特開2021-142847(P2021-142847A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2021142847-タイヤ 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-142847(P2021-142847A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/22 20060101AFI20210827BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210827BHJP
   D06M 15/41 20060101ALI20210827BHJP
   D06M 13/395 20060101ALI20210827BHJP
   D06M 15/693 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   B60C9/22 C
   B60C1/00 Z
   D06M15/41
   D06M13/395
   D06M15/693
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-42218(P2020-42218)
(22)【出願日】2020年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 啓介
【テーマコード(参考)】
3D131
4L033
【Fターム(参考)】
3D131AA28
3D131AA32
3D131BA02
3D131BA11
3D131BC02
3D131BC36
3D131DA55
3D131DA57
4L033AB01
4L033AC12
4L033BA69
4L033CA34
4L033CA68
(57)【要約】      (修正有)
【課題】環境負荷を低減させ、且つ、タイヤ性能を向上させた、タイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ1は、一対のビード部11間にトロイド状に延在するカーカス14と、カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、ベルト層15a,15bと、ベルト層のタイヤ径方向外側に配置された、ベルト補強層16と、を備える、タイヤである。タイヤは、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた、有機繊維コードを有し、タイヤ赤道面CLを中心にタイヤ幅方向の幅が接地端間の長さの2/3のタイヤ幅方向領域をセンター領域R1とし、センター領域よりもタイヤ幅方向外側の接地端間のタイヤ幅方向領域をショルダー領域R2とするとき、センター領域におけるベルト補強層の引張弾性率は、ショルダー領域におけるベルト補強層の引張弾性率に比べて大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスと、
前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、ベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置された、ベルト補強層と、
を備える、タイヤであって、
前記タイヤは、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた、有機繊維コードを有し、
タイヤ赤道面を中心にタイヤ幅方向の幅が接地端間の長さの2/3のタイヤ幅方向領域をセンター領域とし、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側の前記接地端間のタイヤ幅方向領域をショルダー領域とするとき、
前記センター領域における前記ベルト補強層の引張弾性率は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層の引張弾性率に比べて大きいことを特徴とする、タイヤ。
【請求項2】
前記センター領域における前記ベルト補強層の巻き付け張力は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層の巻き付け張力に比べて大きい、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記センター領域における前記ベルト補強層のコードの打ち込み本数は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層のコードの打ち込み本数に比べて多い、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記センター領域における前記ベルト補強層のコードの熱収縮率は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層のコードの熱収縮率に比べて大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記ベルト補強層は、前記有機繊維コードを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記ポリフェノール類は、3つ以上の水酸基を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記アルデヒド類は、芳香環を有するアルデヒド類である、請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記アルデヒド類は、2つ以上のアルデヒド基を有する、請求項7に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類の合計含有量が、3〜30質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記接着剤組成物は、イソシアネート化合物を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記イソシアネート化合物は、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物である、請求項10に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記接着剤組成物は、ゴムラテックスを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記ゴムラテックスは、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項12に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タイヤにおいて、環境負荷を考慮して、レゾルシン及びホルマリンを含有しない接着剤組成物を用いられることが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−255153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、タイヤにおいて、低燃費性等のタイヤ性能の更なる向上が依然として求められている。そのために、特許文献1に記載されているような環境負荷を考慮したタイヤにおいても、タイヤ性能の更なる向上の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、環境負荷を低減させ、且つ、タイヤ性能を向上させた、タイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスと、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、ベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置された、ベルト補強層と、を備える、タイヤであって、前記タイヤは、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた、有機繊維コードを有し、タイヤ赤道面を中心にタイヤ幅方向の幅が接地端間の長さの2/3のタイヤ幅方向領域をセンター領域とし、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側の前記接地端間のタイヤ幅方向領域をショルダー領域とするとき、前記センター領域における前記ベルト補強層の引張弾性率は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層の引張弾性率に比べて大きいことを特徴とする。
