特開2021-30769(P2021-30769A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-30769(P2021-30769A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】ハブユニット軸受
(51)【国際特許分類】
   B60B 35/02 20060101AFI20210201BHJP
   B60B 35/16 20060101ALI20210201BHJP
   F16C 33/58 20060101ALI20210201BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20210201BHJP
【FI】
   B60B35/02 L
   B60B35/16 E
   F16C33/58
   F16C19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-150123(P2019-150123)
(22)【出願日】2019年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河井 慎
(72)【発明者】
【氏名】金子 吉男
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA03
3J701AA32
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA54
3J701BA57
3J701BA77
3J701DA09
3J701EA01
3J701FA15
3J701FA44
3J701GA03
(57)【要約】
【課題】鍛造加工の際に、回転部材の外形の成形性を良好に確保しやすく、かつ、ねじ孔の軸方向長さを十分に確保することができる構造を実現する。
【解決手段】回転フランジ7は、本体部分6の外周面の円周方向複数箇所から径方向外側に向けてそれぞれ延出する複数個の厚肉部13と、本体部分6の外周面のうち、厚肉部13の基端部が接続された部分から円周方向に外れた部分から径方向外側に向けて延出する少なくとも1個の中肉部14と、円周方向に隣り合う、厚肉部13同士、および/または、厚肉部13と中肉部14との間にかけ渡されるように存在する薄肉部15とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面または内周面に、複列の静止側軌道を有する静止部材と、
内周面と外周面とのうち、前記複列の静止側軌道に対向する周面に、複列の回転側軌道を有する本体部分と、該本体部分の外周面から径方向外側に向けて突出し、かつ、車輪を構成するホイールおよび制動用回転体を支持固定するための複数個の取付孔、並びに、前記制動用回転体を支持するためのねじが螺合される少なくとも1個のねじ孔を有する回転フランジとを有する、鍛造品である回転部材と、
前記複列の静止側軌道と前記複列の回転側軌道との間に転動自在に配置された複数個の転動体とを備え、
前記回転フランジは、前記本体部分の外周面の円周方向複数箇所から径方向外側に向けてそれぞれ延出する複数個の厚肉部と、前記本体部分の外周面のうち、前記厚肉部の基端部が接続された部分から円周方向に外れた部分から径方向外側に向けて延出する少なくとも1個の中肉部と、円周方向に隣り合う、前記厚肉部同士、および/または、前記厚肉部と前記中肉部との間にかけ渡されるように存在する薄肉部とを有し、
前記複数個の取付孔のそれぞれは、前記厚肉部に形成されており、
前記少なくとも1個のねじ孔は、前記中肉部に形成されている、
ハブユニット軸受。
【請求項2】
前記ねじ孔は、該ねじ孔に螺合されるねじの呼び径と、該ねじ孔の内周面に形成された雌ねじ溝の3ピッチ分の長さのうち、短い方の寸法以上の軸方向長さを有する、請求項1に記載のハブユニット軸受。
【請求項3】
前記静止部材は、1対の内輪から構成され、かつ、前記複列の静止側軌道のそれぞれは、前記1対の内輪のそれぞれの外周面に備えられた内輪軌道により構成されており、および、
前記回転部材は、前記本体部分と前記回転フランジとを備える外方部材により構成され、かつ、前記複列の回転側軌道は、前記外方部材の内周面に備えられた複列の外輪軌道により構成される、請求項1または2に記載のハブユニット軸受。
【請求項4】
前記静止部材は、外輪により構成され、かつ、前記複列の静止側軌道は、前記外輪の内周面に備えられた複列の外輪軌道により構成されており、および、
前記回転部材は、ハブにより構成され、かつ、前記複列の回転側軌道は、前記ハブの外周面に備えられた複列の内輪軌道により構成される、請求項1または2に記載のハブユニット軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車輪および制動用回転体を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪および制動用回転体は、ハブユニット軸受により懸架装置に対して回転自在に支持される。図9および図10は、特開2007−307933号公報(特許文献1)に記載された、ハブユニット軸受100を示している。ハブユニット軸受100は、1対の内輪101a、101bと、外方部材102と、複数個の転動体103とを備える。
【0003】
1対の内輪101a、101bのそれぞれは、外周面に、アンギュラ型の内輪軌道104a、104bを有し、かつ、互いの小径側端面同士を突き合せるようにして、図示しない車軸(固定軸)に締り嵌めで外嵌固定(圧入)される。
【0004】
