特開2021-143637(P2021-143637A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-143637(P2021-143637A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】ブローバイガス還流装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20210827BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   F01M13/00 K
   F01M13/00 C
   F01M13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-43220(P2020-43220)
(22)【出願日】2020年3月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細野 直之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恒平
(72)【発明者】
【氏名】岩田 秀次
(72)【発明者】
【氏名】青木 恒
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 規郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 治
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊貴
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015BD10
3G015BD24
3G015BD28
3G015BE06
3G015CA01
3G015DA04
3G015EA37
3G015FA02
3G015FA03
(57)【要約】
【課題】ブローバイガスの凝縮水の凍結を抑制する。
【解決手段】ブローバイガス還流装置400は、エンジン100に接続された吸気配管200と、エンジン100に接続されたオイルセパレータ160と、オイルセパレータ160と吸気配管200とを接続するブローバイガス配管162と、オイルセパレータ160とブローバイガス配管162のうちいずれか一方に接続され、吸気配管200が負圧であるとき、一方に乳化剤を供給する乳化剤供給装置500と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続されたオイルセパレータと、
前記オイルセパレータに一端が接続され、前記エンジンに接続された吸気配管に他端が接続されるブローバイガス配管と、
前記オイルセパレータと前記ブローバイガス配管のうちいずれか一方に接続され、前記吸気配管が負圧であるとき、前記一方に乳化剤を供給する乳化剤供給装置と、
を備えるブローバイガス還流装置。
【請求項2】
前記ブローバイガス配管に設けられたPCVバルブを備え、
前記乳化剤供給装置は、前記オイルセパレータ、または、前記ブローバイガス配管のうち前記PCVバルブよりも前記オイルセパレータ側に接続される、請求項1に記載のブローバイガス還流装置。
【請求項3】
前記乳化剤供給装置は、前記乳化剤に加え、オイルを供給する、請求項1または2に記載のブローバイガス還流装置。
【請求項4】
前記オイルセパレータは、ブローバイガスが流入するブローバイガス入口と、前記ブローバイガスが流出するブローバイガス出口と、内部に配された衝突板と、前記衝突板を駆動するアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、前記吸気配管が負圧であるとき、前記ブローバイガス入口と前記ブローバイガス出口の間の直線経路上に前記衝突板が配されないように前記衝突板を駆動する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブローバイガス還流装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローバイガス還流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブローバイガスからオイルミストを分離するオイルセパレータについて開示がある。特許文献1のオイルセパレータは、内部の仕切り板を可動させるアクチュエータを備える。