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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-102382(P2021-102382A)
(43)【公開日】2021年7月15日
(54)【発明の名称】車両用シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20210618BHJP
【FI】
   B60K20/02 A
   B60K20/02 E
   B60K20/02 D
   B60K20/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-234260(P2019-234260)
(22)【出願日】2019年12月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)公開の事実―1(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;東京モーターショー2019 展示日;令和元年10月23日(10月23日〜11月4日) 展示場所;東京都江東区有明3−11−1 東京ビッグサイト (2)公開の事実−2(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;MAZDA GLOBAL TECH FORUM 2019 展示日;令和元年8月26日(8月26日〜9月2日) 展示場所;Hotel Amerikalinjen Jernbanetorget 2, 0154 Oslo,Norway (3)公開の事実−3(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;2019 MAZDA EUROPEAN TECHNOLOGY & DESIGN FORUM 展示日;令和元年11月25日(11月25日〜12月13日) 展示場所;Penha Longa Resort Estrada da Lagoa Azul, Linh■ Sintra,2714−511 Lisbon,Portugal
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】上村 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 義人
(72)【発明者】
【氏名】大坪 智範
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅典
(72)【発明者】
【氏名】徳永 幸司
(72)【発明者】
【氏名】道永 旦
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA23
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC03
3D040AC36
3D040AC66
3D040AD04
3D040AE19
3D040AF07
3D040AF26
(57)【要約】
【課題】運転中における運転者の疲労を軽減することができる車両用シフト装置を提供する。
【解決手段】車両層シフト装置は、シフトレバーと、シフトレバーの上端部に取り付けられたシフトノブ13と、シフトノブ13の側面部13bに出没可能に設けられたプッシュスイッチ14と、を備える。シフトノブ13は、上面部13a、前側湾曲部13g、前面部13e、後側湾曲部13h、後面部13fを外周面に有する。プッシュスイッチ14は、距離a1が29.5mm以下、距離a2が34.5mm以上、距離b1が35.5mm以下、距離b2が515mm以上となるようにサイズおよび配置が規定されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の側方部分に設けられた車両用シフト装置であって、
前記側方部分のフロア側から上方に向けて延びるように立設されたシフトレバーと、
前記シフトレバーの上端部に取り付けられ、運転者がシフト操作する際の操作力が入力されるシフトノブと、
前記シフトノブの前記運転席側の側面部に出没可能に設けられ、前記運転席側の面が押面部とされたプッシュスイッチと、
を備え、
前記シフトノブは、
上面部と、
前記上面部の前端から前方に膨出するとともに下方に向かうように湾曲した前側湾曲部と、
前記前側湾曲部の下端から下方に向かうように延びる前面部と、
前記上面部の後端から後方であって下方に向かうように湾曲した後側湾曲部と、
前記後側湾曲部の下端から下方に向かうように延びる後面部と、
前記プッシュスイッチが出没可能に設けられた前記側面部である第1側面部と、
前記運転席とは反対側の側面部である第2側面部と、
を備え、
前記シフトノブを前記運転席側から側面視し、前記プッシュスイッチの前記押面部における前側部分および後側部分の高さ方向でのそれぞれの中心を通る第1仮想線を引くとき、
前記車両の横方向における一方側から側面視する場合の前記シフトレバーが延びる方向に対して直交する方向である第1直交方向の距離であって、前記前側湾曲部の前端から前記押面部における前側の辺と前記第1仮想線との交点までの距離が29.5mm以下であり、
前記第1直交方向の距離であって、前記前側湾曲部の前記前端から前記押面部における後側の辺と前記第1仮想線との交点までの距離が34.5mm以上であり、
前記第1直交方向の距離であって、前記後側湾曲面と前記第1仮想線との交点から前記押面部における前記後側の前記辺と前記第1仮想線との交点までの距離が35.5mm以下であり、
前記第1直交方向の距離であって、前記後側湾曲面と前記第1仮想線との交点から前記押面部における前記前側の前記辺と前記第1仮想線との交点までの距離が51.5mm以上である、
車両用シフト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シフト装置において、
前記第1仮想線に平行な前記上面部に接する第2仮想線を引くとき、前記第1仮想線と前記第2仮想線との間隔は、16mm以上22mm以下である、
車両用シフト装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用シフト装置において、
前記プッシュスイッチを前記運転席側から側面視する場合の前記第1仮想線に直交する方向において、前記押面部は、前記第1仮想線を中心に少なくとも15mmの高さを有する、
車両用シフト装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記プッシュスイッチは、前記第1側面部と前記第2側面部とを結ぶ仮想軸に沿って出没可能となっており、
前記仮想軸は、前記シフトレバーが延びる方向および前記第1直交方向の双方に直交する第2直交方向に対して前記押面部の側ほど相対的に下方となるように傾斜している、
車両用シフト装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記シフトレバーは、筒状であって、
当該車両用シフト装置は、
上下動可能な状態で前記シフトレバーの内方に内装され、シフトロックおよび解除を行うためのロッドと、
前記ロッドを上方に向けて弾性付勢する第1弾性部材と、
前記押面部に押圧力が付加されていない状態でも、前記プッシュスイッチの内側先端部が前記ロッドの上端部に当接するように、前記プッシュスイッチを前記ロッドの前記上端部に向けて弾性付勢する第2弾性部材と、
を更に備え、
前記第2弾性部材の付勢力は、前記第1弾性部材の付勢力よりも弱い、
車両用シフト装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の車両用シフト装置において、
