特開2021-26877(P2021-26877A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人神戸大学の特許一覧
<>
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000003
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000004
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000005
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000006
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000007
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000008
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000009
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000010
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000011
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000012
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000013
  • 特開2021026877-全固体薄膜電池及びその製造方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-26877(P2021-26877A)
(43)【公開日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】全固体薄膜電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20210125BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20210125BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20210125BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20210125BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20210125BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20210125BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20210125BHJP
【FI】
   H01M10/052
   H01M10/0562
   H01M10/0585
   H01M4/36 B
   H01M4/48
   H01M4/38 Z
   H01M4/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-143522(P2019-143522)
(22)【出願日】2019年8月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物:2018年第79回応用物理学会秋季学術講演会講演予稿集,講演番号18p−223−16、集会:2018年第79回応用物理学会秋季学術講演会,平成30年9月18日、刊行物:2019年第66回応用物理学会春季学術講演会講演予稿集,講演番号11a−W641−7、集会:2019年第66回応用物理学会春季学術講演会,平成31年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100183461
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】神野 伊策
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ03
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL11
5H029AM11
5H029BJ04
5H029CJ24
5H029HJ12
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB11
5H050FA02
5H050GA24
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】エネルギー密度の低下を防止することができる全固体薄膜電池、及び該全固体薄膜電池を従来よりも簡易に製造することができる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】正極層、固体電解質層、及び負極層を含むセル構造体を有する全固体薄膜電池であって、
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層がいずれもアモルファスの薄膜層であり、かつ、同一の真空槽内で大気開放されることなく積層された層である、全固体薄膜電池。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層、固体電解質層、及び負極層を含むセル構造体を有する全固体薄膜電池であって、
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層がいずれもアモルファスの薄膜層であり、かつ、同一の真空槽内で大気開放されることなく積層された層である、全固体薄膜電池。
【請求項2】
さらに基板を有し、該基板の上に、前記セル構造体が形成されており、前記セル構造体における各層は、前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層の順番、又は逆の順番で積層され、各層の少なくとも一部の厚み方向の断面が階段形状となっている、請求項1に記載の全固体薄膜電池。
【請求項3】
前記セル構造体を複数有しており、最表面側のセル構造体の各層の少なくとも一部の厚み方向の断面が階段形状となっている、請求項2に記載の全固体薄膜電池。
【請求項4】
前記正極層が酸化バナジウム(V)−リン酸リチウム(LiPO)で構成され、前記固体電解質層がLiPONで構成され、及び前記負極層がシリコン(Si)で構成された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の全固体薄膜電池。
【請求項5】
正極層、固体電解質層、及び負極層を含むセル構造体を有する全固体薄膜電池の製造方法であって、
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を同一の真空槽内で大気開放することなく積層する、製造方法。
【請求項6】
基板の上に、正極層、固体電解質層、及び負極層がこの順で積層されたセル構造体を有する全固体薄膜電池の製造方法であって、
スパッタリング用の真空槽を有し、該真空槽内において、開口部を有し、前記基板の積層面に沿って移動可能な積層用マスクを、前記基板に対して近接配置し、
前記基板の上に、前記積層用マスクの開口部を介して、スパッタリングにより正極層を形成する、正極層形成工程、
前記積層用マスクを移動させて前記積層用マスクの開口部の位置をずらし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記正極層の上に固体電解質層を形成する、固体電解質層形成工程、及び、
前記積層用マスクを移動させて前記積層用マスクの開口部の位置をずらし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記固体電解質層の上に負極層を形成する、負極形成工程
を行うことで、各層の少なくとも一部の厚み方向の断面を階段形状に形成する、製造方法。
【請求項7】
基板の上に、正極層、固体電解質層、及び負極層がこの順で積層されたセル構造体を有する全固体薄膜電池の製造方法であって、
スパッタリング用の真空槽を有し、該真空槽内において、円形の開口部を有し、前記開口部の面積を半径方向に狭くすることができる積層用マスクを、前記基板に対して近接配置し、
前記基板の上に、前記積層用マスクの開口部を介して、スパッタリングにより正極層を形成する、正極層形成工程、
前記積層用マスクの開口部の面積を、前記正極層形成工程よりも狭くし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記正極層の上に固体電解質層を形成する、固体電解質層形成工程、及び、
前記積層用マスクの開口部の面積を、前記固体電解質層形成工程よりも狭くし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記固体電解質層の上に負極層を形成する、負極形成工程を行うことで、各層の厚み方向の断面を階段形状に形成する、製造方法。
【請求項8】
前記正極層形成工程が、スパッタリングにより、酸化バナジウム(V)−リン酸リチウム(LiPO)で構成されるアモルファスの正極層を形成する工程であり、前記固体電解質層形成工程が、スパッタリングにより、LiPONで構成されるアモルファスの固体電解質層を形成する工程であり、及び前記負極形成工程が、スパッタリングにより、シリコン(Si)で構成されるアモルファスの負極層を形成する工程であり、前記各工程を無加熱で行う、請求項6又は7に記載の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体薄膜電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体薄膜電池は、高いエネルギー密度を持つ二次電池として、携帯電話、ノートパソコン、PDA(Personal Degital Assistant)等の小型携帯機器の電源に幅広く利用されている。
【0003】
全固体薄膜電池の製造方法として、スパッタリング法等により、基材上に、正極層、固体電解質層及び負極層を積層する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−256581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スパッタリング法により、正極層、固体電解質層、及び負極層を積層する場合、各層を積層する際に各層を形成する材質となるターゲットをスパッタリング装置に設置する必要があるため、ターゲットの取り換え時に大気開放しなければならない。これにより、各層の表面に大気が接触し、特に大気中の水分が各層の表面に悪影響を及ぼすため、良好な界面が形成されず、得られた全固体薄膜電池のエネルギー密度が低下するという問題があった。また、このように各層を積層する度に大気開放を行うため、製造方法が煩雑になることも問題であった。
