特開2021-104517(P2021-104517A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-104517(P2021-104517A)
(43)【公開日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】シリンダーブロックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 30/00 20060101AFI20210625BHJP
   F02F 1/00 20060101ALI20210625BHJP
   B22D 15/02 20060101ALN20210625BHJP
   B22D 17/00 20060101ALN20210625BHJP
【FI】
   B22D30/00
   F02F1/00 K
   F02F1/00 C
   B22D15/02
   B22D17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-236189(P2019-236189)
(22)【出願日】2019年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】工藤 耕平
【テーマコード(参考)】
3G024
【Fターム(参考)】
3G024AA21
3G024FA14
3G024GA06
3G024HA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷却水を用いた冷却時にシリンダーブロック内部に水が浸入することがなく、作業時間及びコストを少なく抑えることができるシリンダーブロックの製造方法の提供。
【解決手段】鋳造されたシリンダーブロック粗材1を冷却する工程を有するシリンダーブロックの製造方法であって、前記工程は、沸騰石を含む冷却水6中に、前記シリンダーブロック粗材1の外表面に開口を有する凹部の開口部分を水面6aから出した状態で、該シリンダーブロック粗材1を浸漬させ、その際、該シリンダーブロック粗材1の温度に応じて、該冷却水中に浸漬させる領域を変化させる工程である、ことを特徴とするシリンダーブロックの製造方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造されたシリンダーブロック粗材を冷却する工程を有するシリンダーブロックの製造方法であって、
前記工程は、
沸騰石を含む冷却水中に、前記シリンダーブロック粗材の外表面に開口を有する凹部の開口部分を水面から出した状態で、該シリンダーブロック粗材を浸漬させ、その際、該シリンダーブロック粗材の温度に応じて、該冷却水中に浸漬させる領域を変化させる工程である、ことを特徴とするシリンダーブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダーブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのシリンダーブロックは、複雑な形状をしているため、通常、鋳造後に追加の機械加工等を行い製造されている。特許文献1には、ダイカスト鋳造により、シリンダーブロック粗材を凝固した後、冷却して、シリンダーブロックを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−130665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、シリンダーブロック粗材は主にダイカスト鋳造を経て作製されるが、鋳造されたばかりの熱い粗材を冷やす操作が必要となる。鋳造されたシリンダーブロック粗材を冷やす方法としては、例えば、冷却水中に粗材を浸漬させる方法が考えられる。
しかし、シリンダーブロック粗材は、通常、シリンダーヘッドを配置する側の面(以下、ヘッド面ともいう)に、ウォータージャケットの溝や穴等の開口部が配置されており、冷却水を用いた冷却の際に、これら開口部の中に冷却水が浸入してしまう恐れがある。万が一、開口部からシリンダーブロック粗材内部に水が浸入した状態で、そのまま製造工程を進めた場合には、この内部に侵入した水によって、後の工程で設備が汚染されたり、錆びたりすることが予想される。このような状況になった場合には、設備の清掃や修理が追加で必要となり、結果的に、作業時間やコストが増えることになる。
【0005】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、冷却水を用いた冷却時にシリンダーブロック内部に水が浸入することがなく、作業時間及びコストを少なく抑えることができるシリンダーブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一態様は、鋳造されたシリンダーブロック粗材を冷却する工程を有するシリンダーブロックの製造方法であって、前記工程は、沸騰石を含む冷却水中に、前記シリンダーブロック粗材の外表面に開口を有する凹部の開口部分を水面から出した状態で、該シリンダーブロック粗材を浸漬させ、その際、該シリンダーブロック粗材の温度に応じて、該冷却水中に浸漬させる領域を変化させる工程である、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るシリンダーブロックの製造方法では、冷却水中に沸騰石を配置するため、突沸により、例えば上記ヘッド面に設置された溝や穴等の凹部の開口部分に水が浸入することを防ぐことができる。