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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-27272(P2021-27272A)
(43)【公開日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20210125BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20210125BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20210125BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20210125BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   H01J37/28 A
   H01J37/28 B
   H01J37/22 502H
   G01N23/2251
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-146175(P2019-146175)
(22)【出願日】2019年8月8日
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三羽 貴文
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】津野 夏規
(72)【発明者】
【氏名】君塚 平太
(72)【発明者】
【氏名】福田 宗行
【テーマコード(参考)】
2G001
4M106
5C033
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA07
2G001CA03
2G001FA06
2G001KA03
2G001LA11
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA38
4M106DB05
4M106DB07
4M106DB18
5C033TT02
5C033TT04
5C033TT05
5C033UU04
5C033UU05
(57)【要約】
【課題】複数デバイス間の相互作用を考慮した電気特性の推定を短時間で行うこと。
【解決手段】荷電粒子線装置は、試料23の回路を推定するための計算用デバイスモデル及び試料23に照射される荷電粒子線の光学条件を格納するデータベース42と、光学条件に基づき試料23に照射する荷電粒子線を制御する荷電粒子線光学系と、荷電粒子線の照射により試料23から放出される二次電子を検出し、二次電子に基づく検出信号を出力する検出器25と、計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストを生成し、演算用ネットリスト及び光学条件に基づき荷電粒子線が試料23に照射されたときの第1の照射結果を推定し、第1の照射結果と光学条件に基づき試料23に荷電粒子線が照射されたときの第2の照射結果とを比較する演算器と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の回路を推定するための計算用デバイスモデル及び前記試料に照射される荷電粒子線の光学条件を格納するデータベースと、
前記光学条件に基づき前記試料に照射する前記荷電粒子線を制御する荷電粒子線光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料から放出される二次電子を検出し、前記二次電子に基づく検出信号を出力する検出器と、
前記計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストを生成し、前記演算用ネットリスト及び前記光学条件に基づき前記荷電粒子線が前記試料に照射されたときの第1の照射結果を推定し、前記第1の照射結果と前記光学条件に基づき前記試料に前記荷電粒子線が照射されたときの第2の照射結果とを比較する演算器と、
を備える、
荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記第1の照射結果と前記第2の照射結果とが異なる場合、前記計算用デバイスモデルの更新を行い、前記第1の照射結果と前記第2の照射結果とが一致する場合、前記演算用ネットリストが前記試料の回路を記述するネットリストであると同定する、
荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項2に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記計算用デバイスモデルに含まれるパラメータ値を変更し、変更した前記パラメータ値を用いて前記演算用ネットリストの更新を行う、
荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記第2の照射結果は、前記検出信号、前記検出信号に基づく検査画像、前記検査画像の明るさ、前記検査画像におけるピクセルごとの明るさのいずれかを含む、
荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記計算用デバイスモデルは、デバイスの欠陥を示すモデルを含む、
荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記計算用デバイスモデルは、デバイスの回路を規定するモデル、前記デバイスの電気特性を規定する数式、前記デバイスの形状、及び前記デバイスの物性のいずれかを含む、
荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項6に記載の荷電粒子線装置において、
