特開2021-142852(P2021-142852A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-142852(P2021-142852A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20210827BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20210827BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210827BHJP
   D02G 3/48 20060101ALI20210827BHJP
   D02G 3/40 20060101ALI20210827BHJP
   D06M 15/41 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   B60C7/00 H
   B60C9/00 G
   B60C1/00 Z
   D02G3/48
   D02G3/40
   D06M15/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-42227(P2020-42227)
(22)【出願日】2020年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 智江
【テーマコード(参考)】
3D131
4L033
4L036
【Fターム(参考)】
3D131AA32
3D131AA37
3D131BB01
3D131BB06
3D131BC36
3D131CC03
3D131DA66
3D131KA03
4L033AA07
4L033AA08
4L033AB01
4L033AC11
4L033CA34
4L033CA68
4L036MA04
4L036MA37
4L036PA26
4L036RA24
4L036UA25
(57)【要約】
【課題】環境への負荷を低減できるタイヤを、提供する。
【解決手段】本発明のタイヤ10は、車軸に取り付けられる、取付け体11と、取付け体に外装される内筒体12、及び、該内筒体をタイヤ径方向外側から囲繞する外筒体13を、有する、リング部材14と、内筒体と外筒体との間にタイヤ周方向に沿って配置され、内筒体及び外筒体どうしを連結する、複数の連結部材15と、外筒体のタイヤ径方向外側に設けられた、トレッド部材16と、接着剤被覆有機繊維コード71と、を備えた、タイヤであって、接着剤被覆有機繊維コードは、有機繊維コード72に、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物73がコーティングされてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸に取り付けられる、取付け体と、
前記取付け体に外装される内筒体、及び、該内筒体をタイヤ径方向外側から囲繞する外筒体を、有する、リング部材と、
前記内筒体と前記外筒体との間にタイヤ周方向に沿って配置され、前記内筒体及び前記外筒体どうしを連結する、複数の連結部材と、
前記外筒体のタイヤ径方向外側に設けられた、トレッド部材と、
接着剤被覆有機繊維コードと、
を備えた、タイヤであって、
前記接着剤被覆有機繊維コードは、有機繊維コードに、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされてなる、タイヤ。
【請求項2】
前記タイヤは、前記外筒体のタイヤ径方向外側かつ前記トレッド部材のタイヤ径方向内側に、1層又は複数層の補強層を有しており、
前記補強層は、
前記接着剤被覆有機繊維コードと、
前記接着剤被覆有機繊維コードを被覆する、被覆エラストマーと、
を有している、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記複数の連結部材は、タイヤ周方向に沿って配置された、複数の第1弾性連結板を含む、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記複数の第1弾性連結板は、それぞれ、前記外筒体に連結された一端部が、前記内筒端に連結された他端部よりも、タイヤ周方向の一方側に位置する、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記複数の連結部材は、タイヤ周方向に沿って配置された、複数の第2弾性連結板をさらに含んでおり、
前記複数の第2弾性連結板は、前記複数の第1弾性連結板からタイヤ幅方向に離れた位置にある、請求項3又は4に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記複数の第2弾性連結板は、それぞれ、前記外筒体に連結された一端部が、前記内筒端に連結された他端部よりも、タイヤ周方向の他方側に位置する、請求項5に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記複数の連結部材は、それぞれ、タイヤ幅方向に対し平行な方向を向いている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記複数の連結部材は、それぞれ、タイヤ幅方向に対し斜めの方向を向いている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項9】
互いに隣接する複数の前記連結部材が、タイヤ幅方向に対して互いに反対方向に斜めの角度をなしている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項10】
互いに隣接する複数の前記連結部材が、タイヤ径方向に対して互いに反対方向に斜めの角度をなし、タイヤ赤道面内でジグザグをなしている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記複数の連結部材が、互いに交差してタイヤ赤道面内でXを繰り返すパターンをなしている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記複数の連結部材が、タイヤ径方向に圧縮された時に容易に湾曲するような曲率をタイヤ赤道面内に有する、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記複数の連結部材が、複数の第1連結部材及び複数の第2連結部材を含み、
前記複数の第1連結部材がタイヤ幅方向に対して平行な方向を向き、
前記複数の第2連結部材がタイヤ幅方向に対して直角な方向を向いている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項14】
前記タイヤは、前記外筒体のタイヤ径方向外側かつ前記トレッド部材のタイヤ径方向内側に、剪断層を、さらに有しており、
前記剪断層の剪断弾性率に対する前記補強層の縦方向引張り弾性係数の比が、少なくとも約100:1である、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項15】
前記接着剤被覆有機繊維コードが、タイヤ周方向に対して約10°〜45°の角度をなす、請求項1〜14のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項16】
前記有機繊維コードは、2種の有機繊維からなるフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードである、請求項1〜15のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項17】
前記接着剤組成物が、さらにゴムラテックスを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項18】
前記接着剤組成物が、さらにイソシアネート化合物を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項19】
前記ポリフェノール類は、3つ以上の水酸基を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項20】
前記アルデヒド類は、2つ以上のアルデヒド基を有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項21】
前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物である、請求項18に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤとして、コードを備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−238019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のタイヤにおいては、環境への負荷に関し、改善の余地があった。
【0005】