また、本発明に係るシリンダーブロックの製造方法では、シリンダーブロック粗材の温度に応じて、冷却水中に浸漬させる領域(部分)を変化させる。このため、鋳造直後の突沸が起きやすい高温のシリンダーブロック粗材では、上記開口部分を水面から出した状態で、例えば、ヘッド面を上側とした場合の下側部分のみを冷却水中に浸漬させる。そして、シリンダーブロック粗材の温度低下に伴い、上記開口部分を水面から出した状態を維持したまま、徐々に冷却水中に浸漬させる領域を増やしていく。このような操作を行うことで、突沸が起きやすい高温時には、水が粗材内部に侵入しやすい当該開口部分は水面よりかなり高い位置に配置され、低温時には当該開口部分は水面に近い位置に配置されることになる。従って、例えば、浸漬直後に突沸が発生した場合であっても、当該開口部分は水面よりかなり高い位置に配置されていることから、シリンダーブロック粗材内部への冷却水の侵入を容易に防ぐことができる。このため、本発明に係るシリンダーブロックの製造方法では、水の侵入に起因する後工程における設備の清掃や修理が不要となり、結果的に、作業時間を短くかつコストを低く抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却水を用いた冷却時にシリンダーブロック内部に水が浸入することがなく、作業時間及びコストを少なく抑えることができるシリンダーブロックの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】シリンダーブロックの製造手順を説明するための図である。
図2】本実施形態におけるシリンダーブロック粗材の平面図である。
図3】本実施形態における冷却工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
エンジンに用いられるシリンダーブロック(エンジンブロック)は、通常、ダイカスト(例えば、アルミダイカスト)により製造されている。しかし、上述したように、その鋳造後の冷却水を用いた冷却の際に、シリンダーブロック粗材内部への冷却水の侵入が問題となる可能性がある。なお、本明細書では、鋳造工程より得られる、最終製品完成前のシリンダーブロック(中間製品)を、シリンダーブロック粗材、または、単に粗材と称する。
【0011】
図2に示すように、シリンダーブロック粗材1のシリンダーヘッド(不図示)を配置する側の面(ヘッド面1a)には、穴2(ピン穴)や冷却水の通るウォータージャケット(WJ)の溝3などの開口部が配置されている。なお、図2は、本実施形態におけるシリンダーブロック粗材の平面図(上面図)を示す。以降の説明では、冷却水の付着及び侵入が望ましくない箇所である凹部として、ヘッド面に配置された上記穴2や溝3に着目した説明を行うことがあるが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。上記凹部は、粗材の外表面に開口を有しかつ粗材内部に底を有するものであれば、その形状は特に限定されず、どのような形状を有していてもよい。上記凹部は、後述する冷却工程において、冷却水中に粗材を浸漬させた際に、粗材表面の開口部から冷却水が浸入し、粗材内部に冷却水が溜まりやすい部分に相当する。なお、凹部の開口部の設置場所は、例えば、粗材の外側面上部であってもよく、粗材の外表面であれば特に限定されないが、鋳造後の冷却の際に、当該開口部を水面から出した状態で粗材の適切な冷却を行うことができる位置に設定するようにする。
【0012】
ここで、上述したように、鋳造された粗材を冷却する工程(冷却工程)において、これらの開口部に水が浸入した場合には、後の工程には、進入した水を除去する工程が通常存在しないため、この水による設備の汚染や錆が問題となることがある。このような問題が発生した場合、清掃のために製造ラインの停止や、故障による設備の修理が必要となる場合があり、いずれも作業時間の延長及びコストアップに繋がる原因となる。
【0013】
ここで、粗材内部に侵入した水を除去する方法又は水の侵入を防ぐ方法として、例えば、以下の方法を考えることもできる。
(a)粗材内部に侵入した水をエアブローで外に排出する方法。
(b)ロボット等を用いて、例えば粗材を逆さにした状態で振り動かすことにより、粗材内部に侵入した水を外に排出する方法。
(c)粗材内部に水が浸入しないように、冷却工程における冷却水の水面高さを下げる方法。
【0014】
しかしながら、上記方法(a)では、水を排除するための専用のエアブローノズルを特定の位置に設置する必要があり、専用機材設置のためコストが増える。また、例えば、L型4気筒(L4)のシリンダーブロックでは、冷却工程におけるサイクルタイムは約80〜110秒であるため、その限られた時間内に、エアブローを粗材内部の全ての浸水箇所に実施することは困難である。さらに、エアブローによる騒音の懸念もある。
【0015】
