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特開2021-197475回路構成体の保持構造、及び電気機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-197475(P2021-197475A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】回路構成体の保持構造、及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20211129BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20211129BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   H05K5/03 A
   H02G3/16
   B60R16/02 610J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-103823(P2020-103823)
(22)【出願日】2020年6月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 遼太
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360BA02
4E360BA04
4E360BB22
4E360BD03
4E360CA02
4E360EA03
4E360ED02
4E360EE02
4E360GA28
4E360GB92
4E360GC08
5G361BA01
5G361BA06
5G361BB01
5G361BB02
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リテーナが正規位置に取り付けられたか否かを容易に検知できる回路構成体の保持構造及び電気機器を提供する。
【解決手段】電気機器10において、回路構成体13の保持構造48は、ケース12と、ケース12に取り付けられて、開口部11を塞ぐカバー15と、リテーナ14と、を備える。ケース12は、回路構成体13を開口部11内に係止する弾性変形可能な係止片を有する。カバー15は、リテーナ14が仮係止位置に保持された状態ではリテーナ14に接触する。リテーナ14は、本係止位置に保持された状態ではリテーナ14と離れている検知部36を有する。検知部36がリテーナ14に接触する状態では、カバー15はケース12に組み付けられることが禁止され、検知部36がリテーナ14と離れている状態では、カバー15はケース12に組み付けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路を有する回路構成体の保持構造であって、
開口部を有し、前記開口部内に前記回路構成体が収容されるケースと、
前記ケースに取り付けられて、前記開口部を塞ぐカバーと、
前記ケースに取り付けられるリテーナと、を備え、
前記ケースは、前記回路構成体を前記開口部内に係止する弾性変形可能な係止片を有し、
前記リテーナは、前記係止片が前記回路構成体を係止した状態で、前記係止片の弾性変形領域に配される撓み規制部を有し、
前記リテーナは、前記ケースに対して、前記撓み規制部が前記弾性変形領域に位置する本係止位置と、前記撓み規制部が前記弾性変形領域と異なる位置に配される仮係止位置と、の間を移動可能に保持されており、
前記カバーは、前記リテーナが前記仮係止位置に保持された状態では前記リテーナに接触し、前記リテーナが前記本係止位置に保持された状態では前記リテーナと離れている検知部を有し、
前記検知部が前記リテーナに接触する状態では前記カバーは前記ケースに組み付けられることが禁止され、前記検知部が前記リテーナと離れている状態では前記カバーは前記ケースに組み付けられる回路構成体の保持構造。
【請求項2】
前記検知部は、前記カバーの内面から前記ケースに向かって突出して形成された主壁と、前記主壁の内側に設けられて前記カバーの内面と前記主壁とを連結する補強壁と、を有する請求項1に記載の回路構成体の保持構造。
【請求項3】
前記ケースには、前記リテーナが前記仮係止位置と前記本係止位置との間を移動する移動方向に沿って延びる軌道部が設けられており、
前記リテーナには、移動方向に沿って移動可能な状態で前記軌道部に係合する係合部が設けられている請求項1または請求項2に記載の回路構成体の保持構造。
【請求項4】
前記検知部には、前記リテーナが前記本係止位置に保持された状態で、前記軌道部に嵌合する嵌合部が設けられている請求項3に記載の回路構成体の保持構造。
【請求項5】
前記軌道部は、前記回路構成体に接続されたワイヤーハーネスの配策方向と交差する方向に延びて形成されている請求項3または請求項4に記載の回路構成体の保持構造。
【請求項6】
前記回路構成体にはワイヤーハーネスが接続されており、
前記リテーナおよび前記検知部は、前記ワイヤーハーネスと異なる位置に配置されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体の保持構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の回路構成体の保持構造と、
