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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-169286(P2021-169286A)
(43)【公開日】2021年10月28日
(54)【発明の名称】自動車用の熱管理システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20211001BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20211001BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20211001BHJP
【FI】
   B60H1/22 671
   B60L58/26
   B60L3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-74015(P2020-74015)
(22)【出願日】2020年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡橋 学芙
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 吉男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅貴
【テーマコード(参考)】
3L211
5H125
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211AA11
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125CD06
5H125CD08
5H125EE51
5H125FF22
5H125FF23
5H125FF24
(57)【要約】
【課題】車室の暖房と冷房を一つの熱回路で賄うことができるとともに、車載の電源から得られる熱を車室の暖房にも利用することのできる熱管理システムを提供する。
【解決手段】本明細書が開示する熱管理システムは、第1熱媒体が流れる第1熱回路と、第2熱媒体が流れる第2熱回路と、第2熱媒体から第1熱媒体へ熱を移す主熱交換器を備える。第1熱回路は、コンプレッサと、車室暖房器と、第1空気熱交換器と、蒸発器と、第1循環路と、第1バイパス流路と、第1切替弁を備える。第1循環路は、コンプレッサと車室暖房器と第1空気熱交換器と主熱交換器をこの順序で接続する。第1バイパス流路は第1循環路に接続されており、主熱交換器を迂回して蒸発器に第1熱媒体を通す。第1切替弁は、主熱交換器と蒸発器のいずれかを選択する。車室暖房器が車室内の空気を温める。蒸発器が車室内の空気を冷却する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱媒体が流れる第1熱回路と、
第2熱媒体が流れる第2熱回路と、
前記第2熱媒体から前記第1熱媒体へ熱を移す主熱交換器と、
を備えており、
前記第1熱回路は、
前記第1熱媒体を圧縮するコンプレッサと、
前記第1熱媒体で車室内の空気を温める車室暖房器と、
前記第1熱媒体と外気との間で熱交換する第1空気熱交換器と、
前記第1熱媒体で前記車室内の空気を冷却する蒸発器と、
前記コンプレッサと前記車室暖房器と前記第1空気熱交換器と前記主熱交換器をこの順序で接続している第1循環路と、
前記第1循環路に接続されており、前記主熱交換器を迂回して前記蒸発器に前記第1熱媒体を通す第1バイパス流路と、
前記第1熱媒体の流れ先として前記主熱交換器と前記蒸発器のいずれかを選択する第1切替弁と、
を備えており、
前記第2熱回路は、
走行用のモータに電力を供給する電源を冷却する電源冷却器と、
前記電源冷却器と前記主熱交換器を接続しており、前記第2熱媒体が循環する第2循環路と、
を備えている、自動車用の熱管理システム。
【請求項2】
前記第1熱回路は、
前記第1空気熱交換器を通過する空気量を調整するグリルシャッタと、
前記車室暖房器を通過後の前記第1熱媒体の温度が所定の温度範囲に保持されるように前記グリルシャッタの開度を制御するコントローラと、
を備えている、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記第2熱回路は、
前記第2熱媒体と外気の間で熱交換する第2空気熱交換器と、
前記第2循環路に接続されており、前記電源冷却器を迂回して前記第2空気熱交換器に前記第2熱媒体を通す第2バイパス流路と、
前記第2熱媒体の流れ先として前記電源冷却器と前記第2空気熱交換器のいずれかを選択する第2切替弁と、
を備えている、請求項1または2に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記第2熱回路は、
