【解決手段】移動体情報解析装置は、移動体に対する電波による測定情報により、移動体の位置を測定する装置であって、移動体ごとに、測定した時刻と測定点の位置の情報を保持する位置情報テーブルと、移動体の測定する領域に配置されるグリッド点の情報を保持するテーブルとを保持し、測定点の位置をその近傍にあるグリッド点の位置に置き換えて記憶する。また、複数の重複した測定点を集約して、ノイズとして除去する重複点除去処理、移動軌跡が短時間内に往復・周回しているときに、ノイズとして除去する動線振動除去処理、移動速度が大きいときに移動先の測定点をノイズとして除去する速度チェック判定処理を行う。
複数の重複した測定点を集約し、時系列においてその測定点に到着したときの測定点とその測定点から出発したときの測定点とにかかわるデータのみを保持し、その他の集約点にかかわるデータを削除することを特徴する請求項1記載の移動体情報解析装置。
前記測定点の描く移動軌跡が、移動にかかった時間に対して移動距離が所定比以上であり、ある測定点から往復や周回をしている場合に、それらの移動軌跡の関する中間の測定点にかかわるデータを削除することを特徴する請求項1記載の移動体情報解析装置。
前記移動体が他の移動体に対して、回避動作または追い越し動作をするときに、それらの測定点を互いに異なった列のグリッド点の位置で置き換えることを特徴とする請求項6記載の移動体情報解析装置。
さらに、複数の重複した測定点を集約し、時系列においてその測定点に到着したときの測定点とその測定点から出発したときの測定点とにかかわるデータのみを保持し、その他の集約点にかかわるデータを削除するステップを有することを特徴する請求項10記載の移動体情報解析方法。
さらに、前記測定点の描く移動軌跡が、移動にかかった時間に対して移動距離が所定比以上であり、ある測定点から往復や周回をしている場合に、それらの移動軌跡の関する中間の測定点にかかわるデータを削除することを特徴する請求項10記載の移動体情報解析方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る一実施形態を、
図1ないし
図16を用いて説明する。
【0014】
本実施形態の移動体情報解析システムでは、倉庫において、作業者が物品を倉庫の棚からピッキング作業を行う場合に、台車に通信装置を設置して、作業者の位置を解析し、それにより作業者の移動距離を算出して、棚の配置の最適化や作業者への指示の最適化を行うシステムを例に採って説明する。
【0015】
先ず、
図1ないし
図3を用いて移動体情報解析システムの構成について説明する。
移動体情報解析システムは、
図1に示されるように、複数の固定通信装置200(
図1では、200a、200b、200cと表記)と、移動体情報解析装置100がネットワーク5により接続され、移動通信装置210が、固定通信装置200と無線により通信する構成である。
【0016】
固定通信装置200と、移動通信装置210は、例えば、UWBにより通信する装置であり、固定通信装置200は、倉庫の天井などに、三台以上設置されており、移動通信装置210は、作業者10が部品25をピッキングする台車15の各々に設置される。移動体情報解析システムでは、固定通信装置200からパルスが発信され、移動通信装置210がそのパルスを受取る時間が、ネットワーク5を介して、移動体情報解析装置100に送信される。移動体情報解析装置100は、複数の固定通信装置200からの情報に基づいて、移動通信装置210の位置(以下では、単に「作業位置」または「作業者の作業位置」という。同様に、移動通信装置210の速度、移動通信装置210の移動距離に関して、「作業者の速度」、「作業者の移動距離」という用語も用いることにする)を解析して、その位置情報を蓄積する。なお、移動通信装置210は、作業者自身が携帯してもよいし、衣服に取り付けるようにしてもよい。
【0017】
作業者10は、倉庫に配置されている棚20から、指示書に基づいて、棚に保管されている部品をピッキングして台車15に積む作業を行う。
【0018】
次に、
図2を用いて移動体情報解析装置100の機能構成について説明する。
移動体情報解析装置100は、
図2に示されるように、機能構成として、位置算出部110、移動速度算出部111、速度チェック判定部112、グリッド点近似部113、重複点除去部114、動線振動除去部115、移動距離算出部116からなる。
【0019】
