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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-105929(P2021-105929A)
(43)【公開日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】電線長計算装置及び電線長計算方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20210625BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20210625BHJP
【FI】
   G06F17/50 650Z
   G06F17/50 608A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-237946(P2019-237946)
(22)【出願日】2019年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】川本 公彦
【テーマコード(参考)】
5B046
5B146
【Fターム(参考)】
5B046AA07
5B046BA06
5B146AA14
5B146AA21
5B146DE12
(57)【要約】
【課題】仕様の変更にも対応可能で且つ無駄の少ない電線の長さを求める電線長計算装置及び電線長計算方法を提供する。
【解決手段】電線長計算装置1は、固定部材の配置可能領域に配置される第1の機器の端子と第2の機器の端子とを接続する電線の長さを計算する装置である。電線長計算装置1は、配置可能領域の形状及びサイズと第1の機器の形状及びサイズと第2の機器の配置可能領域内の予め設定された位置、形状及びサイズと、に基づいて、第1の機器の配置可能な位置を計算する機器位置計算部112と、第1の機器の配置可能な位置、第1及び第2の機器の端子の位置、及び第2の機器の予め設定された位置に基づいて、第1の機器の配置可能な位置と第2の機器の位置との組合せのうち、第1の機器の端子と第2の機器の端子とを接続する電線の長さが最大となる組合せを求め、当該長さの最大値を計算する、電線長計算部113と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材の配置可能領域に配置される第1の機器の端子と第2の機器の端子とを接続する電線の長さを計算する電線長計算装置であって、
前記配置可能領域の形状及びサイズに関する配置可能領域情報を取得する配置可能領域情報取得部と、
前記第1の機器の形状及びサイズ、前記第2の機器の形状及びサイズに関する機器情報を取得する機器情報取得部と、
前記第1の機器の端子及び前記第2の機器の端子の位置に関する情報を含む端子情報を取得する端子情報取得部と、
前記配置可能領域情報と前記第1の機器の形状及びサイズと前記第2の機器の前記配置可能領域内の予め設定された位置、形状及びサイズと、に基づいて、前記配置可能領域における前記第1の機器の配置可能な位置を計算する位置計算部と、
前記位置計算部によって計算された前記第1の機器の配置可能な位置と、前記端子情報取得部によって取得された前記第1及び第2の機器の端子の位置、及び前記第2の機器の前記配置可能領域内の予め設定された位置に基づいて、前記第1の機器の配置可能な位置と前記第2の機器の位置との組合せのうち、前記第1の機器の端子と前記第2の機器の端子とを接続する前記電線の長さが最大となる組合せを求め、当該長さの最大値を計算する、電線長計算部と、を備える、
電線長計算装置。
【請求項2】
前記第2の機器の前記配置可能領域内の予め設定された位置を含む設計情報を記憶する設計情報記憶部と、前記設計情報を取得する設計情報取得部と、を備える、
請求項1に記載の電線長計算装置。
【請求項3】
固定部材の配置可能領域に配置される第1の機器の端子と第2の機器の端子とを接続する電線の長さを計算する電線長計算方法であって、
前記配置可能領域の形状及びサイズに関する配置可能領域情報と前記第1の機器の形状及びサイズと前記第2の機器の前記配置可能領域内の予め設定された位置、形状及びサイズと、に基づいて、前記配置可能領域における前記第1の機器の配置可能な位置を計算する位置計算ステップと、
前記第1の機器の配置可能な位置と、前記第1及び第2の機器の端子の位置、及び前記第2の機器の前記配置可能領域内の予め設定された位置に基づいて、前記第1の機器の配置可能な位置と前記第2の機器の位置との組合せのうち、前記第1の機器の端子と前記第2の機器の端子とを接続する前記電線の長さが最大となる組合せを求め、当該長さの最大値を計算する、電線長計算ステップと、を含む、
電線長計算方法。
【請求項4】
前記第2の機器の前記配置可能領域内の予め設定された位置を含む設計情報を取得するステップ、を含む、
請求項3に記載の電線長計算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電線長計算装置及び電線長計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制御盤、計器盤、配電盤等の機器を一つのシステムとしてまとめた盤システムが使用されている。盤システムは、各機器の配置、機器同士をつなぐ電線の配置、電線の長さの計算等の設計の段階と、受注データに基づく組立の段階と、を経て製造される。
【0003】
特許文献1には、盤システムの組立の段階で、電線の適切な長さを求めて、複数の電線を束ねてケーブル群とするワイヤーハーネス(以下、単に「ハーネス」という。)を準備する電線準備システムが記載されている。
特許文献1に記載された電線準備システムでは、盤システム上の複数の同電位の端子の組合せについて、電線の経路の組合せと各経路を取るときの電線の長さが設計の段階で予めデータベースに記憶されている。そして、この電線準備システムは、組立の段階で、受注データに基づいて配線経路を求め、データベースからその配線経路に必要な電線の長さを抽出し、その長さで電線を切断することをハーネスシステムに指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−140200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