前記モータを冷却するモータ冷却器と、
前記第2空気熱交換器の入口と出口で前記第2バイパス流路に接続されており、前記第2熱媒体を前記モータ冷却器と前記第2空気熱交換器の間で循環させるモータ循環路と、
前記モータ循環路に接続されており、前記モータ循環路を流れる前記第2熱媒体に前記第2空気熱交換器をバイパスさせる第3バイパス流路と、
を備えている、請求項3に記載の熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、自動車用の熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に自動車に搭載される熱管理システムが開示されている。この熱管理システムは、熱媒体が循環する複数の熱回路(エンジン冷却回路、冷却水回路等)を有している。この熱管理システムは、エンジン冷却回路にてエンジンを冷却するとともにエンジンから得た熱で車室を暖房する。冷却水回路は、走行用のモータに電力を供給するインバータを冷却する機能と、車室を冷却する機能を有する。特許文献1の熱管理システムでは、車室暖房器はエンジン冷却回路に組み込まれており、車室冷房器は冷却水回路に組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−181594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、車室暖房用の熱回路(エンジン回路)と車室冷房用の熱回路(冷却水回路)とが分かれているため、車室冷暖房のための熱媒体流路が複雑になるという課題がある。本明細書は、車室の暖房と冷房を一つの熱回路で賄うことができるとともに、車載の電源から得られる熱を車室の暖房にも利用することのできる熱管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する熱管理システムは、第1熱媒体が流れる第1熱回路と、第2熱媒体が流れる第2熱回路と、第2熱媒体から第1熱媒体へ熱を移す主熱交換器を備える。
【0006】
第1熱回路は、コンプレッサと、車室暖房器と、第1空気熱交換器と、蒸発器と、第1循環路と、第1バイパス流路と、第1切替弁を備える。第1循環路は、コンプレッサと車室暖房器と第1空気熱交換器と主熱交換器をこの順序で接続している。第1バイパス流路は第1循環路に接続されており、主熱交換器を迂回して蒸発器に第1熱媒体を通す。第1切替弁は、第1空気熱交換器を通過した第1熱媒体の流れ先として主熱交換器と蒸発器のいずれかを選択する。第1空気熱交換器は、第1熱媒体と外気との間で熱交換する。コンプレッサは、第1熱媒体を圧縮する。車室暖房器が第1熱媒体で車室内の空気を温める。蒸発器が第1熱媒体で車室内の空気を冷却する。
【0007】
車室を暖房するときにはコンプレッサで圧縮された高温の第1熱媒体が車室暖房器にて車室の空気を温める。このとき、第1切替弁は主熱交換器を選択しており、第1熱媒体は蒸発器には流れない。車室を冷却するときには、第1切替弁は蒸発器を選択する。コンプレッサで圧縮された高温の第1熱媒体は第1空気熱交換器で冷却される。冷却された第1熱媒体は蒸発器にて蒸発し、さらに温度が下がる。車室内の空気は蒸発器にて冷却される。このように車室の暖房と冷却は一つの熱回路(第1熱回路)で賄うことができる。
【0008】
第2熱回路は、電源冷却器と第2循環路を備える。電源冷却器は、走行用のモータに電力を供給する電源を冷却する。第2循環路は、電源冷却器と主熱交換器を接続している。第2熱媒体は、第2循環路を通して電源冷却器と主熱交換器の間を循環する。
【0009】
第2熱回路にて、第2熱媒体は電源から熱を吸収する。第1熱回路で車室を暖房する際、主熱交換器にて第1熱媒体で第2熱媒体を加熱する。車室の暖房に電源の熱を利用することができる。
【0010】
第1熱回路は、さらに、開度を調整可能なグリルシャッタとコントローラを備えてもよい。グリルシャッタは、第1空気熱交換器を通過する空気量を調整する。
【0011】
第1熱媒体は、コンプレッサで圧縮されることによって温度が高くなる。温度が高くなった第1熱媒体が車室暖房器を通過するときに車室の空気を温める。車室暖房器を通過した後の第1熱媒体が有している余剰の熱量は第1空気熱交換器で外気に放出される。コントローラは、車室暖房器を通過後の第1熱媒体の温度が所定の温度範囲に保持されるようにグリルシャッタの開度を制御する。
【0012】
外気に放出する熱量は、グリルシャッタの開度を変えることで調整される。暖房で要求される熱量を車室の空気に与えつつ、第2熱媒体の温度を適切な範囲に保持することができる。コンプレッサの出力調整によっても第2熱媒体の温度を適切な範囲に保持することはできる。しかし、グリルシャッタを利用することで消費電力を抑えることができる。