【0006】
本発明の目的は、エネルギー密度の低下を防止することができる全固体薄膜電池、及び該全固体薄膜電池を従来よりも簡易に製造することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が、エネルギー密度の低下を防止することができる全固体薄膜電池、及び該全固体薄膜電池を従来よりも簡易に製造することができる方法を開発すべく鋭意検討した結果、正極層、固体電解質層、及び負極層を、同一の真空槽内で大気開放することなく積層することにより、エネルギー密度の低下を防止することができる全固体薄膜電池を製造することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1
正極層、固体電解質層、及び負極層を含むセル構造体を有する全固体薄膜電池であって、
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層がいずれもアモルファスの薄膜層であり、かつ、同一の真空槽内で大気開放されることなく積層された層である、全固体薄膜電池。
項2
さらに基板を有し、該基板の上に、前記セル構造体が形成されており、前記セル構造体における各層は、前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層の順番、又は逆の順番で積層され、各層の少なくとも一部の厚み方向の断面が階段形状となっている、上記項1に記載の全固体薄膜電池。
項3
前記セル構造体を複数有しており、最表面側のセル構造体の各層の少なくとも一部の厚み方向の断面が階段形状となっている、上記項2に記載の全固体薄膜電池。
項4
前記正極層が、Mn、Co、Fe、P、Ni、Si、Cr、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1つと、Liとを含む酸化物;及び/又は
Mn、Co、Fe、P、Ni、Si、Cr、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1つと、Liとを含むリン酸化合物で構成された、上記項1〜3のいずれか一項に記載の全固体薄膜電池。
項5
前記正極層が、酸化バナジウム(V)−リン酸リチウム(LiPO)で構成された、上記項1〜4のいずれか一項に記載の全固体薄膜電池。
項6
前記固体電解質層が、LiPONで構成された、上記項1〜5のいずれか一項に記載の全固体薄膜電池。
項7
前記負極層が、Si、Cu、Mg、Ti、Fe、Co、Ni、Zn、Al、Ge、In、Au、Pt、Ag、Pd、又はこれらの合金で構成された、上記項1〜6のいずれか一項に記載の全固体薄膜電池。
項8
前記負極層が、シリコン(Si)で構成された、上記項1〜7のいずれか一項に記載の全固体薄膜電池。
項9
前記正極層が酸化バナジウム(V)−リン酸リチウム(LiPO)で構成され、前記固体電解質層がLiPONで構成され、及び前記負極層がシリコン(Si)で構成された、上記項1〜8のいずれか一項に記載の全固体薄膜電池。
項10
正極層、固体電解質層、及び負極層を含むセル構造体を有する全固体薄膜電池の製造方法であって、
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を同一の真空槽内で大気開放することなく積層する、製造方法。
項11
基板の上に、正極層、固体電解質層、及び負極層がこの順で積層されたセル構造体を有する全固体薄膜電池の製造方法であって、
スパッタリング用の真空槽を有し、該真空槽内において、開口部を有し、前記基板の積層面に沿って移動可能な積層用マスクを、前記基板に対して近接配置し、
前記基板の上に、前記積層用マスクの開口部を介して、スパッタリングにより正極層を形成する、正極層形成工程、
前記積層用マスクを移動させて前記積層用マスクの開口部の位置をずらし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記正極層の上に固体電解質層を形成する、固体電解質層形成工程、及び、
前記積層用マスクを移動させて前記積層用マスクの開口部の位置をずらし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記固体電解質層の上に負極層を形成する、負極形成工程
を行うことで、各層の少なくとも一部の厚み方向の断面を階段形状に形成する、製造方法。
項12
基板の上に、正極層、固体電解質層、及び負極層がこの順で積層されたセル構造体を有する全固体薄膜電池の製造方法であって、
スパッタリング用の真空槽を有し、該真空槽内において、円形の開口部を有し、前記開口部の面積を半径方向に狭くすることができる積層用マスクを、前記基板に対して近接配置し、
前記基板の上に、前記積層用マスクの開口部を介して、スパッタリングにより正極層を形成する、正極層形成工程、
前記積層用マスクの開口部の面積を、前記正極層形成工程よりも狭くし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記正極層の上に固体電解質層を形成する、固体電解質層形成工程、及び、
前記積層用マスクの開口部の面積を、前記固体電解質層形成工程よりも狭くし、該開口部を介して、スパッタリングにより前記固体電解質層の上に負極層を形成する、負極形成工程
を行うことで、各層の厚み方向の断面を階段形状に形成する、製造方法。
項13
前記正極層形成工程が、スパッタリングにより、酸化バナジウム(V)−リン酸リチウム(LiPO)で構成されるアモルファスの正極層を形成する工程である、上記項11又は12に記載の製造方法。
項14
前記固体電解質層形成工程が、スパッタリングにより、LiPONで構成されるアモルファスの固体電解質層を形成する工程である、上記項11又は12に記載の製造方法。
項15
前記負極形成工程が、スパッタリングにより、シリコン(Si)で構成されるアモルファスの負極層を形成する工程である、上記項11又は12に記載の製造方法。
項16
前記正極層形成工程が、スパッタリングにより、酸化バナジウム(V)−リン酸リチウム(LiPO)で構成されるアモルファスの正極層を形成する工程であり、前記固体電解質層形成工程が、スパッタリングにより、LiPONで構成されるアモルファスの固体電解質層を形成する工程であり、及び前記負極形成工程が、スパッタリングにより、シリコン(Si)で構成されるアモルファスの負極層を形成する工程であり、前記各工程を無加熱で行う、上記項11又は12に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、同一の真空槽内で大気開放することなく、正極層、固体電解質層、及び負極層を積層することができる。よって、全固体薄膜電池を、従来よりも簡易に製造することができる。得られた全固体薄膜電池は、正極層、固体電解質層、及び負極層がいずれもアモルファスの薄膜であり、正極層、固体電解質層、及び負極層の各界面の状態が良好であるため、エネルギー密度の低下を防止することができる。そして、本発明の製造方法は、加熱下で、積層工程を行わないため、各積層工程の後に冷却工程を必要とせず、簡便に、かつ、製造スピードを上げて、全固体薄膜電池を製造することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、樹脂等の熱に弱い基板の上に、正極層、固体電解質層、及び負極層を積層した全固体薄膜電池を製造することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る全固体薄膜電池(100)の斜視図である。
図2図1に示した第1実施形態に係る全固体薄膜電池(100)の断面図である。
図3】第1実施形態に係る全固体薄膜電池の変形例(100’)の断面図である。
図4】全固体薄膜電池の製造に使用する製造装置(50)の概略図である。
図5】第1実施形態に係る全固体薄膜電池の変形例(100’)の製造過程を示す図である。
図6】第2実施形態に係る全固体薄膜電池(200)の断面図である。
図7】第2実施形態に係る全固体薄膜電池(200)の第2セル構造体を製造する過程を説明する概略図である。
図8】第3実施形態に係る全固体薄膜電池(300)の断面図である。
図9】第3実施形態に係る全固体薄膜電池(300)の第3セル構造体を製造する過程を説明する概略図である。
図10】第4実施形態に係る全固体薄膜電池(400)の断面図である。
図11】第4実施形態に係る全固体薄膜電池(400)の製造時に使用する積層用マスクの開口部の状態を示す図である。
図12】第1実施形態に係る全固体薄膜電池(100)の充放電試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.全固体薄膜電池
本発明の全固体薄膜電池は、正極層、固体電解質層、及び負極層を含むセル構造体を有する全固体薄膜電池であって、
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層がいずれもアモルファスの薄膜層であり、かつ、同一の真空槽内で大気開放されることなく積層された層である、全固体薄膜電池である。
【0012】
本発明の全固体薄膜電池は、さらに基板を有し、該基板の上に、前記セル構造体が形成されており、前記セル構造体における各層は、前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層の順番、又は逆の順番で積層され、各層の少なくとも一部の厚み方向の断面が階段形状となっていることが好ましい。前記階段形状には、例えば、直径が異なる複数個の角柱又は円柱を、各角柱又は円柱の中心を合わせて下から直径の大きい順に段状に積み重ねた構造が含まれる。また、階段形状として、図2等には、各層の両方の端部の角(かど)が直角である例を示しているが、前記端部は、角を面取りした緩やかな曲面であってもよい。
【0013】
前記セル構造体は、さらに、正極側集電体層及び/又は負極側集電体層を含んでもよい。前記セル構造体が、正極側集電体層及び/又は負極側集電体層を含む場合には、正極層の固体電解質層とは反対側に正極側集電体層を、負極層の固体電解質層とは反対側に負極側集電体層を積層することができる。
【0014】
基板の上に形成されるセル構造体の数は、1個であっても、複数個(例えば、2個以上20個以下)であってもよい。セル構造体の数は、1個以上10個以下が好ましく、2個以上5個以下がより好ましい。
【0015】