盤システムでは、例えば、設置後、周辺設備変更に伴うシステム仕様の変更或いは機器の増設などによる機器の数、配置変更等の仕様の変更が行われることがあり、接続すべき端子間の距離が受注データに基づいて求めたものより遠くなることがある。
【0006】
特許文献1に記載された電線準備システムを用いてハーネスを作成すると、接続すべき端子間の距離が遠くなった場合に、ハーネスに含まれる電線の長さが足りず、ハーネスの再作成が必要となり、資源の無駄になる。
特に、複数本の電線を束ねてハーネスとして盤筐体内に格納する場合、一度製作、配線したハーネスの解体、1本の電線の変更、再ハーネス化には多大な労力を要する。また、ハーネス化した電線を解体することは余計な荷重を電線、機器の端子などにかける要因ともなり、電線、機器の破壊などの原因となる。このため、電線の標準化が困難となっている。
一方で、将来の仕様の変更を考慮して各電線を単純に長くすれば、無駄が多くなってしい、省資源化に反する。このため、電線の余裕、即ち、余長をどのように設定するかは、重要な課題である。
【0007】
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、仕様の変更にも対応可能で且つ無駄の少ない電線の長さを求める電線長計算装置及び電線長計算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示に係る電線長計算装置は、固定部材の配置可能領域に配置される第1の機器の端子と第2の機器の端子とを接続する電線の長さを計算する電線長計算装置であって、配置可能領域の形状及びサイズに関する配置可能領域情報を取得する配置可能領域情報取得部と、第1の機器の形状及びサイズ、第2の機器の形状及びサイズに関する機器情報を取得する機器情報取得部と、第1の機器の端子及び第2の機器の端子の位置に関する情報を含む端子情報を取得する端子情報取得部と、配置可能領域情報と第1の機器の形状及びサイズと第2の機器の配置可能領域内の予め設定された位置、形状及びサイズと、に基づいて、配置可能領域における第1の機器の配置可能な位置を計算する位置計算部と、位置計算部によって計算された第1の機器の配置可能な位置と、端子情報取得部によって取得された第1及び第2の機器の端子の位置、及び第2の機器の配置可能領域内の予め設定された位置に基づいて、第1の機器の配置可能な位置と第2の機器の位置との組合せのうち、第1の機器の端子と第2の機器の端子とを接続する電線の長さが最大となる組合せを求め、当該長さの最大値を計算する、電線長計算部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、搭載する機器の配置の候補を考慮した、電線の長さの最大値が求められる。この最大値の長さを有する電線を配置しておけば、搭載する機器の位置の変更等の仕様の変更があっても、配線が可能であるため、電線を製作し直す必要が少なくなり、省資源化に資する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る電線長計算装置の構成を示すブロック図
図2図1に示す電線長計算装置における情報演算装置のハードウェア構成図
図3図1に示す電線長計算装置を用いて設計する筐体の概略説明図
図4図1に示す電線長計算装置の記憶装置に登録されている筐体情報の一例を示す図
図5図1に示す電線長計算装置を用いて設計する筐体に搭載する機器の概略説明図であり、(A)は制御装置の概略を示す説明図、(B)は計器の概略を示す説明図
図6図1に示す電線長計算装置の記憶装置に登録されている機器情報の一例を示す図
図7図1に示す電線長計算装置を用いた電線長計算処理の概略を示すフローチャート
図8図1に示す電線長計算装置を用いた配置の候補の計算の概略を示すフローチャート
図9図1に示す電線長計算装置の記憶装置に登録されている機器位置情報の一例を示す図
図10図1に示す電線長計算装置を用いた電線の長さの計算の概略を示すフローチャート
図11図1に示す電線長計算装置を用いて電線を配置する一例を示す説明図
図12図1に示す電線長計算装置を用いて電線を配置する別の例を示す説明図
図13図1に示す電線長計算装置の記憶装置に登録されている電線経路情報の一例を示す図
図14図1に示す電線長計算装置の記憶装置に登録されている電線長情報の一例を示す図
図15】第2の実施の形態に係る電線長計算装置の構成を示すブロック図
図16図15に示す電線長計算装置を用いた電線長計算処理の概略を示すフローチャート
図17図15に示す電線長計算装置の記憶装置に登録されている設計情報の一例を示す図
図18図15に示す電線長計算装置を用いて設計情報から機器を配置する処理の概要を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る電線長計算装置1について、図面を参照して説明する。
【0012】
一般に、制御盤は、固定部材としての筐体と、筐体の内部空間に格納される機器と、機器同士をつなぐ電線と、機器以外のものであって、筐体内部に配置される構造物と、を含む。
本実施の形態の電線長計算装置1は、このような制御盤に機器を仮想的に配置して電線の長さを算出する設計を支援する設計支援装置である。作業者は、電線長計算装置1を操作して、設計データとしての電線の長さを計算する。
以下、電線長計算装置1を用いて、複数の機器を搭載する制御盤を設計し、機器同士をつなぐ電線の長さを計算する例を説明する。
【0013】
図1に示すように、電線長計算装置1は、様々な情報を処理する情報演算装置10と、外部からのデータの入力を受け付ける入力装置20と、様々な情報を出力する出力装置30と、を備える。電線長計算装置1は、例えば、コンピュータを用いて実現される。
【0014】
情報演算装置10は、後述する各種の演算を行う演算部11と、他の装置と情報をやり取りする通信部12と、後述する各種の情報を記憶する記憶装置13と、を備える。
【0015】
入力装置20は、外部からのデータの入力を受け付ける装置である。入力装置20は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク等のヒューマン・インタフェース・デバイスを含む。入力装置20は、例えば、ボタン、キー等の状態を検知して情報を入力する部分である入力部21と、入力部21によって入力された情報を検知してその情報を情報演算装置10の通信部12と相互に通信する通信部22と、を備える。
なお、入力装置20は、他装置からの信号を受け取る装置である、パラレルバス、シリアルバス等の受信インタフェースであってもよい。
【0016】