これにより、ブローバイガスの広い流量域において、高いオイル分離能力を発揮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−178876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オイルセパレータによりオイルミストが分離されたブローバイガスには、水分(凝縮水)が含まれる。凝縮水を含んだブローバイガスは、PCVバルブおよびブローバイガス配管を通って吸気配管に導かれる。ここで、例えば、車両が寒冷地を走行したとき、ブローバイガスが冷却され、ブローバイガスに含まれる凝縮水が凍結する場合がある。凝縮水が凍結すると、ブローバイガス配管が閉塞し、クランクケースの内圧が過度に上昇するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ブローバイガスの凝縮水の凍結を抑制可能なブローバイガス還流装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のブローバイガス還流装置は、エンジンに接続されたオイルセパレータと、オイルセパレータに一端が接続され、エンジンに接続された吸気配管に他端が接続されるブローバイガス配管と、オイルセパレータとブローバイガス配管のうちいずれか一方に接続され、吸気配管が負圧であるとき、一方に乳化剤を供給する乳化剤供給装置と、を備える。
【0007】
ブローバイガス配管に設けられたPCVバルブを備え、乳化剤供給装置は、オイルセパレータ、または、ブローバイガス配管のうちPCVバルブよりもオイルセパレータ側に接続されてもよい。
【0008】
乳化剤供給装置は、乳化剤に加え、オイルを供給してもよい。
【0009】
オイルセパレータは、ブローバイガスが流入するブローバイガス入口と、ブローバイガスが流出するブローバイガス出口と、内部に配された衝突板と、衝突板を駆動するアクチュエータとを備え、アクチュエータは、吸気配管が負圧であるとき、ブローバイガス入口とブローバイガス出口の間の直線経路上に衝突板が配されないように衝突板を駆動してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブローバイガスの凝縮水の凍結を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】エンジンシステムの構成を示す概略図である。
図2】本実施形態にかかるオイルセパレータの分解正面図である。
図3図2に示す衝突板の回転駆動後のオイルセパレータの分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、エンジンシステム10の構成を示す概略図である。エンジンシステム10は、例えば、車両に搭載される。図1に示すように、エンジンシステム10は、エンジン100と、吸気配管200と、排気配管300と、ブローバイガス還流装置400とを含む。エンジン100には、吸気配管200および排気配管300が接続される。ブローバイガス還流装置400は、エンジン100と吸気配管200との間に配され、エンジン100と吸気配管200とを接続(連通)する。
【0014】
エンジン100は、シリンダブロック102と、クランクケース104と、シリンダヘッド106と、ヘッドカバー108と、オイルパン110とを含む。シリンダブロック102には、クランクケース104が一体的に形成される。シリンダブロック102のうちクランクケース104が配される側と反対側には、シリンダヘッド106が接続される。また、シリンダヘッド106のうちシリンダブロック102が配される側と反対側には、ヘッドカバー108が接続される。また、クランクケースのうちシリンダブロック102が配される側と反対側には、オイルパン110が接続される。
【0015】
シリンダブロック102には、複数のシリンダボア112が形成される。複数のシリンダボア112には、それぞれピストン114が摺動自在に配され、ピストン114は、コネクティングロッド116に支持される。シリンダボア112と、シリンダヘッド106と、ピストン114の冠面とによって囲まれた空間が、燃焼室118として形成される。
【0016】
クランクケース104とオイルパン110とによって囲まれた空間が、クランク室120として形成される。ピストン114は、コネクティングロッド116を介してクランクシャフト122に連結される。クランクシャフト122は、クランクケース104に回転自在に支持される。クランク室120内には、クランクシャフト122が配される。
【0017】