位置算出部110は、固定通信装置200の通信情報から、作業者の作業位置を算出する機能部である。移動速度算出部111は、時刻情報と作業者の作業位置に基づいて、作業者が移動する速度を算出する機能部である。速度チェック判定部112は、速度の速すぎる測定点(作業位置として測定された点)をノイズとして除去する機能部である。グリッド点近似部113は、測定点をグリッド点(詳細は、後述)に近似する処理を行う機能部である。重複点除去部114は、測定点の重複点(詳細は、後述)を、ノイズとして除去する処理である。動線振動除去部115は、動線の振動している測定点を除去する機能部である。移動距離算出部116は、測定点の解析処理の後に、作業者の移動距離を算出する機能部である。
なお、各処理の詳細は、後に説明する。
【0020】
次に、
図3を用いて移動体情報解析装置100のハードウェア・ソフトウェア構成について説明する。
移動体情報解析装置100のハードウェア構成としては、例えば、
図3に示されるパーソナルコンピュータのような一般的な情報処理装置で実現される。
【0021】
移動体情報解析装置100は、CPU(Central Processing Unit)402、主記憶装置404、ネットワークI/F(InterFace)406、表示I/F408、入出力I/F410、補助記憶I/F412が、バスにより結合された形態になっている。
【0022】
CPU402は、移動体情報解析装置100の各部を制御し、主記憶装置404に必要なプログラムをロードして実行する。
【0023】
主記憶装置404は、通常、RAMなどの揮発メモリで構成され、CPU402が実行するプログラム、参照するデータが記憶される。
【0024】
ネットワークI/F406は、ネットワーク5と接続するためのインタフェースである。
【0025】
表示I/F408は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置420を接続するためのインタフェースである。
【0026】
入出力I/F410は、入出力装置を接続するためのインタフェースである。
図3の例では、キーボード430とポインティングデバイスのマウス432が接続されている。
【0027】
補助記憶I/F412は、HDD(Hard Disk Drive)450やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を接続するためのインタフェースである。
【0028】
HDD450は、大容量の記憶容量を有しており、本実施形態を実行するためのプログラムが格納されている。移動体情報解析装置100には、位置算出プログラム460、移動速度算出プログラム461、速度チェック判定プログラム462、グリッド点近似プログラム463、重複点除去プログラム464、動線振動除去プログラム465、移動距離算出プログラム466がインストールされている。
【0029】
位置算出プログラム460、移動速度算出プログラム461、速度チェック判定プログラム462、グリッド点近似プログラム463、重複点除去プログラム464、動線振動除去プログラム465、移動距離算出プログラム466は、それぞれ位置算出部110、移動速度算出部111、速度チェック判定部112、グリッド点近似部113、重複点除去部114、動線振動除去部115、移動距離算出部116の機能を実現するプログラムである。
【0030】
次に、
図4ないし
図6を用いて移動体情報解析システムで用いられるデータ構造について説明する。
位置情報テーブル300は、作業者の位置の測定情報を格納するテーブルであり、
図4に示されるように、台車ID300a、日付300b、時刻300c、位置300dの各フィールドを有する。
【0031】
台車ID300aには、各台車15を一意的に識別する識別子が格納される。日付300bには、測定した日付がyyyymmddの形式で格納される。時刻300cには、測定した時刻がhhmmssの形式で格納される。位置300dには、測定点における位置がミリメートル単位で(X,Y)座標の形式で格納される。
【0032】
台車・通信装置対応テーブル301は、台車と通信装置の対応関係の情報を格納するテーブルであり、
図5に示されるように、台車ID301a、移動通信装置ID301bの各フィールドを有する。台車ID301aには、各台車15を一意的に識別する識別子が格納される。移動通信装置ID301bには、台車ID301aの値の台車15に設置されたる移動通信装置210を一意的に識別する識別子が格納される。
【0033】
