特開2021-173385(P2021-173385A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-173385(P2021-173385A)
(43)【公開日】2021年11月1日
(54)【発明の名称】油圧緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/44 20060101AFI20211004BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20211004BHJP
【FI】
   F16F9/44
   F16F9/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-79872(P2020-79872)
(22)【出願日】2020年4月29日
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】池田 大輔
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA54
3J069CC11
3J069CC15
3J069EE24
3J069EE49
(57)【要約】
【課題】バネ荷重調整装置の部品数の増加を抑制しつつ、懸架用バネのバネ荷重調整時の作業性を向上させる。
【解決手段】油圧緩衝器20は、車体11側のアウターチューブ30と、車輪14側のインナーチューブ40と、前記インナーチューブ40の下端42から上端41へ向かって延びた懸架用バネ130と、前記インナーチューブ40の下端42を収容する車軸用ブラケット50と、前記車軸用ブラケット50に対し前記インナーチューブ40の中心線CLを軸として回転可能に設けられた操作部材160と、前記懸架用バネ130の下側に配置され、前記操作部材160の回転運動を中心線CLに沿う方向の直線運動へ変換して前記バネ荷重を調整する調整機構180と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に配置されるアウターチューブと、
前記アウターチューブの内部に対し一部を進退可能に嵌合している、車輪側に配置されるインナーチューブと、
前記インナーチューブの内部に配置されるとともに、前記インナーチューブの下端から上端へ向かって延びており、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブに、互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する懸架用バネと、
前記インナーチューブの前記下端を収容するとともに、車軸を支持する車軸用ブラケットと、
前記車軸用ブラケットに対し、前記インナーチューブの中心線を軸として回転可能に、且つ、前記車軸用ブラケットの下方への移動を規制されて設けられている操作部材と、
前記懸架用バネの下側に配置され、前記操作部材の回転運動を、前記中心線に沿う方向の直線運動へ変換して、前記バネ荷重を調整する調整機構と、
を備える油圧緩衝器。
【請求項2】
前記車軸用ブラケットに対する前記操作部材の、前記懸架用バネ側への移動を規制する規制部材を、さらに備えている、請求項1に記載の油圧緩衝器。
【請求項3】
前記アウターチューブの内部に設けられるとともに、前記インナーチューブの内部へ延びているシリンダと、
前記インナーチューブの前記下端から、前記シリンダの内部へ延びているピストンロッドと、
前記ピストンロッドに連結されるとともに、前記シリンダの内部を第1液室と第2液室とに区画しているピストンと、
前記ピストンを介して前記第1液室と前記第2液室とを連通する連通路、前記連通路に介在したニードル弁、及び、前記ニードル弁の開度を調整するニードル操作部材、を備えた減衰力調整装置と、をさらに有し、
前記ニードル操作部材は、前記操作部材に回転可能に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の油圧緩衝器。
【請求項4】
前記調整機構は、
前記操作部材の外周面に備えられている雄ネジにねじ込まれる雌ネジを内周面に有し、前記懸架用バネを支持する環状の支持部材と、
前記車軸用ブラケットに対し、前記中心線に沿う方向の直線運動及び回転運動の両方が規制されて、設けられている固定部材と、
前記固定部材から前記支持部材へ向かって延びることで、前記固定部材に対して、前記支持部材の回転を規制しつつ前記中心線に沿う方向の直線運動を許容するピンと、
を備えている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の油圧緩衝器。
【請求項5】
前記懸架用バネの下端を支持する下バネ受と、前記下バネ受と前記支持部材の先端面との間に介在した平板状のワッシャと、をさらに備え、
前記ワッシャにおける、少なくとも、前記下バネ受と接する面は、前記先端面よりも摩擦係数が小さい、請求項4に記載の油圧緩衝器。
【請求項6】
前記車軸用ブラケットと前記操作部材との間に、前記中心線を軸とする前記操作部材の回転度合いの把握を補助する補助機構を、さらに備えている、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の油圧緩衝器。
【請求項7】
車体側に配置されるアウターチューブと、
前記アウターチューブの内部に対し一部を進退可能に嵌合している、車輪側に配置されるインナーチューブと、
前記アウターチューブの内部に設けられるとともに、前記インナーチューブの内部へ延びているシリンダと、
前記インナーチューブの下端から、前記シリンダの内部へ延びているピストンロッドと、
前記ピストンロッドに連結されるとともに、前記シリンダの内部を第1液室と第2液室とに区画しているピストンと、
前記インナーチューブの内部に位置するとともに、前記インナーチューブの前記下端から上端へ向かって延びており、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブに、互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する懸架用バネと、
