特開2021-102381(P2021-102381A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-102381(P2021-102381A)
(43)【公開日】2021年7月15日
(54)【発明の名称】車両用シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20210618BHJP
【FI】
   B60K20/02 A
   B60K20/02 D
   B60K20/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-234259(P2019-234259)
(22)【出願日】2019年12月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)公開の事実―1(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;東京モーターショー2019 展示日;令和元年10月23日(10月23日〜11月4日) 展示場所;東京都江東区有明3−11−1 東京ビッグサイト (2)公開の事実−2(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;MAZDA GLOBAL TECH FORUM 2019 展示日;令和元年8月26日(8月26日〜9月2日) 展示場所;Hotel Amerikalinjen Jernbanetorget 2,0154 Oslo,Norway (3)公開の事実−3(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;2019 MAZDA EUROPEAN TECHNOLOGY & DESIGN FORUM 展示日;令和元年11月25日(11月25日〜12月13日) 展示場所;Penha Longa Resort Estrada da Lagoa Azul, Linh■ Sintra,2714−511 Lisbon,Portugal
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】上村 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 義人
(72)【発明者】
【氏名】大坪 智範
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅典
(72)【発明者】
【氏名】徳永 幸司
(72)【発明者】
【氏名】道永 旦
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA23
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC03
3D040AC36
3D040AC66
3D040AD04
3D040AE19
3D040AF07
3D040AF26
(57)【要約】
【課題】運転中における運転者の疲労を軽減することができる車両用シフト装置を提供する。
【解決手段】車両用シフト装置は、シフトレバーと、シフトレバーの上端部に取り付けられたシフトノブ13と、を備える。シフトノブ13を車両の前側から正面視する場合に、上面部13a、前面部、後面部、運転席側の側面部13b、助手席側の側面部13d、上面部13aと側面部13bとを繋ぐ上側湾曲部13e、上面部13aと側面部13dとを繋ぐ上側湾曲部13f、後面部と側面部13b,13dのそれぞれとを繋ぐ後側湾曲部、を有する。後側湾曲部の曲率半径は、上側湾曲部13e,13fの曲率半径よりも大きい。シフトノブ13を車両の前側から正面視する場合の、側面部13bと側面部13dとの間の距離であるシフトノブ13の幅W13は、67mm以上72mm以下である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の側方部分に設けられた車両用シフト装置であって、
前記側方部分のフロア側から上方に向けて延びるように立設されたシフトレバーと、
前記シフトレバーの上端部に取り付けられ、運転者がシフト操作する際の操作力が入力されるシフトノブと、
を備え、
前記シフトノブは、
上面部と、
前面部と、
後面部と、
前記運転者側の側面部である第1側面部と、
前記運転席とは反対側の側面部である第2側面部と、
外凸の湾曲面で構成され、前記上面部と前記第1側面部とを繋ぐ第1上側湾曲部と、
外凸の湾曲面で構成され、前記上面部と前記第2側面部とを繋ぐ第2上側湾曲部と、
外凸の湾曲面で構成され、前記後面部と前記第1側面部および前記第2側面部のそれぞれとを繋ぐ後側湾曲部と、
を有し、
前記第1上側湾曲部および前記第2上側湾曲部のそれぞれは、後側ほど相対的に曲率半径が大きく、
前記後側湾曲部の曲率半径は、前記第1上側湾曲部および前記第2上側湾曲部の曲率半径よりも大きく、
前記第1側面部と前記第2側面部との間の距離である前記シフトノブの幅は、67mm以上72mm以下である、
車両用シフト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シフト装置において、
前記シフトノブを車両の前後方向の一方側から見る場合に、
前記第2上側湾曲部の後方側部分のうち、当該第2上側湾曲部の下端から、前記第2上側湾曲部に沿って前記下端よりも上方に21mm以上25mm以下の箇所までの範囲は、25mm以上30mm以下の曲率半径で形成されている、
車両用シフト装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用シフト装置において、
前記シフトノブを車両の前後方向の一方側から見る場合に、
前記第1側面部のうち、当該第1側面部に沿った上下方向の中心から上下に各6mm以上の箇所までの範囲は、25mm以上30mm以下の曲率半径で内側に凹の曲面で形成されている、
車両用シフト装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の車両用シフト装置において、