外方部材102は、内周面に複列の外輪軌道105a、105bを有する本体部分106と、該本体部分106の外周面から径方向外側に向けて突出し、かつ、複数個(図示の例では5個)の取付孔107および複数個(図示の例では2個)のねじ孔108を有する回転フランジ109とを備える。
【0005】
取付孔107のそれぞれは、回転フランジ109の軸方向内側面の円周方向等間隔複数箇所を膨出させてなる厚肉盛部110が存在する部分に形成されている。
【0006】
ねじ孔108のそれぞれは、回転フランジ109のうち、厚肉盛部110が存在する部分から円周方向に外れた位置に存在する薄肉部111に形成されている。図示の例では、ねじ孔108の軸方向内側の端部を囲むように、該ねじ孔108の容積とほぼ同じ体積を有する薄肉盛部112が形成されている。これにより、回転フランジ109の円周方向に関する重量バランスを良好に保ち、かつ、ねじ孔108の軸方向長さを確保している。
【0007】
なお、ハブユニット軸受100に関して、軸方向内側とは、自動車に組みつけた状態での車両の幅方向中央側(図9の右側)をいい、軸方向外側とは、自動車に組みつけた状態での車両の幅方向外側(図9の左側)をいう。
【0008】
転動体103は、複列の内輪軌道104a、104bと複列の外輪軌道105a、105bとの間に、列ごとに複数個ずつ、転動自在に配置されている。
【0009】
ディスクやドラムなどの制動用回転体113、および、車輪を構成するホイール114を回転フランジ109に対し結合固定するためのスタッド115は、基端部を、取付孔107のそれぞれに圧入されている。
【0010】
制動用回転体113は、円周方向等間隔複数箇所に備えられた通孔116に、スタッド115の中間部を挿入し、かつ、円周方向複数箇所に備えられた小通孔117を挿通したねじ118を、回転フランジ109のねじ孔108に螺合しさらに締め付けている。これにより、次述するように、スタッド115の先端部に備えられた雄ねじ部を、ホイール114の通孔119に挿通し、かつ、該雄ねじ部に、図示しないホイールナットを螺合する以前の状態でも、制動用回転体113が回転フランジ109から分離することを防止している。
【0011】
ホイール114は、円周方向等間隔複数箇所に備えられた通孔119に、スタッド115の先端部に備えられた雄ねじ部を挿通し、かつ、該雄ねじ部にホイールナットを螺合することにより、回転フランジ109に結合固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−307933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特開2007−307933号公報に記載のハブユニット軸受100は、外方部材102の外形を鍛造加工により成形する際の材料の流れを良好にして、成形性を確保する面からは改良の余地がある。
【0014】
回転フランジ109は、軸方向内側面のうち、ねじ孔108の軸方向内側の端部を囲む部分に薄肉盛部112を有する。このために、外方部材102の外形を鍛造加工により成形する際に、回転フランジ109の軸方向内側面のうち、ねじ孔108の軸方向内側の端部が開口する部分を含む部分に、軸方向内側から見て円形の膨出形状を有する素薄肉盛部を形成する。外方部材102の外形を鍛造加工により成形した後、切削加工により、軸方向内側の端部が、素薄肉盛部の中央部に開口する円孔を形成する。この際、回転フランジ109の軸方向内側面のうち、前記円孔の軸方向内側の端部(開口部)の周囲に残った部分が薄肉盛部112を構成する。その後、前記円孔の内周面に転造タップ加工を施すことにより、該円孔をねじ孔108に加工する。
【0015】
上述のように、特開2007−307933号公報に記載の構造では、外方部材102の外形を鍛造加工により成形する際に、回転フランジ109の軸方向内側面に、軸方向内側から見て円形の膨出形状を有する(島状の)素肉盛部を形成する必要がある。ここで、回転フランジ109は、鍛造加工の際に、円柱状の中間素材(ビレット)の端部近傍の肉を、径方向外側に向けて流動させることで成形される。このため、回転フランジ109の内側面に島状の素肉盛部が存在すると、金属材料の流れが悪くなり、成形性が低下する可能性がある。
【0016】
なお、図9および図10に示した、特開2007−307933号公報に記載のハブユニット軸受100は、回転フランジ109の取付孔107に軸方向内側から圧入したスタッド115により、制動用回転体113およびホイール114を回転フランジ109に支持固定している。これに対し、ホイールおよび制動用回転体のそれぞれに備えられた通孔に、軸方向外側から挿通したハブボルトを、回転フランジの取付孔(雌ねじ孔)に螺合しさらに締め付けることにより、ホイールおよび制動用回転体を回転フランジに対し結合固定するハブユニット軸受も存在する。このようなハブボルトを使用するハブユニット軸受では、ホイールを回転フランジに結合固定する以前の状態において、制動用回転体が回転フランジから分離するのを防止することが望ましい。このためには、回転フランジに、制動用回転体を固定するためのねじ孔を形成することが必須であり、さらに、支持力を十分に確保するために、ねじ孔の軸方向長さを十分に確保する必要がある。このように、ハブボルトを使用するハブユニット軸受では、ねじ孔の軸方向内側の端部の周囲を含む部分に、肉盛部を形成することの必要性が高く、上述の問題が顕著になりやすい。
【0017】
本発明は、上述のような事情を鑑みて、鍛造加工の際に、回転部材の外形の成形性を良好に確保しやすく、かつ、ねじ孔の軸方向長さを十分に確保することができる、ハブユニット軸受の構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のハブユニット軸受は、静止部材と、回転部材と、複数個の転動体とを備える。
前記静止部材は、外周面または内周面に、複列の静止側軌道を有する。