前記インナーチューブの前記下端を収容するとともに、車軸を支持する車軸用ブラケットと、
前記車軸用ブラケットに対し、前記インナーチューブの中心線を軸として回転可能に、且つ、前記車軸用ブラケットの下方への移動を規制されて設けられている操作部材と、
前記操作部材と前記車軸用ブラケットとの間に、前記中心線を軸とする前記操作部材の回転度合いの把握を補助する補助機構と、
前記操作部材の外周面に備えられている雄ネジにねじ込まれる雌ネジを内周面に有し、前記懸架用バネを支持する環状の支持部材、前記車軸用ブラケットに対し前記中心線に沿う方向の直線運動及び回転運動の両方が規制されている固定部材、及び、前記固定部材から前記支持部材へ向かって延びることで、前記固定部材に対して、前記支持部材の回転を規制しつつ前記中心線に沿う方向の直線運動を許容するピン、を備えた調整機構と、
前記ピストンを介して前記第1液室と前記第2液室とを連通する連通路、前記連通路に介在したニードル弁、及び、前記操作部材に回転可能に設けられており前記ニードル弁の開度を調整するニードル操作部材、を備えた減衰力調整装置と、
前記懸架用バネの下端を支持する下バネ受と、
前記下バネ受と前記支持部材の先端面との間に介在し、少なくとも、前記下バネ受と接する面が、前記先端面よりも摩擦係数が小さい平板状のワッシャと、
前記車軸用ブラケットに対する前記操作部材の、前記懸架用バネ側への移動を規制するとともに、前記操作部材の下端及び前記ニードル操作部材の下端を覆っている、有底環状の規制部材と、
を含む油圧緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に採用するのに好適な油圧緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物に採用される油圧緩衝器としては、例えば、乗員が跨がって乗車する鞍乗り型車両の、フロントフォークを構成する2つの油圧緩衝器のなかの、1つとして組み込み可能な構成がある。油圧緩衝器のなかには、鞍乗り型車両の乗心地を向上するために、懸架バネのバネ荷重を調整するものがある。このような油圧緩衝器は、例えば特許文献1によって知られている。
【0003】
特許文献1で知られている油圧緩衝器は、車体側のアウターチューブ(車体側チューブ)、このアウターチューブに対して進退可能に嵌合している車輪側のインナーチューブ、並びに、アウターチューブ及びインナーチューブにこれらを互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する懸架用バネ等を基本構造としている。
【0004】
車両の乗心地を向上するために、特許文献1の油圧緩衝器には、アウターチューブの上端に、懸架用バネのバネ荷重を調整するバネ荷重調整装置が設けられている。このバネ荷重調整装置の操作部材(アジャスト部材)は、アウターチューブの上端に位置したフォークボルトに設けられている。これに対し、懸架用バネは油圧緩衝器の下側に位置している。このため、特許文献1の油圧緩衝器では、上部に位置する操作部材と下部に位置する懸架用バネとの間に、中間バネ支持部材が介在している。操作部材を回すことにより、中間バネ支持部材を、インナーチューブの中心線に沿う方向へ移動させて、懸架用バネのバネ荷重を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−013103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フロントフォークの上部には操舵ハンドル等の各種部材が位置している。調整者は、これらの各種部材を避けながら、バネ荷重の調整作業を行うことになる。この調整作業を容易にするためには、油圧緩衝器に何らかの構造上の配慮が求められる。
【0007】
特許文献1に開示されている技術では、油圧緩衝器の上端から、この油圧緩衝器の下側に位置している懸架用バネを調整するために、長い中間バネ支持部材を必要とする。このため、油圧緩衝器の内部の他の部材との関係を勘案して、中間バネ支持部材を複数の部材に分割することになる。その結果、バネ荷重調整装置の部品数が多くなりやすい。
【0008】
本発明は、バネ荷重調整装置の部品数の増加を抑制しつつ、懸架用バネのバネ荷重調整時の作業性を向上させることが可能な油圧緩衝器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討の結果、懸架用バネが配置されている油圧緩衝器の下方から懸架用バネのバネ荷重を調整することが可能な構成にすることにより、バネ荷重調整装置の部品数を抑制しつつ、懸架用バネのバネ荷重調整時の作業性を向上させた油圧緩衝器を提供することが可能になることを知見した。本発明は、当該知見に基づいて完成させた。
【0010】
以下、本開示について説明する。
【0011】
本開示の1つの態様によれば、車体側に配置されるアウターチューブと、前記アウターチューブの内部に対し一部を進退可能に嵌合している、車輪側に配置されるインナーチューブと、前記インナーチューブの内部に配置されるとともに、前記インナーチューブの下端から上端へ向かって延びており、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブに、互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する懸架用バネと、前記インナーチューブの前記下端を収容するとともに、車軸を支持する車軸用ブラケットと、前記車軸用ブラケットに対し、前記インナーチューブの中心線を軸として回転可能に、且つ、前記車軸用ブラケットの下方への移動を規制されて設けられている操作部材と、前記懸架用バネの下側に配置され、前記操作部材の回転運動を、前記中心線に沿う方向の直線運動へ変換して、前記バネ荷重を調整する調整機構と、を備える油圧緩衝器が提供される。
【0012】