前記シフトノブにおける前記第1側面部に出没可能に設けられ、前記運転席側の面が押面部とされたプッシュスイッチを更に備え、
前記シフトノブを車両の前後方向の一方側から見る場合に、
前記プッシュスイッチにおける前記押面部のうち、当該押面部に沿った上下方向の中心から上下に各6mm以上の箇所までの範囲は、25mm以上30mm以下の曲率半径で内側に凹の曲面で形成されている、
車両用シフト装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用シフト装置において、
ドライブポジションを含む複数の走行ポジション同士の間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第1シフトレーン、前記複数の走行ポジションのうちの1つの走行ポジションとパーキングポジションとの間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第2シフトレーンとするとき、
前記第1シフトレーンは、車両の前後方向に延び、前記第2シフトレーンは、前記車両の横方向であって、前記第1シフトレーンから前記運転席の側へと近づくように延びており、
前記シフトレバーを前記車両の前記前後方向の一方側から見るとき、
前記走行ポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態に対して前記上端部が前記運転席から離れる方向に傾斜した状態の第1姿勢をとり、
前記パーキングポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態または前記第1姿勢よりも直立に近い状態の第2姿勢をとる、
車両用シフト装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用シフト装置において、
前記複数の走行ポジションおよび前記パーキングポジションを、前記車両の上下方向の一方側から見るとき、前記複数の走行ポジションのそれぞれおよび前記パーキングポジションは、互いに離間した位置に配置されており、
シフトポジションが所定のポジションにある場合に、前記シフトノブに対して前記シフト操作がなされるまでは、当該ポジションが維持される、
車両用シフト装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の車両用シフト装置において、
車両は、
前記車両の横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて配設された助手席と、
前記運転席と前記助手席との間の部分に配設されたセンターコンソールと、
を備え、
前記車両用シフト装置は、シフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であって、
前記シフトレバーの回動中心を内部に収容する箱状のシフト装置ベースを更に備え、
前記シフト装置ベースは、前記センターコンソールの内部に填め込まれており、
前記センターコンソールにおける前記シフト装置ベースが収容された部分の底部の一部と前記フロアとの間には空間が空いている、
車両用シフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シフト装置の一例として、乗用田植機の走行変速レバーが開示されている。特許文献1に開示された走行変速レバー(車両用シフト装置)は、レバーガイドパネルから上向きに起立している。そして、走行変速レバーの上端部には、運転者が握るためのレバーグリップ(シフトノブ)が取り付けられている。
【0003】
特許文献1に開示の走行変速レバーのレバーグリップは、当該レバーグリップを前方から正面視するとき、上面部分が複数の円弧を組み合わせた上向きの凸の曲面で形成されている。そして、運転者が上記上面部に掌を当ててレバーグリップを把持したときに、親指が当たる部分(運転者側の側面)に操作ボタン(プッシュスイッチ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−139133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両に対しては、運転者の疲労を更に軽減することで、運転時のより高い安全性が確保できる構造の採用が求められている。これに対して、上記特許文献1に開示の車両用シフト装置では、シフトノブの上面部が把持した掌の形に合わせるべく曲面で構成されてはいるものの、サイズに関しては何ら考慮されていない。特に、手の大きさは、人の体格に起因して異なるため、手の大きい人や、逆に手の小さい人が上記特許文献1に開示の車両用シフト装置を操作した場合には、当該操作時にシフトノブを把持するのに腕の筋肉に力を入れなければならず、すぐに疲労してしまうことが考えられる。
【0006】
なお、上記特許文献1に開示の車両用シフト装置は、変速機との間がケーブルでリンクされた装置であるが、エレキシフト装置(シフト・バイ・ワイヤ式のシフト装置)に関しても、上記車両用シフト装置と同様に改良の余地がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、運転中における運転者の疲労を軽減することができる車両用シフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る車両用シフト装置は、運転席の側方部分に設けられた車両用シフト装置であって、前記側方部分のフロア側から上方に向けて延びるように立設されたシフトレバーと、前記シフトレバーの上端部に取り付けられ、運転者がシフト操作する際の操作力が入力されるシフトノブと、を備え、前記シフトノブは、上面部と、前面部と、後面部と、前記運転者側の側面部である第1側面部と、前記運転席とは反対側の側面部である第2側面部と、外凸の湾曲面で構成され、前記上面部と前記第1側面部とを繋ぐ第1上側湾曲部と、外凸の湾曲面で構成され、前記上面部と前記第2側面部とを繋ぐ第2上側湾曲部と、外凸の湾曲面で構成され、前記後面部と前記第1側面部および前記第2側面部のそれぞれとを繋ぐ後側湾曲部と、を有し、前記第1上側湾曲部および前記第2上側湾曲部のそれぞれは、後側ほど相対的に曲率半径が大きく、前記後側湾曲部の曲率半径は、前記第1上側湾曲部および前記第2上側湾曲部の曲率半径よりも大きく、前記第1側面部と前記第2側面部との間の距離である前記シフトノブの幅は、67mm以上72mm以下である。