前記セル構造体を複数有する場合には、最表面側のセル構造体の各層の少なくとも一部の厚み方向の断面が階段形状となっていることが好ましい。前記セル構造体を構成する各層の幅方向の形状として、例えば、円形、楕円形、略円形、多角形(三角形、四角形等)、略多角形(略三角形、略四角形等)が挙げられる。例えば、各層の形状が四角形である場合には、各層の連続する二辺の厚み方向の断面が階段形状を形成していてもよく、あるいは、各層の四辺すべての厚み方向の断面が階段形状を形成してもよい。各層の形状が円形である場合には、各層の約半分(半円)の厚み方向の断面が階段形状を形成していてもよく、あるいは、各層の全面(円周部分)の厚み方向の断面が階段形状を形成してもよい。
【0016】
<基板>
基板としては、特に限定はなく、ガラス、半導体シリコン、セラミックス、ステンレス、樹脂等の各種材料で構成されたものを用いることができる。樹脂基板としては、ポリカーボネート(PC)、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)等で製造された基板を使用することができる。また、形が崩れずに取り扱いできるものであれば、基板として折り曲げが可能な薄いフィルムを用いることができる。
【0017】
基板の厚みは、例えば、10μm以上1mm以下とすることができる。基板の厚みとして、50μm以上800μm以下が好ましく、100μm以上600μm以下がより好ましい。基板の厚みを前記範囲にすることにより、基板製造時に破損しにくくなるとともに、電池の厚み及び重量の増加により体積エネルギー密度及び重量エネルギー密度の低下、並びに、二次電池の柔軟性の低下を防ぐことができる。
【0018】
<正極側集電体層>
正極側集電体層には、正極との密着性がよく、電気抵抗が低い導電膜を用いることができる。正極側集電体層は、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されない。正極側集電体層を構成する材料として、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)等の金属、及びこれらの合金が挙げられる。
【0019】
正極側集電体層の厚みは、例えば、5nm以上50μm以下とすることができる。正極側集電体層の厚みを前記範囲にすることにより、集電機能の低下を防ぎ、実用的な範囲とすることができるとともに、層形成に時間がかかりすぎず、生産性が向上する。正極側集電体層の厚みは、10nm以上5μm以下が好ましく、50nm以上1μm以下がより好ましい。
【0020】
また、正極側集電体層と基板との密着を高めるために、密着層を介して正極側集電体層を設けてもよい。密着層として、例えば、チタン(Ti)膜、ニッケル(Ni)膜等を用いることができる。
【0021】
<正極層>
正極層は、固体薄膜であって、正極性にてリチウムイオンを吸蔵及び放出する正極活物質を含んでいる。正極層は、充電時にはリチウムイオンを放出し、放電時にはリチウムイオンを吸蔵する。ここでは、正極活物質が吸蔵及び放出するイオンをリチウムイオンとして説明しているが、ナトリウムイオンであってもよい。
【0022】
正極活物質として、Mn、Co、Fe、P、Ni、Si、Cr、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1つと、Liとを含む酸化物;
Mn、Co、Fe、P、Ni、Si、Cr、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1つと、Liとを含むリン酸化合物;等が挙げられる。具体的には、LiMnO(マンガン酸リチウム)、LiMn、LiMn等のリチウム−マンガン酸化物;LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiCo等のリチウム−コバルト酸化物;LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiNi等のリチウム−ニッケル酸化物;LiMnCoO、LiMnCoO等のリチウム−マンガン−コバルト酸化物;LiTi12、LiTi等のリチウム−チタン酸化物;LiFePO(リン酸鉄リチウム);
硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)、硫化ニッケル(Ni);
酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V、V13)、酸化バナジウム(V、V13)−リン酸リチウム(LiPO)、セレン化ニオブ(NbSe)等が挙げられる。これらの正極活物質は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることも可能である。正極活物質として、酸化バナジウム(V)−リン酸リチウム(LiPO)を用いることが好ましい。
【0023】
正極層の厚みは、例えば、10nm以上100μm以下とすることができる。正極層の厚みを前記範囲にすることにより、得られる全固体薄膜電池の容量を実用的な大きさとすることができるとともに、層形成に時間がかかりすぎず、生産性が向上する。ただし、全固体薄膜電池に要求される電池容量が大きい場合には、正極層の厚みを100μmより厚くしてもかまわない。正極層の厚みは、50nm以上10μm以下が好ましく、100nm以上5μm以下がより好ましい。
【0024】
<固体電解質層>
固体電解質層は、無機材料(無機固体電解質)で構成された固体薄膜であって、リチウムイオン伝導性を示すものであれば、特に限定されない。固体電解質層として、例えば、酸化物、窒化物、硫化物等の各種材料で構成されたものを用いることができ、例えば、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウム(LiPO)に窒素を添加したLiPON(ライポン)、LiSiO−LiPO、LiSiO−LiVO等が挙げられる。好ましい固体電解質としては、LiPONが挙げられる。ここでは、固体電解質層がリチウムイオン伝導性を示すものとして説明しているが、ナトリウムイオン伝導性を示すものであってもよい。
【0025】
固体電解質層の厚みは、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。固体電解質層の厚みを前記範囲にすることにより、得られた全固体薄膜電池において、正極層と負極層との間での短絡(リーク)が生じにくくなるとともに、リチウムイオンの移動距離が長くなることにより充電速度が遅くなるのを防ぐことができる。固体電解質層の厚みは、10nm以上10μm以下が好ましく、0.1μm以上5μm以下がより好ましい。
【0026】
<負極層>
負極層は、固体薄膜であって、負極性にてリチウムイオンを吸蔵及び放出する負極活物質を含んでいる。負極層は、充電時にはリチウムイオンを吸蔵し、放電時にはリチウムイオンを放出する。ここでは、負極活物質が吸蔵及び放出するイオンをリチウムイオンとして説明しているが、ナトリウムイオンであってもよい。
【0027】
負極層に含まれる物質として、特に限定はなく、例えば、Si、Cu、Mg、Ti、Fe、Co、Ni、Zn、Al、Ge、In、Au、Pt、Ag、Pd等;及び、これらの合金等が挙げられる。負極層として、シリコン(Si)膜が好ましい。
【0028】
負極層の厚みは、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極層の厚みを前記範囲にすることにより、得られる全固体薄膜電池の容量を実用的な大きさとすることができるとともに、層形成に時間がかかりすぎず、生産性が向上する。ただし、全固体薄膜電池に要求される電池容量が大きい場合には、負極層の厚みを100μmより厚くしてもかまわない。負極層の厚みは、10nm以上10μm以下が好ましく、50nm以上5μm以下がより好ましい。
【0029】
<負極側集電体層>
負極側集電体層には、負極との密着性がよく、電気抵抗が低い導電膜を用いることができる。負極側集電体層は、固体薄膜であって、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されない。負極側集電体層を構成する材料として、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)等の金属、及びこれらの合金が挙げられる。
【0030】
負極側集電体層の厚みは、例えば、5nm以上50μm以下とすることができる。負極側集電体層の厚みを前記範囲にすることにより、集電機能の低下を防ぎ、実用的な範囲とすることができるとともに、層形成に時間がかかりすぎず、生産性が向上する。負極側集電体層の厚みは、10nm以上1μm以下が好ましく、50nm以上500nm以下がより好ましい。
【0031】
なお、本発明の全固体薄膜電池は、現時点で全固体薄膜電池中に含まれる構成又は成分を、全て特定することが不可能又はおよそ実際的ではない程度に困難であるため、特許請求の範囲には、プロダクトバイプロセスクレームによって全固体薄膜電池を記載している。
【0032】
2.全固体薄膜電池の製造方法
本発明の製造方法は、正極層、固体電解質層、及び負極層を含むセル構造体を有する全固体薄膜電池の製造方法であって、
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を同一の真空槽内で大気開放することなく積層する、製造方法である。
【0033】
本発明の製造方法によれば、前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を同一の真空槽内で大気開放することなく積層することができるので、従来よりも簡易に全固体薄膜電池を製造することができる。
【0034】
前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層を同一の真空槽内で大気開放することなく積層することができれば、前記各層の形成方法は特に限定されない。形成方法として、例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、加熱蒸着法等の真空成膜法、塗布法等を用いることができる。前記方法の中で、より薄く均一に薄膜を形成することができることから真空成膜法が好ましく、蒸着物質との原子組成のずれが少なく、均一に成膜することができることからスパッタリング法がより好ましい。スパッタリング法としては、例えば、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、ACスパッタリング法、パルスDCスパッタリング法等が挙げられる。真空槽内の真空度は、0.1Pa〜2Pa程度が好ましい。なお、本明細書において「大気開放」とは、真空状態にある真空槽を弁開放等により通気し、前記正極層、前記固体電解質層、又は前記負極層を大気に接触させることをいう。