出力装置30は、作業者に各種の情報を表示する情報を出力する装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ等を含む。出力装置30は、情報を文字、画像等の形式で印刷するプリンタ、プロッタ等も含む。出力装置30は、ディスプレイ、プリンタ等の情報を出力する部分である出力部31と、情報演算装置10の通信部12と相互に通信する通信部32と、を備える。
【0017】
図2は、情報演算装置10を実現するハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
情報演算装置10は、後述する様々な演算処理を行うプロセッサ101と、入力装置20、出力装置30等の他の装置と通信する通信装置102と、情報を一時的に記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶部103と、情報を永続的に記憶するハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の補助記憶部104と、プロセッサ101、通信装置102、主記憶部103又は補助記憶部104の間で交換される情報の経路であるバス105と、を備える。
【0018】
プロセッサ101は図1に示した演算部11を実現するハードウェアの一例であり、通信装置102は図1に示した通信部12を実現するハードウェアの一例であり、主記憶部103及び補助記憶部104は図1に示した記憶装置13を実現するハードウェアの一例である。
【0019】
再度図1を参照して、情報演算装置10の各部の詳細を説明する。
演算部11は、記憶装置13に記憶された各種データを取得するデータ取得部111と、機器を仮想的に配置する演算を行う機器位置計算部112と、電線の長さを計算する電線長計算部113と、を備える。
【0020】
記憶装置13は、制御盤に機器を配置し、電線の長さを計算する過程で必要となる情報を記憶する装置である。
具体的には、記憶装置13は、制御盤の筐体の内部空間の形状及びサイズに関する情報を含む筐体情報を記憶する筐体情報記憶部131と、機器の形状、サイズに関する機器情報及び機器の端子の位置に関する端子情報を記憶する機器情報記憶部132と、電線に関する情報を記憶する電線情報記憶部133と、機器の位置を記憶する機器位置記憶部134と、電線の経路に関する情報を記憶する電線経路記憶部135と、電線の長さに関する情報を記憶する電線長記憶部136と、を含む。
【0021】
筐体は、請求項における固定部材の一例であり、筐体の内部空間のうちの機器を配置可能な領域は、請求項における配置可能領域の一例であり、筐体情報は、請求項における配置可能領域情報の一例である。
【0022】
以下、制御盤の筐体の一例である筐体B1の概略を示す説明図である図3と、筐体情報記憶部131に記憶された筐体B1の筐体情報の具体例を示す説明図である図4と、を参照して、筐体B1の各部と記憶装置13に記憶されるデータとの関係を説明する。
【0023】
図3に示すように、筐体B1は、長方形の形状に形成されている。理解を容易にするため、筐体B1の蓋、フレーム等の機器の配置に関係しない部材は省略されている。
【0024】
筐体B1は、機器又は電線を収納する空間として、高さ180mm、幅120mmの大きさの内部空間を有する。以下、単位mmを省略する。
筐体B1は、この内部空間に、構造物として、筐体B1を構造的に補強する柱である支柱F1、支柱F2及び電線が通る筒状のダクトD1を備える。
【0025】
以下の説明で用いる支柱F1、F2、ダクトD1の位置、大きさ、向き等の詳細を説明する。
支柱F1、支柱F2の大きさは、高さ10、幅90である。
支柱F1は、位置(15, 130)に傾き0°で配置されている。支柱F2は、位置(15, 40)に傾き0°で配置されている。これらの座標は、筐体B1の左下隅から測った相対的な2次元の座標である。3次元の座標を用いてもよいが、理解を容易にするため、2次元の座標を例として説明する。
傾きについては、基準となる点、例えば、支柱F1、ダクトD1等の構造物の重心を中心として、x軸からの角度を測ったものを用いることとする。
【0026】
支柱F1には、機器の取付穴H11が空けられている。取付穴H11の座標は、(30, 135)である。
支柱F2には、機器の取付穴H21〜H24が一定間隔毎に空けられている。取付穴H21〜H24の座標は、(30, 45)、(50, 45)、(70, 45)、(90, 45)である。
これらの座標は、筐体B1の左下隅から測った相対的な2次元の座標である。
【0027】
支柱F1と支柱F2との間にダクトD1が配置されている。
ダクトD1の大きさは、高さ20、幅35である。ダクトD1は、位置(50, 70)に配置されている。ダクトD1の傾きは、90°である。
【0028】
図4は、図3に示した筐体B1に対応する、筐体情報記憶部131に記憶されている筐体情報の具体例を示す説明図である。
筐体情報は、筐体に共通する情報、例えば、筐体を一意に識別する符号である識別符号(identifier、ID)と、識別符号に対応付けられた一連のデータと、データの種類を表すデータ型と、を含む。
図4において、識別符号は第1の列に、データ型は第2の列に、識別符号に対応付けられた一連のデータは第3の列以降に、それぞれ示されている。
【0029】
図4に示すように、筐体B1の内部空間、支柱F1、F2、ダクトD1、取付穴H11〜H24に関する情報が、行ごとにまとめて記憶されている。
【0030】
図4において、空間又は物体の大きさは、その空間又は物体を長方形で表し、その長方形の左下隅を原点に配置した場合の右上隅の位置する座標(x、y)として表現されているが、筐体情報記憶部131は、これらの数値x、yを別々のデータとして格納してもよい。
例えば、筐体情報記憶部131は、第1の行の第3の列に格納されている(120, 180)の代わりに、第3の列に120を、第4の列に180を、それぞれ別個に格納してもよい。
【0031】
図4において、図3に示した筐体B1に関する筐体情報は、前述したように、識別符号を001とする行に含まれている。
筐体B1以外の筐体についての情報を格納した場合には、筐体情報記憶部131は、筐体B1に付与された識別符号である001以外の識別符号、例えば、002と、その識別符号に対応付けられたデータと、を記憶する。
【0032】
