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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-160649(P2021-160649A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20210913BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
   B60C11/00 B
   B60C11/00 D
   B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-66169(P2020-66169)
(22)【出願日】2020年4月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中崎 敬介
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA03
3D131AA04
3D131BA01
3D131BA05
3D131BA20
3D131BB01
3D131BC02
3D131BC13
3D131BC35
3D131EA02U
3D131EA10U
3D131EB11V
3D131EB11X
(57)【要約】
【課題】操縦安定性を維持しつつ、転がり抵抗係数の低減化を図る空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】トレッド部1におけるタイヤ幅方向の両最外側に位置する一対のショルダー主溝10Bで区画された接地領域では、キャップトレッドゴム11A及びアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴム11BのゲージUTGaとが0.20≦UTGa/TOGa≦0.40の関係を満たし、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsが62以上67以下の範囲にあり、該アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsとキャップトレッドゴム11Aの硬度CapHsとが0.90≦CapHs/UTHs≦1.20の関係を満たし、アンダートレッドゴム11Bのtanδ(60℃)が0.06以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部を有し、前記トレッド部にタイヤ周方向に延在する複数本の主溝が形成された空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、少なくともタイヤ径方向外側に配置されたキャップトレッドゴムと、前記キャップトレッドゴムよりもタイヤ径方向内側に配置されたアンダートレッドゴムとを備え、
前記トレッド部におけるタイヤ幅方向の両最外側に位置する一対の前記主溝で区画された接地領域では、前記キャップトレッドゴム及び前記アンダートレッドゴムのトータルゲージTOGaと、前記アンダートレッドゴムのゲージUTGaとが0.20≦UTGa/TOGa≦0.40の関係を満たし、
前記アンダートレッドゴムの硬度UTHsが62以上67以下の範囲にあり、該アンダートレッドゴムの硬度UTHsと前記キャップトレッドゴムの硬度CapHsとが0.90≦CapHs/UTHs≦1.20の関係を満たし、
前記アンダートレッドゴムのtanδ(60℃)が0.06以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記アンダートレッドゴムは、アミン系老化防止剤を2.0phr以上含む請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記キャップトレッドゴムは、アミン系老化防止剤を2.0phr以上含む請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記キャップトレッドゴムのアミン系老化防止剤の含有量CPMと、前記アンダートレッドゴムのアミン系老化防止剤の含有量UTMとが0.5≦(UTM/CPM)≦1.5の関係を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記キャップトレッドゴム及び前記アンダートレッドゴムのトータルゲージTOGaと、前記アンダートレッドゴムのゲージUTGaと、前記トレッド部のトレッド幅TWとが0.0012≦(UTGa/TOGa)/TW≦0.0040の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記キャップトレッドゴムのtanδ(60℃)が0.10以上0.30以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記主溝の平均溝深さGDと、前記キャップトレッドゴムのゲージCPGaとが1.0≦(GD/CPGa)≦1.3の関係を満たす請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記アンダートレッドゴムは、天然ゴム50質量%以上と末端変性ブタジエンゴム35質量%以上50質量%以下とを含むゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