グリッド情報テーブル302は、グリッド点の情報を格納するテーブルであり、
図6に示されるように、グリッド座標302a、グリッド点位置302bの各フィールドを有する。
【0034】
グリッド座標302aには、グリッド点を番号付けした座標が格納される。グリッド点位置302bには、該当するグリッド点を(X,Y)座標系で表したときの値が格納される。
【0035】
次に、
図7ないし
図9を用いて作業者の移動軌跡の様子とグリッド点に配置について説明する。
本実施形態では、
図7に示されるように、複数の棚20が設置されている倉庫(
図7では、2行3列で配置)に対して、二次元座標(X,Y)を設定して、作業者の作業位置を時刻情報付きで測定して、測定点50とする。
【0036】
作業者の移動軌跡30(動線)は、
図7に示されるように、本来台車15が停止している場合であっても、様々な方向に小さく移動していたり、瞬間的に遠くに位置情報が示す点が跳ぶなどの様相を示している。これは、倉庫内に多数の棚があるため電波が遮られる、あるいは反射するなどにより測定情報に誤り(ノイズ)が混入するためであると考えられる。本実施形態の移動体情報解析装置の処理は、これらの測定情報に誤りを取り除き、台車の位置情報を補正して、作業者の行った移動を解析するための理想的な移動軌跡を導くものである。
【0037】
また、本実施形態では、
図8に示されるように、X軸、Y軸に並行にグリッド点を配置し、グリッド点40の座標で測定した作業者の位置を最寄りのグリッド点の座標に置き換えて、近似するようにする。これは、
図7に示したように作業者の移動軌跡がノイズの影響によりゆらいでいるようにみえるため、そのような作用を取り除けるようにするためである。
【0038】
グリッド点は、作業者10のピッキング作業による移動軌跡を考慮して、棚20の正面(作業者10のピッキング作業により棚20をアクセスする面)に設置する。また、通路の場合には、通路の幅の中間点に設置する。通路が広く台車15が複数通る可能性がある場合には、
図9の示されるように、通路に複数のグリッド点の並びを配置する。ここで、移動軌跡60aは、台車Aが動いた軌跡であり、移動軌跡60bは、別の台車Bが動いた軌跡であり、このように同じ通路であっても、その位置によって区別して取り扱うことができる。すなわち、
図9に示されるように、台車15が互いに回避動作や追い越し動作をする場合に、通路に複数のグリッド点の並びを配置することが特に有効であり、各々の移動した測定点を近似するグリッド点を異なったものにすることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、
図6に示したグリッド情報テーブルにより、グリッド点を定義しているが、位置座標を引数として、最寄りのグリッド点を与える関数を定義することにより、グリッド点に関する情報を与えるようにしてもよい。
【0040】
次に、
図10ないし
図16を用いて移動体情報解析装置の行う処理について説明する。
【0041】
先ず、
図10を用いて移動体情報解析装置の位置算出から移動距離算出までの一連の処理について説明する。
先ず、複数の固定通信装置200は、ネットワーク5を介して、移動体情報解析装置100に求めようとする台車IDに対応する移動通信装置210に関する通信情報を送信し、移動体情報解析装置100は、その移動通信装置210に関する通信情報に基づいて、移動通信装置210の位置(作業位置)を算出し(S01)、
図7に示した倉庫のレイアウト内のX座標、Y座標の形式で、
図4の位置情報テーブル300の位置300dに格納する。そのときに、測定日付・時刻も、日付300b、時刻300cに格納する。
【0042】
次に、移動体情報解析装置100は、S01で求められた位置の測定点に対して、その間の距離を時間差で割り、移動速度を算出する(S02)。
次に、移動体情報解析装置100は、速度チェック判定処理を行う(S03)。
【0043】
ここで、
図11を用いて速度チェック判定処理の詳細について説明する。
速度チェック判定処理では、先ず、移動速度を取得し(S100)、その移動速度が、例えば、時速6km/h以下か否かを判定し(S101)、その移動速度が、例えば、時速6km/h以下のときには(S101:YES)、作業者が台車を押して歩行していると判断して、移動速度に係る二点の内の先の測定点をノイズではないとし、時速6km/h以下でないときには(S101:NO)、移動速度に係る二点の内の先の測定点をノイズであると判断して、該当する位置情報テーブル300のレコードを削除する(S102)。
