特開2021-172298(P2021-172298A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2021-172298固定窓、および当該固定窓を備えた車両用ドア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-172298(P2021-172298A)
(43)【公開日】2021年11月1日
(54)【発明の名称】固定窓、および当該固定窓を備えた車両用ドア
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/10 20060101AFI20211004BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20211004BHJP
【FI】
   B60J1/10 A
   B60J5/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-80204(P2020-80204)
(22)【出願日】2020年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】池上 学
(72)【発明者】
【氏名】岩田 真介
(57)【要約】
【課題】機械締結によって車両用ドアに固定されながらも騒音抑制が可能な固定窓を提供する。
【解決手段】固定窓10は、透過性プレート12と、枠体11とを備えている。枠体11には、締結部材16によって枠体11を車両用ドアのパネル4に締結する締結部24が備えられている締結部24は、枠体11における車幅方向内側を向く枠体下部13の内側面13aから車幅方向内側に突出して設けられる。枠体11は、内側面13aから車幅方向内側に向けて突出して、それぞれ、車両前後方向に延びてパネル4に当接可能な第1リップ部27および第2リップ部26を備える。第1リップ部27の車幅方向内側の先端部27bは、締結部24の外周の車幅方向内側の外周端部24cの先端部に連続するように外周端部24cに連結している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性プレートと、
前記透過性プレートの周縁を保持する枠体と、を備え、
前記枠体に、締結部材によって当該枠体を車両用ドアのパネルに締結する締結部が備えられている車両用ドアの固定窓であって、
前記締結部は、前記枠体における車幅方向内側を向く内側面から車幅方向内側に突出して設けられ、
前記枠体は、前記内側面から車幅方向内側に向けて突出して、それぞれ、車両前後方向に延びて前記パネルに当接可能な、第1リップ部および前記第1リップ部から離間して設けられた第2リップ部を備え、
前記第1リップ部の車幅方向内側の先端部は、前記締結部の外周の車幅方向内側の外周端部の先端部に連続するように前記外周端部に連結している、
固定窓。
【請求項2】
前記第1リップ部は、車幅方向内側の先端部において、前記締結部の外周端部の近傍で車幅方向外側に凹んだ凹部を有する、
請求項1に記載の固定窓。
【請求項3】
前記締結部は、前記締結部材とともに前記パネルを挟持する挟持面と、前記挟持面の周囲であって前記凹部に隣接する位置において前記挟持面よりも車幅方向外側に後退している後退部とを有している、
請求項2に記載の固定窓。
【請求項4】
前記締結部は、車両側面視において円形形状を有しており、
前記第1リップ部は、前記車両側面視における前記締結部の中心より音源から遠い方の位置で前記締結部の外周端部に連結されている、
請求項2または3に記載の固定窓。
【請求項5】
前記第2リップ部は、前記締結部に対して車両前後方向の前方側および後方側において、前記第1リップ部と連結する連結部を備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定窓。
【請求項6】
前記第2リップ部は、前記締結部を避けるように湾曲した湾曲部を有する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定窓。
【請求項7】
開口を有するドアパネルと、
前記開口にセットされて前記ドアパネルに固定される請求項1記載の固定窓と
を備えた車両用ドアであって、
前記固定窓は、前記締結部が締結部材によって前記ドアパネルに締結されることにより、前記ドアパネルに固定されている、