【0013】
第2熱回路は、第2熱媒体と外気の間で熱交換する第2空気熱交換器と、第2循環路に接続されている第2バイパス流路と、第2切替弁を備えていてもよい。第2バイパス流路は、電源冷却器を迂回して第2空気熱交換器に第2熱媒体を通す。第2切替弁は、主熱交換器を通過した第2熱媒体の流れ先として電源冷却器と第2空気熱交換器のいずれかを選択する。車室を暖房する際に電源の熱が利用できない場合、第2空気熱交換器を通じて外気の熱を第2熱媒体に移すことで、外気の熱を車室暖房に利用することができる。
【0014】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例の熱管理システムの回路図である。
図2】暖房時のコントローラの処理のフローチャートである(1)。
図3】暖房時のコントローラの処理のフローチャートである(2)。
図4】暖房時のコントローラの処理のフローチャートである(3)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して実施例の熱管理システム2を説明する。図1に、熱管理システム2の回路図を示す。ここでいう「回路」とは、熱媒体の流路の回路を意味する。
【0017】
熱管理システム2は、電気自動車に搭載されており、車室の温度を調整するとともに、バッテリ5(電源)、走行用のモータ6、電力変換器7を冷却する。バッテリ5の電力は、電力変換器7によってモータ6の駆動に適した交流電力に変換され、モータ6に供給される。バッテリ5は、リチウムイオンバッテリである。バッテリ5の出力は100ボルトを超える。
【0018】
熱管理システム2は、第1熱回路10と、第2熱回路40と、チラー3と、コントローラ4を備える。第1熱回路10が車室の温度を調整する。第2熱回路40がバッテリ5、モータ6、電力変換器7を冷却する。
【0019】
第1熱回路10について説明する。第1熱回路10では、コンプレッサ12、車室暖房器13、空冷コンデンサ14、第1切替弁15、チラー3がこの順序で第1循環路11によって接続されている。第1循環路11には第1熱媒体が流れる。第1熱媒体には、水よりも沸点の低い冷媒が用いられる。第1熱媒体には例えばハイドロフルオロカーボンが採用される。
【0020】
コンプレッサ12が動作すると、第1熱媒体が第1循環路11を循環する。コンプレッサ12よりも上流側では第1熱媒体は気体である。コンプレッサ12は、気体の第1熱媒体を圧縮する。コンプレッサ12の下流側に接続された車室暖房器13は凝縮器であり、コンプレッサ12で圧縮された第1熱媒体は、車室暖房器13で液体に変化するとともに温度が高くなる。
【0021】
車室暖房器13には、車室の空気が流れるエアダクト26と、車室の空気を車室暖房器13に送るファン27が備えられている。車室暖房器13にて、車室の空気は高温の第1熱媒体で温められる。車室暖房器13にはヒータ28が備えられており、第1熱媒体の熱では熱量が不足する場合は、ヒータ28も使って車室の空気を温める。
【0022】
車室暖房器13の下流側には空冷コンデンサ14が配置されている。空冷コンデンサ14は、電気自動車の前部に配置されており、その周囲に外気が流れる。空冷コンデンサ14の前にはグリルシャッタ30が配置されている、走行中、外気はグリルシャッタ30を通過した後に空冷コンデンサ14を通る。空冷コンデンサ14では、第2熱媒体が外気と熱交換する。より具体的には、空冷コンデンサ14では、第2熱媒体が有する余剰の熱量が外気に放出される。
【0023】
グリルシャッタ30は角度を変えることができるルーバ30aを備えている。ルーバ30aの角度を変えることで、空冷コンデンサ14を通過する空気の量を調整することができる。グリルシャッタ30の通過空気量を調整することを「グリルシャッタ30の開度を調整する」と表現する。ルーバ30aの角度を変えることが、グリルシャッタ30の開度を調整することに相当する。グリルシャッタ30の開度を調整することで、空冷コンデンサ14にて第2熱媒体から外気へ放出される単位時間当たりの熱量を制御することができる。グリルシャッタ30(ルーバ30a)はコントローラ4によって制御される。
【0024】
空冷コンデンサ14の下流側に第1切替弁15が接続されており、第1切替弁15の下流側にチラー3が接続されている。空冷コンデンサ14と第1切替弁15の間にはモジュレータ29が接続されている。モジュレータ29は、液体の第2熱媒体から気泡を除去する。
【0025】
第1循環路11には第1バイパス流路16が接続されている。第1バイパス流路16の一端は第1切替弁15を介してチラー3の上流側(チラー3の冷媒入口)に接続されている。第1バイパス流路16の他端はチラー3の下流側(チラー3の冷媒出口)に接続されている。第1バイパス流路16の途中に膨張弁22と蒸発器17とEPR23(エバポレータプレッシャレギュレータ)が接続されている。第1バイパス流路16は、第1熱媒体にチラー3を迂回させて蒸発器17へ通す。
