特開2021-126824(P2021-126824A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-126824(P2021-126824A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/52 20060101AFI20210806BHJP
   B27N 3/00 20060101ALI20210806BHJP
   B29C 43/20 20060101ALI20210806BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20210806BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210806BHJP
   B32B 37/10 20060101ALI20210806BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20210806BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20210806BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20210806BHJP
【FI】
   B29C43/52
   B27N3/00 D
   B29C43/20
   B29C43/34
   B32B27/00 Z
   B32B37/10
   B29K101:12
   B29K105:08
   B29L31:58
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-22817(P2020-22817)
(22)【出願日】2020年2月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】井沢 有希
(72)【発明者】
【氏名】林 勇介
【テーマコード(参考)】
2B260
4F100
4F204
【Fターム(参考)】
2B260AA20
2B260BA01
2B260BA03
2B260BA19
2B260BA30
2B260CD06
2B260CD07
2B260CD10
2B260DA07
2B260DA09
2B260DA10
2B260DA18
2B260DC08
2B260DC10
2B260EA03
2B260EB02
2B260EB04
2B260EC08
4F100AJ02A
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK07A
4F100AK42B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100DG01A
4F100DG15B
4F100EJ202
4F100GB07
4F100GB31
4F100JA04A
4F100JA04B
4F100JA11A
4F204AA03
4F204AA11
4F204AA16
4F204AA23
4F204AA24
4F204AA29
4F204AA32
4F204AA34
4F204AC03
4F204AD05
4F204AD08
4F204AD16
4F204AG03
4F204AH26
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB13
4F204FB22
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
(57)【要約】
【課題】生産効率を向上可能な成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材11とその一面に貼着された表皮材12とを有する成形体の製造方法であって、基材11は、結晶性樹脂を含んでおり、加熱軟化させた基材11と、表皮材12とを冷間プレス機20の下型21と上型22と間にセットするセット工程と、下型21と上型22とを型締めして冷間プレスするプレス工程と、を備え、セット工程では、基材11と下型21との間に表皮材12が介在されるように、下型21の上に表皮材12が載置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材とその一面に貼着された表皮材とを有する成形体の製造方法であって、
前記基材は、結晶性樹脂を含んでおり、
加熱軟化させた前記基材と、前記表皮材と、を冷間プレス機の下型と上型と間にセットするセット工程と、
前記下型と前記上型とを型締めして冷間プレスするプレス工程と、を備え、
前記セット工程では、前記基材と前記下型との間に前記表皮材が介在されるように、前記下型の上に前記表皮材が載置されることを特徴とする成形体の製造方法。
【請求項2】
前記セット工程は、前記表皮材を前記下型の上に載置する第1工程と、前記基材を前記表皮材の上に載置する第2工程と、を有する請求項1に記載の成形体の製造方法。
【請求項3】
前記基材は、植物繊維と、該植物繊維を結着する前記結晶性樹脂とを含む繊維ボードである請求項1又は2に記載の成形体の製造方法。
【請求項4】
前記表皮材は、不織布である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
前記不織布は、前記結晶性樹脂よりも融点の高い樹脂繊維を含む請求項4に記載の成形体の製造方法。
【請求項6】