前記回転部材は、内周面と外周面とのうち、前記複列の静止側軌道に対向する周面に、複列の回転側軌道を有する本体部分と、該本体部分の外周面から径方向外側に向けて突出し、かつ、車輪を構成するホイールおよび制動用回転体を支持固定するための複数個の取付孔、並びに、前記制動用回転体を支持するためのねじが螺合される少なくとも1個(、好ましくは2個以上)のねじ孔を有する回転フランジとを有する、鍛造品である。なお、前記取付孔のそれぞれは、たとえば、前記ホイールおよび前記制動用回転体を支持固定するための結合部材であるスタッドが挿通される通孔により構成することができる。または、前記取付孔のそれぞれは、結合部材であるハブボルトが螺合される雌ねじ孔により構成することができる。
前記複数個の転動体は、前記複列の静止側軌道と前記複列の回転側軌道との間に転動自在に配置されている。
前記回転フランジは、前記本体部分の外周面の円周方向複数箇所から径方向外側に向けてそれぞれ延出する複数個の厚肉部と、前記本体部分の外周面のうち、前記厚肉部の基端部が接続された部分から円周方向に外れた部分から径方向外側に向けて延出する少なくとも1個の中肉部と、円周方向に隣り合う、前記厚肉部同士、および/または、前記厚肉部と前記中肉部との間にかけ渡されるように存在する薄肉部とを有する。
前記複数個の取付孔のそれぞれは、前記厚肉部に形成されている。
前記少なくとも1個のねじ孔は、前記中肉部に形成されている。
【0019】
前記ねじ孔は、該ねじ孔に螺合されるねじの呼び径と、該ねじ孔の内周面に形成された雌ねじ溝の3ピッチ分の長さのうち、短い方の寸法以上の軸方向長さを有することが好ましい。
【0020】
本発明の第1の態様では、
前記静止部材は、1対の内輪から構成され、かつ、前記複列の静止側軌道のそれぞれは、前記1対の内輪のそれぞれの外周面に備えられた内輪軌道により構成されており、および、
前記回転部材は、前記本体部分と前記回転フランジとを備える外方部材により構成され、かつ、前記複列の回転側軌道は、前記外方部材の内周面に備えられた複列の外輪軌道により構成されることができる。
【0021】
本発明の第2の態様では、
前記静止部材は、外輪により構成され、かつ、前記複列の静止側軌道は、前記外輪の内周面に備えられた複列の外輪軌道により構成されており、および、
前記回転部材は、ハブにより構成され、かつ、前記複列の回転側軌道は、前記ハブの外周面に備えられた複列の内輪軌道により構成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のハブユニット軸受によれば、鍛造加工の際に、回転部材の外形の成形性を良好に確保しやすく、かつ、ねじ孔の軸方向長さを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1態様の実施の形態の第1例に係るハブユニット軸受を、軸方向内側から見た端面図である。
図2図2は、図1のX−O−X断面図である。
図3図3は、本発明の第1態様の実施の形態の第2例に係るハブユニット軸受を示す、図1と同様の図である。
図4図4は、本発明の第1態様の実施の形態の第3例に係るハブユニット軸受を示す、図1と同様の図である。
図5図5は、本発明の第1態様の実施の形態の第4例に係るハブユニット軸受を示す、図1と同様の図である。
図6図6は、本発明の第1態様の実施の形態の第5例に係るハブユニット軸受を示す、図1と同様の図である。
図7図7は、本発明の第1態様の実施の形態の第6例に係るハブユニット軸受を示す、図1と同様の図である。
図8図8は、本発明の第2態様の実施の形態の1例に係るハブユニット軸受を示す、図2と同様の図である。
図9図9は、ハブユニット軸受の従来構造の1例を示す断面図である。
図10図10は、図9の右側から見た端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1態様の実施の形態の第1例]
図1および図2は、本発明の第1態様の実施の形態の第1例を示している。本例のハブユニット軸受1は、外輪回転型の構造を有する。すなわち、ハブユニット軸受1は、1対の内輪2a、2bと、外方部材3と、複数個の転動体4とを備える。
【0025】
1対の内輪2a、2bのそれぞれは、外周面に、アンギュラ型の内輪軌道5a、5bを有する。また、本例では、内輪2a、2bのそれぞれは、円筒状の内周面を有する。内輪2a、2bは、互いの小径側端面同士を突き合せた状態で、内周面に、車軸46(懸架装置を構成するナックルに固定された軸)をがたつきなく内嵌し、かつ、該車軸46のうち、軸方向外側の内輪2aから突出した部分にナット47を螺合し、さらに締め付けることにより該車軸46に支持固定されて、車輪が回転する際にも回転しない。すなわち、本例では、1対の内輪2a、2bが静止部材を構成し、かつ、該1対の内輪2a、2bのそれぞれの外周面に備えられた内輪軌道5a、5bが、複列の静止側軌道のそれぞれを構成する。
【0026】
回転部材である外方部材3は、熱間鍛造品であり、かつ、本体部分6と回転フランジ7とを備える。
【0027】
本体部分6は、内周面に、それぞれがアンギュラ型である、複列の外輪軌道8a、8bを有する。本例では、本体部分6は、略円筒形状を有し、かつ、軸方向外側の端部に、ディスクやドラムなどの制動用回転体23の中心孔25、および、車輪を構成するホイール24の中心孔29を外嵌するためのパイロット部9を有する。
【0028】
回転フランジ7は、本体部分6のうち、軸方向に関して軸方向外側の外輪軌道8aとパイロット部9との間に存在する部分の外周面から径方向外側に向けて突出し、かつ、複数個の取付孔10、および、少なくとも1個、好ましくは2個以上のねじ孔11を有する。
【0029】