積NSAが70m/g以下であるカーボンブラックが50質量部以上配合され、40℃における反発弾性率が80%以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記空気入りタイヤは、サマータイヤもしくはオールシーズンタイヤである請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップトレッドゴムとアンダートレッドゴムとを積層したトレッド部を備える空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の燃費向上を目的として空気入りタイヤの転がり抵抗係数(Rolling Resistance Coefficient;RRC)の低減化が図られている。この種の空気入りタイヤでは、トレッド部がキャップトレッドゴムとアンダートレッドゴムとを積層して構成され、このアンダートレッドゴムのゲージ(厚さ)を相対的に厚くすることで転がり抵抗係数の低減化を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6158467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、アンダートレッドゴムの硬度はキャップトレッドゴムよりも低く(柔らかく)、単純にアンダートレッドゴムのゲージを厚くするだけでは、操縦安定性の低下が懸念される。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操縦安定性を維持しつつ、転がり抵抗係数の低減化を図る空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部を有し、トレッド部にタイヤ周方向に延在する複数本の主溝が形成され、トレッド部は、少なくともタイヤ径方向外側に配置されたキャップトレッドゴムと、キャップトレッドゴムよりもタイヤ径方向内側に配置されたアンダートレッドゴムとを備え、トレッド部におけるタイヤ幅方向の両最外側に位置する一対の主溝で区画された接地領域では、キャップトレッドゴム及びアンダートレッドゴムのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴムのゲージUTGaとが0.20≦UTGa/TOGa≦0.40の関係を満たし、アンダートレッドゴムの硬度UTHsが62以上67以下の範囲にあり、該アンダートレッドゴムの硬度UTHsとキャップトレッドゴムの硬度CapHsとが0.90≦CapHs/UTHs≦1.20の関係を満たし、アンダートレッドゴムのtanδ(60℃)が0.06以下であることを特徴とする。
【0007】
上記した空気入りタイヤにおいて、アンダートレッドゴムは、アミン系老化防止剤を2.0phr以上含むことが好ましい。
【0008】
また、上記した空気入りタイヤにおいて、キャップトレッドゴムは、アミン系老化防止剤を2.0phr以上含むことが好ましい。
【0009】
また、上記した空気入りタイヤにおいて、キャップトレッドゴムのアミン系老化防止剤の含有量CPMと、アンダートレッドゴムのアミン系老化防止剤の含有量UTMとが0.5≦(UTM/CPM)≦1.5の関係を満たすことが好ましい。
【0010】
また、上記した空気入りタイヤにおいて、キャップトレッドゴム及びアンダートレッドゴムのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴムのゲージUTGaと、トレッド部のトレッド幅TWとが0.0012≦(UTGa/TOGa)/TW≦0.0040の関係を満たすことが好ましい。
【0011】
また、上記した空気入りタイヤにおいて、キャップトレッドゴムのtanδ(60℃)が0.10以上0.30以下であることが好ましい。
【0012】
また、上記した空気入りタイヤにおいて、主溝の平均溝深さGDと、キャップトレッドゴムのゲージCPGaとが1.0≦(GD/CPGa)≦1.3の関係を満たすことが好ましい。
【0013】
また、上記した空気入りタイヤにおいて、アンダートレッドゴムは、天然ゴム50質量%以上と末端変性ブタジエンゴム35質量%以上50質量%以下とを含むゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積NSAが70m/g以下であるカーボンブラックが50質量部以上配合され、40℃における反発弾性率が80%以上であることが好ましい。
【0014】
また、上記した空気入りタイヤは、サマータイヤもしくはオールシーズンタイヤであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部におけるタイヤ幅方向の両最外側に位置する一対の主溝で区画された接地領域では、キャップトレッドゴム及びアンダートレッドゴムのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴムのゲージUTGaとが0.20≦UTGa/TOGa≦0.40の関係を満たし、アンダートレッドゴムの硬度UTHsが62以上67以下の範囲にあり、該アンダートレッドゴムの硬度UTHsとキャップトレッドゴムの硬度CapHsとが0.90≦CapHs/UTHs≦1.20の関係を満たし、アンダートレッドゴムのtanδ(60℃)が0.06以下としたため、操縦安定性を維持しつつ、転がり抵抗係数の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