この発明は、環境への負荷を低減できるタイヤを提供することを、目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタイヤは、
車軸に取り付けられる、取付け体と、
前記取付け体に外装される内筒体、及び、該内筒体をタイヤ径方向外側から囲繞する外筒体を、有する、リング部材と、
前記内筒体と前記外筒体との間にタイヤ周方向に沿って配置され、前記内筒体及び前記外筒体どうしを連結する、複数の連結部材と、
前記外筒体のタイヤ径方向外側に設けられた、トレッド部材と、
接着剤被覆有機繊維コードと、
を備えた、タイヤであって、
前記接着剤被覆有機繊維コードは、有機繊維コードに、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む接着剤組成物がコーティングされてなる。
本発明のタイヤによれば、環境への負荷を低減できる。
【0007】
本発明のタイヤにおいて、
前記タイヤは、前記外筒体のタイヤ径方向外側かつ前記トレッド部材のタイヤ径方向内側に、1層又は複数層の補強層を有しており、
前記補強層は、
前記接着剤被覆有機繊維コードと、
前記接着剤被覆有機繊維コードを被覆する、被覆エラストマーと、
を有していると、好適である。
これにより、トレッド部材の強度を向上できる。
【0008】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の連結部材は、タイヤ周方向に沿って配置された、複数の第1弾性連結板を含むと、好適である。
【0009】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の第1弾性連結板は、それぞれ、前記外筒体に連結された一端部が、前記内筒端に連結された他端部よりも、タイヤ周方向の一方側に位置してもよい
【0010】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の連結部材は、タイヤ周方向に沿って配置された、複数の第2弾性連結板をさらに含んでおり、
前記複数の第2弾性連結板は、前記複数の第1弾性連結板からタイヤ幅方向に離れた位置にあってもよい。
【0011】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の第2弾性連結板は、それぞれ、前記外筒体に連結された一端部が、前記内筒端に連結された他端部よりも、タイヤ周方向の他方側に位置してもよい。
【0012】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の連結部材は、それぞれ、タイヤ幅方向に対し平行な方向を向いていてもよい。
【0013】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の連結部材は、それぞれ、タイヤ幅方向に対し斜めの方向を向いていてもよい。
【0014】
本発明のタイヤにおいて、
互いに隣接する複数の前記連結部材が、タイヤ幅方向に対して互いに反対方向に斜めの角度をなしていてもよい。
【0015】
本発明のタイヤにおいて、
互いに隣接する複数の前記連結部材が、タイヤ径方向に対して互いに反対方向に斜めの角度をなし、タイヤ赤道面内でジグザグをなしていてもよい。
【0016】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の連結部材が、互いに交差してタイヤ赤道面内でXを繰り返すパターンをなしていてもよい。
【0017】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の連結部材が、タイヤ径方向に圧縮された時に容易に湾曲するような曲率をタイヤ赤道面内に有してもよい。
【0018】
本発明のタイヤにおいて、
前記複数の連結部材が、複数の第1連結部材及び複数の第2連結部材を含み、
前記複数の第1連結部材がタイヤ幅方向に対して平行な方向を向き、
前記複数の第2連結部材がタイヤ幅方向に対して直角な方向を向いていてもよい。
【0019】
本発明のタイヤにおいて、
前記トレッド部は、剪断層を、さらに有しており、
前記剪断層の剪断弾性率に対する前記補強層の縦方向引張り弾性係数の比が、少なくとも約100:1であると、好適である。
【0020】
本発明のタイヤにおいて、
前記補強層の前記接着剤被覆有機繊維コードが、タイヤ周方向に対して約10°〜45°の角度をなすと、好適である。
【0021】
本発明のタイヤにおいては、
前記有機繊維コードは、2種の有機繊維からなるフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードであると、好適である。
【0022】
本発明のタイヤにおいては、
前記接着剤組成物が、さらにゴムラテックスを含むと、好適である。
これにより、接着剤被覆有機繊維コードと被覆エラストマーとの接着性を向上できる。
【0023】
本発明のタイヤにおいては、
前記接着剤組成物が、さらにイソシアネート化合物を含むと、好適である。
これにより、接着剤被覆有機繊維コードと被覆エラストマーとの接着性を向上できる。
【0024】
本発明のタイヤにおいては、
前記ポリフェノール類は、3つ以上の水酸基を有すると、好適である。
これにより、接着剤被覆有機繊維コードと被覆エラストマーとの接着性を向上できる。
【0025】
本発明のタイヤにおいては、
前記アルデヒド類は、2つ以上のアルデヒド基を有すると、好適である。
これにより、接着剤被覆有機繊維コードと被覆エラストマーとの接着性を向上できる。
【0026】
本発明のタイヤにおいては、
前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であると、好適である。
これにより、接着剤被覆有機繊維コードと被覆エラストマーとの接着性を向上できる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、環境への負荷を低減できるタイヤを、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤの構成を模式的に示す、タイヤ側面から見た説明図である。
図2図1の一部を拡大して示す説明図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るタイヤにおける、連結部材により連結された内筒体と外筒体を示し、図3(a)は正面図、図3(b)は斜視図である。
図4】荷重下にあるときの本発明の第3実施形態に係るタイヤを、タイヤ赤道面で切断した断面図である。
図5】本発明の任意の実施形態に係るタイヤを、子午線面で切断した断面図である。
図6】連結部材のXパターン配置を示す、タイヤ赤道面で見た断面図である。
図7】連結部材のジグザグパターン配置を示す、タイヤ赤道面で見た断面図である。
図8】連結部材の斜軸パターン配置を、軸線へ向かってタイヤ径方向から見た図面である。
図9】連結部材の山形配置を、軸線へ向かってタイヤ径方向から見た図面である。
図10】連結部材がタイヤ周方向とタイヤ幅方向に交互に整合した配置を、タイヤ回転軸線へ向かってタイヤ径方向から見た図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を参照しつつ、この発明に係るタイヤの実施形態を例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0030】
〔タイヤ〕
まず、本発明の第1実施形態に係る、タイヤについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るタイヤの構成を模式的に示す、タイヤ側面から見た説明図であり、また、図2は、図1の一部を拡大して示す説明図である。本実施形態のタイヤ10は、非空気入りタイヤである。
なお、図2では、理解し易いように、後述する複数の第1弾性連結板21及び複数の第2弾性連結板22のうち、それぞれ一つの第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のみを、実線で強調して描いている。
【0031】
図1及び図2に示すように、本実施形態のタイヤ10は、車軸(図示しない)に取り付けられる取付け体11と、取付け体11に外装される内筒体12、及び、内筒体12をタイヤ径方向の外側から囲繞する外筒体13を、有する、リング部材14と、内筒体12と外筒体13との間にタイヤ周方向に沿って配置された、内筒体12及び外筒体13どうしを連結する、複数の連結部材15と、外筒体13のタイヤ径方向外側に設けられたトレッド部材16と、後述の接着剤被覆有機繊維コード71(図5)と、を備える。トレッド部材16は、加硫ゴムからなると、好適である。
ここで、取付け体11、内筒体12、外筒体13、及びトレッド部材16は、それぞれ共通軸と同軸に、また、タイヤ幅方向の中央部を互いに一致させて配置されており、この共通軸を軸線O、軸線Oに直交する方向をタイヤ径方向、軸線O回りに周回する方向をタイヤ周方向という。
【0032】
取付け体11は、車軸の先端部が装着される装着筒部17と、装着筒部17をタイヤ径方向の外側から囲繞する外リング部18と、装着筒部17と外リング部18とを連結する複数のリブ19とを具えている(図1,2参照)。