かかる構成によれば、タイヤの、環境負荷を低減させ、且つ、タイヤ性能を向上させることができる。
【0007】
本発明に係るタイヤでは、前記センター領域における前記ベルト補強層の巻き付け張力は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層の巻き付け張力に比べて大きいことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤの低燃費性等のタイヤ性能を容易に向上させることができる。
【0008】
本発明に係るタイヤでは、前記センター領域における前記ベルト補強層のコードの打ち込み本数は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層のコードの打ち込み本数に比べて多いことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤの低燃費性等のタイヤ性能を容易に向上させることができる。
【0009】
本発明に係るタイヤでは、前記センター領域における前記ベルト補強層のコードの熱収縮率は、前記ショルダー領域における前記ベルト補強層のコードの熱収縮率に比べて大きいことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤの低燃費性等のタイヤ性能を容易に向上させることができる。
【0010】
本発明に係るタイヤでは、前記ベルト補強層は、前記有機繊維コードを含むことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤの、環境負荷を容易に低減させることができる。
【0011】
本発明に係るタイヤでは、前記ポリフェノール類は、3つ以上の水酸基を有することが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0012】
本発明に係るタイヤでは、前記アルデヒド類は、芳香環を有するアルデヒド類であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0013】
本発明に係るタイヤでは、前記アルデヒド類は、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係るタイヤでは、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類の合計含有量が、3〜30質量%であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0015】
本発明に係るタイヤでは、前記接着剤組成物は、イソシアネート化合物を含むことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0016】
本発明に係るタイヤでは、前記イソシアネート化合物は、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係るタイヤでは、前記接着剤組成物は、ゴムラテックスを含むことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物のゴム部材との接着性を向上させることができる。
【0018】
本発明に係るタイヤでは、前記ゴムラテックスは、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤに含まれる接着剤組成物のゴム部材との接着性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、環境負荷を低減させ、且つ、タイヤ性能を向上させた、タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤの、タイヤ幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るタイヤについて、図面を参照して説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0022】
以下、特に断りのない限り、各要素の位置関係等は、タイヤを適用リムであるホイールのリムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で測定されるものとする。また、タイヤを適用リムであるホイールのリムに装着し、タイヤに規定内圧を充填し、最大荷重を負荷した状態で、路面と接する接地面のタイヤ幅方向の幅を、タイヤの接地幅といい、当該接地面のタイヤ幅方向の両端を接地端という。以下、タイヤの内腔には、空気が充填され、自動車等の車両に装着されるものとして説明する。
【0023】
本明細書において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指すが、これらの産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に上述の産業規格に含まれ得るサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられ得る。
【0024】
本明細書において、「規定内圧」とは、上述したJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、上述した産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。また、本明細書において、「最大荷重」とは、上述した産業規格に記載されている適用サイズのタイヤにおける最大負荷能力に対応する荷重、又は、上述した産業規格に記載のないサイズの場合には、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重を意味する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ1をタイヤ幅方向に沿って切断した、タイヤ幅方向断面図が示されている。本明細書において、タイヤ幅方向とは、タイヤ1の回転軸と平行な方向をいう。タイヤ径方向とは、タイヤ1の回転軸と直交する方向をいう。タイヤ周方向とは、タイヤ1の回転軸を中心にタイヤが回転する方向をいう。本実施形態において、タイヤ1は、タイヤ赤道面CLに対して対称な構成であるものとして説明する。しかしながら、タイヤ1は、タイヤ赤道面CLに対して非対称な構成とされてもよい。
【0026】
本明細書において、タイヤ径方向に沿ってタイヤ1の回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」と称し、タイヤ径方向に沿ってタイヤ1の回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」と称する。一方、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」と称し、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と称する。
【0027】
図1に示されるように、タイヤ1は、一対のビード部11と、一対のサイドウォール部12と、トレッド部13とを有している。サイドウォール部12は、トレッド部13とビード部11との間に延在している。サイドウォール部12は、ビード部11のタイヤ径方向外側に位置している。
【0028】
本明細書において、トレッド部13は、路面と接することとなる踏面を有する。トレッド部13の踏面の接地面のうち、タイヤ赤道面CLを中心に、タイヤ幅方向の幅が接地端E間の長さの2/3のタイヤ幅方向領域をセンター領域R1といい、センター領域R1よりもタイヤ幅方向外側の接地端E間のタイヤ幅方向領域の各々をショルダー領域R2という。
【0029】