図2図2は、図1の空気入りタイヤの要部を拡大して示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明において、他の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。各実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0018】
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤを示す子午線断面図である。図2は、図1の空気入りタイヤの要部を拡大して示す断面図である。図1において、子午線断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLはタイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向に係るタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいい、さらに、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。
【0019】
本実施形態に係る空気入りタイヤは、いわゆるサマータイヤやオールシーズンタイヤと呼ばれるタイヤを対象としており、スタッドレスタイヤ(スノータイヤ)を含むものではない。また、本実施形態に係る空気入りタイヤは、一般に普通乗用車や小型乗用車と呼ばれる車両に取り付けられ、特に、いわゆる軽自動車やコンパクトカー(Aセグメント車両)といった車両に好適である。
【0020】
図1に示すように、空気入りタイヤ50は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0021】
一対のビード部3,3間には少なくとも1層のカーカス層4が装架されている。このカーカス層4はタイヤ径方向に延在する複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0022】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°以上40°以下の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0023】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0024】
上記空気入りタイヤにおいて、トレッド部1には、タイヤ周方向に延在する複数本(図1では4本)の主溝10が形成されている。主溝10はタイヤ周方向の所定間隔ごとにウェアインジケーター(不図示)を備えた溝である。これらの主溝10は、タイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向内側に位置する2本のセンター主溝10Aと、センター主溝10Aよりもタイヤ幅方向外側に位置する2本のショルダー主溝10Bとを備える。ショルダー主溝10Bは、タイヤ幅方向最外側に位置する主溝に相当する。センター主溝10Aとショルダー主溝10Bとを区別する必要しない場合には単に主溝10と称する。また、トレッド部1には、主溝10以外の溝としては、タイヤ幅方向に延在するラグ溝などが形成されている。
【0025】
トレッド部1は、2本のセンター主溝10A及び2本のショルダー主溝10Bが形成されることで、複数(図1では5つ)の陸部20に区画される。具体的には、陸部20は、一対のセンター主溝10A,10Aの間にタイヤ周方向に延在するセンター陸部20Aと、センター主溝10Aとショルダー主溝10Bとの間にタイヤ周方向に延在するセカンド陸部20Bと、ショルダー主溝10Bのタイヤ径方向外側に位置しタイヤ周方向に延在するショルダー陸部20Cとを備える。これらセンター陸部20A、セカンド陸部20B及びショルダー陸部20Cを区別しない場合には単に陸部20と称する。
【0026】
上記空気入りタイヤ50において、トレッド部1におけるカーカス層4、ベルト層7及びベルトカバー層8の外側には、トレッドゴム層11が配置されている。サイドウォール部2におけるカーカス層4の外側には、サイドゴム層12が配置されている。ビード部3におけるカーカス層4の外側には、リムクッションゴム層13が配置されている。そして、タイヤ内面にはカーカス層4に沿ってインナーライナー層14が配置されている。
【0027】
トレッドゴム層11は、図2に示すように、少なくとも2層の積層構造を有し、タイヤ径方向最外側に位置するキャップトレッドゴム11Aと、該キャップトレッドゴム11Aのタイヤ径方向内側に隣接するアンダートレッドゴム11Bとを含んでいる。キャップトレッドゴム11Aは、接地特性および耐候性に優れるゴム材料から成り、トレッド部1の表面(トレッド面、踏面ともいう)1Aに露出して走行時に路面と接触する。また、キャップトレッドゴム11Aには、トレッド部1の主溝10やラグ溝などの各種の溝が主として形成されている。アンダートレッドゴム11Bは、キャップトレッドゴム11Aとベルト層7との間に配置されてトレッドゴム層11のベース部分を構成する。