本開示の他の態様によれば、車体側に配置されるアウターチューブと、前記アウターチューブの内部に対し一部を進退可能に嵌合している、車輪側に配置されるインナーチューブと、前記アウターチューブの内部に設けられるとともに、前記インナーチューブの内部へ延びているシリンダと、前記インナーチューブの下端から、前記シリンダの内部へ延びているピストンロッドと、前記ピストンロッドに連結されるとともに、前記シリンダの内部を第1液室と第2液室とに区画しているピストンと、前記インナーチューブの内部に位置するとともに、前記インナーチューブの前記下端から上端へ向かって延びており、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブに、互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する懸架用バネと、前記インナーチューブの前記下端を収容するとともに、車軸を支持する車軸用ブラケットと、前記車軸用ブラケットに対し、前記インナーチューブの中心線を軸として回転可能に、且つ、前記車軸用ブラケットの下方への移動を規制されて設けられている操作部材と、前記操作部材と前記車軸用ブラケットとの間に、前記中心線を軸とする前記操作部材の回転度合いの把握を補助する補助機構と、前記操作部材の外周面に備えられている雄ネジにねじ込まれる雌ネジを内周面に有し、前記懸架用バネを支持する環状の支持部材、前記車軸用ブラケットに対し前記中心線に沿う方向の直線運動及び回転運動の両方が規制されている固定部材、及び、前記固定部材から前記支持部材へ向かって延びることで、前記固定部材に対して、前記支持部材の回転を規制しつつ前記中心線に沿う方向の直線運動を許容するピン、を備えた調整機構と、前記ピストンを介して前記第1液室と前記第2液室とを連通する連通路、前記連通路に介在したニードル弁、及び、前記操作部材に回転可能に設けられており前記ニードル弁の開度を調整するニードル操作部材、を備えた減衰力調整装置と、前記懸架用バネの下端を支持する下バネ受と、前記下バネ受と前記支持部材の先端面との間に介在し、少なくとも、前記下バネ受と接する面が、前記先端面よりも摩擦係数が小さい平板状のワッシャと、前記車軸用ブラケットに対する前記操作部材の、前記懸架用バネ側への移動を規制するとともに、前記操作部材の下端及び前記ニードル操作部材の下端を覆っている、有底環状の規制部材と、を含む油圧緩衝器が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、バネ荷重調整装置の部品数の増加を抑制しつつ、懸架用バネのバネ荷重調整時の作業性を向上させることが可能な油圧緩衝器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1による油圧緩衝器を備えるフロントフォークが搭載された自動二輪車の側面図である。
図2図1に示されるフロントフォークを構成する2つの油圧緩衝器(第1脚と第2脚)のなかの1つの油圧緩衝器の要部を切断して示す断面図である。
図3図2に示される油圧緩衝器の下半分を説明する断面図である。
図4図3に示される車軸用ブラケット及びバネ荷重調整装置を説明する断面図である。
図5図4に示される車軸用ブラケット及びバネ荷重調整装置を分解して示す図である。
図6図3に示されるピストン及び減衰力調整装置を説明する断面図である。
図7図4に示される車軸用ブラケット及びバネ荷重調整装置を説明する斜視図である。
図8図4に示される下バネ受、ワッシャ、及び、プランジャを分解して示す断面図である。
図9】実施例2による油圧緩衝器の車軸用ブラケット及びバネ荷重調整装置を説明する断面図である。
図10】実施例3による油圧緩衝器の車軸用ブラケット及びバネ荷重調整装置を説明する断面図である。
図11図10に示される補助機構を分解して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。説明中、左右とは車両に乗車した乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
【0016】
図1図8を参照しつつ実施例1の油圧緩衝器20を説明する。
【0017】
図1に示されるように、油圧緩衝器20は例えば乗り物に採用され、一例として、乗員が跨がって乗車する鞍乗り型車両の一種である自動二輪車の、フロントフォークを構成する2つの緩衝器(第1脚と第2脚)のなかの、1つとして組み込み可能である。
【0018】
自動二輪車10(鞍乗り型車両10)は、車体11と、車体11の中央下部に支持されたエンジン12(動力源12)と、車体11の前部に設けられたフロントフォーク13と、このフロントフォーク13に支持された前輪14(車輪14)と、フロントフォーク13に連結された操舵ハンドル15と、車体11の上部中央に設けられた乗員用シート16と、車体11の後部から後方へ向かって延びて上下方向にスイング可能なリンク機構やスイングアーム等に代表される車輪支持機構17と、この車輪支持機構17に支持された後輪18(車輪18)と、車体11と車輪支持機構17との間に架け渡されたリヤサスペンション19と、を有している。
【0019】
以下、フロントフォーク13を構成する2つの油圧緩衝器(第1脚と第2脚)のなかの、1つ油圧緩衝器20について、詳しく説明する。
【0020】
図2図4に示されるように、油圧緩衝器20は、アウターチューブ30、インナーチューブ40、及び、懸架用バネ130等を、基本構成要素としている。つまり、この油圧緩衝器20は、アウターチューブ30に対してインナーチューブ40を進退可能としたテレスコピック型の構成である。これらの各部材30、40、130は、同一の中心線CL上(同軸状)に位置している。
【0021】
アウターチューブ30は、油圧緩衝器20の一部を構成する、車体側(上側)に配置された円筒状の部材であり、上下方向に延びている。アウターチューブ30の上端31は閉鎖端であり、アウターチューブ30の下端32は開放端である。
【0022】
インナーチューブ40は、油圧緩衝器20の一部を構成する、車輪側(下側)に配置された円筒状の部材であって、アウターチューブ30の内部に対し一部を中心線CLに沿って進退可能に嵌合している。インナーチューブ40の上端41は開放端であり、インナーチューブ40の下端42は閉鎖端である。インナーチューブ40の下端42は、前輪14用の車軸14A(図1参照)を支持するための車軸用ブラケット50に収容されている。