前記不織布の目付(g/m)は、前記繊維ボードの目付(g/m)よりも低い請求項4又は5に記載の成形体の製造方法。
【請求項7】
前記成形体は、パッケージトレイである請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材とその一面に貼着された表皮材とを有する成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用途を車両内装材等とする成形体は、基材とその一面に貼着された表皮材とを有しており、この基材として、例えば植物繊維を熱可塑性樹脂で結着した繊維ボード等のような熱可塑性樹脂を含むものが用いられている。この成形体は、加熱軟化させた基材と、表皮材とを冷間プレスして、基材及び表皮材を任意の形状に成形するのと同時に、基材に表皮材を貼着して製造される。こうした成形体の製造方法に関する技術として、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−155797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、プレス成形装置の構成について例示されており(図4参照)、プレス成形装置の下型と上型との間に配置される際、基材は下型の上に載せられ、表皮材は上型に取り付けられている。
しかしながら、上述の方法で製造された成形体は、下型と直接的に接触した基材の下面が冷間プレス前から既に冷え始めており、この下面と基材の上面とで冷え方に差があるため、収縮率の差による変形が生じてしまう。特に、基材に含まれる熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂等の結晶性樹脂の場合、収縮率の差による変形が大きくなる。
詳しくは、熱伝導率の高い金属による下型は、基材と直接的に接触されると、該基材の接触面から熱を奪うことで、冷間プレス前に該接触面をいち早く冷やしてしまう。このため、該接触面となる基材の下面と上面とで冷え方に差が生じる。このように下面と上面とで冷え方に差が生じた基材は、下面では結晶化樹脂の結晶化が十分に進行せず、対して上面では結晶化樹脂の結晶化が進行することで、該上面が該下面よりも大きく収縮して、全体的に撓むように変形してしまう。
そして、変形した成形体は、治具等で矯正する作業を必要とするため、こうした作業が生産効率の低下を招いていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、生産効率を向上可能な成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下に示される。
請求項1に記載の成形体の製造方法は、基材とその一面に貼着された表皮材とを有する成形体の製造方法であって、
前記基材は、結晶性樹脂を含んでおり、
加熱軟化させた前記基材と、前記表皮材と、を冷間プレス機の下型と上型と間にセットするセット工程と、
前記下型と前記上型とを型締めして冷間プレスするプレス工程と、を備え、
前記セット工程では、前記基材と前記下型との間に前記表皮材が介在されるように、前記下型の上に前記表皮材が載置されることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記セット工程は、前記表皮材を前記下型の上に載置する第1工程と、前記基材を前記表皮材の上に載置する第2工程と、を有することを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記基材は、植物繊維と、該植物繊維を結着する前記結晶性樹脂とを含む繊維ボードであることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の発明において、前記表皮材は、不織布であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記不織布は、前記結晶性樹脂よりも融点の高い樹脂繊維を含むことを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記不織布の目付(g/m)は、前記繊維ボードの目付(g/m)よりも低いことを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の発明において、前記成形体は、パッケージトレイであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、結晶性樹脂を含む基材とその一面に貼着された表皮材とを有する成形体の製造方法において、変形した成形体を治具等で矯正する作業を省略し、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】本発明の成形体の製造方法を説明する説明図である。
図2】本発明の成形体であるパッケージトレイを示す、(a)は斜視図、(b)は図2(a)中のB−B指示線における断面図、である。
図3】本発明における、(a)は実施例の試料の製造方法を説明する説明図、(b)は比較例の試料の製造方法を説明する説明図、(c)は変形量の測定方法を説明する説明図、である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
本発明は、基材とその一面に貼着された表皮材とを有する成形体を製造する方法であり、図1に示すように、加熱軟化させた基材11と、表皮材12と、を冷間プレス機20の下型21と上型22と間にセットするセット工程と、下型21と上型22とを型締めして冷間プレスするプレス工程と、を備えている。
