【解決手段】日焼け止め組成物が、(A)極性油、(B)シリコーン油、(C)無機微粉体、及び(D)ポリグリセリン変性シリコーンを含有し、前記(B)シリコーン油の含有量の、前記(A)極性油の含有量に対する比の値が0.01以上0.75以下である。
前記(C)無機微粉体が紫外線散乱剤を含み、前記紫外線散乱剤の含有量が、前記日焼け止め組成物の全量に対して5質量%以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の日焼け止め組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は、下記の実施形態に限定されることはない。
【0010】
<(A)極性油>
(A)極性油は、化粧料に一般に使用される、極性が比較的高い油性成分である。また、以下の例示より明らかであるように、(A)極性油は常温(25℃)で固体であってもよいし、液体であってもよい。
【0011】
本形態による日焼け止め組成物で使用される(A)極性油は、紫外線吸収剤を含んでいてよい。別言すれば、(A)極性油は、紫外線吸収機能を有する極性油(以下、紫外線吸収極性油と呼ぶ場合がある)を含んでいてよい。(A)極性油が紫外線吸収剤を含むことで、日焼け止め組成物の紫外線防御効果を高めることができる。
【0012】
(A)極性油に含まれる紫外線吸収剤(紫外線吸収極性油)は特に限定されないが、例えば、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β−ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4−ジアリールブタジエン誘導体、シリコーン誘導体等が挙げられる。以下に、より具体的な例を列挙する。
【0013】
安息香酸誘導体としては、p−アミノ安息香酸(PABA)エチル、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG−25−PABA、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられる。
【0014】
サリチル酸誘導体としては、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル(サリチル酸オクチル)、ジプロピレングリコールサリチレート、TEAサリチレート等が挙げられる。
【0015】
ケイ皮酸誘導体としては、オクチルメトキシシンナメート(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル、シノキセート、DEAメトキシシンナメート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、グリセリル−エチルヘキサノエート−ジメトキシシンナメート、ジ−(2−エチルヘキシル)−4'−メトキシベンザルマロネート等が挙げられる。
【0016】
ジベンゾイルメタン誘導体としては、ブチルメトキジシベンゾイルメタン(4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン)等が挙げられる。β,β−ジフェニルアクリレート誘導体としては、オクトクリレン等が挙げられる。
【0017】
ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3又はオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12等が挙げられる。
【0018】
ベンジリデンショウノウ誘導体としては、3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等が挙げられる。
【0019】
フェニルベンゾイミダゾール誘導体としては、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等が挙げられる。
【0020】
トリアジン誘導体としては、アニソトリアジン(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4'−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0021】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等が挙げられる。
【0022】
アントラニル誘導体としては、アントラニル酸メンチル等が挙げられる。イミダゾリン誘導体としては、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオナート等が挙げられる。ベンザルマロナート誘導体としては、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。4,4−ジアリールブタジエン誘導体としては、1,1−ジカルボキシ(2,2'−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等が挙げられる。
【0023】
シリコーン誘導体としては、ポリシリコーン−14、ポリシリコーン−15等が挙げられる。
【0024】
上記の紫外線吸収極性油は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、誘導体のベースとなる化合物が異なる複数の紫外線吸収極性油を組み合わせて用いると、広範囲の紫外線防御作用が得られるため、好ましい。例えば、少なくとも、紫外線吸収極性油として、ジベンゾイルメタン誘導体、シリコーン誘導体、トリアジン誘導体、安息香酸誘導体、及びサリチル酸誘導体を組み合わせて用いることができる。そして、例えば、少なくとも、オクトクリレン、ポリシリコーン−15、アニソトリアジン(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、及びサリチル酸エチルヘキシル(サリチル酸オクチル)を組み合わせて使用することが好ましい。なお、上記組合せに含まれる紫外線吸収極性油は、光による安定性が比較的高いことからも好ましい。