【0009】
上記態様に係る車両用シフト装置では、シフトノブにおける第1側面部と第2側面部との距離、即ち、シフトノブの幅を67mm以上72mm以下の範囲としているので、手が大きな大柄な人から手が小さな小柄な人まで大多数の人を対象として、運転中における運転者の疲労を軽減することができる。即ち、シフトノブの幅を67mm以上としているので、手が大きな大柄な運転者がシフトノブを把持してシフト操作を行う際にも、親指と小指あるいは薬指との間隔を所定以上に小さくしなくてもよく、掌の開き角を所定の角度よりも小さくする必要がない。具体的には、手が大きな大柄な運転者がシフトノブを把持した際にも、手を前側から見た時の、母指CM関節と母指IP関節とを結んだ仮想線と、人差指の第3関節と中指の第3関節とを結んだ仮想線と、がなす角度(掌の開き角)を95deg.以上とすることができ、筋の負担が軽減される。
【0010】
また、シフトノブの幅を72mm以下としているので、手が小さな小柄な運転者がシフトノブを把持してシフト操作を行う際にも、掌を所定以上に大きく開かなくてもよく、シフトノブを滑りなく把持しようとして腕の筋(特に、前腕の筋)に負担がかかることが抑制される。具体的には、手が小さな小柄な運転者がシフトノブを把持した際にも、手を前側から見た時の、母指CM関節と母指IP関節とを結んだ仮想線と、人差指の第3関節と中指の第3関節とを結んだ仮想線と、がなす角度(掌の開き角)を135deg.以下とすることができ、滑りを抑制しながらシフトノブを把持することができ、筋の負担が軽減される。
【0011】
以上より、上記態様に係る車両用シフト装置では、運転中における運転者の腕の疲労を軽減することができる。
【0012】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記シフトノブを車両の前後方向の一方側から見る場合に、前記第2上側湾曲部の後方側部分のうち、前記第2上側湾曲部の下端から、前記第2上側湾曲部に沿って前記下端よりも上方に21mm以上25mm以下の箇所までの範囲は、25mm以上30mm以下の曲率半径で形成されている、とすることもできる。
【0013】
上記のように、第2上側湾曲部の後方側部分(小指の第3関節および薬指の第3関節、並びにその周辺部分が沿う部分)のうち、第2上側湾曲部の下端から、第2上側湾曲部に沿って第2上側湾曲部の下端よりも上方に21mm以上25mm以下の箇所までの範囲を、25mm以上30mm以下の曲率半径としているので、手が大きな大柄な運転者でも手が小さな小柄な運転者でも、滑りなく柔らかくシフトノブを把持することができる。よって、上記のような構成を採用する場合には、手が大きな大柄な人から手が小さな小柄な人まで大半の運転者が、滑りなく柔らかくシフトノブを把持することができ、運転中における運転者の疲労を軽減するのに更に有効である。
【0014】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記シフトノブを車両の前後方向の一方側から見る場合に、前記第1側面部のうち、当該第1側面部に沿った上下方向の中心から上下に各6mm以上の箇所までの範囲は、25mm以上30mm以下の曲率半径で内側に凹の曲面で形成されている、とすることもできる。
【0015】
上記のように、第1側面部における上記範囲を、25mm以上30mm以下の曲率半径で内側に凹の(逆Rの)曲面で形成する場合には、手が大きな大柄な人から手が小さな小柄な人まで大半の運転者が、第1側面部に親指を当接させた際に親指が滑ってしまうということを抑制することができる。このため、運転者が第1側面部に親指を添えた際に当該第1側面部と親指の間の滑りを抑制するために強く把持するような必要がなく、運転中における運転者の腕の疲労を軽減するのに更に有効である。
【0016】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記シフトノブにおける前記第1側面部に出没可能に設けられ、前記運転席側の面が押面部とされたプッシュスイッチを更に備え、前記シフトノブを車両の前後方向の一方側から見る場合に、前記プッシュスイッチにおける前記押面部のうち、当該押面部に沿って前記押面部の上下方向の中心から上下に各6mm以上の箇所までの範囲は、25mm以上30mm以下の曲率半径で内側に凹の曲面で形成されている、とすることもできる。
【0017】
上記のように、プッシュスイッチの押面部における上記範囲を、25mm以上30mm以下の曲率半径で内側に凹の(逆Rの)曲面で形成する場合には、手が大きな大柄な人から手が小さな小柄な人まで大半の運転者が、プッシュスイッチの押面部を押圧する際に親指が押面部から外れてしまうということを抑制することができる。このため、運転者がプッシュスイッチを押圧する際に押面部から親指が外れないようにシフトノブを強く把持するような必要がなく、運転中における運転者の腕の疲労を軽減するのに更に有効である。
【0018】
上記態様に係る車両用シフト装置において、ドライブポジションを含む複数の走行ポジション同士の間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第1シフトレーン、前記複数の走行ポジションのうちの1つの走行ポジションとパーキングポジションとの間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第2シフトレーンとするとき、前記第1シフトレーンは、車両の前後方向に延び、前記第2シフトレーンは、前記車両の横方向であって、前記第1シフトレーンから前記運転席の側へと近づくように延びており、前記シフトレバーを前記車両の前記前後方向の一方側から見るとき、前記走行ポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態に対して前記上端部が前記運転席から離れる方向に傾斜した状態の第1姿勢をとり、前記パーキングポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態または前記第1姿勢よりも直立に近い状態の第2姿勢をとる、とすることもできる。