シリンダヘッド106には、吸気ポート124と、排気ポート126とが形成される。吸気ポート124および排気ポート126は、燃焼室118と連通する。吸気ポート124と燃焼室118との間には、吸気弁128の先端が位置する。排気ポート126と燃焼室118との間には、排気弁130の先端が位置する。
【0018】
シリンダヘッド106とヘッドカバー108とによって囲まれた空間が、カム室132として形成される。カム室132内には、吸気弁用カム134および排気弁用カム136が配される。
【0019】
吸気弁用カム134は、吸気弁128の基端と当接する。吸気弁用カム134が回転することで、吸気弁128が上下方向(軸方向)に移動する。これにより、吸気ポート124と燃焼室118との間が開閉される。
【0020】
排気弁用カム136は、排気弁130の基端と当接する。排気弁用カム136が回転することで、排気弁130が上下方向(軸方向)に移動する。これにより、排気ポート126と燃焼室118との間が開閉される。
【0021】
吸気配管200の内部には、吸気流路138が形成される。吸気流路138は、吸気ポート124と連通する。吸気配管200は、インテークマニホールド140と、スロットル弁142と、エアクリーナ144とを備える。
【0022】
インテークマニホールド140は、シリンダヘッド106の吸気ポート124側に接続される。これにより、インテークマニホールド140内の吸気流路138と、吸気ポート124とが連通する。
【0023】
スロットル弁142は、インテークマニホールド140より吸気の上流側に配される。スロットル弁142は、吸気流路138を開閉可能に構成される。スロットル弁142は、アクセル(不図示)の開度に応じてアクチュエータにより駆動され、吸気流路138の開度が調整される。
【0024】
エアクリーナ144は、スロットル弁142より吸気の上流側に配される。エアクリーナ144は、吸気流路138に流入する異物を除去する。例えば、エアクリーナ144は、外気(空気)が吸気流路138に流入する際に、空気に含まれる異物を除去する。エアクリーナ144によって異物が除去された空気(吸気)は、吸気流路138および吸気ポート124を通じて燃焼室118に供給される。
【0025】
シリンダヘッド106には、インジェクタ146と、点火プラグ148とが設けられる。インジェクタ146は、燃料を噴射して燃焼室118に燃料を供給する。インジェクタ146の燃料噴射口は、例えば、燃焼室118に指向して吸気ポート124内に配される。点火プラグ148は、先端が燃焼室118内に配される。点火プラグ148は、燃料と空気の混合気を点火する。
【0026】
インジェクタ146から燃焼室118に向けて噴射された燃料は、吸気流路138から吸気ポート124に流入した空気と混合し、燃焼室118に流入する。燃焼室118に流入した燃料と空気の混合気は、所定のタイミングで点火プラグ148により点火され、燃焼される。かかる燃焼により、ピストン114が往復運動を行い、その往復運動が、コネクティングロッド116を通じてクランクシャフト122の回転運動に変換される。
【0027】
排気配管300の内部には、排気流路150が形成される。排気流路150は、排気ポート126と連通する。燃焼室118で生じた燃焼後の排気ガスは、排気ポート126および排気流路150を通じて外部へ排出される。排気配管300は、エキゾーストマニホールド152と、触媒154とを備える。
【0028】
エキゾーストマニホールド152は、シリンダヘッド106の排気ポート126側に接続される。これにより、エキゾーストマニホールド152内の排気流路150と、排気ポート126とが連通する。
【0029】
触媒154は、エキゾーストマニホールド152より排気の下流側に配される。触媒154は、例えば、三元触媒(Three-Way Catalyst)であって、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)を含む。触媒154は、燃焼室118から排出された排出ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を除去する。
【0030】
ブローバイガス還流装置400は、オイルセパレータ160と、ブローバイガス配管162と、PCVバルブ164と、掃気配管166と、乳化剤供給装置500と、制御部600(図2参照)とを備える。
【0031】