一対のビード部11は、ビードコア11aと、ビードフィラ11bと、をそれぞれ有している。図1において一部拡大して示されるように、ビードコア11aは、周囲をゴムにより被覆された複数のビードワイヤ11cを備える。本実施形態では、ビードワイヤ11cは、例えば、スチールコードで構成されている。しかしながら、ビードワイヤ11cは、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードで構成されていてもよい。本実施形態で用いられる接着剤組成物及び有機繊維コードについては、その詳細を後述する。ビードワイヤ11cを形成するコードは、例えば、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。ビードフィラ11bは、ゴム等で構成され、ビードコア11aに対してタイヤ径方向外側に位置している。本実施形態では、ビードフィラ11bは、タイヤ径方向外側に向けて厚みが減少している。ただし、タイヤ1は、ビードフィラ11bを設けない構造とされていてもよい。ビード部11は、タイヤ1をリムに装着したときに、タイヤ径方向内側及びタイヤ幅方向外側においてリムに接するように構成されている。
【0030】
タイヤ1は、カーカス14を有している。カーカス14は、一対のビード部(図示例ではビードコア11a)間にトロイド状に延在して、タイヤの骨格を形成している。カーカス14の端部側はビードコア11aに係止されている。具体的には、カーカス14は、ビードコア11a間に配置されたカーカス本体部14aと、ビードコア11aの周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されているカーカス折返し部14bと、を有している。カーカス折返し部14bの長さは、任意とすることができる。また、カーカス14は、カーカス折返し部14bを有していない構造、或いはカーカス折返し部14bをビードコア11aに巻きつけている構造とすることができる。
【0031】
カーカス14は、1層以上のカーカス層によって構成される。本実施形態では、カーカス14は、1層のカーカス層によって構成されているが、タイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された2層以上のカーカス層によって構成されていてもよい。図1において一部拡大して示されるように、カーカス層は、1本又は複数本のカーカスコード14cと、カーカスコード14cを被覆する被覆ゴム14rと、を含む。本実施形態において、カーカスコード14cは、トレッド部13においてタイヤ幅方向に延在するように配置されている。即ち、本実施形態において、カーカス14は、ラジアル構造とされる。しかしながら、カーカス14は、バイアス構造とされてもよい。
【0032】
カーカス14のカーカス層を構成するカーカスコード14cは、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードである。本実施形態で用いられる接着剤組成物及び有機繊維コードについては、その詳細を後述する。カーカスコード14cは、例えば、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
【0033】
タイヤ1は、トレッド部13を補強するベルト15を有している。ベルト15は、カーカス14のクラウン域のタイヤ径方向外側に配置されている。本実施形態では、ベルト15は、トレッド部13において、カーカス14を覆うように設けられている。しかしながら、ベルト15は、トレッド部13とサイドウォール部12の一部とに亘って設けられていてもよい。
【0034】
ベルト15は、タイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された1層以上のベルト層によって構成される。本実施形態では、ベルト15は、タイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された2層のベルト層15a及び15bで構成されている。しかしながら、ベルト15は、1層又は3層以上のベルト層で構成されていてもよい。
【0035】
図1において一部拡大して示されるように、ベルト層15a及び15bの各々は、1本以上のベルトコード15cと、ベルトコード15cを被覆する被覆ゴム15rとを含む。本実施形態では、ベルト層15a及び15bの各々において、複数本のベルトコード15cが、タイヤ周方向に対して所定の角度をなすように配列されている。ベルト15は、ベルト層15aのベルトコード15cと、ベルト層15bのベルトコード15cとが、タイヤ赤道面CLを挟んで互いに交差するように積層された交差ベルトである。
【0036】
ベルト15のベルト層15a及び15bを構成するベルトコード15cは、本実施形態では、例えば、スチールコードで構成されている。しかしながら、ベルトコード15cは、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードで構成されていてもよい。本実施形態で用いられる接着剤組成物及び有機繊維コードについては、その詳細を後述する。ベルトコード15cは、例えば、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
【0037】
タイヤ1は、ベルト15を補強する、1層以上のベルト補強層16を有している。ベルト補強層16は、ベルト15のタイヤ径方向外側に配置されている。本実施形態では、ベルト補強層16は、トレッド部13において、ベルト15のタイヤ幅方向全幅を覆うように構成されている。しかしながら、ベルト補強層16は、トレッド部13とサイドウォール部12の一部とに亘って設けられていてもよい。図示例では、ベルト補強層16のタイヤ幅方向端は、接地端Eのタイヤ幅方向位置と略同位置にあるが、タイヤ幅方向内側又は外側とすることもできる。本実施形態では、タイヤ1は、1層のベルト補強層16を有している。しかしながら、タイヤ1は、タイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された2層以上のベルト補強層16を有していてもよい。
【0038】
図1において一部拡大して示されるように、ベルト補強層16は、1本以上のコード16aと、コード16aを被覆する被覆ゴム16rとを含む。本実施形態では、ベルト補強層16において、複数のコード16aが、タイヤ周方向と略平行に配列されている。
【0039】
ベルト補強層16を構成するコード16aは、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードである。本実施形態で用いられる接着剤組成物及び有機繊維コードについては、その詳細を後述する。コード16aは、例えば、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
【0040】
センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率に比べて大きい。
【0041】
本実施形態では、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1は、特には限定されないが、例えば、0.5〜13(GPa/mm)であることが好ましい。ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2は、特には限定されないが、引張弾性率E1より小さい範囲で、例えば、0.3〜10(GPa/mm)であることが好ましい。また、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2の、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1に対する比(引張弾性率E2/引張弾性率E1)は、1未満で任意に定められていてもよい。引張弾性率E2の引張弾性率E1に対する比を小さくすることで、タイヤ1の低燃費性が向上する。一方で、引張弾性率E2の引張弾性率E1に対する比を大きくすることで、タイヤ1の直進安定性及び高速耐久性が向上する。タイヤ1の低燃費性の向上に加え、タイヤ1の直進安定性及び高速耐久性の向上の観点から、引張弾性率E2の引張弾性率E2に対する比は、例えば、1/1.1〜1/3であることが好ましく、1/1.5〜1/2.0であることがより好ましい。
