特開2021-160396(P2021-160396A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-160396(P2021-160396A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/205 20110101AFI20210913BHJP
   B60R 21/239 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
   B60R21/205
   B60R21/239
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-61219(P2020-61219)
(22)【出願日】2020年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】橋戸 達矢
(72)【発明者】
【氏名】小松 学倫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲也
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA14
3D054BB08
3D054BB16
3D054CC16
3D054CC34
3D054CC42
3D054CC43
3D054FF17
(57)【要約】
【課題】膨張完了形状に影響を与えずに、エアバッグのベントホールの配置位置等を容易に変更可能なエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】収納部位から後方側へ突出して膨張を完了させるエアバッグ15は、膨張用ガスGをスリット状の開口35を形成して排気するベントホール30、を備える。エアバッグの外周壁16は、複数の周壁構成パネルの外周縁相互を結合させて、形成される。ベントホールを配設させる周壁構成パネル42は、ベントホールの配置部位を通過して、対向する外周縁相互を結ぶ分割ライン43により、二分割される。分割された分割パネル44U,44Dは、分割ライン側の縁に、結合代をエアバッグの内周側に配置させて相互を結合する結合部50と、結合部間の非結合部53と、を設けて相互に結合される。ベントホールは、非結合部における結合部から連なる結合代からなるヒレ部を相互に重ねた部位に、配設される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張用ガスの流入による膨張時、折り畳まれて収納された収納部位から後方側へ突出して膨張を完了させ、乗員受止時に、前記収納部位の周囲の周縁部材に支持されて反力を確保して、乗員を受け止めて保護するエアバッグを備え、
該エアバッグが、余剰の膨張用ガスをスリット状の開口を形成して排気するベントホール、を配設させて構成されるエアバッグ装置であって、
膨張完了時の前記エアバッグの外周壁が、複数に分割された周壁構成パネルの外周縁相互を結合させて、形成され、
前記ベントホールを配設させる前記周壁構成パネルが、前記ベントホールの配置部位を通過して、対向する外周縁相互を結ぶ分割ラインにより、二分割される構成とし、
二分割された分割パネルが、相互を結合する前記分割ライン側の縁に、結合代を前記エアバッグの内周側に配置させて相互を結合する結合部と、該結合部の間に挟まれて相互を結合しない非結合部と、を設けて、相互に結合され、
前記ベントホールが、前記非結合部における前記結合部から連なる結合代からなるヒレ部を相互に重ねた部位に、配設されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ベントホールを配設させた前記周壁構成パネルが、膨張完了時の前記エアバッグの外周壁における左右方向の側壁部を構成する側壁構成パネルとしていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
二つの前記分割パネルに分割する分割ラインが、膨張完了時の前記エアバッグにおける乗員受止時の乗員進入方向と略平行に、設定されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員を保護するために、膨張用ガスを流入させて膨張するとともに、余剰の膨張用ガスを排気するベントホールを設けてなるエアバッグ、を備えて構成されるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアバッグ装置では、エアバッグが、膨張用ガスの流入による膨張時、折り畳まれて収納された収納部位から後方側へ突出して膨張を完了させ、収納部位の周囲の周縁部材に支持されて反力を確保して、乗員を受け止めて保護していた(例えば、特許文献1参照)。さらに、膨張途中で、エアバッグが周囲の障害物と干渉すると、エアバッグの外周壁の歪みを利用して、ベントホールを開口させて、内圧上昇を抑制するように、開口したベントホールから膨張用ガスを排気していた。このベントホールは、閉口状態を維持するテザーを解放して開口させる構成でなく、エアバッグの外周壁にスリット状の開口を開けて、膨張用ガスを排気するスリットベントとして構成されていた。