一般に、制御盤に搭載される機器は、機器の本体と、機器へ電力の供給するための電線を接続する端子又は制御信号をやり取りする電線を接続する端子と、を備える。また、制御盤には、制御盤に取り付けるための取付穴が開けられている。
【0033】
以下、筐体B1に搭載される機器の例である制御装置P1及び計器P2の概略を示す図5(A)、(B)と機器情報の具体例を示す説明図である図6を参照して、制御装置P1及び計器P2の各部と記憶装置13に記憶されるデータとの関係を説明する。
【0034】
図5(A)は筐体B1に搭載される制御装置P1の一例を示した説明図であり、図5(B)は筐体B1に搭載される計器P2の一例を示した説明図である。
制御装置P1は、端子T1を備える。制御装置P1には、螺子で制御装置P1の本体を取り付ける螺子用の取付穴S1が設けられている。
制御装置P1の大きさは、高さ50、幅50である。
端子T1は、位置(25, -5)に配置されている。
取付穴S1の座標は、(25, 15)である。
【0035】
計器P2は、端子T2を備える。計器P2には、螺子で計器P2の本体を取り付ける螺子用の取付穴S2が設けられている。
計器P2の大きさは、高さ40、幅80である。
端子T2は、位置(40, 45)に配置されている。
取付穴S2の座標は、(40, 30)である。
【0036】
端子T1、端子T2、取付穴S1、取付穴S2の座標は、制御装置P1又は計器P2の本体の左下隅を原点として測った2次元の座標である。
【0037】
図6は、図5に示した制御装置P1及び計器P2に対応する、機器情報記憶部132に記憶されている機器情報の具体例を示す説明図である。
機器情報は、機器の識別符号(ID)と、本体の外形の大きさを示すデータと、機器に設けられた端子の位置を示す座標データと、を含む。
機器情報は、機器に共通する情報、例えば、機器を一意に識別する符号である識別符号(ID)と、識別符号に対応付けられた一連のデータと、データの種類を示すデータ型と、を含む。
図6において、識別符号は第1の列に、データ型は第2の列に、識別符号に対応付けられた一連のデータは第3の列以降に、それぞれ示されている。
【0038】
図6において、図5に示した制御装置P1に関する機器情報は、識別符号を011とする行に含まれ、計器P2に関する機器情報は、識別符号を012とする行に含まれている。
【0039】
図6に示すように、機器情報記憶部132には、制御装置P1、計器P2の大きさ、端子T1、T2、取付穴S1、S2に関する情報が、機器ごとにまとめて記憶されている。また、端子T1、T2、取付穴S1、S2の座標は、それぞれの機器における相対的な座標で表されている。
【0040】
電線長計算装置1を用いて、これまでに説明した筐体B1の内部空間に制御装置P1及び計器P2を配置し、制御装置P1と計器P2とをつなぐ電線の長さを計算する例を考える。
【0041】
図7は、電線長計算装置1を用いて電線の長さを計算するまでの処理の流れの概略を示したフローチャートである。
ステップS10、S20を実行することで、電線長計算装置1は、電線の長さを計算する。
【0042】
電線長計算装置1による電線の長さの計算は、概略、以下の2つのステップに分けて行われる。
まず、機器位置計算部112は、取得した筐体の情報及び機器の情報に基づいて、機器を配置する候補となる位置を計算する(ステップS10)。
ステップS10は、請求項における、位置計算ステップの一例である。
次に、電線長計算部113は、機器同士をつなぐ電線の長さを計算する(ステップS20)。
ステップS20は、請求項における、電線長計算ステップの一例である。
以下、ステップS10、S20の詳細を説明する。
【0043】
まず、図8を参照して、ステップS10の詳細を説明する。
機器位置計算部112は、データ取得部111を介して、筐体情報記憶部131から筐体の情報を取得する(ステップS11)。
具体的には、機器位置計算部112は、筐体の識別符号に基づいて、その筐体の内部空間の位置、大きさ、支柱、ダクト等の位置、大きさ、傾き、端子の位置、取付穴の位置等に関するデータを抽出する。
図4に示したデータを参照すると、筐体B1の識別符号は001である。そこで、機器位置計算部112は、識別符号が001である行を検索することによって、筐体情報記憶部131から上記のデータを抽出する。
【0044】
機器位置計算部112は、データ取得部111を介して、機器情報記憶部132から機器の情報を取得する(ステップS12)。
具体的には、機器位置計算部112は、制御装置P1、計器P2の識別符号に基づいて、これらの機器の大きさ、端子T1、T2の位置及び取付穴S1、S2等に関するデータを抽出する。
図6に示したデータを参照すると、制御装置P1の識別符号は011である。そこで、機器位置計算部112は、識別符号が011である行を検索することによって、機器情報記憶部132から上記のデータを抽出する。
【0045】
データ取得部111は、請求項における、配置可能領域情報取得部、機器情報取得部、端子情報取得部の一例である。
【0046】
続いて、機器位置計算部112は、以下のようにして、制御装置P1、計器P2を配置可能な位置を検出する(ステップS13)。
【0047】
機器位置計算部112は、筐体B1の内壁又はダクトD1と干渉せず、かつ、制御装置P1の取付穴S1の位置が取付穴H11〜H24のいずれかの位置と一致する位置として、制御装置P1の位置を計算する。
機器位置計算部112は、制御装置P1の取付穴S1の位置が筐体B1の取付穴H21〜H24の位置と一致する位置に制御装置P1を配置すると、制御装置P1がダクトD1と干渉すると判別するので、制御装置P1をこれらの位置に配置しない。
機器位置計算部112は、制御装置P1の取付穴S1の位置が筐体B1の取付穴H11の位置と一致する位置に制御装置P1を配置しても、制御装置P1がダクトD1と干渉することはないと判別する。
【0048】
機器位置計算部112は、制御装置P1を配置可能な位置として、制御装置P1の取付穴S1の位置が筐体B1の取付穴H11の位置と一致する座標を検出する(ステップS13)。
配置可能な位置として、座標(5, 120)が検出された(ステップS14;Yes)。
配置可能な位置は1箇所しか検出されないため(ステップS15;No)、機器位置計算部112は、検出された位置の座標を機器位置記憶部134に記憶する(ステップS16)。
【0049】
なお、配置可能な位置が検出されない場合には(ステップS14;No)、与えられた条件で後続の処理を続行することができないため、配置の候補の計算を終了する。
【0050】