【0042】
ベルト補強層16の引張弾性率は、例えば、以下の方法で測定される。はじめに、未走行で新品状態の空気入りタイヤからコードを傷つけることなくベルト補強層を取り出す。この際、ベルト補強層のコードに付着している余分なゴムをはさみ等によって注意深く除去する。さらに、JIS(L1017)に従ってオートグラフ(島津製作所)にて室温(25℃±2℃)で引張荷重−伸度曲線を描く。この荷重−伸度曲線の荷重軸を引張前のコードの総デテックス(dtex)数で除した値に換算し、応力−伸度曲線に書き直す。続いて、この曲線図の7.94mN/dtex(0.9g/d)の荷重点に接線を引き、その接線の傾きを求める。この値(前記傾き)に(0.981×有機繊維の比重)を乗じた値がここでいうコードの引張弾性率である。
【0043】
センター領域R1におけるベルト補強層16の任意の場所から引き抜いたコードの弾性率に、センター領域R1の保護層に存在するコードの本数を掛け、センター領域R1の幅で除した数値をセンター領域R1における引張弾性率とする(GPa/mm)。同様に、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の任意の場所から引き抜いたコードの弾性率に、ショルダー領域R2の保護層に存在するコードの本数を掛け、ショルダー領域R2の幅で除した数値を引張弾性率とする(GPa/mm)。
【0044】
ベルト補強層16のセンター領域R1の引張弾性率をショルダー領域R2の引張弾性率に比べて大きくするために、ベルト補強層16は以下の構成とされていてもよい。
【0045】
例えば、センター領域R1におけるベルト補強層16の巻き付け張力は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の巻き付け張力に比べて大きくてもよい。
【0046】
本実施形態では、センター領域R1におけるベルト補強層16の巻き付け張力T1は、特には限定されないが、例えば、10〜20N/cordであることが好ましい。ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の巻き付け張力T2は、特には限定されないが、巻き付け張力T1より小さい範囲で、例えば、3〜7N/cordであることが好ましい。また、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の巻き付け張力T2の、センター領域R1におけるベルト補強層16の巻き付け張力T1に対する比(巻き付け張力T2/巻き付け張力T1)は、1未満で任意に定められていてもよい。なお、センター領域R1の一部又は全部の領域において、ショルダー領域R2の全部又は一部の領域よりも、ベルト補強層16の巻き付け張力が大きいことにより、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1をショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2に比べて大きくすることができる。
【0047】
ベルト補強層16の巻き付け張力は、例えば、市販のテンションメーターで測定したものをコード1本あたりの数字に換算することで測定される。
【0048】
センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数に比べて多くてもよい。
【0049】
本実施形態では、センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数N1は、特には限定されないが、例えば、50〜80本/50mmであることが好ましい。ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数N2は、特には限定されないが、打ち込み本数N1より少ない範囲で、例えば、25〜50本/50mmであることが好ましい。また、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数N2の、センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数N1に対する比(打ち込み本数N2/打ち込み本数N1)は、1未満で任意に定められていてもよい。打ち込み本数N2の打ち込み本数N1に対する比は、例えば、0.5〜0.9であることが好ましく、0.7〜0.8であることがより好ましい。なお、センター領域R1の一部又は全部の領域において、ショルダー領域R2の全部又は一部の領域よりも、ベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数が多いことにより、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1をショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2に比べて大きくすることができる。
【0050】
センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率に比べて大きくてもよい。
【0051】
本実施形態では、センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率H1は、特には限定されないが、例えば、3〜8%であることが好ましい。ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率H2は、特には限定されないが、熱収縮率H1より小さい範囲で、例えば、2〜5%であることが好ましい。また、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率H2の、センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率H1に対する比(熱収縮率H2/熱収縮率H1)は、1未満で任意に定められていてもよい。熱収縮率H2の熱収縮率H1に対する比は、例えば、0.5〜0.8であることが好ましい。なお、センター領域R1の一部又は全部の領域において、ショルダー領域R2の全部又は一部の領域よりも、ベルト補強層16のコード16aの熱収縮率が大きいことにより、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1をショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2に比べて大きくすることができる。
【0052】
コード16aの熱収縮率は、例えば、ディップ処理後のコード16aのディップ反を対象に、JIS L1017(B法)に準拠して、50gの荷重をかけて、オーブン中で177℃、2分の乾熱処理を行ない、熱処理前後のコード長を計測して求めることができる。
【0053】
センター領域R1におけるベルト補強層16の層数は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の層数に比べて多くてもよい。かかる場合、センター領域R1の全域においてベルト補強層16の層数をショルダー領域R2におけるベルト補強層16の層数よりも多くすることもでき、或いは、センター領域R1の一部の領域においてベルト補強層16の層数をショルダー領域R2におけるベルト補強層16の層数よりも多くすることもできる。
【0054】
センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1をショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2よりも大きくするための構成は、上述した例に限られない。例えば、センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aとショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aとの、コード径、ヤング率、及び材料等の少なくとも1つを変えることで、引張弾性率E1を引張弾性率E2よりも大きくしてもよい。即ち、例えば、巻き付け張力、打ち込み本数、熱収縮率、層数、コード径、ヤング率、及び材料等の少なくとも1つを調整して、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1をショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2より大きくすることができる。これらを調整することにより、センター領域R1全体における引張弾性率をショルダー領域R2全体における引張弾性率より大きくすることが十分に可能であるため、ベルト補強層16のタイヤ幅方向端は、接地端Eよりタイヤ幅方向内側にあっても良い。