前記計算用デバイスモデルは、前記デバイスの前記回路に含まれる回路素子のパラメータ値を含む、
荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項2に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記検出信号に基づき検査画像を生成し、前記検査画像におけるプラグ電極の位置と、同定された前記演算用ネットリストの各ノードとを対応させた対応表を生成する、
荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記データベースは、前記荷電粒子線のパルス化条件を格納し、
前記荷電粒子線光学系は、前記光学条件及び前記パルス化条件に基づき前記試料に照射する前記荷電粒子線を制御し、
前記演算器は、前記光学条件及び前記パルス化条件に基づき前記第1の照射結果を推定する、
荷電粒子線装置。
【請求項10】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、複数の前記計算用デバイスモデルと、1つの前記光学条件とを用い、前記計算用デバイスモデルごとに前記第1の照射結果と前記第2の照射結果とを比較する、
荷電粒子線装置。
【請求項11】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、1つの前記計算用デバイスモデルと、複数の前記光学条件とを用い、前記光学条件ごとに前記第1の照射結果と前記第2の照射結果とを比較する、
荷電粒子線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡やイオン顕微鏡等の荷電粒子線装置は、微細な構造を持つ様々な試料の観察に用いられている。例えば、半導体デバイスの製造工程におけるプロセス管理を目的として、荷電粒子線装置の一つである走査電子顕微鏡が、試料である半導体ウェーハ上に形成された半導体デバイスパターンの寸法計測や欠陥検査等の測定に応用されている。
【0003】
電子顕微鏡を用いた試料解析法の1つに、電子ビームを試料に照射することで得られる二次電子等に基づいて電位コントラスト像を形成し、電位コントラスト像の解析に基づいて、試料上に形成された素子の電気抵抗を評価する手法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、電位コントラストから電気抵抗値を算出し、欠陥を判別する方法が開示されている。特許文献2には、電位コントラストから回路素子の電気的特性及び接続情報を含む情報を記述するネットリストを等価回路として作成することで、電気抵抗値等の欠陥の特性を予測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−100823号公報
【特許文献2】特開2008−130582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体デバイスの検査計測においては、製造工程におけるデバイスの電気特性の不良を検出することが求められる。しかし、特許文献に開示された技術では、設計データと検査計測データとを利用した複数デバイス間の相互作用を考慮した電気特性の推定は困難である。また、設計データに対するデータ変換に手間が掛かり、電気特性の推定にも長い時間が掛かるといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数デバイス間の相互作用を考慮した電気特性の推定を短時間で行う荷電粒子線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0009】
本発明の代表的な実施の形態による荷電粒子線装置は、試料の回路を推定するための計算用デバイスモデル及び試料に照射される荷電粒子線の光学条件を格納するデータベースと、光学条件に基づき試料に照射する荷電粒子線を制御する荷電粒子線光学系と、荷電粒子線の照射により試料から放出される二次電子を検出し、二次電子に基づく検出信号を出力する検出器と、計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストを生成し、演算用ネットリスト及び光学条件に基づき荷電粒子線が試料に照射されたときの第1の照射結果を推定し、第1の照射結果と光学条件に基づき試料に荷電粒子線が照射されたときの第2の照射結果とを比較する演算器と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0011】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、複数デバイス間の相互作用を考慮した電気特性の推定を短時間で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】データベースに格納される計算用デバイスモデルを例示する図である。
図4】データベースに格納される光学条件を例示する図である。
図5】試料に対する回路の推定方法の一例を示すフロー図である。
図6】計算用デバイスモデルの選択画面の一例を示す図である。
図7】光学条件の選択画面の一例を示す図である。
図8】回路推定後の結果表示画面の一例を示す図である。
図9】回路推定後の結果表示画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する各実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明の技術範囲を限定するものではない。なお、実施例において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、特に必要な場合を除き省略する。
【0014】