取付孔10のそれぞれは、回転フランジ7に対し制動用回転体23およびホイール24を結合固定するための結合部材であるハブボルト12を螺合するねじ孔であって、回転フランジ7を軸方向に貫通している。なお、本例では、取付孔10のそれぞれを、内周面に雌ねじ溝が直接形成された雌ねじ孔としている。あるいは、取付孔10のそれぞれを、スタッド115(図9参照)の基端部が圧入される通孔とすることもできる。また、取付孔10は、回転フランジ7の円周方向等間隔3箇所以上、好ましくは4箇所以上に配置される。取付孔10の個数の上限については特に制限されるものではないが、制動用回転体およびホイールの取り付け作業および取り外し作業の作業性を考慮すると、取付孔10の個数は、8個以下とすることが好ましい。本例では、取付孔10は、円周方向等間隔4箇所に配置されている(位相を90度ずつずらして等間隔に配置されている)。
【0030】
ねじ孔11は、回転フランジ7を軸方向に貫通している。ねじ孔11は、回転フランジ7のうち、取付孔10が存在する部分から円周方向に外れた部分の少なくとも1箇所、好ましくは2箇所以上に配置される。ねじ孔11の個数の上限については特に制限されるものではない。具体的には、例えば、ねじ孔11を取付孔10と同数だけ、円周方向に関して等間隔に配置することで、回転フランジ7の円周方向に関する重量バランスを良好に保つことができる。本例では、ねじ孔11は、径方向反対側2箇所に配置されている。
【0031】
なお、本例では、外方部材3の中心軸に直交する断面内において、取付孔10のそれぞれの中心軸と、ねじ孔11のそれぞれの中心軸とは、外方部材3の中心軸を中心とする同一円上に存在する。ただし、外方部材3の中心軸を中心とし、かつ、取付孔10のそれぞれの中心軸を通る円の直径を、外方部材3の中心軸を中心とし、かつ、ねじ孔11のそれぞれの中心軸を通る円の直径よりも大きくすることもできるし、小さくすることもできる。
【0032】
本例の回転フランジ7は、複数個の厚肉部13と、少なくとも1個(ねじ孔11の個数以上)の中肉部14と、薄肉部15とからなる。
【0033】
厚肉部13は、取付孔10の個数と同数だけ存在し、かつ、本体部分6の外周面の円周方向等間隔複数箇所から径方向外側に向けてそれぞれ(放射状に)延出している。すなわち、本例では、厚肉部13は、本体部分6のうち、軸方向に関して軸方向外側の外輪軌道8aとパイロット部9との間に存在する部分の外周面の円周方向等間隔4箇所から径方向外側に向けてそれぞれ延出している。本例では、厚肉部13は、図1に示すように、軸方向内側から見て略アーチ形の端面形状を有する。すなわち、厚肉部13は、径方向外側部分に、軸方向内側から見て径方向外側に凸となる、第1凸円弧面部16を有する。
【0034】
中肉部14は、ねじ孔11の個数以上(取付孔10の個数以下)の数だけ存在し、かつ、図1にハッチングを付して示すように、本体部分6の外周面のうち、厚肉部13の基端部が接続された部分から円周方向に外れた部分から径方向外側に向けて延出している。本例では、中肉部14は、本体部分6の、軸方向に関して軸方向外側の外輪軌道8aとパイロット部9との間に存在する部分の外周面のうち、厚肉部13の基端部が接続された部分からそれぞれ45度ずつずれた、円周方向等間隔4箇所から径方向外側に向けて延出している。本例では、中肉部14は、軸方向内側から見て略アーチ形の端面形状を有する。すなわち、中肉部14は、径方向外側部分に、軸方向内側から見て径方向外側に凸となる、第2凸円弧面部17を有する。第2凸円弧面部17は、軸方向内側から見て径方向内側に凸となる、凹円弧面部18により、第1凸円弧面部16と滑らかに接続されている(連続している)。
【0035】
薄肉部15は、円周方向に隣り合う厚肉部13と中肉部14との間にかけ渡されるように存在している。
【0036】
本例では、薄肉部15、中肉部14、厚肉部13の順に、軸方向厚さが厚くなる。また、厚肉部13の軸方向外側面と、中肉部14の軸方向外側面と、薄肉部15の軸方向外側面とは、外方部材3の中心軸に直交する同一平面上に存在している。したがって、薄肉部15の軸方向内側面は、中肉部14の軸方向内側面よりも軸方向外側に位置し、かつ、中肉部14の軸方向内側面は、厚肉部13の軸方向内側面よりも軸方向外側に位置している。また、本例では、厚肉部13の外接円直径は、中肉部14の外接円直径よりも大きく、かつ、薄肉部15の外接円直径とほぼ同じである。
【0037】
取付孔10のそれぞれは、厚肉部13のそれぞれを軸方向に貫通するように形成されており、ねじ孔11のそれぞれは、中肉部14のうち、径方向反対側2箇所位置に存在する中肉部14を軸方向に貫通するように形成されている。
【0038】
換言すれば、回転フランジ7は、フランジ本体19と、複数個の厚肉盛部20と、少なくとも1個の薄肉盛部21とからなる。
【0039】
フランジ本体19は、円輪形状を有し、かつ、本体部分6のうち、軸方向に関して軸方向外側の外輪軌道8aとパイロット部9との間に存在する部分の外周面から径方向外方に突出している。
【0040】
厚肉盛部20は、取付孔10の個数と同数だけ存在する。厚肉盛部20は、フランジ本体19の軸方向内側面の円周方向等間隔複数箇所に、軸方向内側に向けて膨出し(盛り上がり)、かつ、径方向に伸長するように(放射状に)形成されている。すなわち、本例では、厚肉盛部20は、フランジ本体19の軸方向内側面の円周方向等間隔4箇所に、軸方向内側に向けて膨出し、かつ、径方向に伸長するように形成されている。厚肉盛部20のそれぞれの径方向内側の端部は、本体部分6の外周面に接続されている。
【0041】