【0019】
上記のように、複数の走行ポジション(例えば、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション)を切り替える際にシフトレバーの上端部(シフトノブが取り付けられた部分)の軌跡である第1シフトレーンでは、上端部が運転席から離れる方向にシフトレバーが傾斜しているので(第1姿勢をとっているので)、運転中における運転者の腕の疲労を更に軽減するのに有効である。即ち、上記のような構成を採用する場合には、複数の走行ポジションを切り替える際には運転者は掌をシフトノブの上面部などに沿わせて手を前後方向に動かすことになるが、シフトレバーを傾けることによってシフトノブの上面部も傾くことになり、運転者が腕の筋に力を入れずにシフト操作を行うことができる。
【0020】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記複数の走行ポジションおよび前記パーキングポジションを、前記車両の上下方向の一方側から見るとき、前記複数の走行ポジションのそれぞれおよび前記パーキングポジションは、互いに離間した位置に配置されており、シフトポジションが所定のポジションにある場合に、前記シフトノブに対して前記シフト操作がなされるまでは、当該ポジションが維持される、とすることもできる。
【0021】
上記のように、新たなシフト操作がなされるまで元のポジションが維持される、所謂、ステーショナリ式のシフト装置という構成を採用する場合には、モメンタリ式のシフト装置と違い、運転者はインジケータ等を確認しなくても現在のシフトポジションを直感的に認識することができる。よって、上記のような構成を採用する場合には、車両のより高い安全性を確保するのに有効である。
【0022】
上記態様に係る車両用シフト装置において、車両は、前記車両の横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて配設された助手席と、前記運転席と前記助手席との間の部分に配設されたセンターコンソールと、を備え、前記車両用シフト装置は、シフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であって、前記シフトレバーの回動中心を内部に収容する箱状のシフト装置ベースを更に備え、前記シフト装置ベースは、前記センターコンソールの内部に填め込まれており、前記センターコンソールにおける前記シフト装置ベースが収容された部分の底部の一部と前記フロアとの間には空間が空いている、とすることもできる。
【0023】
上記のように、センターコンソールの底部(シフト装置ベースが埋め込まれた部分の底部)の一部とフロアとの間に空間が空いた状態とすることで、上記態様に係る車両用シフト装置がシフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であることを乗員や周囲の人に認識させるのに有効である。また、車両の室内デザインの自由度を高めるという観点からも有効である。
【発明の効果】
【0024】
上記の各態様に係る車両用シフト装置では、運転中における運転者の疲労を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る車両の車室内構造を示す斜視図である。
図2】車両用シフト装置の外観構造を示す斜視図である。
図3】シフトレバーの回動に係る構造を示す正面図である。
図4】車両用シフト装置を右側から見た側面図である。
図5】車両用シフト装置におけるシフトパターンを示す模式図である。
図6】Pポジションと走行ポジションとの間でのシフトレバーの姿勢変化を示す模式図である。
図7】シフトノブの外観構造を示す斜視図である。
図8】シフトノブの外観構造を示す正面図である。
図9】シフトノブの外観構造を示す平面図である。
図10図9のX−X線断面におけるシフトノブの外周面形状を示す模式図である。
図11】シフト操作するための要件を説明するための図である。
図12】(a)は、手のサイズが大きい運転者を基準とした場合のシフトノブの最小許容寸法を決めるための模式図であり、(b)は、手のサイズが小さい運転者を基準とした場合のシフトノブの最大許容寸法を決めるための模式図である。
図13】(a)は、手を側方側から見た模式図であり、(b)は、前腕の筋を表す断面図である。
図14】掌の開き角(関節角)と筋負担との関係を表すグラフである。
図15】プッシュスイッチにおける押面部の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0027】
[実施形態]
1.車両1における車室内1aの構造
図1は、本実施形態に係る車両1の車室内1aの構造を示す斜視図である。なお、本実施形態で参酌する図面については、模式的に図示をしており、図のサイズ等は実際とは異なる場合がある。また、図中における「UP、「LO」、「FR」、「RE」、「LE」、「RI」は、それぞれ運転席に乗車した運転者が認識する「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左方」、「右方」を示している。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る車両1の車室1aには、左右方向に並んだ状態で運転席2および助手席3が配置されている。左右方向において、運転席2と助手席3との間には間隔が空いている。なお、本実施形態では、左側に運転席2、右側に助手席3を配置した、所謂、左ハンドルの車両1を一例としている。
【0029】