(実施の形態1)
<荷電粒子線装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示す概略図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、荷電粒子線装置1は、荷電粒子線装置本体10、計算機30、入出力器50を備えている。
【0015】
〈荷電粒子線装置本体〉
荷電粒子線装置本体10は、検査用の試料23が収容される試料室10Bに、鏡筒10Aが載置され、鏡筒10A及び試料室10Bの外側に制御部11が配置された構成となっている。鏡筒10Aには、電子線(荷電粒子線)を照射する電子源(荷電粒子源)12、電子線のパルス化を行うパルス電子発生器19、照射された電子線の照射電流の調整を行う絞り13、電子線の照射方向を制御する偏向器14、電子線を集光する対物レンズ18等が収容される。また、図示は省略しているが、鏡筒10Aには、コンデンサレンズが設けられる。なお、電子線のパルス化を行わないのであれば、パルス電子発生器19はなくてもよい。
【0016】
また、鏡筒10Aには、電子線の照射により試料23から放出される二次電子を検出し、二次電子に基づく検出信号を出力する検出器25等が収容される。検出信号は、SEM(Scanning Electron Microscopy)画像の生成、試料23のサイズの測定、電気特性の計測等に利用される。
【0017】
試料室10Bには、ステージ21、試料23等が収容される。試料23は、ステージ21上に載置される。試料23は、例えば複数の半導体デバイスを含む半導体ウェーハや、個別の半導体デバイス等である。ステージ21には、図示しないステージ駆動機構が設けられ、制御部11の制御により試料室10B内を移動可能である。
【0018】
制御部11は、荷電粒子線装置本体10の構成要素の制御を行う機能ブロックである。制御部11は、例えば、計算機30から入力される光学条件等に基づき、電子源12、パルス電子発生器19、絞り13、偏向器14、対物レンズ18等の動作制御を行う。このように、制御部11、電子源12、パルス電子発生器19、絞り13、偏向器14、対物レンズ18等は、電子線を制御する荷電粒子線光学系BSを構成する。
【0019】
また、制御部11は、例えば計算機30から入力される光学条件等に基づき、ステージ駆動機構の制御を行うことで、試料23を所定の位置へ移動させる。また、制御部11は、検出器25に対する電力供給や制御信号の供給等の制御を行うことで、検出器25による二次電子の検出処理の制御を行う。
【0020】
制御部11は、例えばCPU等のプロセッサで実行されるプロクラムにより実現される。また、制御部11は、例えば、FPGA(Field−Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されてもよい。
【0021】
〈計算機〉
計算機30は、図1に示すように、演算器31及び記憶装置41を備えている。演算器31は、試料23の回路(あるいは等価回路)の推定を行う機能ブロックである。演算器31は、例えば図2に示すように、演算用ネットリスト生成部32、電子線照射結果推定演算器33、比較器34を有する。演算用ネットリスト生成部32は、後述する計算用デバイスモデル及び光学条件に基づいて、試料23に対応する演算用ネットリストの生成を行う。また、演算用ネットリスト生成部32は、比較器34における比較結果に基づく演算用ネットリストの更新も行う。
【0022】
電子線照射結果推定演算器33は、演算用ネットリスト生成部32で生成された演算用ネットリストに基づく電子線照射結果の推定を行う。比較器34は、電子線照射結果推定演算器33で推定された電子線照射結果(第1の照射結果)と、実際に測定した電子線照射結果(第2の照射結果)との比較を行う。
【0023】
演算器31は、これらの処理のほか、推定した電子線照射結果、測定された電子線照射結果、及び試料23に対し同定したネットリスト(以下、「推定ネットリスト」とも呼ぶ)の表示に関わる処理、検出信号に基づく試料23の検査画像(SEM画像等)の生成、試料23のサイズの測定、試料23の電気特性の計測等に関わる処理を行う。
【0024】
演算器31は、制御部11と同様に、CPU等のプロセッサで実行されるプロクラムにより実現されてもよいし、FPGAやASIC等で構成されてもよい。
【0025】
記憶装置41は、データベース42、光学条件記憶部43、演算用ネットリスト記憶部44、電子線照射結果記憶部45、推定照射結果記憶部46を含む。データベース42は、演算用ネットリストの生成に用いられる計算用デバイスモデル(例えばDM1、DM2)及び光学条件(例えばLC1、LC2)を格納する。なお、計算用デバイスモデルには、試料を含むデバイスの欠陥を示すモデルが含まれる。
【0026】
これら計算用デバイスモデル及び光学条件の登録は、入出力器50を操作してユーザによる登録作業が行われてもよいし、計算機30を外部装置と接続し、外部装置から計算用デバイスモデルを受信することにより行われてもよい。データベース42は、計算用デバイスモデル及び光学条件を、例えばLUT(Look Up Table)として格納する。
【0027】
図3は、データベースに格納される計算用デバイスモデルを例示する図である。計算用デバイスモデルにはそれぞれ固有のID42a(例えばDM1、DM2)が付され、ID42aによりそれぞれの計算用デバイスモデルが識別される。それぞれの計算用デバイスモデルには、例えば、モデル42b、数式42c、パラメータ種別42d、パラメータ値42e、その他データ42f等の情報が含まれる。なお、それぞれの計算用デバイスモデルでは、これらの中の一部の情報のみが規定されていてもよい。
【0028】