ドライブポジションを含む複数の走行ポジション同士の間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第1シフトレーン、前記複数の走行ポジションのうちの1つの走行ポジションとパーキングポジションとの間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第2シフトレーンとするとき、
前記第1シフトレーンは、前記車両の前後方向に延び、前記第2シフトレーンは、前記横方向であって、前記第1シフトレーンから前記運転席の側へと近づくように延びており、
前記シフトレバーを前記車両の前後方向の一方側から見るとき、
前記走行ポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態に対して前記上端部が前記運転席から離れる方向に傾斜した状態の第1姿勢をとり、
前記パーキングポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態または前記第1姿勢よりも直立に近い状態の第2姿勢をとる、
車両用シフト装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用シフト装置において、
前記複数の走行ポジションおよび前記パーキングポジションを、前記車両の上下方向の一方側から見るとき、前記複数の走行ポジションのそれぞれおよび前記パーキングポジションは、互いに離間した位置に配置されており、
シフトポジションが所定のポジションにある場合に、前記シフトノブに対して前記シフト操作がなされるまでは、当該ポジションが維持される、
車両用シフト装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記車両は、
前記横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて配設された助手席と、
前記運転席と前記助手席との間の部分に配設されたセンターコンソールと、
を備え、
前記車両用シフト装置は、シフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であって、
前記シフトレバーの回動中心を内部に収容する箱状のシフト装置ベースを更に備え、
前記シフト装置ベースは、前記センターコンソールの内部に填め込まれており、
前記センターコンソールにおける前記シフト装置ベースが収容された部分の底部の一部と前記フロアとの間には空間が空いている、
車両用シフト装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記シフトレバーの内部を上下方向に移動自在に収納されたロッドと、
前記ロッドにおける上端部を、上方に向けて弾性付勢する第1弾性部材と、
前記プッシュスイッチにおける前記シフトノブ内に収容された奥側先端部を、前記前記シフトノブの奥側であって、前記ロッドの上端部に向けて弾性付勢する第2弾性部材と、
を更に備え、
前記運転者が前記プッシュスイッチの押面部を押圧していない状態でも、前記プッシュスイッチの前記奥側先端部と前記ロッドの前記上端部とは当接しており、
前記シフトノブは、当該シフトノブの内部において、前記プッシュスイッチの上面に沿って設けられ、当該上面をガイドする上側ガイド面と、前記プッシュスイッチの下面に沿って設けられ、当該下面をガイドする下側ガイド面と、を有し、
前記第1弾性部材による弾性付勢がないと仮定した場合に、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記上面と当該上面に対向する前記上側ガイド面との隙間をGap2とし、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記下面と当該下面に対向する前記下側ガイド面との隙間をGap4とし、
前記第1弾性部材による弾性付勢がある場合に、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記上面と当該上面に対向する前記上側ガイド面との隙間をGap6とし、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記下面と当該下面に対向する前記下側ガイド面との隙間をGap8とするとき、
Gap2>Gap4およびGap6=Gap8
の関係を満たす、
車両用シフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シフト装置が開示されている。特許文献1に開示された車両用シフト装置は、運転席と助手席との間に配置されたセンターコンソールに設けられている。そして、車両用シフト装置のレバー部は、センターコンソールから上向きに起立している。そして、レバー部の上端部には、運転者が握るためのノブ部(シフトノブ)が取り付けられている。シフトノブにおける運転者側の側面部からは、側方に向けて解除ボタン(プッシュスイッチ)が突出形成されている。
【0003】
プッシュスイッチは、出没自在に設けられており、運転者が押し込むとロック解除してレンジ間の操作が可能となり、押し込みを止めるとロック状態となって所定のレンジ間での操作が規制される。例えば、運転者がパーキング(P)ポジションからリバース(R)ポジションへとポジションを変更しようとする場合や、ニュートラル(N)ポジションからRポジションへとポジションを変更しようとする場合には、プッシュスイッチを押し込んでロック解除する必要がある。これにより、運転者の誤操作を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−7993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両に対しては、運転者の疲労を更に軽減することで、運転時のより高い安全性が確保できる構造の採用が求められている。これに対して、上記特許文献1に開示の車両用シフト装置では、運転者の掌のサイズとの関係でのプッシュスイッチのサイズが何ら考慮されていない。特に、手の大きさは、人の体格に起因して異なるため、手の大きい人や、逆に手の小さい人が上記特許文献1に開示の車両用シフト装置を操作した場合には、当該操作時にプッシュスイッチを押し込む操作をするのに腕や指に力を入れなければならず、すぐに疲労してしまうことが考えられる。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、運転中における運転者の疲労を軽減することができる車両用シフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る車両用シフト装置は、運転席の側方部分に設けられた車両用シフト装置であって、前記側方部分のフロア側から上方に向けて延びるように立設されたシフトレバーと、前記シフトレバーの上端部に取り付けられ、運転者がシフト操作する際の操作力が入力されるシフトノブと、前記シフトノブの前記運転席側の側面部に出没可能に設けられ、前記運転席側の面が押面部とされたプッシュスイッチと、を備え、前記シフトノブは、上面部と、前記上面部の前端から前方に膨出するとともに下方に向かうように湾曲した前側湾曲部と、前記前側湾曲部の下端から下方に向かうように延びる前面部と、前記上面部の後端から後方であって下方に向かうように湾曲した後側湾曲部と、前記後側湾曲部の下端から下方に向かうように延びる後面部と、前記プッシュスイッチが出没可能に設けられた前記側面部である第1側面部と、前記運転席とは反対側の側面部である第2側面部と、を備え、前記シフトノブを前記運転席側から側面視し、前記プッシュスイッチの前記押面部における前側部分および後側部分の高さ方向でのそれぞれの中心を通る第1仮想線を引くとき、前記車両の横方向に一方側から側面視する場合の前記シフトレバーが延びる方向に対して直交する方向である第1直交方向の距離であって、前記前側湾曲部の前端から前記押面部における前側の辺と前記第1仮想線との交点までの距離が29.5mm以下であり、前記第1直交方向の距離であって、前記前側湾曲部の前記前端から前記押面部における後側の辺と前記第1仮想線との交点までの距離が34.5mm以上であり、前記第1直交方向の距離であって、前記後側湾曲面と前記第1仮想線との交点から前記押面部における前記後側の前記辺と前記第1仮想線との交点までの距離が35.5mm以下であり、前記第1直交方向の距離であって、前記後側湾曲面と前記第1仮想線との交点から前記押面部における前記前側の前記辺と前記第1仮想線との交点までの距離が51.5mm以上である。