【0035】
また、本発明では、前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層の結晶化を防ぐため、これらの層の成膜を無加熱(室温)で行うことが好ましい。よって、本発明の全固体薄膜電池は、前記正極層、前記固体電解質層、及び前記負極層がアモルファス状態で形成されることにより、前記各層を加熱して成膜した場合と比較して内部応力が低減され、膜剥がれが生じにくくなる。ここで、アモルファスとは、結晶性を持たない固体物質を指す。アモルファス状態は、粉末X線回折を行った場合に明瞭な回折ピークが検出されないことで確認できる。
【0036】
以下、いくつかの実施形態を挙げて、本発明の全固体薄膜電池及びその製造方法を詳細に説明する。なお、以下に説明する部材、配置、構成等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができる。
【0037】
〔第1実施形態〕
図1及び図2に、本発明の第1の実施形態の全固体薄膜電池の一構成例を示す。図1は、この全固体薄膜電池の斜視図であり、図2は、図1の全固体薄膜電池の線X−X’に沿った断面を示す断面図である。この全固体薄膜電池は、例えば、充電及び放電可能な二次電池である。この全固体薄膜電池は、例えば、電極反応における反応物質(以下、電極反応物質と称する)であるリチウムが、充放電に伴い、正極及び負極の間を移動するリチウム二次電池である。なお、本発明では、充電時に負極においてリチウムが析出するものも含めてリチウム二次電池とする。また、この全固体薄膜電池は、例えば、正極、負極、固体電解質等の電池構成部材が薄膜で構成された薄膜型の全固体二次電池であり、各層の形状は、四角形である。
【0038】
図1及び図2に示すように、この全固体薄膜電池100は、基板4上に、密着層17が形成され、密着層17の上に1個のセル構造体(第1セル構造体)10を有している。該第1セル構造体10は、第1正極側集電体層15、第1正極層11、第1固体電解質層13、第1負極層12、及び第1負極側集電体層16が、基板4側からこの順に積層されたものである。
【0039】
なお、ここでは、第1正極層11を基板4側に設けた例を示しているが、第1負極層12を基板4側に設けた例も、本発明の全固体薄膜電池に包含される。すなわち、第1セル構造体10の積層順序は、第1負極側集電体層16、第1負極層12、第1固体電解質層13、第1正極層11、第1正極側集電体層15の順であってもよい。また、密着層17は必須の部材ではなく、基板4の上に、直接第1セル構造体10を形成してもよい。
【0040】
図1及び図2に示すように、第1セル構造体10を構成する各層のX’方向側の連続する二辺の厚み方向の断面が階段形状を形成している。すなわち、第1正極層11が、密着層17の上に形成された第1正極側集電体層15のX側の端部15aを覆い、かつ、X’側の端部15bを覆わない状態で、第1正極側集電体層15の上に積層され、第1固体電解質層13が、第1正極層11のX側の端部11aを覆い、かつ、X’側の端部11bを覆わない状態で第1正極層11の上に積層されている。さらに、第1負極層12が、第1固体電解質層13のX側の端部13aを覆い、かつ、X’側の端部13bを覆わない状態で第1固体電解質層13の上に積層され、第1負極側集電体層16が、第1負極層12のX側の端部12a、及びX’側の端部12bを覆わない状態で第1負極層12の上に形成されている。これにより、第1正極側集電体層15のX’側の端部15b、第1正極層11のX’側の端部11b、第1固体電解質層13のX’側の端部13b、第1負極層12のX’側の端部12b、及び第1負極側集電体層16のX’側の端部16bが階段形状を形成している。なお、「端部を覆わない状態で積層する」とは、積層する層(例えば、第1正極層11)のX’側の厚み方向の断面を、下側の層(例えば、第1正極側集電体層15)のX’側の厚み方向の断面からX方向にずらした状態、すなわち下側の層(例えば、第1正極側集電体層15)のX’側の端部が露出する状態で上側の層(例えば、第1正極層11)を積層することをいう。また、図1では、最表面に第1負極側集電体層16を1枚の膜として形成しているが、これに限定されず、複数枚(例えば、4枚)の長方形の膜を最表面に形成してもよい。
【0041】
図3に、本発明の第1の実施形態の全固体薄膜電池の他の構成例を示す。図3は、本発明の第1の実施形態の全固体薄膜電池の他の構成例の断面図である。なお、図3は、この全固体薄膜電池を、図1の全固体薄膜電池と同様の対角線(線X−X’)に沿って切断した断面を示す断面図である。
【0042】
この全固体薄膜電池100’は第1負極側集電体層16が、第1負極層12のX側の端部12aを覆い、かつ、X’側の端部12bを覆わない状態で第1負極層12の上に形成されている点が全固体薄膜電池100と異なるが、他の構成は上記の全固体薄膜電池100と同じである。
【0043】
次に、全固体薄膜電池を製造する際に使用する製造装置について説明する。図4は、本実施形態の全固体薄膜電池の製造に使用する製造装置の概略模式図である。
本実施形態では、製造装置として、以下に説明するスパッタリング装置50を使用する。
【0044】
このスパッタリング装置50は、真空槽51、真空槽51内のスパッタリングターゲット(52a、52b、及び52c)、前記スパッタリングターゲットを設置するターゲットホルダ(53a、53b、及び53c)、基板4を設置する基板ホルダ54、及び、開口部8を有する積層用マスク7を備えた3元RFマグネトロンスパッタリング装置である。
【0045】
具体的には、リチウムイオン電池100の第1正極層11、第1固体電解質層13及び第1負極層12をスパッタリングにより積層するための真空槽51が設けられている。真空槽51には、真空槽51を真空にするためのターボ分子ポンプ及びドライポンプ(図示せず)が接続されている。また、真空槽51の内部に、アルゴンガス等のスパッタリングに必要となるガスが導入されるように構成されている。
【0046】
真空槽51内には、第1スパッタリングターゲット52a、第2スパッタリングターゲット52b及び第3スパッタリングターゲット52cが設けられている。また、第1スパッタリングターゲット52aには第1ターゲットホルダ53aが接続され、第2スパッタリングターゲット52bには第2ターゲットホルダ53bが接続され、第3スパッタリングターゲット52cには第3ターゲットホルダ53cが接続されている。
【0047】
スパッタリングターゲット52a〜52cに対向する位置には基板ホルダ54が設けられ、この基板ホルダ54に、基板4が設置される。そして、該基板4の積層面4aに、第1正極層11、第1固体電解質層13及び第1負極層12等が積層される。
【0048】
ターゲットホルダ53a〜53c及び基板ホルダ54は、図示しない高周波電源に接続されている。そして、ターゲットホルダ53a〜53cは、独立してスパッタリングターゲット52a〜52cに対して高周波電力を印加できるように構成されている。よって、例えば、第1スパッタリングターゲット52aに接続されている第1ターゲットホルダ53aに高周波電力が印加することで、第1スパッタリングターゲット52aの材質を、基板4の積層面4aに積層することができる。
【0049】
また、この基板4に近接して開口部8を有する積層用マスク7が設けられている。ここでは、開口部8は一辺の長さが12mmの正方形の形状をしており、積層用マスク7の中央部に形成されている。
【0050】
積層用マスク7は、ハンドルWを回転させることにより、回転伝達機構Zによって基板4の積層面4aに沿って、正方形である開口部8の対角線方向(図1のX−X’方向)に移動可能に構成されている。つまり、積層用マスク7の移動により、その開口部8も、基板4の積層面4aと平行となる状態で、基板4の積層面4aに沿って開口部8の対角線方向に移動する。
【0051】
次に、図3に記載の全固体薄膜電池100’の製造方法について説明する。
【0052】
図3に示す全固体薄膜電池は、上述した開口部8を有する積層用マスク7を備えたスパッタリング装置50を使用して、スパッタリング法により各層を積層することにより製造される。以下、例えば、開口部8を、一辺の長さが12mmの正方形とし、1回の積層用マスクの移動距離をそれぞれ1mmとした製造方法を説明する。また、各層の積層は室温(例えば、20℃〜40℃)で行うこととする。
【0053】
図5は、全固体薄膜電池100’の製造方法を説明するための概略図である。図5の(ステップ1)には、第1正極側集電体層15を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第1正極側集電体層15が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ2)には、第1正極層11を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第1正極層11が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ3)には、第1固体電解質層13を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第1固体電解質層13が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ4)には、第1負極層12を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第1負極層12が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ5)には、第1負極側集電体層16を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第1正極側集電体層16が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。
【0054】
全固体薄膜電池の作製に先立ち、基板4としてガラス基板を準備して、スパッタリング装置50に装着し、スパッタリングターゲット52a〜52cを設置する準備工程を実施する。具体的には、スパッタリング装置の真空槽51を大気開放して、真空槽51内のスパッタリングターゲット52a〜52cのいずれかに、正極側集電体層用のPt(白金)ターゲット、及び密着層17用のTi(チタン)ターゲットを設置する。そして、真空槽51を密閉して真空状態とし、積層用マスク7の開口部8を図5のステップ1に記載されている積層用マスクの位置P0に固定した状態で、基板4上に密着層17としてTi層を形成する。なお、図5においては、密着層17は記載されていない。
【0055】