【0055】
上述のとおり、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率E1を、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率E2に比べて大きくすることによって、車両の走行時におけるタイヤ1の矩形率が大きくなり(ショルダー領域R2の接地長/センター領域R1の接地長)、タイヤ1の低燃費性が向上する。
【0056】
タイヤ1は、インナーライナー17を有している。インナーライナー17は、タイヤ1の内壁面を覆うように配置されている。インナーライナー17は、タイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された複数のインナーライナー層によって構成され得る。本実施形態では、インナーライナー17は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成されている。しかしながら、インナーライナー17は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマで構成されていてもよい。
【0057】
上述した、タイヤ1の構成において、カーカスコード14c、ベルトコード15c、及びベルト補強層16のコード16aが、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードであるものとして説明した。しかしながら、タイヤ1は、上述した構成に限られず、タイヤ部材のいずれか1つ以上のコードとして当該有機繊維コードを有する構成であればよい。例えば、タイヤ1は、カーカスコード14c、ベルトコード15c、ベルト補強層16のコード16a、及びその他のタイヤ部材のコードの少なくとも1つとして、当該有機繊維コードを有する構成とされてもよい。いずれのタイヤ部材として上述した有機繊維コードを用いた場合であっても、レゾルシンを含まないため、タイヤ1の、環境負荷を低減させることができる。
【0058】
(接着剤組成物)
以下に、本発明に係るタイヤ1で用いられる、有機繊維コード等のコードにコーティングされる接着剤組成物について説明する。本発明に係る接着剤組成物は、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む。タイヤ1において、カーカス14、ベルト15、又はベルト補強層16等に用いられるコードをコーティングする接着剤組成物が、特定のポリフェノール類及びアルデヒド類を含有するもので構成されることで、環境への負荷を考慮してレゾルシンを用いない場合であっても、良好な接着性を実現できる。
【0059】
(ポリフェノール類)
接着剤組成物は、樹脂成分としてポリフェノール類を含む。接着剤組成物中にポリフェノール類を含むことで、樹脂組成物の接着性を高めることができる。ここで、ポリフェノール類は、水溶性のポリフェノール類であり、レゾルシン(レゾルシノール)以外のポリフェノールであれば限定はされない。ポリフェノール類において、芳香族環の数、又は水酸基の数は、適宜選択されてもよい。
【0060】
ポリフェノール類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2個以上の水酸基を有することが好ましく、3つ以上の水酸基を有することがより好ましい。3つ以上の水酸基を含むことにより、水分を含む接着剤組成物液にポリフェノールあるいはポリフェノールの縮合物は水溶する。これによって、ポリフェノール類は、接着剤組成物内に均一して分布できるので、より優れた接着性を実現できる。さらに、ポリフェノール類が、複数個(2個以上)の芳香環を含むポリフェノールの場合、それらの芳香環では、各々、2個又は3個の水酸基がオルト、メタ又はパラ位に存在する。
【0061】
上述した3つ以上の水酸基を有するポリフェノール類として、例えば以下に示すポリフェノール類が挙げられる。
フロログルシノール:
【化1】
モリン(2’,4’,3,5,7−ペンタヒドロキシフラボン):
【化2】
フロログルシド(2,4,6,3,’5’−ビフェニルペントール):
【化3】
【0062】
(アルデヒド類)
接着剤組成物は、上述したポリフェノール類に加えて、樹脂成分としてアルデヒド類を含む。接着剤組成物中にアルデヒド類を含有することで、上述したポリフェノール類と共に高い接着性を実現できる。ここで、アルデヒド類は、特に限定はされず、要求される性能に応じて、適宜選択されてもよい。本発明では、アルデヒド類には、アルデヒド類が発生源であるアルデヒド類の誘導体も含まれる。
【0063】
アルデヒド類として、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロラール、ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド等のモノアルデヒド、或いは、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド等の脂肪族ジアルデヒド類、芳香族環を有するアルデヒド、ジアルデヒドデンプンなどが挙げられる。これらのアルデヒド類は、一種単独で用いられてもよく、或いは複数種を混合して用いられてもよい。
【0064】
アルデヒド類は、芳香族環を有するアルデヒド類を含有することが好ましい。より優れた接着性を得ることができるためである。アルデヒド類は、ホルムアルデヒドを含まないことが好ましい。本発明において、ホルムアルデヒドを含まないことは、例えば、アルデヒド類の総質量に基づくホルムアルデヒドの質量含有量が0.5質量%未満であることである。
【0065】
芳香環を有するアルデヒド類は、1分子内に、少なくとも1つの芳香環を含み、少なくとも1つのアルデヒド基を有する、芳香族アルデヒドである。芳香環を有するアルデヒド類は、環境への負荷が少なく、且つ、優れた機械的強度、電気絶縁性、耐酸性、耐水性、耐熱性等を備えた、比較的安価な樹脂を形成することができる。
【0066】
芳香族環を有するアルデヒド類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。アルデヒド類が、複数のアルデヒド基により架橋し、縮合することによって、熱硬化性樹脂の架橋度を高くすることができるため、接着性をより高めることができる。さらに、アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する場合、1つの芳香族環において、2つ以上のアルデヒド基が存在することがより好ましい。各アルデヒド基は、1つの芳香族環において、オルト、メタ又はパラの位置に存在することができる。
【0067】
このようなアルデヒド類として、例えば、1,2−ベンゼンジカルボキサルデヒド、1,3−ベンゼンジカルボキサルデヒド、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド、2−ヒドロキシベンゼン−1,3,5−トリカルボアルデヒド、或いはこれらの化合物の混合物等が挙げられる。
【0068】
これらの中でも、より優れた接着性を実現できる観点から、芳香族環を有するアルデヒド類として、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒドを少なくとも用いることが好ましい。
【化4】
【0069】
芳香族環を有するアルデヒド類には、ベンゼン環を有するものだけでなく、複素芳香族化合物も含まれる。複素芳香族化合物であるアルデヒド類として、例えば、以下に示すようなフラン環を有するアルデヒド類が挙げられる。
【化5】
(式中、Xは、Oを含み;Rは、−Hまたは−CHOを示す。)
【0070】
上記のフラン環を有するアルデヒド類として、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化6】