【0026】
第1切替弁15は、空冷コンデンサ14を通過した第1熱媒体の流れ先としてチラー3と蒸発器17のいずれかを選択する。第1切替弁15とチラー3の間には膨張弁21が備えられている。
【0027】
第1切替弁15がチラー3を選択すると、空冷コンデンサ14を通過した第1熱媒体は膨張弁21とチラー3を通る。膨張弁21とチラー3で第1熱媒体は気化し、温度が下がる。チラー3には第2循環路41も通過している。第2循環路41は第2熱回路40に属し、第2熱媒体が流れる。チラー3において第2熱媒体は第1熱媒体よりも高温であり、第2熱媒体から第1熱媒体へ熱が移る。別言すれば、チラー3にて第2熱媒体が有する熱量が第1熱媒体に伝達される。
【0028】
第1切替弁15が蒸発器17を選択すると、空冷コンデンサ14を通過した第1熱媒体は膨張弁22と蒸発器17を通る。膨張弁22と蒸発器17で第1熱媒体は気化し、温度が下がる。
【0029】
蒸発器17には、車室の空気が流れるエアダクト24と、車室の空気を蒸発器17に送るファン25が備えられている。エアダクト24を通過する空気は蒸発器17で冷却される。すなわち、車室が冷却される。
【0030】
コンプレッサ12、第1切替弁15、ファン25、27は、コントローラ4によって制御される、コントローラ4にはスイッチ8が接続されている。スイッチ8は車室に備えられている。ユーザは、スイッチ8を操作することにより、車室の暖房または冷房を切り替えることができる。
【0031】
車室を冷却するときのコントローラ4の処理を説明する。スイッチ8により冷房が選択されると、コントローラ4は、蒸発器17を選択するように第1切替弁15を制御する。同時にコントローラ4は、ファン27を停止する。ファン27を停止するので車室の空気は車室暖房器13へ送られないので温められない。コントローラ4は、コンプレッサ12とファン25を起動し、グリルシャッタ30(ルーバ30a)を全開にする。コンプレッサ12で圧縮され高温になった第1熱媒体は、空冷コンデンサ14にて外気で冷却される。温度の低下した第1熱媒体は蒸発器17で膨張し温度が急激に下がる。コントローラ4は、ファン25を作動させる。ファン25により車室の空気は蒸発器17を通り、冷却される。冷却された空気が再び車室に戻り、車室が冷却される。
【0032】
車室を温めるときのコントローラ4の処理を説明する。スイッチ8により暖房が選択されると、コントローラ4は、チラー3を選択するように第1切替弁15を制御する。第1熱媒体は蒸発器17を通らないので車室の空気は冷却されない。コントローラ4は、コンプレッサ12とファン27を起動する。コンプレッサ12で圧縮された空気は車室暖房器13を通る。ファン27により車室の空気は車室暖房器13へ送られ、温められる。温められた空気が再び車室に戻り、車室が温められる。
【0033】
先に述べたように、第1熱媒体が有する熱量では車室の空気を温めるのに熱量が不足する場合は、コントローラ4はヒータ28を起動し、ヒータ28によっても車室の空気を温める。
【0034】
第1熱媒体が有する熱量が車室の空気を温めるのに過多である場合、余剰の熱量は空冷コンデンサ14で外気へ放出される。コントローラ4は、第1熱媒体の温度が適切な温度範囲に保持されるように、グリルシャッタ30の開度を調整する。グリルシャッタ30の開度が大きいほど、第1熱媒体は冷却される。グリルシャッタ30の制御については後述する。
【0035】
空冷コンデンサ14を通過した第1熱媒は第1切替弁15を通じてチラー3へ流れる。先に述べたように、チラー3では、第2熱媒体によって第1熱媒体が温められる。第2熱媒体の熱も車室の暖房に利用される。詳しくは後述するが、車室を暖房するとき、バッテリ5の熱、あるいは、外気の熱が第2熱媒体とチラー3を介して第1熱媒体へ移される。バッテリ5の熱、あるいは、外気の熱が、車室の暖房に利用される。
【0036】
上記したように、熱管理システム2は、1個の熱回路(第1熱回路10)で車室の冷房と暖房が賄える。バッテリ5の熱、あるいは、外気の熱を車室の暖房に利用するときのコントローラ4の制御については後述する。
【0037】
第2熱回路40について説明する。第2熱回路40は、第2循環路41、ポンプ42、バッテリ冷却器45、ヒータ44を備える。第2循環路41は、チラー3とバッテリ冷却器45とポンプ42を接続している。ポンプ42が動作すると、第2熱媒体がチラー3とバッテリ冷却器45を循環する。バッテリ冷却器45にて第2熱媒体がバッテリ5を冷却する。バッテリ冷却器45を通過し、温度が高くなった第2熱媒体はチラー3へ流れる。先に述べたように、第2熱媒体の熱は、チラー3にて第1熱媒体へ移り、第2熱媒体の温度が下がる。