その後、上記スパッタリング装置50にて、密着層17の上に、第1正極側集電体層15を形成する正極側集電体層形成工程を実施する(図5のステップ1参照)。第1正極層側集電体層15は、積層用マスク7の開口部8を図5のステップ1に記載されている積層用マスクの位置P0に固定した状態で、Ptターゲットを用いてスパッタリングを行うことによりPt層として形成される。
【0056】
この後、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cに、それぞれVターゲット、LiPOターゲット及びSiターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0057】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第1正極側集電体層15の上に、第1正極層11を形成する正極層形成工程を実施する(図5のステップ2参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図5のステップ1に記載されている積層用マスクの位置P0からステップ2に記載されている積層用マスクの位置P1に移動させ(移動距離=1mm)、P1の位置に固定した状態で、Vターゲット及びLiPOターゲットを用いてVとLiPOとを同時にスパッタリングすることにより、第1正極層11がV−LiPO層として形成される。第1正極層11は、第1正極側集電体層15から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図5に示すように第1正極側集電体層15のX側の端部15aが覆われた状態、かつ、X’側の端部15bが覆われていない状態で、第1正極側集電体層15の上に積層されている(図5参照)。なお、この製造方法では、積層用マスクの1回の移動距離を1mmに設定しているが、これに限定されるわけではなく、0.01mm〜3mmの範囲で設定可能である。
【0058】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第1正極層11の上に、第1固体電解質層13を形成する固体電解質層形成工程を実施する(図5のステップ3参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図5のステップ2に記載されている積層用マスクの位置P1からステップ3に記載されている積層用マスクの位置P2に移動させ(移動距離=1mm)、P2の位置に固定した状態で、LiPOターゲットを用いて窒素を含む不活性ガス雰囲気下でスパッタリングを行うことにより第1固体電解質層13がLiPON層として形成される。第1固体電解質層13は、第1正極層11から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図5に示すように第1正極層11のX側の端部11aが覆われた状態、かつ、X’側の端部11bが覆われていない状態で、第1正極層11の上に積層されている(図5参照)。
【0059】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第1固体電解質層13の上に、第1負極層12を形成する負極層形成工程を実施する(図5のステップ4参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図5のステップ3に記載されている積層用マスクの位置P2からステップ4に記載されている積層用マスクの位置P3に移動させ(移動距離=1mm)、P3の位置に固定した状態で、Siターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより第1負極層12がSi層として形成される。第1負極層12は、第1固体電解質層13から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図5に示すように第1固体電解質層13のX側の端部13aが覆われた状態、かつ、X’側の端部13bが覆われていない状態で、第1固体電解質層13の上に積層されている(図5参照)。
【0060】
この後、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cのいずれかに、Ptターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0061】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第1負極層12の上に、第1負極側集電体16を形成する負極側集電体層形成工程を実施する(図5のステップ5参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図5のステップ4に記載されている積層用マスクの位置P3からステップ5に記載されている積層用マスクの位置P4に移動させ(移動距離=1mm)、P4の位置に固定した状態で、Ptターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより第1負極側集電体16がPt層として形成される。第1負極側集電体16は、第1負極層12から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図5に示すように第1負極層12のX側の端部12aが覆われた状態、かつ、X’側の端部12bが覆われていない状態で、第1負極層12の上に積層されている(図5参照)。
【0062】
最後に、基板4の上に、密着層17、正極側集電体層15、正極層11、固体電解質層13、負極層12、及び負極側集電体層16が積層された全固体薄膜電池100’を、スパッタリング装置50から取り出す取り出し工程を実行する。
【0063】
このように、スパッタリング装置50を用いて、図3に示す、基板4上に、密着層17、第1正極側集電体層15、第1正極層11、第1固体電解質層13、第1負極層12、及び第1負極側集電体層16がこの順に積層された全固体薄膜電池100’を製造した。得られた全固体薄膜電池100’は、第1正極側集電体層15のX’側の端部15b、第1正極層11のX’側の端部11b、第1固体電解質層13のX’側の端部13b、第1負極層12のX’側の端部12b、及び第1負極側集電体層16のX’側の端部16bが階段形状を形成している。上記製造方法によれば、第1正極層11、第1固体電解質層13、及び第1負極層12を、同一の真空槽51内で真空状態が維持された状態で大気開放せずに積層することができるので、従来よりも簡易に全固体薄膜電池を製造することができる。
【0064】
なお、図2に記載の全固体薄膜電池100は、第1負極層12を積層した後、真空槽51を大気開放し、積層用マスク7を、開口部8よりも小さい正方形状の開口部を有するものに取り換え、第1負極層12の上面の中央部に積層用マスクの開口部がくるように固定し、第1負極側集電体層16を積層する以外は、上記と同様の方法で作製することができる。
【0065】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の全固体薄膜電池の第2実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る全固体薄膜電池200の断面図である。なお、図6は、全固体薄膜電池200を、図1の全固体薄膜電池と同様の対角線(線X−X’)に沿って切断した断面を示す断面図である。
【0066】
図6に示すように、この全固体薄膜電池200は、基板4上に、密着層17が形成され、密着層17の上に2個のセル構造体(第1セル構造体10及び第2セル構造体20)を有している。前記第1セル構造体10は、第1正極側集電体層15、第1正極層11、第1固体電解質層13、第1負極層12、及び第1負極側集電体層16が、基板側からこの順に積層されたものであり、前記第2セル構造体20は、前記第1セル構造体10を構成する各層とは逆の積層順序、すなわち、第2負極側集電体層26(16)の上に、第2負極層22、第2固体電解質層23、第2正極層21、及び第2正極側集電体層25の順に積層されたものである。ここで、第1セル構造体10の最上層である第1負極側集電体層16は、第2セル構造体20の最下層である第2負極側集電体層26を兼ねる。
【0067】
図6に示すように、2個積層されたセル構造体のうち、上に積層された第2セル構造体20を構成する各層のX方向側の連続する二辺の厚み方向の断面が階段形状を形成している。すなわち、第2負極層22が、第2負極側集電体層26(第1負極側集電体層16)のX’側の端部26b(16b)を覆い、かつ、X側の端部26a(16a)の厚み方向の断面を覆わない状態で、第2負極側集電体層26の上に積層され、第2固体電解質層23が、第2負極層22のX’側の端部22bを覆い、かつ、X側の端部22aを覆わない状態で第2負極層22の上に積層されている。さらに、第2正極層21が、第2固体電解質層23のX’側の端部23bを覆い、かつ、X側の端部23aを覆わない状態で第2固体電解質層23の上に積層され、第2正極側集電体層25が、第2正極層21のX’側の端部21bを覆い、かつ、X側の端部21aを覆わない状態で第2正極層21の上に形成されている。これにより、第2負極側集電体層26(16)のX側の端部26a(16a)、第2負極層22のX側の端部22a、第2固体電解質層23のX側の端部23a、第2正極層21のX側の端部21a、及び第2正極側集電体層25のX側の端部25aが階段形状を形成している。
【0068】
以下に、本実施形態に係る全固体薄膜電池200の製造方法を説明する。全固体薄膜電池200は、上述した第1実施形態に係る全固体薄膜電池100’の製造方法と同様に、開口部8を有する積層用マスク7を備えたスパッタリング装置50を使用して、スパッタリング法により各層を積層することにより製造することができる。なお、開口部8は一辺の長さが12mmの正方形とし、各層の積層は室温(約25℃)で行った。
【0069】
全固体薄膜電池200は、基板4上に、密着層17が形成され、密着層17の上に2個のセル構造体(第1セル構造体10及び第2セル構造体20)を有しており、第1セル構造体10については、上述した図5に示す製造方法と同様に行うことにより製造することができる。以下、第2セル構造体20の製造方法について、図7に基づいて詳細に説明する。
【0070】