オイルセパレータ160は、エンジン100に接続される。本実施形態では、オイルセパレータ160は、クランクケース104に接続される。ただし、オイルセパレータ160は、シリンダヘッド106やヘッドカバー108に接続されてもよい。オイルセパレータ160の内部は、クランク室120と連通する。ここで、クランク室120には、燃焼室118で混合気が燃焼された際に、シリンダボア112とピストン114との隙間を通ったブローバイガスが流入される。
【0032】
ブローバイガスには、燃焼室118で燃焼された燃焼ガス(排気ガス)や未燃焼の混合気が含まれる。燃焼ガスには、水蒸気が含まれ、この水蒸気が冷却されると水分が凝縮し、凝縮水となる。ブローバイガスには、このような水分(凝縮水)やオイルが含まれる。オイルセパレータ160は、このブローバイガスに含まれるオイル(オイルミスト)を分離する。
【0033】
ブローバイガス配管162は、一端がオイルセパレータ160に接続され、他端が吸気配管200に接続される。オイルセパレータ160およびブローバイガス配管の内部空間により、ブローバイガス流路168が形成される。ブローバイガス流路168は、クランク室120と吸気流路138とを連通させる。ブローバイガス流路168は、ブローバイガスを吸気流路138へ還流させる。ブローバイガス配管162は、吸気配管200のうち、例えば、スロットル弁142とインテークマニホールド140との間に接続される。ただし、これに限定されず、ブローバイガス配管162は、吸気配管200にコンプレッサ(不図示)が設けられる場合、コンプレッサとエアクリーナ144との間に接続されてもよい。
【0034】
PCVバルブ164は、ブローバイガス配管162に設けられる。PCVバルブ164は、オイルセパレータ160からブローバイガス配管162を通して吸気配管200に向かうガスの流れを許容し、吸気配管200からブローバイガス配管162を通してオイルセパレータ160に向かうガスの流れを堰き止める。PCVバルブ164は、例えば、インテークマニホールド140内の圧力が負圧であるときに開状態となり、インテークマニホールド140内の圧力が負圧でないときに閉状態となる。ただし、これに限定されず、PCVバルブ164は、アクチュエータによりブローバイガス流路168を開閉可能に構成されてもよい。その場合、PCVバルブ164は、ブローバイガス流路168の開度に応じて、ブローバイガス流路168内を流通するブローバイガスの流量を調整することができる。
【0035】
掃気配管166は、一端がヘッドカバー108に接続され、他端が吸気配管200に接続される。掃気配管166の内部には、掃気流路が形成され、掃気流路は、カム室132と吸気流路138とを連通させる。掃気配管166は、吸気配管200のうち、例えば、エアクリーナ144とスロットル弁142との間に接続される。ここで、シリンダブロック102およびシリンダヘッド106には、連通孔170が形成される。連通孔170は、クランク室120とカム室132とを連通する。吸気流路138から掃気流路を通してカム室132に流入した空気は、連通孔170を介してクランク室120に導かれ、クランク室120に溜まったブローバイガスを掃気する。
【0036】
乳化剤供給装置500は、オイルセパレータ160とブローバイガス配管162のうちいずれか一方に接続される。本実施形態では、乳化剤供給装置500は、オイルセパレータ160に接続される。ただし、これに限定されず、乳化剤供給装置500は、例えば、ブローバイガス配管162のうち、PCVバルブ164よりもオイルセパレータ160側に接続されてもよい。乳化剤供給装置500の詳細については、後述する。
【0037】
図2は、本実施形態にかかるオイルセパレータ160の分解正面図である。図2に示すように、オイルセパレータ160は、ハウジング部160aと、ブローバイガス入口160bと、ブローバイガス出口160cと、衝突板160dと、アクチュエータ160eとを含む。
【0038】
ハウジング部160aは、大凡矩形状である。ハウジング部160aの内部には、大凡矩形状のセパレータ室160fが形成される。
【0039】
ブローバイガス入口160bは、セパレータ室160fの鉛直下側に配される。ブローバイガス入口160bは、本実施形態では、鉛直方向において、セパレータ室160fの最下部に配される。ブローバイガス入口160bは、ハウジング部160aを貫通する貫通孔であり、クランク室120とセパレータ室160fとを連通させる。これにより、クランク室120内のブローバイガスは、ブローバイガス入口160bを介してセパレータ室160fに流入する。
【0040】