【0023】
図5に示されるように、この車軸用ブラケット50は、中心線CLに沿って上下方向に貫通した貫通孔51を有する。この貫通孔51は、最も上側に位置している第1部52と、この第1部52に連続して第1部52の下側に位置する第2部53と、この第2部53に連続して第2部53の下側に位置する第3部54と、この第3部54に連続して最も下側に位置する第4部55と、からなる。第1部52には、インナーチューブ40の下端42が嵌合するとともに、ネジ締結されている。
【0024】
第2部53の直径は、第1部52の直径よりも小さい。第1部52と第2部53との境界には、中心線CLに対して直交する平坦な第1段差面56を有する。第3部53の直径は、第2部53の直径よりも小さい。第2部53と第3部54との境界には、中心線CLに対して直交する平坦な第2段差面57を有する。第4部55の直径は、第3部54の直径よりも大きい。第3部54と第4部55との境界には、中心線CLに対して直交する平坦な第3段差面58を有する。
【0025】
図2及び図3に示されるように、シリンダ60は、アウターチューブ30の内部に設けられるとともに、インナーチューブ40の内部へ延びている、円筒状の部材である。シリンダ60の上端61は、閉鎖端であって、アウターチューブ30の上端31の内周面にねじ込まれている。アウターチューブ30の上端31とシリンダ60の上端61との間は、シールされている。
【0026】
ピストンロッド70は、その下端71が車軸用ブラケット50の内部に収容された、シリンダ60の内部へ延びたパイプによって構成されている。
【0027】
図6に示されるように、ピストン80は、ピストンロッド70の上端72に一体的に連結されており、シリンダ60の内部を上下方向に進退可能である。シリンダ60の内部は、ピストン80によって上側の第1液室62と下側の第2液室63とに区画されている。第1液室62と第2液室63とには、例えば油が入っている。
【0028】
ピストンロッド70の上端72の外周面には、ピストンホルダ90がネジ締結されている。このピストンホルダ90は、下方を開放した有底筒状の基部91と、この基部91の底部から中心線CLに沿って上方へ延びた延出部92とを備える。基部91は、ピストンロッド70の上端72にネジ締結されている。延出部92は、ピストン80の中央を上下に貫通するとともに、上端にナット93がネジ締結されている。この結果、ピストン80は、ピストンホルダ90によってピストンロッド70の上端に連結されている。
【0029】
ピストン80は、第1ポート81と第2ポート82とを備える。第1ポート81の下端には、油圧緩衝器20が縮むときに開く第2バルブ84が配置され、第1液室62と第2液室63とを連通する。第2ポート82の上端には、油圧緩衝器20が伸びるときに開く第1バルブ83が配置され、第1液室62と第2液室63とを連通する。第1バルブ83及び第2バルブ84は、多数枚の板バルブをピラミッド状に積層した構成である。
【0030】
さらに、ピストン80及びピストンホルダ90には、減衰力調整装置100が設けられている。この減衰力調整装置100は、第1液室62と第2液室63とを連通する連通路110と、この連通路110に介在したニードル弁120と、を備える。
【0031】
連通路110は、第1ポート81及び第2ポート82を迂回して第1液室62と第2液室63とを連通する流路である。以下、連通路110のことを、適宜「バイパス路110」という。連通路110は、ピストンホルダ90の基部91の底部に有している第1連通路111と、ピストンホルダ90の延出部92に有している第2連通路112と、からなる。第1連通路111は、中心線CLと交差する方向に延びた横孔であり、第2液室63に連通している。第2連通路112は、中心線CLに沿う方向に延びた縦孔であり、第1液室62に連通している。第1連通路111と第2連通路112とは、基部91で交差し且つ連通しており、この交差した位置にニードル弁120が位置している。
【0032】
ニードル弁120は、第1連通路111と第2連通路112とが合流する合流部の壁面に対し間隔を開けて対向するように配置される基部121と、この基部121から上側に向かって突出し上側ほど細くなるように形成された弁体122と、基部121よりも径が大きい部位を有し基部121から下側に向かって延びるように基部121と一体に設けられている弁棒123と、を備える。、弁体122、基部121、及び弁棒123は、この順に、中心線CLに沿って一直線状に配置されている。
【0033】
ピストンロッド70の上端には、ガイド部124が固定されている。弁棒123の下端部は連結部材125に連結されており、弁棒123の上端部は、ガイド部124にねじ込まれている。そのため、中心線CLを軸にして弁棒123を回転させることによって、弁体122は、弁棒123と共に中心線CLに沿って進退する(直進する)。
【0034】
図2に示されるように、懸架用バネ130は、インナーチューブ40の内部に位置するとともに、インナーチューブ40の下端42から上端41へ向かって、中心線CLに沿って延びた、コイルばねによって構成されている。この懸架用バネ130は、懸架用バネ130の上端側に配置されている部材、及び、下端側に配置されている部材に対し、中心線CLに沿って互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する。
【0035】
懸架用バネ130の上端は、上バネ受141によって支持されている。この上バネ受141は、シリンダ60に対し中心線CL方向への移動を規制されて、設けられている。懸架用バネ130の下端は、下バネ受142によって支持されている。
【0036】
図4図5及び図7に示されるように、油圧緩衝器20は、懸架用バネ130のバネ荷重を調整するバネ荷重調整装置150を備えている。このバネ荷重調整装置150は、操作部材160と規制部材170と調整機構180とを備える。
【0037】