【0028】
ところで、サマータイヤやオールシーズンタイヤとして使用されている空気入りタイヤでは、車両の燃費向上を目的とした転がり抵抗係数の低減化と操縦安定性との両立を実現できる構成が模索されている。本構成では、トレッドゴム層11におけるアンダートレッドゴム11Bのゲージ(厚さ)、硬度、及びtanδ(損失正接)の値をそれぞれ改良することにより、良好な操縦安定性を確保しつつ、転がり抵抗係数の低減を図っている。
【0029】
具体的には、上記空気入りタイヤ50において、キャップトレッドゴム11A及びアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴム11BのゲージUTGaとが0.20≦UTGa/TOGa≦0.40の関係を満たしている。トータルゲージTOGaは、キャップトレッドゴム11AのゲージCPGaとアンダートレッドゴム11BのゲージUTGaとの和(CPGa+UTGa=TOGa)である。このため、本構成では、トータルゲージTOGaとキャップトレッドゴム11AのゲージCPGaとが0.60≦CaGa/TOGa≦0.80を満たしている。
【0030】
このように、トレッドゴム層11は、トータルゲージTOGaに対するアンダートレッドゴム11BのゲージUTGaを相対的に厚くすることにより、転がり抵抗係数の低減化を図ることができる。なお、各ゴムのゲージは、トレッド部1の2本のショルダー主溝10B、10Bの間の接地領域、より具体的には、各陸部20におけるタイヤ幅方向中央部(幅方向中心から両外側に25%の範囲)にて測定された平均厚さである。
【0031】
接地領域は、タイヤ幅方向の両最外端に位置する接地端Tで区画される領域であり、空気入りタイヤ50を規定リムにリム組みし、かつ、規定内圧を充填すると共に規定荷重の70%をかけたとき、この空気入りタイヤ50のトレッド部1のトレッド面が乾燥した平坦な路面と接地する領域である。規定リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、規定内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、規定荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0032】
また、上記空気入りタイヤ50において、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsは62以上67以下の範囲に設定されている。さらに、このアンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsとキャップトレッドゴム11Aの硬度CapHsとが0.90≦CapHs/UTHs≦1.20の関係を満たしている。ここで、硬度とは、JIS−K6253に準拠して、Aタイプのデュロメータを用いて温度23℃の条件にて測定されるデュロメータ硬さであり、JIS−A硬度とも呼ばれるものである。この構成では、アンダートレッドゴム11Bが比較的に高い硬度(中硬度)を有し、アンダートレッドゴム11Bとキャップトレッドゴム11Aとが同等の硬度となるように設定されているため、トレッド部1の剛性を確保して良好な操縦安定性を確保することができる。
【0033】
また、上記空気入りタイヤ50において、アンダートレッドゴム11Bのtanδ(60℃)は、キャップトレッドゴム11Aのtanδ(60℃)よりも小さい値に設定されている。具体的には、アンダートレッドゴム11Bのtanδ(60℃)は0よりも大きく0.06以下に設定されており、キャップトレッドゴム11Aのtanδ(60℃)は0.10以上0.30以下に設定されている。ここで、tanδ(60℃)とは、60℃における損失正接(損失弾性率/貯蔵弾性率)をいい、ゴム材料が有する弾性及び粘性の性質を評価する指標である。通常、tanδ(60℃)の値が0に近いほど弾性度が高く、大きくなるほど粘性度が高くなる傾向にある。また、tanδ(60℃)の値が0に近いほど、発熱性が低くなり、転がり抵抗係数が小さい傾向にある。
【0034】
本構成では、キャップトレッドゴム11A及びアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaとアンダートレッドゴム11BのゲージUTGaとが0.20≦UTGa/TOGa≦0.40の関係を満たし、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsが62以上67以下の範囲にあり、該アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsとキャップトレッドゴム11Aの硬度CapHsとが0.90≦CapHs/UTHs≦1.20の関係を満たし、アンダートレッドゴム11Bのtanδ(60℃)が0.06以下であるため、トータルゲージTOGaに対するアンダートレッドゴム11BのゲージUTGaを相対的に厚くし、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsを中硬度とし、かつ、アンダートレッドゴム11Bを低発熱性とすることができる。このため、トレッド部1の剛性を確保して良好な操縦安定性を確保できるとともに、転がり抵抗係数の低減を実現することができる。