このスリットベントは、エアバッグの内周面側に、外周壁を構成するパネルから一対の面部を張り出させて、張り出させた一対の面部を、合わさせたり離隔させたりして、スリット状の開口を開閉させる構成としていた。そして、従来のエアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時、スリット状の開口の両端に、相互に離隔する引張力が作用されることを利用して、一対の面部を圧接させて、スリットベントを閉口させ、一方、膨張途中で、エアバッグが周囲の障害物に干渉した際には、エアバッグの外周壁が撓んで、スリットの両端に作用する引張力が低下することを利用して、一対の面部を、緩ませて相互に離隔させることにより、スリットベントを開口させて、膨張用ガスを排気していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、スリットベントの配置位置や配置角度、あるいは、長さ等を変更する場合に、簡便に対処できることが望ましい。さらに、スリットベントの配置位置や配置角度、あるいは、長さ等を変更する際、エアバッグの膨張完了形状に影響を与えては、再度、スリットベントの配置位置や配置角度、あるいは、長さ等を設計し直す虞れも生じ、エアバッグの膨張完了形状に影響を与えずに、スリットベントとしてのベントホールの配置位置や配置角度、あるいは、長さ等を変更できることが望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、膨張完了形状に影響を与えずに、エアバッグのベントホールの配置位置等を容易に変更可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置は、膨張用ガスの流入による膨張時、折り畳まれて収納された収納部位から後方側へ突出して膨張を完了させ、乗員受止時に、前記収納部位の周囲の周縁部材に支持されて反力を確保して、乗員を受け止めて保護するエアバッグを備え、
該エアバッグが、余剰の膨張用ガスをスリット状の開口を形成して排気するベントホール、を配設させて構成されるエアバッグ装置であって、
膨張完了時の前記エアバッグの外周壁が、複数に分割された周壁構成パネルの外周縁相互を結合させて、形成され、
前記ベントホールを配設させる前記周壁構成パネルが、前記ベントホールの配置部位を通過して、対向する外周縁相互を結ぶ分割ラインにより、二分割される構成とし、
二分割された分割パネルが、相互を結合する前記分割ライン側の縁に、結合代を前記エアバッグの内周側に配置させて相互を結合する結合部と、該結合部の間に挟まれて相互を結合しない非結合部と、を設けて、相互に結合され、
前記ベントホールが、前記非結合部における前記結合部から連なる結合代からなるヒレ部を相互に重ねた部位に、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置では、エアバッグのベントホールが、エアバッグの外周壁を構成する周壁構成パネルの内の、ベントホールを配設する周壁構成パネル、すなわち、ベントホール構成用パネル、を二枚に分割する際の分割ラインの部位に配設されている。そして、ベントホール自体は、2枚の分割パネルにおける相互の分割ラインでの縁相互を結合させる際、結合部間に非結合部を設けて、その非結合部をスリット状の開口を形成可能なスリットベントとして形成できる。このスリットベントでは、エアバッグの膨張完了時には、非結合部の結合代からなるヒレ部相互が、エアバッグの内圧により圧接されて、スリット状の開口が閉口され、そして、乗員を受け止めて、エアバッグの内圧が所定以上に上昇すれば、そのエアバッグの内圧により、圧接させていた非結合部のヒレ部相互を分離させて、膨張用ガスを排気可能なスリット状の開口を形成でき、その開口から膨張用ガスを排気できる。そして、スリットベントは、ベントホール構成用パネルの二枚の分割パネルを、相互の分割ラインで相互に結合する結合部と、相互に結合しない非結合部と、を設けるだけで形成でき、そのため、ベントホール構成用パネルの分割ライン自体の配置位置や非結合部の長さを変更すれば、スリットベントの配置位置や配置角度、あるいは、開口時の大きさ、を簡単に変更できる。そして、変更した分割ラインで分割した二枚の分割パネルは、分割ラインに沿って結合部を形成すると、分割ラインを変更する前の外周形状と同じとしたベントホール構成用パネル、すなわち、周壁構成パネルを形成できる。そのため、分割ラインで分割していた周壁構成パネルの外周縁を、対応する周壁構成パネルの縁に結合させれば、エアバッグ自体の外周壁を形成することとができて、分割ラインで分割していた二枚の分割パネルを結合して周壁構成パネルを形成すれば、その外形形状は、分割ラインの変更の有無に係らず、同じとなって、エアバッグの膨張完了形状に影響を与えることが無い。
【0008】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、膨張完了形状に影響を与えずに、エアバッグのベントホールの配置位置等を容易に変更することができる。