【0008】
上記態様に係る車両用シフト装置では、前記第1直交方向の距離であって、前側湾曲部の前端から押面部における前側の辺と第1仮想線との交点までの距離を29.5mm以下に規定しているので、手が小さな小柄な運転者であってもシフトノブの前端に中指や薬指を引っ掛けた状態で親指の腹でプッシュボタンの押面部を無理なく操作することができる。
【0009】
また、上記態様に係る車両用シフト装置では、前記第1直交方向の距離であって、前側湾曲部の前端から押面部における後側の辺と第1仮想線との交点までの距離を34.5mm以上としているので、手が大きな大柄な運転者であってもシフトノブの前端に中指や薬指を引っ掛けた状態で親指の腹でプッシュボタンの押面部を無理なく操作することができる。
【0010】
また、上記態様に係る車両用シフト装置では、前記第1直交方向の距離であって、後側湾曲面と第1仮想線との交点から押面部における後側の辺と第1仮想線との交点までの距離を35.5mm以下としているので、手が小さな小柄な運転者であってもシフトノブの後面部に掌を押し当てた状態で親指の腹でプッシュボタンの押面部を無理なく操作することができる。
【0011】
さらに、上記態様に係る車両用シフト装置では、前記第1直交方向の距離であって、後側湾曲面と第1仮想線との交点から押面部における前側の辺と第1仮想線との交点までの距離を51.5mm以上としているので、手が大きな大柄な運転者であってもシフトノブの後面部に掌を押し当てた状態で親指の腹でプッシュボタンの押面部を無理なく操作することができる。
【0012】
以上より、上記態様に係る車両用シフト装置では、運転中における運転者の腕の疲労を軽減することができる。
【0013】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記第1仮想線に平行な前記上面部に接する第2仮想線を引くとき、前記第1仮想線と前記第2仮想線との間隔は、16mm以上22mm以下である、とすることもできる。
【0014】
上記のように、第1仮想線と第2仮想線との間隔を16mm以上22mm以下の範囲に規定する場合には、手の小さな小柄な運転者でも手が大きな大柄な運転者でも掌を上面部に沿わせた様態で、母指CM関節などを大きく曲げることなく無理なく押面部を押圧することができる。
【0015】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記プッシュスイッチを前記運転席側から側面視する場合の前記第1仮想線に直交する方向において、前記押面部は、前記第1仮想線を中心に少なくとも15mmの高さを有する、とすることもできる。
【0016】
上記のように、第1仮想線に直交する方向において、押面部の高さ(押面部の幅)を少なくとも15mm有することとする場合には、手が大きく親指が太い運転者でも押面部を確実に押圧することができる。即ち、親指が太い運転者であっても、押面部を親指の腹で押圧する場合に親指の腹が押面部の縁辺から大きくはみ出すようなことが防がれる。
【0017】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記プッシュスイッチは、前記第1側面部と前記第2側面部とを結ぶ仮想軸に沿って出没可能となっており、前記仮想軸は、前記シフトレバーが延びる方向および前記第1直交方向の双方に直交する第2直交方向に対して前記押面部の側ほど相対的に下方となるように傾斜している、とすることもできる。
【0018】
上記のように、プッシュスイッチの出没に係る仮想軸を押面部側ほど下方となるように傾斜させる場合には、運転者が第2側面部に掌の小指側部分を添えながらプッシュスイッチを押圧する際に親指を小指側に向けて移動させることでプッシュスイッチを押し込むことができる。即ち、上記の構成を採用する場合には、プッシュスイッチを押圧する際に親指を小指側に移動させるという自然な動作で行うことができる。
【0019】
なお、上記のようにプッシュスイッチの仮想軸を傾斜させることにより、押面部が斜め下方を向くようになり、運転者が親指でプッシュスイッチを押し込む際に滑り難くすることもできる。
【0020】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記シフトレバーは、筒状であって、前記車両用シフト装置は、上下動可能な状態で前記シフトレバーの内方に内装され、シフトロックおよび解除を行うためのロッドと、前記ロッドを上方に向けて弾性付勢する第1弾性部材と、前記押面部に押圧力が付加されていない状態でも、前記プッシュスイッチの内側先端部が前記ロッドの上端部に当接するように、前記プッシュスイッチを前記ロッドの前記上端部に向けて弾性付勢する第2弾性部材と、を更に備え、前記第2弾性部材の付勢力は、前記第1弾性部材の付勢力よりも弱い、とすることもできる。
【0021】
上記のように、プッシュスイッチを押し込み操作していない状態でもプッシュスイッチの内側先端部がロッドの上端部に当接するように付勢する第2付勢部材を備える場合には、運転者の親指によって押面部が押圧されていない状態にプッシュスイッチのガタツキを抑制することができる。よって、上記の構成を採用する場合には、第1側面部に設けられた開口部の縁辺とプッシュスイッチとの間の隙間が押面部を押圧していない状態でも所定の間隔とすることができ、高いデザイン性を確保することができる。
【0022】
上記態様に係る車両用シフト装置において、ドライブポジションを含む複数の走行ポジション同士の間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第1シフトレーン、前記複数の走行ポジションのうちの1つの走行ポジションとパーキングポジションとの間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第2シフトレーンとするとき、前記第1シフトレーンは、前記車両の前後方向に延び、前記第2シフトレーンは、前記横方向であって、前記第1シフトレーンから前記運転席の側へと近づくように延びており、前記シフトレバーを前記車両の前後方向の一方側から見るとき、前記走行ポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態に対して前記上端部が前記運転席から離れる方向に傾斜した状態の第1姿勢をとり、前記パーキングポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態または前記第1姿勢よりも直立に近い状態の第2姿勢をとる、とすることもできる。
【0023】
上記のように、複数の走行ポジション(例えば、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション)を切り替える際にシフトレバーの上端部(シフトノブが取り付けられた部分)の軌跡である第1シフトレーンでは、シフトレバーの上端部が運転席から離れるようにシフトレバーが傾斜しているので(第1姿勢をとっているので)、運転中における運転者の腕の疲労を更に軽減するのに有効である。即ち、上記のような構成を採用する場合には、複数の走行ポジションを切り替える際には運転者は掌を上面部などに沿わせて手を前後方向に動かすことになるが、シフトレバーを傾けることによってシフトノブの上面部も傾くことになり、運転者が腕の筋に力を入れずにシフト操作を行うことができる。