(記式中、Rは、−Hまたは−CHO;R1、R2及びR3は、それぞれ、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール又はシクロアルキル基を示す。)
【0071】
接着剤組成物では、ポリフェノール類及びアルデヒド類が縮合された状態であり、ポリフェノール類と芳香環を有するアルデヒド類との質量比(芳香環を有するアルデヒド類の含有量/ポリフェノール類の含有量)が、0.1以上、3以下であることが好ましく、0.25以上、2.5以下であることがより好ましい。ポリフェノール類と芳香環を有するアルデヒド類との間で起こる縮合反応の生成物である樹脂の硬度、接着性がより適したものになるからである。
【0072】
また、接着剤組成物中の、ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類の合計含有量は、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。作業性等を悪化させることなく、より優れた接着性を確保できるためである。ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類の質量比並びに合計含有量は、乾燥物の質量(固形分比)である。
【0073】
(イソシアネート化合物)
接着剤組成物は、上述したポリフェノール類及びアルデヒド類に加えて、イソシアネート化合物をさらに含むことが好ましい。ポリフェノール類及びアルデヒド類との相乗効果によって、接着剤組成物の接着性を大きく高めることができる。
【0074】
ここで、イソシアネート化合物は、接着剤組成物の被着体である樹脂材料(例えば、ポリフェノール類及びアルデヒド類を縮合させたフェノール/アルデヒド樹脂)への接着を促進させる作用を有する化合物であって、極性官能基としてイソシアネート基を有する化合物である。
【0075】
イソシアネート化合物は、特に限定はされないが、接着性をより向上できる観点から、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。本発明に係る接着剤組成物がイソシアネート化合物を含むことによって、被着体繊維と接着剤組成物との界面近傍の位置に(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族が分布し、接着促進効果が得られる。この効果により、接着剤組成物の、有機コードとの接着がより高度化し得る。
【0076】
(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、(ブロックド)イソシアネート基を有する芳香族化合物である。「(ブロックド)イソシアネート基」は、ブロックドイソシアネート基又はイソシアネート基を意味し、イソシアネート基の他、イソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じたブロックドイソシアネート基、イソシアネート基に対するブロック化剤と未反応のイソシアネート基、又はブロックドイソシアネート基のブロック化剤が解離して生じたイソシアネート基等を含む。
【0077】
さらに、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含むことが好ましく、芳香族類がメチレン結合した分子構造を含むことがより好ましい。芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、又はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物等にみられる分子構造が挙げられる。
【0078】
(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物として、例えば、芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤を含む化合物、ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物、或いは水性ウレタン化合物等が挙げられる。
【0079】
芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤とを含む化合物として、ジフェニルメタンジイソシアネートと公知のイソシアネートブロック化剤を含むブロックドイソシアネート化合物等が好適に挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物として、ジフェニルメタンジイソシアネート又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを、イソシアネート基をブロックする公知のブロック化剤でブロックした反応生成物が挙げられる。具体的には、エラストロンBN69(第一工業製薬(株)製)、エラストロンBN77(第一工業製薬(株)製)又はメイカネートTP−10(明成化学工業(株)製)等の市販のブロックドポリイソシアネート化合物を用いることができる。
【0080】
水性ウレタン化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造、好ましくは芳香族類がメチレン結合した分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させて得られる。水性ウレタン化合物(F)は、その可撓性のある分子構造から、接着改良剤としての作用のみならず、可撓性のある架橋剤として接着剤の高温時流動化を抑止する作用も有する。「水性」は、水溶性または水分散性であることを意味する。「水溶性」は、必ずしも完全な水溶性を意味するのではなく、部分的に水溶性であること、或いは本発明の接着剤組成物の水溶液中で相分離しないことを意味する。
【0081】
ここで、水性ウレタン化合物(F)として、例えば、下記一般式(I):
【化7】
(式中、Aは芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)の活性水素が脱離した残基を示し、Yはイソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)の活性水素が脱離した残基を示し、Zは化合物(δ)の活性水素が脱離した残基を示し、Xは複数の活性水素を有する化合物(β)の活性水素が脱離した残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である。)で表される水性ウレタン化合物が好ましい。
【0082】
芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)として、メチレンジフェニルポリイソシアネート、又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。複数の活性水素を有する化合物(β)は、好ましくは2〜4個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化合物である。かかる化合物(β)として、(i)2〜4個の水酸基を有する多価アルコール類、(ii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を有する多価アミン類、(iii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と水酸基を有するアミノアルコール類、(iv)2〜4個の水酸基を有するポリエステルポリオール類、(v)2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール類、及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vi)2〜4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリオール類、及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vii)2〜4個の水酸基を有するポリエーテルポリオール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミノアルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C3以上の多価アルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C2〜C4のアルキレンオキサイド共重合物、又はC3〜C4のアルキレンオキサイド重合物等が挙げられる。