運転席2の前方には、ステアリングホイール4が配置されている。ステアリングホイール4は、運転者が運転席2に着座した際に当該運転者の胸のあたりとなる高さ位置に配置されている。また、運転席2の前方には、下方のフロア部分にアクセルペダル5およびブレーキペダル6が配置されている。アクセルペダル5は、運転席2に着座した運転者の右足が置かれる位置に配置され、ブレーキペダル6は、アクセルペダル5よりも左側に配置されている。
【0030】
車室1aの前方部分には、フロントウインドシールド7が設けられている。フロントウインドシールド7は、例えば、合わせガラスで形成されている。フロントウインドシールド7の下端部分からステアリングホイール4の前方までの領域には、インストルメントパネル8が設けられている。インストルメントパネル8は、運転席2の前方から助手席3の前方まで車幅方向に延びるように設けられている。インストルメントパネル8は、ステアリングホイール4の前方に配置されたメータークラスタ部などを有する。
【0031】
運転席2の右側方部分であって、助手席3との間におけるフロア上には、センターコンソール9およびアームレスト10が配置されている。センターコンソール9には、車両用シフト装置11などの運転操作に係る入力デバイスが配置されている。アームレスト10は、センターコンソール9よりも後方に配置されており、運転席2や助手席3に着座した乗員が前腕や肘を載せるための場所である。
【0032】
2.車両用シフト装置11の外観構造
図2は、本実施形態に係る車両1が備える車両用シフト装置11の外観構造を示す斜視図である。
【0033】
図2に示すように、車両用シフト装置11は、センターコンソール9に対して当該センターコンソール9の上面部9aと略面一になるように填め込まれたシフト装置ベース15と、シフト装置ベース15の内方から上向きに起立状態で立設されたシフトレバー12と、シフトレバー12の上端部に取り付けられたシフトノブ13と、を有する。また、シフトノブ13の左側部分には、運転者の親指による操作を受け付けるプッシュスイッチ14が設けられている。
【0034】
シフト装置ベース15には、運転者の操作によるシフトレバー12の移動軌跡に合わせてシフトレーン15aが設けられている。なお、本実施形態に係る車両1では、所謂、ステーショナリ式のシフト装置を採用している。このため、運転者のシフト操作によりシフトレバー12の位置が所定のポジションに移動された場合には、次に運転者がシフト操作を行うまでシフトレバー12の位置が当該所定のポジションに保持される。
【0035】
また、シフト装置ベース15には、シフトレバー12が突出された部分よりも運転者側に部分に、インジケータ部15bが設けられている。運転者は、インジケータ15bの表示によってもシフトポジションの確認が可能となっている。
【0036】
なお、本実施形態に係る車両用シフト装置11は、エレキシフト装置(シフト・バイ・ワイヤ方式のシフト装置)である。
【0037】
3.シフトレバー12の回動に係る構造
図3は、シフトレバー12の回動に係る構造を示す正面図である。
【0038】
図3に示すように、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15は、センターコンソール9の内部9bに填め込まれている。そして、シフト装置ベース15の上下方向寸法は、当該シフト装置ベース15がセンターコンソール9の内部9bに収まる寸法に設定されている。
【0039】
シフトレバー12は、運転者がシフトノブ13に手を添えてシフト操作することによって、シフトノブ13が取り付けられた上端部が前後方向および左右方向に移動するように回動可能となっている。そして、シフトレバー12の回動中心12aは、シフト装置ベース15の内部15cに配置されている。即ち、本実施形態に係る車両用シフト装置11は、所謂、ショートストローク式のシフト装置である。
【0040】
4.フロア1bに対する車両用シフト装置11の配置
図4は、車両用シフト装置11を右側から見た側面図である。
【0041】
図4に示すように、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15は、センターコンソール9に填め込まれている(内装されている)。そして、センターコンソール9におけるシフト装置ベース15が填め込まれた部分の底部9cの一部が、フロア1bとの間に空間SPを空けた状態となっている。
【0042】
このような構造を以って配設された車両用シフト装置11を備える車両1においては、当該車両用シフト装置11がエレキシフト装置であることを乗員に実感させることができる。また、車室1a内のデザイン性という観点からも優れる。
【0043】
5.シフトパターン
図5は、車両用シフト装置11におけるシフトパターンを示す模式図である。
【0044】
図5に示すように、車両用シフト装置11では、リバース(R)ポジション15r、ニュートラル(N)ポジション15n、およびドライブ(D)ポジションが、この順で前方から後方に向けて略直線的に配置されている。これに対して、パーキング(P)ポジション15pは、Rポジション15rに対して左側(運転者側)に配置されている。
【0045】
シフトレバー12の移動軌跡に沿って設けられたシフトレーン15aは、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dの間でのシフトレバー12の移動に対応する前後方向レーン15a1と、Rポジション15rとPポジション15pとの間でのシフトレバー12の移動に対応する横方向レーン15a2とを有する。前後方向レーン15a1と横方向レーン15a2とは、Rポジション15rで連続しており、シフトレーン15aは、全体として略逆L字形状である。
【0046】
なお、本明細書では、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dを「走行ポジション」と総称する場合がある。
【0047】
運転者が停車中(パーキング中)の車両1を発進させようとする場合には、次のようなシフト操作を行う。
【0048】
先ず、運転者は、ブレーキペダル6を足で踏んだ状態でシフトノブ13を把持し、プッシュスイッチ14を押し込みながら親指でシフトノブ13を右側に移動させる。これによって、シフトポジションがPポジション15pからRポジション15rに移動する。