【0024】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記複数の走行ポジションおよび前記パーキングポジションを、前記車両の上下方向の一方側から見るとき、前記複数の走行ポジションのそれぞれおよび前記パーキングポジションは、互いに離間した位置に配置されており、シフトポジションが所定のポジションにある場合に、前記シフトノブに対して前記シフト操作がなされるまでは、当該ポジションが維持される、とすることもできる。
【0025】
上記のように、新たなシフト操作がなされるまで元のポジションが維持される、所謂、ステーショナリ式のシフト装置という構成を採用する場合には、モメンタリ式のシフト装置と違い、運転者はインジケータ等を確認しなくても現在のシフトポジションを直感的に認識することができる。よって、上記のような構成を採用する場合には、車両のより高い安全性を確保するのに有効である。
【0026】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記車両は、前記横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて配設された助手席と、前記運転席と前記助手席との間の部分に配設されたセンターコンソールと、を備え、前記車両用シフト装置は、シフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であって、前記シフトレバーの回動中心を内部に収容する箱状のシフト装置ベースを更に備え、前記シフト装置ベースは、前記センターコンソールの内部に填め込まれており、前記センターコンソールにおける前記シフト装置ベースが収容された部分の底部の一部と前記フロアとの間には空間が空いている、とすることもできる。
【0027】
上記のように、センターコンソールの底部(シフト装置ベースが埋め込まれた部分の底部)の一部とフロアとの間に空間が空いた状態とすることで、上記態様に係る車両用シフト装置がシフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であることを乗員や周囲の人に認識させるのに有効である。また、車両の室内デザインの自由度を高めるという観点からも有効である。
【0028】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記シフトレバーの内部を上下方向に移動自在に収納されたロッドと、前記ロッドにおける上端部を、上方に向けて弾性付勢する第1弾性部材と、前記プッシュスイッチにおける前記シフトノブ内に収容された奥側先端部を、前記前記シフトノブの奥側であって、前記ロッドの上端部に向けて弾性付勢する第2弾性部材と、を更に備え、前記運転者が前記プッシュスイッチの押面部を押圧していない状態でも、前記プッシュスイッチの前記奥側先端部と前記ロッドの前記上端部とは当接しており、前記シフトノブは、当該シフトノブの内部において、前記プッシュスイッチの上面に沿って設けられ、当該上面をガイドする上側ガイド面と、前記プッシュスイッチの下面に沿って設けられ、当該下面をガイドする下側ガイド面と、を有し、前記第1弾性部材による弾性付勢がないと仮定した場合に、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記上面と当該上面に対向する前記上側ガイド面との隙間をGap2とし、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記下面と当該下面に対向する前記下側ガイド面との隙間をGap4とし、前記第1弾性部材による弾性付勢がある場合に、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記上面と当該上面に対向する前記上側ガイド面との隙間をGap6とし、前記シフトノブの内部における前記プッシュスイッチの前記下面と当該下面に対向する前記下側ガイド面との隙間をGap8とするとき、Gap2>Gap4およびGap6=Gap8の関係を満たす、とすることもできる。
【0029】
上記のように、プッシュスイッチの奥側先端部とロッドの上端部とは、運転者がプッシュスイッチの押面部を押圧していなくても互いに当接しており、且つ、Gap6=Gap8の関係を満たす。このため、運転者がプッシュスイッチの押面部を押圧していているかどうかにかかわらず、Gap6とGap8とが等しい。換言すると、シフトノブの上記側面部におけるプッシュスイッチの出没に係る開口部の縁部と、プッシュスイッチの上面および下面と、の各隙間(Gap6とGap8)を等しくすることができ、当該車両に乗車した乗員(運転者)などに高いデザイン性と品質の高さとを感得させることができる。
【発明の効果】
【0030】
上記の各態様に係る車両用シフト装置は、運転中における運転者の疲労を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る車両の車室内構造を示す斜視図である。
図2】車両用シフト装置の外観構造を示す斜視図である。
図3】シフトレバーの回動に係る構造を示す正面図である。
図4】車両用シフト装置を右側から見た側面図である。
図5】車両用シフト装置におけるシフトパターンを示す模式図である。
図6】Pポジションと走行ポジションとの間でのシフトレバーの姿勢変化を示す模式図である。
図7】シフトノブの外観構造を示す斜視図である。
図8】シフトノブを前側から見た正面図である。
図9】シフトノブを左側から見た側面図である。
図10】(a)は、手のサイズが異なる人の親指の大きさを表した表であり、(b)は、押面部への親指の接触領域を示す模式図である。
図11】(a)は、手のサイズが小さい運転者がシフトノブの前側湾曲部に指を引っ掛けた状態を示す模式図であり、(b)は、手のサイズが小さい運転者がシフトノブの後面部に掌を押し当てた状態を示す模式図である。
図12】(a)は、手のサイズが大きい運転者がシフトノブの前側湾曲部に指を引っ掛けた状態を示す模式図であり、(b)は、手のサイズが大きい運転者がシフトノブの後面部に掌を押し当てた状態を示す模式図である。
図13】(a)は、シフトノブの前側湾曲部に指を引っ掛けた状態での親指の移動可能範囲を示す図であり、(b)は、シフトノブの後面部に掌を押し当てた状態での親指の移動可能範囲を示す図であり、(c)は、シフトノブの前端および後端を基準とするときのプッシュスイッチの位置を規定する図である。
図14】プッシュスイッチの出没に係る軸の姿勢を説明するための模式図である。
図15】シフトノブおよびシフトレバーの内部構造を示す模式図である。
図16】(a)は、仮にプッシュスイッチのカム部が上方向への付勢力を受けていないとした場合の図15のA部を示す断面図であり、(b)は、同じく仮にプッシュスイッチのカム部が上方向への付勢力を受けていないとした場合の図15のB部を示す断面図であり、(c)は、プッシュスイッチのカム部が上方向への付勢力を受けている場合の図15のA部を示す断面図であり、(d)は、プッシュスイッチのカム部が上方向への付勢力を受けている場合の図15のB部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0033】
[実施形態]
1.車両1における車室内1aの構造
図1は、本実施形態に係る車両1の車室内1aの構造を示す斜視図である。なお、本実施形態で参酌する図面については、模式的に図示をしており、図のサイズ等は実際とは異なる場合がある。また、図中における「UP、「LO」、「FR」、「RE」、「LE」、「RI」は、それぞれ運転席に乗車した運転者が認識する「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左方」、「右方」を示している。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る車両1の車室1aには、左右方向に並んだ状態で運転席2および助手席3が配置されている。左右方向において、運転席2と助手席3との間には間隔が空いている。なお、本実施形態では、左側に運転席2、右側に助手席3を配置した、所謂、左ハンドルの車両1を一例としている。