モデル42bは、デバイスの回路を規定する情報である。例えばRC並列回路等の回路を規定する情報が、モデル42bとして登録される。また、デバイスの波形モデル等がモデル42bとして登録されてもよい。数式42cは、回路では表現できないデバイスの電気特性を規定する情報が含まれる。パラメータ種別42dは、例えば抵抗(R)や容量(C)等、デバイスに含まれる回路素子の種別を規定する情報である。パラメータ値42eは、パラメータ種別42dの各要素と対応しており、パラメータ種別42dに対応する回路素子の値を規定する情報である。例えば、抵抗(R)、容量(C)がパラメータ種別として登録されていれば、対応するパラメータ値は抵抗値、容量値である。その他データ42fには、例えば、デバイスの形状、デバイスの物性等の情報が含まれる。
【0029】
図4は、データベースに格納される光学条件を例示する図である。光学条件にはそれぞれ固有のID42g(例えばLC1、LC2)が付され、ID42gによりそれぞれの光学条件が識別される。それぞれの光学条件には、例えば、照射エネルギ42h、照射電流42i、スキャン条件42j、パラメータ値42k、その他データ42l等の情報が含まれる。なお、それぞれの光学条件では、これらの中の一部の情報のみが規定されていてもよい。
【0030】
照射エネルギ42hは、試料に照射される荷電電子線のエネルギを規定する情報である。照射エネルギには、例えば、電子の加速電圧やリターディング電圧等が含まれる。ここで、リターディング電圧とは、試料に電圧を印加することで、試料直前で電子線(荷電粒子線)の速度を減速させる電圧のことをいう。照射電流42iは、電子線の電流を規定する情報である。なお、照射電流は、プローブ電流と呼ばれることもある。
【0031】
スキャン条件42jは、電子線の照射方法を規定する情報である。スキャン条件42jには、例えば、スキャン速度(走査速度)、走査間隔等の情報が含まれる。パラメータ値42kは、電子線の照射に関わるパラメータを規定する情報である。パラメータ値42kには、例えば、倍率、開き角、ワーキングディスタンス等の情報が含まれる。その他データ42lには、光学条件に関わるこれら以外の情報が含まれる。また、その他データ42lには、電子線パルス化条件(変調条件)が格納されてもよい。
【0032】
電子線パルス化条件には、例えば、パルス幅、デューティ比、周波数、パルス幅やデューティ比が時間的に変化する任意のパタン等が含まれる。
【0033】
なお、光学条件は、電子光学条件等と呼ばれることがある。
【0034】
光学条件記憶部43は、選択された電子線の光学条件を格納する。演算用ネットリスト記憶部44は、演算用ネットリスト生成部32で生成又は更新された演算用ネットリストを格納する。電子線照射結果記憶部45は、検出器25から出力される検出信号に基づき、実際に測定した試料23に対する電子線照射結果を格納する。電子線照射結果記憶部45に格納される電子線照射結果は、検出器25から出力される検出信号でもよいし、検出信号に基づくSEM画像等でもよい。推定照射結果記憶部46は、電子線照射結果推定演算器33で推定された試料23に対する電子線照射結果を格納する。
【0035】
記憶装置41は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。また、記憶装置41に含まれる各記憶部の一部は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成されてもよい。記憶装置41に含まれる各記憶部は、それぞれ別個のデバイスとして設けられてもよいし、1つの記憶装置の中にそれぞれの記憶領域が設けられた構成でもよい。
【0036】
〈入出力器〉
入出力器50は、荷電粒子線装置1に対する操作、計算用デバイスモデルや光学条件の選択、試料23に対する電子線照射結果、推定照射結果、及び推定ネットリストの表示等を行う機能ブロックである。入出力器50は、例えばタッチパネル方式のディスプレイ60を備えている。ディスプレイ60には、例えば、荷電粒子線装置1の操作パネル、計算用デバイスモデルや光学条件の選択を選択する選択部51、推定ネットリスト等52、推定照射結果53、電子線照射結果54等が表示される。
【0037】
<試料に対する回路推定方法>
次に、試料23に対する回路推定方法について説明する。本実施の形態では、計算用デバイスモデルから生成した演算用ネットリスト、及び光学条件を用いて推定した電子線照射結果と、光学条件に基づく実際の電子線照射結果とを比較することにより、試料のネットリストの推定が行われる。図5は、試料に対する回路の推定方法の一例を示すフロー図である。図5の例では、ステップS10〜S130により試料に対する回路の推定が行われる。
【0038】
回路推定処理が開始されると、計算用デバイスモデルの選択が行われる(ステップS10)。図6は、計算用デバイスモデルの選択画面の一例を示す図である。図6の計算用デバイスモデル選択画面61には、例えば、データベース42に登録されている計算用デバイスモデルの一覧表61aと、選択決定ボタン61eが示される。一覧表61aには、登録されている計算用デバイスモデルのID表示欄61b、計算用デバイスモデルの選択欄61c、各計算用デバイスモデルの詳細表示欄61dが示される。
【0039】
ユーザは、ディスプレイ60に表示される計算用デバイスモデル選択画面61から、測定対象の試料23と同一又は類似する回路を有する計算用デバイスモデルを選択する。本実施の形態では、1つの計算用デバイスモデルが選択される。具体的に述べると、ユーザは、選択する計算用デバイスモデルのチェックボックスにチェックを入れた後、選択決定ボタン61eをタッチすることにより、計算用デバイスモデルの選択が完了する。図6では、IDがDM1の計算用デバイスモデルが選択された場合が示されている。選択された計算用デバイスモデルは、図2の演算用ネットリスト生成部32に送信される。
【0040】