上記基材11は、結晶性樹脂を含んでいる。
上記セット工程では、基材11と下型21との間に表皮材12が介在されるように、下型21の上に表皮材12が載置される。
【0011】
本発明で製造される成形体は、形状、大きさ、厚さ等について限定されず、用途についても限定されないが、成形体として、例えば、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等の内装材や外装材が挙げられる。
このうち自動車の内装材や外装材として、具体的には、パッケージトレイ、ドア基材、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クォーターパネル、サイドパネル、アームレスト、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。
【0012】
なお、本発明で製造される成形体として、上述したものの他、例えば、建築物、家具等の内装材及び外装材等が挙げられる。
即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等が挙げられる。
【0013】
上述した自動車用内装材のなかでも、図2(a)に示すような、パッケージトレイ10は、サイズの大きな板状物であり、変形しやすく、通常の製造方法では治具等による矯正作業が必要となるため、本発明で製造される成形体として特に有用である。
このパッケージトレイ10(成形体)は、図2(b)に示すように、基材11と、基材11の一面に貼着された表皮材12とを有している。
【0014】
上記基材11は、結晶性樹脂を含んでいるものであれば、特に限定されないが、植物繊維と、該植物繊維を結着する結晶性樹脂とを含む繊維ボードを使用することができる。
この繊維ボードは、軽量且つ高剛性であることから、自動車用内装材の基材の材料として、特に有用である。
【0015】
上記植物繊維は、植物体(幹、茎、枝、葉、根等)から取り出された繊維であり、葉脈系植物繊維、靭皮系植物繊維、木質系植物繊維等を含む。
植物繊維の元となる植物体は限定されず、例えば、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等が挙げられる。これら植物体は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
植物繊維の元となる植物体としては、上述したなかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましく、このなかでも、特にケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維がとりわけ好ましい。
【0016】
植物繊維の具体的な形状は限定されないが、例えば、平均繊維長は10〜200mm(更に20〜170mm、特に25〜150mm、とりわけ30〜90mm)とすることができる。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
また、植物繊維の繊維径についても限定はされないが、例えば、平均繊維径は1〜2500μm(更に10〜2000μm、特に100〜1750μm、とりわけ200〜1500μm)とすることができる。この平均繊維径は、平均繊維長の測定に用いた合計200本の各単繊維の長さ方向の中央における繊維径を、光学顕微鏡を用いて測定した値の平均値である。
【0017】
上記基材11に使用される繊維ボードは、上記結晶性樹脂を、植物繊維同士を結着するもの、つまりバインダ樹脂として含んでいる。この結晶性樹脂の種類は限定されず、周知のものを利用することができる。
結晶性樹脂として、具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0018】
上述のポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
上述のアクリル樹脂としては、メタクリレート、アクリレート等を用いて得られた各種樹脂が挙げられる。
上述のフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体等が挙げられる。
【0019】
本発明の結晶性樹脂としては、上述したなかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。
これらのポリエチレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がエチレンに由来する単位の樹脂である。更に、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体等)、プロピレン・1−ブテン共重合体等のポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がプロピレンに由来する単位の樹脂である。
【0020】
上記バインダ樹脂は、結晶性樹脂のみであってもよいが、極性基を導入して変性された熱可塑性樹脂を含んでもよい。