操作部材160は、車軸用ブラケット50に対し、中心線CLを軸として回転可能に、且つ、車軸用ブラケット50の下方への移動を規制されて設けられている。操作部材160は、中心線CLを軸とする円筒状の部材であって、上側に位置する第1筒部161と、この第1筒部161の下に連続した第2筒部162とを備える。第1筒部161の外径は第2筒部162の外径よりも大径である。第1筒部161の外周面と第2筒部162の外周面との境界には、中心線CLに対して交差する平坦な第1段差面163を有する。第1筒部161の外周面は、中心線CL方向の中間部分に雄ネジ164を有している。
【0038】
操作部材160の第2筒部162は、車軸用ブラケット50の第3部54に回転可能に嵌合している。第2筒部162の外周面と第3部54の内周面との間には、シール部材が配置されている。操作部材160の第1段差面163は、車軸用ブラケット50の第2段差面57に接している。このため、操作部材160は、車軸用ブラケット50の下方(懸架用バネ130とは反対側)への移動を、第2段差面57によって規制されている。
【0039】
さらに操作部材160は、規制部材170によって、車軸用ブラケット50に対して、懸架用バネ130側への移動を規制されている。規制部材170は、環状の部材であって、車軸用ブラケット50の第4部55に回転可能に嵌合している。規制部材170の上端面171は、車軸用ブラケット50の第3段差面58に接することによって、懸架用バネ130側への移動を規制されている。規制部材170は、内周面に雌ネジ172を有している。第2筒部162の下端の外周面は、規制部材170の雌ネジ172にねじ込まれる雄ネジ165を有している。この雄ネジ165が、規制部材170の雌ネジ172にねじ込まれることによって、操作部材160の第2筒部162は、懸架用バネ130側への移動を規制される。
【0040】
このように、操作部材160及び規制部材170は、車軸用ブラケット50の第2段差面57と第3段差面58とに挟み込まれることによって、車軸用ブラケット50に対し、中心線CLに沿う方向への移動が規制されている。操作部材160において、第2筒部162の内周面には、雌ネジ166と複数の溝167と、を有している。溝167に、図示せぬ工具を掛けて回すことによって、操作部材160を回転操作することができる。
【0041】
調整機構180は、インナーチューブ40の下端42に位置しており、操作部材160の回転運動を、中心線CLに沿う方向の直線運動へ変換して、バネ荷重を調整する。この調整機構180は、操作部材160の外周面に有している雄ネジ164と、環状の支持部材181と、固定部材182と、少なくとも1つのピン186と、ワッシャ187と、を備えている。
【0042】
支持部材181は、懸架用バネ130を押圧可能な環状の部材であって、内周面に雌ネジ181aを有している。この雌ネジ181aは、操作部材160の第1筒部161の外周面に有している雄ネジ164に、ねじ込まれている。
【0043】
図4に示されるように、固定部材182は、車軸用ブラケット50に対し、中心線CLに沿う方向の直線運動及び回転運動の両方が規制されて、設けられている。この固定部材182は、環状の部材であって、インナーチューブ40の下端42の内周面(及び/又は車軸用ブラケット50の第1孔52)と、車軸用ブラケット50の第1段差面56と、操作部材160の第1筒部161の外周面と、支持部材181との間に、嵌め込まれている。固定部材182の上端面は、操作部材160の外周面に設けられている止め輪183によって、支持部材181側への移動が規制されている。
【0044】
インナーチューブ40の内周面と、固定部材182の外周面との間は、第1のOリング184によってシールされている。車軸用ブラケット50の第1段差面56と、固定部材182の下端面との間は、第2のOリング185によってシールされている。さらに、インナーチューブ40の内周面と第1のOリング184との間の摩擦抵抗、及び第1段差面56と第2のOリング185との摩擦抵抗によって、固定部材182の回転運動が規制されている。
【0045】
ピン186は、固定部材182から支持部材181へ向かって延びることで、固定部材182に対して、中心線CLを軸とする支持部材181の回転を規制しつつ中心線CLに沿う方向への支持部材181の直線運動を許容する。つまり、このピン186は、固定部材182から中心線CLと平行に支持部材181へ向かって延びている。このピン186の個数は、好ましくは複数個、より好ましくは3個である。支持部材181は、ピン186が嵌合する孔181bを有している。この孔181bは、ピン186が中心線CLに沿う方向へ相対的にスライド可能な孔である。ピン186が孔181bに嵌合することにより、固定部材182に対して、中心線CLを軸とする支持部材181の回転を規制しつつ中心線CLに沿う方向への支持部材181の直線運動を許容する。
【0046】
図8に示されるように、ワッシャ187は、下バネ受142と支持部材181の先端面181cとの間に介在している。このワッシャ187のなかの少なくとも、下バネ受142と接する面187aは、摩擦係数が小さい層188によって被覆されているため、支持部材181の先端面181cよりも摩擦係数が小さい。この層188は、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTTE)の層によって構成される。なお、ここでは、ワッシャ187の面187aを、先端面181cよりも摩擦係数が小さい層188で被覆する形態を例示したが、先端面181cよりも摩擦係数が小さい材料によって、ワッシャを較正することにより、下バネ受142と接するワッシャの面の摩擦係数を、先端面181cよりも小さくしても良い。
【0047】
図4に示されるように、操作部材160における第2筒部162の内部には、筒状のボルト190(ボトムボルト190)がねじ込まれている。操作部材160の第2筒部162の内周面と、ボルト190の外周面と、の間はシールされている。
【0048】
図6等に示したニードル弁120の開度は、図4に示されるように、ニードル操作部材200によって調整される。このニードル操作部材200は、ボルト190の内部に回転可能に設けられている。ニードル操作部材200は、ボルト190の内周面及びピストンロッド70の内周面に、相対回転が許容されて、設けられている。ボルト190の内周面及びピストンロッド70の内周面と、ニードル操作部材200の外周面と、の間はシールされている。