【0044】
ここで、この閾値の値は、一般的なスポーツジムのトレーニングマシンにおいて、時速6km/hをジョギングとしているためであり、この速度より速い速度で荷物を積んだ台車を動かすことは考えにくいためである。
【0045】
例えば、
図12に示すように、測定点が(1)点〜(4)点であるとし、(1)点→(2)点の移動速度が、10km/hであるとすると、移動速度に係る二点の内の先の測定点である(2)点をノイズとして除去する。
【0046】
次に、移動体情報解析装置100は、グリッド点近似処理を行い(S04)、測定点示す位置300dの値に関して、最寄りのグリッド点の座標位置に置き換える。すなわち、
図6に示したグリッド情報テーブル302の該当するグリッド点位置302の値により、位置情報テーブル300の位置300dを置き換える。これによって、後に行う移動距離の算出では、移動経路がジグザグにならず真っ直ぐになって、細かなノイズのゆらぎの効果が無視できるようになり、精度が高く移動距離の算出が行えるようになる。
【0047】
例えば、
図12に示すように、測定点が(1)点〜(8)点であるとし、グリッド点がg1点〜g8点あるとする。このとき、例えば、(6)点、(7)点は、グリッド点g7点の近傍にあるため、その座標をグリッド点g7点のグリッド点の座標位置に置き換える。
【0048】
また、
図9で示したように、通路に複数列のグリッドの並びを置き、通路の両サイドにある棚からのピッキング状況の確認や、同時間帯の複数の台車のすれ違いや追い越しなどの退避行動を記録することもでき、運用改善の検証に用いることができる。本実施形態では、位置情報をUWBを用いて取得しているため、台車が静止していても、位置情報の値は変化していく課題がある。そこで、グリッド点近くの細かな位置情報の誤りを、グリッド点近似部113により、グリッドに寄せることで低減することができる。
【0049】
次に、移動体情報解析装置100は、重複点除去処理を行う(S05)。すなわち、該当する位置情報テーブル300のレコードを削除する。これは、S04の処理の結果、複数の位置が重複した測定点を整理し、その位置の到着した測定点と、出発した測定点の情報のみを残す処理である。すなわち、その座標に到着した時刻とその座標から出発した時刻は保持される。
【0050】
例えば、
図14に示すように、測定点が(1)点〜(8)点であるとし、測定点(2)点〜(7)点に重複が生じているとすると、到着した測定点(2)点、出発した測定点(7)点のみ残し、測定点(3)点〜(6)点は、削除される。
【0051】
なお、このように、その位置の到着した測定点と出発した測定点の情報のみ残すのは、次の動線振動除去処理で、その測定点でループした移動軌跡に関する測定点をノイズとして削除する可能性があるからである。
【0052】
次に、移動体情報解析装置100は、動線振動除去処理を行う(S06)。これは、所定の時間内に近距離を往復したり、近距離を周回したりした場合、測定の誤りによるノイズとみなし、その測定点を削除する処理である。これは、ノイズの大きさにより、台車が隣りのグリッド点程度の距離程度に移動したように見えることあることに起因するものである。
【0053】
それを取り除くため、動線振動除去処理では、時系列で一定の範囲の位置の測定点を切り出し、所定の短い時間(例えば、3分間)に、測定点として同じ位置が多く占める場合(その測定点を、「基点」という)に、その地点から一時的に所定時間に対して移動距離が所定比以上動いたとみなされる測定点をノイズとみなして削除する。これは、基点を中心としての反復や周回は、ノイズの影響によると考えられるからである。
【0054】
例えば、5m離れた位置を2往復したという測定結果の場合には、この間の時間が3分以内のときはノイズと判断する。これは荷物を積んだ台車を何度も短時間に往復させることは考えにくいからである。一方、3分以上の場合は、ピッキング伝票がそのように記載されていた可能性があり、実際にピッキングした可能性があるので、その測定点を残すようにする。
【0055】
例えば、
図15に示すように、測定点として(1)点、(2)点、(4)点、(7)点が同じ座標位置であり、移動軌跡が、(1)点→(2)点→(3)点→(4)点、(4)点→(5)点→(6)点→(7)点であるとする。
【0056】