変性された熱可塑性樹脂(以下、単に「変性熱可塑性樹脂」という)は、上述の各種熱可塑性樹脂が主鎖となり、主鎖に対して変性基が導入された樹脂である。この変性基の種類は限定されないが極性基が好ましい。極性基としては、無水カルボン酸基(−CO−O−OC−)、カルボン酸基(−COOH)、カルボニル基(−CO−)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ニトリル基(−CN)等が挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、無水カルボン酸基、カルボン酸基、カルボニル基のうちの少なくとも1種が好ましく、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が特に好ましい。
【0021】
バインダ樹脂に、結晶性樹脂及び変性熱可塑性樹脂が含まれる場合、これらの樹脂の主鎖は異なってもよいが、同じであることが好ましい。
即ち、結晶性樹脂がポリオレフィン樹脂(非変性ポリオレフィン樹脂)である場合、変性熱可塑性樹脂は変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
バインダ樹脂に、結晶性樹脂及び変性熱可塑性樹脂が含まれる場合、変性熱可塑性樹脂の割合は、結晶性樹脂及び変性熱可塑性樹脂の合計を100質量%として、1〜12質量%であることが好ましく、2〜9質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることが更に好ましく、4〜6質量%であることが特に好ましい。
【0022】
上記繊維ボード(基材11)は、植物繊維及びバインダ樹脂のみからなるものとすることができるが、必要に応じて可塑剤(バインダ樹脂に対する可塑剤)、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、防黴剤、抗菌剤、充填剤、着色剤等の他成分を含むことができる。
繊維ボードに、他成分を含む場合、植物繊維及びバインダ樹脂の合計質量を100質量部とした場合に、他成分の含有量は、通常、0.1〜10質量部である。
【0023】
繊維ボード(基材11)に含まれる植物繊維の総量と、バインダ樹脂の総量との割合は限定されないが、植物繊維の総量とバインダ樹脂の総量との合計を100質量%とした場合に、植物繊維の総量の割合は、10〜90質量%とすることができ、15〜85質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、25〜75質量%がより更に好ましく、30〜70質量%が特に好ましく、35〜65質量%がより特に好ましく、40〜60質量%がとりわけ好ましい。
【0024】
繊維ボード(基材11)の厚さは、特に限定されず、上記成形体の用途等によって適宜の厚さとすることができるが、通常、0.5〜200mm、特に0.5〜80mmとすることができる。繊維ボードの厚さが0.5〜200mmであれば、多くの用途において十分な強度等を有し、且つ軽量な部材として用いることができる。
【0025】
繊維ボード(基材11)の目付は、特に限定されず、例えば、200〜3000g/mとすることができる。この目付は、更に400〜2500g/mであることが好ましく、更に600〜2000g/mであることが好ましく、更に800〜1800g/mであることが好ましい。
【0026】
上記表皮材12は、基材11の一面に貼着されるシート状の部材であり、基材11と貼着可能であれば特に限定されず、例えば、不織布や織布や編布等の布帛、合成皮革や本革等の皮革、樹脂フィルム、木目調シート等を使用することができる。これらのなかでも、本発明の表皮材は、不織布が好ましい。
【0027】
上記不織布は、繊維を交絡させてシート状としたものである。
繊維を交絡させる方法は、特に限定されず、例えば、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンボンド法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、メルトブロー法、スパンレース法、スチームジェット法、ウォーターパンチ法等が挙げられる。
【0028】
不織布に使用される繊維は、特に限定されず、例えば、上述の熱可塑性樹脂(結晶性樹脂)による樹脂繊維、ガラス繊維等の無機繊維、上述の植物繊維や木綿やセルロース繊維等の天然繊維、レーヨン繊維等の半合成繊維などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、樹脂繊維は、本発明の表皮材で不織布に使用されるものとして好ましい。
【0029】
樹脂繊維には、上記繊維ボード(基材11)に使用した上記結晶性樹脂よりも、融点の高いものを使用することが好ましい。例えば、結晶性樹脂として、ポリプロピレン(融点:約170℃)やポリエチレン(融点:95〜140℃)等のポリオレフィン樹脂を使用した場合、樹脂繊維には、ポリエチレンテレフタレート(融点:約260℃)やポリブチレンテレフタレート(融点:232〜267℃)等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂(融点:180〜265℃)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(融点:約290℃)などのポリオレフィン樹脂よりも融点の高いものが使用される。
これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂は、入手容易性やハンドリング性に優れることから、樹脂繊維として好ましい。