【0049】
図4及び図6に示されるように、ニードル操作部材200は、ニードル弁120の弁棒123に、管状の連結部材125を介して連結されている。この連結部材125は、ニードル操作部材200及び弁棒123に対して、相対回転が規制されている。ニードル操作部材200を回転させると、ニードル操作部材200に連結されている連結部材125、及び、この連結部材125に連結されている弁棒123が、ニードル操作部材200と共に回転する。ここで、弁棒123の上端部は、ガイド部124にねじ込まれている。そのため、ニードル操作部材200と共に弁棒123を回転させると、回転する弁棒123よりも上に備えられている弁体122が、中心線CLに沿って進退(上下動)する。このように、油圧緩衝器20は、ニードル操作部材200を回転操作することにより、弁体122を中心線CLに沿って進退(上下動)させることができる。
【0050】
ボルト190の内周面とニードル操作部材200の外周面との間には、中心線CLを軸とした、ニードル操作部材200の回転度合いの把握を補助する補助機構210を、備えている。この補助機構210は、例えば図5に示されるように、ボルト190の内周面に有する複数の溝191に当たるボール211と、溝191に向かう力をボール211に付与するコイルばね212とを備えている。補助機構210によって、ニードル操作部材200の調整位置(回転度合い)を、より一層的確に設定することができるとともに、調整位置の再現性を高めることができる。従って、調整作業性を、より一層高めることができる。
【0051】
上記構成の作用を説明する。
図3に示されるように、油圧緩衝器20の下方から、バネ荷重調整装置150の操作部材160を回すことにより、支持部材181は中心線CLに沿う方向に進退する。これにより、ワッシャ187及び下バネ受142を介して懸架用バネ130の長さを調整できるので、バネ荷重を調整することができる。
【0052】
また、図3及び図6に示されるように、油圧緩衝器20の下方から、減衰力調整装置100のニードル操作部材200を回すことにより、連結部材125を介して、ニードル弁120の弁棒123を進退させ、ニードル弁120の開度を調整することができる。
【0053】
上記実施例1の説明をまとめると、次のとおりである。
図1乃至図3に示されるように、油圧緩衝器20は、車体11側に配置されるアウターチューブ30と、前記アウターチューブ30の内部に対し一部を進退可能に嵌合している、車輪14側に配置されるインナーチューブ40と、前記インナーチューブ40の内部に配置されるとともに、前記インナーチューブ40の下端42から上端41へ向かって延びており、前記アウターチューブ30及び前記インナーチューブ40に、互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する懸架用バネ130と、前記インナーチューブ40の前記下端42を収容するとともに、車軸14Aを支持する車軸用ブラケット50と、前記車軸用ブラケット50に対し、前記インナーチューブ40の前記中心線CLを軸として回転可能に、且つ、前記車軸用ブラケット50の下方への移動を規制されて設けられている操作部材160と、前記懸架用バネ130の下側に配置され、前記操作部材160の回転運動を、前記中心線CLに沿う方向の直線運動へ変換して、前記バネ荷重を調整する調整機構180と、を含む。
【0054】
このような形態にすることにより、懸架用バネ130のバネ荷重の調整作業を、油圧緩衝器20の下方から行うことができる。油圧緩衝器20の下方、つまりフロントフォーク13の下方には、空きスペースがある。この下方の空きスペースは、油圧緩衝器20の上端と操舵ハンドル15との間の空きスペースよりも広い。このため、懸架用バネ130のバネ荷重を調整する(初期設定をする)ための、調整作業を容易に行うことができる。
【0055】
しかも、懸架用バネ130は、インナーチューブ40の下端42から上端41へ向かって延びている。車軸用ブラケット50に設けられている操作部材160から懸架用バネ130の下端までの距離は、操作部材160が油圧緩衝器20の上端に設けられている場合に比べて、極めて短い。このため、操作部材160と懸架用バネ130との間には、操作部材160の操作力を懸架用バネ130に伝えるための、長い中間部材を介在させる必要がない。
【0056】
したがって、バネ荷重調整装置150の部品数の増加を抑制しつつ、懸架用バネ130のバネ荷重を調整するための、調整作業を容易にすることができる油圧緩衝器20を、提供することができる。
【0057】
また、図4に示されるように、油圧緩衝器20は、前記車軸用ブラケット50に対する前記操作部材160の、前記懸架用バネ130側への移動を規制する、規制部材170を、さらに備えている。
【0058】
このため、操作部材160は、車軸用ブラケット50に対し、インナーチューブ40の中心線CLに沿う方向へ、変位しない。このため、車軸用ブラケット50に対する操作部材160の位置決めを、より確実に行うことができる。
【0059】
また、図2及び図6に示されるように、油圧緩衝器20は、前記アウターチューブ30の内部に設けられるとともに、前記インナーチューブ40の内部へ延びているシリンダ60と、前記インナーチューブ40の前記下端71から、前記シリンダ60の内部へ延びているピストンロッド70と、前記ピストンロッド70に連結されるとともに、前記シリンダ60の内部を第1液室62と第2液室63とに区画しているピストン80と、前記ピストン80を介して前記第1液室62と前記第2液室63とを連通する連通路110(バイパス路110)、前記連通路110に介在したニードル弁120、及び、前記ニードル弁120の開度を調整するニードル操作部材200、を備えた減衰力調整装置100と、さらに有し、前記ニードル操作部材200は、前記操作部材160に回転可能に設けられている。
【0060】