【0049】
次に、運転者は、シフトノブ13の前端部分に中指や薬指などを引っ掛けてシフトノブ13を後方に向けて移動させる。これによって、シフトポジションがRポジション15rからNポジション15n、さらにはDポジション15dに移動する。
【0050】
最後に、運転者は、ブレーキペダル6から足を放してアクセルペダル5を踏み込むことで、車両1を前進(発進)させることができる。
【0051】
逆に、運転者は、車両1を停車させてシフトポジションをPポジション15pに入れる場合には、次のようなシフト操作を行うことになる。
【0052】
先ず、運転者は、アクセルペダル5から足を放してブレーキペダル6を踏む。これにより、車両1が停車した後、運転者はシフトノブ13の後端部分を掌で前方へ押す。これにより、シフトポジションがDポジション15dからNポジション15nに移動する。
【0053】
次に、運転者は、ブレーキペダル6を踏んだ状態を維持したまま、シフトノブ13を把持しながらプッシュスイッチ15を押し込み、当該状態でシフトポジションをNポジション15nからRポジション15pへと移動させる。
【0054】
最後に、運転者は、シフトノブ13の右側側方部分を掌で左側へと押し、シフトポジションをRポジション15rからPポジション15pへと移動させる。この後、運転者は、パーキングブレーキをかける。
【0055】
6.Pポジション15pと走行ポジション15r,15n,15dとの間でのシフトレバー12の姿勢変化
図6は、Pポジション15pと走行ポジション15r,15n,15dとの間でのシフトレバー12の姿勢変化を示す模式図である。
【0056】
図6に示すように、車両用シフト装置11を車両1の後側から見たとき、シフトポジションが走行ポジション15r,15n,15dにある場合にはシフトレバー12が第1姿勢Pos1となり、Pポジション15pにある場合にはシフトレバー12が第2姿勢Pos2となる。第1姿勢Pos1では、シフトレバー12の中心線L1が右側(助手席3側)に傾斜した状態となる。
【0057】
一方、第2姿勢Pos2では、シフトレバー12の中心線L2が、略鉛直方向に直立した状態、または中心線L1よりも直立に近い状態となる。本実施形態に係る車両1では、車両1が水平な場所に停車している状態において、中心線L2は鉛直方向に直立した状態となる。
【0058】
本実施形態に係る車両用シフト装置11では、中心線L1と中心線L2とがなす角度θ1を10deg.以上となるようにしている。具体的には、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、角度θ1を10deg.としている。
【0059】
7.シフトノブ13の外観構造
図7は、シフトノブ13の外観構造を示す斜視図であり、図8は、シフトノブ13を前側より見た正面図であり、図9は、シフトノブ13を上側より見た平面図であり、図10は、図9のX−X線断面におけるシフトノブ13の外周面を示す模式図である。
【0060】
図7に示すように、シフトノブ13の外周面は、曲面の組み合わせにより構成されている。そして、シフトノブ13の左側の側面部13bには、開口部13cが設けられており、側面部13bには、開口部13cから出没可能にプッシュスイッチ14が設けられている。
【0061】
図7から図9に示すように、シフトノブ13の外周面は、運転者の掌および指が沿う部分として、上面部13a、前面部13g、後面部13h、側面部(第1側面部)13b、側面部(第2側面部)13d、上側湾曲部(第1上側湾曲部)13e、上側湾曲部(第2上側湾曲部)13f、および後側湾曲部13i,13jを含む。
【0062】
上面部13aは、運転者の掌および指の付け根部分が沿う部分であって、比較的緩やかな曲面を以って構成されている。前面部13gは、シフトノブ13の外周面における前面を構成する部分であって、運転者がシフトノブ13を後向きに引く場合に人差指、中指、および薬指などを掛ける部分である。後面部13hは、シフトノブ13の外周面における後面を構成する部分であって、運転者がソフトノブ13を前方に押す場合に掌を当接させる部分である。
【0063】
側面部13bは、シフトノブ13の運転席2側の側面を構成する部分であって、上述のように開口部13cから出没可能なプッシュスイッチ14が設けられている。側面部13dは、シフトノブ13の助手席3側の側面を構成する部分である。
【0064】
図8に示すように、上側湾曲部13eは、上面部13aと運転席2側の側面部13bとを繋ぐ部分であって、外凸(外向きに凸)の湾曲面で構成されている。上側湾曲部13fは、上面部13aと助手席3側の側面部13dとを繋ぐ部分であって、外凸の湾曲面で構成されている。
【0065】
図9に示すように、後側湾曲部13iは、後面部13hと運転席2側の側面部13bとを繋ぐ部分であって、外凸の湾曲面で構成されており、運転者がシフトノブ13に手を添えた場合に小指の付け根(第3関節)およびその周辺が当接する部分である。後側湾曲部13jは、後面部13hと助手席3側の側面部13dとを繋ぐ部分であって、外凸の湾曲面で構成されており、運転者がシフトノブ13に手を添えた場合に母指CM関節から母指MP関節の辺りおよび掌が当接する部分である。
【0066】
ここで、上側湾曲部13e,13fのそれぞれの曲率半径R13e,R13fは、後側に行くほど大きくなっている。換言すると、上側湾曲部13e,13fは、後側へ行くほどなだらかな曲面となっている。
【0067】
また、後側湾曲部13i,13jの曲率半径R13i,R13jは、上側湾曲部13e,13fの曲率半径R13e,R13fよりも大きく形成されている。そして、横方向における側面部13bから側面部13dまでの距離、即ち、シフトノブ13の幅はW13に設定されている。幅W13は、67mm以上72mm以下である。
【0068】