【0038】
バッテリ5は温度が低すぎると効率が下がる。バッテリ5の温度が低いときにはヒータ44を起動し、第2熱媒体を温める。ヒータ44によって高温となった第2熱媒体がバッテリ冷却器45を通過する間にバッテリ5を温める。第2熱回路40はバッテリ5を温める場合があるが、本実施例では第2熱回路40がバッテリ5を冷却する状況に着目する。
【0039】
第2熱回路40は、さらに、第2熱媒体と外気の間で熱交換するラジエータ47、第2バイパス流路46、第2切替弁43を備える。第2バイパス流路46は、第2循環路41に接続している。第2バイパス流路46の一端は第2切替弁43を介してバッテリ冷却器45の上流側に接続されており、他端はバッテリ冷却器45の下流側に接続されている。第2切替弁43は、チラー3を通過した第2熱媒体の流れ先としてバッテリ冷却器45とラジエータ47のいずれかを選択する。
【0040】
スイッチ8にて車室暖房が選択されているとき、バッテリ5の温度が低い場合、コントローラ4は、ラジエータ47を選択するように第2切替弁43を制御する。ポンプ42を駆動すると、第2熱媒体がチラー3を通り、第2熱媒体の熱が第1熱媒体に移り、第2熱媒体の温度が下がる。温度が下がった第2熱媒体はラジエータ47を通る。温度の下がった第2熱媒体はラジエータ47にて外気から熱を吸収する。外気の熱によって温められた第2熱媒体は、ポンプ42により再びチラー3へ送られ、第1熱媒体を温める。このようにバッテリ5の温度が低い場合には、ラジエータ47とチラー3を介して外気の熱が車室の暖房に利用される。
【0041】
第2熱回路40はさらに、モータ6と電力変換器7を冷却するモータ循環路51を備える。モータ循環路51にも第2熱媒体が流れる。モータ循環路51の一端はラジエータ47の下流側で第2バイパス流路46に接続している。モータ循環路51は、電力変換器7を冷却する変換器冷却器55と、ポンプ52と、オイルクーラ53をこの順序で通過する。モータ循環路51の他端はラジエータ47の上流側で第2バイパス流路46に接続している。
【0042】
モータ循環路51には、第2熱媒体にラジエータ47を迂回させるラジエータバイパス流路58が接続されている。ラジエータ47の上流側にてラジエータバイパス流路58は第3切替弁54を介してモータ循環路51に接続する。
【0043】
オイルクーラ53にはオイル循環路56が通過している。オイル循環路56はモータ6を通過している。オイル循環路56にはオイルポンプ57が接続されている。オイルポンプ57が動作すると、オイルクーラ53とモータ6の間をオイルが循環する。オイルはモータ6を通過する間にモータ6を冷却する。モータ6を冷却して温度が上昇したオイルはオイルクーラ53にて第2熱媒体によって冷却される。オイルクーラ53とオイルポンプ57とオイル循環路56がモータ6を冷却するモータ冷却器に相当する。
【0044】
モータ循環路51の中の第2熱媒体は、ラジエータバイパス流路58を通り、変換器冷却器55とオイルクーラ53を循環する。第2熱媒体の温度が所定の閾値温度を超えると、コントローラ4はラジエータ47を選択するように第3切替弁54を制御する。同時にコントローラ4は、バッテリ冷却器45を選択するように第2切替弁43を制御する。第2循環路41を流れる第2熱媒体は、ポンプ42、チラー3、バッテリ冷却器45を循環する。モータ循環路51を流れる第2熱媒体は、変換器冷却器55、ポンプ52、オイルクーラ53、ラジエータ47を循環する。電力変換器7とモータ6(オイル)を冷却した第2熱媒体は、ラジエータ47で熱を放出し、冷却される。
【0045】
以下の説明では、第3切替弁54はラジエータバイパス流路58を選択しており、モータ循環路51はラジエータ47から切り離されている状態を想定する。別言すれば、チラー3を通過した第2熱媒体はバッテリ冷却器45とラジエータ47のいずれかに流れる。第2熱媒体の流れ先は第2切替弁43により選択される。
【0046】
熱管理システム2は、流路の各所に熱媒体(第1熱媒体または第2熱媒体)の温度を計測する温度センサを備えているが、それら温度センサの図示は省略した。また、熱管理システム2は、外気温度を計測する温度センサも備えているが、そのセンサの図示も省略した。
【0047】
先に述べたように、図1の熱管理システム2は、車室を暖房する際にバッテリ5の熱あるいは外気の熱を利用する。以下では、車室を暖房するときのコントローラ4の処理について説明する。ユーザがスイッチ8を操作し、暖房を選択すると、コントローラ4が暖房処理を開始する。なお、暖房のときにはチラー3を使うので、コントローラ4は、空冷コンデンサ14を通過した第1熱媒体の流れ先としてチラー3が選択されるように第1切替弁15を制御する。
【0048】