引き続き、別の機器を配置する処理を説明する。制御装置P1の他に計器P2があるため(ステップS17;Yes)、機器位置計算部112は、データ取得部111を介して、機器情報記憶部132から機器の情報を取得する(ステップS12)。具体的には、機器位置計算部112は、計器P2の情報を取得する。
続いて、機器位置計算部112は、計器P2を配置可能な位置を検出する(ステップS13)。
【0051】
計器P2の配置可能な位置の検出は、例えば、以下のように行われる。
機器位置計算部112は、筐体B1の内壁、仮想的に配置された制御装置P1又はダクトD1と衝突せず、かつ、計器P2の取付穴S2の位置が取付穴H11〜H24のいずれかの位置と一致する位置として、計器P2の位置を計算する。
機器位置計算部112は、計器P2の取付穴S2の位置が筐体B1の取付穴H21又はH24の位置と一致する位置に計器P2を配置すると、計器P2が筐体B1の内壁と干渉すると判別するので、計器P2をこれらの位置に配置しない。
機器位置計算部112は、計器P2の取付穴S1の位置が筐体B1の取付穴H22又はH23の位置と一致する位置に計器P2を配置しても、計器P2が仮想的に配置された制御装置P1、筐体B1の内壁又はダクトD1と干渉することはないと判別するので、計器P2をどちらの位置にも配置できると計算する。
【0052】
機器位置計算部112は、計器P2を配置可能な位置として、計器P2の取付穴S2の位置が筐体B1の取付穴H22又はH23の位置と一致する座標を検出する(ステップS13)。
計器P2の配置可能な位置として、2つの座標(10, 15)と(30, 15)が検出される(ステップS14;Yes)。
検出された配置可能な位置は2箇所であるため(ステップS15;Yes)、機器位置計算部112は、まず、1つ目の座標(10, 15)を機器位置記憶部134に記憶する(ステップS18)。
【0053】
別の配置候補があるため(ステップS19;Yes)、機器位置計算部112は、ステップS18に戻って実行を継続する。
機器位置計算部112は、2つ目の座標(30, 15)を機器位置記憶部134に記憶する(ステップS18)。
【0054】
他に配置候補はないため(ステップS19;No)、機器位置計算部112は、別の機器があるか否かを判別する(ステップS17)。
制御装置P1、計器P2の他に機器はないため(ステップS17;No)、機器位置計算部112は、配置の候補の計算処理を完了する。
【0055】
このようにして、機器位置計算部112は、計器P2の取付穴S2の位置が筐体B1の取付穴H22又はH23の位置と一致する位置に計器P2を配置しようとした場合の計器P2の位置を配置候補位置と検出して、検出された候補位置の座標を機器位置記憶部134に記憶する。
【0056】
図9に、機器位置記憶部134に記憶される機器位置情報の具体例を示す。
機器位置情報は、機器の配置の組合せごとに付与される一意の識別符号である候補識別符号(ID)と、その配置に含まれる筐体の識別符号と、機器の識別符号と、機器の位置を示す座標データと、を含む。
【0057】
図9に示したように、筐体B1に計器P2を配置するための位置に2つの配置の候補がある。それぞれの配置に対応する識別符号は、101、102である。
【0058】
機器位置計算部112が以上のステップS10を実行することで、機器位置計算部112は、機器位置記憶部134に、配置の候補を考慮したすべての機器の候補を示す位置情報を記憶する。
【0059】
機器位置計算部112は、請求項における、位置計算部の一例である。
【0060】
上記の例においては、機器位置計算部112は、計器P2の取付穴S2の位置が取付穴H11〜H24のいずれかの位置と一致するような位置の中から、計器P2の位置を選択した。しかし、機器位置計算部112は、取付穴H11〜H24の位置に関わらず、計器P2の位置を計算してもよい。
【0061】
例えば、機器位置計算部112は、筐体B1の内部空間を比較的細かい空間に区切り、区切られた空間の中心に位置する座標に計器P2を配置したとして、計器P2が筐体B1の内壁又はダクトD1と干渉しないかを判別して、計器P2の位置を計算してもよい。
【0062】
続いて、電線長計算装置1を用いて制御装置P1と計器P2とを電線でつないで配線するために必要となる電線の長さを計算することを考える。
図7に示した電線の長さを計算する処理(ステップS20)の詳細を、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0063】
ステップS10を実行したことにより、制御装置P1及び計器P2の配置及びその候補の位置は、機器位置記憶部134に記憶されている。また、制御装置P1の端子T1の位置及び計器P2の端子T2の位置は、機器情報記憶部132に記憶されている。
そこで、ステップS20において、電線長計算部113は、制御装置P1の位置、計器P2の候補位置、端子T1及び端子T2の位置に基づいて、端子T1から端子T2までの電線の長さを仮想的に計算する。
【0064】
筐体B1の内部空間において、制御装置P1の端子T1から計器P2の端子T2まで、ダクトD1を通して電線を配線する例を考える。
【0065】
まず、電線長計算部113は、データ取得部111を介して、筐体情報記憶部131から筐体情報を取得する(ステップS21)。
この例では、電線長計算部113は、筐体B1の情報を取得する。
【0066】
電線長計算部113は、データ取得部111を介して、機器情報記憶部132から機器情報を取得する(ステップS22)。
これにより、電線長計算部113は、制御装置P1、計器P2の位置、大きさ、端子T1の位置、端子T2の位置、ダクトD1の位置、大きさ、傾き、支柱F1、F2の位置、大きさ、傾き等の情報を取得する。
【0067】
次に、電線長計算部113は、電線の長さの最大値を保持するための変数Lmaxに0を代入して初期化する(ステップS23)。
【0068】
続いて、電線長計算部113は、データ取得部111を介して、機器位置記憶部134から機器位置情報を取得する(ステップS24)。
前述した例によれば、機器位置記憶部134には制御装置P1の位置として座標(5, 120)が記憶されているから、電線長計算部113は、この座標を取得する。
また、機器位置記憶部134には計器P2の候補位置として座標(10, 15)と(30, 15)が記憶されている。電線長計算部113は、まず、1つ目の座標である(10, 15)を取得する。
【0069】