薄肉盛部21は、ねじ孔11の個数以上(取付孔10の個数以下)の数だけ存在する。薄肉盛部21は、フランジ本体19の軸方向内側面のうち、厚肉盛部20が存在する部分から円周方向に外れた部分に、軸方向内側に向けて膨出するように形成されている。本例では、薄肉盛部21は、フランジ本体19の軸方向内側面のうち、厚肉盛部20が存在する部分から45度ずつずれた、円周方向等間隔4箇所に、軸方向内側に向けて膨出するように形成されている。薄肉盛部21のそれぞれの径方向内側の端部は、本体部分6の外周面に接続されている。
【0042】
取付孔10のそれぞれは、フランジ本体19の軸方向外側面と、厚肉盛部20の軸方向内側面とに開口するように、軸方向に形成されている。ねじ孔11のそれぞれは、フランジ本体19の軸方向外側面と、薄肉盛部21のうち、径方向反対側2箇所位置に存在する薄肉盛部21の軸方向内側面とに開口するように、軸方向に形成されている。
【0043】
上述のような外方部材3を造る際には、まず、中炭素鋼などの硬質金属材料製の棒鋼を切断し、円柱状の中間素材(ビレット)を得る。そして、この中間素材に鍛造加工を施して、外方部材3の外形を成形する。すなわち、硬質金属材料製で円筒状の中間素材を1対の金型同士の間で軸方向に押し潰して、中間素材を構成する材料を、該中間素材の軸方向中間部外周面から径方向外側に向けて流動させることにより、回転フランジ7を成形する。次に、回転フランジ7の厚肉部13のそれぞれに、取付孔10の下穴を切削加工により形成し、かつ、中肉部14のうち、径方向反対側2箇所に存在する中肉部14に、ねじ孔11の下穴を切削加工により形成する。次いで、取付孔10の下穴の内周面と、ねじ孔11の下穴の内周面とに、切削加工または転造加工によりねじ溝を形成する。また、外輪軌道8a、8bや、その他必要とする部分に、研削加工や熱処理などを施して、外方部材3を得る。
【0044】
転動体4のそれぞれは、複列の内輪軌道5a、5bと複列の外輪軌道8a、8bとの間に、それぞれ複数個ずつ、保持器22a、22bにより保持された状態で、回転自在に配置されている。これにより、外方部材3は、1対の内輪2a、2bの周囲に回転自在に支持されている。すなわち、本例では、外方部材3が回転部材を構成し、かつ、複列の外輪軌道8a、8bが複列の回転側軌道を構成する。なお、図示の例では、転動体4として玉を使用しているが、円すいころを使用することもできる。
【0045】
ディスクやドラムなどの制動用回転体23、および、車輪を構成するホイール24は、ハブユニット軸受1のうち、外方部材3の回転フランジ7に支持固定される。
【0046】
制動用回転体23は、中心孔25と、円周方向等間隔複数箇所(図示の例では4箇所)に形成された通孔26と、該通孔26から円周方向に外れた部分(図示の例では径方向反対側2箇所)に形成された小通孔27とを備える。制動用回転体23は、中心孔25を、外方部材3のパイロット部9に外嵌し、かつ、小通孔27を挿通したねじ28を、回転フランジ7のねじ孔11に螺合しさらに締め付けることで、該回転フランジ7に支持されている。これにより、次述するように、ホイール24の通孔30と制動用回転体23の通孔26とに挿通したハブボルト12を、回転フランジ7の取付孔10に螺合する以前の状態においても、制動用回転体23が回転フランジ7から分離することを防止している。
【0047】
なお、ねじ孔が複数個存在する場合、必ずしもすべてのねじ孔に、制動用回転体の小通孔を挿通したねじを螺合する必要はない。すなわち、制動用回転体が回転フランジから分離することを防止できれば、少なくとも1個(、好ましくは2個)のねじ孔に、制動用回転体の小通孔を挿通したねじを螺合すれば足りる。
【0048】
ホイール24は、中心孔29と、円周方向等間隔複数箇所(図示の例では4箇所)に形成された通孔30とを備える。ホイール24は、中心孔29を、外方部材3のパイロット部9に外嵌し、かつ、通孔30と、制動用回転体23の通孔26とに、軸方向外側から挿通したハブボルト12の先端部に備えられた雄ねじ部を、回転フランジ7の取付孔10に螺合しさらに締め付けることで、該回転フランジ7に支持固定されている。
【0049】
本例のハブユニット軸受1では、制動用回転体23の小通孔27を挿通したねじ28を螺合するためのねじ孔11が、回転フランジ7のうち、薄肉部15よりも軸方向厚さが厚い中肉部14に備えられている。換言すれば、フランジ本体19の軸方向内側面に、軸方向内側に向けて膨出するように形成された薄肉盛部21の軸方向内側面に、ねじ孔11の軸方向内側の端部が開口している。このため、ねじ孔11の軸方向長さを十分に、具体的には、ねじ孔11に螺合されるねじ28の呼び径と、ねじ孔11の内周面に形成された雌ねじ溝の3ピッチ分の長さとのうち、短い方の寸法以上の軸方向長さを、確保することができる。このため、ねじ28による回転フランジ7に対する制動用回転体23の支持力を十分に確保することができる。
【0050】
さらに、本例では、ねじ孔11が配置された中肉部14は、外方部材3の本体部分6の外周面から径方向外側に向けて放射状に延出している。換言すれば、ねじ孔11の軸方向内側の端部がその軸方向内側面に開口した薄肉盛部21の径方向内側の端部は、外方部材3の本体部分6の外周面に接続されている。このため、ねじ孔11を備える部分の軸方向厚さを厚くしても、外方部材3の外形を鍛造加工により成形すべく、硬質金属材料製で円筒状の中間素材を1対の金型同士の間で軸方向に押し潰して、中間素材の軸方向端部近傍の材料を、径方向外側に向けて流動させることにより、回転フランジ7を成形する際に、該外方部材3を構成する金属材料の流れが悪くなるのを防止することができる。したがって、外方部材3の成形性を良好に確保することができる。
【0051】
[第1態様の実施の形態の第2例]