このため、懸架用バネ130のバネ荷重の調整作業、及び、減衰力調整装置100のニードル弁120の開度調整作業を、油圧緩衝器20の下方から行うことができる。図1に示すように、油圧緩衝器20の下方、つまりフロントフォーク13の下方には、油圧緩衝器20の上方よりも、広い空きスペースがある。そのため、油圧緩衝器20の上方から2つの調整作業を行う場合と比較して、調整作業性をより高めることができる。しかも、油圧緩衝器20は、バネ荷重の調整作業を行うための操作部材160に対して、ニードル操作部材200を直接組み込んでいる。このため、操作部材160に対し、別部材を介在してニードル操作部材200を組み込んだ場合や、操作部材160とニードル操作部材200とを、別々に設けた場合に比べて、油圧緩衝器20の小型化を図ることができる。
【0061】
また、図4に示されるように、前記調整機構180は、前記操作部材160の外周面に備えられている雄ネジ164にねじ込まれる雌ネジ181aを内周面に有し、前記懸架用バネ130を支持する環状の支持部材181と、前記車軸用ブラケット50に対し、前記中心線CLに沿う方向の直線運動及び回転運動の両方が規制されて、設けられている固定部材182と、前記固定部材182から前記支持部材181へ向かって延びることで、前記固定部材182に対して、前記支持部材181の回転を規制しつつ前記中心線CLに沿う方向の直線運動を許容するピン186と、を備えている。
【0062】
このため、操作部材160を回すことにより、インナーチューブ40の中心線CLに沿う方向に支持部材181を進退させて、懸架用バネ130のバネ荷重を調整することができる。調整機構180を、雄ネジ164にねじ込まれる雌ネジ181aを内周面に有しているプランジャ181と、車軸用ブラケット50に設けられている固定部材182と、固定部材182からプランジャ181へ向かって延びてプランジャ181の回転を規制するピン186と、の組み合わせによって、構成している。このため、調整機構180の構造を簡素化することができる。
【0063】
また、図8に示されるように、油圧緩衝器20は、前記懸架用バネ130の下端を支持する下バネ受142と、前記下バネ受142と前記支持部材181の先端面181cとの間に介在した平板状のワッシャ187と、をさらに備え、前記ワッシャ187における、少なくとも、前記下バネ受142と接する面187aは、前記先端面181aよりも摩擦係数が小さい。
【0064】
懸架用バネ130は、コイルばねなので、伸縮動作をする際に、下バネ受142に対して捩じれ現象が生じ得る。このような捩じれ現象が生じると、懸架用バネ130は下バネ受142を介して、調整機構180の支持部材181を回そうとする。
【0065】
これに対して実施例1では、下バネ受142と支持部材181の先端面181cとの間に、ワッシャ187が介在するとともに、このワッシャ187における、下バネ受142と接する面187aが、摩擦係数が小さい層188によって被覆されている。このため、下バネ受142は、ワッシャ187に対して滑りやすい(つまり、回りやすい)。このような形態にすることにより、懸架用バネ130の捩じれ現象が支持部材181に与える影響を、緩和することができる。
【0066】
次に、図9を参照しつつ実施例2の油圧緩衝器20Aを説明する。
<実施例2>
【0067】
図9は、実施例2の油圧緩衝器20Aの断面構成を示し、上記図4に対応させて表している。図9に示される油圧緩衝器20Aは、上記油圧緩衝器20の規制部材170を、規制部材170Aに変更したことを特徴とし、その他の基本的な構成については、上記油圧緩衝器20と共通する。上記油圧緩衝器20と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を適宜省略する。
【0068】
図9に示されるように、油圧緩衝器20Aにおける規制部材170Aは、下端を閉鎖した底板173を有する有底環状の構成としている。このため、規制部材170Aを操作部材160の雄ネジ165にねじ込むことにより、操作部材160の下端及びニードル操作部材200の下端を規制部材170Aによって覆うことができる。操作部材160及びニードル操作部材200を操作するときには、規制部材170Aを取り外す。
【0069】
実施例2によれば、油圧緩衝器20により得られる上記効果に加えて、油圧緩衝器20Aの下方からの異物の侵入を防止することができる。特に、油圧緩衝器20Aをモトクロッサーのフロントフォークとして採用するのに好適である。モトクロスでは、悪路を走行することがあるので、塵埃等の異物が油圧緩衝器20Aの下方から侵入しやすい。これに対して、規制部材170Aを設けることによって、油圧緩衝器20Aの下方からの異物の侵入を防止することができる。その他の作用、効果については、上記実施例1と同様である。
【0070】
次に、図10図11を参照しつつ実施例3の油圧緩衝器20Bを説明する。
<実施例3>
【0071】
図10は、実施例3の油圧緩衝器20Bの断面構成を示し、上記図4に対応させて表している。図11図10に示される補助機構300を分解して表している。
【0072】
図10図11に示される油圧緩衝器20Bは、上記油圧緩衝器20のバネ荷重調整装置150に補助機構300を追加したことを特徴とし、その他の基本的な構成は、上記油圧緩衝器20と共通する。上記油圧緩衝器20と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を適宜省略する。
【0073】
油圧緩衝器20Bにおける補助機構300は、車軸用ブラケット50と操作部材160との間に、インナーチューブ40の中心線CLを軸とする回転度合いの把握を補助する。この補助機構300は、例えば、操作部材160の第2筒部162の外周面に備えられる複数の係止部301と、この係止部301に当接する当接部材302と、当接部材302に対し係止部301に向かう力を付与する圧縮コイルばね303とを備えている。
【0074】
複数の係止部301は、中心線CLを軸として、第2筒部162の外周面に一定のピッチで配列された凹状又は凸状の構成である。当接部材302は、ボールまたはピンによって構成される。圧縮コイルばね303は、車軸用ブラケット50の第4部55の壁面に有している孔304に、嵌め込まれている。この孔304は、中心線CLに対して直交する横向きの有底状の構成である。