図2図4に、コントローラ4が実行する処理のフローチャートを示す。コントローラ4は、一定の周期で図2図4の処理を繰り返し実行する。
【0049】
フローチャートで用いる記号(変数)の意味は、図2図4の右下に記した。フローチャートにて、各処理の左側から入る矢印は、コントローラ4に入力される変数を表している。
【0050】
コントローラ4は、バッテリ5の温度(バッテリ温度Tb)を温度閾値Thと比較する(ステップS2)。バッテリ5には不図示の温度センサが備えられており、温度センサがバッテリ温度Tbを取得する。温度閾値Thは予め定められている定数である。バッテリ温度Tbが温度閾値Thを超えている場合(ステップS2:YES)、バッテリ5の熱を暖房に利用する。図2のステップS3−S5が、バッテリ5の熱を利用する場合の処理である。バッテリ温度Tbが温度閾値Thを下回っている場合(ステップS2:NO)、外気の熱を暖房に利用する。図2のステップS6−S8が、外気の熱を利用する場合の処理である。ステップS9以降は、バッテリ5の熱を使う場合も外気の熱を使う場合も同じである。
【0051】
バッテリ5の熱を暖房に利用する場合(ステップS2:YES)、コントローラ4は、バッテリ5を選択するように、第2熱回路40の第2切替弁43を制御する(ステップS3)。
【0052】
変数「Qb」は、バッテリ5の発熱量を意味する。変数「Ib」はバッテリ5の電流を意味する。なお、電流Ibは、通常はバッテリ5の出力電流を意味するが、バッテリ5が充電されているときにはバッテリ5に供給される電流を意味する。バッテリ発熱量Qbは、電流Ibの二乗に比例する。変数「Ce」が比例係数を意味し、コントローラ4は、算術式Ce×Ib×Ibを用いてバッテリ発熱量Qbを求める(ステップS4)。図1の第2熱回路40がバッテリ5の温度を一定に保つ。それゆえ、バッテリ発熱量Qbは、第2熱回路40がバッテリ5から吸収する熱量に等しい。変数「Qc2」が、第2熱回路40が得る熱量(第2熱回路熱量)を意味する。バッテリ5の熱を利用する場合、コントローラ4は、バッテリ発熱量Qbを、第2熱回路熱量Qc2に代入する(ステップS5)。詳しくは後述するが、第2熱回路熱量Qc2が、第1熱回路10にて車室暖房に利用される。
【0053】
外気の熱を暖房に利用する場合(ステップS2:NO)、コントローラ4は、ラジエータ47を選択するように、第2切替弁43を制御する(ステップS6)。第2熱媒体は、第2切替弁43を通してチラー3から第2バイパス流路46を通り、ラジエータ47に達する。第2熱媒体はラジエータ47にて外気から熱を受け取る。第2熱媒体が外気から受け取る熱量Qambは、外気温度Tambと車速Velと第2熱媒体の温度Tc2に依存する。なお、ここでの第2熱媒体温度Tc2は、ラジエータ47の上流側に設置された温度センサ(不図示)の計測値である。外気温度Tambと車速Velと第2熱媒体の温度Tc2と、それらに依存する熱量Qambとの関係式(Qamb=g(Tamb、Vel、Tc2))はラジエータ47の特性で決まるものであり、予め求められている。その関係式は予めコントローラ4に記憶されている。コントローラ4は、その関係式を用い、ラジエータ47にて第2熱媒体が外気から得る熱量Qambを算出する(ステップS7)。
【0054】
ステップS7で得られる熱量Qambが、車室暖房に利用できる外気の熱量に相当する。外気の熱を利用する場合、コントローラ4は、熱量Qambを、第2熱回路熱量Qc2に代入する(ステップS8)。
【0055】
ステップS5あるいはステップS8にて、車室暖房に利用できる熱量(第2熱回路熱量Qc2)が定まる。続いてコントローラ4は、第2熱回路熱量Qc2を暖房要求熱量Qwと比較する(ステップS9)。なお、より正確には、コントローラ4は、第2熱回路熱量Qc2を、(暖房要求熱量Qw−マージン熱量Qm)と比較する。
【0056】
「Qw」は、暖房に要求される熱量を意味する。ユーザは、スイッチ8(図1)により暖房の強さを選択できる。暖房の強さは例えば5段階の中から選択可能である。スイッチ8によってユーザが選択する暖房の強さに応じて暖房要求熱量Qwが定まる。すなわち、暖房要求熱量Qwは、ユーザが選択する。
【0057】
コントローラ4は、第2熱回路熱量Qc2が(暖房要求熱量Qw−マージン熱量Qm)よりも大きい場合(ステップS9:YES)、図3の処理を実行する。第2熱回路熱量Qc2が(暖房要求熱量Qw−マージン熱量Qm)よりも小さい場合(ステップS9:NO)、図4の処理を実行する。マージン熱量Qmは、予め定められた値である。
【0058】
詳しくは後述するが、第2熱回路熱量Qc2>(暖房要求熱量Qw−マージン熱量Qm)の場合、グリルシャッタ30の開度Gsの調整が必要になり、第2熱回路熱量Qc2<(暖房要求熱量Qw−マージン熱量Qm)の場合、グリルシャッタ30は全閉状態に保持される。
【0059】