【0035】
運転席2の前方には、ステアリングホイール4が配置されている。ステアリングホイール4は、運転者が運転席2に着座した際に当該運転者の胸のあたりとなる高さ位置に配置されている。また、運転席2の前方には、下方のフロア部分にアクセルペダル5およびブレーキペダル6が配置されている。アクセルペダル5は、運転席2に着座した運転者の右足が置かれる位置に配置され、ブレーキペダル6は、アクセルペダル5よりも左側に配置されている。
【0036】
車室1aの前方部分には、フロントウインドシールド7が設けられている。フロントウインドシールド7は、例えば、合わせガラスで形成されている。フロントウインドシールド7の下端部分からステアリングホイール4の前方までの領域には、インストルメントパネル8が設けられている。インストルメントパネル8は、運転席2の前方から助手席3の前方まで車幅方向に延びるように設けられている。インストルメントパネル8は、ステアリングホイール4の前方に配置されたメータークラスタ部などを有する。
【0037】
運転席2の右側方部分であって、助手席3との間におけるフロア上には、センターコンソール9およびアームレスト10が配置されている。センターコンソール9には、車両用シフト装置11などの運転操作に係る入力デバイスが配置されている。アームレスト10は、センターコンソール9よりも後方に配置されており、運転席2や助手席3に着座した乗員が前腕や肘を載せるための場所である。
【0038】
2.車両用シフト装置11の外観構造
図2は、本実施形態に係る車両1が備える車両用シフト装置11の外観構造を示す斜視図である。
【0039】
図2に示すように、車両用シフト装置11は、センターコンソール9に対して当該センターコンソール9の上面部9aと略面一になるように填め込まれたシフト装置ベース15と、シフト装置ベース15の内方から上向きに起立状態で立設されたシフトレバー12と、シフトレバー12の上端部に取り付けられたシフトノブ13と、を有する。また、シフトノブ13の左側部分には、運転者の親指による操作を受け付けるプッシュスイッチ14が設けられている。
【0040】
シフト装置ベース15には、運転者の操作によるシフトレバー12の移動軌跡に合わせてシフトレーン15aが設けられている。なお、本実施形態に係る車両1では、所謂、ステーショナリ式のシフト装置を採用している。このため、運転者のシフト操作によりシフトレバー12の位置が所定のポジションに移動された場合には、次に運転者がシフト操作を行うまでシフトレバー12の位置が当該所定のポジションに保持される。
【0041】
また、シフト装置ベース15には、シフトレバー12が突出された部分よりも運転者側に部分に、インジケータ部15bが設けられている。運転者は、インジケータ15bの表示によってもシフトポジションの確認が可能となっている。
【0042】
なお、本実施形態に係る車両用シフト装置11は、エレキシフト装置(シフト・バイ・ワイヤ方式のシフト装置)である。
【0043】
3.シフトレバー12の回動に係る構造
図3は、シフトレバー12の回動に係る構造を示す正面図である。
【0044】
図3に示すように、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15は、センターコンソール9の内部9bに填め込まれている。そして、シフト装置ベース15の上下方向寸法は、当該シフト装置ベース15がセンターコンソール9の内部9bに収まる寸法に設定されている。
【0045】
シフトレバー12は、運転者がシフトノブ13に手を添えてシフト操作することによって、シフトノブ13が取り付けられた上端部が前後方向および左右方向に移動するように回動可能となっている。そして、シフトレバー12の回動中心12aは、シフト装置ベース15の内部15cに配置されている。即ち、本実施形態に係る車両用シフト装置11は、所謂、ショートストローク式のシフト装置である。
【0046】
4.フロア1bに対する車両用シフト装置11の配置
図4は、車両用シフト装置11を右側から見た側面図である。
【0047】
図4に示すように、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15は、センターコンソール9に填め込まれている(内装されている)。そして、センターコンソール9におけるシフト装置ベース15が填め込まれた部分の底部9cの一部が、フロア1bとの間に空間SPを空けた状態となっている。
【0048】
このような構造を以って配設された車両用シフト装置11を備える車両1においては、当該車両用シフト装置11がエレキシフト装置であることを乗員に実感させることができる。また、車室1a内のデザイン性という観点からも優れる。
【0049】
5.シフトパターン
図5は、車両用シフト装置11におけるシフトパターンを示す模式図である。
【0050】
図5に示すように、車両用シフト装置11では、リバース(R)ポジション15r、ニュートラル(N)ポジション15n、およびドライブ(D)ポジションが、この順で前方から後方に向けて略直線的に配置されている。これに対して、パーキング(P)ポジション15pは、Rポジション15rに対して左側(運転者側)に配置されている。
【0051】
シフトレバー12の移動軌跡に沿って設けられたシフトレーン15aは、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dの間でのシフトレバー12の移動に対応する前後方向レーン15a1と、Rポジション15rとPポジション15pとの間でのシフトレバー12の移動に対応する横方向レーン15a2とを有する。前後方向レーン15a1と横方向レーン15a2とは、Rポジション15rで連続しており、シフトレーン15aは、全体として略逆L字形状である。
【0052】
なお、本明細書では、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dを「走行ポジション」と総称する場合がある。
【0053】
運転者が停車中(パーキング中)の車両1を発進させようとする場合には、次のようなシフト操作を行う。
【0054】
先ず、運転者は、ブレーキペダル6を足で踏んだ状態でシフトノブ13を把持し、プッシュスイッチ14を押し込みながら親指でシフトノブ13を右側に移動させる。これによって、シフトポジションがPポジション15pからRポジション15rに移動する。
【0055】
次に、運転者は、シフトノブ13の前端部分に中指や薬指などを引っ掛けてシフトノブ13を後方に向けて移動させる。これによって、シフトポジションがRポジション15rからNポジション15n、さらにはDポジション15dに移動する。
【0056】
最後に、運転者は、ブレーキペダル6から足を放してアクセルペダル5を踏み込むことで、車両1を前進(発進)させることができる。
【0057】
逆に、運転者は、車両1を停車させてシフトポジションをPポジション15pに入れる場合には、次のようなシフト操作を行うことになる。
【0058】
先ず、運転者は、アクセルペダル5から足を放してブレーキペダル6を踏む。これにより、車両1が停車した後、運転者はシフトノブ13の後端部分を掌で前方へ押す。これにより、シフトポジションがDポジション15dからNポジション15nに移動する。
【0059】
次に、運転者は、ブレーキペダル6を踏んだ状態を維持したまま、シフトノブ13を把持しながらプッシュスイッチ15を押し込み、当該状態でシフトポジションをNポジション15nからRポジション15pへと移動させる。