樹脂繊維の繊度は、特に限定されず、例えば、4〜16dtexとすることができ、より好ましくは6〜12dtexとすることができる。
【0030】
不織布の目付(g/m)は、特に限定されないが、上記繊維ボードの目付(g/m)よりも低いことが好ましい。目付を繊維ボードよりも低くした不織布は、その内部に繊維ボードよりも多くの空気を含むことで断熱性が高まるため、本発明で表皮材12として基材11と下型21との間に介在させる際、下型21との接触による基材11の温度低下を好適に抑制することができる。
不織布の目付は、具体的に、50〜2000g/mとすることができる。この目付は、更に100〜1800g/mであることが好ましく、更に100〜1000g/mであることが好ましく、更に150〜500g/mであることが好ましい。
不織布(表皮材12)の厚さは、特に限定されず、上記成形体の用途等によって適宜の厚さとすることができるが、通常、0.1〜3.0mm、好ましくは0.2〜2.0mm、より好ましくは0.5〜1.5mm、とすることができる。
【0031】
なお、不織布(表皮材12)は、上記繊維ボードと同様に、必要に応じて可塑剤(樹脂繊維に対する可塑剤)、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、防黴剤、抗菌剤、充填剤、着色剤等の他成分を含むことができる。
【0032】
本発明の冷間プレス機20は、基材11及び表皮材12を冷間プレスする下型21と上型22とを有するものであれば、構成等について特に限定されない。
例えば、図1に示すように、冷間プレス機20は、固定された下型21と、該下型21に対して上下方向に可動する上型22と、を有している。下型21及び上型22は、それぞれ凹凸状の型面を有しており、互いの型面の間で基材11及び表皮材12をプレスすることにより、所定形状の成形体とする。
下型21及び上型22の材質は、特に限定されないが、例えば鉄、アルミニウム、銅、真鍮、ステンレス鋼等といった熱伝導率の高い金属が挙げられる。
【0033】
尚、冷間プレス機20は、上述の構成に限らず、上型22が固定され、下型21が可動する構成としてもよい。
また、上述の説明では便宜上、図1中で下方のものを下型21、上方のものを上型22としたが、下方又は上方に関わらず、本発明では、表皮材12と直接的に接触する型面を有するものを下型21とし、基材11と直接的に接触する型面を有するものを上型22とする。
【0034】
本発明のセット工程は、図1に示すように、基材11と表皮材12とを、冷間プレス機20の下型21と上型22との間にセットする工程である。
また、セット工程は、表皮材12を下型21の上に載置する第1工程と、前記基材を前記表皮材の上に載置する第2工程と、を有することが好ましい(図1参照)。
【0035】
基材11は、上記セット工程の前に、予め加熱軟化されている。この基材11を加熱軟化させる際の加熱温度は、基材11に含まれる結晶性樹脂が全て融解することを抑制しつつ、表皮材12が貼着される一面において少なくとも一部の結晶性樹脂を溶融状態にする観点から、好ましくは、結晶性樹脂の融点以上、より好ましくは、結晶性樹脂の融点以上で該融点より10℃高い温度以下、特に好ましくは、結結晶性樹脂の融点以上で該融点より5℃高い温度以下である。
尚、セット工程では、例えば、予め基材11を加熱軟化する際、その一面に表皮材12を貼着する等の方法でも、表皮材12及び基材11を下型21と上型22との間にセットすることができる。この方法において、表皮材12は基材11と、溶融した結晶化樹脂によって貼着されていてもよく、接着剤等によって貼着されていてもよい。
【0036】
本発明のプレス工程は、図1に示すように、下型21と上型22とを型締めして冷間プレスする工程である。
即ち、プレス工程において、加熱軟化された基材11は、冷間プレスによって所定の冷却温度で冷却され、所定形状に形成される。
また、表皮材12は、加熱軟化された基材11の一面に圧接された際、溶融状態となっている結晶性樹脂が染み込む等することにより、該基材11の一面に貼着される。
そして、このプレス工程により、所定形状に形成された基材11と、その基材11の一面に貼着された表皮材12と、を有する成形体(パッケージトレイ10)が得られる。
【0037】
プレス工程におけるプレス圧は、特に限定されないが、基材11及び表皮材12のハンドリング性や、成形体への好適な加工(賦形)の円滑化の観点から、好ましくは0.2〜0.8MPa、より好ましくは0.25〜0.7MPa、特に好ましくは0.3〜0.6MPaである。
プレス工程における冷却温度は、基材に含まれる結晶化樹脂が1種であればその融点、2種以上であればそれらのうち最も低い融点より、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜140℃、特に好ましくは115〜135℃低い温度である。
【0038】
本発明において、上記セット工程では、基材11と下型21との間に表皮材12が介在されるように、下型21の上に表皮材12が載置される。
このセット工程では、基材11と下型21との間に表皮材12が介在されることにより、加熱軟化された基材11は、下型21との直接的な接触を避けた状態に保たれる。また、セット工程で型開き状態にある上型22は、基材11から離れた位置に配されており、基材11と接触していない。
【0039】
基材11と下型21との間に介在された表皮材12は、所謂、断熱材として機能し、セット工程における基材11から下型21への伝熱を抑える。その結果、セット工程において、基材11は、表皮材12が貼着される一面と、該一面の反対側となる他面とで、温度差が生じることを抑制される。