ブローバイガス出口160cは、セパレータ室160fの鉛直上側に配される。ブローバイガス出口160cは、本実施形態では、鉛直方向において、セパレータ室160fの最上部に配される。ブローバイガス出口160cは、ハウジング部160aを貫通する貫通孔であり、セパレータ室160fとブローバイガス配管162とを連通させる。これにより、ブローバイガス入口160bから流入したブローバイガスは、セパレータ室160fを通過し、ブローバイガス出口160cを介してブローバイガス配管162内に流出する。
【0041】
衝突板160dは、平板形状である。衝突板160dは、セパレータ室160fに配される。本実施形態では、セパレータ室160fには、複数(3つ)の衝突板160dが配される。複数の衝突板160dは、鉛直方向において、ブローバイガス入口160bとブローバイガス出口160cとの間に配される。
【0042】
複数の衝突板160dは、ハウジング部160aの内面のうち、鉛直方向に延在し、左右方向に対向する一対の側面160gと当接して配される。図2では、複数の衝突板160dは、左右方向(水平方向)に延在するように配される。複数の衝突板160dは、鉛直方向に沿って左右の側面160gに互い違いに配される。これにより、ブローバイガス入口160bから流入したブローバイガスは、ブローバイガス出口160cに向かって流れる際に、複数の衝突板160dと衝突する。あるいは、ブローバイガスは、複数の衝突板160dを迂回しながらブローバイガス入口160bからブローバイガス出口160cに向かって流れる。このとき、ブローバイガスに含まれるオイル(オイルミスト)は、衝突板160dと衝突し、あるいは、衝突板160dを迂回する際の遠心力によって、ブローバイガスから分離(除去)される。ブローバイガスから分離されたオイルは、ブローバイガス入口160bを介してクランク室120に排出され、クランク室120を鉛直方向に落下し、オイルパン110へと戻される。
【0043】
アクチュエータ160eは、各衝突板160dのうち、ハウジング部160aの側面160gと当接する端部(当接部)に接続される。本実施形態では、3つの衝突板160dのそれぞれに、アクチュエータ160eが取り付けられる。アクチュエータ160eは、例えば、モータであり、モータの回転軸が各衝突板160dに取り付けられる。モータの回転軸は、側面160gと平行な方向に延在する。モータの回転軸は、各衝突板160dと一体的に取り付けられる。アクチュエータ160eは、回転軸周りに各衝突板160dを回転駆動させる。
【0044】
乳化剤供給装置500は、乳化剤貯留部502と、オイル貯留部504と、乳化剤供給配管506と、乳化剤バルブ508とを備える。乳化剤貯留部502は、乳化剤を貯留する。乳化剤は、例えば、トリエタノールアミンである。オイル貯留部504は、オイルを貯留する。オイルは、例えば、エンジンオイルである。ここで、オイル貯留部504は、必須の構成ではない。したがって、乳化剤供給装置500には、オイル貯留部504が備えられなくてもよい。
【0045】
乳化剤供給配管506は、一端が乳化剤貯留部502およびオイル貯留部504に接続され、他端がオイルセパレータ160のセパレータ室160fに接続される。乳化剤供給配管506は、乳化剤貯留部502およびオイル貯留部504と、セパレータ室160fとを連通させる。乳化剤供給配管506は、セパレータ室160fのうち鉛直上側に開口する。例えば、乳化剤供給配管506の開口は、ブローバイガス出口160cに隣接して配され、ブローバイガス出口160cのうち鉛直下側の下端よりも鉛直上側に位置する。
【0046】
乳化剤バルブ508は、乳化剤供給配管506に配される。乳化剤バルブ508は、アクチュエータ(不図示)により駆動され、乳化剤供給配管506の流路を開閉する。
【0047】
制御部600は、アクチュエータ160eおよび乳化剤バルブ508と電気的に接続され、アクチュエータ160eおよび乳化剤バルブ508の駆動を制御する。図2では、図面を見やすくするため、制御部600とアクチュエータ160eとの電気的な接続線(図2中、二点鎖線)を省略している。エンジンシステム10には、外気温センサ602、車速センサ604、圧力センサ606、および、油温センサ608が設けられる。外気温センサ602、車速センサ604、圧力センサ606、および、油温センサ608は、制御部600と電気的に接続される。
【0048】