【0025】
上述のように、本形態において使用される紫外線吸収極性油の種類は特に限定されない。但し、紫外線吸収剤の種類によっては、継続的に使用した場合に光(紫外線)の影響を受け紫外線吸収作用が低下し得るものもある。よって、光に対する安定性を向上させる観点から、本形態による日焼け止め組成物は、オクチルメトキシシンナメートを3質量%以下で含有することが好ましく、1質量%以下で含有することがより好ましい。また、本形態による日焼け止め組成物は、オクチルメトキシシンナメートを実質的に含まないことが好ましく、全く含有しないことがより好ましい。また、同様に光に対する安定性を向上させる観点から、日焼け止め組成物中のケイ皮酸誘導体である紫外線吸収極性油の含有量が3質量%以下であると好ましく、日焼け止め組成物がケイ皮酸誘導体を実質的に含有しない又は全く含有しないことがより好ましい。
【0026】
なお、本明細書において、「実質的に含まない」又は「実質的に含有しない」とは、組成物全量又は組成物中の所定部分の量に対する含有量が、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下であることを指す。
【0027】
(A)極性油は、紫外線吸収極性油のみを含んでいてもよいし、紫外線吸収極性油と紫外線吸収機能を有さない極性油とを含んでいてもよい。紫外線吸収機能を有さない極性油としては、エステル油、エーテル油、高級脂肪酸、高級アルコール、液体油脂、固体油脂、アミド化合物、高級アミン、トリグリセリド油、糖類等が挙げられ、このうち、塗り広げやすさ及び良好な使用感等を付与できることからエステル油が好適に用いられる。
【0028】
エステル油は、モノエステル、ジエステル、炭酸エステル等であってよい。また、エステル油の具体例として、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸アルキル(C12−15)、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、トリミリスチン酸グリセリル、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、セトステアリルアルコールアセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、パルミチン酸オクチル、イソパルミチン酸オクチル、ピバリン酸イソデシル、炭酸ジカプリリル等が挙げられる。
【0029】
上記のエステル油は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物がエステル油を含有することで、固体状の紫外線吸収剤の溶解を促進させることができる。よって、(A)極性油は、紫外線吸収極性油と、エステル油とを含有することが好ましい。なお、上記のエステル油の具体例として、脂肪族エステル油及び芳香族エステル油の両方を挙げているが、日焼け止め組成物の剤形の安定性を向上できることから、(A)極性油に含まれるエステル油として、脂肪族エステル及び芳香族エステルを両方含むことが好ましい。特に、ミリスチン酸イソプロピル及びセバシン酸ジイソプロピルの少なくとも一方と、安息香酸アルキル(C12‐15)とを組み合わせて用いることが好ましい。
【0030】
高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0031】
高級アルコールの具体例としては、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、及び分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)−2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0032】
また、(A)極性油のIOB値は、紫外線吸収機能の有無に関わらず、好ましくは0.1以上0.5以下、より好ましくは0.1以上0.4以下であってよい。また、紫外線吸収極性油のIOB値は、0.1以上0.3以下であると好ましい。さらに、紫外線吸収機能を有さない極性油、特にエステル油のIOB値は、0.05以上0.8以下であると好ましい。
【0033】
なお、IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、「IOB値=無機性値/有機性値」との式により表される。「無機性値」及び「有機性値」は、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じて決められている。有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁〜第725頁、1957年参照)。
【0034】
(A)極性油の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対し、好ましくは10質量%超、15質量%以上、より好ましくは19質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であってよい。(A)極性油の量を10質量%超とすることで、保湿作用、又はいわゆるオクルージョン作用(閉塞して水分の散逸を防ぐ作用)等を高めることができる。さらに、(A)極性油の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対し、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であってよい。(A)極性油の含有量を50質量%以下とすることで、べたつきを抑え、より良い使い心地(使用感)を得ることができる。
【0035】
(A)極性油のうちの紫外線吸収極性油の含有量は、(A)極性油の全量に対し、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であってよい。また、(A)極性油の全量に対する紫外線吸収極性油の含有量は特に限定されないが、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下であってよい。