装着筒部17、外リング部18、及びリブ19は、例えばアルミニウム合金等の金属材料で一体的に形成されている。装着筒部17及び外リング部18はそれぞれ、円筒状に形成され軸線Oと同軸に配設されている。また、複数のリブ19は、周方向に同等の間隔をあけて配置されている。
【0033】
本実施形態において、複数の連結部材15は、リング部材14における内筒体12と外筒体13とを互いに連結する複数の第1弾性連結板21及び複数の第2弾性連結板22を具えている。ただし、後述するように、複数の連結部材15は、複数の第1弾性連結板21のみを具えていてもよい。第1弾性連結板21は、一方のタイヤ幅方向の位置にタイヤ周方向に沿って複数配置され、第2弾性連結板22は、一方のタイヤ幅方向の位置とは異なる他方のタイヤ幅方向の位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されている。第1弾性連結板21と第2弾性連結板22は、合わせて、例えば60個設けられている。
【0034】
即ち、第1弾性連結板21は、タイヤ幅方向における同一の位置にタイヤ周方向に沿って複数配置され、第2弾性連結板22は、第1弾性連結板21からタイヤ幅方向に離れた同一のタイヤ幅方向の位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されている。
なお、複数の連結部材15は、リング部材14における内筒体12と外筒体13との間において、軸線Oを基準に軸対称となる位置に各別に配置されている。また、全ての連結部材15は、互いに同形同大となっている。さらに、連結部材15のタイヤ幅方向幅は、外筒体13のタイヤ幅方向幅より小さくなっている。
【0035】
そして、タイヤ周方向で隣り合う第1弾性連結板21同士は、互いに非接触とされ、タイヤ周方向で隣り合う第2弾性連結板22同士も、互いに非接触となっている。さらに、タイヤ幅方向で隣り合う第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22同士も、互いに非接触となっている。
なお、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のそれぞれのタイヤ幅方向幅は、互いに同等になっている。また、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のそれぞれのタイヤ側面視における厚さも、互いに同等になっている。
【0036】
ここで、第1弾性連結板21の内、外筒体13に連結された一端部21aは、内筒体12に連結された他端部21bよりもタイヤ周方向の一方側に位置し、第2弾性連結板22の内、外筒体13に連結された一端部22aは、内筒体12に連結された他端部22bよりもタイヤ周方向の他方側に位置している。
また、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22の各一端部21a,22aは、外筒体13の内周面において、タイヤ幅方向の位置を互いに異ならせて、タイヤ周方向における同一の位置に連結されている。
【0037】
図示例では、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のそれぞれにおいて、一端部21a,22aと他端部21b,22bとの間に位置する中間部分21c,22cに、タイヤ周方向に湾曲する湾曲部21d〜21f,22d〜22fが、このタイヤ10をタイヤ幅方向から見たタイヤ側面視で、弾性連結板21,22が延びる方向に沿って複数形成されている。両弾性連結板21,22のそれぞれにおいて、複数の湾曲部21d〜21f,22d〜22fの内、前述の延びる方向で互いに隣り合う各湾曲部21d〜21f,22d〜22fの湾曲方向は、互いに逆向きになっている。
【0038】
第1弾性連結板21に形成された複数の湾曲部21d〜21fは、タイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲した第1湾曲部21dと、第1湾曲部21dと一端部21aとの間に位置し、且つタイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲した第2湾曲部21eと、第1湾曲部21dと他端部21bとの間に位置し、且つタイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲した第3湾曲部21fと、を有している。
【0039】
第2弾性連結板22に形成された複数の湾曲部22d〜22fは、タイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲した第1湾曲部22dと、第1湾曲部22dと一端部22aとの間に位置し、且つタイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲した第2湾曲部22eと、第1湾曲部22dと他端部22bとの間に位置し、且つタイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲した第3湾曲部22fと、を有している。
図示例では、第1湾曲部21d,22dは、第2湾曲部21e,22e及び第3湾曲部21f,22fよりも、タイヤ側面視の曲率半径が大きくなっている。なお、第1湾曲部21d,22dは、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22の延びる方向における中央部に配置されている。
【0040】
更に、両弾性連結板21,22の各長さは、互いに同等とされている。また、両弾性連結板21,22の各他端部21b,22bは、図2に示すように、タイヤ側面視で、内筒体12の外周面において、各一端部21a,22aとタイヤ径方向で対向する位置から軸線Oを中心にタイヤ周方向における他方側及び一方側にそれぞれ同じ角度(例えば20°以上135°以下)ずつ離れた各位置に、各別に連結されている。また、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のそれぞれの第1湾曲部21d,22d同士、第2湾曲部21e,22e同士、並びに第3湾曲部21f,22f同士は、互いに、タイヤ周方向に突となる向きが逆で、かつ大きさが同等になっている。
【0041】
これにより、各連結部材15のタイヤ側面視の形状は、図2において実線で強調して描いた、一組の第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22に示すように、タイヤ径方向に沿って延在し、且つ両弾性連結板21,22の各一端部21a,22aを通る仮想線Lに対して線対称となっている。
また、両弾性連結板21,22のそれぞれにおいて、図2に示すように、タイヤ側面視で、前述した延びる方向の中央部から一端部21a,22aにわたる一端側部分は、中央部から他端部21b,22bにわたる他端側部分よりも厚さが大きくなっている。これにより、連結部材15の重量の増大を抑えたり、連結部材15の柔軟性を確保したりしながら、第1、第2弾性連結板21,22において大きな負荷がかかり易い一端側部分の強度を高めることができる。なお、これらの一端側部分と他端側部分とは段差なく滑らかに連なっている。
【0042】
なお、リング部材14は、タイヤ幅方向の一方側に位置する一方側分割リング部材と、タイヤ幅方向の他方側に位置する他方側分割リング部材とに、例えばタイヤ幅方向の中央部で分割されていてもよい。この場合、一方側分割リング部材は第1弾性連結板21と、他方側分割リング部材は第2弾性連結板22と、それぞれ一体に形成してもよく、更に、一方側分割リング部材及び第1弾性連結板21、並びに、他方側分割リング部材及び第2弾性連結板22は、それぞれ射出成形により一体に形成してもよい。
リング部材14は、内筒体12が取付け体11に外嵌された状態で、取付け体11に固定されている。
【0043】
次に、内筒体12と外筒体13同士を連結する連結部材15の他の例を示す。
図3は、他の例による連結部材15により連結された内筒体12と外筒体13を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。図3に示すように、複数の連結部材15は、複数の第1弾性連結板21のみを含む。連結部材23を構成する第1弾性連結板21は、内筒体12と外筒体13の間にタイヤ周方向に沿って複数配置され、両筒体12,13同士を連結している。その他の構成及び作用は、図1図2の例の連結部材15と同様である。
【0044】
なお、上記においては、図面を参照して、タイヤ10が非空気入りタイヤである場合について説明したが、本発明のタイヤは、非空気入りタイヤに限定されるものではなく、空気入りタイヤであってもよい。
【0045】
本発明の各実施形態におけるタイヤ10は、例えば図5に一部拡大して示すように、接着剤被覆有機繊維コード71を備えている。
接着剤被覆有機繊維コード71は、有機繊維コード72に、接着剤組成物73がコーティングされてなるものである。すなわち、接着剤被覆有機繊維コード71は、有機繊維コード72と接着剤組成物73とからなる。