図3は、本発明の第1態様の実施の形態の第2例を示している。本例は、第1態様の実施の形態の第1例の変形例である。本例のハブユニット軸受1aでは、外方部材3aの回転フランジ7aは、ねじ孔11が存在する部分にのみ、中肉部14を有する。すなわち、回転フランジ7aは、4個の厚肉部13と、1対の中肉部14と、薄肉部15aとからなる。厚肉部13のそれぞれは、本体部分6の外周面の円周方向等間隔4箇所から径方向外側に向けて放射状に延出している。中肉部14のそれぞれは、本体部分6の外周面のうち、厚肉部13の基端部が接続された部分から円周方向に外れた径方向反対側2箇所から径方向外側に向けて延出している。薄肉部15aは、円周方向に隣り合う、厚肉部13同士の間、および、厚肉部13と中肉部14との間にかけ渡されるように存在している。
【0052】
本例によれば、回転フランジ7aは、ねじ孔11が存在する部分にのみ中肉部14を有し、ねじ孔11が存在しない部分には中肉部14を有しないため、第1態様の実施の形態の第1例に比べて、ハブユニット軸受1aを軽量化することができる。その他の部分の構成および作用効果は、第1態様の実施の形態の第1例と同様である。
【0053】
[第1態様の実施の形態の第3例]
図4は、本発明の第1態様の実施の形態の第3例を示している。本例は、第1態様の実施の形態の第1例の変形例である、第1態様の実施の形態の第2例のさらなる変形例である。本例のハブユニット軸受1bでは、外方部材3bの回転フランジ7bは、薄肉部15bのうち、ねじ孔11からそれぞれ90度位相がずれた径方向反対側2箇所に軽減孔32を有する。このため、本例によれば、実施の形態の第2例に比べて、ハブユニット軸受1bをさらに軽量化することができる。その他の部分の構成および作用効果は、第1態様の実施の形態の第1例および第2例と同様である。
【0054】
[第1態様の実施の形態の第4例]
図5は、本発明の第1態様の実施の形態の第4例を示している。本例のハブユニット軸受1cでは、外方部材3cの回転フランジ7cが有する取付孔10の数を、実施の形態の第1例のハブユニット軸受1と異ならせている。具体的には、本例の回転フランジ7cは、5個の取付孔10を有する。このために、回転フランジ7cは、それぞれ5個ずつの厚肉部13aおよび中肉部14aと、薄肉部15cとからなる。厚肉部13aのそれぞれは、外方部材3cの本体部分6の外周面の円周方向等間隔5箇所から径方向外側に向けて放射状に延出している。中肉部14aのそれぞれは、本体部分6の外周面のうち、厚肉部13の基端部が接続された部分から円周方向に外れた部分から径方向外側に向けて延出している。薄肉部15cは、円周方向に隣り合う厚肉部13aと中肉部14aとの間にかけ渡されるように存在している。
【0055】
取付孔10のそれぞれは、厚肉部13aのそれぞれを軸方向に貫通するように形成されている。ねじ孔11のそれぞれは、中肉部14aのうち、径方向略反対側2箇所位置に存在する、具体的には、円周方向に関する位相が互いに144度ずれた位置に存在する中肉部14aを軸方向に貫通するように形成されている。その他の部分の構成および作用効果は、第1態様の実施の形態の第1例と同様である。
【0056】
[第1態様の実施の形態の第5例]
図6は、本発明の第1態様の実施の形態の第5例を示している。本例は、第1態様の実施の形態の第4例の変形例である。本例のハブユニット軸受1dでは、外方部材3dの回転フランジ7dは、ねじ孔11が存在する部分にのみ、中肉部14aを有する。すなわち、回転フランジ7dは、5個の厚肉部13aと、1対の中肉部14aと、薄肉部15dとからなる。厚肉部13aのそれぞれは、本体部分6の外周面の円周方向等間隔5箇所から径方向外側に向けて放射状に延出している。中肉部14aのそれぞれは、本体部分6の外周面のうち、厚肉部13aの基端部が接続された部分から円周方向に外れた部分の径方向略反対側2箇所、具体的には、円周方向に関する位相が互いに144度ずれた位置から径方向外側に向けて延出している。薄肉部15dは、円周方向に隣り合う、厚肉部13a同士の間、および、厚肉部13aと中肉部14aとの間にかけ渡されるように存在している。
【0057】
本例によれば、回転フランジ7dは、ねじ孔11が存在する部分にのみ中肉部14aを有し、ねじ孔11が存在しない部分には中肉部14aを有しないため、第1態様の実施の形態の第4例に比べて、ハブユニット軸受1dを軽量化することができる。その他の部分の構成および作用効果は、第1態様の実施の形態の第1例および第4例と同様である。
【0058】
[第1態様の実施の形態の第6例]
図7は、本発明の第1態様の実施の形態の第6例を示している。本例は、第1態様の実施の形態の第4例の変形例である、第1態様の実施の形態の第5例のさらなる変形例である。本例のハブユニット軸受1eでは、外方部材3eの回転フランジ7eは、薄肉部15eのうち、取付孔10からそれぞれ36度位相がずれた部分で、かつ、ねじ孔11が存在しない円周方向3箇所位置に軽減孔32aを有する。このため、本例によれば、第1態様の実施の形態の第5例に比べて、ハブユニット軸受1eをさらに軽量化することができる。その他の部分の構成および作用効果は、第1態様の実施の形態の第1例、第4例および第5例と同様である。
【0059】
[第2態様の実施の形態の1例]
図8は、本発明の第2態様の実施の形態の1例を示している。本例は、いわゆる内輪回転型の構造に本発明を適用した例である。本例のハブユニット軸受1fは、外輪33と、ハブ34と、複数個の転動体4aとを備える。
【0060】
外輪33は、内周面に、それぞれがアンギュラ型である、複列の外輪軌道8c、8dを有し、かつ、軸方向中間部に、径方向外側に向けて突出した静止フランジ35を有する。静止フランジ35は、円周方向複数箇所に、軸方向に貫通するように形成された支持孔36を有する。外輪33は、静止フランジ35の支持孔36を挿通した、図示しないボルトにより、懸架装置に対し支持固定され、車輪が回転する際にも回転しない。すなわち、本例では、外輪33が静止部材を構成し、かつ、複列の外輪軌道8c、8dが複列の静止側軌道を構成する。