車両用ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定窓、および当該固定窓を備えた車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアには、上下方向にスライドして開閉可能な可動式の窓とともに固定窓を備えたドアがある。固定窓は、可動式の窓の車両後方側などに形成されたドアの狭い開口部を閉じるために、ドアパネルに固定される窓である。
【0003】
固定窓は、通常、ねじなどの締結部材によってドアパネルに機械的に締結されるが、締結部分の隙間などを通して車外の騒音が車室内に伝わることが懸念されている。
【0004】
そこで、特許文献1には、固定窓の枠体におけるドアパネルに締結される部位に膨出部を設けることによって騒音抑制を図る構造が開示されている。
【0005】
この固定窓は、具体的には、ドアに保持されるフレーム部と、フレーム部の下部において固定窓の厚み方向に膨出する膨出部とを有する。膨出部は、ドアのドアパネルを構成するインナパネルとアウタパネルとの間に挟持され、インナパネルからアウタパネルまで貫通する締結部材によって、インナパネルおよびアウタパネルの両方に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−180884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の固定窓の構造では、膨出部により固定窓の変形を抑制するとともに締結部分の隙間を小さくすることにより、走行時の騒音抑制を図っている。しかし、機械締結による固定窓の固定構造によって上記の効果を得るには、膨出部とドアパネルのインナパネルまたはアウタパネルとの接触面や機械締結部の座面を完全な平面として形成することが必要となるが、現実には成形および部品精度の観点から困難である。そのため、ドアにおける固定窓の取付部分において、室外から車室内へと空気の出入りを許容する隙間が生じるおそれがある。そのような隙間は、空気の流入により騒音が発生したり、車外騒音の侵入経路となったりするので、固定窓による騒音抑制が困難である。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであって、機械締結によって車両用ドアに固定されながらも騒音抑制が可能な固定窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の固定窓は、透過性プレートと、前記透過性プレートの周縁を保持する枠体と、を備え、前記枠体に、締結部材によって当該枠体を車両用ドアのパネルに締結する締結部が備えられている車両用ドアの固定窓であって、前記締結部は、前記枠体における車幅方向内側を向く内側面から車幅方向内側に突出して設けられ、 前記枠体は、前記内側面から車幅方向内側に向けて突出して、それぞれ、車両前後方向に延びて前記パネルに当接可能な、第1リップ部および前記第1リップ部から離間して設けられた第2リップ部を備え、前記第1リップ部の車幅方向内側の先端部は、前記締結部の外周の車幅方向内側の外周端部の先端部に連続するように前記外周端部に連結していることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、第1リップ部の車幅方向内側の先端部が締結部の車幅方向内側の外周端部の先端部に連続するように前記外周端部に連結している。そのため、締結部が第1リップ部とともに車外からの音の侵入を抑制する機能を発揮することが可能になり、固定窓の遮音性能を向上することが可能である。その結果、固定窓は、機械締結によって車両用ドアに固定されながらも騒音抑制が可能になる。
【0011】
上記の固定窓において、前記第1リップ部は、車幅方向内側の先端部において、前記締結部の外周端部の近傍で車幅方向外側に凹んだ凹部を有するのが好ましい。
【0012】
締結部が締結部材と結合することにより車両用ドアのパネルに枠体を締結したときには、第1リップ部の車幅方向内側の先端部はパネルに当接して変形する。上記の構成では、当該先端部において締結部の外周端部の近傍で車幅方向外側に凹んだ凹部が存在することにより、変形した先端部が締結部に到達しにくくなるので、締結部に第1リップ部が噛みこむことを抑制することが可能である。
【0013】