外気温センサ602は、外気温を検出し、外気温に応じた検出信号を制御部600に出力する。車速センサ604は、車速を検出し、車速に応じた検出信号を制御部600に出力する。圧力センサ606は、インテークマニホールド140に設けられ、インテークマニホールド140内の圧力(以下、単にインマニ圧という)を検出し、インマニ圧に応じた検出信号を制御部600に出力する。ただし、吸気配管200に不図示のコンプレッサが設けられる場合、圧力センサ606は、エアクリーナ144とコンプレッサとの間の吸気配管200に設けられ、エアクリーナ144とコンプレッサとの間の吸気配管200内の圧力を検出してもよい。その場合、圧力センサ606は、吸気配管200内の圧力(以下、単に吸気配管圧という)に応じた検出信号を制御部600に出力する。油温センサ608は、オイルパン110に設けられ、オイルパン110に貯留されたオイルの温度(以下、オイル温度という)を検出し、オイル温度に応じた検出信号を制御部600に出力する。
【0049】
制御部600は、外気温センサ602、車速センサ604、圧力センサ606、油温センサ608の出力に基づいて、外気温、車速、インマニ圧(吸気配管圧)、オイル温度を導出する。そして、制御部600は、導出した外気温、車速、インマニ圧(吸気配管圧)、オイル温度に基づいて、所定の条件が満たされたときに、アクチュエータ160eおよび乳化剤バルブ508の駆動を制御する。
【0050】
例えば、制御部600は、凝縮水凍結条件(例えば、外気温が−20℃以下、車速が60km/h以上、インマニ圧(吸気配管圧)が大気圧未満(負圧)、かつ、オイル温度が80℃以下)を満たしたとき、アクチュエータ160eを回転駆動させ、乳化剤バルブ508を開状態に制御する。反対に、制御部600は、上記した凝縮水凍結条件が満たされない場合、アクチュエータ160eを回転駆動させずに図2に示す状態を維持させ、乳化剤バルブ508を閉状態に制御する。
【0051】
図3は、図2に示す衝突板160dの回転駆動後のオイルセパレータ160の分解正面図である。図3に示すように、複数の衝突板160dは、側面160gと大凡平行に配され、鉛直方向に延在するように配される。このとき、図3中、一点鎖線で示すように、ブローバイガス入口160bとブローバイガス出口160cの間の直線経路160h上には、衝突板160dが配されなくなる。したがって、ブローバイガスは、衝突板160dと衝突、あるいは、迂回することなく、直線経路160h上を移動することができる。つまり、ブローバイガス入口160bからセパレータ室160fに流入したブローバイガスは、衝突板160dによってオイルが分離されることなく、ブローバイガス出口160cに到達することができる。
【0052】
このように、本実施形態のオイルセパレータ160は、図2に示す、ブローバイガス中のオイルを分離するように衝突板160dが配される分離状態と、図3に示す、ブローバイガス中のオイルを分離しないように衝突板160dが配される非分離状態とに切換可能に構成されている。
【0053】
ところで、オイルセパレータ160(衝突板160d)によりオイルが分離された後のブローバイガスには、水分(凝縮水)が含まれる。凝縮水を含んだブローバイガスは、PCVバルブ164およびブローバイガス配管162を通って吸気配管200に導かれる。ここで、例えば、車両が寒冷地を走行したとき、ブローバイガスが冷却され、ブローバイガスに含まれる凝縮水が凍結する場合がある。凝縮水が凍結すると、ブローバイガス配管162が閉塞し、クランクケース104の内圧が過度に上昇するおそれがある。
【0054】
そこで、本実施形態では、ブローバイガス還流装置400に乳化剤供給装置500を備える。乳化剤供給装置500は、ブローバイガス流路168に乳化剤を供給する。本実施形態では、乳化剤供給装置500は、図3に示すオイルセパレータ160の非分離状態時に、乳化剤をセパレータ室160fに供給する。
【0055】
例えば、インマニ圧が負圧となるとき、PCVバルブ164が開状態となり、ブローバイガスがオイルセパレータ160およびブローバイガス配管162から吸気配管200側に吸引される。この吸引力を利用して、乳化剤をセパレータ室160fに供給することができる。このとき、乳化剤供給装置500は、乳化剤に加え、オイル貯留部504からオイルをセパレータ室160fに供給してもよい。ただし、乳化剤供給装置500は、不図示のポンプを備え、ポンプにより乳化剤およびオイルをセパレータ室160fに供給(送出)するようにしてもよい。
【0056】