【0060】
最後に、運転者は、シフトノブ13の右側側方部分を掌で左側へと押し、シフトポジションをRポジション15rからPポジション15pへと移動させる。この後、運転者は、パーキングブレーキをかける。
【0061】
6.Pポジション15pと走行ポジション15r,15n,15dとの間でのシフトレバー12の姿勢変化
図6は、Pポジション15pと走行ポジション15r,15n,15dとの間でのシフトレバー12の姿勢変化を示す模式図である。
【0062】
図6に示すように、車両用シフト装置11を車両1の後側から見たとき、シフトポジションが走行ポジション15r,15n,15dにある場合にはシフトレバー12が第1姿勢Pos1となり、Pポジション15pにある場合にはシフトレバー12が第2姿勢Pos2となる。第1姿勢Pos1では、シフトレバー12の中心線L1が右側(助手席3側)に傾斜した状態となる。
【0063】
一方、第2姿勢Pos2では、シフトレバー12の中心線L2が、略鉛直方向に直立した状態、または中心線L1よりも直立に近い状態となる。本実施形態に係る車両1では、車両1が水平な場所に停車している状態において、中心線L2は鉛直方向に直立した状態となる。
【0064】
本実施形態に係る車両用シフト装置11では、中心線L1と中心線L2とがなす角度θ1を10deg.以上となるようにしている。具体的には、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、角度θ1を10deg.としている。
【0065】
7.シフトノブ13およびプッシュスイッチ14の外観構造
図7は、シフトノブ13の外観構造を示す斜視図であり、図8は、シフトノブ13を前側より見た正面図であり、図9は、シフトノブ13を左側より見た側面図である。
【0066】
図7に示すように、シフトノブ13の外周面は、曲面の組み合わせにより構成されている。そして、シフトノブ13の左側の側面部13bには、開口部13cが設けられており、側面部13bには、開口部13cから出没可能にプッシュスイッチ14が設けられている。
【0067】
図7から図9に示すように、シフトノブ13の外周面は、運転者の掌および指が沿う部分として、上面部13a、前側湾曲部13g、前面部13e、後側湾曲部13h、後面部13f、側面部(第1側面部)13b、側面部(第2側面部)13dを含む。
【0068】
上面部13aは、運転者の掌および指の付け根部分が沿う部分であって、比較的緩やかな曲面を以って構成されている。そして、上面部13aは、後方から前方へと行くほど上方から下方に下がるように傾斜した曲面である。
【0069】
図9に示すように、前側湾曲部13gは、上面部13aの前端に連続し、当該上面部13aの前端から前方に膨出し、当該膨出した部分に続いて下方であって後方に向かうように湾曲した曲面である。後側湾曲部13hは、上面部13aの後端に連続し、当該上面部13aの後端から後方であって下方に向かうように湾曲した曲面である。
【0070】
前面部13eは、前側湾曲部13gの下端から後方であって下方に延びるように構成された曲面である。後面部13fは、後側湾曲部13hの下端から後方であって下方に延びるように構成された曲面である。
【0071】
図8に示すように、側面部13bは、シフトノブ13の運転席2側の側面を構成する部分であって、上述のように開口部13cから出没可能なプッシュスイッチ14が設けられている。側面部13dは、シフトノブ13の助手席3側の側面を構成する部分である。
【0072】
8.プッシュスイッチ14の配置およびそのサイズ
引き続き図9を用いて、シフトノブ13におけるプッシュスイッチ14の配置とそのサイズについて説明する。
【0073】
先ず、図9に示すように、プッシュスイッチ14の操作時に運転者の親指が当接する押面部14aに対して、前側部分での高さ方向(上下方向)での中心P14afと後側部分での高さ方向(上下方向)での中心P14arとを通る第1仮想線L14を引く。そして、第1仮想線L14と押面部14aの前側の辺との交点をP14a1とする。また、第1仮想線L14と押面部14aの後側の辺との交点をP14a2とする。
【0074】
プッシュスイッチ14の押面部14aでは、前側湾曲部13gの前端(シフトノブ13の最も前方の箇所)P13gと交点P14a1との間の第1直交方向での距離がa1である。なお、ここでいう「第1直交方向」とは、シフトノブ13を運転席2側から側面視する場合のシフトレバー12(図9では、図示を省略。)が延びる方向に対して直交する方向である。
【0075】
本実施形態に係る車両用シフト装置11では、距離a1を29.5mm以下と規定している。
【0076】
また、プッシュスイッチ14の押面部14aでは、上記前端P13gと交点P14a2との間の第1直交方向での距離がa2である。本実施形態に係る車両用シフト装置11では、距離a2を34.5mm以上と規定している。
【0077】
次に、仮想線L14と後面部13fとの交点をP13fとする。このとき、プッシュスイッチ14の押面部14aでは、交点P13fと交点P14a2との間の第1直交方向の距離がb1である。本実施形態に係る車両用シフト装置11では、距離b1を35.5mm以下と規定している。
【0078】
また、プッシュスイッチ14の押面部14aでは、交点P13fと交点P14a1との間の第1直交方向の距離がb2である。本実施形態に係る車両用シフト装置11では、距離b2を51.5mm以上と規定している。
【0079】
次に、仮想線L14に平行であって上面部13aに接する第2仮想線L13を引く。このとき、仮想線L14と第2仮想線L13aとの間隔がc1である。本実施形態に係る車両用シフト装置11では、間隔c1を16mm以上22mm以下の範囲と規定している。
【0080】
次に、プッシュスイッチ14の押面部14aの高さ寸法、即ち、仮想線L14に直交する方向での押面部14aの幅は、H14aである。本実施形態に係る車両用シフト装置11では、幅H14aを少なくとも15mm有することにしている。
【0081】
本実施形態に係る車両用シフト装置11では、以上のような規定を以ってプッシュスイッチ14の配置およびそのサイズが規定されている。
【0082】
9.プッシュスイッチ14における押面部14aの幅H14aの規定理由
図10(a)は、手のサイズが異なる人の親指の大きさを表した表であり、図10(b)は、押面部への親指の接触領域を示す模式図である。
【0083】
先ず、図10(a)に示すように、親指の大きさは性別や体格により異なる。図10(a)では、「JF」が日本人の女性、「JM」が日本人の男性、「AM」がアメリカ人の男性を示す。また、これらに続く数字は、体格の違いを示す分布での小さい人からの割合を示す。例えば、「05」との数字は、母数中における体格が小さい5%の人を示す。
【0084】
図10(a)に示すように、親指の大きさは、小柄な人で11.68mmであり、大柄な人で23.35mmである。即ち、アメリカ人全体の95%の人をカバーする場合にも、親指の大きさは23.35mmが最大であることが分かる。
【0085】
そして、押面部14aの幅については、最も大きな親指のサイズの65%程度を確保すれば確実に押圧できることが経験的に分かっている。これより、図10(b)に示すように、押面部14aを押圧する際の親指の接触領域を直径15mmとしている。よって、上記のように、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、少なくとも15mmの幅H14aを有することとしている。
【0086】
10.シフトノブ13の把持形態の違いによる親指501の位置