上記の固定窓において、前記締結部は、前記締結部材とともに前記パネルを挟持する挟持面と、前記挟持面の周囲であって前記凹部に隣接する位置において前記挟持面よりも車幅方向外側に後退している後退部とを有しているのが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、締結部は、締結部材とともにパネルを挟持する挟持面の周囲において挟持面よりも車幅方向外側に後退している後退部を有している。この後退部は、第1リップ部の先端部の凹部と隣接する位置にあるので、凹部および後退部によって広いスペースが形成される。したがって、第1リップ部の先端部がパネルに当接して変形しても、上記の凹部および後退部によって形成される広いスペースが存在するので、変形した先端部が締結部の挟持面に到達しにくくなる。その結果、締結部に第1リップ部が噛みこむことをより確実に抑制することが可能である。
【0015】
上記の固定窓において、前記締結部は、車両側面視において円形形状を有しており、前記第1リップ部は、前記車両側面視における前記締結部の中心より音源から遠い方の位置で前記締結部の外周端部に連結されているのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、音源から第1リップ部の凹部に向かう音に対して締結部が障害物となり、凹部を通して枠体内側へ音が伝達することを抑制することが可能である。
【0017】
上記の固定窓において、前記第2リップ部は、前記締結部に対して車両前後方向の前方側および後方側において、前記第1リップ部と連結する連結部を備えるのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、第1リップ部と第2リップ部とが連結部によって連結されることによってこれら第1リップ部および第2リップ部によって閉空間が形成される。この閉空間によって上方への音の伝達が遮断されることにより、固定窓の遮音性能を向上することが可能である。
【0019】
上記の固定窓において、前記第2リップ部は、前記締結部を避けるように湾曲した湾曲部を有するのが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、第2リップ部は締結部を避けるように湾曲した湾曲部を有するので、第2リップ部を締結部との干渉を避けながら第1リップ部に近づけて配置することが可能になり、第1リップ部および第2リップ部で構成される二重リップ構造の部分の占有スペースを抑えることが可能になる。
【0021】
本発明の車両用ドアは、開口を有するドアパネルと、前記開口にセットされて前記ドアパネルに固定される請求項1記載の固定窓とを備えた車両用ドアであって、前記固定窓は、前記締結部が締結部材によって前記ドアパネルに締結されることにより、前記ドアパネルに固定されていることを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、固定窓は、締結部材と固定窓に設けられた締結部とが結合することによって、車両用ドアのパネルに締結されている。この固定窓は、前述のように、第1リップ部の車幅方向内側の先端部が締結部の車幅方向内側の外周端部の先端部に連続するように外周端部に連結しているので、締結部が第1リップ部とともに車外からの音の侵入を抑制する機能を発揮することが可能になり、固定窓の遮音性能を向上することが可能である。その結果、固定窓は、機械締結によって車両用ドアに固定されながらも騒音抑制が可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の固定窓、および当該固定窓を備えた車両用ドアによれば、固定窓が機械締結によって車両用ドアに固定されながらも騒音抑制を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る固定窓を備えた車両用ドアの全体構成を示す側面図である。
図2図1の車両用ドアを車室側から見た側面図である。
図3図2の固定窓およびその周辺部を示す拡大図である。
図4図3の固定窓およびその周辺部におけるインナパネルを取り外した状態を示す拡大図である。
図5図4の枠体における締結部、上側リップ部、および下側リップ部の拡大斜視図である。
図6図3のVI−VI線断面図である。
図7図3のVII−VII線断面図である。
図8図3のVIII−VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0026】
図1〜4に示される本実施形態の車両用ドア1は、車体の車両後方側X1に取り付けられるリヤドアであって、窓用の開口部8を有するドアパネル2と、窓用の開口部8のうち車両後方側X1の狭い開口部8bに固定された固定窓10と、固定窓10をドアパネル2に締結する下側の締結部材16および上側の締結部材17と、固定窓10の車外側に配置されたアウターガーニッシュ40とを備えている。