図7は、全固体薄膜電池200の第2セル構造体20の製造方法を説明するための概略図である。図7の(ステップ5)は、図5の(ステップ5)と同じである。(ステップ5)には、第2負極側集電体層26(16)を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第2負極側集電体層26(16)が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ6)には、第2負極層22を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、負極層22が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ7)には、第2固体電解質層23を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第2固体電解質層23が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ8)には、第2正極層21を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第2正極層21が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ9)には、第2正極側集電体層25を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第2正極側集電体層15が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。
【0071】
全固体薄膜電池200の第1セル構造体10は、上述した第1実施形態の全固体薄膜電池100’の製造方法と同様にして作製することができる。
【0072】
ここで、第1セル構造体10の第1負極側集電体16は、第2セル構造体20の第2負極側集電体26を兼ねるので、図5の(ステップ5)で第1負極層12の上に、第1負極側集電体層16を形成する負極側集電体層形成工程を実施することによって、図7の(ステップ5)も実施されたことになり、この時点で第2セル構造体20の第2負極側集電体層26は形成されていることになる。
【0073】
次に、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cに、それぞれVターゲット、LiPOターゲット及びSiターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0074】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第2負極側集電体層26の上に、第2負極層22を形成する負極層形成工程を実施する(図7のステップ6参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図7のステップ5に記載されている積層用マスクの位置P4からステップ6に記載されている積層用マスクの位置Q1に移動させ(移動距離=1mm)、Q1の位置に固定した状態で、Siターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより第2負極層22がSi層として形成される。なお、ステップ6に記載されている積層用マスクの位置Q1は、図5のステップ4に記載されている積層用マスクの位置P3と同じ位置となる。第2負極層22は、第2負極側集電体層26から1mmだけX’方向にずれた位置に積層されるので、図6に示すように第2負極側集電体層26のX’側の端部26bが覆われた状態、かつ、X側の端部26aが覆われていない状態で、第2負極側集電体層26の上に積層されている(図6参照)。
【0075】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第2負極層22の上に、第2固体電解質層23を形成する固体電解質層形成工程を実施する(図7のステップ7参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図7のステップ6に記載されている積層用マスクの位置Q1からステップ7に記載されている積層用マスクの位置Q2に移動させ(移動距離=1mm)、Q2の位置に固定した状態で、LiPOターゲットを用いて窒素を含む不活性ガス雰囲気下でスパッタリングを行うことにより第2固体電解質層23がLiPON層として形成される。第2固体電解質層23は、第2負極層22から1mmだけX’方向にずれた位置に積層されるので、図6に示すように第2負極層22のX’側の端部22bが覆われた状態、かつ、X側の端部22aが覆われていない状態で、第2負極層22の上に積層されている(図6参照)。なお、ステップ7に記載されている積層用マスクの位置Q2は、図5のステップ3に記載されている積層用マスクの位置P2と同じ位置となる。
【0076】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第2固体電解質層23の上に、第2正極層21を形成する正極層形成工程を実施する(図7のステップ8参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図7のステップ7に記載されている積層用マスクの位置Q2からステップ8に記載されている積層用マスクの位置Q3に移動させ(移動距離=1mm)、Q3の位置に固定した状態で、Vターゲット及びLiPOターゲットを用いてVとLiPOとを同時にスパッタリングすることにより第2正極層21がV−LiPO層として形成される。第2正極層21は、第2固体電解質層23から1mmだけX’方向にずれた位置に積層されるので、図6に示すように第2固体電解質層23のX’側の端部23bが覆われた状態、かつ、X側の端部23aが覆われていない状態で、第2固体電解質層23の上に積層されている(図6参照)。なお、ステップ8に記載されている積層用マスクの位置Q3は、図5のステップ2に記載されている積層用マスクの位置P1と同じ位置となる。
【0077】
この後、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cのいずれかに、Ptターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0078】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第2正極層21の上に、第2正極側集電体層25を形成する正極側集電体層形成工程を実施する(図7のステップ9参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図7のステップ8に記載されている積層用マスクの位置Q3からステップ9に記載されている積層用マスクの位置Q4に移動させ(移動距離=1mm)、Q4の位置に固定した状態で、Ptターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより第2正極側集電体層25がPt層として形成される。第2正極側集電体層25は、第2正極層21から1mmだけX’方向にずれた位置に積層されるので、図6に示すように第2正極層21のX’側の端部21bが覆われた状態、かつ、X側の端部21aが覆われていない状態で、第2正極層21の上に積層されている(図6参照)。
【0079】
最後に、基板4の上に、密着層17、第1セル構造体10、及び第2セル構造体20が積層された全固体薄膜電池200を、スパッタリング装置50から取り出す取り出し工程を実行する。
【0080】
得られた全固体薄膜電池200は、第2負極側集電体層26のX側の端部26a、第2負極層22のX側の端部22a、第2固体電解質層23のX側の端部23a、第2正極層21のX側の端部21a、及び第2正極側集電体層25のX側の端部25aが階段形状を形成している。上述したように、全固体薄膜電池200の第1セル構造体10の第1正極層11、第1固体電解質層13、及び第1負極層12、並びに第2セル構造体20の第2負極層22、第2固体電解質層23、及び第2正極層21を、同一の真空槽51内で真空状態が維持された状態で大気開放せずに積層することができるので、従来よりも簡易に全固体薄膜電池を製造することができる。
【0081】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の全固体薄膜電池の第3実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係る全固体薄膜電池300の断面図である。なお、図8は、リチウムイオン電池300を、図1の全固体薄膜電池と同様の対角線(線X−X’)に沿って切断した断面を示す断面図である。
【0082】
図8に示すように、この全固体薄膜電池300は、基板4上に、密着層17が形成され、密着層17の上に3個のセル構造体(第1セル構造体10、第2セル構造体20、及び第3セル構造体30)を有している。第1セル構造体10及び第2セル構造体20における各層の積層順序は、第2実施形態の全固体薄膜電池200と同様である。すなわち、前記第1セル構造体10は、第1正極側集電体層15、第1正極層11、第1固体電解質層13、第1負極層12、及び第1負極側集電体層16が、基板側からこの順に積層されたものであり、前記第2セル構造体20は、前記第1セル構造体10を構成する各層とは逆の積層順序、すなわち、第2負極側集電体層26(16)の上に、第2負極層22、第2固体電解質層23、第2正極層21、及び第2正極側集電体層25の順に積層されたものである。さらに、全固体薄膜電池300では、前記第3セル構造体30が、前記第2セル構造体20を構成する各層とは逆の積層順序、すなわち、前記第1セル構造体10を構成する各層と同じ積層順序で積層されている。具体的には、第3正極側集電体層35(25)の上に、第3正極層31、第3固体電解質層33、第3負極層32、及び第3負極側集電体層36が、この順に積層されている。ここで、第1セル構造体10の最上層である第1負極側集電体層16は、第2セル構造体20の最下層である第2負極側集電体層26を兼ねており、第2セル構造体20の最上層である第2正極側集電体層25は、第3セル構造体30の最下層である第3正極側集電体層35を兼ねる。
【0083】
図8に示すように、3個積層されたセル構造体のうち、一番上に積層された第3セル構造体30を構成する各層のX’方向側の連続する二辺の厚み方向の断面が階段形状を形成している。すなわち、第3正極層31が、第3正極側集電体層35(第2正極側集電体層25)のX側の端部35a(25a)を覆い、かつ、X’側の端部35b(25b)を覆わない状態で、第3正極側集電体層35の上に積層され、第3固体電解質層33が、第3正極層31のX側の端部31aを覆い、かつ、X’側の端部31bを覆わない状態で第3正極層31の上に積層されている。さらに、第3負極層32が、第3固体電解質層33のX側の端部33aを覆い、かつ、X’側の端部33bを覆わない状態で第3固体電解質層33の上に積層され、第3負極側集電体層36が、第3負極層32のX側の端部32a、及びX’側の端部32bを覆わない状態で第3負極層32の上に形成されている。これにより、第3正極側集電体層35のX’側の端部35b、第3正極層31のX’側の端部31b、第3固体電解質層33のX’側の端部33b、第3負極層32のX’側の端部32b、及び第3負極側集電体層36のX’側の端部36bが階段形状を形成している。