有機繊維コード72は、有機繊維から構成される。
接着剤組成物73は、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含む。接着剤組成物73の詳細については、後に説明する。接着剤組成物73は、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含むので、環境への負荷を考慮してレゾルシンを用いなくても、良好な接着性を実現できるものである。
【0046】
ここで、本発明の各実施形態に係るタイヤ10による作用効果を説明する。
まず、本発明の各実施形態に係るタイヤ10によれば、上述のように、タイヤ10が接着剤被覆有機繊維コード71を有しているので(図5)、仮にタイヤ10がコードを有しない場合に比べて、タイヤ10の強度を向上できる。
また、本発明の各実施形態に係るタイヤ10によれば、タイヤ10が接着剤被覆有機繊維コード71を有しており(図5)、接着剤被覆有機繊維コード71の接着剤組成物73が、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含んでいる。上述のように、接着剤組成物73は、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含むので、良好な接着性を実現することができ、また、レゾルシンを用いないことにより、環境への負荷を低減できるものである。よって、本発明の各実施形態に係るタイヤ10によれば、環境への負荷を低減できる。
【0047】
本発明の各実施形態においては、図5に示す例のように、接着剤被覆有機繊維コード71を、外筒体13のタイヤ径方向外側かつトレッド部材16のタイヤ径方向内側に、有していると、好適である。これにより、トレッド部材16の強度を向上できる。
より具体的に、本発明の各実施形態におけるタイヤ10は、外筒体13のタイヤ径方向外側かつトレッド部材16のタイヤ径方向内側に、1層又は複数層の補強層7を備えていると、好適である。ここで、補強層7の層数は、タイヤ径方向に沿って積層された層の数としてカウントするものとする。
図5の例では、タイヤ10は、補強層7を4層備えている。ただし、補強層7の層数やタイヤ幅方向位置は、任意でよい。
以下では、補強層7の内部構成について、詳しく説明する。以下に説明する補強層7の内部構成は、タイヤ10が複数層の補強層7を有する場合、特に断りが無い限り、各補強層7が満たしていると好適である。
補強層7は、図5に一部拡大して示すように、接着剤被覆有機繊維コード71と、接着剤被覆有機繊維コード71を被覆する、被覆エラストマー74と、を有している。図5の例において、補強層7は、接着剤被覆有機繊維コード71と被覆エラストマー74とからなる。
被覆エラストマー74は、ゴムであると、好適である。
補強層7により、トレッド部材16の強度を向上できる。
ただし、タイヤ10は、外筒体13のタイヤ径方向外側かつトレッド部材16のタイヤ径方向内側に限られず、タイヤ10内の任意の位置に、接着剤被覆有機繊維コード71を有してよい。
本明細書で説明する各例においては、タイヤ10が複数層の補強層7を有する場合、そのうち少なくとも1層が、接着剤被覆有機繊維コード71を有していればよい。タイヤ10が複数層の補強層7を有し、かつ、そのうち一部の層の補強層7のみが接着剤被覆有機繊維コード71を有する場合、他の層の補強層7は、スチールコード等の別の材料からなるコードを有するものであってもよい。
【0048】
本明細書で説明する各例では、接着剤被覆有機繊維コード71において、接着剤組成物73は、有機繊維コード72の少なくとも一部を覆っていればよいが、被覆エラストマー74と接着剤被覆有機繊維コード71との接着性をより向上できる点からは、接着剤組成物73が有機繊維コード72の全面にコーティングされていることが好ましい。
【0049】
また、有機繊維コード72の材料については、特に限定はされず、用途によって適宜選択することができる。例えば、ポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン等の脂肪族ポリアミド繊維コード、ポリケトン繊維コード、パラフェニレンテレフタルアミドに代表される芳香族ポリアミド繊維コードに代表される合成樹脂繊維材料を使用することができる。
有機繊維コード72の形態としては、特に限定されず、モノフィラメント、又は、複数の単繊維フィラメントを撚り合わせてなる有機繊維コードを用いることができる。この場合の単繊維フィラメントの平均径は、ゴム物品に十分に高い補強性をもたらす観点から、2μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、また、50μm以下であることが好ましい。また、簾状であってもよい。
【0050】
また、有機繊維コード72については、低速及び高温時の操縦安定性と、高速耐久性とを高いレベルで両立する観点から、2種の有機繊維からなるフィラメントを撚り合わせてなるハイブリッドコードであってもよい。
【0051】
さらに、高速耐久性をより向上させる観点からは、前記ハイブリッドコードは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)が0.20cN/dtex以上であることが好ましく、0.25〜0.40cN/dtexの範囲内であることがより好ましい。
【0052】
さらにまた、低速及び高温時の操縦安定性をより向上させる観点からは、前記ハイブリッドコードは、25℃における1%歪時の引張弾性率が60cN/dtex以下、特には35〜50cN/dtexであることが好ましく、25℃における3%歪時の引張弾性率が30cN/dtex以上、特には45〜70cN/dtexであることが好ましい。
【0053】
前記ハイブリッドコードに用いる2種の有機繊維としては、特に制限されるものではないが、剛性の高い有機繊維として、レーヨン、リヨセルなどを挙げることができ、熱収縮率の高い有機繊維として、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等、ナイロン、ポリケトン(PK)等を挙げることができる。より好適には、レーヨン又はリヨセルと、ナイロンとの組み合わせを用いることができる。
なお、これら有機繊維を用いたハイブリッドコードの熱収縮応力及び引張弾性率を調整する方法としては、後述のディップステップにおけるテンションを制御する方法が挙げられ、例えば、高いテンションを掛けながらディップステップを行うことで、コードの熱収縮応力の値を大きくすることができる。すなわち、各有機繊維において固有の物性値範囲はあるものの、ディップステップの条件を制御することにより、その範囲内で物性値を調整して、所望の物性を有するハイブリッドコードを得ることができる。
【0054】
以下、図4図10を参照しつつ、本発明のタイヤのさらなる実施形態について、説明する。なお、以下に説明する各実施形態のタイヤ10も、車軸(図示しない)に取り付けられる取付け体11と、取付け体11に外装される内筒体12、及び、内筒体12をタイヤ径方向の外側から囲繞する外筒体13を、有する、リング部材14と、内筒体12と外筒体13との間にタイヤ周方向に沿って配置された、内筒体12及び外筒体13どうしを連結する複数の連結部材15と、外筒体13のタイヤ径方向外側に設けられたトレッド部材16と、接着剤被覆有機繊維コード71(図5)と、を備える。
【0055】
図4の実施例では、構造的に支持されたタイヤ10が、トレッド部材16と、このトレッド部材16のタイヤ径方向内側に配置された補強された環状バンド110と、この補強された環状バンド110から軸線Oへ向かってタイヤ径方向内側へ延び且つ環状バンド110を横断する方向へ延びた複数の連結部材15と、連結部材15を取付け体11に連結する手段とを有する。
【0056】
空気タイヤの接地圧とスティフネスはタイヤ圧によって直接生じるものであり、これらは相互に関係している。これに対して、本例のタイヤのスティフネス特性および接地圧はタイヤの構造要素に基づいており、これらは互いに独立して求めることができる。
【0057】
図5の例では、補強された環状バンド110が剪断層120を有し、この剪断層120のタイヤ径方向内側には少なくとも1層の第1の補強層7が接着され、この剪断層120のタイヤ径方向外側には少なくとも1層の第2の補強層7が接着されている。各補強層7は剪断層120の剪断弾性率より大きな縦方向引張り弾性係数を有し、外部から荷重が加わった時に地面と接触したトレッド部材16が基本的に円形から地面と一致する形へ変形する。一方、各補強層7の長さは実質的に一定に維持される。各補強層7の相対移動は剪断層内の剪断力によって起る。各補強層7は被覆エラストマー74中に実質的に伸びない接着剤被覆有機繊維コード71を埋め込んだものから成るのが好ましい。
【0058】
剪断層120は天然ゴムまたは合成ゴム、ポリウレタン、発泡ゴムおよびポリウレタン、セグメント化コポリエステルおよびナイロンのブロックコポリマー等の材料で形成される。剪断層120の材料は約3MPa〜約10MPaの剪断弾性率を有するのが好ましい。環状バンド110は外部からの荷重によって通常の円形から地面などの接地面と一致する形に曲がる特性を有する。