【0027】
ドアパネル2は、車外側のアウタパネル3と、車室側のインナパネル4と、ドアサッシュ5とによって構成されている。
【0028】
ドアサッシュ5は、窓用の開口部8を形成する枠体であり、本実施形態では、インナパネル4と一体形成されている。なお、ドアサッシュ5は、インナパネル4と別部材として形成した後にインナパネル4に接合してもよい。
【0029】
ドアサッシュ5は、ドアパネル2の車両前方側X2および車両後方側X1のそれぞれの端部から上下方向Zに延びる前側ピラー部5aおよび後側ピラー部5bと、車両前後方向Xに延びてこれら前側ピラー部5aおよび後側ピラー部5bの上端同士を連結する上側連結部5cとを有する。前側ピラー部5a、後側ピラー部5bおよび上側連結部5cによって、窓用の開口部8を形成する。前側ピラー部5aは、若干斜め後方に傾斜するように延びている。後側ピラー部5bは、若干斜め前方に傾斜するように延びている。
【0030】
ドアサッシュ5によって形成される窓用の開口部8は、後述の枠体前側ピラー部15(固定窓10の枠体11の一部)によって、車両前方側X2の広い開口部8aと車両後方側X1の狭い開口部8bに仕切られている。なお、枠体前側ピラー部15以外の別のピラー部材によって、広い開口部8aと狭い開口部8bとを仕切ってもよい。
【0031】
枠体前側ピラー部15は、前側ピラー部5aと平行に延びるように、若干斜め後方に傾斜するように延びている。狭い開口部8bは、後側ピラー部5bおよび枠体前側ピラー部15によって形成された略三角形状の開口部である。なお、広い開口部8aは、前側ピラー部5aおよび枠体前側ピラー部15に沿って上下方向に開閉可能な可動式の窓(図示せず)によって開閉される。
【0032】
固定窓10は、狭い開口部8bを閉じるようにインナパネル4に固定されている。固定窓10は、車室側(図2〜4参照)から後述の締結部材16および締結部24の締結によってインナパネル4に締結されている。具体的には、固定窓10は、フランジボルトなどの締結部材16と固定窓10に設けられた締結部24(図5〜6および図8参照)とが結合することによって、インナパネル4におけるベルトライン部4b(図3に示される開口部8bの下側の縁に沿って車両前後方向Xに延びるインナパネル4の部分)に締結されている。
【0033】
固定窓10の車両後方側X1の後側ピラー部5bおよび固定窓10の一部は、車外側(図1参照)に設けられたアウターガーニッシュ40によって外部から覆われている。
【0034】
固定窓10は、図3〜4に示されるように、透過性プレートとしての略三角形状のガラスプレート12と、ガラスプレート12の周縁を保持する枠体11とを備えている。枠体11には、締結部材16と結合することによって枠体11を車両用ドア1のインナパネル4に締結する締結部24が備えられている。
【0035】
なお、本実施形態では、本発明の透過性プレートの一例としてガラスプレートを例に挙げて説明しているが、樹脂製のプレートであってもよい。また、透過性プレートの透過性については、完全な透過性でなくてもよく半透過性であってもよい。
【0036】
図4に示されるように、枠体11は、略三角形状のガラスプレート12の周縁を保持するように、車両前後方向Xに延びる枠体下部13と、枠体後側ピラー部14と、枠体前側ピラー部15とを有し、合成樹脂などによって一体形成されている。ガラスプレート12は、枠体下部13、枠体後側ピラー部14、および枠体前側ピラー部15にそれぞれ設けられたガラス保持部25(図6〜7参照)によって保持される。
【0037】
枠体11は、さらに、図4〜8に示されるように、枠体下部13において、車両前後方向Xに延びる第1リップ部としての上側リップ部27および上側リップ部27の下方に離間して設けられた第2リップ部としての下側リップ部26を備えている。上側リップ部27および下側リップ部26は、枠体下部13とともに合成樹脂などによって一体形成され、枠体下部13の内側面13aから車幅方向内側Y1に突出して設けられ、インナパネル4のベルトライン部4b(図3および図6〜8参照)に当接可能である。上側リップ部27および下側リップ部26は、合成樹脂製の薄肉の部分であり、インナパネル4のベルトライン部4bに当接したときに変形可能である。
【0038】
締結部24は、図4に示されるように、車両前後方向Xに離間して2個配置されている。締結部24は、図5〜8に示されるように、枠体11における車幅方向Yにおける内側Y1(以下、車幅方向内側Y1という)を向く内側面(枠体下部13の内側面13a)から車幅方向内側Y1に突出して設けられている。