【0084】
次に、第3実施形態に係る全固体薄膜電池300の製造方法を説明する。
【0085】
全固体薄膜電池300は、基板4上に、密着層17が形成され、密着層17の上に3個のセル構造体(第1セル構造体10、第2セル構造体20、及び第2セル構造体30)を有しており、第1セル構造体10については、上述した図5に示す製造方法と同様に行うことにより製造することができ、第2セル構造体20については、上述した図7に示す製造方法と同様に行うことにより製造することができる。以下、第3セル構造体30の製造方法について、図9に基づいて詳細に説明する。
【0086】
図9は、全固体薄膜電池300の第3セル構造体30の製造方法を説明するための概略図である。図9の(ステップ9)は、図7の(ステップ9)と同じである。(ステップ9)には、第3正極側集電体層35(25)を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第3正極側集電体層35(25)が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ10)には、第3正極層31を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第3正極層31が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ11)には、第3固体電解質層33を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第3固体電解質層33が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ12)には、第3負極層32を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第3負極層32が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。(ステップ13)には、第3負極側集電体層36を積層する際の積層用マスク7の位置を装置の下から見た平面図(上)と、第3負極側集電体層36が積層された状態を示す断面図(下)とが示されている。
【0087】
全固体薄膜電池300の第1セル構造体10は、上述した第1実施形態の全固体薄膜電池100’の製造方法と同様に、第2セル構造体20は、上述した第2実施形態の全固体薄膜電池200の第2セル構造体20の製造方法と同様にして作製することができる。
ここで、第2セル構造体20の第2正極側集電体層25は、第3セル構造体30の第3正極側集電体層35を兼ねるので、図7の(ステップ9)で第2正極層21の上に、第2正極側集電体層25を形成する正極側集電体層形成工程を実施することによって、図9の(ステップ9)も実施されたことになり、この時点で第3セル構造体30の第3正極側集電体層35は形成されていることになる。
【0088】
この後、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cに、それぞれVターゲット、LiPOターゲット及びSiターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0089】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第3正極側集電体層35の上に、第3正極層31を形成する正極層形成工程を実施する(図9のステップ10参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図9のステップ9に記載されている積層用マスクの位置Q4からステップ10に記載されている積層用マスクの位置R1に移動させ(移動距離=1mm)、R1の位置に固定した状態で、Vターゲット及びLiPOターゲットを用いてVとLiPOとを同時にスパッタリングすることにより第3正極層31がV−LiPO層として形成される。第3正極層31は、第3正極層側集電体層35から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図8に示すように第3正極層側集電体層35のX側の端部35aが覆われた状態、かつ、X’側の端部35bが覆われていない状態で、第3正極層側集電体層35の上に積層されている(図8参照)。
【0090】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第3正極層31の上に、第3固体電解質層33を形成する固体電解質層形成工程を実施する(図9のステップ11参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図9のステップ10に記載されている積層用マスクの位置R1からステップ11に記載されている積層用マスクの位置R2に移動させ(移動距離=1mm)、R2の位置に固定した状態で、LiPOターゲットを用いて窒素を含む不活性ガス雰囲気下でスパッタリングを行うことにより第3固体電解質層33がLiPON層として形成される。第3固体電解質層33は、第3正極層31から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図8に示すように第3正極層31のX側の端部31aが覆われた状態、かつ、X’側の端部31bが覆われていない状態で、第3正極層31の上に積層されている(図8参照)。
【0091】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第3固体電解質層33の上に、第3負極層32を形成する負極層形成工程を実施する(図9のステップ12参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図9のステップ11に記載されている積層用マスクの位置R2からステップ12に記載されている積層用マスクの位置R3に移動させ(移動距離=1mm)、R3の位置に固定した状態で、Siターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより第3負極層32がSi層として形成される。第3負極層32は、第3固体電解質層33から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図8に示すように第3固体電解質層33のX側の端部33aが覆われた状態、かつ、X’側の端部33bが覆われていない状態で、第3固体電解質層33の上に積層されている(図8参照)。
【0092】
この後、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cのいずれかに、Ptターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0093】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、第3負極層32の上に、第3負極側集電体層36を形成する負極側集電体層形成工程を実施する(図9のステップ13参照)。積層用マスク7を移動させることにより、その開口部8を図9のステップ12に記載されている積層用マスクの位置R3からステップ13に記載されている積層用マスクの位置R4に移動させ(移動距離=1mm)、R4の位置に固定した状態で、Ptターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより第3負極層側集電体層36がPt層として形成される。第3負極層側集電体層36は、第3負極層32から1mmだけX方向にずれた位置に積層されるので、図8に示すように第3負極層32のX側の端部32aが覆われた状態、かつ、X’側の端部32bが覆われていない状態で、第3負極層32の上に積層されている(図8参照)。
【0094】
最後に、基板4の上に、密着層17、第1セル構造体10、第2セル構造体20、及び第3セル構造体30が積層された全固体薄膜電池300を、スパッタリング装置50から取り出す取り出し工程を実行する。
【0095】
得られた全固体薄膜電池300は、第3正極側集電体層35のX’側の端部35b、第3正極層31のX’側の端部31b、第3固体電解質層33のX’側の端部33b、第3負極層32のX’側の端部32b、及び第3負極側集電体層36のX’側の端部36bが階段形状を形成している。上述したように、全固体薄膜電池300の第1セル構造体10の第1正極層11、第1固体電解質層13、及び第1負極層12、第2セル構造体20の第2負極層22、第2固体電解質層23、及び第2正極層21、並びに第3セル構造体30の第3正極層31、第3固体電解質層33、及び第3負極層32を、同一の真空槽51内で真空状態が維持された状態で大気開放せずに積層することができるので、従来よりも簡易に全固体薄膜電池を製造することができる。
【0096】
〔第4実施形態〕
以下、本発明に係る全固体薄膜電池の第4実施形態を説明する。図10は、本実施形態に係る全固体薄膜電池400を膜厚方向に切断した断面図である。この第4実施形態に係る全固体薄膜電池400は、図10に示すように、基板4上に、密着層17が形成され、密着層17の上に、正極側集電体層45、正極層41、固体電解質層43、負極層42、及び負極側集電体層46が、基板4側からこの順に積層されたものを使用している。
【0097】
各層はそれぞれ円形の薄膜である。図10に示すように、正極側集電体層45、正極層41、固体電解質層43、負極層42、及び負極側集電体層46は、この順に膜の半径が小さくなる。よって、全固体薄膜電池400は、各層の厚み方向の断面が階段形状を形成している。
【0098】
本実施形態に係る全固体薄膜電池の製造方法を説明する。この全固体薄膜電池は、上述したスパッタリング装置50をおいて、積層用マスク7の代わりに、図11に示すような開口部91を形成可能な積層用マスク90を使用して、スパッタリングを行うことにより製造することができる。
【0099】
図11は、積層用マスク90により形成可能な開口部91を、スパッタリング装置50のターゲット側から見た図である。積層用マスク90は、カメラのいわゆるレンズシャッターのように、複数枚(ここでは8枚)の羽根型の板92で構成され、ハンドルWを回転させることにより、回転伝達機構Zによって、略円形である開口部91の面積(大きさ)を、半径方向に狭くすることができる。
【0100】