【0009】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、前記ベントホールを配設させた前記周壁構成パネルが、膨張完了時の前記エアバッグの外周壁における左右方向の側壁部を構成する側壁構成パネルとしていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、膨張完了時のエアバッグが乗員を受け止める後壁部や反力を確保できる上下の壁部から外れた側壁部に、ベントホールが配設されることから、周縁部材や乗員と干渉せずに、ベントホールを開口させることができて、所定の排気性能を確保できる。
【0011】
そしてまた、本発明に係るエアバッグ装置では、二つの前記分割パネルに分割する分割ラインが、膨張完了時の前記エアバッグにおける乗員受止時の乗員進入方向と略平行に、設定されていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、膨張完了時のエアバッグが、乗員を受け止めれば、ベントホールの分割ラインに沿ったスリット状の開口の両端が、乗員の進入方向に沿って配設されていることから、相対的に接近する状態となって、閉口時に圧接させていたヒレ部相互を緩ませることができて、安定して、スリット状の開口を形成でき、安定した排気性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である助手席用のエアバッグ装置を車両に搭載させた状態を示す概略縦断面図である。
図2】実施形態のエアバッグ装置の作動時におけるエアバッグの膨張完了時と、ベントホール開口時とを示す側面図である。
図3】実施形態のエアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す概略斜視図である。
図4】実施形態のエアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態の前後方向に沿った概略縦断面図である。
図5】実施形態のエアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態の左右方向に沿った概略縦断面図であり、ベントホールの結合部と非結合部との部位を示す。
図6】実施形態のエアバッグのベントホールの開口時の状態を説明する概略縦断面図である。
図7】実施形態のエアバッグの構成部材を示す平面図である。
図8】実施形態のエアバッグの側壁構成パネルと分割パネルとを示す平面図である。
図9】実施形態の変形例のエアバッグを示す側面図であり、分割ラインを変更した各エアバッグを示す。
図10図9に示すエアバッグに対応した側壁構成パネルを示す平面図である。
図11】実施形態のさらに変形例のエアバッグを単体で膨張させた状態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置Mは、図1,2に示すように、助手席用エアバッグ装置であり、車両Vにおける助手席の前方のインストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)1の上面2の内部に搭載されるトップマウントタイプとしている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の方向と一致するものである。
【0015】
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図1に示すように、折り畳まれたエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスGを供給するインフレーター8と、エアバッグ15及びインフレーター8を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及びインフレーター8をケース12に取り付けるためのリテーナ9と、折り畳まれたエアバッグ15の上方を覆うエアバッグカバー6と、を備えて構成されている。
【0016】
エアバッグカバー6は、合成樹脂製のインパネ1と一体的に形成されて、エアバッグ15の展開膨張時に、前後二枚の扉部6a,6aを、エアバッグ15に押されて、前後に開くように、構成されている。また、エアバッグカバー6における扉部6a,6aの周囲には、ケース12に連結される連結壁部6cが、形成されている。
【0017】
インフレーター8は、複数のガス吐出口8bを有した略円柱状の本体部8aと、インフレーター8をケース12に取り付けるためのフランジ部8cと、を備えて構成される。インフレーター8は、実施形態の場合、車両Vの前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突と、の際に、作動するように構成されている。
【0018】