【0083】
イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)は、熱処理によりイソシアネート基を遊離することが可能な化合物であり、公知のイソシアネートブロック化剤が挙げられる。
【0084】
化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水素とアニオン性及び/又は非イオン性の親水性基を有する化合物である。少なくとも1つの活性水素とアニオン性の親水基とを有する化合物として、例えば、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシン、又はアラニン等のアミノカルボン酸類等が挙げられる。一方、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親水基とを有する化合物として、例えば、親水性ポリエーテル鎖を有する化合物類が挙げられる。
【0085】
本発明の接着剤組成物における、イソシアネート化合物の含有量は、特に限定はされないが、より確実に優れた接着性を確保する観点から、5〜65質量%の範囲であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。イソシアネート化合物の含有量は、乾燥物の質量(固形分比)である。
【0086】
(ゴムラテックス)
本発明の接着剤組成物は、上述したポリフェノール類、アルデヒド類及びイソシアネート化合物に加えて、実質的にはゴムラテックスをさらに含むことができる。これによって、接着剤組成物は、ゴム部材との接着性をより高めることができる。
【0087】
ここで、ゴムラテックスとして、特に限定はされず、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)、又はビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)等の合成ゴムが挙げられる。これらのゴム成分は、一種単独で用いられてもよく、或いは複数種をブレンドして用いられてもよい。
【0088】
ゴムラテックスは、イソシアネート化合物を配合する前に、フェノール類及びアルデヒド類と混合させることが好ましい。本発明の接着剤組成物中のゴムラテックスの含有量は、20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。
【0089】
なお、有機繊維コード用接着剤組成物の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、ポリフェノール類、アルデヒド類、及びゴムラテックス等の原材料を混合し、熟成する方法、又は、ポリフェノール類とアルデヒド類とを混合して熟成した後に、ゴムラテックスをさらに加えて熟成する方法、等が挙げられる。製造方法は、原材料にイソシアネート化合物が含まれる場合、ゴムラテックスを加え、熟成した後に、イソシアネート化合物を加える方法とされてもよい。なお、多環芳香族炭化水素、アルデヒド類、ゴムラテックス及びイソシアネート化合物の構成及び含有量等は、上述した本発明の接着剤組成物の中で説明した内容と同様である。
【0090】
(有機繊維コード)
本発明に係るタイヤ1は、接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードを有している。接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードは、被覆ゴム等のゴム部材と接着し、ゴム−有機繊維コード複合体を形成している。得られたゴム−有機繊維コード複合体は、本発明に係る接着剤組成物を用いているため、環境への負荷が小さい。
【0091】
ここで、本発明のタイヤにおいて、ゴム−有機繊維コード複合体は、例えば、カーカス14、ベルト15、又はベルト補強層16等として用いることが可能である。これらの中でも、ゴム−有機繊維コード複合体は、カーカス14及び/又はベルト補強層16に用いられることが好ましい。接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードの環境への負荷低減及び、有機繊維とゴム部材との優れた接着性等を、より効果的に発揮できるためである。
【0092】
なお、ゴム−有機繊維コード複合体において、接着剤組成物は、有機繊維コードの少なくとも一部を覆っていればよいが、ゴムと有機繊維コードとの接着性をより向上できる点からは、本発明の接着剤組成物が有機繊維コードの全面にコーティングされていることが好ましい。
【0093】
有機繊維コードの材料は、特に限定はされず、用途によって適宜選択されてもよい。有機繊維コードの材料として、例えば、ポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、又は4,6−ナイロン等の脂肪族ポリアミド繊維コード、ポリケトン繊維コード、或いは、パラフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド繊維コードに代表される、合成樹脂繊維材料が使用されてもよい。
【0094】
有機繊維コードの形態として、特に限定されず、モノフィラメント、又は、複数の単繊維フィラメントを撚り合わせてなる有機繊維コードが使用されてもよい。この場合の単繊維フィラメントの平均径は、ゴム物品に十分に高い補強性をもたらす観点から、2μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、また、50μm以下であることが好ましい。また、有機繊維コードは、簾状であってもよい。
【0095】
有機繊維コードは、低速及び高温時の操縦安定性と、高速耐久性とを高いレベルで両立する観点から、2種の有機繊維からなるフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードであってもよい。
【0096】
さらに、高速耐久性をより向上させる観点から、ハイブリッドコードは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が0.20cN/dtex以上であることが好ましく、0.25〜0.40cN/dtexの範囲内であることがより好ましい。
【0097】
さらに、低速及び高温時の操縦安定性をより向上させる観点から、ハイブリッドコードは、25℃における1%歪時の引張弾性率が60cN/dtex以下、特には35〜50cN/dtexであることが好ましく、25℃における3%歪時の引張弾性率が30cN/dtex以上、特には45〜70cN/dtexであることが好ましい。
【0098】
ハイブリッドコードに用いる2種の有機繊維として、特に制限されるものではないが、剛性の高い有機繊維として、レーヨン、又はリヨセルなどが挙げられ、熱収縮率の高い有機繊維として、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等、ナイロン、又はポリケトン(PK)等が挙げられる。より好適には、ハイブリッドコードに用いる2種の有機繊維として、レーヨン又はリヨセルと、ナイロンとの組み合わせを用いることができる。
【0099】
なお、上述した有機繊維を用いたハイブリッドコードの熱収縮応力及び引張弾性率を調整する方法として、ディップ処理時における張力を制御する方法が挙げられる。例えば、高い張力を掛けながらディップ処理を行うことで、コードの熱収縮応力の値を大きくすることができる。すなわち、各有機繊維において固有の物性値範囲はあるものの、ディップ処理条件を制御することにより、その範囲内で物性値を調整して、所望の物性を有するハイブリッドコードを得ることができる。
【0100】
有機繊維コードは、例えば、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。有機繊維コードは、撚り線である場合、縦糸、即ちコードの延在方向に略平行な糸のみで構成されることが好ましい。これによって、有機繊維コードが縦糸と横糸とで構成される場合に比べて、縦糸と横糸との繊維の擦れ合いによる対疲労性の低下を抑制することができる。