電線長計算部113は、計器P2を1つ目の候補位置に仮想的に配置したと仮定して、端子T1から端子T2に至る経路とその経路の長さを計算する(ステップS25)。
【0070】
まず、電線長計算部113は、端子T1と端子T2とをつなぐ電線を判別する。
具体的には、電線長計算部113は、電線情報記憶部133から、電線の種類、電線の径、電位に関する情報を取得し、端子T1と端子T2をつなぐための条件を満たす電線を判別する。条件を満たす電線が複数ある場合には、別の条件に従い、例えば、電線の径の最も小さいものを判別することにより、一つの電線を判別する。
なお、電線長計算部113は、端子ごとに、接続完了又は未完了の状態、接続可能な電線の最大数、接続済みの電線の数を考慮して、電線を判別してもよい。
【0071】
電線情報記憶部133には、電線の種類を識別する識別符号(ID)と、電線の径、電位に関する情報が記憶されている。
【0072】
電線長計算部113は、制御装置P1、計器P2、支柱F1、支柱F2の位置、大きさ、傾き等から、これらの構造物と干渉せずに端子T1と端子T2を結ぶ経路とその長さを計算する。
具体的には、電線長計算部113は、電線を複数の比較的短い区間に区切り、区切られた区間毎の電線の長さを足し合わせて積分することで、電線全体の長さを求める。そして、電線長計算部113は、この電線全体の長さが最も小さくなる最短経路を検索する。電線長計算部113は、最短経路を計算するにあたり、経路付近にダクトD1がある場合には、電線がダクトD1を通る条件で経路を計算する。
【0073】
なお、電線長計算部113は、電線の屈曲の程度が大きいと判別されるときに、電線の長さに余裕を持たせる調整を行ってもよい。例えば、電線のある点における曲率半径の値が電線の種類に応じて算出される閾値より小さいときに、閾値からの不足分を補正する屈曲に調整し、電線の長さを延長してもよい。
このようにすることで、電線の長さが短いために、その電線を配線した場合に無理な負荷がかかることを防止することができる。
【0074】
また、電線長計算部113は、電線の経路を計算するにあたり、電線同士が交差しないこと、電線の占める空間が閾値を超えないこと等の他の条件を考慮してもよい。
【0075】
電線長計算部113は、このようにして求めた経路の長さを、端子T1から端子T2に至る電線の長さとする。
ここでは、計器P2を(10, 15)に配置した場合の電線の長さが67であるものとする。
【0076】
電線長計算部113は、求めた電線の長さをLmaxと比較する(ステップS26)。
電線の長さがLmaxより大きいならば(ステップS26;Yes)、電線長計算部113は、Lmaxに求めた長さを代入して更新し(ステップS27)、次のステップS28に進む。電線の長さがLmax以下ならば(ステップS26;No)、電線長計算部113は、そのまま次のステップS28に進む。
ステップS25で求めた電線の長さは67であり、これは、Lmaxの値0より大きいから、電線長計算部113は、Lmaxに67を代入して、ステップS28に進む。
【0077】
電線長計算部113は、計算した経路に関する情報を電線経路記憶部135に記憶し、これに対応する電線の長さを電線長記憶部136に記憶する(ステップS28)。
また、電線長計算部113は、電線の種類を表す電線の識別符号(ID)を電線長記憶部136に記憶する。
【0078】
ここまでの処理により、計器P2を1つ目の候補位置に仮想的に配置した場合の電線の経路の計算及び記憶が完了する。
【0079】
このようにして電線長計算部113によって計算された電線の経路の第1の例を図11に示す。
図11は取付穴S2が取付穴H22と一致する位置に計器P2を配置した場合の電線の経路を示す図である。電線は、太線で示されている。
【0080】
再度図10のフローチャートに戻って、計算の続きを説明する。
計器P2を配置する別の候補位置があるため(ステップS29;Yes)、ステップS24に戻る。
【0081】
電線長計算部113は、データ取得部111を介して、機器位置記憶部134から機器位置情報を取得する(ステップS24)。
前述した例によれば、制御装置P1の位置は変わらないので、電線長計算部113は、機器位置記憶部134から制御装置P1の位置として、座標(5, 120)を取得する。
一方で、電線長計算部113は、計器P2の位置として、2つ目の座標である(30, 15)を取得する。
【0082】
電線長計算部113は、計器P2を2つ目の候補位置に仮想的に配置したと仮定して、端子T1から端子T2に至る経路とその長さを計算する(ステップS25)。
ここでは、計器P2を(30, 15)に配置した場合の電線の長さが93であるものとする。
【0083】
ステップS25で求めた電線の長さは93であり、これは、Lmaxの値67より大きいから(ステップS26;Yes)、電線長計算部113は、ステップS27でLmaxに93を代入し、ステップS28に進む。
【0084】
電線長計算部113は、計算した経路に関する情報を電線経路記憶部135に記憶し、これに対応する電線の長さを電線長記憶部136に記憶する(ステップS28)。
また、電線長計算部113は、電線長記憶部136に、電線の種類を表す電線の識別符号(ID)を、電線長記憶部136に記憶する。
【0085】
電線長計算部113が計算した電線の経路の第2の例を図12に示す。
図12は取付穴S2が取付穴H23と一致する位置に計器P2を配置した場合の電線の経路を示す図である。電線は、太線で示されている。
図12では、計器P2の位置が図11に示したものと異なるため、これに対応して電線の経路及び長さも異なることが理解される。
【0086】
これまでの処理で、計器P2を2つ目の候補位置に仮想的に配置した場合の電線の経路の計算が完了する。
計器P2を配置する別の候補位置はないため(ステップS29;No)、ステップS30に進む。
【0087】
ここまでの処理で、Lmaxには、計器P2の2つの候補位置と制御装置P1の位置との2通りの組合せについての電線の長さの最大値が格納されている。
上述の例では、制御装置P1に対して計器P2の取り得る候補の位置を考慮した場合の端子T1と端子T2とをつなぐ電線の長さの最大値は93である。すなわち、計器P2を配置候補のいずれの位置に配置しても、93の長さを有する電線を用いれば、制御装置P1と計器P2とを配線できることが理解される。
電線長計算部113は、このようにして求められたLmaxの値を、出力装置30を用いて表示する(ステップS30)。
【0088】