そして、上記プレス工程では、基材11を、その一面と他面とで略温度差の無い状態から冷却することができ、基材11の一面と他面とで冷え方に差が発生することが防止される。
従って、基材11の一面と他面とで冷え方に差が生じることによる成形体(パッケージトレイ10)の変形が発生せず、変形した成形体(パッケージトレイ10)を治具等で矯正する作業を省略できることから、生産効率を向上させることができる。
【0040】
尚、セット工程における基材11の一面と他面との温度差は、好ましくは20℃未満、より好ましくは18℃以下、さらに好ましくは15℃以下である。この温度差の下限値は0℃である。
また、上記温度差は、基材11の一面の温度と、他面の温度との差の絶対値を示すものとする。
さらに、上記温度差は、プレス工程を実行する直前の状態における温度差であることが好ましい。このプレス工程を実行する直前の状態とは、具体的に、プレス工程の実行時の3分前が好ましく、2分前がより好ましく、1分前が更に好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0042】
〔使用材料〕
[基材]
基材11には、植物繊維と、その植物繊維を結着する結晶性樹脂とを含む繊維ボードを使用した。
植物繊維には、ケナフ繊維を用いた。このケナフ繊維は、ケナフから取り出した靭皮を解繊して得たものであり、平均繊維長は70mmであった。
結晶性樹脂には、ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸して得た、融点170℃、繊度6.6dtexの樹脂繊維を用いた。この樹脂繊維は、裁断により平均繊維長を50mmに揃えた。
上記ケナフ繊維50質量部と、上記樹脂繊維50質量部とを混綿し、その混綿物をエアレイ法で積層して、ニードルパンチ法で交絡させた後、温度200℃及びプレス時間120秒間で加熱し、温度30℃及びプレス時間180秒間で冷却して、繊維ボードを得た。得られた繊維ボードは、目付1500g/m、厚さ2.3mmであった。
【0043】
[表皮材]
表皮材12には、樹脂繊維をニードルパンチ法で交絡させて得られた不織布を使用した。
樹脂繊維には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融紡糸して得た、融点260℃、繊度3.3dtexのものを用いた。
不織布は、目付180g/m、厚さ1.0mmであった。
【0044】
〔実施例〕
[セット工程]
図3(a)に示すように、冷間プレス機20の下型21の上に、表皮材12を載置し、この表皮材12の上に、予め170℃で加熱して軟化させた基材11を載置した。
[プレス工程]
冷間プレス機20の下型21と上型22とを型締めし、冷却温度がポリプロピレン樹脂の融点170℃よりも135℃低い35℃、プレス圧が0.5MPaで冷間プレスして、No.1〜4の試料を得た。
得られたNo.1〜4の試料は、1辺の長さが30cmの正方形状であり、厚さが2.5mmであった。
【0045】
〔比較例〕
[セット工程]
図3(b)に示すように、冷間プレス機20の下型21の上に、予め170℃で加熱して軟化させた基材11を載置し、上型22の下に表皮材12を取り付けた。
[プレス工程]
上記実施例と同様に冷間プレスして、No.5,6の試料を得た。
得られたNo.5,6の試料は、1辺の長さが30cmの正方形状であり、厚さが2.5mmであった。
【0046】
〔評価〕
プレス工程の直前に、No.1〜6の各試料に用いた基材11について、表皮材12が貼着される面を一面とし、その反対側の面を他面として、一面及び他面の温度を測定し、それらの温度差を算出した。その結果を表1に示す。
プレス工程の後、No.1〜6の各試料について、変形量を測定した。この測定は、図3(c)に示すように、試料10Aの一側縁部を載置面Gに押し付けて接触させることにより、他側縁部を載置面Gから浮き上がらせ、この浮き上がらせた他側縁部で基材11の他面Hから載置面Gまでの長さWを測定して行った。また、長さWの測定は、各試料で各辺の中央及び各角部の合計8箇所で行い、これらの中で最も数値が大きいものを変形量とした。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から、以下のことが明らかである。
実施例の各試料は、一面及び他面の温度差が15℃以下であり、変形量は2mm以下であった。
比較例の各試料は、一面及び他面の温度差が80℃を超えており、変形量は4mmを超えていた。
以上から、セット工程で基材11と下型21との間に表皮材12が介在されることにより、基材11の一面と他面とで温度差が生じることが抑制され、この一面と他面とで冷え方の差による基材11の変形が抑えられることが明らかである。
【0049】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、車両及び建材等の広範な製品分野で利用することができ、特に車両の内装材の製造方法として有用であり、例えば、パッケージトレイ等の各種の内装材に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0051】
10;パッケージトレイ、10A;試料、
11;基材、
12;表皮材、
20;冷間プレス機、
21;下型、
22;上型、
G;載置面、H;他面、W;長さ。
図1
図2
図3