【0059】
連結部材15は取付け体11と環状バンド110との間で張力によって荷重力を伝達するように作用し、特に車両の重量を支持する機能(他の機能もある)を有する。車両を支持する力は環状バンド110の地面接触部分に結合していない連結部材15内の張力によって生じる。取付け体11はタイヤ上部から吊り下げられているといえる。連結部材15は引張り有効タイヤ径方向スティフネスが高く、圧縮有効タイヤ径方向スティフネスが低いのが好ましい。圧縮スティフネスが低いことによって、環状バンド110の地面接触部分に取付けられた連結部材15は曲がることができ、地面の衝撃を吸収し、環状バンド110を地面の凸凹に良く順応させることができる。
【0060】
連結部材15はさらに加速、停止および方向転換で要求される力を伝達する。連結部材15の配置および向きは所望の機能が得られるように選択できる。
例えば、比較的小さい周方向の力が生じるような用途では、連結部材15を軸線(ひいてはタイヤ幅方向)に対して平行かつ放射状に配置することができる。すなわち、複数の連結部材15が、それぞれ、タイヤ幅方向に対し平行な方向を向いているようにする。
あるいは、タイヤ周方向のスティフネスを与えるために、軸線(ひいてはタイヤ幅方向)に直角な連結部材15を軸線(ひいてはタイヤ幅方向)に整合した連結部材15と交互に配置して追加することができる。すなわち、複数の連結部材15が、複数の第1連結部材15及び複数の第2連結部材15を含み、複数の第1連結部材15がタイヤ幅方向に対して平行な方向を向き、複数の第2連結部材15がタイヤ幅方向に対して直角な方向を向いているようにすることができる。
別の変形例では、タイヤ周方向とタイヤ幅方向の両方にスティフネスを与えるために、軸線O(ひいてはタイヤ幅方向)に対して斜めの連結部材15を配置する。すなわち、複数の連結部材15が、それぞれ、タイヤ幅方向に対し斜めの方向を向いているようにする。
さらに別の変形例では、連結部材15を交互に斜めに配置する、すなわちタイヤ赤道面で見た時にジクザグパターンになるように連結部材15の向きを決める。すなわち、互いに隣接する複数の連結部材15が、タイヤ径方向に対して互いに反対方向に斜めの角度をなし、タイヤ赤道面内でジグザグをなしているようにする。
【0061】
トレッドの地面接触部分の連結部材15の座屈を容易にするために、連結部材15を湾曲させることができる。すなわち、複数の連結部材15が、タイヤ径方向に圧縮された時に容易に湾曲するような曲率をタイヤ赤道面内に有するようにすることができる。変形例として、成型中に連結部材15に予備応力を加えて特定の方向に曲がるようにすることもできる。
【0062】
本発明の一実施例では、構造的に支持されたタイヤ10が、地面と接触するトレッド部材16と、このトレッド部材16のタイヤ径方向内側に配置された補強された環状バンド110と、この補強された環状バンド110からタイヤ径方向内側へ延びる複数の連結部材15と、この複数の連結部材15を取付け体11に連結する手段とを有し、補強された環状バンド110はエラストマーの剪断層120と、このエラストマーの剪断層120のタイヤ径方向内側に接着された少なくとも一層の第1の補強層7と、上記のエラストマーの剪断層120のタイヤ径方向外側に接着された少なくとも一層の第2の補強層7とを有する。
【0063】
本発明の別の実施例では、タイヤ10は、剪断層120を有し、この剪断層120のタイヤ径方向内側には少なくとも1層の第1の補強層7が接着され、この剪断層120のタイヤ径方向外側には少なくとも1層の第2の補強層7が接着され、各補強層7は剪断層120の剪断弾性率より大きな縦方向引張り弾性係数を有する補強された環状バンド110と、補強された環状バンド110のタイヤ径方向外側に接着されたトレッド部材16と、補強された環状バンド110からタイヤ径方向内側へ向かいかつこの環状バンド110を横断する方向に延びた複数の連結部材15と、複数の連結部材15のタイヤ径方向内側でこれらに連結される取付け体11を含む。
【0064】
本明細書において、「タイヤ赤道面」とはタイヤの軸線に直角なタイヤ構造を2つに分ける面を意味する。
「子午線面」とはタイヤの軸線を含む、タイヤを通る面を意味する。
エラストマー材料の「モジュラス、弾性率」とはASTM 規格の試験方法D412で測定した10%伸びでの引張り弾性率を意味する。
補強層7の「モジュラス、弾性率」とはタイヤ周方向での1%伸びでの引張り弾性率に補強層7の有効厚さを掛けたものを意味する。このモジュラスは、後述の式(1)で計算できる(従来タイヤのスチールベルト材料に対する式)。このモジュラスはダッシュ(')を付けて表すことにする。
エラストマー材料の「剪断モジュラス、弾性率」とは弾性剪断弾性率を意味し、エラストマー材料の場合の上記定義の引張り弾性率の3分の1に等しいと定義される。
「ヒステリシス」とは運転時の歪み、温度、周波数で測定した動的損失のタンジェント(tanΔ)を意味する。運転条件は特定の用途によって異なる(例えばゴルフカートとスポーツカーでは要求される荷重および速度が違う)ので、歪み、温度、周波数を特定の用途に合わせなければならないということは当業者には理解できよう。
【0065】
図4は、構造的に支持されたタイヤ10のタイヤ赤道面での図である。「構造的に支持された」とは気体の膨張圧の支持なしにタイヤの構造要素のみによってタイヤが荷重を支持するということを意味する。以下に開示の構造的に支持されたタイヤ10の各構造は互いに類似した基本要素(成分)を利用する。従って、各変形例の図面では同じ参照番号を用いてある。図を明瞭にするために、図面の縮尺は正確ではなく、各要素の寸法は拡大、縮小してある。
【0066】
図4に示したタイヤ10は地面と接触するトレッド部材16と、このトレッド部材16のタイヤ径方向内側に配置された補強された環状バンド110と、この環状バンド110を横断して横断方向に延び且つこの環状バンド110からタイヤ径方向内側へ向って延びた連結部材15と、この連結部材15のタイヤ径方向内側端部の所にある内筒体12とを有している。タイヤ10はこの内筒体12を介して取付け体11に固定される。「横断方向に延びた」とは連結部材15がタイヤ幅方向に整合しているか、タイヤの軸線(ひいてはタイヤ幅方向)に対して斜めであることを指している。「タイヤ径方向内側へ向かって延びた」とは連結部材15が軸線Oに対してタイヤ径方向面内にあるか、タイヤ径方向面に対して斜めであることを意味する。以下で説明するように、第2の複数の連結部材15をタイヤ赤道面に配置することもできる。
【0067】
図5は、タイヤ10と取付け体11の子午線面での断面図である。補強された環状バンド110は、エラストマーの剪断層120と、この剪断層120のタイヤ径方向最内側に接着された第1の補強層7と、剪断層120のタイヤ径方向最外側に接着された第2の補強層7と、から成る。第1および第2の補強層7、7の引張りスティフネスは剪断層120の剪断スティフネスより高く、補強された環状バンド110が荷重下で剪断変形するようになっている。
【0068】
補強された環状バンド110はタイヤに加わる荷重を支持する。図4に示すように、タイヤ軸線Oに加わる荷重は連結部材15中の張力によって環状バンド110へ伝達される。環状バンド110はアーチと同様な役目をし、荷重支持部材の役目をするのに十分なタイヤ赤道面内でのタイヤ周方向圧縮スティフネスおよび縦方向曲げスティフネスを与える。荷重下では地面との接地面Cでバンドの剪断変形を含めた機構によって環状バンド110が変形する。剪断変形能力によって空気タイヤと同じように作用する柔軟な接地面Cが与えられ、空気タイヤと同様な有利な結果が得られる。
【0069】
環状バンドが剪断層120とタイヤ径方向内側の補強層7とタイヤ径方向外側の補強層7とからなり、剪断変形するので、接触領域における圧力分布Sが実質的に均一になる。
【0070】
本例の環状バンド110で好ましい結果が得られるのは接地面長全体でより均一な接地圧Sになる場合である。これによって空気タイヤと同じようになり、他の非空気圧タイヤよりもタイヤ機能が向上する。
典型的なソリッドタイヤまたはクッションタイヤでは接地面でのタイヤ構造の圧縮によって荷重が支持され、耐荷重力は接地面に存在する材料の量と種類によって制限される。ある種のスプリングタイヤでは弾性ばね部材を介して取付け体11に連結された堅い外側リングによってによってタイヤに加わる荷重を支持する。堅い外側リングは剪断機構を有しておらず、従って、既に述べたように、堅いリングによって接地面の両端部に接地反作用が集中するため、力を地面に伝達し、地面の衝撃を吸収するタイヤの能力が低下する。
【0071】
剪断層120は剪断弾性率が約3〜約20MPaのエラストマー材料から成る層から成る。この剪断層120での使用に適した材料には天然ゴムおよび合成ゴム、ポリウレタン、発泡ゴムおよびポリウレタン、セグメント化されたコポリエステルおよびナイロンのブロックコポリマーが含まれる。