配置されていない機器がある場合には、電線長計算部113は、以上の処理を繰り返す。このようにして、電線長計算部113は、電線の長さの最大値Lmaxを求め、求めた最大値Lmaxを出力装置30の出力部31に出力して表示する。
【0089】
なお、電線長計算装置1は、電線長の最大値Lmaxとともに、電線情報記憶部133に記憶されている、電線の種類、径、電位等の関連情報を、電線を切断、加工するなどしてハーネスを準備するハーネス準備システムに送信してもよい。
【0090】
電線長計算部113は、電線長の最大値Lmaxを求めたのと同様の方法で電線の長さの最小値Lminを求め、(Lmax−Lmin)を計算することで、電線の長さの余裕分である余長Lexを求めてもよい。
【0091】
ステップS31は、配置されていない別の機器があるか否かを判別するステップである。
電線長計算部113は、制御装置P1、計器P2の他に配置する機器がないことを判別し(ステップS31;No)、電線の長さの計算処理を終了する。別の機器がある場合には(ステップS31;Yes)、電線長計算部113は、ステップS22に戻って、機器情報を取得することから処理を続ける。
【0092】
このようにして、電線長計算部113は、制御装置P1、計器P2の配置の候補の組合せについて、電線の経路を計算し、計算された電線の経路に関する情報である電線経路情報を電線経路記憶部135に記憶する。
【0093】
図11及び図12に示した電線の経路に対応する電線経路情報の具体例を図13に示す。
電線経路情報は、機器を配置する複数の組合せのそれぞれに対して付与される一意の識別符号である候補識別符号(ID)と、1つの電線によってつながれる第1の端子の識別符号(ID)と、第2の端子の識別符号と、電線が経由する経路上にある少なくとも1つの座標データと、を含む。
【0094】
図13に示したように、制御装置P1と計器P2を配置する候補の組合せは2通りあり、それぞれの候補に対応する識別符号が101、102である。
【0095】
この例では、制御装置P1も計器P2もそれぞれ1つしか端子を有しないため、端子T1、T2を示す識別符号は同一である。しかし、1つの機器が2つ以上の端子を有する場合には、それらを区別するため、異なる識別符号が付与される。電線は、第1の端子の識別符号と第2の端子の識別符号との組合せで特定されるので、2つ以上の電線の経路が求められた場合には、1つの候補識別符号につき、複数のデータが記憶される。
【0096】
図14に、電線長記憶部136に記憶される電線の長さの情報の具体例を示す。
電線長情報は、機器を配置する複数の組合せのそれぞれに対して付与される一意の識別符号である候補識別符号(ID)と、1つの電線によってつながれる第1の端子の識別符号(ID)と、第2の端子の識別符号と、電線の長さのデータと、電線の識別符号と、を含む。
【0097】
図14に示したように、候補位置ごとに、電線の長さが記憶される。また、前述したハーネス準備システムによって電線の長さの情報とともに用いられる電線の種類を識別する識別符号として、例えば、311と312が記憶されている。
【0098】
電線長計算装置1によれば、機器の候補位置が複数存在する場合に、どの候補位置に機器を配置しても、機器の端子同士を配線するのに十分である電線の長さが計算される。このため、機器の位置をそれらの候補位置のいずれかに変更する場合には、電線の長さを変更することなく、配線を行うことができる。
【0099】
従って、筐体に搭載する機器の数、位置、形状等を変更する仕様の変更を行っても、これらの機器をつなぐ電線の長さを変更する必要が少なくなるため、電線を製作し直す必要が少なくなり、省資源化に資する。また、複数の電線を束ねたハーネスを異なる制御盤の設計で共通して利用することも比較的容易になる。
【0100】
演算部11の機能は、記憶装置13に記憶されたプログラムを演算部11に実行させることで実現されてもよい。すなわち、記憶装置13に後述する種々の機能を実行するアプリケーションプログラムをインストールしておき、演算部11がインストールされたアプリケーションプログラムを実行することにより、入力装置20又は出力装置30と協働して、筐体に搭載される機器同士をつなぐ電線の配線の設計を支援する各機能部を構成してもよい。
【0101】
以上説明した電線長計算装置1は、搭載するすべての機器について、配置の位置を計算するものであるが、以下で説明する電線長計算装置2は、過去の設計データを利用することで、一部の計算を省略しつつ電線の長さを計算する装置である。
【0102】
(第2の実施の形態)
図15に示すように、電線長計算装置2は、過去に設計した筐体、機器又は電線の情報に関する設計情報を記憶する設計情報記憶部137と、設計情報のうち再利用しようとするものを選択する設計情報選択部115と、を備える。
設計情報選択部115は、演算部11に設けられ、設計情報記憶部137は、記憶装置13に設けられている。
なお、データ取得部111は、請求項における、設計情報取得部の一例である。
【0103】
電線長計算装置2を用いて、予め設計情報記憶部137に記憶されている設計情報を利用して電線の長さを計算する例を説明する。
【0104】
電線長計算装置2を用いて、前述した筐体B1に制御装置P1及び計器P2を配置する例を説明する。
【0105】
図16のフローチャートに示すように、電線長計算装置2は、配置の候補の計算(ステップS10)を実行する前のステップとして、過去の設計データを読み込んで機器の配置を行うステップS40を含む。
【0106】
図18を参照して、ステップS40の詳細を説明する。
まず、設計情報選択部115は、データ取得部111を介して、設計情報記憶部137から、過去に設計した筐体、機器の位置を含む設計情報の一覧を抽出する(ステップS41)。
この例では、過去に設計した制御装置P1、計器P2の位置を含む設計情報を抽出したものとして説明する。
【0107】
設計情報選択部115は、設計情報記憶部137に記憶されている設計情報を抽出する。
【0108】
図17は設計情報記憶部137に記憶されている設計情報の具体例を示す説明図である。
設計情報は、筐体を一意に識別する符号である識別符号(ID)と、その筐体に配置された機器を一意に識別する識別符号と、配置された機器の座標データと、を含む。
図17に示すように、設計識別符号(ID)が一つの設計情報のまとまりに付与され、その設計識別符号について、筐体の識別符号、機器の識別符号及びその機器の座標が記憶されている。このように、設計情報記憶部137には、筐体における機器の相対的な位置が記憶されている。