【0101】
以上述べたように、本発明の一実施形態に係るタイヤ1は、一対のビード部11間にトロイド状に延在するカーカス14と、カーカス14のクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、ベルト層15a又は15bと、ベルト層15a又は15bのタイヤ径方向外側に配置された、ベルト補強層16と、を備える、タイヤである。タイヤ1は、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされた、有機繊維コードを有し、タイヤ赤道面CLを中心にタイヤ幅方向の幅が接地端E間の長さの2/3のタイヤ幅方向領域をセンター領域R1とし、センター領域R1よりもタイヤ幅方向外側の接地端E間のタイヤ幅方向領域をショルダー領域R2とするとき、センター領域R1におけるベルト補強層16の引張弾性率は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の引張弾性率に比べて大きいことを特徴とする。かかる構成を有するタイヤ1によれば、接着剤組成物にレゾルシン及びホルマリンが含まれず環境負荷を低減させることができるとともに、低燃費性等のタイヤ性能を向上させることができる。
【0102】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、センター領域R1におけるベルト補強層16の巻き付け張力は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16の巻き付け張力に比べて大きいことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1の低燃費性等のタイヤ性能を容易に向上させることができる。
【0103】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの打ち込み本数に比べて多いことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1の低燃費性等のタイヤ性能を容易に向上させることができる。
【0104】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、センター領域R1におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率は、ショルダー領域R2におけるベルト補強層16のコード16aの熱収縮率に比べて大きいことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1の低燃費性等のタイヤ性能を容易に向上させることができる。
【0105】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、ベルト補強層16は、有機繊維コードを含むことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1の環境負荷を容易に低減させることができる。
【0106】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、ポリフェノール類は、3つ以上の水酸基を有することが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0107】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、アルデヒド類は、芳香環を有するアルデヒド類であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0108】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、アルデヒド類は、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0109】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、ポリフェノール類及びアルデヒド類の合計含有量が、3〜30質量%であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0110】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、接着剤組成物は、イソシアネート化合物を含むことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0111】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、イソシアネート化合物は、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物の接着性を向上させることができる。
【0112】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、接着剤組成物は、ゴムラテックスを含むことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物のゴム部材との接着性を向上させることができる。
【0113】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、ゴムラテックスは、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1に含まれる接着剤組成物のゴム部材との接着性を向上させることができる。
【0114】
本発明を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本発明に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態又は各実施例に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態又は他の実施例に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0115】
例えば、本明細書において、車両は、自動車であるものとして説明した。しかしながら、車両には、乗用車、トラック、バス、及び二輪車等の自動車に加え、トラクター等の農業用車両、ダンプカー等の工事用又は建設用車両、自転車、並びに車いす等の、タイヤ1によって移動可能な任意の車両であってもよい。
【0116】
また、例えば、本明細書において、タイヤ1は、空気が充填されるものとして説明した。例えば、タイヤ1には、窒素等の気体を充填することができる。また、例えば、タイヤ1には、気体に限らず、液体、ゲル状物質、又は粉粒体等を含む、任意の流体を充填することができる。
【0117】
また、例えば、本明細書において、タイヤ1は、インナーライナー17を備えるチューブレスタイヤであるものとして説明した。しかしながら、例えば、タイヤ1は、チューブを備えるチューブタイプタイヤであってもよい。
【0118】
また、例えば、本明細書において、タイヤ1の加硫方法は記載されていないが、タイヤ1は、加硫ブラダ内にスチーム等の高温高圧の媒体を充填することにより未加硫タイヤを加硫して生成されてもよく、或いは、加硫ブラダ内の加硫媒体を電気ヒーターで加熱することにより未加硫タイヤを加硫して生成されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1:タイヤ、 11:ビード部、 11a:ビードコア、 11b:ビードフィラ、 11c:ビードワイヤ、 12:サイドウォール部、 13:トレッド部、 14:カーカス、 14a:カーカス本体部、 14b:カーカス折り返し部、 14c:カーカスコード、 14r:被覆ゴム、 15:ベルト、 15a、15b:ベルト層、 15c:ベルトコード、 15r:被覆ゴム、 16:ベルト補強層、 16a:コード、 16r:被覆ゴム、 17:インナーライナー、 CL:タイヤ赤道面、 E:接地端、 R1:センター領域、 R2:ショルダー領域
図1