収納部位としてのケース12は、上端側に長方形状の開口を有した板金製の略直方体形状に形成され、インフレーター8を下方から挿入させて取り付ける略長方形状の底壁部12aと、底壁部12aの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー6の連結壁部6cを係止する周壁部12bと、を備えて構成されている。エアバッグ15とインフレーター8とは、エアバッグ15内に配置させたリテーナ9の各ボルト9aを取付手段として、エアバッグ15におけるガス流入口24を設けた取付部位23(図3参照)、ケース12の底壁部12a、及び、インフレーター8のフランジ部8cを、貫通させて、ナット10止めすることにより、ケース12の底壁部12aに連結される。また、ケース12の底壁部12aには、車両Vのボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。
【0019】
エアバッグ15は、図1〜5に示すように、膨張完了時の外周壁16として、乗員MPを受け止める後壁部17と、後壁部17の上下の縁17a,17bからそれぞれ前方側に延びて前端18a,19a相互を結合させるように配設される上壁部18及び下壁部19と、上壁部18と下壁部19との左右の縁18b,19bに上下の縁20a,20b,21a,21bを連結させて、それぞれ、後壁部17の左右両縁17c,17dから前方側に延びる左右の側壁部20,21と、を備えて構成されている。
【0020】
下壁部19は、前部側の左右方向の中央付近を収納部位としてのケース12に取り付ける取付部位23としている。取付部位23は、膨張用ガスを流入させるガス流入口24を配設させるとともに、その周縁に、既述のリテーナ9のボルト9aを貫通させる取付孔25を配設させて、構成されている。取付部位23には補強布57が配設されている(図3,7参照)。
【0021】
そして、左側壁部20と右側壁部21とに、余剰の膨張用ガスGを排気するスリットベントからなるベントホール30が配設されている。ベントホール30は、前後方向に長軸を配置させた略楕円形の開口35を形成して、膨張用ガスGを排気する。
【0022】
エアバッグ15の外周壁16は、図7に示すように、ポリアミド等の織布からなる複数の周壁構成パネル39から構成されている。実施形態の場合、複数の周壁構成パネル39は、3枚から形成されて、後壁部17、上壁部18、及び、下壁部19を形成する1枚の帯状の中央壁構成パネル41と、側壁部20,21をそれぞれ形成する2枚の側壁構成パネル42(L,R)と、から構成されている。
【0023】
そして、左右の側壁構成パネル42(L,R)は、それぞれ、外周縁42aの全域を、後壁部17、上壁部18、及び、下壁部19を構成している周壁構成パネル39としての中央壁構成パネル41の幅方向の縁41c,41dに対して、縫合糸55(図5参照)を利用した縫合により、結合される構成としている。
【0024】
なお、中央壁構成パネル41は、両端41a,41b相互を結合させて、後壁部17、上壁部18、及び、下壁部19を前後方向に連ならせた環状に、形成することとなる。
【0025】
そして、ベントホール30を配設させる周壁構成パネル39としての側壁構成パネル42(L,R)は、図7,8に示すように、ベントホール構成用パネル40として、それぞれ、ベントホール30の配置部位を通過して、対向する外周縁42a相互を結ぶ分割ライン43により、二分割される構成としている。分割ライン43は、車両搭載状態でのエアバッグ15の膨張完了時、前後方向に沿って配設されて、車両衝突時に前方移動する乗員MPのエアバッグ15に対する進入方向ED(図1,2参照)に沿う方向としている。
【0026】
分割ライン43で二分割された分割パネル44(U,D)は、側壁構成パネル42を上下に分割させた外形形状として(図2,4参照)、分割ライン43に沿って分割された縁45U,45Dが、直線状として、相互に対向するように配設される。これらの分割パネル44U,44Dは、分割ライン43側の縁45U,45D相互を、縫合糸55を利用する縫合により、結合させて、側壁構成パネル42を製造している(図5参照)。そして、縁45U,45D相互の結合時、結合部50の前部51と後部52との間に、縁45U,45D相互を結合しない非結合部53を設けて、非結合部53の部位に、ベントホール30を形成している。
【0027】
このベントホール30は、結合部50のエアバッグ15の内周側に配設される結合代48が、縫合されずに、上下に重なる状態のヒレ部31(U,D)を配設されて構成されている。すなわち、結合部50は、非結合部53を間にして、前部51と後部52とに分断されて配設されており、エアバッグ15の内周側に配置させて相互を結合する結合部50の前部51と後部52とから連なる結合代48が、ヒレ部31U,31Dとなり、これらのヒレ部31U.31Dからベントホール30が形成されている。このベントホール30が閉口する際には、ヒレ部31U,31Dにおけるエアバッグ15の外表面側の元部32から、結合代48の端縁48a側となる先端縁33まで、の略全域を圧接面34として、相互に圧接させて開口35を閉口し(図4図6のA参照)、そして、開口35を開かせる場合には、ヒレ部31U,31Dを相互に離隔する弓形状に開かせて、前後方向の中央を幅広とした略楕円形のスリット状とした開口35を開かせることとなる(図2のB、図6のB参照)。開口35の前後方向の端部35a,35b側は、結合部50の前部51と後部52とにおいて、結合代48の端縁48a側まで延びるように、縫合糸55により、分割パネル44U,44D相互を縫合した延設部51a,52aを設けている(図4参照)。そのため、延設部51a,51bにより、エアバッグ15の膨張時、開口35の端部35a,35b側の応力集中による破損が防止されている。