ステップS20では、演算用ネットリスト生成部32は、ユーザが選択した計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストの生成を行う。例えば、演算用ネットリスト生成部32は、選択された計算用デバイスモデルに含まれるモデル42b、パラメータ種別42d、デバイスの形状、デバイスの物性等のいずれかと、パラメータ値42eとを組み合わせて演算用ネットリストの生成を行う演算用ネットリストの生成方法は、これに限定されるものではない。
【0041】
ステップS30では、光学条件の選択が行われる。図7は、光学条件の選択画面の一例を示す図である。図7の光学条件選択画面62には、例えば、データベース42に登録されている光学条件の一覧表62aと、選択決定ボタン62eが示される。一覧表62aには、登録されている光学条件のID表示欄62b、光学条件の選択欄62c、各光学条件の詳細表示欄62dが示される。
【0042】
ユーザは、ディスプレイ60に表示される光学条件選択画面62から、任意の光学条件を選択する。具体的に述べると、ユーザは、選択する光学条件のチェックボックスにチェックを入れた後、選択決定ボタン62eをタッチすることにより、光学条件の選択が完了する。図7では、IDがLC2の光学条件が選択された場合が示されている。選択された光学条件は、図2の光学条件記憶部43に格納される。
【0043】
なお、ステップS10において、選択決定ボタン61eがタッチされ、計算用デバイスモデルの選択が完了すると、計算用デバイスモデル選択画面61が消去され、光学条件選択画面62が表示されてもよい。また、計算用デバイスモデルの選択が完了すると、計算用デバイスモデル選択画面61に重畳して光学条件選択画面62が表示されてもよい。光学条件選択画面62に計算用デバイスモデル選択画面61を再表示させるボタンが設けられてもよい。
【0044】
また、光学条件の設定においては、必要に応じて電子線パルス化条件(変調条件)も併せて用いられる。電子線パルス化条件は、光学条件と併用されてもよいし、電子線パルス化条件単独で光学条件として設定されてもよい。
【0045】
ステップS40では、ステップS30で選択された光学条件で、試料23に対する電子線の照射が行われる。光学条件記憶部43に記憶された光学条件は、荷電粒子線装置本体10の制御部11へ送信される。制御部11は、受信した光学条件に基づき、荷電粒子線光学系BSを構成する各部を制御し、試料23に対し電子線を照射させる。電子線が照射されると、試料23から二次電子が放出される。検出器25は、試料23から放出された二次電子を検出すると、二次電子の個数や照射エネルギ等に応じた所定の検出信号を計算機30(演算器31)へ出力する。
【0046】
ステップS50では、試料23に対する実際の電子線照射結果が格納される。演算器31は、例えば、検出器25から出力された検出信号(信号波形)を電子線照射結果として電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。また、演算器31は、検出信号に基づき検査画像(SEM画像等)を生成し、検査画像を電子線照射結果として電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。また、演算器31は、検出信号に基づく試料23の帯電量を測定し、測定した帯電量を電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。また、演算器31は、検査画像の明るさ、あるいはピクセルごとの明るさを検出し、検出した明るさを電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。
【0047】
ステップS60では、ステップS20において生成された演算用ネットリストが、演算用ネットリスト記憶部44に格納される。なお、図5では、ステップS20とステップS60とを区別しているが、ステップS60の処理は、ステップS20において行われてもよい。
【0048】
ステップS70では、電子線照射結果の推定が行われる。電子線照射結果推定演算器33は、演算用ネットリスト記憶部44に格納された演算用ネットリスト、及び光学条件記憶部43に格納された光学条件に基づき、試料23に対する電子線照射結果の推定を行う。ここで推定される電子線照射結果の項目は、ステップS50の測定項目と対応しており、例えば、検出器25から出力された検出信号(信号波形)、帯電量、検査画像、検査画像の明るさ、検査画像におけるピクセルごとの明るさ等である。
【0049】
ステップS80では、ステップS70において推定された電子線照射結果が推定照射結果記憶部46に格納される。
【0050】
ステップS90では、実際の電子線照射結果と、推定された電子線照射結果とが比較される。比較器34は、電子線照射結果の項目ごとに、実際の電子線照射結果と、推定された電子線照射結果とを比較する。比較器34は、例えば、電子線の照射領域ごと、あるいは検出画像のピクセルごとに検出信号の比較を行う。また、比較器34は、例えば、帯電量、検査画像、検査画像の明るさ、検査画像におけるピクセルごとの明るさ等の比較を行う。比較器34は、例えば、これらの照射結果を数値化し、項目ごとに実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果との差分の大きさを算出することで比較結果を生成する。なお、比較器34は、これらすべての項目についての比較を行ってもよいし、一部の項目の比較のみを行ってもよい。
【0051】
ステップS100では、ステップS90で算出した比較結果に基づき、実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致するか否かが判定される。例えば、比較結果の値が「0」であれば、比較器34は、これらの照射結果は一致すると判断する。一方、比較結果の値が「0」でなければ、比較器34は、これらの比較結果は一致しないと判断する。ただし、実際には、これらの照射結果が完全に一致することはほとんどないため、所定の範囲内での測定誤差を考慮する必要がある。