【0035】
ここで、UTGa/TOGaが0.20未満であると、アンダートレッドゴム量が少ないため、転がり抵抗係数の低減効果が十分でない。また、UTGa/TOGaが0.40よりも大きいと、アンダートレッドゴム量が多すぎて操縦安定性が低下する。また、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsが62未満の場合には、トレッド部1の剛性が不十分となり操縦安定性が低下する。また、硬度UTHsが67よりも大きい場合には、アンダートレッドゴムの低発熱性を維持できずに転がり抵抗係数が悪化する問題がある。さらに、CapHs/UTHsが0.90未満であると、アンダートレッドゴム11Bに対してキャップトレッドゴム11Aが柔らかすぎるため操縦安定性を維持できない問題がある。また、CapHs/UTHsが1.20よりも大きいと、キャップトレッドゴム11Aに対してアンダートレッドゴム11Bが柔らかすぎるため、トレッド部1の剛性が不十分となり操縦安定性が低下する。さらに、アンダートレッドゴム11Bのtanδ(60℃)が0.06よりも大きいと、アンダートレッドゴム11Bの発熱性が高いため、転がり抵抗係数が悪化する問題がある。
【0036】
さらに、本構成では、キャップトレッドゴム11Aのtanδ(60℃)を0.10以上0.30以下に設定したため、キャップトレッドゴム11Aとして比較的粘性の高いゴムを使用することができ、ゴムの摩擦力が向上する結果、トレッド部1のグリップ力が向上して操縦安定性の向上を図ることができる。
【0037】
また、上記した空気入りタイヤ50で使用されるトレッド部1は使用中に酸素、オゾン、光、動的疲労などの様々な要因により劣化する。本構成では、キャップトレッドゴム11Aはアミン系老化防止剤を2.0phr以上含み、アンダートレッドゴム11Bはアミン系老化防止剤を2.0phr以上含んでいる。すなわち、アンダートレッドゴム11Bは、キャップトレッドゴム11Aと同等以上にアミン系老化防止剤を含んでいる。アミン系老化防止剤はゴムの老化(劣化)を防止して、トレッド部1の主溝10などの溝底に生じるグルーブクラックを抑制するものであり、例えば、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(商品名:ノクラック(登録商標)6C)を用いることができる。なお、phrはゴム成分重量100に対するアミン系老化防止剤の重量部を示している。
【0038】
ここで、アンダートレッドゴム11Bは外部に露出しておらず、主溝10はキャップトレッドゴム11Aに形成されているため、主溝10の溝底へのグルーブクラックを抑制するにはアミン系老化防止剤をキャップトレッドゴム11Aのみに含有させればよいと考えることもできる。しかし、アミン系老化防止剤をキャップトレッドゴム11Aのみに含有させた場合には、キャップトレッドゴム11Aからアンダートレッドゴム11Bへアミン系老化防止剤が流出(マイグレーションともいう)することで、キャップトレッドゴム11Aのアミン系老化防止剤の含有量が低下してグルーブクラックが生じることが判明した。このため、本構成では、アンダートレッドゴム11Bにアミン系老化防止剤を2.0phr以上含ませることにより、キャップトレッドゴム11Aからアンダートレッドゴム11Bへのアミン系老化防止剤のマイグレーションを抑制し、主溝10の溝底に生じるグルーブクラックを抑制することができる。
【0039】
ここで、アンダートレッドゴム11Bのアミン系老化防止剤の含有量が2.0phr未満であると老化防止剤の不足により、主溝10等の溝底にグルーブクラックが発生し易い問題が生じるため、アンダートレッドゴム11Bのアミン系老化防止剤の含有量は2.0phr以上であることが好ましい。また、キャップトレッドゴム11Aのアミン系老化防止剤の含有量CPMとアンダートレッドゴム11Bのアミン系老化防止剤の含有量UTMとは0.5≦(UTM/CPM)≦1.5の関係を満たすことが好ましい。
【0040】
また、上記空気入りタイヤ50において、キャップトレッドゴム11Aとアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴム11BのゲージUTGaと、トレッド部1のトレッド幅TWとが0.0012≦(UTGa/TOGa)/TW≦0.0040の関係を満たすことが好ましい。トレッド幅TWは、図1に示すように、タイヤ幅方向におけるトレッド部1の接地端T、T間の距離であり、空気入りタイヤ50を規定リムにリム組みし、かつ、規定内圧を充填すると共に規定荷重の70%をかけた状態で測定される。
【0041】
上記したように本実施形態に係る空気入りタイヤ50は、軽自動車やコンパクトカー(Aセグメント車両)に装着されることに適している。軽自動車などの空気入りタイヤは、普通乗用車の空気入りタイヤよりもトレッド幅TWが狭く、操縦安定性が低くなりがちな傾向にある。また、軽自動車などの空気入りタイヤは、普通乗用車の空気入りタイヤよりも転がり抵抗係数の低減化が要求されている。ここで、(UTGa/TOGa)/TWが0.0012未満の場合には、トレッド幅TW(言い換えればタイヤサイズ)に対するアンダートレッドゴム量が少ないため、転がり抵抗係数の低減効果が十分に得られない虞がある。一方、(UTGa/TOGa)/TWが0.0040よりも大きい場合には、トレッド幅TWに対するアンダートレッドゴム量が多く、操縦安定性の低下を招く虞がある。