【0039】
締結部24は、具体的には、図5〜6および図8に示されるように、最外層の軟質樹脂部21と、中間層の硬質樹脂部22と、最も中心に位置する金属ナット部23とを備えている。最外層の軟質樹脂部21は、枠体11の枠体下部13および上側リップ部27ととともに共通の合成樹脂によって一体形成されている。硬質樹脂部22は、軟質樹脂部21よりも硬質の樹脂で製造されている。
【0040】
硬質樹脂部22および金属ナット部23は、軟質樹脂部21が枠体下部13とともに共通の合成樹脂で成型加工(モールド)される際に軟質樹脂部21の内部に位置するように成形型の内部にセットされる。その状態で、軟質樹脂部21および枠体下部13(およびそれを含む枠体11)が樹脂成型されることにより、軟質樹脂部21、硬質樹脂部22および金属ナット部23が一体化した略円柱状の締結部24(図5〜6および図8参照)が形成される。
【0041】
図5および図8に示されるように、上側リップ部27の車幅方向内側Y1の先端部27bは、締結部24の外周の車幅方向内側Y1の外周端部24cの先端部に連続するように外周端部24cに連結している。
【0042】
しかも、本実施形態の上側リップ部27は、固定窓10の締結時に締結部24への噛み込み防止のために、車幅方向内側Y1の先端部27bにおいて、締結部24の外周端部24cの近傍で車幅方向外側Y2に凹んだ凹部27aを有する。
【0043】
さらに、本実施形態では、締結部24は、締結部材16の頭部16aとともにインナパネル4を挟持する挟持面24bと、挟持面24bの周囲であって凹部27aに隣接する位置において挟持面24bよりも車幅方向外側Y2に後退している後退部24aとを有している。凹部27aおよび後退部24aによって、上側リップ部27の締結部24への噛み込み防止のための広いスペース33(図8参照)が形成される。
【0044】
締結部24は、図4〜5に示されるように、車両側面視(図5の矢印Aの指す方向)において円形形状を有している。上側リップ部27は、車両側面視における締結部24の中心CLより上方の位置(すなわち固定窓10下方のタイヤやホイルハウスなどの音源から離間した位置)で締結部24の外周端部24cに連結されている。
【0045】
図4に示されるように、下側リップ部26は、締結部24に対して車両前後方向Xの前方側および後方側において、上側リップ部27と連結する連結部30を備える。そのため、下側リップ部26および上側リップ部27によって閉空間29が形成される。
【0046】
また、本実施形態の下側リップ部26は、締結部24を避けるように下方へ湾曲した湾曲部26aを有しており、締結部24を避けながら上側リップ部27に近づけて配置することが可能である。
【0047】
本実施形態の枠体11には、図5〜6に示されるように、締結部24および上側リップ部27の上方を覆うモール部28が設けられているので、固定窓10の取付後の状態では、締結部24および上側リップ部27が車内外両方から見えなくなるとともに、これら締結部24および上側リップ部27への異物の接触を防止することが可能である。
【0048】
本実施形態の固定窓10では、図4〜5に示されるフック51が、可動式の窓(図示せず)を上下方向Zに案内するためのガイド部材52を固定窓10の枠体前側ピラー部15に係合するために、当該ガイド部材52に設けられている。
【0049】
上記のように構成された固定窓10をドアパネル2のインナパネル4に締結する場合には、固定窓10をドアパネル2の狭い開口部8b(図3〜4参照)の領域に嵌め込み、固定窓10の枠体下部13をインナパネル4の上縁のベルトライン部4bに対向させ、締結部24の挟持面24bおよび上側リップ部27および下側リップ部26を図6〜7に示されるようにベルトライン部4bに車外側(車幅方向外側Y2)から当接させる。その後、フランジボルト(フランジ付きの頭部16aを有するボルト)またはねじ等の締結部材16のおねじ部16bをベルトライン部4bを貫通して金属ナット部23のめねじ部23cに螺合する。これによって、固定窓10は、締結部材16と固定窓10に設けられた締結部24とが結合することによって、インナパネル4に締結される。
【0050】