【0075】
車軸用ブラケット50に対して操作部材160が回ると、複数の係止部301も回る。このときに、当接部材302は回らない。操作部材160を回し続けることにより、一定のピッチ毎に当接部材302は、係止部301に対して係止し、その後に係止部301から抜け出る。このため、操作部材160を回す調整者は、微小な操作力の違いとして感じる。これにより、調整者は、操作部材160の回転量(回転度合い)を把握することができる。
【0076】
このように、実施例3では、前記車軸用ブラケット50と前記操作部材160との間に、前記インナーチューブ40の前記中心線CLを軸とする操作部材160の回転度合いの把握を補助する補助機構300を備えている。
【0077】
実施例3によれば、操作部材160の調整位置を、より一層的確に設定することができるとともに、調整位置の再現性を高めることができる。従って、調整作業性をより一層高めることができる。その他の作用、効果については、上記実施例1と同様である。
【0078】
上記実施例1〜3の各油圧緩衝器20,20A,20Bは、それぞれの油圧緩衝器に特有の構成を任意に組み合わせることが可能である。当該特有の構成の全てを組み合わせた形態の説明をまとめると、次のとおりである。
【0079】
油圧緩衝器20,20A,20Bは、車体11側に配置されるアウターチューブ30と、前記アウターチューブ30の内部に対し一部を進退可能に嵌合している、車輪14側に配置されるインナーチューブ40と、前記アウターチューブ30の内部に設けられるとともに、前記インナーチューブ40の内部へ延びているシリンダ60と、前記インナーチューブ40の下端42から、前記シリンダ60の内部へ延びているピストンロッド70と、前記ピストンロッド70に連結されるとともに、前記シリンダ60の内部を第1液室62と第2液室63とに区画しているピストン80と、前記インナーチューブ40の内部に配置されるとともに、前記インナーチューブ40の前記下端42から上端41へ向かって延びており、前記アウターチューブ30及び前記インナーチューブ40に、互いに遠ざける向きのバネ荷重を付与する懸架用バネ130と、前記インナーチューブ40の前記下端42を収容するとともに、車軸14Aを支持する車軸用ブラケット50と、前記車軸用ブラケット50に対し、前記インナーチューブ40の中心線CLを軸として回転可能に、且つ、前記車軸用ブラケット50の下方への移動を規制されて設けられている操作部材160と、前記操作部材160と前記車軸用ブラケット50との間に、前記中心線CLを軸とする前記操作部材160の回転度合いの把握を補助する補助機構300と、前記操作部材160の外周面に備えられている雄ネジ164にねじ込まれる雌ネジ181aを内周面に有し、前記懸架用バネ130を支持する環状の支持部材181、前記車軸用ブラケット50に対し前記中心線CLに沿う方向の直線運動及び回転運動の両方が規制されている固定部材182、及び、前記固定部材182から前記支持部材181へ向かって延びることで、前記固定部材182に対して、前記支持部材181の回転を規制しつつ前記中心線CLに沿う方向の直線運動を許容するピン186、を備えた調整機構180と、前記ピストン80を介して前記第1液室62と前記第2液室63とを連通する連通路110、前記連通路110に介在したニードル弁120、及び、前記操作部材160に回転可能に設けられており前記ニードル弁120の開度を調整するニードル操作部材200、を備えた減衰力調整装置100と、前記懸架用バネ130の下端を支持する下バネ受142と、前記下バネ受142と前記支持部材181の先端面181cとの間に介在し、少なくとも、前記下バネ受142と接する面187aが、前記先端面181cよりも摩擦係数が小さい平板状のワッシャ187と、前記車軸用ブラケット50に対する前記操作部材160の、前記懸架用バネ130側への移動を規制するとともに、前記操作部材160の下端及び前記ニードル操作部材200の下端を覆っている、有底環状の規制部材170Aと、を備える。
【0080】
この場合の作用、効果については、上記実施例1〜3で説明した通りである。
【0081】
なお、油圧緩衝器20,20A,20Bは、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、上記形態に限定されない。
例えば、上記油圧緩衝器20,20A,20Bは、自動二輪車に限らず三輪車やバギー等にも適用可能である。つまり、二輪車以外の鞍乗り型車両にも搭載可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の油圧緩衝器20,20A,20Bは、自動二輪車等の鞍乗り型車両に、フロントフォークとして搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0083】
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
11 車体
13 フロントフォーク
14 前輪(車輪)
14A 車軸
20,20A,20B 油圧緩衝器
30 アウターチューブ
31 アウターチューブの上端
32 アウターチューブの下端
40 インナーチューブ
41 インナーチューブの上端
42 インナーチューブの下端
50 車軸用ブラケット
60 シリンダ
61 シリンダの上端
62 第1液室
63 第2液室
70 ピストンロッド
71 ピストンロッドの下端
72 ピストンロッドの上端
80 ピストン
100 減衰力調整装置
110 連通路
120 ニードル弁
130 懸架用バネ
141 上バネ受
142 下バネ受
150 バネ荷重調整装置
160 操作部材
164 雄ネジ
170,170A 規制部材
173 底板
180 調整機構
181 支持部材
181a 雌ネジ
181b ピンが嵌合する孔
181c プランジャの先端面
182 固定部材
186 ピン
187 ワッシャ
187a 下バネ受と接する面
188 低摩擦層
200 ニードル操作部材
300 補助機構
CL 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11