荷重下で繰返し回転すると、剪断層120の変形によってヒステリシス損が生じ、タイヤに熱が蓄積される。従って、剪断層120のヒステリシスは使用する材料の許容運転温度以下が維持されるようにしなければならない。従来のタイヤ材料(例えばゴム)を用いる場合、例えば、剪断層120のヒステリシスは連続使用するタイヤでタイヤ運転温度が約130℃以下に維持されるようにしなければならない。
【0072】
トレッド部材16は溝が無くても、複数の縦方向トレッド溝107(図5の実施例のように縦方向のトレッドリブ109を形成する溝等)を有していてもよい。図ではトレッド部材16は端部から端部まで平らになっている。この平らなトレッドは自動車とその類似車両には適しているが、自転車、オートバイおよび二輪自動車では丸みがついたトレッドを用いることができる。任意のトレッドパターンを用いることができるということは当業者には理解できよう。
【0073】
好ましい実施例では、第1の補強層7および第2の補強層7は被覆エラストマー74中に実質的に伸びない接着剤被覆有機繊維コード71を埋め込んだものから成る。弾性材料で作られたタイヤの場合にはこれらの補強層7は硬化したエラストマー材料によって剪断層120に接着される。補強層7を化学的または機械的に接着する等の他の任意の固定方法で剪断層120に接着しても本例の範囲を逸脱するものではない。
【0074】
好ましい実施例では、補強層7はタイヤ赤道面(ひいてはタイヤ周方向)に対して約10〜約45°の角度をなす基本的に互いに平行な接着剤被覆有機繊維コード71を有する。互いにタイヤ径方向に隣接する一対の補強層7の接着剤被覆有機繊維コード71は互いに反対方向を向いている。しかし、互いにタイヤ径方向に隣接する一対の補強層7の接着剤被覆有機繊維コード71が互いに等しい角度で逆方向を向いている必要は必ずしもなく、例えば、互いにタイヤ径方向に隣接する一対の補強層7の接着剤被覆有機繊維コード71をタイヤ赤道面に対して非対称にすることもできる。
【0075】
別の実施例では、少なくとも1層の補強層7の接着剤被覆有機繊維コード71をタイヤ赤道面に対して0°またはほぼ0°の角度で配置して補強層7の引張りスティフネスを高くすることができる。
各補強層7の接着剤被覆有機繊維コード71は一般に約3〜20MPaの剪断弾性率を有する被覆エラストマー74中に埋め込まれている。この被覆エラストマー74の剪断弾性率を剪断層120の剪断弾性率とほぼ同じにして、環状バンド110の変形が主として剪断層120内での剪断変形によって行われるようにするのが好ましい。
【0076】
荷重下での環状バンド110の変形状態は、剪断層120の剪断弾性率Gと、補強層7の縦方向有効弾性係数E'membraneと、の関係を規定することによってコントロールできる。
接着剤被覆有機繊維コード71をタイヤ赤道面に対して少なくとも10°の角度で配置した補強層7の有効弾性係数E'membraneは下記式で求めることができる:
【0077】
【数1】
【0078】
(ここで、
Erubber=被覆エラストマーの引張り弾性係数、
P=接着剤被覆有機繊維コードの方向に対して直角に測定した接着剤被覆有機繊維コードの間隔(コード中心間距離)、
D=接着剤被覆有機繊維コードの直径、
ν=被覆エラストマーのポアソン比、
α=タイヤ赤道面に対する接着剤被覆有機繊維コードの角度、
t=互いに隣接する層内のケ−ブル間のゴム厚さ)
【0079】
接着剤被覆有機繊維コード71がタイヤ赤道面に対して10°以下の角度で配置された剪断層120の補強層7の引張り弾性係数E'membraneは下記式で求めることができる:
E'membrane=Ecable * V * tmembrane (2)
(ここで、
Ecable=ケーブルの弾性係数、
V=補強層内のケーブルの容積分率
tmembrane=補強層の厚さ)
均一材料または繊維等で補強されたマトリックスを有する補強層の弾性係数はこの材料またはマトリックスの弾性係数である。
【0080】
E'membraneは補強層7の弾性係数に補強層7の有効厚さをかけたものである。E'membrane /Gの比が相対的に低いときの荷重下での環状バンド110の変形が均質バンドの変形に近くなり、不均一接地圧が生じる。逆に、このE'membrane /Gの比が十分に大きいときの荷重下での環状バンド110の変形は主として剪断層120の剪断変形になり、補強層120の縦方向圧縮または収縮はほとんどなく、従って、実質的に一様な接地圧になる。
剪断層120の剪断弾性率Gに対する補強層7の縦方向弾性係数E'membraneの上記比が少なくとも約100:1、好ましくは少なくとも約1000:1であると、好適である。
【0081】
図5に示したタイヤのトレッド部材16、第1の補強層7および第2の補強層7の横断面形状は平らである。環状バンド110の接触領域C(図4)の部分の歪みは第2の補強層7に対しては圧縮歪みである。タイヤの垂直撓みが増加すると、接触長さCが増加し、第2の補強層7の圧縮応力が限界座屈応力を超え、補強層7の縦方向座屈が起こる。この座屈現象によって接触領域の縦方向部分の接地圧が低下する。この補強層7の座屈が避けられる場合には接地領域全体で均一な接地圧が得られる。断面が湾曲した補強層7は接地面での座屈により強く抵抗するので荷重下で座屈が起こる場合に好ましい。
【0082】
図5を参照すると、本例では、連結部材15がタイヤ径方向内側の内筒体12によって互いに連結されている。この内筒体12はタイヤを取付けるための取付け体11を取り囲んでいる。連結部材15はそれらのタイヤ径方向外側端部で外筒体13によって互いに連結されている。この外筒体13は連結部材15を環状バンド110に連結している。連結部材15、内筒体12および外筒体13を単一な材料からユニットとして成型するのが便利である。
【0083】
引張りスティフネスは高いが圧縮スティフネスが低い連結部材15を用いることによって、実質的に引張り荷重支持のみが得られる。接地領域での座屈を容易にするために、連結部材15を湾曲させることができる。変形例では、連結部材15に曲率を持たせて成型した後、冷却中に熱収縮によってまっすぐにして、座屈性を与えることができる。すなわち、複数の連結部材15が、タイヤ径方向に圧縮された時に容易に湾曲するような曲率をタイヤ赤道面内に有すると、好適である。
【0084】
連結部材15は、例えば取付け体11にトルクが加わるときに、環状バンド110と取付け体11との間の捩れに耐えなければならない。さらに、連結部材15は例えば方向転換またはコーナリングのときに横方向撓みに耐えなければならない。タイヤ径方向−タイヤ幅方向面にある、すなわちタイヤ径方向とタイヤ幅方向の両方に整合した連結部材15はタイヤ幅方向の力に対する抵抗力は大きいが、特にタイヤ径方向に延びた場合に、タイヤ周方向のトルクに抵抗するのが難しいことは理解できよう。ある種の車両および用途、例えば、発生する加速力が比較的小さい車両および用途では、比較的短い連結部材をタイヤ径方向に整合させた連結部材15の集合体が適している。
【0085】
大きなトルクが予想される用途では、図6図8に示すような配置、構造が適している。
図6では、連結部材15が2本ずつ中心で接合されてXを形成し、タイヤ幅方向から見てXを繰返すパターンで配置される。すなわち、複数の連結部材15が、互いに交差してタイヤ赤道面内でXを繰り返すパターンをなしている。
図7では、連結部材15がタイヤ径方向に対してジグザグパターンに配置される。すなわち、互いに隣接する複数の連結部材15が、タイヤ径方向に対して互いに反対方向に斜めの角度をなし、タイヤ赤道面内でジグザグをなしている。
図8の連結部材15は、隣接する連結部材15がジグザグパターンのタイヤ幅方向に対して反対に向くように配置される。すなわち、互いに隣接する複数の連結部材15が、タイヤ幅方向に対して互いに反対方向に斜めの角度をなしている。
これらの変形例では各向きがタイヤ径方向とタイヤ周方向の両方の力に抵抗する成分を与え、従って、タイヤ径方向と横方向の力に抵抗する成分を保持しながら、トルクに対する抵抗力を加える。方向付けの角度は使用する連結部材15の数および隣接する2本の連結部材15の間隔に応じて選択することができる。
【0086】
他の配置にすることもできる。
図9に示すように、連結部材15をタイヤ径方向に見て山形またはV字型に配置することができる。
別の変形例では、図10に示すように、隣接する連結部材15をタイヤ幅方向とタイヤ周方向に交互に整合させる。すなわち、複数の連結部材15が、複数の第1連結部材15及び複数の第2連結部材15を含み、複数の第1連結部材15がタイヤ幅方向に対して平行な方向を向き、複数の第2連結部材15がタイヤ幅方向に対して直角な方向を向いている。
しかし、図9および図10の変形例は接触領域での連結部材15の座屈を受けとめるのが難しいため、図6図8の配置ほどは好ましくない。
連結部材15の配置をいろいろ変えることによって、タイヤの垂直方向、横方向および捩れスティフネスを接地圧とは独立して、さらに、互いに独立して調整することができる。
【0087】
〔接着剤組成物〕
以下、上述の接着剤組成物73について、さらに詳しく説明する。上述のように、接着剤組成物73は、ポリフェノール類及びアルデヒド類を含有することで、環境への負荷を考慮してレゾルシンを用いない場合であっても、良好な接着性を実現できる。