前記回路構成体の保持構造によって保持される、回路を有する回路構成体と、を備えた電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路構成体の保持構造、及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器の一例である電気接続箱として、特開2012−151961号公報に記載されたものが知られている。この電気接続箱は、外箱と、ECUと、を備える。ECUは突起を有しており、この突起の向きは、ECUが外箱に取り付けられる面である被取付面と平行になっている。突起には、被取付面と平行な位置決め面と、突起と平行に向けられたリブと、が形成される。外箱は、ECUを取り付けるためのマウント面と、突起を差込可能な突起収容部と、位置決め面と対面可能な規制面と、リブに接触可能なリブ案内面と、を有する。規制面は、リブ案内面よりも、突起の差込方向奥側に位置している。外箱は、収容凹部の内底面の縁部から立ち上がる側壁部を備えている。この側壁部には爪部が形成されており、この爪部は、前記ECUが備える引掛け部に引掛けることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−151961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、車両に搭載される電装品に供給される電力が増大しており、これに伴って、電装品に電力を分配するための電気機器に取り付けられる電子部品も大型化する傾向にある。すると、従来技術のように、爪部が引掛け部に引掛けられているだけでは、車両の振動が電気機器に伝えられた場合に、電気機器が振動して、異音が発生するおそれがある。
【0005】
これを抑制するためには、爪部または引掛け部が変形することを抑制するためのリテーナを取り付けることが考えられる。しかし、爪部と引掛け部とを引掛けた後に、リテーナが正規位置に組み付けられていないおそれがある。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、リテーナが正規位置に取り付けられたか否かを容易に検知できる、回路構成体の保持構造に係る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、回路を有する回路構成体の保持構造であって、開口部を有し、前記開口部内に前記回路構成体が収容されるケースと、前記ケースに取り付けられて、前記開口部を塞ぐカバーと、前記ケースに取り付けられるリテーナと、を備え、前記ケースは、前記回路構成体を前記開口部内に係止する弾性変形可能な係止片を有し、前記リテーナは、前記係止片が前記回路構成体を係止した状態で、前記係止片の弾性変形領域に配される撓み規制部を有し、前記リテーナは、前記ケースに対して、前記撓み規制部が前記弾性変形領域に位置する本係止位置と、前記撓み規制部が前記弾性変形領域と異なる位置に配される仮係止位置と、の間を移動可能に保持されており、前記カバーは、前記リテーナが前記仮係止位置に保持された状態では前記リテーナに接触し、前記リテーナが前記本係止位置に保持された状態では前記リテーナと離れている検知部を有し、前記検知部が前記リテーナに接触する状態では前記カバーは前記ケースに組み付けられることが禁止され、前記検知部が前記リテーナと離れている状態では前記カバーは前記ケースに組み付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、リテーナが正規位置に取り付けられたか否かを容易に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1にかかる電気機器を示す分解斜視図である。
図2図2は、電気機器を示す平面図である。
図3図3は、カバーが外された状態において、リテーナが本係止位置に保持された電気機器を示す平面図である。
図4図4は、図2におけるIV−IV線断面図である。
図5図5は、ケースの仕切り壁を示す一部拡大斜視図である。
図6図6は、図2におけるVI−VI線断面図である。
図7図7は、電気機器を示す斜視図である。
図8図8は、検知部を示す、カバーの一部拡大底面図である。
図9図9は、検知部を示す、カバーの一部拡大斜視図である。
図10図10は、リテーナが本係止位置に保持された状態を示す電気機器の一部拡大平断面図である。
図11図11は、リテーナを示す斜視図である。
図12図12は、リテーナを示す側面図である。
図13図13は、カバーが外された状態において、リテーナが仮係止位置に保持された電気機器を示す平面図である。
図14図14は、リテーナを示す平面図である。
図15図15は、リテーナを示す正面図である。
図16図16は、図13におけるXVI−XVI線断面図である。
図17図17は、リテーナが仮係止位置に保持された状態を示す電気機器の一部拡大平断面図である。である。
図18図18は、カバーの検知部が、仮係止位置に保持されたリテーナに上方から接触した状態を示す、図2におけるVI−VI線に相当する断面図である。