図10に示すように、上側湾曲部13fにおける後方側部分の曲率半径はR13frに設定されている。具体的に、曲率半径R13frは、上側湾曲部13fの下端の箇所(側面部13dとの接続箇所)P13fから、上側湾曲部13fに沿って箇所P13fよりも上方に21mm以上25mm以下の箇所までの範囲が25mm以上30mm以下で設定されている。なお、上記における箇所P13からf上側湾曲部13fに沿って箇所P13fよりも上方の箇所までの距離(周長)は、例えば、23mmである。
【0069】
8.シフト操作するための要件
図11は、運転者がシフトノブ13に手を添えてシフト操作する際の要件を説明するための図である。
【0070】
図11に示すように、運転者がシフト操作する場合には、シフトノブ13に対して掌、小指505の付け根部分(第3関節およびその周辺部分)、および薬指504の付け根部分(第3関節)でシフトノブ13の外周面を包み込むように把持する(仮想球Bを包み込むように把持する)。ただし、シフトノブ13を後側に移動させようとする際には中指503、人差指502、および薬指504でシフトノブ13の前面部13gに掛けて手500を後側に引く。また、Pポジション15pからRポジション15rへとシフト操作するような場合には、親指501でプッシュスイッチ14を押し込みながらシフトノブ13を移動させる。
【0071】
例えば、Rポジション15rからPポジション15pへとシフト操作しようとする場合には、運転者は、仮想球Bを矢印Aの方向へと押すようにシフトノブ13を操作する。このような場合には、運転者はシフトノブ13に対して柔らかく包み込むように当接させて操作する。
【0072】
9.シフトノブ13のサイズ規定
図12(a)は、手のサイズが大きい運転者を基準としたシフトノブ13の最小許容寸法を決めるための模式図であり、図12(b)は、手のサイズが小さい運転者を基準としたシフトノブ13の最大許容寸法を決めるための模式図である。
【0073】
図12(a)に示すように、手のサイズが大きい運転者がシフトノブ13を把持する場合には、親指501の母指CM関節と母指IP関節とを結ぶ仮想線と、人差指502の第3関節と中指503の第3関節とを結ぶ仮想線と、がなす角度(掌の開き角)θ2を95deg.以上に規定する。また、シフトレバー12の延伸方向に直交する方向の仮想線と、薬指504の第3関節P1と小指505の第3関節P2とを結ぶ仮想線と、がなす角度θ3を45deg.に規定する。このように手500の角度θ2,θ3を規定することにより、手のサイズが大きい運転者がシフト操作する際に柔らかくシフトノブ13を把持することができ、手500がリラックスした自然な状態でのシフト操作が可能となる。
【0074】
上記のような規定を実現するために、手のサイズが大きい運転者を基準とした場合にも、運転中における運転者の腕の疲労を抑制することを可能とするために、シフトノブ13に対応する仮想球B1の直径R1を67mm以上とする。
【0075】
上記のような把持状態を実現するために仮定する仮想球B1において、助手席3側の部分B12は、上記角度θ3を45deg.とするために、曲率半径が25mm以上30mm以下の外凸の曲面に規定される。ここで、部分B12の範囲は、上述のように、上側湾曲部13fの下端の箇所P13fから、上側湾曲部13fに沿って箇所P13fよりも上方に21mm以上25mm以下の箇所までの範囲である。
【0076】
なお、仮想球B1における運転席2側の部分B11については、プッシュスイッチ14における運転者が押す部分(押面部)に相当する部分である。これについては、後述する。
【0077】
次に、図12(b)に示すように、手のサイズが小さい運転者がシフトノブ13を把持する場合には、親指501の母指CM関節と母指IP関節とを結ぶ仮想線と、人差指502の第3関節と中指503の第3関節とを結ぶ仮想線と、がなす角度(掌の開き角)θ4を135deg.以下に規定する。また、シフトレバー12の延伸方向に直交する仮想線と、薬指504の第3関節P1と小指505の第3関節P2とを結ぶ仮想線と、がなす角度θ5を45deg.に規定する。このように手500の角度θ4,θ5を規定することにより、手のサイズが小さい運転者がシフト操作する際に小指505がシフトノブ13から滑るのを抑制することができ、柔らかくシフトノブ13を把持しながら確実にシフト操作が可能であって、リラックスした自然な状態でのシフト操作が可能となる。
【0078】
上記のような把持状態を実現するために仮定する仮想球B2において、助手席3側の部分B22は、上記角度θ5を45deg.とするために、上記仮想球B1の部分B12と同様に曲率半径が25mm以上30mm以下の外凸の曲面に規定される。ここで、部分B22の範囲は、部分B12と同様に、上側湾曲部13fの下端の箇所P13fから、上側湾曲部13fに沿って箇所P13fよりも上方に21mm以上25mm以下の箇所までの範囲である。
【0079】
なお、仮想球B2における運転席2側の部分B21についても、プッシュスイッチ14における運転者が押す部分(押面部)に相当する部分であり、後述する。
【0080】
10.掌の開き角と筋負担
図13(a)は、手500を側方側から見た模式図であり、図13(b)は、前腕506の筋513,514を表す断面図である。図14は、掌の開き角と筋負担との関係を表すグラフである。
【0081】
先ず、図13(a)に示すように、前腕の筋負担を計測するにあたり、手500を水平な台の上に載置して、柔らかく球体を包むような体制をとる。そして、当該状態から親指(第1指)501を内側に曲げて行く。本確認の場合には、主に母指CM関節や母指MP関節を曲げて行くことになると考えられる。図14のグラフの作成では、親指501の曲げ角度(関節角)ごとの筋負担を計測した。
【0082】
図14に示すように、関節角が95deg.以上の範囲では、筋負担は10〜11mVの低い範囲で比較的安定した状態で推移している。これに対して、角度が95deg.を境界としてそれよりも角度が低くなると、筋負担の値が急激に上昇している。具体的には、角度が85deg.の場合には11.5mV、角度が80deg.の場合には12.5mV、角度が略70deg.の場合には17mVを超えている。
【0083】