【0061】
ハブ34は、本体部分6aと回転フランジ7fとを備える。
【0062】
本体部分6aは、外周面に、それぞれがアンギュラ型である、複列の内輪軌道5c、5dを有する。本例では、本体部分6aは、略円筒形状を有し、かつ、軸方向外側の端部に、ディスクやドラムなどの制動用回転体23aの中心孔25a、および、車輪を構成するホイール24aの中心孔29aを外嵌するためのパイロット部9aを有する。また、本体部分6aは、中心部に、軸方向に貫通するように形成されたスプライン孔37を有する。スプライン孔37には、図示しない等速ジョイントのスプライン軸(駆動軸)がスプライン係合される。すなわち、本例のハブユニット軸受1fは、駆動輪用の構造を有する。ただし、本発明のハブユニット軸受は、ハブが中実の従動輪用の構造に適用することもできる。いずれにしても、本例では、ハブ34が回転部材を構成し、かつ、複列の内輪軌道5c、5dが複列の回転側軌道を構成する。
【0063】
回転フランジ7fは、本体部分6aのうち、軸方向に関して軸方向外側の内輪軌道5cとパイロット部9aとの間に存在する部分の外周面から径方向外方に突出し、かつ、複数個の取付孔10aおよび少なくとも1個のねじ孔11aを有する。
【0064】
取付孔10aのそれぞれは、回転フランジ7fに対し制動用回転体23aおよびホイール24aを結合固定するための結合部材であるスタッド44を圧入するための圧入孔であって、回転フランジ7fを軸方向に貫通している。ただし、取付孔10aのそれぞれを、ハブボルト12(図2参照)を螺合するためのねじ孔とすることもできる。取付孔10aは、回転フランジ7fの円周方向等間隔3箇所以上、好ましくは4箇所以上に配置される。
【0065】
ねじ孔11aは、回転フランジ7fを軸方向に貫通している。ねじ孔11aは、回転フランジ7fのうち、取付孔10aが存在する部分から円周方向に外れた部分の少なくとも1箇所、好ましくは2箇所以上に配置される。
【0066】
本例の回転フランジ7fは、複数個(取付孔10aの個数と同数)の厚肉部13bと、少なくとも1個(ねじ孔11aの個数以上、取付孔10aの個数以下)の中肉部14bと、薄肉部15fとからなる。厚肉部13bのそれぞれは、本体部分6aの外周面の円周方向等間隔複数箇所から径方向外側に向けて放射状に延出している。中肉部14bは、本体部分6aの外周面のうち、厚肉部13bの基端部が接続された部分から円周方向に外れた部分から径方向外側に向けて延出している。薄肉部15fは、円周方向に隣り合う、厚肉部13b同士の間、および/または、厚肉部13bと中肉部14bとの間にかけ渡されるように存在している。
【0067】
取付孔10aのそれぞれは、厚肉部13bのそれぞれを軸方向に貫通するように形成されており、ねじ孔11aは、中肉部14bのうちの少なくとも1個を軸方向に貫通するように形成されている。
【0068】
なお、本例では、ハブ34は、ハブ本体38と内輪39とを結合することで構成されている。
【0069】
ハブ本体38は、熱間鍛造品であって、略段付円筒形状を有する内方部分40と、回転フランジ7fとを備える。内方部分40は、軸方向中間部外周面に、複列の内輪軌道5c、5dのうち、軸方向外側の内輪軌道5cを有し、かつ、軸方向外側の端部にパイロット部9aを有する。また、内方部分40は、中心部に、スプライン孔37を有する。さらに、内方部分40は、軸方向内側部分に、軸方向外側に隣接する部分よりも外径寸法が小さい小径筒部41を有するとともに、小径筒部41の軸方向外側の端部に、軸方向内側を向いた段差部42を有する。回転フランジ7fは、内方部分40のうち、軸方向に関して軸方向外側の内輪軌道5cとパイロット部9aとの間に存在する部分の外周面から径方向外側に向けて突出している。
【0070】
内輪39は、外周面に、複列の内輪軌道5c、5dのうち、軸方向内側の内輪軌道5dを有する。
【0071】
ハブ34は、内輪39を小径筒部41に外嵌し、かつ、小径筒部41のうちで内輪39の軸方向内側の端面よりも軸方向内側に突出した部分を径方向外側に向けて塑性変形させてなるかしめ部43により、内輪39の軸方向内側の端面を抑え付け、内輪39を、かしめ部43と段差部42との間で軸方向に挟持することで、ハブ本体38と内輪39とを結合固定することにより構成されている。すなわち、本体部分6aは、ハブ本体38の内方部分40と内輪39とからなる。なお、本例では、かしめ部43により、内輪39の軸方向内側の端面を抑え付けることで、ハブ本体38と内輪39とを結合固定しているが、ハブ本体と内輪とを結合固定する構造は、これに限らず、種々の構造を採用することができる。たとえば、ハブ本体のうち、内輪の軸方向内側の端面よりも軸方向内側に突出した部分の外周面に備えられた雄ねじ部に、ナットを螺合し、内輪を、ナットと、ハブ本体の軸方向中間部に備えられ、かつ、軸方向内側を向いた段差部との間で軸方向に挟持する構造を採用することができる。あるいは、駆動輪用のハブユニット軸受では、等速ジョイント用外輪の軸方向外側の端面と、該等速ジョイント用外輪から軸方向外側に突出したスプライン軸部の先端部に備えられた雄ねじ部に螺合されたナットとの間でハブを挟持することにより、等速ジョイント用外輪の軸方向外側の端面と、ハブ本体の軸方向中間部に備えられ、かつ、軸方向内側を向いた段差部との間で内輪を軸方向に挟持する構造を採用することができる。
【0072】