図19図19は、図3におけるXIX−XIX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示は、回路を有する回路構成体の保持構造であって、開口部を有し、前記開口部内に前記回路構成体が収容されるケースと、前記ケースに取り付けられて、前記開口部を塞ぐカバーと、前記ケースに取り付けられるリテーナと、を備え、前記ケースは、前記回路構成体を前記開口部内に係止する弾性変形可能な係止片を有し、前記リテーナは、前記係止片が前記回路構成体を係止した状態で、前記係止片の弾性変形領域に配される撓み規制部を有し、前記リテーナは、前記ケースに対して、前記撓み規制部が前記弾性変形領域に位置する本係止位置と、前記撓み規制部が前記弾性変形領域と異なる位置に配される仮係止位置と、の間を移動可能に保持されており、前記カバーは、前記リテーナが前記仮係止位置に保持された状態では前記リテーナに接触し、前記リテーナが前記本係止位置に保持された状態では前記リテーナと離れている検知部を有し、前記検知部が前記リテーナに接触する状態では前記カバーは前記ケースに組み付けられることが禁止され、前記検知部が前記リテーナと離れている状態では前記カバーは前記ケースに組み付けられる。
【0012】
リテーナが仮係止位置に保持された状態では、係止片の弾性変形領域内にリテーナの撓み規制部が位置していない。このため、カバーの検知部がリテーナと接触することにより、カバーがケースに組み付けられないようになっている。
【0013】
一方、リテーナが本係止位置に保持された状態では、係止片の弾性変形領域内にリテーナの撓み規制部が位置している。これにより、カバーの検知部はリテーナと離れているので、カバーをケースに組み付けることができる。
【0014】
この結果、リテーナが本係止位置に保持されていることを、カバーがケースに組み付けられるかどうかによって容易に判断できる。カバーがケースに組み付けられた場合には、係止片の弾性変形領域内にリテーナの撓み規制部が確実に配置されるので、回路構成体がケース内でがたつくことにより異音が発生することを抑制できる。
【0015】
(2)前記検知部は、前記カバーの内面から前記ケースに向かって突出して形成された主壁と、前記主壁の内側に設けられて前記カバーの内面と前記主壁とを連結する補強壁と、を有することが好ましい。
【0016】
補強壁によって補強されているので、リテーナが仮係止位置に保持された状態において検知部がリテーナに接触した場合でも、検知部がゆがむことを抑制できる。これにより、カバーがケースに無理に取り付けられることが抑制されるので、リテーナが仮係止位置に保持されていることを確実に検知できる。
【0017】
(3)前記ケースには、前記リテーナが前記仮係止位置と前記本係止位置との間を移動する移動方向に沿って延びる軌道部が設けられており、前記リテーナには、移動方向に沿って移動可能な状態で前記軌道部に係合する係合部が設けられていることが好ましい。
【0018】
リテーナは、軌道部に案内されることにより、仮係止位置と本係止位置との間をスムーズに移動できる。これにより、リテーナを移動させる作業の効率を向上させることができる。
【0019】
(4)前記検知部には、前記リテーナが前記本係止位置に保持された状態で、前記軌道部に嵌合する嵌合部が設けられていることが好ましい。
【0020】
検知部の嵌合部が軌道部に嵌合することにより、検知部の端部と軌道部の端部とが単に接触する場合に比べて、軌道部に向かう方向について検知部の移動量を大きくすることができる。この結果、リテーナが仮係止位置に保持された状態を確実に検知することができる。
【0021】
(5)前記軌道部は、前記回路構成体に接続されたワイヤーハーネスの配策方向と交差する方向に延びて形成されている。
【0022】
ワイヤーハーネスの配策方向と交差する方向について、軌道部のうちワイヤーハーネスよりも外方に位置する部分において、仮係止位置に保持されたリテーナと検知部とが接触するようにできる。これにより、仮係止位置に保持されたリテーナと、検知部との間にワイヤーハーネスが挟まれることを確実に抑制できる。
【0023】
(6)前記回路構成体にはワイヤーハーネスが接続されており、前記リテーナおよび前記検知部は、前記ワイヤーハーネスと異なる位置に配置されている。
【0024】
リテーナが仮係止位置と本係止位置との間を移動しても、ワイヤーハーネスと干渉しない。これにより、ワイヤーハーネスによってリテーナの移動が妨げられないので、リテーナを移動させる作業の効率を向上させることができる。
【0025】
また、カバーをケースに組み付ける際に、検知部がワイヤーハーネスと干渉しない。これにより、リテーナが仮係止位置に保持された状態であっても、検知部とリテーナとの間にワイヤーハーネスが挟まれることを抑制できる。この結果、リテーナが仮係止位置に保持された状態であることを検知した場合でも、ワイヤーハーネスが検知部によって損傷されることが抑制される。
【0026】