全固体薄膜電池400の作製に先立ち、基板4としてガラス基板を準備するとともに、スパッタリング装置50に装着し、スパッタリングターゲット52a〜52c、及び積層用マスク90を設置する準備工程を実施する。具体的には、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放して、真空槽51内のスパッタリングターゲット52a〜52cのいずれかに、正極側集電体層45用のPt(白金)ターゲット、及び密着層17用のTi(チタン)ターゲットを設置するとともに積層用マスク90を設置する。そして、真空槽51を密閉して真空状態とし、積層用マスク90の開口部91が図12の(a)に記載されている状態(内周がS1)となるようにし、基板4上に密着層17としてTi層を形成する。
【0101】
その後、上記スパッタリング装置50にて、密着層17の上に、正極側集電体層45を形成する正極側集電体層形成工程を実施する。積層用マスク90の開口部91は密着層17の形成時と同じ状態とし、Ptターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、正極層側集電体層45がPt層として形成される。
【0102】
この後、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cに、それぞれVターゲット、LiPOターゲット及びSiターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0103】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、正極層側集電体層45の上に、正極層41を形成する正極層形成工程を実施する。積層用マスク90の開口部91は密着層17の形成時と同じ状態(図11の(a))とし、Vターゲット及びLiPOターゲットを用いてVとLiPOとを同時にスパッタリングすることにより第1正極層41がV−LiPO層として形成される。
【0104】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、正極層41の上に、固体電解質層43を形成する固体電解質層形成工程を実施する。積層用マスク90の開口部91は、羽根型の板92を動かして図11の(b)に記載された状態(内周がS2)とし、LiPOターゲットを用いて窒素を含む不活性ガス雰囲気下でスパッタリングを行うことにより固体電解質層43がLiPON層として形成される。固体電解質層43は、正極層41よりも面積が小さい略円形として積層される(図11参照)。
【0105】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、固体電解質層43の上に、負極層42を形成する負極層形成工程を実施する。積層用マスク90の開口部91は、羽根型の板92を動かして図11の(c)に記載された状態(内周がS3)とし、Siターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより負極層42がSi層として形成される。負極層42は正極層41よりも面積が小さい略円形として積層される(図11参照)。
【0106】
この後、スパッタリング装置50の真空槽51を大気開放し、真空槽51内のスパッタリングターゲットを取り換える。具体的には、スパッタリングターゲット52a、52b、及び52cのいずれかに、Ptターゲットを設置して、真空槽51を密閉し、真空状態とする。
【0107】
続いて、上記スパッタリング装置50にて、負極層42の上に、負極側集電体層46を形成する負極側集電体層形成工程を実施する。積層用マスク90の開口部91は図11の(c)よりもさらに開口部91の面積が狭くなるようにし、Ptターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより負極側集電体層46がPt層として形成される。負極側集電体層46は、正極層41よりも面積が小さい略円形として積層される。
【0108】
最後に、基板の上に、密着層17、正極側集電体層45、正極41、固体電解質43、負極層42、及び負極側集電体層46が積層された全固体薄膜電池400を、スパッタリング装置50から取り出す取り出し工程を実行する。
【0109】
得られた全固体薄膜電池400は、図10に示すように、第1正極層41、第1固体電解質層43、第1負極層42、及び第1負極側集電体層46が、この順に膜の半径が小さくなる。よって、全固体薄膜電池400は、各層の厚み方向の断面が階段形状を形成している。また、全固体薄膜電池400は、正極層41、固体電解質層43、及び負極層42を、同一の真空槽51内で真空状態が維持された状態で大気開放せずに積層することができるので、従来よりも簡易に全固体薄膜電池を製造することができる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0111】
(実施例1)
実施例1の全固体薄膜電池は、上記実施形態1(図1及び図2)に対応するものである。実施例1の全固体薄膜電池を、上述した方法に従って製造した。
【0112】
実施例1では、基板4として、正方形(20mm×20mm)のガラス基板を用い、基板4の厚みは、500μmとした。また、密着層17の材料としてチタン(Ti)を用い、密着層17の厚みは、10nmとした。第1正極側集電体層15の材料として白金(Pt)を用い、第1正極側集電体層15の厚みは、150nmとした。第1正極層11の材料としてV−LiPOを用い、第1正極層11の厚みは、0.4μmとした。第1固体電解質層13の材料としてLiPONを用い、第1固体電解質層13の厚みは、1.5μmとした。第1負極層12の材料として、シリコン(ケイ素)を用い、第1負極層12の厚みは、100nmとした。第1負極側集電体層16の材料として、白金(Pt)を用い、第1正極側集電体層16の厚みは、80nmとした。第1正極側集電体層15、第1正極層11、第1固体電解質層13、及び第1負極層12の各層は、一辺が12mmの正方形状に形成した。第1負極側集電体層16は、一辺が11mmの正方形状に形成した。
【0113】
上述のように作成した全固体薄膜電池100を用いて、大気中で充放電測定を行い、薄膜電池としての性能を調査した。その結果、印加電流0.3μAにおいて30サイクルの充放電動作を確認することができた。また、図12に、全固体薄膜電池100の1サイクル目の充放電動作を示す。図12に示すように約15μAh/cmの放電容量が得られた。
【0114】
以下にその他の実施形態を列挙する。
(1)上記実施形態では、全固体薄膜電池を、リチウムイオン伝導性を有する正極層、固体電解質、及び負極層を使用したリチウムイオン電池としたが、これに限らず、全固体薄膜電池を、ナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質を使用したナトリウムイオン電池としてもよい。
【0115】
(2)上記実施形態では、基板側から、第1正極層11、第1固体電解質層13、及び第1負極層12の順に積層しているが、これに限らず、第1負極層12、第1固体電解質層13、及び第1正極層11の順に積層してもよい。
【0116】
(3)上記実施形態では、基板4と第1正極側集電体層15との間に、密着層17が設けられているが、これに限らず、密着層17を設けずに基板4上に第1正極側集電体層15を積層してもよい。
【0117】
(4)上記実施形態では、物理蒸着法としてのスパッタリング法により各層を積層したが、これに限らず、物理蒸着法としての真空蒸着法、イオンプレーティング法等により積層してもよい。また、スパッタリング法としては、例えば、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、ACスパッタリング法、パルスDCスパッタリング法等によって各層を積層してもよい。
【0118】
(5)上記実施形態では、第1正極層11、第1固体電解質層13、及び、第1負極層12等の各層が、同一形状となる方形状に形成されたが、これに限らず、第1正極層11、第1固体電解質層13、及び、第1負極層12等の各層を、方形状以外の多角形状に形成してもよく、楕円形状に形成してもよい。また、第1正極層11、第1固体電解質層13、及び、第1負極層12等の各層を異なる形状に形成してもよい。
【0119】
(6)上記第1実施形態から第3実施形態においては、正方形の開口部8を有する積層用マスク7を使用して第1正極層11、第1固体電解質層13、及び、第1負極層12等の各層を積層したが、これに限らず、正方形以外の方形形状、方形以外の多角形状、又は、楕円形状の開口部8を有する積層用マスク7を使用して、各層を積層してもよい。
【0120】
(7)上記第2実施形態では、セル構造体を2個有する全固体薄膜電池の例、上記第3実施形態では、セル構造体を3個有する全固体薄膜電池の例を示したが、最表面のセル構造体の各層の少なくとも一部の厚み方向の断面が階段形状と形成していれば、セル構造体の数はこれらに限られない。
【0121】
(8)上記第1実施形態から第3実施形態においては、積層用マスク7を図1に記載されているX及びX’に向かって移動可能に構成したが、これに限らず、積層用マスク7は、真空槽51内に設置されたスパッタリングターゲット52a〜52cと積層用マスク7の位置関係を考慮して、スパッタリングにより積層用マスク7の開口部8を介して、基板4の適切な積層位置に各層が積層されるように、積層用マスク7の角度及び位置を3次元的に自在に移動できるように構成されていてもよい。
【0122】
(9)上記第4実施形態では、積層用マスク90が真空槽51内において固定されたが、これに限らず、積層用マスク90は、真空槽51内に設置されたスパッタリングターゲット52a〜52cと積層用マスク90の位置関係から、スパッタリングにより積層用マスク90の開口部91を介して、基板4の適切な積層位置に各層が積層されるように、積層用マスク90の角度及び位置を3次元的に自在に移動できるように構成されていてもよい。
【0123】
なお、上記実施形態(その他の実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0124】
4 基板
7、90 積層用マスク
8、91 開口部
10 第1セル構造体
11 第1正極層
12 第1負極層
13 第1固体電解質層
15 第1正極側集電体層
16 第1負極側集電体層
20 第2セル構造体
21 第2正極層
22 第2負極層
23 第2固体電解質層
25 第2正極側集電体層
26 第2負極側集電体層
30 第3セル構造体
31 第3正極層
32 第3負極層
33 第3固体電解質層
35 第3正極側集電体層
36 第3負極側集電体層
41 正極層
42 負極層
43 固体電解質層
45 正極側集電体層
46 負極側集電体層
50 スパッタリング装置
51 真空槽
52a、52b、52c スパッタリングターゲット
53a、53b、53c ターゲットホルダ
54 基板ホルダ
100、200、300、400 全固体薄膜電池

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12