固定窓10がドアパネル2に取り付けられた状態では、図6〜8に示されるように、インナパネル4に対しては、固定窓10の締結部24の挟持面24bが締結部材16の頭部16aとともにインナパネル4のベルトライン部4bを挟持し、上側リップ部27および下側リップ部26がベルトライン部4bに当接している。この状態において、本実施形態では、さらに、図5および図8に示されるように、上側リップ部27の車幅方向内側Y1の先端部27bが締結部24の車幅方向内側Y1の外周端部24cの先端部に連続するように外周端部24cに連結している。これにより、固定窓10とベルトライン部4bの隙間からインナパネル4の開口4a(図2参照)を通して車内へ音などが侵入することを防止することが可能である。
【0051】
なお、アウタパネル3に対しては、図6〜7に示されるように、アウタパネル3の上端の折り返されたヘム部3aに設けられたアウターモール31のリップ部31aが固定窓10のガラスプレート12が当接しているので、車外側からドアパネル2内部への水、空気、騒音などの侵入を防止することが可能である。
【0052】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の固定窓10は、車両用ドア1の固定窓10であって、ガラスプレート12と、ガラスプレート12の周縁を保持する枠体11と、を備えている。枠体11には、締結部材16によって枠体11を車両用ドア1のインナパネル4に締結する締結部24が備えられている。締結部24は、枠体11における車幅方向Yの内側Y1を向く枠体下部13の内側面13aから車幅方向内側Y1に突出して設けられている。枠体11は、枠体下部13の内側面13aから車幅方向内側Y1に向けて突出して、それぞれ、車両前後方向Xに延びてインナパネル4に当接可能な、上側リップ部27(第1リップ部)および上側リップ部27の下方に離間して設けられた下側リップ部26(第1リップ部)を備えている。上側リップ部27の車幅方向内側Y1の先端部27bは、締結部24の外周の車幅方向内側Y1の外周端部24cの先端部に連続するように外周端部24cに連結している。
【0053】
この構成によれば、図5および図8に示されるように、上側リップ部27の車幅方向内側Y1の先端部27bが締結部24の車幅方向内側Y1の外周端部24cの先端部に連続するように外周端部24cに連結している。そのため、締結部24が上側リップ部27とともに車外からの音の侵入を抑制する機能を発揮することが可能になり、固定窓10の遮音性能を向上することが可能である。その結果、固定窓10は、機械締結によって車両用ドア1に固定されながらも騒音抑制が可能になる。
【0054】
(2)
本実施形態の固定窓10では、図5および図8に示されるように、上側リップ部27は、車幅方向内側Y1の先端部27bにおいて、締結部24の外周端部24cの近傍で車幅方向外側Y2に凹んだ凹部27aを有する。
【0055】
締結部24が締結部材16と結合することにより車両用ドア1のインナパネル4に枠体11を締結したときには、上側リップ部27の車幅方向内側Y1の先端部27bはインナパネル4(具体的には、ベルトライン部4b)に当接して変形する。上記の構成では、当該先端部27bにおいて締結部24の外周端部24cの近傍で車幅方向外側Y2に凹んだ凹部27aが存在することにより、変形した先端部27bが締結部24に到達しにくくなるので、締結部24に上側リップ部27が噛みこむことを抑制することが可能である。
【0056】
(3)
本実施形態の固定窓10では、図5および図8に示されるように、締結部24は、締結部材16とともにインナパネル4を挟持する挟持面24bと、挟持面24bの周囲であって凹部27aに隣接する位置において挟持面24bよりも車幅方向外側Y2に後退している後退部24aとを有している。
【0057】
かかる構成によれば、締結部24は、締結部材16とともにインナパネル4を挟持する挟持面24bの周囲において挟持面24bよりも車幅方向外側Y2に後退している後退部24aを有している。この後退部24aは、上側リップ部27の先端部27bの凹部27aと隣接する位置にあるので、凹部27aおよび後退部24aによって広いスペース33(図8参照)が形成される。したがって、上側リップ部27の先端部27bがインナパネル4に当接して変形しても、上記の凹部27aおよび後退部24aによって形成される広いスペース33が存在するので、変形した先端部27bが締結部24の挟持面24bに到達しにくくなる。その結果、締結部24に上側リップ部27が噛みこむことをより確実に抑制することが可能である。
【0058】
(4)