【0028】
実施形態のエアバッグ15の製造について説明すると、分割パネル44U,44Dの分割縁45U,45D相互を、縫合糸55により縫合して、左右の側壁構成パネル42L,42Rを形成する。また、予め、ガス流入口24や取付孔25を設けていない状態の補強布57を中央壁構成パネル41の縫合して、孔開け加工により、中央壁構成パネル41とともに、ガス流入口24と取付孔25とを形成しておく。
【0029】
そして、ガス流入口24と取付孔25とを設けた中央壁構成パネル41の左右方向(幅方向)の縁41c,41dに、対応する側壁構成パネル42L,42Rの外周縁42aを縫合するとともに、中央壁構成パネル41の端部41a,41b相互を縫合して、エアバッグ15の裏返された状態の外周壁16を形成し、そして、縫合代がエアバッグ15の外表面側に露出しないように、ガス流入口24を利用して、反転させれば、エアバッグ15を製造することができる。
【0030】
このように製造したエアバッグ15は、リテーナ9を内部に収納させた状態で、ケース12内に収納可能に折り畳み、折り畳んだエアバッグ15の周囲を、折り崩れしないように、破断可能な図示しないラッピングシートによりくるむ。ついで、折り畳んだエアバッグ15をケース12の底壁部12aに載置させて、インフレーター8の本体部8aを、底壁部12aの下方から、ケース12内に挿入させるとともに、底壁部12aから下方に突出しているリテーナ9のボルト9aを、インフレーター8のフランジ部8cに挿通させて、インフレーター8のフランジ部8cから突出した各ボルト9aにナット10を締結させれば、折り畳んだエアバッグ15とインフレーター8とを、ケース12に取り付けることができる。
【0031】
そして、車両Vに搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー6の連結壁部6cに、ケース12の周壁部12bを係止させ、ケース12の図示しないブラケットを、車両Vのボディ側に固定させれば、助手席用エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0032】
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、車両Vに搭載した状態で、車両Vの前面衝突時、斜め衝突時、若しくは、オフセット衝突時に、インフレーター8のガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスGを流入させて膨張し、エアバッグカバー6の扉部6a,6aを押し開き、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開いて形成される開口を経て、ケース12から上方へ突出するとともに、車両後方側に向かって突出しつつ展開膨張し、図1の二点鎖線や図2のAに示すように、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウインドシールド4との間を塞ぐように、膨張を完了させることとなる。
【0033】
そして、エアバッグ15のベントホール30が、エアバッグ15の外周壁16を構成する周壁構成パネル40の内の、ベントホール30を配設する周壁構成パネル、すなわち、ベントホール構成用パネル40、を二枚に分割する際の分割ライン43の部位に配設されている。そして、ベントホール30自体は、2枚の分割パネル44(U,D)における相互の分割ライン43での縁45U,45D相互を結合させる際、結合部50の前部51と後部52との間に非結合部53を設けて、その非結合部53をスリット状の開口35を形成可能なスリットベント30として形成できる。このスリットベント30では、エアバッグ15の膨張完了時には、非結合部53の結合代48からなるヒレ部31U,31D相互が、エアバッグ15の内圧により圧接されて、スリット状の開口35が閉口される(図2のA,図6のA参照)。
【0034】
そして、乗員MPを受け止めて、エアバッグ15の内圧が所定以上に上昇すれば、そのエアバッグ15の内圧により、圧接させていた非結合部53のヒレ部31U,31D相互を分離させて、膨張用ガスGを排気可能なスリット状の開口35を形成でき、その開口35から膨張用ガスGを排気できる(図2のB、図6のB参照)。そして、スリットベント30は、ベントホール構成用パネル40の二枚の分割パネル44U,44Dを、相互の分割ライン43で相互に結合する結合部50と、相互に結合しない非結合部53と、を設けるだけで形成できる。そのため、図9,10に示すように、ベントホール構成用パネル40の分割ライン43を、分割ライン43A,43Bのように、配置位置や非結合部53の長さ寸法(LL,LS)を変更すれば、スリットベント30A,30Bの配置位置や配置角度、あるいは、開口時の大きさ、を簡単に変更できる。なお、エアバッグ15Aでは、分割ライン43Aが前上がりの略前後方向に沿って配設され、エアバッグ15Bでは、分割ライン43Bが前下がりの略前後方向に沿って配設されている。そして、エアバッグ15Bでは、非結合部53の長さ寸法LSが、エアバッグ15Aの非結合部53の長さ寸法LLより、短く設定されている。