【0036】
紫外線吸収極性油の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対し、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってよい。また、紫外線吸収極性油の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対し、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下であってよい。紫外線吸収極性油の含有量が3質量%以上であることで、日焼け止め組成物の紫外線吸収機能を高めることができる。また、紫外線吸収極性油の含有量が35質量%以下であることで、紫外線吸収極性油の日焼け止め組成物中での良好な溶解性を維持できる。
【0037】
(A)極性油の含有量は、日焼け止め組成物中の油性成分の総量に対して、好ましくは10質量%以上90質量%以下、より好ましくは20質量%以上80質量%以下であってよい。
【0038】
なお、日焼け止め組成物中の油性成分の総量は、日焼け止め組成物の全量に対して、好ましくは20質量以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上70質量%以下であってよい。
【0039】
<(B)シリコーン油>
(B)シリコーン油は、揮発性油であってもよいし不揮発性油であってもよい。また、(B)シリコーン油は、25℃での粘度が、1mPa・s以上500mPa・s以下であるものが好ましく、1mPa・s以上100mPa・s以下であるものがより好ましい。
【0040】
(B)シリコーン油の具体例としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ポリシロキサン;3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂;シリコーンゴム;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン;及びアクリルシリコーン等が挙げられる。このうち、配合することにより日焼け止め組成物の良好な触感が得られることから、鎖状ポリロキサンを用いることが好ましく、ジメチルポリシロキサンを用いることがより好ましい。
【0041】
また、本形態による組成物は、環境に配慮して、環状ポリシロキサンを実質的に含まないか、又は全く含まないことが好ましい。特に、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、及びシクロヘキサシロキサンを実質的に含まないか、又は全く含まないことが好ましい。
【0042】
(B)シリコーン油の含有量は、(A)極性油の含有量に応じて選択されることが好ましい。(B)シリコーン油の含有量の(A)極性油の含有量に対する比の値([(B)シリコーン油の含有量]/[(A)極性油の含有量])は、0.01以上0.75以下であってよく、好ましくは0.01以上0.65以下、より好ましくは0.02以上0.55以下、さらに好ましくは0.02以上0.45以下、さらに好ましくは0.02以上0.35以下、さらに好ましくは0.03以上0.25以下であってよい。(B)シリコーン油の含有量の(A)極性油の含有量に対する比の値を上記範囲とすることで、各成分の分散性、特に紫外線吸収剤若しくは紫外線散乱剤又はその両方の分散性が向上し、これにより日焼け止め組成物の紫外線防御作用が向上する。また、広い波長領域にわたる、より具体的には紫外線の波長領域にわたる防御作用を得ることができる。
【0043】
また、(B)シリコーン油の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対し、好ましくは0.1質量%以上20質量%未満、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは0.7質量%以上13質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上10質量%以下であってよい。(B)シリコーン油の含有量を上記範囲とすることで、各成分の分散性、特に紫外線吸収剤若しくは紫外線散乱剤又はその両方の分散性が向上し、これにより日焼け止め組成物の紫外線防御作用が向上する。
【0044】
<(C)無機微粉体>
本形態における(C)無機微粉体は、一次粒子の平均粒径が100nm以下である微粉体である。ここで、平均粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)により撮影した画像に基づく長径の平均径(メジアン径)であってよい。
【0045】
(C)無機微粉体は特に限定されず、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、シリカ、マイカ、セリサイト、カオリン、雲母、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等が挙げられる。また、無機粉体は、雲母チタン等の、酸化チタン以外の粒子を酸化チタンで被覆した複合粉体であってもよい。これらの無機粉体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(C)無機微粉体は、紫外線散乱機能を有する無機微粉体、すなわち紫外線散乱剤であってよい。紫外線散乱機能を有する(C)無機微粉体としては、紫外線散乱機能が高く取扱いが容易であるという観点から、酸化チタン、及び酸化亜鉛の1種以上を好適に用いることができ、特に酸化チタン及び酸化亜鉛を併用することが好ましい。
【0047】