【0042】
本構成では、キャップトレッドゴム11Aとアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴム11BのゲージUTGaと、トレッド部1のトレッド幅TWとが0.0012≦(UTGa/TOGa)/TW≦0.0040を満たす範囲に調整することにより、トレッド幅TWに対する(UTGa/TOGa)の値を相対的に大きくすることができる。従って、軽自動車やコンパクトカーに装着された空気入りタイヤ50であっても、良好な操縦安定性の確保と、転がり抵抗係数の低減とを両立することができる。
【0043】
また、上記した空気入りタイヤ50において、キャップトレッドゴム11AのゲージCPGaと主溝10の平均溝深さGDとは1.0≦(GD/CPGa)≦1.3を満たし、主溝10の平均溝深さGDが5.0mm以上9.0mm以下の範囲にあることが好ましい。これにより、主溝10の平均溝深さGDに対してキャップトレッドゴム11AのゲージCPGaを最適化することができ、操縦安定性の向上を図ることができる。
【0044】
また、上記した空気入りタイヤ50において、アンダートレッドゴム11Bに使用されるタイヤ用ゴム組成物のゴム成分は、天然ゴムと末端変性ブタジエンゴムとを必ず含むジエン系ゴムである。天然ゴムとしては、タイヤ用ゴム組成物に通常用いられるゴムを使用することができる。天然ゴムを配合することで、タイヤ用ゴム組成物として充分なゴム強度を得ることができる。ジエン系ゴム全体を100質量%としたとき、天然ゴムの配合量は50質量%以上、好ましくは50質量%以上70質量%以下、より好ましくは60質量%以上65質量%以下である。天然ゴムの配合量が50質量%未満であるとゴム強度が低下する。
【0045】
末端変性ブタジエンゴムは、分子鎖の片末端または両末端が官能基を有する有機化合物で変性されたブタジエンゴムである。このような末端変性ブタジエンゴムを配合することにより、後述するカーボンブラックとの親和性を高くし分散性を改善するため、発熱性を低く維持しながら、カーボンブラックの作用効果を一層向上して、ゴム硬度を高めることができる。分子鎖の末端を変性する官能基としては、例えばヒドロキシル基(水酸基)、アミノ基、アミド基、アルコキシル基、エポキシ基、シロキサン結合基から選ばれる少なくとも一つであるとよい。ここで、シロキサン結合基は、−O−Si−O−構造を有する官能基とする。
【0046】
ジエン系ゴム全体を100質量%としたとき、末端変性ブタジエンゴムの配合量は、35質量%以上50質量%以下、好ましくは40質量%以上50質量%以下である。末端変性ブタジエンゴムの配合量が35質量%未満であると低燃費性が悪化する。末端変性ブタジエンゴムの配合量が50質量%を超えるとゴム強度が低下する。
【0047】
末端変性ブタジエンゴムの分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.1以上1.6以下である。このように、末端変性ブタジエンゴムとして分子量分布が狭いものを用いることで、ゴム物性がより良好になり、転がり抵抗を低減しながら、タイヤにした時の操縦安定性や耐久性を効果的に向上することができる。末端変性ブタジエンゴムの分子量分布(Mw/Mn)が2.0を超えるとヒステリシスロスが大きくなってゴムの発熱性が大きくなると共に、耐コンプレッションセット性が低下する。
【0048】
本構成で使用する末端変性ブタジエンゴムのガラス転移温度Tgは好ましくは−85℃以下、より好ましくは−100℃以上−90℃以下であるとよい。このようにガラス転移温度Tgを設定することで、発熱性を効果的に低減することができる。ガラス転移温度Tgが−80℃を超えると発熱性を低減する効果が充分に得られなくなる。なお、天然ゴムのガラス転移温度Tgは特に限定されないが、例えば−80℃以上−70℃以下に設定することができる。
【0049】
また、本構成で使用する末端変性ブタジエンゴムは、ビニル含有量が好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上15質量%以下である。末端変性ブタジエンゴムのビニル含有量が0.1質量%未満であると、カーボンブラックとの親和性が不足し発熱を充分に低減することが難しくなる。末端変性ブタジエンゴムのビニル含有量が20質量%を超えると、ゴム組成物のガラス転移温度Tgが上昇し、転がり抵抗および耐摩耗性を十分に改良することができない。なお、末端変性ブタジエンゴムのビニル単位含有量は赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。末端変性ブタジエンゴムにおけるビニル単位含有量の増減は、触媒等、通常の方法で適宜調製することができる。
【0050】