【0052】
そこで、比較器34は、比較結果の値が所定の閾値以下であれば、これらの照射結果は一致すると判断してもよい。所定の閾値は、項目ごとにそれぞれ設定される。なお、複数項目について比較を行う場合、比較器34は、比較したすべての項目について比較結果が閾値以下となる場合のみ、これらの照射結果が一致すると判断してもよいし、所定の割合以上の項目において比較結果が閾値以下となる場合には、これらの照射結果が一致すると判断してもよい。
【0053】
ステップS100において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致しないと判断した場合(No)、ステップS110の処理が行われる。
【0054】
ステップS110では、演算用ネットリストの更新が行われる。比較器34は、例えば、比較結果を演算用ネットリスト生成部32へ送信し、演算用ネットリスト生成部32において演算用ネットリストの更新が行われる。演算用ネットリスト生成部32は、例えば、比較結果に基づき、直前の演算用ネットリストの生成に用いられたパラメータ値を変更し、変更後のパラメータ値を用いて演算用ネットリストを生成する。このように、演算用ネットリスト生成部32は、演算用ネットリストの更新を行う。その際、演算用ネットリスト生成部32は、複数項目の比較結果に基づきパラメータ値の変更を行ってもよい。また、演算用ネットリスト生成部32は、パラメータ値の変更が可能なパラメータを予め設定しておき、変更可能なパラメータのみパラメータ値を変更しながら演算用ネットリストを更新してもよい。
【0055】
更新された演算用ネットリストは、演算用ネットリスト記憶部44に格納される(ステップS60)。更新された演算用ネットリスト及び光学条件を用いて、電子線照射結果の推定が再度行われ(ステップS70)、推定された電子線照射結果が推定照射結果記憶部46に格納される(ステップS80)。そして、更新された演算用ネットリストを用いて推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果との比較が再度行われる(ステップS90)。
【0056】
ステップS60〜S110の処理は、推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果とが一致するまで繰り返し実行される。なお、演算用ネットリストの更新は、演算用ネットリスト記憶部44において行われてもよい。この場合、推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果とが一致するまで、ステップS70〜S110の処理が繰り返し実行される。
【0057】
一方、ステップS100において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致すると判断した場合(Yes)、ステップS120の処理が行われる。ステップS120では、演算器31(比較器34)は、演算用ネットリスト記憶部44に格納されている演算用ネットリストが、試料23の回路を記述するネットリストであると同定できると判断し、この演算用ネットリストを推定ネットリストとして推定ネットリスト記憶部47へ格納する。また、推定ネットリストと併せて、検査画像におけるプラグ電極の位置と推定ネットリストの各ノードとを対応させた対応表も推定ネットリスト記憶部47に格納されてもよい。
【0058】
ステップS130では、推定結果及び測定結果が入出力器50へ出力される。例えば、推定ネットリスト記憶部47に格納された推定ネットリスト、推定照射結果記憶部46に格納されている推定された電子線照射結果、電子線照射結果記憶部45に格納された実際の電子線照射結果は入出力器50へ出力され、ディスプレイ60に表示される。
【0059】
図8は、回路推定後の結果表示画面の一例を示す図である。図8には、結果表示画面70として、計算用デバイスモデル指定部71、推定結果表示部72、推定電子線照射結果表示部73、電子線照射結果表示部74が示されている。
【0060】
計算用デバイスモデル指定部71には、選択された計算用デバイスモデルの内容や、選択された光学条件等が示されている。例えば、ユーザは、計算用デバイスモデル指定部71をタッチすることで、選択した計算用デバイスモデルや光学条件の内容を確認することができる。推定結果表示部72には、推定ネットリストの生成に用いられたそれぞれのパラメータ値が表示される。また、推定結果表示部72には、パラメータ値と併せて、パラメータが変更可能であるか否かの情報が表示されてもよい。
【0061】
推定電子線照射結果表示部73には、推定された電子線照射結果が表示される。推定電子線照射結果表示部73には、横軸が電子線の照射条件(光学条件)及び縦軸が明度(明るさ)のグラフが示されている。具体的に述べると、推定電子線照射結果表示部73には、複数のノード(プラグ電極)に対して推定された電子線照射結果が表示される。なお、推定電子線照射結果表示部73には、推定ネットリストを用いた推定結果だけでなく、同定される前の演算用ネットリストを用いた推定結果も併せて表示されてもよい。
【0062】
電子線照射結果表示部74には、実際に測定された電子線照射結果が表示される。電子線照射結果表示部74にも、横軸が電子線の照射条件及び縦軸が明度(明るさ)のグラフが示されている。電子線照射結果表示部74には、複数のノードに対する電子線照射結果が表示される。
【0063】