【0035】
そして、変更した分割ライン43,43A,43Bで分割した二枚の分割パネル44(U,D)は、分割ライン43,43A,43Bに沿って結合部50を形成すると、分割ライン43,43A,43Bを変更する前の外周形状と同じとしたベントホール構成用パネル40、すなわち、周壁構成パネル39(側壁構成パネル42(L,R))を形成できる。そのため、分割ライン43,43A,43Bで分割していた周壁構成パネル40(側壁構成パネル42(L,R))の外周縁42aを、対応する周壁構成パネル41の縁41c,41dに結合させれば、エアバッグ15,15A,15B自体の外周壁16を形成することとができて、分割ライン43,43A,43Bで分割していた二枚の分割パネル44U,44Dを結合して周壁構成パネル42を形成すれば、エアバッグ15,15A,15Bの膨張完了時の外周壁16の外形形状は、分割ライン43,43A,43Bの変更の有無に係らず、同じとなって、エアバッグ15,15A,15Bの膨張完了形状に影響を与えることが無い。
【0036】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、膨張完了形状に影響を与えずに、エアバッグ15,15A,15Bのベントホール30,30A,30Bの配置位置等を容易に変更することができる。
【0037】
そして、実施形態では、ベントホール30を配設させた周壁構成パネルが、膨張完了時のエアバッグ15の外周壁16における左右方向の側壁部20,21を構成する側壁構成パネル42(L,R)としている。
【0038】
そのため、実施形態では、膨張完了時のエアバッグ15が乗員MPを受け止める後壁部17や、インパネ1やウインドシールド4に支持されて反力を確保できる上下の壁部18,19から外れた側壁部20,21に、ベントホール30が配設されることから、周縁部材のインパネ1・ウインドシールド4や乗員MPと干渉せずに、ベントホール30を開口させることができて、所定の排気性能を確保できる。
【0039】
そしてまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、二つの分割パネル44U,44Dに分割する分割ライン43が、膨張完了時のエアバッグ15における乗員MPの受止時の乗員MPの進入方向EDと略平行となる前後方向に沿って、設定されている。
【0040】
そのため、実施形態では、膨張完了時のエアバッグ15が、乗員MPを受け止めれば、ベントホール30の分割ライン43に沿ったスリット状の開口35の両端35a,35bが、乗員MPの進入方向EDに沿って配設されていることから、相対的に接近する状態となって、閉口時に圧接させていたヒレ部31U,31D相互を緩ませることができて、安定して、スリット状の開口35を形成できて、安定した排気性能を確保できる。
【0041】
なお、分割ライン43は、実施形態のエアバッグ15のように、乗員MPの進入方向EDに沿って平行な前後方向に沿うように配置させる他、図9のエアバッグ15A,15Bの分割ライン43A,43Bのように、若干、傾斜するように、前後方向に略沿うように設定してもよい。さらに、スリットベントの開口が容易ならば、上下方向に沿うように、分割ラインを配設してもよい。
【0042】
また、実施形態では、ベントホール30をエアバッグ15の側壁部20,21を形成した場合を示したが、図11に示すエアバッグ15Cのように、周縁部材に干渉しなければ、上壁部18を構成する周壁構成パネル39をベントホール構成用パネル40Cとして、前後方向に沿う分割ライン43Cに沿って分割された分割パネル44(L,R)の分割縁45(L,R)相互の結合時に、結合部50と非結合部53とを設けて、非結合部53の部位に、スリットベント30Cを形成するように構成してもよい。
【0043】
なお、実施形態では、分割パネル44相互の結合に、縫合糸55を使用した縫合を例示したが、接着や溶着等により、分割パネル44相互を結合させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…(インストルメントパネル・周縁部材)インパネ、4…(周縁部材)ウインドシールド、12…(収納部位)ケース、15,15A,15B、15C…エアバッグ、16…外周壁、20…左側壁部、21…右側壁部、30,30A,30B,30C…ベントホール、31(U,D)…ヒレ部、39…周壁構成パネル、40,40C…ベントホール構成用パネル、42(L,R)…側壁構成パネル、43,43A,43B,43C…分割ライン、44(U,D)(L,R),60(L,R)…分割パネル、45(U,D)(L,R)…分割縁、46(U,D)…外周縁、48…結合代、50…結合部、51…前部、52…後部、53…非結合部、
MP…乗員、ED…進入方向、M…助手席用エアバッグ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11