また、(C)無機微粉体は、その粒子表面が疎水化されていてもよい。これにより、(C)無機微粉体を油相に良好に分散させることができる。(C)無機微粉体の疎水化は、無機微粉体の粒子表面に、疎水基を導入するか又は疎水性物質の被覆を形成する疎水化処理によって得ることができる。疎水処理は、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等であってよい。また、疎水化処理における処理剤として、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、トリエトキシカプリリルシラン等のシリコーン、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アルキルリン酸エーテル、フッ素化合物、又はスクワラン、パラフィン等の炭化水素等を使用することができる。
【0048】
(C)無機微粉体の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対し、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは8質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは8質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは8質量%以上22質量%以下、さらに好ましくは8質量%以上20質量%以下とすることができる。(C)無機微粉体の含有量を5質量%以上とすることで、日焼け止め組成物における(C)無機微粉体による紫外線防御機能を向上させることができる。また、(C)無機微粉体の含有量を60質量%以下とすることで、(C)無機微粉体の分散性を良好に維持することができる。
【0049】
なお、日焼け止め組成物を調製する際、疎水化された(C)無機微粉体を、シリコーン油、エステル油、極性油、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール等の油性成分中に分散させて分散液を得て、続いて他の成分と混合することが好ましい。これにより、(C)無機微粉体の分散性を向上させることができ、日焼け止め組成物中で(C)無機微粉体の紫外線散乱機能を良好に発揮させることができる。なお、(C)無機微粉体を油性成分中に分散させて予め分散液を得ておく場合、(C)無機微粉体の分散状態を安定化させるためにゲル化剤を添加することもできる。
【0050】
なお、本形態による日焼け止め組成物は、上述の(C)無機微粉体以外の無機粉体を含有していてもよい。例えば、本形態による日焼け止め組成物は、平均粒径が100nm超の無機粉体を含んでいてもよい。(C)無機微粉体以外の無機粉体としては、例えば、着色、塗布面の審美性向上(光沢付与、色ムラのカバー)等の機能を付与できるものであってよい。
【0051】
<(D)ポリグリセリン変性シリコーン>
(D)ポリグリセリン変性シリコーンは、グリセリン鎖部分とシリコーン鎖部分とを併せ持つ高分子化合物である。グリセリン鎖部分が、無機粉体、特に粒径の小さい(C)無機微粉体に良好に吸着することができるとともに、シリコーン鎖部分が油性成分に良好に溶解することができるので、(D)ポリグリセリン変性シリコーンを用いることで無機粉体を油相中に良好に分散させることができる。
【0052】
(D)ポリグリセリン変性シリコーンは、シリコーン主鎖にポリグリセリン側鎖を導入した化合物であってもよいし、シリコーン鎖とポリグリセリン鎖(ポリエーテル基)とのブロック共重合体であってもよい。本形態で用いられる(D)ポリグリセリン変性シリコーンとしては特に、両末端がシリコーンで変性されたグリセリン又はポリグリセリン(両末端シリコーン変性グリセリン又は両末端シリコーン変性ポリグリセリンという場合がある)であると好ましい。
【0053】
(D)ポリグリセリン変性シリコーンは、下記構造式(1)、好ましくは構造式(2)で表される両末端シリコーン変性グリセリンであってよい。
【0055】
上式中、R1は炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はフェニル基であり、R2は炭素数2〜11のアルキル基であり、mは10〜120、nは1〜11である。
【0057】
式中、R1は炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はフェニル基、mは10〜120、nは1〜11である。
【0058】
(D)ポリグリセリン変性シリコーンの親水親油バランス(HLB)は、0.2〜3.0であると好ましい。なお、HLB値は、Griffinの式(HLB値=グリセリン部分子量×20/総分子量)により算出したものであってよい。また、(D)ポリグリセリン変性シリコーンの分子量は、2000〜20000が好ましい。
【0059】
(D)ポリグリセリン変性シリコーンの具体例としては、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビス−ブチルジメチコンポリグリセリル−3、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ポリグリセリル−3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。これらの(D)ポリグリセリン変性シリコーンは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0060】
上記ポリグリセリン変性シリコーンの市販品としては、信越化学工業社製のKF−6100、KF−6104、KF−6105、KF−6106、KF−6109等が挙げられる。
【0061】
本形態で用いられる(D)ポリグリセリン変性シリコーンとしては、クロスポリマーを構成しない非架橋型のポリグリセリン変性シリコーンが好ましく、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビスブチルジメチコンポリグリセリル−3の1種以上であることがより好ましい。また、(C)無機微粉体を油相中に分散させる機能が特に高いことから、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及びビスブチルジメチコンポリグリセリル−3を1以上用いることが好ましく、ビスブチルジメチコンポリグリセリル−3を用いることがさらに好ましい。