ステップS9の判断がYESの場合の処理を説明する(図3)。第2熱回路熱量Qc2が(暖房要求熱量Qw−マージン熱量Qm)よりも大きい場合は、余剰の熱量を空冷コンデンサ14で放熱する。空冷コンデンサ14の放熱量は、グリルシャッタ30の開度(ルーバ30aの角度)で調整される。
【0060】
図3の「Qt1」は、第1熱量閾値を意味する。第1熱量閾値Qt1は、コンプレッサ12とポンプ42の出力を決めるための閾値である。第2熱回路熱量Qc2が第1熱量閾値Qt1よりも大きい場合(ステップS11:YES)、コントローラ4は、コンプレッサ12の出力をHiに設定し、ポンプ42の出力もHiに設定する(ステップS12)。第2熱回路熱量Qc2が第1熱量閾値Qt1よりも小さい場合(ステップS11:NO)、コントローラ4は、コンプレッサ12の出力をLoに設定し、ポンプ42の出力もLoに設定する(ステップS13)。出力Hiは、出力Loよりも大きい。すなわち、第2熱回路熱量Qc2が比較的に大きい場合には、コントローラ4は、第1熱回路10と第2熱回路40の性能を上げる。
【0061】
変数「Qcp」は、コンプレッサ12が第1熱媒体に与える熱量(コンプレッサ供給熱量)を意味する。コンプレッサ12は、第1熱媒体を圧縮し、液化することで、第1熱媒体にエネルギを与える。このエネルギが、コンプレッサ供給熱量Qcpに相当する。コンプレッサ供給熱量Qcpは、コンプレッサ12の出力と、コンプレッサ12に入る前の第1熱媒体の温度で定まる。第1循環路11のコンプレッサ12よりも上流側に温度センサが備えられており、コントローラ4は、その温度センサから第1熱媒体の温度を取得する。
【0062】
第1熱媒体の温度とコンプレッサ12の出力と、それらに対するコンプレッサ供給熱量Qcpの関係式は予め求められており、コントローラ4に記憶されている。コントローラ4は、ステップS12またはS13で決定したコンプレッサ12の出力と、コンプレッサ12の上流における第1熱媒体の温度から、コンプレッサ供給熱量Qcpを算出する(ステップS14)。
【0063】
変数「Qc1」は、第1熱回路10が車室の空気に与えることができる熱量(第1熱回路熱量)を意味する。第1熱回路熱量Qc1は、第2熱回路40から得られる熱量(第2熱回路熱量Qc2)とコンプレッサ12で得られる熱量(コンプレッサ供給熱量Qcp)の和で表される(ステップS15)。
【0064】
コントローラ4は、ファン27を駆動し、車室の空気を車室暖房器13に通す。コンプレッサ12を通過した高温の第1熱媒体は、車室暖房器13を通過する。車室暖房器13にて、第1熱媒体から暖房要求熱量Qwが車室の空気へ伝達される。ユーザが選択した暖房強さで車室が温められる。
【0065】
変数「Qsp」は、第2熱回路熱量Qc2から暖房要求熱量Qwを減じた熱量(余剰熱量)を意味する(ステップS16)。車室の空気に与える熱量が暖房要求熱量Qwであるので、第1熱回路10が有する熱量(第1熱回路熱量Qc1)から暖房要求熱量Qwを引いた余剰熱量Qspは、放出する必要がある。余剰熱量Qspは、図1で示した空冷コンデンサ14で外気へ放出される。空冷コンデンサ14を通過する空気の量はグリルシャッタ30の開度Gs(ルーバ30aの角度)に依存する。コントローラ4は、空冷コンデンサ14で放出される熱量が余剰熱量Qspに等しくなるように、グリルシャッタ30を制御する。空冷コンデンサ14における放熱量は、車速Vel、外気温度Tamb、第1熱媒体の温度Tc1、グリルシャッタ30の開度Gsに依存する。コントローラ4には、その関係が予め記憶されている。コントローラ4は、その関係を用いて、外気温度Tambと車速Velと第1熱媒体温度Tc1と目標放熱量(すなわち余剰熱量Qsp)からグリルシャッタ30の開度Gsを求める(ステップS17)。なお、空冷コンデンサ14の上流側に温度センサが備えられており、ステップS17で用いる第1熱媒体温度Tc1はその温度センサによって計測される。
【0066】
コントローラ4は、得られた開度Gsが実現されるように、グリルシャッタ30(ルーバ30a)を制御する(ステップS18)。
【0067】
暖房時にバッテリ発熱量Qbまたは外気の熱を利用する場合、コントローラ4は、ステップS12またはS13でコンプレッサ12とポンプ42の出力を決めた後、グリルシャッタ30の開度Gsを調整し、余剰熱量Qspを放熱する(ステップS14−S18)。コントローラ4は、一定の周期で図2図4の処理を繰り返し実行する(図4の処理については後述する)。コントローラ4は、車速Velと外気温度Tambと第1熱媒体温度Tc1の変化に応じてグリルシャッタ30の開度Gsを調整する。
【0068】