(7)本開示にかかる電気機器は、上記の(1)から(6)のいずれか一つに記載された回路構成体の保持構造と、前記回路構成体の保持構造によって保持される、回路を有する回路構成体と、を備える。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0028】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図19を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる電気機器10は、車両(図示せず)に搭載されて、電源(図示せず)から供給される電流を、車載用機器(図示せず)に分配するようになっている。以下の説明においては、矢線Zで示される方向を上方とし、矢線Yで示される方向を前方とし、矢線Xで表される方向を左方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。なお、図面において、いくつかの部材は簡略化された形状で記載されている場合がある。
【0029】
[全体構造]
図1に示されるように、本実施形態にかかる電気機器10は、上方に開口する開口部11を有するケース12と、ケース12の開口部11内に収容される回路構成体13と、ケース12の開口部11内に取り付けられるリテーナ14と、ケース12に上方から組み付けられて開口部11を塞ぐカバー15と、を備える。図2に示されるように、電気機器10は、上方から見て略五角形をなしている。
【0030】
[ケース12]
図3に示されるように、ケース12は、上方から見て略五角形をなしている。ケース12は、絶縁性の合成樹脂が射出成型されて形成されている。ケース12は、ケース底壁16と、ケース底壁16の側縁から上方に延びるケース側壁17と、を有する。ケース12の前端部は、前方に向かうに従って先細り形状となっている。ケース12の前端部には、後述するワイヤーハーネス18が配置される下側挿通溝19が上方に開口して形成されている。
【0031】
ケース12の後ろ側に設けられたケース側壁17の前面には、前方に突出する複数(本実施形態では3つ)の係止突起20が、左右方向に間隔を空けて並んで形成されている。係止突起20の下面が、回路構成体13の上面に上方から係止することにより、回路構成体13が、ケース12の開口部11内において、上方に抜け止め状態で保持されるようになっている。
【0032】
ケース側壁17の外面には、複数(本実施形態では3つ)のロック受け部21が形成されている。ロック受け部21には、カバー15のうちロック受け部21に対応する位置に形成されたロック部22が、弾性的に係止するようになっている。
【0033】
ケース12の前端部寄りの位置には、ケース底壁16から上方に延びる仕切り壁23が形成されている。仕切り壁23は左右方向に延びて形成されている。仕切り壁23の左端部、および右端部は、ケース12の前端部寄りの位置に設けられたケース側壁17とつながっている。仕切り壁23の上下方向の高さ寸法は、ケース側壁17の上下方向の高さ寸法よりも小さく設定されている。仕切り壁23の上端縁は、後述するリテーナ14と係合する軌道部24とされる。
【0034】
図4に示されるように、仕切り壁23の後面には後方に突出する複数(本実施形態では2つ)の係止片25が左右方向に間隔を空けて並んで形成されている。係止片25は、側方から見て、上方に開口する略U字状をなしている。係止片25の先端部の前面には、前方に突出する係止爪26が形成されている。係止爪26の下面が、回路構成体13の上面に上方から係止することにより、回路構成体13が、ケース12の開口部11内に、上方に抜け止め状態で保持されるようになっている。
【0035】
係止片25は、前後方向に弾性変形可能になっている。係止片25と、仕切り壁23との間の空間は、係止片25が弾性変形する弾性変形領域27とされる。
【0036】
図5に示されるように、仕切り壁23の後面には、左右方向については2つの係止片25の間の位置であって、且つ、上下方向については2つの係止片25よりも上方の位置に、後述するリテーナ14と係止する左係止突起28と、右係止突起29とが、左右方向に間隔を空けて並んで設けられている。左係止突起28は、後方から見て上下方向に延びる形状をなしている。右係止突起29は、後方から見て上下方向に延びる縦部30と、縦部30の下端部から左方に延びる横部31と、を有する。
【0037】
[カバー15]
図2に示されるように、カバー15は、上方から見て略五角形をなしている。カバー15は絶縁性の合成樹脂が射出成型されて形成されている。カバー15は、カバー上壁32と、カバー上壁32の側縁から下方に延びるカバー側壁33と、を有する。図1に示されるようにカバー側壁33の下端縁の形状は、概ね、ケース側壁17の上端縁と対応している。
【0038】
図6に示されるように、カバー側壁33の下端縁には、ケース側壁17の上端縁が嵌入される嵌入溝34が下方に開口して形成されている。カバー15がケース12に組み付けられた状態で、ケース側壁17の上端縁は、カバー側壁33の嵌入溝34の内部に嵌るようになっている。
【0039】
図1に示されるように、カバー側壁33には、ケース側壁17に形成されたロック受け部21に対応する位置に、ロック受け部21と弾性的に係合する複数(本実施形態では3つ)のロック部22が形成されている。ロック部22がロック受け部21に弾性的に係合することにより、カバー15がケース12に組み付けられるようになっている(図7参照)。