本実施形態の固定窓10では、図4〜5に示されるように、締結部24は、車両側面視(図5の矢印Aの指す方向)において円形形状を有している。上側リップ部27は、車両側面視における締結部24の中心CLより上方の位置(すなわち、固定窓10下方のタイヤやホイルハウスなどの音源から遠い方の位置)で締結部24の外周端部24cに連結されている。
【0059】
この構成によれば、固定窓10の下方から上側リップ部27の凹部27aに向かう音に対して締結部24が障害物となり(言い換えれば、下方から凹部27aに向かう音は締結部24を迂回せざるを得なくなるので)、凹部27aを通して上方へ(すなわち枠体11の内側へ)音が伝達することを抑制することが可能である。
【0060】
(5)
本実施形態の固定窓10では、図4〜5に示されるように、下側リップ部26は、締結部24に対して車両前後方向Xの前方側および後方側において、上側リップ部27と連結する連結部30を備える。
【0061】
この構成によれば、上側リップ部27と下側リップ部26とが連結部30によって連結されることによってこれら上側リップ部7および下側リップ部26によって閉空間29が形成される。この閉空間29によって上方への音の伝達が遮断されることにより、固定窓10の遮音性能を向上することが可能である。
【0062】
(6)
本実施形態の固定窓10では、図4〜5に示されるように、下側リップ部26は、締結部24を避けるように下方へ湾曲した湾曲部26aを有する。
【0063】
この構成によれば、下側リップ部26は締結部24を避けるように下方へ湾曲した湾曲部26aを有するので、下側リップ部26を締結部24との干渉を避けながら上側リップ部27に近づけて配置することが可能になり、上側リップ部27および下側リップ部26で構成される二重リップ構造の部分の占有スペースを抑えることが可能になる。
【0064】
(7)
本実施形態の車両用ドア1は、開口部8を有するドアパネル2と、開口部8(具体的には狭い開口部8b)にセットされてドアパネル2に固定される上記の固定窓10とを備えた車両用ドアである。固定窓10は、締結部24が締結部材16によってドアパネル2、具体的にはインナパネル4に締結されることにより、インナパネル4に固定されている。
【0065】
この構成によれば、固定窓10は、締結部材16と固定窓10に設けられた締結部24とが結合することによって、車両用ドア1のインナパネル4に締結されている。この固定窓10は、前述のように、上側リップ部27の車幅方向内側Y1の先端部27bが締結部24の車幅方向内側Y1の外周端部24cの先端部に連続するように外周端部24cに連結しているので、締結部24が上側リップ部27とともに車外からの音の侵入を抑制する機能を発揮することが可能になり、固定窓10の遮音性能を向上することが可能である。その結果、固定窓10は、機械締結によって車両用ドア1に固定されながらも騒音抑制が可能になる。
【0066】
(変形例)
(A)
上記の実施形態では、固定窓10が、インナパネル4における狭い開口部8bの下縁に沿って延びるベルトライン部4bに締結されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、固定窓が締結部材と固定窓に設けられた締結部とが結合することによって車両用ドアのパネルに締結されていればよく、インナパネル4のベルトライン部4b以外の他の部位またはアウタパネル3に締結されていてもよい。
【0067】
(B)
上記の実施形態では、二重リップ部を構成する第1リップ部および第2リップ部の一例として、上側リップ部7および下側リップ部26が開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の第1リップ部および第2リップ部は、枠体の上下方向に延びる部分に設けられた上下方向に延びる互いに離間した2本のリップ部であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用ドア
2 ドアパネル
3 アウタパネル
4 インナパネル(パネル)
4b ベルトライン部
5 ドアサッシュ
8 開口部
8b 狭い開口部
10 固定窓
11 枠体
12 ガラスプレート(透過性プレート)
13 枠体下部
13a 内側面
16 締結部材
21 軟質樹脂部
22 硬質樹脂部
23 金属ナット部
24 締結部
24a 後退部
24b 挟持面
24c 外周端部
26 下側リップ部(第2リップ部)
26a 湾曲部
27 上側リップ部(第1リップ部)
27a 凹部
27b 先端部
29 閉空間
30 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8