このとき、(1)点、(2)点、(4)点、(7)点が同じ座標点(基点)として、四つあり、(3)点、(5)点、(6)点は、一時的に移動したように見える点である。ここで、測定点の7点のうち過半数の四点が同じ座標点であり、測定点の(1)点と(7)点の時間差が三分以内であり、(2)点→(3)点→(4)点→(5)点→(6)点→(7)点の距離がかかった時間差に対して所定比以上大きい距離である場合には、短時間に移動した可能性は低い(すなわち、ノイズによる)とみなして、(3)点、(5)点、(6)点を削除する。一方、測定点の(1)点と(7)点の時間差が三分以上であるとすると、実際に台車が移動した可能性があるので、(3)点、(5)点、(6)点は削除されない。
【0057】
この動線振動除去処理は、S03の移動速度判定処理に考え方は類似しているが、実際には狙いは異なったものである。動線振動除去処理は、S04のグリッド点近似処理、S05の重複点除去処理の後に行われるために、それにより生じた副作用を取り除くという意味がある。すなわち、S04のグリッド点近似処理によりノイズが強まる例も存在する。そのような例として、グリッド点と他のグリッド点の中間に測定点がくるような場合がある。このとき、S04のグリッド点近似処理で各グリッドに寄せると、双方のグリッド点の間を何度も往復したように配置される問題は、この動線振動除去処理により解決される。
【0058】
例えば、
図16(a)に示されるように、グリッド点g1点、グリッド点g2点の間に、台車があるときに、測定の誤りにより、
図16(b)のように、(11)点、(12)点、(21)点、(22)点、(13)点、(14)点が、測定点として計測され、(11)点→(12)点→(21)点→(22)点→(13)点→(14)点のように移動軌跡が描かれたとする。
【0059】
このとき、
図16(c)のように、グリッド点近似処理で、(11)点、(12)点、(13)点、(14)点は、グリッド点g1点に近似処理され、(21)点、(22)点は、グリッド点g1点に近似処理される。そして、これらの(11)点と(14)点の時間差は、ほとんどないと仮定すると、この動線除去処理により、
図16(d)に示されるように、(21)点、(22)点は、削除され、最終的に、
図16(e)のように、(11)点のみ残るようになる。
【0060】
次に、移動体情報解析装置100は、移動距離算出処理を行う(S07)。これは、該当する台車ID300aに関する各々の位置300dの座標で与えられる点を直線で結び、その線分の長さを合算し、移動した距離として算出する処理である。
【0061】
このように、各台車15での移動距離を算出し、統計データとすることにより、倉庫における作業改善の資料とすることができる。例えば、ピッキング作業を行うにあたっては、移動距離が短い方が能率がいいと言う観点から、ピッキング効率αとし、α=(1日のピッキング品目数)/(1日の移動距離)とし、αができるだけ大きくなるように、棚20における商品25の最適配置や、ピッキングする際の作業者に対する指示書の最適計画を立案することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、グリッド点は、倉庫内における部品を取り出すときの棚の正面または通路に設置したが、例えば、最終需要者の位置を検出しようとするときには、ショッピングモールにおける商店の前、食品スーパー、ホームセンター、家具屋等であれば売り場の前など、一定時間以上滞留しうる場所において、商品や棚などにアクセスできる方向に設置すればよい。
【0063】
また、本実施形態では、ノイズと判定される測定点を消去するのに、該当する位置情報テーブルのレコードを削除するとしたが、別途ノイズを判定するためのフラグを記述するフィールドを設けて、それにノイズであることを設定して、移動距離を求める際には、ノイズと判定されたレコードを含めないようにして、移動距離を算出するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、測定点をグリッド点の位置に置き換える場合には、位置300dに該当するグリッド点の(X,Y)座標を上書きしたが、別のフィールドを設けて、そこにグリッド座標の値を保持するようにしてもよい。
【0065】
以上述べてきたように、本実施形態の移動体情報解析システムでは、電波の測定による位置情報システム出力結果が、電波が棚や商品により遮蔽・反射することにより、揺らいだり誤った位置として出力される状況下で、グリッド点のレイアウトを導入し、ノイズを取り除くという補正を行い、計測対象となる物の移動距離の測定結果の精度を上げることができる。