ここで、回転フランジ7fを有するハブ本体38を造る際には、まず、中炭素鋼などの硬質金属材料製の棒鋼を切断し、円柱状の中間素材(ビレット)を得る。そして、この中間素材に鍛造加工を施して、ハブ本体38の外形を成形する。すなわち、硬質金属製で円柱状の素材に鍛造加工を施して、段付円筒状の中間素材を得た後、該中間素材を1対の金型同士の間で軸方向に押し潰して、中間素材を構成する材料を、該中間素材の軸方向中間部外周面から径方向外側に向けて流動させることにより、回転フランジ7fを成形する。次に、回転フランジ7fの厚肉部13bのそれぞれに、取付孔10aの下穴を切削加工により形成し、かつ、少なくとも1個の中肉部14bに、ねじ孔11aの下穴を切削加工により形成する。次いで、取付孔10aの下穴の内周面と、ねじ孔11aの下穴の内周面とに、切削加工または転造加工によりねじ溝を形成する。また、軸方向外側の内輪軌道5cや、その他必要とする部分に、研削加工や熱処理などを施して、ハブ本体38を得る。
【0073】
転動体4aのそれぞれは、複列の内輪軌道5c、5dと複列の外輪軌道8c、8dとの間に、それぞれ複数個ずつ、保持器22c、22dにより保持された状態で、回転自在に配置されている。これにより、ハブ34は、外輪33の内側に回転自在に支持されている。
【0074】
制動用回転体23a、および、ホイール24aは、ハブユニット軸受1fのうち、ハブ34の回転フランジ7fに支持固定される。
【0075】
制動用回転体23aは、中心孔25aと、円周方向等間隔複数箇所に形成された通孔26aと、該通孔26aから円周方向に外れた部分に形成された、少なくとも1個の小通孔27aとを備える。制動用回転体23aは、中心孔25aを、ハブ34のパイロット部9aに外嵌し、かつ、小通孔27aを挿通したねじ28aを、回転フランジ7fのねじ孔11aに螺合しさらに締め付け、通孔26aのそれぞれに、スタッド44の中間部をがたつきなく係合することで、該回転フランジ7fに支持されている。これにより、次述するように、スタッド44の先端部に備えられた雄ねじ部を、ホイール24aの通孔30aに挿通し、かつ、該雄ねじ部にホイールナット45を螺合する以前の状態でも、制動用回転体23aが回転フランジ7fから分離することを防止している。
【0076】
ホイール24aは、中心孔29aと、円周方向等間隔複数箇所に形成された通孔30aとを備える。ホイール24aは、中心孔29aを、外方部材3のパイロット部9aに外嵌し、かつ、通孔30aのそれぞれに、スタッド44の先端部に備えられた雄ねじ部を挿通し、該雄ねじ部にホイールナット45を螺合することにより、回転フランジ7fに支持固定されている。
【0077】
本例のハブユニット軸受1fでは、制動用回転体23aの小通孔27aを挿通したねじ28aを螺合するためのねじ孔11aが、回転フランジ7fのうち、薄肉部15fよりも軸方向厚さが厚い中肉部14bに備えられている。このため、ねじ孔11aの軸方向長さを十分に、具体的には、ねじ孔11aに螺合されるねじ28aの呼び径と、ねじ孔11aの内周面に形成された雌ねじ溝の3ピッチ分の長さとのうち、短い方の寸法以上の軸方向長さを、確保することができる。このため、ねじ28aによる回転フランジ7fに対する制動用回転体23aの支持力を十分に確保することができる。
【0078】
さらに、本例では、ねじ孔11aが配置された中肉部14bは、ハブ34の本体部分6aの外周面から径方向外側に向けて放射状に延出している。このため、ねじ孔11aを備える部分の軸方向厚さを厚くしても、ハブ34の外形を鍛造加工により成形すべく、段付円筒状の中間素材を1対の金型同士の間で軸方向に押し潰して、中間素材を構成する材料を、該中間素材の軸方向中間部外周面から径方向外側に向けて流動させることにより、回転フランジ7fを成形する際に、該ハブ34を構成する金属材料の流れが悪くなるのを防止することができる。したがって、ハブ34の成形性を良好に確保することができる。その他の部分の構成および作用効果は、第1態様の実施の形態の第1例と同様である。
【0079】
上述した第1態様の実施の形態の第1例〜第6例および第2態様の実施の形態の1例は、矛盾を生じない限り適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f ハブユニット軸受
2a、2b 内輪
3、3a、3b、3c、3d、3e 外方部材
4 転動体
5a、5b、5c、5d 内輪軌道
6、6a 本体部分
7、7a、7b、7c、7d、7e、7f 回転フランジ
8a、8b、8c、8d 外輪軌道
9、9a パイロット部
10、10a 取付孔
11、11a ねじ孔
12 ハブボルト
13、13a、13b 厚肉部
14、14a、14b 中肉部
15、15a、15b、15c、15d、15e、15f 薄肉部
16 第1凸円弧面部
17 第2凸円弧面部
18 凹円弧面部
19 フランジ本体
20 厚肉盛部
21 薄肉盛部
22a、22b、22c、22d 保持器
23、23a 制動用回転体
24、24a ホイール
25、25a 中心孔
26、26a 通孔
27、27a 小通孔
28、28a ねじ
29、29a 中心孔
30、30a 通孔
32、32a 軽減孔
33 外輪
34 ハブ
35 静止フランジ
36 支持孔
37 スプライン孔
38 ハブ本体
39 内輪
40 内方部分
41 小径筒部
42 段差部
43 かしめ部
44 スタッド
45 ホイールナット
46 車軸
47 ナット
100 ハブユニット軸受
101a、101b 内輪
102 外方部材
103 転動体
104a、104b 内輪軌道
105a、105b 外輪軌道
106 本体部分
107 取付孔
108 ねじ孔
109 回転フランジ
110 厚肉盛部
111 薄肉部
112 薄肉盛部
113 制動用回転体
114 ホイール
115 スタッド
116 通孔
117 小通孔
118 ねじ
119 通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10