なお、推定電子線照射結果表示部73、電子線照射結果表示部74のグラフは任意に設定可能である。例えば、縦軸を二次電子検出量としたグラフが示されてもよい。また、推定電子線照射結果表示部73、電子線照射結果表示部74には、検出信号の波形や検査画像等がそれぞれ示されてもよい。
【0064】
また、推定電子線照射結果表示部73及び電子線照射結果表示部74を合わせて、推定結果と測定結果とを重ねて表示してもよい。
【0065】
図9は、回路推定後の結果表示画面の他の例を示す図である。結果表示画面70には、図8の他にも、例えば図9に示す画像がそれぞれ表示されてもよい。図9(A)は、検査画像にプラグ電極の座標を挿入した画像である。図9(B)は、推定ネットリストである。図9(C)は、検査画像におけるプラグ電極の位置と推定ネットリストの各ノードとを対応させた対応表である。また、推定ネットリストに基づく回路図が、結果表示画面70に表示されてもよい。
【0066】
なお、図5では、演算用ネットリストの生成、電子線の照射による測定、電子線照射結果の推定等の処理を順に説明したが、これらの処理が並行して行われてもよい。例えば、演算用ネットリストの生成及び電子線照射結果の推定の処理を行いつつ、電子線の照射による測定が行われてもよい。
【0067】
また、ステップS70における電子線照射結果の推定、ステップS110における演算用ネットリストの更新等の処理には、機械学習やディープラーニング等の手法によるAI(Artificial Intelligence)が用いられてもよい。
【0068】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストが生成され、演算用ネットリスト及び光学条件に基づき電子線が試料に照射されたときの電子線照射結果が推定される。また、推定された電子線照射結果と、光学条件に基づき試料23に電子線が照射されたときの電子線照射結果とが比較される。
【0069】
この構成によれば、外部から入力される外部ネットリストを演算用ネットリストを変換しなくてもよいので、試料23に対する電気特性の推定を短時間で行うことが可能であり、スループットを向上させることが可能となる。また、外部ネットリストの構成に影響されることなく、試料23の電気特性や回路の推定を自在に行うことが可能となり、複数デバイス間の相互作用を考慮した電気特性の推定が可能となる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、推定した電子線照射結果と実際の電子線照射結果とが異なる場合、計算用デバイスモデルの更新が行われる。具体的には、演算器31は、計算用デバイスモデルに含まれるパラメータ値を変更し、変更したパラメータ値を用いて演算用ネットリストを再度作成することにより、演算用ネットリストの更新を行う。この構成によれば、演算量を抑えつつ演算用ネットリストの更新が可能となり、演算器31の負荷を抑えることが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、電子線照射結果は、検出信号、検出信号に基づく検査画像、検査画像の明るさ、検査画像におけるピクセルごとの明るさのいずれかを含む。この構成によれば、検出信号を基にした様々な形態により照射結果を照合することが可能である。
【0072】
また、本実施の形態によれば、計算用デバイスモデルは、試料23の欠陥を示すモデルが含まれる。この構成によれば、試料23の欠陥(製造不良)を容易に検出することが可能であり、回路推定の精度を向上させることが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、計算用デバイスモデルは、デバイスの回路を規定するモデル、デバイスの電気特性を規定する数式、デバイスの形状、及びデバイスの物性のいずれかを含む。この構成によれば、回路構成だけでなく、電気特性、形状、物性等から試料23の回路を推定することが可能であり、回路推定の精度を向上させることが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、演算器31は、検査画像におけるプラグ電極の位置と、同定された演算用ネットリスト(推定ネットリスト)の各ノードとを対応させた対応表を生成する。この構成によれば、ネットリストと検査画像との対応が関係の把握が容易になる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、光学条件及び電子線パルス化条件に基づき電子線照射結果が推定される。この構成によれば、複雑に変化する電子線により、試料23の電気特性の推定精度を向上させることが可能となる。
【0076】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、複数の計算用デバイスモデルと、1つの光学条件とを用い、計算用デバイスモデルごとに照射結果が比較される。本実施の形態の装置構成は、図1図4と同様であるので説明は省略する。
【0077】
<試料に対する回路推定方法>
次に、本実施の形態における回路推定方法について説明する。本実施の形態においても、図5のフローに沿って回路推定の推定が行われる。以下では、主に実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0078】
ステップS10では、複数の計算用デバイスモデルの選択が行われる。例えば、ユーザは、図6の計算用デバイスモデル選択画面61で、複数の計算用デバイスモデルのチェックボックスにチェックを入れ、選択決定ボタン61eをタッチすることにより、複数の計算用デバイスモデルが選択される。
【0079】
ステップS20では、選択された複数の計算用デバイスモデルのそれぞれに対する演算用ネットリストが生成される。そして、ステップS60では、ステップS20で生成されたそれぞれの演算用ネットリストが、演算用ネットリスト生成部32に格納される。
【0080】