【0109】
設計情報選択部115は、抽出した設計情報の一覧を出力装置30の出力部31に表示する(ステップS42)。
ユーザは、出力部31の表示を見ながら入力装置20の入力部21を操作して、現在の設計で用いようとする機器の設計情報を選択する。ユーザは、記憶されている設計情報の全部又は一部を選択する。
この例では、ユーザは、図17において設計識別符号が201、202である設計情報を選択したものとする。
【0110】
設計情報選択部115は、選択された設計情報を取得する(ステップS43)。
具体的には、ユーザが制御装置P1及び計器P2に関する設計情報を選択したことを検知して、設計情報選択部115は、識別符号が011である制御装置P1及び識別符号が012である計器P2の設計情報を取得し、これらの識別符号と座標データを、機器位置記憶部134に記憶する(ステップS44)。
【0111】
ステップS44の詳細を説明する。
設計情報選択部115は、機器の座標を参照し、複数の設計で共通しているか否かを判別する。
図17に示すように、機器として識別符号011の制御装置P1と識別符号012の計器P2とがあり、制御装置P1の座標は(5, 120)の1通りしかないが、計器P2の座標は(10, 15)、(30, 15)の2通りある。
従って、設計情報選択部115は、制御装置P1が複数の設計で共通しているものと判別し、制御装置P1の識別符号011と座標データ(5, 120)を機器位置記憶部134に記憶する。
【0112】
また、設計情報選択部115は、計器P2が複数の設計で共通していないものと判別する。
設計情報選択部115は、ユーザによる入力装置20の入力部21への操作を検知して、計器P2の2つの座標データのうち、いずれかを選択する。
設計情報選択部115は、計器P2の識別符号012と、選択された座標データを機器位置記憶部134に記憶する。
【0113】
なお、上記の例と異なり、設計情報選択部115は、ユーザによる入力部21への入力を検知せずに、すべての座標データを候補の位置として、機器位置記憶部134に記憶してもよい。
【0114】
これ以降のステップは、図8に示したステップS10、図10に示したステップS20と同様である。例えば、以下の流れで処理を進める。
図10を再度参照すると、ステップS22で、機器位置計算部112は、機器位置記憶部134に記憶されている制御装置P1と計器P2の位置を取得する。制御装置P1と計器P2の位置の候補を計算する必要がないから、機器位置計算部112は、次のステップS25に進む。
機器位置計算部112は、機器位置記憶部134に記憶された位置を基にして電線の経路と長さを計算する(ステップS25)。
【0115】
設計情報記憶部137は、電線経路情報、すなわち、1つの電線によってつながれる第1の端子の識別符号(ID)と、第2の端子の識別符号と、電線が経由する経路上にある少なくとも1つの座標データと、を含んでいてもよい。このとき、電線長計算部113は、設計情報記憶部137に記載された機器の識別符号、機器の座標、及び電線経路情報に基づいて、電線の長さを以下のように計算してもよい。
【0116】
設計情報記憶部137に記憶された複数の機器の座標が異なるが、接続端子が同じである場合には、電線長計算部113は、それぞれの座標に機器を配置し、電線で配線したときの、電線の長さの最大値を求める。
例えば、図17の例では、識別符号011の制御装置P1は、一つの座標(5, 120)にしか配置されず、識別符号012の計器P2は、異なる2つの座標(10, 15)、(30, 15)のいずれかに配置される。以前の例で示したように、筐体B1に制御装置P1と計器P2を配置する場合に端子T1とT2をつなぐ電線の長さが最大となるのは、計器P2を座標(30, 15)に配置したときであり、このときの電線の長さは93である。
このため、電線長計算部113は、制御装置P1と計器P2とをつなぐ電線の長さとして、93を求める。
【0117】
設計情報記憶部137に記憶された複数の機器の座標が異なり、接続端子も異なる場合には、電線長計算部113は、それぞれの座標に機器を配置し、端子同士を電線で配線することが可能な組合せについて、電線の長さの長さを計算し、その最大値を求める。
【0118】
このように、電線長計算装置2によれば、過去に行われた設計で同じ位置に配置された機器は同じ位置に配置される。このため、複数の設計で同一の位置に配置された機器が複数ある場合には、それらの機器をつなぐ電線の経路及び長さは変わらないことが多い。
従って、経路及び長さが変わらない複数の電線を含むハーネスを標準化すれば、複数の設計で標準化されたハーネスを用いることができる。
【0119】
上述の実施の形態において説明したデータの構造は一例であり、説明した以外のデータを含んでいてもよい。
例えば、設計情報は、機器同士をつなぐ電線の経路の座標データを含んでいてもよい。
【0120】
以上の説明においては、筐体B1の内部空間に制御装置P1、計器P2を配置する例を示したが、本開示の対象は、機器を箱状の固定部材に配置するものに限られない。本開示の対象は、板状の固定部材に機器を配置するもの、例えば、基板上に制御装置P1及び計器P2を配置し、これらに設けられた端子T1、T2を配置するものを含む。
【0121】
本開示は、盤システムの設計に限られない。本開示は、例えば、固定部材に複数の要素を搭載し、それらの要素同士を管、光ファイバ等でつなぎ、情報又はエネルギーを伝送する他の技術にも適用される。
【0122】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0123】
1、2…電線長計算装置、10…情報演算装置、11…演算部、12…通信部、13…記憶装置、20…入力装置、21…入力部、22…通信部、30…出力装置、31…出力部、32…通信部、101…プロセッサ、102…通信装置、103…主記憶部、104…補助記憶部、105…バス、111…データ取得部、112…機器位置計算部、113…電線長計算部、115…設計情報選択部、131…筐体情報記憶部、132…機器情報記憶部、133…電線情報記憶部、134…機器位置記憶部、135…電線経路記憶部、136…電線長記憶部、137…設計情報記憶部、B1…筐体、D1…ダクト、P1…制御装置、P2…計器、F1、F2…支柱、S1、S2、H11、H21〜H24…取付穴、T1、T2…端子。
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