また、上記空気入りタイヤ50において、アンダートレッドゴム11Bに使用されるタイヤ用ゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックが必ず配合される。カーボンブラックを配合することでゴム組成物の強度を高めることができる。特に、本構成に係るタイヤ用ゴム組成物に配合されるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積NSAが70m/g以下であり、好ましくは35m/g以上60m/g以下、より好ましくは35m/g以上〜50m/g以下である。このように粒径が大きいカーボンブラックを上述の変性ブタジエンゴムと組み合わせて配合することで、発熱性を低く維持しながら、ゴム硬度を効果的に高めることができる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積NSAが70m/gを超えると発熱性が悪化する。なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積NSAは、JIS6217−2に準拠して測定するものとする。
【0051】
カーボンブラックの配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、50質量部以上であり、好ましくは55質量部以上65質量部以下、より好ましくは57質量部以上60質量部以下である。カーボンブラックの配合量が50質量部未満であるとアンダートレッドゴム11Bの硬度が低下する。
【0052】
また、上記空気入りタイヤ50において、アンダートレッドゴム11Bに使用されるタイヤ用ゴム組成物は、硬度UTHsが上述のように62以上67以下の範囲に設定され、好ましくは65以上67以下である。また、上記空気入りタイヤ50において、アンダートレッドゴム11Bに使用されるタイヤ用ゴム組成物は、40℃における反発弾性率が80%以上、好ましくは80%以上85%以下、より好ましくは82%以上85%以下である。本構成のアンダートレッドゴム11Bは、上記した物性を有するため、転がり抵抗係数を低減しつつ、操縦安定性を向上することができる。反発弾性率が80%未満の場合には、発熱が悪化し転がり抵抗係数を低減することができない。なお、これら硬度や反発弾性率は上述の配合のみで決定されるものではなく、例えば混練条件や混練方法によっても調整可能な物性である。
【0053】
以上、本実施形態に係る空気入りタイヤ50は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1を有し、トレッド部1にタイヤ周方向に延在する複数本の主溝10が形成され、トレッド部1は、少なくともタイヤ径方向外側に配置されたキャップトレッドゴム11Aと、キャップトレッドゴム11Aよりもタイヤ径方向内側に配置されたアンダートレッドゴム11Bとを備え、トレッド部1におけるタイヤ幅方向の両最外側に位置する一対のショルダー主溝10Bで区画された接地領域では、キャップトレッドゴム11A及びアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴム11BのゲージUTGaとが0.20≦UTGa/TOGa≦0.40の関係を満たし、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsが62以上67以下の範囲にあり、該アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsとキャップトレッドゴム11Aの硬度CapHsとが0.90≦CapHs/UTHs≦1.20の関係を満たし、アンダートレッドゴム11Bのtanδ(60℃)が0.06以下であるため、トータルゲージTOGaに対するアンダートレッドゴム11BのゲージUTGaを相対的に厚くし、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsを中硬度とし、かつ、アンダートレッドゴム11Bを低発熱性とすることができる。これにより、トレッド部1の剛性を確保して良好な操縦安定性を確保できるとともに、転がり抵抗係数の低減を実現することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、アンダートレッドゴム11Bは、アミン系老化防止剤を2.0phr以上含み、キャップトレッドゴム11Aは、アミン系老化防止剤を2.0phr以上含むため、キャップトレッドゴム11Aからアンダートレッドゴム11Bへのアミン系老化防止剤のマイグレーションを抑制し、主溝10の溝底に生じるグルーブクラックを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、キャップトレッドゴム11Aのアミン系老化防止剤の含有量CPMと、アンダートレッドゴム11Bのアミン系老化防止剤の含有量UTMとが0.5≦(UTM/CPM)≦1.5の関係を満たすため、キャップトレッドゴム11Aからアンダートレッドゴム11Bへのアミン系老化防止剤のマイグレーションを抑制し、主溝10の溝底に生じるグルーブクラックを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、キャップトレッドゴム11A及びアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaと、アンダートレッドゴム11BのゲージUTGaと、トレッド部1のトレッド幅TWとが0.0012≦(UTGa/TOGa)