【0040】
図7に示されるように、カバー15の前端部は、前方に向かうに従って先細り形状となっている。カバー15の前端部には、後述するワイヤーハーネス18が配置される上側挿通溝35が、下方に開口して形成されている。上側挿通溝35の断面形状は、ほぼ半円形状をなしている。カバー15がケース12に組み付けられた状態で、ケース12の下側挿通溝19と、カバー15の上側挿通溝35とによって、前後方向に延びる空間が形成される。この空間内に、前後方向に延びるワイヤーハーネス18が配置される。
【0041】
図8に示されるように、カバー15の右前部には、カバー上壁32の内面、およびカバー側壁33の内面から内方に突出する検知部36が形成されている。検知部36は、カバー15からケース12に向かって、下方に延びて形成されている。図9に示されるように、検知部36の下端部は、カバー側壁33の下端縁よりも下方に位置している。検知部36の下端部には、上方に凹んだ嵌合部37が形成されている。嵌合部37の前後方向の差し渡し寸法は、仕切り壁23の前後方向の厚さ寸法と同じか、やや大きく設定されている。カバー15がケース12に組み付けられた状態で、仕切り壁23の上端縁は、嵌合部37内に嵌入するようになっている(図6参照)。
【0042】
図10に示されるように、検知部36は、カバー上壁32の内面から下方に延びるとともに、カバー側壁33から内方に突出する主壁38と、主壁38の内側に設けられてカバー側壁33の内面と主壁38とを連結する補強壁39と、を有する。補強壁39の前面は嵌合部37の内側面を兼ねるようになっている。
【0043】
[回路構成体13]
図1に示されるように、回路構成体13は、複数の電子部品40を有する。回路構成体13は回路を有しており、電子部品40は回路の一部を構成する。詳細には図示しないが、電子部品40は回路基板に設けられた導電路に、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。電子部品40としては、機械式リレー、半導体リレー、コイル、抵抗器、コンデンサ、集積回路等、公知の電子部品40を適宜に選択して用いることができる。回路構成体13の構造は特に限定されず、例えば、プリント回路基板であってもよく、また、合成樹脂製の絶縁板にバスバーが配置された構成としてもよい。
【0044】
図3に示されるように、回路構成体13の上面には、複数の電線を有するワイヤーハーネス18が電気的に接続されている。ワイヤーハーネス18と回路構成体13とは、半田付け、コネクタ、ネジ止め等の公知の手段により、電気的に接続されている。ワイヤーハーネス18が、回路構成体13の前端部で1つに束ねられて、前方に延びて配策される。本実施形態においては、前後方向がワイヤーハーネス18の配策方向とされる。
【0045】
[リテーナ14]
リテーナ14は、絶縁性の合成樹脂が射出成型されてなる。図11に示されるように、リテーナ14は、左右方向に細長く延びて形成されている。リテーナ14の下面には、上方に凹んだ係合部41が溝状に形成されている。図11および図12に示されるように、係合部41は、リテーナ14の左右両端部に開口している。
【0046】
図4に示されるように、係合部41の内面の前後方向についての差し渡し寸法は、仕切り壁23の軌道部24の前後方向の厚さ寸法と同じか、やや大きく設定されている。これにより、係合部41は仕切り壁23の軌道部24に上方から係合するようになっている。リテーナ14は、左右方向に沿って延びる軌道部24に案内されて、左右方向に移動可能になっている。リテーナ14は、仕切り壁23に対して、仮係止位置(図13参照)と、本係止位置(図3参照)との間で移動可能な状態で保持されている。
【0047】
図14に示されるように、リテーナ14の左端部には、前方に突出する操作部47が形成されている。図15に示されるように、係合部41の後側に設けられた後壁42は、前後方向に貫通する窓部43を有する。窓部43は、概ね、左右方向に長方形状に形成されている。窓部43の口縁部の下端縁には、左側に位置する仮係止部44と、右側に位置する本係止部45とが、左右方向に間隔を空けて並んで形成されている。
【0048】
図15に示されるように、仮係止部44は、窓部43の下端縁から上方に突出している。仮係止部44は、前後方向から見て、角の丸まった、なだらかな山形状に形成されている。本係止部45は、窓部43の下端縁から上方に突出している。本係止部45は、前後方向から見て、四角形状に形成されている。
【0049】
図14に示されるように、リテーナ14の後壁42には、後方に突出する複数(本実施形態では2つ)の撓み規制部46が、左右方向に間隔を空けて形成されている。上下方向について後壁42の略下半分の領域に、撓み規制部46が形成されている。リテーナ14が本係止位置に保持された状態で、2つの撓み規制部46は、それぞれ、2つの係止片25の弾性変形領域27に位置するように設定されている。
【0050】
上記した、ケース12と、カバー15と、リテーナ14とによって、回路構成体13が保持されるようになっている。すなわち、ケース12と、カバー15と、リテーナ14とにより、回路構成体13の保持構造48が構成される。
【0051】
[仮係止状態]