上記方法(b)では、粗材を持ち上げ反転させて、水を振り落とし除去するための専用のロボットを設置する必要があり、コストが増える。また、粗材内部の水を振り落として排除する方法は、水の表面張力による影響で排出が困難となる可能性がある。また、ロボットは、上下方向等に振り動かす操作を繰り返し行うことになるため、軸の負荷が大きく、ロボットの寿命が短くなる可能性も考えられる。
【0016】
また、上記方法(c)では、冷却水に浸漬させる粗材部分が少なくなるため、粗材温度が下がりきらずに、高温で搬出される可能性があり、高温物に人が接触しケガを負う可能性もある。また、適切に冷却を行うために冷却時間を増やした場合は、シリンダーブロックの製造時間が延びてしまい、作業効率が落ちてしまう。さらに、冷却水の量を増やした場合は、上述したように、粗材内部への水の侵入の可能性がある。また、空冷などの他の冷却装置を併用することも可能であるが、その場合も追加の設備投資が必要でコストが増えしてしまう。
このように、上記方法(a)〜(c)はいずれも実施する上で様々な困難が想定される。
【0017】
一方、本実施形態に係るシリンダーブロックの製造方法(以下、本製造方法ともいう)では、沸騰石を含む冷却水中に、鋳造された高温のシリンダーブロック粗材を、上記開口部分、例えばヘッドシリンダーが乗るヘッド面を水面に出した状態で、浸漬させる。冷却水中に沸騰石が配置されていることから、突沸の可能性を低くすることができる。また、本製造方法では、粗材温度に応じて、上記開口部分を水面から出した状態で、冷却水に浸漬させる部分を変化させる。このため、高温時の粗材では、上記開口部分を水面よりかなり高い位置に配置させた状態で、例えば下側部分のみを冷却水中に浸漬させることができる。また、粗材温度が冷えてきたタイミングで、徐々に浸漬させる部分を増やすことができ、粗材温度が下がりきらずに搬出されることを防ぐことができる。従って、本製造方法は、設備の追加の清掃や修理を必要とせず、作業時間及びコストを少なく抑えたシリンダーブロック粗材の冷却を可能とし、結果的に、冷却工程における粗材の水切り技術の向上も達成することができる。
【0018】
<シリンダーブロックの製造方法>
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。ただし、本発明がこれらの実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、本明細書の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0019】
本製造方法は、ダイカスト鋳造等より得られたシリンダーブロック粗材を冷却する工程(冷却工程)を有する。また、当該冷却工程は、沸騰石を含む冷却水中に、前記シリンダーブロック粗材の外表面に開口を有する凹部の開口部分を水面から出した状態で、該シリンダーブロック粗材を浸漬させる。ただし、その際、該シリンダーブロック粗材の温度に応じて、該冷却水中に浸漬させる領域を変化させる。
【0020】
また、本製造方法は、図1に示すように、以下の工程を有することもできる。なお、図1は、シリンダーブロックの製造手順を説明するための図である。
・シリンダーブロック粗材を鋳造する工程(鋳造工程)。
・前記シリンダーブロック粗材の不要箇所を除去する工程(除去工程)。
さらに、本製造方法は、冷却工程後に以下の工程を有することもできる。
・前記シリンダーブロック粗材に刻印する工程(刻印工程)。
・前記シリンダーブロック粗材に追加の機械加工を行う工程(加工工程)。
【0021】
これらの工程の順序は特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、上記鋳造工程と上記冷却工程との間に、上記除去工程を行ってもよく、冷却工程には、鋳造工程を経たシリンダーブロック粗材、すなわち、鋳造されたシリンダーブロック粗材を供することができればよい。以下にこれらの工程について詳しく説明する。
【0022】
まず、所望の形状のシリンダーブロック粗材を鋳造する(鋳造工程)。その鋳造方法は特に限定されず、作製するシリンダーブロックの形状に応じて、従来公知の方法を適宜選択して用いることができるが、例えば、アルミ合金等を用いるアルミダイカストを用いることができる。なお、粗材を構成する原料は、特に限定されず、例えば、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウム、ならびにそれらの合金等を用いることができる。
【0023】
続いて、必要に応じて、鋳造された粗材(ダイカストブロック鋳造品)の不要箇所を除去する(除去工程)。不要箇所としては、鋳造の際に形成される、堰及びオーバーフロー等が挙げられ、従来公知の除去装置(例えば、堰折り装置)を用いて、これらの不要箇所を除去することができる。
【0024】
続いて、得られた粗材を、沸騰石を含む冷却水中に上記開口部分を水面には漬けずに浸漬させる(冷却工程)。その際、粗材の温度に応じて、当該開口部分を水面から出した状態を維持したまま、徐々に粗材の位置を冷却水中に下降させて沈めていき、粗材の浸漬部分を増やしていく。これにより、上述したように、粗材内部への水の侵入を防ぐことができ、冷却工程より後の工程(例えば、後述する刻印工程)における、当該水の侵入に起因する設備の汚染や故障を防ぐことができる。