/TW≦0.0040の関係を満たすため、例えば、軽自動車やコンパクトカーに装着された場合であっても、良好な操縦安定性の確保と、転がり抵抗係数の低減とを両立することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、キャップトレッドゴム11Aのtanδ(60℃)が0.10以上0.30以下であるため、キャップトレッドゴム11Aとして比較的粘性の高いゴムを使用することができ、ゴムの摩擦力が向上する結果、トレッド部1のグリップ力が向上して操縦安定性の向上を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、主溝10の平均溝深さGDと、キャップトレッドゴム11AのゲージCPGaとが1.0≦(GD/CPGa)≦1.3の関係を満たすため、主溝10の平均溝深さGDに対してキャップトレッドゴム11AのゲージCPGaを最適化することができ、操縦安定性の向上を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、アンダートレッドゴム11Bは、天然ゴム50質量%以上と末端変性ブタジエンゴム35質量%以上50質量%以下とを含むゴム成分100質量部に対して、窒素吸着比表面積N2SAが70m2/g以下であるカーボンブラックが50質量部以上配合され、40℃における反発弾性率が80%以上であるため、トレッド部1の剛性を確保して良好な操縦安定性を確保できるとともに、転がり抵抗係数の低減を実現することができる。
【実施例】
【0060】
図3は、本実施形態に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、操縦安定性と転がり抵抗係数とグルーブクラックに関する評価を行った。試験タイヤは、トレッド部1に配置されたトレッドゴム層11がタイヤ径方向最外側に位置するキャップトレッドゴム11Aとキャップトレッドゴム11Aのタイヤ径方向内側に隣接するアンダートレッドゴム11Bをと備え、キャップトレッドゴム11A及びアンダートレッドゴム11BのトータルゲージTOGaとアンダートレッドゴム11BのゲージUTGaとの関係UTGa/TOGa、キャップトレッドゴム11Aの硬度CapHsとアンダートレッドゴム11Bの硬度UTHsとの関係CapHs/UTHs、アンダートレッドゴム11Bの硬度UTHs、アンダートレッドゴム11Bのアミン系老化防止剤の含有量、上記UTGa/TOGaとトレッド幅TWとの関係、主溝の平均溝深さGDとキャップトレッドゴム11AのゲージCPGaとの関係GD/CPGaを図3に示す実施例1〜6及び比較例1〜6のタイヤを製作した。比較のため、硬度の低いアンダートレッドゴムを備えた従来例1,2を用意した。
【0061】
試験タイヤは、タイヤサイズを155/65R14 75Sとし、これら試験タイヤについて、下記試験方法により、転がり抵抗係数、操縦安定性、及びグルーブクラックを評価し、その結果を図3に併せて示した。転がり抵抗係数の評価は、各試験タイヤをリムサイズ14×4.5Jのホイールに組み付けてドラム試験機に装着し、空気圧240kPaの条件下にて、ISO25280に準拠して転がり抵抗係数を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。指数値が大きいほど転がり抵抗係数が小さく優れていることを意味する。
【0062】
操縦安定性の評価は、各試験タイヤをリムサイズ14×4.5Jのホイールに組み付けて空気圧240kPaとし、乗用車に装着して乾燥路面のテストコースを走向し、テストドライバーによって官能性評価を行った。そして、従来例1を100とする指数にて示した。指数値が大きいほど操縦安定性が優れていることを意味する。
【0063】
グルーブクラックの評価では、各試験タイヤをリムサイズ14×4.5Jのホイールに組み付けて空気圧240kPaとした状態でオゾンが供給された試験室内に24時間放置し、主溝に形成されたグルーブクラックを計測した。評価結果は、計測値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。指数値が大きいほどグルーブクラックの発生数が少なく優れていることを意味する。
【0064】
図3から判るように、実施例1〜8のタイヤは、従来例1との対比において、良好な操縦安定性を確保しつつ、転がり抵抗係数及びグルーブクラックの発生数の低減化を実現することができた。一方、比較例1〜6のタイヤは、所定の条件を満たしていないため操縦安定性、転がり抵抗係数及びグルーブクラックを両立させる効果が十分に得られなかった。また、従来例2のタイヤは、従来例1に比べて硬度の低いアンダートレッドゴムの相対的は厚みを厚くした、いわゆるスタッドレスタイヤであるが、この場合、操縦安定性が悪化する結果となった。
【符号の説明】
【0065】
1 トレッド部
10 主溝
10A センター主溝
10B ショルダー主溝
11 トレッドゴム層
11A キャップトレッドゴム
11B アンダートレッドゴム
20 陸部
50 空気入りタイヤ
CPGa キャップトレッドゴムのゲージ
CapHs キャップトレッドゴムの硬度
TOGa トータルゲージ
TW トレッド幅
UTGa アンダートレッドゴムのゲージ
UTHs アンダートレッドゴムの硬度
図1
図2
図3