乳化剤がセパレータ室160fに供給されると、乳化剤は、直線経路160h上を移動しブローバイガス出口160cへと流出するブローバイガスに導入され、ブローバイガス中に含まれる凝縮水およびオイルと混合される。ブローバイガス中の凝縮水およびオイルは、乳化剤により乳化され、これにより乳化された凝縮水およびオイルは、凝固点が降下(例えば、−40℃〜−50℃)する。したがって、例えば、車両が寒冷地を走行し、ブローバイガスが冷却されても、ブローバイガス中に含まれる乳化された凝縮水およびオイルが凍結し難くなる。なお、乳化された凝縮水およびオイルは、ブローバイガス配管162、吸気配管200を通してエンジン100の燃焼室118に導入され、燃焼室118で混合気とともに燃焼される。
【0057】
ブローバイガス還流装置400の制御部600は、上記した所定の条件が満たされたときに、アクチュエータ160eを駆動し、衝突板160dを図2に示す状態から図3に示す状態に移動させ、乳化剤バルブ508を開状態に制御する。これにより、乳化剤供給装置500により常時乳化剤による乳化が行われる場合よりも、乳化剤およびオイル(エンジンオイル)の消費量を低減することができる。
【0058】
ここで、制御部600は、インマニ圧が負圧となるときに、乳化剤バルブ508を開状態とする。これにより、PCVバルブ164が開状態となり、ブローバイガスがオイルセパレータ160およびブローバイガス配管162から吸気配管200側に吸引されるときに、乳化剤をブローバイガスに導入させることができる。その結果、乳化剤がセパレータ室160f内を落下し、ブローバイガス入口160bを介してオイルパン110に落下することを抑制することができる。さらに、乳化剤供給配管506の開口は、ブローバイガス入口160bよりもブローバイガス出口160c側に位置する。そのため、乳化剤がブローバイガス入口160bを介してオイルパン110に落下することをさらに抑制することができる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば、オイルセパレータ160の形状は略直方体に限られるものではなく、その側壁の対向する2面が平行でない形状や、側壁の全部または一部に曲面を有する形状などであってもよい。
【0060】
上記実施形態では、乳化剤供給装置500がオイルセパレータ160に取り付けられる例について説明した。しかし、これに限定されず、乳化剤供給装置500は、ブローバイガス配管162に取り付けられてもよい。ここで、PCVバルブ164は、ブローバイガス流路のうち、ブローバイガス中の凝縮水が最も凍結しやすい箇所である。そのため、乳化剤供給装置500(乳化剤供給配管506)は、PCVバルブ164よりもオイルセパレータ160側(上流側)のブローバイガス配管162に取り付けられることが好ましい。ただし、ブローバイガス流路のうち、ブローバイガス中の凝縮水が最も凍結しやすい箇所が他にあれば、その箇所に乳化剤供給装置500(乳化剤供給配管506)が取り付けられてもよい。
【0061】
上記実施形態では、オイルセパレータ160の衝突板160dがアクチュエータ160eにより駆動される例について説明した。しかし、これに限定されず、衝突板160dは、オイルセパレータ160のハウジング部160aに図2に示す状態で固定され、オイルセパレータ160にアクチュエータ160eを設けない構成としてもよい。その場合、乳化剤供給装置500は、乳化剤に加え、オイル貯留部504からオイルをセパレータ室160fに供給させる必要がある。
【0062】
上記実施形態では、制御部600は、上記した所定の条件がすべて満たされたときに、アクチュエータ160eおよび乳化剤バルブ508を駆動させる例について説明した。しかし、これに限定されず、制御部600は、上記した所定の条件の一部が満たされた場合に、アクチュエータ160eおよび乳化剤バルブ508を駆動させてもよい。例えば、制御部600は、インマニ圧が負圧となった場合にのみ、アクチュエータ160eおよび乳化剤バルブ508を駆動させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ブローバイガス還流装置に利用できる。
【符号の説明】
【0064】
100 エンジン
138 吸気流路
140 インテークマニホールド
160 オイルセパレータ
160a ハウジング部
160b ブローバイガス入口
160c ブローバイガス出口
160d 衝突板
160e アクチュエータ
160f セパレータ室
160g 側面
160h 直線経路
162 ブローバイガス配管
164 PCVバルブ
168 ブローバイガス流路
200 吸気配管
400 ブローバイガス還流装置
500 乳化剤供給装置
502 乳化剤貯留部
504 オイル貯留部
506 乳化剤供給配管
508 乳化剤バルブ
600 制御部
602 外気温センサ
604 車速センサ
606 圧力センサ
608 油温センサ
図1
図2
図3