図13に示されるように、リテーナ14が仕切り壁23に対して仮係止位置に保持された状態においては、リテーナ14は、仕切り壁23の左端部寄りに位置するようになっている。図16に示されるように、この状態では、窓部43内には、仕切り壁23に設けられた右係止突起29と、左係止突起28が位置している。詳細には、左係止突起28は窓部43の左端部寄りに位置している。窓部43の口縁部が左係止突起28の左端部に左方から接触することにより、リテーナ14が仮係止位置よりも右方に移動することが規制されるようになっている。
【0052】
右係止突起29は、仮係止部44の左方に位置するようになっている。右係止突起29の下端部が、仮係止部44に左方から接触することにより、リテーナ14は、仮係止位置に保持されるようになっている。仮係止部44はなだらかな山形状に形成されているので、右係止突起29は、比較的容易に仮係止部44を乗り越えることができるようになっている。このように、仮係止部44と右係止突起29とは、いわゆるセミロック構造とされている。
【0053】
図17に示されるように、リテーナ14が仮係止位置に保持されている状態では、リテーナ14は仕切り壁23の左端部寄りに位置している。このため、ケース12に対して上方からカバー15を組み付けようとした場合、カバー15に設けられた検知部36の下端部が上方からリテーナ14に接触するようになっている。これにより、カバー15がケース12に向かって下方に移動できなくなるので、カバー15がケース12に組み付けられない状態となる。これにより、リテーナ14が仮係止位置に保持されていることが検知されるようになっている(図18参照)。
【0054】
[本係止状態]
図3に示されるように、リテーナ14が仕切り板に対して仮係止位置に保持された状態においては、リテーナ14は、仕切り壁23の中央付近に位置するようになっている。図19に示されるように、この状態では、左係止突起28は、仮係止部44の左方に位置している。また、右係止突起29は、本係止部45の左方に位置している。本係止部45が右係止突起29の下端部に、右方から接触することにおり、リテーナ14が本係止位置よりも左方に移動することが抑制されるようになっている。本係止部45は角張った形状をなしているので、右係止突起29は、本係止部45を乗り越えることができないようになっている。また、右係止突起29の下端部は左右方向に延びる横部31により補強されているので、本係止部45から力が加えられた場合でも、右係止突起29が変形することが抑制されるようになっている。
【0055】
図6に示されるように、リテーナ14が仕切り壁23に対して本係止位置に保持された状態においては、リテーナ14は、仕切り壁23の中央付近に位置するようになっている。このため、仕切り壁23の右端部は、リテーナ14の右端部から露出した状態になっている。この状態では、カバー15をケース12に対して上方から組み付けようとすると、検知部36の下端部は、リテーナ14の右端部よりも右方に離れた位置に配されるようになっている。このように、検知部36の下端部と、リテーナ14の右端部とが干渉しないので、カバー15はケース12に向かって下方に移動可能になっている。このため、作業者は、カバー15を下方に押圧することにより、カバー15をケース12に組み付けることができるようになっている。
【0056】
図4に示されるように、係止片25が回路構成体13を係止した状態で、且つ、リテーナ14が仕切り壁23に対して本係止位置に保持された状態においては、リテーナ14の撓み規制部46は、係止片25の弾性変形領域27に位置するようになっている。これにより係止片25が弾性変形することが規制されるので、回路構成体13がケース12内で振動することが抑制されるようになっている。
【0057】
図6に示されるように、リテーナ14が仕切り壁23に対して本係止位置に保持された状態で、且つ、カバー15がケース12に組み付けられた状態では、検知部36の下端部に形成された嵌合部37は、仕切り壁23の軌道部24に上方から嵌るようになっている。
【0058】
[ワイヤーハーネス18との位置関係]
図4に示されるように、ワイヤーハーネス18は、回路構成体13から前方に延びて配策されている。仕切り壁23の上端部は、ワイヤーハーネス18よりも下方に離れて位置するように設定されている。仕切り壁23に取り付けられたリテーナ14の上端部も、ワイヤーハーネス18よりも下方に位置するように設定されている。カバー15がケース12に組み付けられた状態で、カバー15に形成された検知部36は、ワイヤーハーネス18よりも右方に離れて位置するように設定されている。
【0059】
図3に示されるように、仕切り壁23は、ワイヤーハーネス18が配策される前後方向と交差する方向に延びて形成されている。本実施形態では、仕切り壁23は左右方向に延びている。
【0060】
図13に示されるように、リテーナ14が仕切り壁23に対して仮係止位置に保持された状態では、リテーナ14の右端部は、ワイヤーハーネス18の右方に離れて位置するように設定されている。また、リテーナ14の操作部47は、ワイヤーハーネス18の左方に位置するように設定されている。
【0061】