図11(a)は、手500のサイズが小さい運転者がシフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態を示す模式図であり、図11(b)は、手500のサイズが小さい運転者がシフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態を示す模式図である。図12(a)は、手500のサイズが大きい運転者がシフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態を示す模式図であり、図12(b)は、手500のサイズが大きい運転者がシフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態を示す模式図である。
【0087】
図11(a)に示すように、手500のサイズが小さい運転者がシフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態では、プッシュスイッチ14における押面部14aの比較的前方の箇所P1を親指501で押圧することになる。
【0088】
一方、図11(b)に示すように、同じく手500のサイズが小さい運転者がシフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態では、プッシュスイッチ14における押面部14aの上記箇所P1よりも後方の箇所P2を親指501で押圧することになる。
【0089】
図12(a)に示すように、手500のサイズが大きい運転者がシフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態では、プッシュスイッチ14における押面部14aの後方の箇所P3を親指501で押圧することになる。
【0090】
一方、図12(b)に示すように、同じく手500のサイズが大きい運転者がシフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態では、プッシュスイッチ14における押面部14aの後方の箇所P4を親指501で押圧することになる。図12(a)と図12(b)とを見比べると、手500のサイズが大きい運転者の場合には、シフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態でも、シフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態でも、押圧する箇所P3,P4は大きく変わらない。
【0091】
11.距離a1,a2,1,b2の規定理由
上記のような、手500のサイズとシフトノブ13の把持形態の違いによる押面部14aを押圧する箇所P1〜P4の変化を勘案して、距離a1,a2,b1,b2の規定理由について説明する。図13(a)は、シフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態での親指501の移動可能範囲を示す図であり、図13(b)は、シフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態での親指501の移動可能範囲を示す図であり、図13(c)は、シフトノブ13の前端P13gおよび後端(交点P13f)を基準とするときのプッシュスイッチ14における押面部14aの位置を規定する図である。
【0092】
図13(a)に示すように、手500のサイズが小さいJF05がシフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態では、前端P13gから9mm以上37mm以下の箇所まで親指501が届く。一方、手500のサイズが大きいAF95がシフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態では、前端P13gから27mm以上52mm以下の箇所まで親指501が届く。これより、シフトノブ13の前側湾曲部13gに中指等を引っ掛けた状態で手500が小さい人から手500が大きい人まで親指501が届く後端X1は37mm以上52mm以下の範囲であり、前端X2は9mm以上27mm以下の範囲である。
【0093】
次に、図13(b)に示すように、手500のサイズが小さいJF05がシフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態では、後端(交点P13f)から32mm以上43mm以下の箇所まで親指501が届く。一方、手500のサイズが大きいAF95がシフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態では、後端(交点P13f)から44mm以上60mm以下の箇所まで親指501が届く。これより、シフトノブ13の後面部13fに掌を押し当てた状態で手500が小さい人から手500が大きい人まで親指501が届く前端X3は43mm以上60mm以下の範囲であり、後端X4は32mm以上44mm以下の範囲である。
【0094】
以上の結果に対して、上記で規定した親指501により押面部14aを押圧する際の接触領域のサイズ(直径15mm)を加味して、図13(c)に示すように、a1が29.5mm以下、a2が34.5mm以上、b1が35.5mm以下、b2が51.5mm以上となる。
【0095】
12.プッシュスイッチ14の出没に係る仮想軸L4
図14は、プッシュスイッチ14の出没に係る仮想軸L4の姿勢を説明するための模式図である。
【0096】
図14に示すように、シフトノブ13およびプッシュスイッチ14を車両1の後側より見た場合の、シフトレバー12が延びる方向および上記第1直交方向の双方に対して直交する方向(第2直交方向)に仮想線L3を引く。また、プッシュスイッチ14の出没(矢印C)に係る仮想軸をL4で表す。このとき、仮想軸L4は、押面部14aの側が相対的に下方となるように、第2直交方向に沿う仮想線L3に対して傾斜している。
【0097】
このような構造を採用する本実施形態に係る車両用シフト装置11では、運転者が右側の側面部14dに掌の小指側部分を添えながらプッシュスイッチ14の押面部14aを押圧する際に親指を小指側に向けて移動させることでプッシュスイッチ14を押し込むことができる。即ち、上記の構成を採用する場合には、親指を小指側に移動させるという自然な動作でプッシュスイッチ14を押し込むことができる。
【0098】
13.シフトノブ13およびシフトレバー12の内部構造
図15は、シフトノブ13およびシフトレバー12の内部構造を示す模式図である。
【0099】
図15に示すように、シフトレバー12は筒状をしており、内方に棒状のロッド16が内装されている。ロッド16の上端部はカム部160により構成されている。また、ロッド16は、シフトレバー12の内方を上下動可能であるとともに、下方に設けられたスプリング(第1弾性部材)161により上方に向けて弾性付勢されている。
【0100】
プッシュスイッチ14は、シフトノブ13の内方側の先端部(内側先端部)にカム部140により構成されている。プッシュスイッチ14は、カム部140よりも左側にスプリング(第2弾性部材)141,142が取り付けられており、当該スプリング141,142により右側に向けて弾性付勢されている。
【0101】
車両用シフト装置11では、プッシュスイッチ14を上記のように弾性付勢することにより、運転者がプッシュスイッチ14の押面部14aを押圧していない状態でも、カム部140のカム面140aとカム部160のカム面160aとが密接した状態となっている。また、スプリング141,142による付勢力は、運転者がプッシュスイッチ14の押面部14aを押圧していない状態ではロッド16が下方に押し下げられることがないように、スプリング161の付勢力よりも弱くなっている。なお、カム面140aおよびカム面160aの形状(接触角度)によっては、スプリング141,142とスプリング161との相互間でのバネ乗数や反発力の関係は変わる。即ち、スプリング141,142とスプリング161とは、運転者がプッシュスイッチ14の押面部14aを押圧していない状態でも、カム部140のカム面140aとカム部160のカム面160aとが密接した状態となり、且つ、運転者がプッシュスイッチ14の押面部14aを押圧していない状態ではロッド16が下方に押し下げられることがないように互いの特性が設定されている。