【0088】
(ポリフェノール類)
接着剤組成物73は、樹脂成分としてポリフェノール類を含む。接着剤組成物73中にポリフェノール類を含むことで、接着剤組成物73の接着性を高めることができる。
ここで、前記ポリフェノール類については、水溶性のポリフェノール類であり、レゾルシン(レゾルシノール)以外のポリフェノールであれば限定はされず、芳香族環の数や、水酸基の数についても、適宜選択することができる。
【0089】
また、前記ポリフェノール類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2個以上の水酸基を有することが好ましく、3つ以上の水酸基を有することがより好ましい。3つ以上の水酸基を含むことにより水分を含む接着剤組成物液により前記ポリフェノールあるいは前記ポリフェノールの縮合物は水溶することで接着剤組成物73内に均一して分布できるので、より優れた接着性を実現できる。また、この場合、環境への負荷をさらに低減できる。
さらに、前記ポリフェノール類が、複数個(2個以上)の芳香環を含むポリフェノールの場合、それらの芳香環では、各々、2個又は3個の水酸基がオルト、メタ又はパラ位に存在する。
【0090】
上述した3つ以上の水酸基を有するポリフェノール類としては、例えば以下に示すポリフェノール類が挙げられる。
フロログルシノール:
【化1】
モリン(2’,4’,3,5,7−ペンタヒドロキシフラボン):
【化2】
フロログルシド(2,4,6,3,’5’−ビフェニルペントール):
【化3】
【0091】
(アルデヒド類)
接着剤組成物73は、上述したポリフェノール類に加えて、樹脂成分としてアルデヒド類を含む。接着剤組成物73中にアルデヒド類を含有することで、上述したポリフェノール類と共に高い接着性を実現できる。
ここで、前記アルデヒド類については、特に限定はされず、要求される性能に応じて、適宜選択することができる。なお、本明細書では、前記アルデヒド類が発生源であるルデヒド類の誘導体も、アルデヒド類の範囲に含まれる。
【0092】
前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロラール、ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド等のモノアルデヒドや、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド等の脂肪族ジアルデヒド類、芳香族環を有するアルデヒド、ジアルデヒドデンプンなどが挙げられる。これらのアルデヒド類は、一種類を用いても、複数種を混合して用いてもよい。
これらの中でも、前記アルデヒド類は、芳香族環を有するアルデヒド類を含有することが好ましい。より優れた接着性を得ることができるためである。
なお、前記アルデヒド類については、ホルムアルデヒドを含まないことが好ましい。なお、本明細書において「ホルムアルデヒドを含まない」とは、アルデヒド類の総質量に基づくホルムアルデヒドの質量含有量が0.5質量%未満であることを意味する。
【0093】
また、前記芳香環を有するアルデヒド類は、1分子内に、少なくとも1つの芳香環を含み、少なくとも 1つのアルデヒド基を有する芳香族アルデヒドである。前記芳香環を有するアルデヒド類は、環境への負荷が少なく、また、優れた機械的強度、電気絶縁性、耐酸性、耐水性、耐熱性等を備えた、比較的安価な樹脂を形成することができる。
【0094】
また、前記芳香族環を有するアルデヒド類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。前記アルデヒド類が、複数のアルデヒド基により架橋し、縮合することによって、熱硬化性樹脂の架橋度を高くすることができるため、接着性をより高めることができる。
さらに、前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する場合、1つの芳香族環において、2つ以上のアルデヒド基が存在することがより好ましい。なお、各アルデヒド基は、1つの芳香族環において、オルト、メタ又はパラの位置に存在することができる。また、この場合、環境への負荷をさらに低減できる。
【0095】
このようなアルデヒド類としては、例えば、1,2−ベンゼンジカルボキサルデヒド、1,3−ベンゼンジカルボキサルデヒド、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド、2−ヒドロキシベンゼン−1,3,5−トリカルボアルデヒド、これらの化合物の混合物等が挙げられる。
【0096】
これらの中でも、より優れた接着性を実現できる観点から、前記芳香族環を有するアルデヒド類として、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒドを少なくとも用いることが好ましい。
【化4】
【0097】
また、前記芳香族環を有するアルデヒド類については、ベンゼン環を有するものだけでなく、複素芳香族化合物も含まれる。
前記複素芳香族化合物であるアルデヒド類としては、例えば、以下に示すようなフラン環を有するアルデヒド類が挙げられる。
【化5】
(式中、Xは、Oを含み;Rは、−Hまたは−CHOを示す。)
【0098】
上記のフラン環を有するアルデヒド類として、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化6】
(記式中、Rは、−Hまたは−CHO;R1、R2及びR3は、それぞれ、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール又はシクロアルキル基を示す。)
【0099】
なお、接着剤組成物73では、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類が縮合された状態であり、前記ポリフェノール類と前記芳香環を有するアルデヒド類との質量比(芳香環を有するアルデヒド類の含有量/ポリフェノール類の含有量)は、0.1以上、3以下であることが好ましく、0.25以上、2.5以下であることがより好ましい。前記ポリフェノール類と前記芳香環を有するアルデヒド類との間では、縮合反応が起こるが、その生成物である樹脂の硬度、接着性がより適したものになるからである。
【0100】
また、接着剤組成物73中の、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類の合計含有量は、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。作業性等を悪化させることなく、より優れた接着性を確保できるためである。
なお、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類の質量比並びに合計含有量は、乾燥物の質量(固形分比)である。
【0101】
(イソシアネート化合物)
接着剤組成物73は、上述したポリフェノール類及びアルデヒド類に加えて、イソシアネート化合物をさらに含むことが好ましい。ポリフェノール類及びアルデヒド類との相乗効果によって、接着剤組成物73の接着性を大きく高めることができる。
【0102】
ここで、前記イソシアネート化合物は、接着剤組成物73の被着体である樹脂材料(例えば、ポリフェノール類及びアルデヒド類を縮合させたフェノール/アルデヒド樹脂) への接着を促進させる作用を有する化合物であって、極性官能基としてイソシアネート基を有する化合物である。
【0103】
前記イソシアネート化合物の種類については、特に限定はされないが、接着性をより向上できる観点から、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。本明細書の接着剤組成物73中に、前記イソシアネート化合物を含ませると、被着体繊維と接着剤組成物73の界面近傍の位置にブロックド)イソシアネート基含有芳香族が分布し、接着促進効果が得られる作用が得られ、この作用効果により、有機コードとの接着をより高度化することができる。
前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、(ブロックド)イソシアネート基を有する芳香族化合物である。また、「(ブロックド)イソシアネート基」とは、ブロックドイソシアネート基又はイソシアネート基を意味し、イソシアネート基の他、イソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じたブロックドイソシアネート基、イソシアネート基に対するブロック化剤と未反応のイソシアネート基、又はブロックドイソシアネート基のブロック化剤が解離して生じたイソシアネート基等を含む。
【0104】
さらに、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含むのが好ましく、芳香族類がメチレン結合した分子構造を含むことがより好ましい。芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、又はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物等にみられる分子構造が挙げられる。