ステップS70では、演算用ネットリスト生成部32に格納されたそれぞれの演算用ネットリストを用いた電子線照射結果の推定が行われる。ステップS80では、ステップS70で推定された複数の電子線照射結果が、推定照射結果記憶部46に格納される。
【0081】
ステップS90では、実際の電子線照射結果と、推定された複数の電子線照射結果とが比較される。比較器34は、推定された電子線照射結果ごとに比較結果を生成する。ステップS100では、実際の電子線照射結果と推定されたそれぞれの電子線照射結果とが一致するか否かが判定される。
【0082】
ステップS100において、実際の電子線照射結果と推定されたすべての電子線照射結果とが一致しないと判定された場合(No)、ステップS110において、すべての演算用ネットリストの更新が行われる。一方、実際の電子線照射結果と推定されたいずれかの電子線照射結果とが一致すると判定された場合(Yes)、ステップS120の処理が行われる。
【0083】
ステップS120では、実際の電子線照射結果と一致する、推定された電子線照射結果に対応する演算用ネットリストが、試料23を記述するネットリストであると同定される。同定された演算用ネットリストは、推定ネットリストとして推定ネットリスト記憶部47に格納される。
【0084】
ステップS130では、複数の計算用デバイスモデルに対する推定結果が結果表示画面70に表示されてもよい。
【0085】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、前述の実施の形態による各効果に加え、以下の効果が得られる。本実施の形態によれば、複数の計算用デバイスモデルと、1つの光学条件とを用い、計算用デバイスモデルごとに、推定された電子線照射結果と実際の電子線照射結果とが比較される。この構成によれば、複雑な構成を有する試料23に対する回路や電気特性の推定を短時間に行うことが可能となる。
【0086】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、1つの計算用デバイスモデルと、複数の光学条件とを用い、光学条件ごとに照射結果が比較される。本実施の形態においても、装置構成は図1図4と同様である。
【0087】
<試料に対する回路推定方法>
次に、本実施の形態における回路推定方法について説明する。本実施の形態においても、図5のフローに沿って回路推定の推定が行われる。以下では、主に実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0088】
ステップS30では、複数の光学条件の選択が行われる。例えば、ユーザは、図7の光学条件選択画面62で、複数の光学条件のチェックボックスにチェックを入れ、選択決定ボタン62eをタッチすることにより、複数の光学条件が選択される。
【0089】
ステップS40では、選択された複数の光学条件で、試料23に対する電子線の照射が順次行われる。ステップS50では、光学条件ごとに、試料23に対する実際の電子線照射結果が電子線照射結果記憶部45に格納される。
【0090】
ステップS90では、光学条件ごとの実際の電子線照射結果と、推定された電子線照射結果とが比較される。比較器34は、光学条件ごとに比較結果を生成する。ステップS100では、それぞれの電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致するか否かが判定される。
【0091】
ステップS100において、複数の電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致しないと判定された場合(No)、ステップS110において、演算用ネットリストの更新が行われる。一方、いずれかの電子線照射結果と推定されたいずれかの電子線照射結果とが一致すると判定された場合(Yes)、ステップS120の処理が行われる。
【0092】
ステップS120では、演算用ネットリスト記憶部44に格納されている演算用ネットリストが、推定ネットリストとして推定ネットリスト記憶部47に格納される。このとき、実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致したときの光学条件も併せて格納されてもよい。
【0093】
ステップS130では、複数の光学条件に対する測定結果が結果表示画面70に表示されてもよい。
【0094】
<本実施の形態による主な効果>
本獅子の形態によれば、1つの計算用デバイスモデルと、複数の光学条件とを用い、光学条件ごとに、推定された電子線照射結果と実際の電子線照射結果とが比較される。この構成によれば、電気特性の推定精度を向上させることが可能となる。
【0095】
[変形例]
なお、本実施の形態は、例えば実施の形態1で同定された推定ネットリストに対し、複数の光学条件で実行される場合にも応用可能である。この場合、計算用デバイスモデルの選択、演算用ネットリストの生成・更新、演算用ネットリストの同定等のステップは適宜省略可能である。
【0096】
これにより、ネットリストが同定された試料の電気特性の推定が容易になり、推定精度を向上させることが可能となる。
【0097】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。なお、図面に記載した各部材や相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑な形状となる場合がある。
【符号の説明】
【0098】
1…荷電粒子線装置、10…荷電粒子線装置本体、23…試料、25…検出器、30…計算機、31…演算器、41…記憶装置、42…データベース、50…入出力器、60…ディスプレイ、BS…荷電粒子線光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9