【0102】
14.プッシュスイッチ14のスイッチボタン143とシフトノブ13との隙間
図16(a)は、仮にプッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けていないとした場合の図15のA部を示す断面図であり、図16(b)は、同じく仮にプッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けていないとした場合の図15のB部を示す断面図であり、図16(c)は、プッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けている場合の図15のA部を示す断面図であり、図16(d)は、プッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けている場合の図15のB部を示す断面図である。
【0103】
図16(a)に示すように、カム部140の上面140bには、半円断面の凸部140cが設けられている。そして、シフトノブ13の内部においては、カム部140の上面140bに対向する奥上側ガイド面130aが形成されている。図16(a)に示すように、仮にプッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けていないとした場合においては、凸部140cの頂と奥上側ガイド面130aとの間には隙間が空いた状態となる。このため、カム部140の上面140bと奥上側ガイド面130aとの間には、隙間Gap1が空いた状態となる。
【0104】
また、図16(a)に示すように、プッシュスイッチ14のスイッチボタン143は、先端部分がシフトノブ13から突出しており、当該スイッチボタン143の先端部分に押面部14aを有する(図16では図示を省略)。このスイッチボタン143の上面143aと、当該上面143aに対向する出口側ガイド面130bと、の間には隙間Gap2が空いた状態となる。
【0105】
図16(b)に示すように、カム部140の下面140dには上面140bのような凸部は形成されていない。そして、図16(b)に示すように、仮にプッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けていないとした場合においては、カム部140の下面140dと、当該下面140dに対向する奥下側ガイド面130cとの間には、隙間Gap3が空いた状態となる。ここで、隙間Gap1と隙間Gap3とは、同じとなる。
【0106】
また、図16(b)に示すように、スイッチボタン143の下面143bと、当該下面143bに対向する出口側ガイド面130dと、の間には隙間Gap4が空いた状態となる。ここで、隙間Gap4は、隙間Gap2よりも狭い。
【0107】
次に、図16(c)に示すように、プッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けている場合においては、凸部140cの頂と奥上側ガイド面130aとが当接した状態となる。このため、カム部140の上面140bと奥上側ガイド面130aとの間には、隙間Gap5が空いた状態となる。隙間Gap5は、隙間Gap1よりも狭くなる。
【0108】
また、図16(c)に示すように、プッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けている場合においては、スイッチボタン143の上面143aと、当該上面143aに対向する出口側ガイド面130bと、の間には隙間Gap6が空いた状態となる。隙間Gap6は、隙間Gap2よりも狭くなる。
【0109】
図16(d)に示すように、プッシュスイッチ14のカム部140が上方向への付勢力(スプリング161による付勢力)を受けている場合においては、カム部140の下面140dと、当該下面140dに対向する奥下側ガイド面130cとの間には、隙間Gap7が空いた状態となる。ここで、隙間Gap7は、隙間Gap5よりも広くなる。
【0110】
また、図16(b)に示すように、スイッチボタン143の下面143bと、当該下面143bに対向する出口側ガイド面130dと、の間には隙間Gap8が空いた状態となる。ここで、隙間Gap8は、隙間Gap4よりも広くなり、隙間Gap6と同じとなる。
【0111】
以上のように、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、上記構成により、運転者がプッシュスイッチ4の押面部14aを押圧していない状態でも、プッシュスイッチ14のガタツキを抑制することができるとともに、側面部13bに設けられた開口部13cの縁辺(周囲の辺)とプッシュスイッチ14のスイッチボタン143との間の隙間を全周にわたって同じにすることができ、高いデザイン性および品質の高さを乗員等に感得させることができる。
【0112】
[変形例]
上記実施形態では、左ハンドルの車両1を一例として採用したが、本発明は、右ハンドル車を採用することもできる。その場合には、上記実施形態とは左右の関係を反対にすることで、上記実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0113】
上記実施形態では、ステーショナリ式の車両用シフト装置11を採用することとしたが、本発明は、モメンタリ式の車両用シフト装置を採用することもできる。この場合にもシフト操作を行う手との関係でシフトノブの外観形状を上記同様に規定すれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
上記実施形態では、走行ポジションとしてRポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dの3つのポジションを備える構成としたが、本発明は、Rポジション、Nポジション、およびDポジションを含む4つ以上の走行ポジションを備える構成とすることもできる。例えば、SポジションやBポジションなどを備えることとしてもよい。
【0115】
上記実施形態では、シフトレバー12の長さが比較的短いショートストローク式の車両用シフト装置11を採用することとしたが、本発明は、シフトレバーの長さが比較的長いロングストローク式の車両用シフト装置を採用することもできる。
【0116】
上記実施形態では、センターコンソール9におけるシフト装置ベース15が填め込まれた部分の底部9cの一部とフロア1bとの間に空間SPが空いた構造としたが、本発明は、必ずしも当該部分に空間が空いている必要はない。
【0117】
上記実施形態では、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15にインジケータ部15bを設けることとしたが、本発明は、インジケータ部の配置に関してこれに限定を受けるものではない。例えば、メータークラスターパネルやインストルメントパネルなどに設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 車両
2 運転席
3 助手席
9 センターコンソール
9c 底部
11 車両用シフト装置
13 シフトノブ
13a 上面部
13b 側面部(第1側面部)
13c 開口部
13d 側面部(第2側面部)
13e 前面部
13f 後面部
13g 前側湾曲部
13h 後側湾曲部
14 プッシュスイッチ
15 シフト装置ベース
141,142 スプリング(第2弾性部材)
161 スプリング(第1弾性部材)
図1
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