【0025】
なお、図2及び図3に示す実施形態では、シリンダーブロック粗材1のヘッド面1aに、冷却水6の付着及び侵入が望ましくない箇所、即ち、ウォータージェットの溝3や穴2等の粗材外表面に開口を有しかつ粗材内部に底を有する凹部が形成されている。このため、これら凹部の開口が位置するヘッド面1aを水面6aから出した状態で、冷却水6による粗材の冷却を行う。しかしながら、例えば、当該凹部が粗材のヘッド面以外の部分(例えば、粗材の外側面上部等)に設置される場合は、この部分を水面6aから出した状態で浸漬させるようにする。従って、本製造方法では、シリンダーブロックの構造によって、冷却工程において、冷却水中に浸漬させる部分及び水面から出す部分を適宜変更することができる。なお、図3は、本実施形態における冷却工程を説明するための図である。
【0026】
上記冷却工程における、徐々に下降を開始する粗材温度、粗材の冷却水中への下降速度、粗材の浸漬量などの各種条件は、例えば、以下の様々な条件を加味して設定することができ、特に限定されない。すなわち、本製造方法では、シリンダーブロック粗材の鋳造条件(例えば、鋳造方法や鋳造温度)、製造するシリンダーブロックの形状及び容積、冷却工程開始時のシリンダーブロック粗材の温度、冷却水槽及び冷却水の容量等を加味して、冷却条件を設定できる。
【0027】
続いて、必要に応じて、シリンダーブロック粗材に、型やグレードなどを表示するための刻印を行う(刻印工程)。さらに、必要に応じて、追加の機械加工(加工工程)等の従来公知の様々な処理を適宜行い、エンジンに搭載可能なシリンダーブロックを製造することができる。得られたシリンダーブロックを他の部品(例えば、シリンダーヘッド等)と組み合わせて、車両用エンジンを製造することができる。
【0028】
<冷却装置>
上記冷却工程には、図3に示すように、例えば、以下の構成手段を有する、鋳造されたシリンダーブロック粗材1を冷却するための冷却装置を用いることができる。
・沸騰石(不図示)を含む冷却水6を入れる水槽5(冷却水槽)。
・前記水槽内部に配置され、前記シリンダーブロック粗材1を昇降するための昇降手段4bを備えた、前記シリンダーブロック粗材1の載置台4。
【0029】
上記冷却装置では、鋳造された高熱の鋳造品(シリンダーブロック粗材)を冷やすための冷却水槽5が備えられ、その水槽内部に、突沸を防ぐ効果を有する沸騰石(不図示)と、冷却水6とを配置する。そして、この沸騰石を含む冷却水6を用いて、シリンダーブロック粗材1の冷却を行うため、冷却水の突沸を抑制し、粗材内部、例えば、ウォータージェット内への水の侵入を防ぐことができる。なお、冷却水槽5は、沸騰石、冷却水6及び載置台4等を内部に配置し、高熱の鋳造品の冷却に用いることができるものであれば特に限定されず、従来公知のものを適宜使用できる。また、沸騰石及び冷却水も特に限定されず、従来公知のものを適宜選択して使用できる。さらに、冷却時の冷却水温度も適宜設定できる。
【0030】
水槽内に設置される載置台4は、粗材を昇降、すなわち、上下方向(図3の矢印に示す方向)に可動できる、上下可動式なものである。図3に示すように、載置台4は、例えば、鋳造直後の粗材1を載置可能な治具部分である粗材受け治具4aと、粗材受け治具4aに配された粗材1を昇降させるための昇降手段4bとを含むことができる。
【0031】
載置台4(より具体的には、上記治具を上下する機構である昇降手段4b)は、シリンダーブロック粗材の温度に応じて、上下方向に昇降することにより、冷却水中の粗材の浸漬領域を変化させることができる。具体的には、鋳造後の突沸の可能性が高い高温の粗材を冷却させる段階では、上記昇降手段4bを上昇させた状態で載置台4に粗材1を載せ、粗材の所定箇所、すなわち、冷却水の付着が望ましくない箇所の位置を、冷却水6の水面6aの位置よりも高く配置する。これにより、突沸が発生した場合でも、この所定の箇所、例えば、図2に示す穴2やウォータージャケットの溝3への冷却水の侵入を抑制することが可能となる。
また、粗材温度が冷えてきたタイミングで、昇降手段4bにより、粗材1を徐々に上昇させた状態から下降させ、冷却水6中に浸漬させる領域を増やす。これにより、突沸の発生も抑制し、粗材内部への沸騰等による水の侵入を防ぐとともに、冷却性能を確保することができ、粗材への適切な冷却も行うことができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る発明により、冷却時にシリンダーブロック内部に水が浸入することがなく、作業時間及びコストを少なく抑えることができるシリンダーブロックの製造方法を提供することができる。本製造方法より得られるシリンダーブロックは、例えば、車両用エンジンに搭載することができるが、当該用途に限定されるものではない。本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 シリンダーブロック粗材(粗材)
1a ヘッド面
2 穴
3 ウォータージャケットの溝
4 載置台
4a 粗材受け治具
4b 昇降手段
5 水槽(冷却水槽)
6 冷却水
6a 水面
図1
図2
図3