実施例の熱管理システム2では、外気に放出する熱量(余剰熱量Qsp)は、グリルシャッタ30の開度を変えることで調整される。熱管理システム2は、グリルシャッタ30の開度を調整することで、暖房要求熱量Qwを車室の空気に与えつつ、第2熱媒体の温度を適切な範囲に保持することができる。コンプレッサの出力調整によっても第2熱媒体の温度を適切な範囲に保持することはできる。しかし、コンプレッサの出力を調整するのに要する電力はグリルシャッタ30の開度を調整するのに要する電力よりも大きい。グリルシャッタを利用することで消費電力を抑えることができる。
【0069】
図2のステップS9の判断がNOの場合の処理を説明する(図4)。第2熱回路熱量Qc2が(暖房要求熱量Qw−マージン熱量Qm)よりも小さい場合、第2熱回路熱量Qc2と熱量Qcp(コンプレッサ12が第1熱媒体に与える熱量)では暖房要求熱量Qwに達しない。図4は、そのような場合の処理である。
【0070】
まず、コントローラ4は、グリルシャッタ30を全閉にする(ステップS21)。グリルシャッタ30を全閉にすることで、空冷コンデンサ14で放熱される熱量を最小に抑える。
【0071】
ステップS22の「Qt2」は、第2熱量閾値を意味する。第2熱量閾値Qt2は、第1熱量閾値Qt1と同様に、コンプレッサ12とポンプ42の出力を決めるための閾値である。ただし第2熱量閾値Qt2は、第1熱量閾値Qt1よりも小さい。第2熱回路熱量Qc2が第2熱量閾値Qt2よりも大きい場合(ステップS22:YES)、コントローラ4は、コンプレッサ12の出力をHiに設定し、ポンプ42の出力もHiに設定する(ステップS23)。第2熱回路熱量Qc2が第2熱量閾値Qt2よりも小さい場合(ステップS22:NO)、コントローラ4は、コンプレッサ12の出力をLoに設定し、ポンプ42の出力もLoに設定する(ステップS24)。図3のステップS12、S13の処理と同様に、第2熱回路熱量Qc2が比較的に大きい場合には、コントローラ4は、第1熱回路10と第2熱回路40の性能を上げる。
【0072】
続いてコントローラ4は、コンプレッサ供給熱量Qcpを算出し(ステップS25)、第1熱回路10が使える熱量(第1熱回路熱量Qc1)を算出する(ステップS26)。ステップS25、S26の処理はステップS14、S15の処理と同じである。
【0073】
図4の処理は、第1熱回路熱量Qc1が小さく、第1熱回路熱量Qc1が暖房要求熱量Qwに達しない場合に実行される。その場合は、ヒータ28(図1参照)も使って車室の空気を温める。
【0074】
ステップS27の変数「Qsh」は、第2熱回路熱量Qc2の不足分を意味する。暖房要求熱量Qwから第1熱回路熱量Qc1を減じた値が不足熱量Qshに相当する(ステップS27)。コントローラ4は、ファン27を駆動するとともに、ヒータ28(図1参照)から車室の空気に不足熱量Qshが伝達されるようにヒータ28を駆動する(ステップS28)。なお、ステップS28の変数「Qht」は、ヒータ28の発熱量を意味する。コントローラ4は、ステップS28にて、ヒータ28の発熱量Qhtが不足熱量Qshに一致するようにヒータ28を制御する。車室暖房器13にて、第1熱媒体から熱量Qc1が車室の空気に与えられ、ヒータ28から熱量Qht(=Qsh)が車室の空気に与えられる。車室の空気にはトータルで暖房要求熱量Qw(=Qc1+Qsh)が与えられ、ユーザが選択した暖房強さで車室が温められる。
【0075】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。チラー3が主熱交換器の一例に相当する。空冷コンデンサ14が第1空気熱交換器の一例に相当する。バッテリ5が電源の一例に相当する。電源は燃料電池であってもよい。ラジエータ47が第2空気熱交換器の一例に相当する。実施例の熱管理システム2では、コンプレッサ12の出力とポンプ42の出力は2段階で選択可能である。コンプレッサ12の出力とポンプ42の出力は3段階以上で選択可能であってもよい。
【0076】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0077】
2 :熱管理システム
3 :チラー
4 :コントローラ
5 :バッテリ
6 :モータ
7 :電力変換器
8 :スイッチ
10:第1熱回路
11:第1循環路
12:コンプレッサ
13:車室暖房器
14:空冷コンデンサ
15:第1切替弁
16:第1バイパス流路
17:蒸発器
21:膨張弁
22:膨張弁
24:エアダクト
25:ファン
26:エアダクト
27:ファン
28:ヒータ
29:モジュレータ
30:グリルシャッタ
40:第2熱回路
41:第2循環路
42:ポンプ
43:第2切替弁
44:ヒータ
45:バッテリ冷却器
46:第2バイパス流路
47:ラジエータ
51:モータ循環路
52:ポンプ
53:オイルクーラ
54:第3切替弁
55:変換器冷却器
56:オイル循環路
57:オイルポンプ
58:ラジエータバイパス流路
図1
図2
図3
図4