図3に示されるように、リテーナ14が仕切り壁23に対して本係止位置に保持された状態では、リテーナ14の右端部から露出した仕切り壁23は、ワイヤーハーネス18の右方に位置するように設定されている。また、リテーナ14の操作部47は、ワイヤーハーネス18の左方に離れて位置するように設定されている。
【0062】
[電気機器10の製造工程の一例]
続いて、本実施形態にかかる電気機器10の製造工程の一例について説明する。なお、電気機器10の製造工程は、以下の記載に限定されない。
【0063】
ケース12の仕切り壁23の上端部に、リテーナ14が上方から組み付けられる。すると、リテーナ14の係合部41内に仕切り壁23の上端縁に形成された軌道部24が嵌る。リテーナ14の操作部47が右方に押されることにより、リテーナ14が仮係止位置に保持される。
【0064】
ケース12の開口部11内に、回路構成体13が上方から組み付けられる。このとき回路構成体13の後端部は、前端部よりも下に位置するようになっている。回路構成体13の後端部が、係止突起20の下方に嵌め入れられる。
【0065】
続いて、回路構成体13の前端部が係止片25に対して上方から組み付けられる。すると、回路構成体13の前端部が係止爪26に上方から接触する。これにより、係止片25が仕切り壁23に近づくように、前方に弾性変形する。このとき、係止片25は、弾性変形領域27内に位置するようになっている。さらに回路構成体13の前端部を押し下げると、係止片25が復帰変形する。すると、係止爪26の下面が回路構成体13の上面に上方から係止することにより、回路構成体13が上方に抜け止め状態で開口部11内に保持される。
【0066】
リテーナ14の操作部47が左方に押されることにより、リテーナ14が本係止位置に移動する。リテーナ14の撓み規制部46が係止片25の弾性変形領域27内に移動する。撓み規制部46が前方から係止片25に接触することにより、係止片25が弾性変形することが規制される。
【0067】
リテーナ14が本係止位置に移動されることにより、仕切り壁23の軌道部24の右端部がリテーナ14の右端部から露出する。
【0068】
カバー15をケース12の上方から組み付ける。カバー15から下方に延びる検知部36の先端に設けられた嵌合部37が、仕切り壁23の軌道部24に上方から嵌る。これにより、カバー15がケース12に対して正規の組み付け位置に案内される。
【0069】
カバー15のロック部22が、ケース12のロック受け部21に上方から接触することによりロック部22が弾性変形する。さらにカバー15がケース12に向かって押し下げられることにより、ロック部22が復帰変形し、ロック部22とロック受け部21とが弾性的に係止する。これにより、カバー15がケース12に組み付けられる(図6参照)。
【0070】
リテーナ14が仮係止位置に保持された状態、または、リテーナ14が仮係止位置から本係止位置に移動する途中の状態において、カバー15がケース12に組み付けられようとした場合には、カバー15から下方に延びる検知部36の下端部は、リテーナ14に右端部に上方から接触する。すると、カバー15を下方に移動させることができなくなるので、カバー15をケース12に組み付けることができなくなる。これにより、リテーナ14が本係止位置に移動していないことを検知することができる(図18参照)。
【0071】
[本実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態にかかる回路構成体13の保持構造48は、開口部11を有し、開口部11内に回路構成体13が収容されるケース12と、ケース12に取り付けられて、開口部11を塞ぐカバー15と、ケース12に取り付けられるリテーナ14と、を備え、ケース12は、回路構成体13を開口部11内に係止する弾性変形可能な係止片25を有し、リテーナ14は、係止片25が回路構成体13を係止した状態で、係止片25の弾性変形領域27に配される撓み規制部46を有し、リテーナ14は、ケース12に対して、撓み規制部46が弾性変形領域27に位置する本係止位置と、撓み規制部46が弾性変形領域27と異なる位置に配される仮係止位置と、の間を移動可能に保持されており、カバー15は、リテーナ14が仮係止位置に保持された状態ではリテーナ14に接触し、リテーナ14が本係止位置に保持された状態ではリテーナ14と離れている検知部36を有し、検知部36がリテーナ14に接触する状態ではカバー15はケース12に組み付けられることが禁止され、検知部36がリテーナ14と離れている状態ではカバー15はケース12に組み付けられる。
【0072】
リテーナ14が仮係止位置に保持された状態では、係止片25の弾性変形領域27内にリテーナ14の撓み規制部46が位置していない。このため、カバー15の検知部36がリテーナ14と接触することにより、カバー15がケース12に組み付けられないようになっている。
【0073】
一方、リテーナ14が本係止位置に保持された状態では、係止片25の弾性変形領域27内にリテーナ14の撓み規制部46が位置している。これにより、カバー15の検知部36はリテーナ14と離れているので、カバー15をケース12に組み付けることができる。
【0074】