【0062】
(D)ポリグリセリン変性シリコーンの含有量は、日焼け止め組成物の全量に対し、好ましくは0.05質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上4質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上3質量%以下であってよい。(D)ポリグリセリン変性シリコーンの含有量を0.05質量%以上とすることで、(C)無機微粉体の分散性を高め、粘度の過度な上昇等を防止できるため使用感を向上させることができる。5質量%以下とすることで、日焼け止め組成物の乳化系の安定性を良好に維持できる。
【0063】
また、(D)ポリグリセリン変性シリコーンの含有量の上記(C)無機微粉体の含有量に対する比の値([(D)ポリグリセリン変性シリコーンの含有量]/[(C)無機微粉体の含有量])は、好ましくは0.015以上0.6以下、より好ましくは0.03以上0.5以下であってよい。
【0064】
<(E)炭化水素油>
本形態による日焼け止め組成物は、上述の(A)〜(D)の成分に加えて(E)炭化水素油を含有することが好ましい。(E)炭化水素油は、(A)極性油との相溶性が高く、且つ(B)シリコーン油とも相溶性も高い。そのため、(E)炭化水素油を添加することで、本形態による日焼け止め組成物中で(A)極性油と(B)シリコーン油とが良好に混ざり合うことができる。また、(E)炭化水素油の添加により、(C)無機微粉体の分散性も向上させることができる。
【0065】
(E)炭化水素油の具体例としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらの(E)炭化水素油は、単独で又は2種以上組み合わせて用いことができる。但し、(A)極性油及び(B)シリコーン油との相溶性が高いこと、及び得られる日焼け止め組成物の触感を向上させることができることから、イソドデカンを用いることが好ましい。
【0066】
(E)炭化水素の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対して、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上15質量%以下であってよい。(E)炭化水素の含有量を0.5質量%以上とすることで、(A)極性油及び(B)シリコーン油が互いに良好に混ざり合うという効果を一層向上させることができる。(E)炭化水素の含有量を30質量%以下とすることで、日焼け止め組成物の剤形を安定化させることができ、また使用時のべたつきも抑えることができる。
【0067】
<その他の成分>
本形態による日焼け止め組成物は、上述の成分(A)〜(E)に加えて、その他の任意成分を含有していてよい。その他の成分としては、その他の油性成分(すなわち、(A)極性油、(B)シリコーン油、及び(E)炭化水素油以外の油性成分)、水性成分、オイルゲル化剤、界面活性剤、キレート剤、増粘剤等が挙げられる。これらの成分は、本形態により得られる組成物の剤形の安定性向上という効果を妨げない量で添加することができる。
【0068】
その他の油性成分は、特に限定されず、化粧料、医薬部外品等の外用組成物において通常用いられる油性成分とすることができる。極性油以外の油性成分の例としては、ロウ、香料等が挙げられる。
【0069】
水性成分は、化粧料、医薬部外品等の外用組成物において通常用いられる水性成分であれば、特に限定されない。水性成分としては、水、水溶性アルコール、増粘剤、保湿剤、キレート剤、防腐剤、色素等を用いることができる。
【0070】
水としては、精製水、イオン交換水、水道水等を用いることができる。
【0071】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、アルコールアルキルエーテル、アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0072】
低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0073】
多価アルコールとしては、2価アルコール(例えば、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価アルコール(ジグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等)、5価アルコール(キシリトール、トリグリセリン等)、及び6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等)等が挙げられる。
【0074】
オイルゲル化剤の例としては、パルミチン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル;ショ糖カプリル酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;、(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10等のグリセリル脂肪酸エステル;及びその塩又は誘導体が挙げられる。また、オイルゲル化剤は、ジステアルジモニウムヘクトライト、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト等の有機変性粘土鉱物であってもよい。
【0075】
界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等であってよい。このうち、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤成分は、乳化剤として働き、剤形の乳化系の安定性を向上させることができる。