【0105】
なお、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤を含む化合物、ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物、水性ウレタン化合物等が挙げられる。
【0106】
前記芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤とを含む化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネートと公知のイソシアネートブロック化剤を含むブロックドイソシアネート化合物等が好適に挙げられる。上記ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを、イソシアネート基をブロックする公知のブロック化剤でブロックした反応生成物が挙げられる。具体的には、エラストロンBN69(第一工業製薬(株)製)、エラストロンBN77(第一工業製薬(株)製)やメイカネートTP−10(明成化学工業(株)製)等の市販のブロックドポリイソシアネート化合物を用いることができる。
【0107】
前記水性ウレタン化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造、好ましくは芳香族類がメチレン結合した分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させて得られる。また、水性ウレタン化合物(F)は、その可撓性のある分子構造から、接着改良剤としての作用のみならず、可撓性のある架橋剤として接着剤の高温時流動化を抑止する作用も有する。
なお、「水性」とは、水溶性または水分散性であることを示し、「水溶性」とは必ずしも完全な水溶性を意味するのではなく、部分的に水溶性のもの、あるいは接着剤組成物73の水溶液中で相分離しないものを意味する。
【0108】
ここで、前記水性ウレタン化合物(F)としては、例えば、下記一般式(I):
【化7】
(式中、Aは芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)の活性水素が脱離した残基を示し、Yはイソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)の活性水素が脱離した残基を示し、Zは化合物(δ)の活性水素が脱離した残基を示し、Xは複数の活性水素を有する化合物(β)の活性水素が脱離した残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である。)で表される水性ウレタン化合物が好ましい。
【0109】
なお、前記芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)としては、メチレンジフェニルポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
また、前記複数の活性水素を有する化合物(β)は、好ましくは2〜4個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化合物である。かかる化合物(β)としては、(i)2〜4個の水酸基を有する多価アルコール類、(ii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を有する多価アミン類、(iii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と水酸基を有するアミノアルコール類、(iv)2〜4個の水酸基を有するポリエステルポリオール類、(v)2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vi)2〜4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vii)2〜4個の水酸基を有するポリエーテルポリオール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミノアルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C3以上の多価アルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C2〜C4のアルキレンオキサイド共重合物、又はC3〜C4のアルキレンオキサイド重合物等が挙げられる。
さらに、前記イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)は、熱処理によりイソシアネート基を遊離することが可能な化合物であり、公知のイソシアネートブロック化剤が挙げられる。
さらにまた、前記化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水素とアニオン性及び/又は非イオン性の親水性基を有する化合物である。少なくとも1つの活性水素とアニオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシン、アラニン等のアミノカルボン酸類等が挙げられる。一方、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、親水性ポリエーテル鎖を有する化合物類が挙げられる。
【0110】
また、接着剤組成物73における、前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定はされないが、より確実に優れた接着性を確保する観点から、5〜65質量%の範囲であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。
なお、前記イソシアネート化合物の含有量は、乾燥物の質量(固形分比)である。
【0111】
(ゴムラテックス)
接着剤組成物73は、上述したポリフェノール類、アルデヒド類及びイソシアネート化合物に加えて、実質的にはゴムラテックスをさらに含むことができる。被覆エラストマー74との接着性をより高めることができるためである。
【0112】
ここで、前記ゴムラテックスについては、特に限定はされず、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)等の合成ゴムを用いることができる。これらのゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
【0113】
また、前記ゴムラテックスについては、前記イソシアネート化合物を配合する前に、前記フェノール類及び前記アルデヒド類と混合させることが好ましい。
さらに、接着剤組成物73中の前記ゴムラテックスの含有量は、20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。
【0114】
なお、接着剤組成物73の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、前記ポリフェノール類、前記アルデヒド類、前記ゴムラテックス等の原材料を混合し、熟成する方法、又は、前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類とを混合して熟成した後に、前記ゴムラテックスをさらに加えて熟成する方法、等が挙げられる。また、前記イソシアネート化合物を含む場合には、前記ゴムラテックスを加え、熟成した後に、イソシアネート化合物を加えることができる。
なお、前記多環芳香族炭化水素、前記アルデヒド類、前記ゴムラテックス及び前記イソシアネート化合物の構成や含有量等については、上述した接着剤組成物73の中で説明した内容と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のタイヤは、任意の種類のタイヤに適用できるが、特に、非空気入りタイヤに適用されると好適である。また、本発明のタイヤは、自動車用タイヤ又は二輪車用タイヤ等に適用されると好適である。
【符号の説明】
【0116】
10:タイヤ、 11:取付け体、 12:内筒体、 13:外筒体、 14:リング部材、 15:連結部材、 16:トレッド部材、 17:装着筒部、 18:外リング部、 19:リブ、 21:第1弾性連結板(連結部材)、 21a:一端部、 21b:他端部、 21c:中間部分、 21d〜21f:湾曲部、 22:第2弾性連結板(連結部材)、 22a:一端部、 22b:他端部、 22c:中間部分、 22d〜22f:湾曲部、 23:連結部材、 25:接着層、
7:補強層、 71:接着剤被覆有機繊維コード、 72:有機繊維コード、 73:接着剤組成物、 74:被覆エラストマー、
110:環状バンド、 107:トレッド溝、 109:トレッドリブ、 120:剪断層
図1
図2
図3
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図10