この結果、リテーナ14が本係止位置に保持されていることを、カバー15がケース12に組み付けられるかどうかによって容易に判断できる。カバー15がケース12に組み付けられた場合には、係止片25の弾性変形領域27内にリテーナ14の撓み規制部46が確実に配置されるので、回路構成体13がケース12内でがたつくことにより異音が発生することを抑制できる。
【0075】
本実施形態によれば検知部36は、カバー15の内面からケース12に向かって突出して形成された主壁38と、主壁38の内側に設けられてカバー15の内面と主壁38とを連結する補強壁39と、を有する。
【0076】
補強壁39によって補強されているので、リテーナ14が仮係止位置に保持された状態において検知部36がリテーナ14に接触した場合でも、検知部36がゆがむことを抑制できる。これにより、カバー15がケース12に無理に取り付けられることが抑制されるので、リテーナ14が仮係止位置に保持されていることを確実に検知できる。
【0077】
本実施形態によれば、ケース12には、リテーナ14が仮係止位置と本係止位置との間を移動する移動方向に沿って延びる軌道部24が設けられており、リテーナ14には、移動方向に沿って移動可能な状態で軌道部24に係合する係合部41が設けられている。
【0078】
リテーナ14は、軌道部24に案内されることにより、仮係止位置と本係止位置との間をスムーズに移動できる。これにより、リテーナ14を移動させる作業の効率を向上させることができる。
【0079】
本実施形態によれば、検知部36には、リテーナ14が本係止位置に保持された状態で、軌道部24に嵌合する嵌合部37が設けられている。
【0080】
検知部36の嵌合部37が軌道部24に嵌合することにより、検知部36の端部と軌道部24の端部とが単に接触する場合に比べて、軌道部24に向かう方向について検知部36の移動量を大きくすることができる。この結果、リテーナ14が仮係止位置に保持された状態を確実に検知することができる。
【0081】
本実施形態によれば、軌道部24は、回路構成体13に接続されたワイヤーハーネス18の配策方向と交差する方向に延びて形成されている。
【0082】
ワイヤーハーネス18の配策方向と交差する方向について、軌道部24のうちワイヤーハーネス18よりも外方に位置する部分において、仮係止位置に保持されたリテーナ14と検知部36とが接触するようにできる。これにより、仮係止位置に保持されたリテーナ14と、検知部36との間にワイヤーハーネス18が挟まれることを確実に抑制できる。
【0083】
回路構成体13にはワイヤーハーネス18が接続されており、リテーナ14および検知部36は、ワイヤーハーネス18と異なる位置に配置されている。
【0084】
リテーナ14が仮係止位置と本係止位置との間を移動しても、ワイヤーハーネス18と干渉しない。これにより、ワイヤーハーネス18によってリテーナ14の移動が妨げられないので、リテーナ14を移動させる作業の効率を向上させることができる。
【0085】
また、カバー15をケース12に組み付ける際に、検知部36がワイヤーハーネス18と干渉しない。これにより、リテーナ14が仮係止位置に保持された状態であっても、検知部36とリテーナ14との間にワイヤーハーネス18が挟まれることを抑制できる。この結果、リテーナ14が仮係止位置に保持された状態であることを検知した場合でも、ワイヤーハーネス18が検知部36によって損傷されることが抑制される。
【0086】
本実施形態にかかる電気機器10は、回路構成体13の保持構造48と、この回路構成体13の保持構造48によって保持される、回路を有する回路構成体13と、を備える。
【0087】
<他の実施形態>
(1)本開示は、電気接続箱、DC−DCコンバータ、ECU(Electronic Control Unit)等、任意の電気機器10に適用できる。
【0088】
(2)本開示にかかる電気機器10は、任意の姿勢で車両に取り付けることができる。
【0089】
(3)ワイヤーハーネス18の配策方向は前後方向に限られず、上下方向、左右方向等、任意の方向とすることができる。仕切り壁23の延びる方向も、左右方向に限られず、上下方向、前後方向等、任意の方向とすることができる。
【0090】
(4)係止片25および撓み規制部46は、2つに限られず、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0091】
10: 電気機器
11: 開口部
12: ケース
13: 回路構成体
14: リテーナ
15: カバー
16: ケース底壁
17: ケース側壁
18: ワイヤーハーネス
19: 下側挿通溝
20: 係止突起
21: ロック受け部
22: ロック部
23: 仕切り壁
24: 軌道部
25: 係止片
26: 係止爪
27: 弾性変形領域
28: 左係止突起
29: 右係止突起
30: 縦部
31: 横部
32: カバー上壁
33: カバー側壁
34: 嵌入溝
35: 上側挿通溝
36: 検知部
37: 嵌合部
38: 主壁
39: 補強壁
40: 電子部品
41: 係合部
42: 後壁
43: 窓部
44: 仮係止部
45: 本係止部
46: 撓み規制部
47: 操作部
48: 回路構成体の保持構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19