【0076】
ノニオン性界面活性剤は、化粧料、医薬部外品等の外用剤に通常用いられるノニオン性界面活性剤であれば特に限定されない。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、より具体的な例としては、PEG−40水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油、PEG−100水添ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;PEG−3ジメチコン、PEG−9ジメチコン、PEG10−ジメチコン、PEG12−ジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体;ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル等のモノグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;自己乳化型ステアリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
【0077】
界面活性剤の含有量は、日焼け止め組成物の全量に対して、0.5質量%以上8質量%以下であると好ましく、1質量%以上5質量%以下であるとより好ましい。
【0078】
増粘剤としては、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、カラギーナン等)、微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、スクシノグリカン、プルラン等)、動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。また、ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムクロスポリマーのような合成クロスポリマーであってもよい。
【0079】
さらなるその他の成分としては、さらに、酸化防止剤、防腐剤、消炎剤、美白剤、植物抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤等が挙げられる。これらの成分も、本形態による日焼け止め組成物の紫外線防御作用を妨げず且つ日焼け止め組成物の使用性を損ねない量で添加することができる。
【0080】
なお、本形態による組成物は、ポリアミド、ポリエチレン等の樹脂粉体を含む有機粉体を含んでいてもよいが、このような有機粉体を実質的に含まないことが好ましく、有機粉体を全く含まないことがより好ましい。
【0081】
本形態により得られる日焼け止め組成物の剤形は、油中水型であっても水中油型であってもよいが、油中水型であると好ましい。また、本形態による日焼け止め組成物は、ボディ用又は顔用の日焼け止め剤(サンスクリーン)であってもよいし、日焼け止め効果の高い化粧料(例えば、ファンデーション、ベースメイク等の基礎化粧料、メークアップ化粧料等)であってよい。
【0082】
本形態により得られる日焼け止め組成物の粘度は、好ましくは100mPa・s以上100,000mPa・s以下、より好ましくは1,000mPa・s以上40,000mPa・s以下であってよい。粘度が上記の範囲であることで、良好な使用感をもたらすことができ、また使用時に日焼け止め組成物を皮膚上に均一なある程度の厚さで塗布することができるため、高い紫外線防御機能を得ることができる。
【実施例】
【0083】
表1に示す成分を常法によって混合し、実施例1〜5及び比較例1〜4の組成物を調製し、評価した。混合の際には、表1に示す(I)〜(IV)の混合物を予めそれぞれ調製しておき、それらを混合して組成物を得た。
【0084】
得られた組成物を、以下のように評価した。
【0085】
<吸光度の測定>
測定プレート(Sプレート;5×5cmのV溝PMMA板、SPFMASTER−PA01)に各例の日焼け止め組成物を2mg/cm
2の量で滴下し、60秒間指で塗布し、15分間乾燥した後、その吸光度を株式会社日立製作所社製U−3500型自記録分光光度計にて測定した。紫外線吸収のないグリセリンをコントロールとし、吸光度(Abs)を以下の式で算出した。
Abs=−log(T/To)
上式中、Tはサンプルの透過率、Toはグリセリンの透過率を表す。
【0086】
吸光度は、波長280〜400nmの範囲で測定し、ピークトップ及び積算値(面積積分値)を求めた。各例の積算値の結果を表1に示す。
【0087】
<粘度の測定>
得られた組成物を30℃で6時間保存した後、B型粘度計(BL型、ローター3番、12rpm)を用いて、30℃における粘度を測定した。各例の粘度を表1に示す。
【0088】
【表1】
表1における%は、質量%である。
【0089】
図1に、シリコーン油の含有量の極性油の含有量の比の値と吸光度の強度積算量との関係を示す。
【0090】
表1及び
図1より、(B)シリコーン油の含有量の(A)極性油の含有量に対する比の値が0.01以上0.75以下である例では、日焼け止め組成物の吸光度の強度積算値が紫外線領域にわたって高く、紫外線吸収性に優れていることが分かった。
【0091】
また、表1より、異なる種類の分散剤((D)ポリグリセリン変性シリコーン)を同量で配合した実施例1〜3を比較すると、ビスブチルジメチコンポリグリセリル−3を含有する実施例1の吸光度が最も高いことが分かった。なお、(D)ポリグリセリン変性シリコーンに代えてイソステアリン酸を同量含有する比較例4の吸光度は、実施例1〜3よりも劣ることも分かった。
【0092】
さらに、同種同量の分散剤((D)ポリグリセリン変性シリコーン)及び紫外線吸収剤を含有するがジメチコン(シリコーン油)の含有量が異なる実施例1、4及び5並びに比較例2及び3を比較した場合、ジメチコンの量が増加するにつれ、吸光度が小さくなっていくことが分かった。一方、シリコーン油を全く含有しない比較例1も吸光度が小さく、紫外線防御作用が小さいことが分かった。