ここで、図13(b)に示すように、親指501を動かす場合には、前腕506における尺骨511や橈骨512の周囲にある長母指外転筋513および長母指屈筋514が働く。このため、図12を用いて説明したように、掌の開き角度θ2を95deg.以上とすることにより、腕(特に前腕506)の筋の疲労を軽減することができる。
【0084】
なお、図12(b)を用いて説明したように、腕の疲労を軽減する上で掌の開き角の上限である角度θ4の上限を135deg.と規定した。これは、上述のように、手500のサイズが小さい小柄な運転者がシフトノブ13を柔らかく握ってプッシュスイッチ14を押し込もうとする場合に、脱力してリラックスした状態で滑らずにプッシュスイッチ14の押し込み操作を行うことを可能とする上限である。
【0085】
11.プッシュスイッチ14の押面部14aの形状
図15は、プッシュスイッチ14における運転者が親指で押し込む押面部14aの構造を示す断面図である。
【0086】
図15に示すように、本実施形態に係るプッシュスイッチ14は、出没に係る仮想軸L4がシフトノブ13の横軸(シフトレバー12の延伸方向に直交する軸)L3に対して傾いている。換言すると、運転者がプッシュスイッチ14を押し込む際には、斜め上方に向けて押面部14aを押し込んで行くことになり、そのために押面部14aは斜め下方を向くように形成されている。
【0087】
上記の仮想軸L4に平行であって押面部14aの上端および下端を通る仮想線L5,L6を引き、さらに仮想軸L4に平行であって仮想軸L4からの距離がH3,H4で仮想線L7,L8を引く。このとき、少なくとも仮想線L7と仮想線L8の間の領域においては、押面部14aが曲率半径R3で内側に凹の曲面で構成されている。ここで、本実施形態では、H3,H4がそれぞれ6mm以上でH1,H2以下であり、曲率半径R3が25mm以上30mm以下に規定されている。
【0088】
上記の仮想線L7と仮想線L8の間の領域が、図12(a)、(b)の仮想球B1,B2における部分B11,B21に相当する。
【0089】
本実施形態に係る車両用シフト装置11では、上記のように、プッシュスイッチ14の押面部14aにおける上記範囲の領域(仮想線L7と仮想線L8の間の領域)を、25mm以上30mm以下の曲率半径で内側に凹の(逆Rの)曲面で構成することとしているので、手が大きな大柄な人から手が小さな小柄な人まで大半の運転者が、プッシュスイッチ14の押面部14aを押圧する際に親指が滑って押面部14aから外れてしまうということを抑制することができる。このため、運転者がプッシュスイッチ14を押圧する際に押面部14aから親指が外れないようにシフトノブ13を強く把持するような必要がなく、運転中における運転者の腕の疲労を軽減するのに更に有効である。
【0090】
[変形例]
上記実施形態では、左ハンドルの車両1を一例として採用したが、本発明は、右ハンドル車を採用することもできる。その場合には、上記実施形態とは左右の関係を反対にすることで、上記実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0091】
上記実施形態では、左側の側面部13bに出没可能のプッシュスイッチ14を設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。本発明では、側面部にプッシュスイッチを設けない構造を採用することもできる。なお、このような構造を採用する場合には、左側の側面部のうち、当該側面部に沿った上下方向の中心から上下に各6mm以上の箇所までの範囲を、25mm以上30mm以下の曲率半径Rで内側に凹の曲面で形成することとすれば、運転者がシフトノブを把持した際の親指の滑りを抑制することができる。よって、上記構造を採用する場合には、滑りなく柔らかくシフトノブを把持することができ、運転中における運転者の疲労を軽減するのに有効である。
【0092】
上記実施形態では、ステーショナリ式の車両用シフト装置11を採用することとしたが、本発明は、モメンタリ式の車両用シフト装置を採用することもできる。この場合にもシフト操作を行う手との関係でシフトノブの外観形状を上記同様に規定すれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
上記実施形態では、走行ポジションとしてRポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dの3つのポジションを備える構成としたが、本発明は、Rポジション、Nポジション、およびDポジションを含む4つ以上の走行ポジションを備える構成とすることもできる。例えば、SポジションやBポジションなどを備えることとしてもよい。
【0094】
上記実施形態では、シフトレバー12の長さが比較的短いショートストローク式の車両用シフト装置11を採用することとしたが、本発明は、シフトレバーの長さが比較的長いロングストローク式の車両用シフト装置を採用することもできる。
【0095】
上記実施形態では、センターコンソール9におけるシフト装置ベース15が填め込まれた部分の底部9cの一部とフロア1bとの間に空間SPが空いた構造としたが、本発明は、必ずしも当該部分に空間が空いている必要はない。
【0096】
上記実施形態では、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15にインジケータ部15bを設けることとしたが、本発明は、インジケータ部の配置に関してこれに限定を受けるものではない。例えば、メータークラスターパネルやインストルメントパネルなどに設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 車両
2 運転席
3 助手席
9 センターコンソール
9c 底部
11 車両用シフト装置
13 シフトノブ
13a 上面部
13b 側面部(第1側面部)
13d 側面部(第2側面部)
13e 上側湾曲部(第1上側湾曲部)
13f 上側湾曲部(第2上側湾曲部)
13g 前面部
13h 後面部
13i,13j 後側湾曲部
14 プッシュスイッチ
14a 押面部
15 シフト装置ベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15