁近傍の前面に接着剤等によって接合されてもよい。
【0022】
図4には、図1におけるAA線断面が示されている。図5には、図1におけるAA線断面を示す斜視図が示されている。これらの図面を参照して車載スピーカシステム1の断面構造について説明する。
【0023】
スピーカ10の前方はカバー12によって覆われている。カバー12は、スピーカ10の前面よりも広く左右方向に長い略長方形の板状に形成されている。スピーカ10の前面に接触し、スピーカ10の前面を覆う前面領域には、スピーカ10から発せられる音を通す複数の音響穴18が設けられている。なお、前面領域はスピーカ10の前面に必ずしも接触していなくてもよく、所定の距離を隔ててスピーカ10の前面に対向していてもよい。
【0024】
カバー12の後面には、スピーカ10の左側および右側で突出する係合部22Lおよび22Rが形成されている。スピーカ10の右側の係合部22Rは、スピーカ受容穴16の右側の縁との間に隙間を残して、スピーカ受容穴16を貫いている。スピーカ10の左側の係合部22Lは、スピーカ受容穴16の左側の縁との間に隙間を残してスピーカ受容穴16を貫いている。
【0025】
スピーカ10の右側の係合部22Rよりも右側には、スピーカ受容穴16の前方に2つの回り込み穴20が設けられている。また、スピーカ10の左側の係合部22Lよりも左側にも、スピーカ受容穴16の前方に2つの回り込み穴20が設けられている。すなわち、カバー12における、スピーカ10の前面よりも左右外側にはみ出した左右の外側領域には、回り込み穴20が設けられている。各回り込み穴20は、スピーカ10の前方の領域とスピーカ10の後方の領域とを連通させる。
【0026】
車載スピーカシステム1は、自動車の固定板24に固定されている。固定板24は、カバー12の左右の外側領域とスピーカ受容穴16を挟んで対向し、さらに、スピーカ10の後面に対向している。スピーカ10の左右の係合部22Lおよび22Rは、スピーカ10の後面と固定板24の前面との間に隙間が空けられた状態で、固定板24に係合している。すなわち、係合部22Lおよび22Rのそれぞれは、カバー12の外側領域の後面から後方に延びてスピーカ10の側方を通り、固定部材としての固定板24に係合する。係合部22Lおよび22Rのそれぞれは、固定板24に開けられた固定穴30を前方から後方に向けて貫通し、固定板24に係合している。これによって、スピーカ10と共にカバー12が固定板24に固定されている。
【0027】
各音響穴18の後方から左側の回り込み穴20にかけては、回り込み経路34Lが形成されている。回り込み経路は、スピーカ10の前方の領域とスピーカ10の後方の領域とを回り込み穴20が連通させることによって、音が前後に回り込む伝搬経路をいう。すなわち、スピーカ10の後方から固定板24とスピーカ固定壁14との間の空間を経て、スピーカ受容穴16および左側の各回り込み穴20を通ってスピーカ10の前方に至る経路、ならびにその逆方向の経路が、回り込み経路34Lとして形成されている。
【0028】
同様に、各音響穴18の後方から右側の各回り込み穴20にかけても、回り込み経路34Rが形成されている。すなわち、スピーカ10の後方から固定板24とスピーカ固定壁14との間の空間を経て、スピーカ受容穴16および右側の各回り込み穴20を通ってスピーカ10の前方に至る経路、ならびにその逆方向の経路が、回り込み経路34Rとして形成されている。
【0029】
図4を参照して車載スピーカシステム1の動作原理について説明する。スピーカ10から発せられた音は、複数の音響穴18を通って前方に発せられる。前方に発せられた音の一部は、前方から左側の回り込み穴20に侵入し、左側の回り込み経路34Lを伝搬してスピーカ10の後方に回り込む。同様に、前方に発せられた音の一部は、前方から右側の回り込み穴20に侵入し、右側の回り込み経路34Rを伝搬してスピーカ10の後方に回り込む。
【0030】
一方、スピーカ10からは前方のみならず後方にも音が発せられる。後方に発せられた音の一部は、左側の回り込み経路34Lを伝搬して左側の回り込み穴20から前方に発せられる。また、後方に発せられた音の他の一部は、右側の回り込み経路34Rを伝搬して右側の回り込み穴20から前方に発せられる。
【0031】
一般に、スピーカ10の後方に発せられる音は、前方に発せられる音に対して逆位相の関係にある。したがって、スピーカ10の前方に発せられ左右の回り込み経路(34L,34R)を伝搬してスピーカ10の後方に回り込む後方回り込み音と、スピーカ10の後方に発せられ左右の回り込み経路(34L,34R)を伝搬してスピーカ10の前方に回り込む前方回り込む音は逆位相の関係にある。したがって、後方回り込み音と、前方回り込み音のレベルが同一であるか、あるいは近似している場合には、後方回り込み音および前方回り込み音は相殺し合い、あるいは低減し合う。これによって、車載スピーカシステム1からは、前方に向けて大きい音が発せられる。
【0032】
そこで、本実施形態においては、後方回り込み音と、前方回り込み音のレベルがスピーカ10の前方で同一となるか、あるいは近似するように、回り込み穴20の数、大きさ、形状等が決定されている。これによって、車載スピーカシステム1からは、前方に大きい音が発せられる。
【0033】
また、スピーカ10から音響穴18を通って前方に発せられる音は、可聴周波数帯域のうち高音域の音であり、直進性が強い傾向にあることが多い。一方、後方回り込み音および前方回り込み音は、可聴周波数帯域のうち低音域の音であり、拡散性が強い傾向にあることが多い。本実施形態に係る車載スピーカシステム1では、後方回り込み音および前方回り込み音が抑制されるため、直進性のある高音域の音と、低音域の音のうち直進性のある成分が前方に発せられる。これによって、車載スピーカシステム1から発せられる音の直進性が高まる。
【0034】
本実施形態に係る車載スピーカシステム1によれば、スピーカ10から特定の方向に大きい音を発することができる。これによって、車室における運転席や助手席等、特定の位置にスピーカ10の音を向けることが容易となる。
【0035】
なお、上記では、回り込み穴20をスリットによって形成した実施形態について説明した。回り込み穴20は、図6に示されているように、円形、楕円形または多角形の微小穴によって形成してもよい。この場合、カバー12の左右には、複数の微小穴が配置される。微小穴の数、大きさ、形状等は、後方回り込み音および前方回り込み音が相殺し合い、あるいは低減し合うように決定される。
【0036】
また、上記では、車載用のスピーカシステムについて説明したが、本発明に係るスピーカシステムは、オフィスや家屋内のオーディオ機器等に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 車載スピーカシステム、10 スピーカ、12 カバー、14 スピーカ固定壁、16 スピーカ受容穴、18 音響穴、20 回り込み穴、22L,22R 係合部、26L,26R 柱状部、28L,28R 引っ掛かり部、24 固定板、30 固定穴、32L 左突出壁、32R 右突出壁、34L,34R 回り込み経路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6