特開2021-32082(P2021-32082A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2021-32082静翼、及びこれを備えているガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-32082(P2021-32082A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】静翼、及びこれを備えているガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20210201BHJP
   F01D 11/00 20060101ALI20210201BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20210201BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20210201BHJP
   F01D 9/06 20060101ALI20210201BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20210201BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20210201BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20210201BHJP
【FI】
   F01D9/02 102
   F01D11/00
   F02C7/18 A
   F02C7/18 Z
   F02C7/28 C
   F01D9/06
   F01D25/00 M
   F01D25/12 E
   F16J15/447
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-149245(P2019-149245)
(22)【出願日】2019年8月16日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】松尾 咲生
(72)【発明者】
【氏名】羽田 哲
(72)【発明者】
【氏名】森川 朋子
(72)【発明者】
【氏名】大友 宏之
【テーマコード(参考)】
3G202
3J042
【Fターム(参考)】
3G202GA08
3G202GA19
3G202GB01
3G202JJ08
3G202JJ17
3G202JJ19
3G202JJ28
3G202KK12
3G202KK13
3G202KK23
3J042AA04
3J042BA03
3J042CA10
3J042CA15
3J042DA06
(57)【要約】
【課題】静翼を効果的に冷却して、静翼を冷却するための空気の使用量を抑える。
【解決手段】静翼50は、翼体51と、シュラウド60iと、を備える。シュラウド60iは、ガスパス面64と、前端面62fと、ガスパス面64と前端面62fとの角部である前端角部66と、冷却空気が流入するキャビティ72を画定するキャビティ画定面73と、冷却空気Acが流れる第一空気通路84と、冷却空気Acが流れる第二空気通路85と、を有する。第一空気通路84は、キャビティ画定面73で開口している第一入口84iと、前端角部66で開口している第一出口84oと、を有する。第二空気通路85は、キャビティ画定面73で開口している第二入口85iと、前端面62fで開口している第二出口85oと、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼形を成す翼体と、
前記翼体における翼高さ方向の一方側である高さ方向第一側と前記翼高さ方向の他方側のである高さ方向第二側とのうち、前記高さ方向第二側の端に設けられているシュラウドと、
を備え、
前記シュラウドは、
前記高さ方向第一側を向いて、燃焼ガスに接するガスパス面と、
前記翼体の前縁に対する後縁が存在する側であって、前記燃焼ガスが流れてゆく下流側を向き、前記翼体よりも前記下流側に位置する後端面と、
前記下流側とは反対側の上流側を向き、前記翼体よりも前記上流側に位置する前端面と、
前記前端面と前記後端面とをつなぎ、前記翼体のキャンバーラインを基準にして前記翼体の正圧面が存在する正圧側の側端面であって、前記翼体よりも前記正圧側に位置する正圧側端面と、
前記前端面と前記後端面とをつなぎ、前記翼体のキャンバーラインを基準にして前記翼体の負圧面が存在する負圧側の側端面であって、前記翼体よりも前記負圧側に位置する負圧側端面と、
前記ガスパス面と前記前端面との角部である前端角部と、
前記前端面と前記後端面と前記正圧側端面と前記負圧側端面とで囲まれた領域内に形成され、冷却空気が流入するキャビティを画定するキャビティ画定面と、
前記冷却空気が流れる第一空気通路と、
前記冷却空気が流れる第二空気通路と、
を有し、
前記第一空気通路は、前記キャビティ画定面で開口している第一入口と、前記前端角部で開口している第一出口と、を有し、
前記第二空気通路は、前記キャビティ画定面で開口している第二入口と、前記前端面で開口している第二出口と、を有する、
静翼。
【請求項2】
請求項1に記載の静翼において、
前記シュラウドは、前記第一空気通路を複数有すると共に、前記第二空気通路を複数有し、
複数の前記第一空気通路及び複数の前記第二空気通路は、いずれも、前記正圧側端面と前記負圧側端面とが並ぶ側方向に並んでいる、
静翼。
【請求項3】
請求項2に記載の静翼において、
複数の前記第一空気通路のうち、少なくとも一部の前記第一空気通路の前記第一出口は、前記前端角部のうち、前記翼体の前記前縁を基準にして、前記側方向の一方側である側方向第一側と前記側方向の他方側である側方向第二側とのうちの前記側方向第一側の領域に位置し、
複数の前記第二空気通路のうち、少なくとも一部の前記第二空気通路の前記第二出口は、前記前端面のうち、前記翼体の前記前縁を基準にして、前記側方向第一側の領域に位置し、
前記側方向第一側は、前記負圧側端面に対して前記正圧側端面が位置している側であり、
前記側方向第二側は、前記側方向第一側とは反対側である、
静翼。
【請求項4】
請求項3に記載の静翼において、
複数の前記第二空気通路のうち、前記少なくとも一部を除く前記第二空気通路の前記第二出口は、前記前端面のうち、前記翼体の前記前縁を基準にして、前記側方向第二側の領域に位置する、
静翼。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の静翼において、
複数の前記第一空気通路のうち、少なくとも一部の第一空気通路は、複数の前記第二空気通路のうちのいずれかの第二空気通路に対して、前記側方向で隣接している、
静翼。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の静翼において、
複数の前記第一空気通路と複数の前記第二空気通路とのうち、一方の通路の数は、他方の通路の数より多い、
静翼。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の静翼において、
前記第一空気通路は、前記第一空気通路中の前記第一出口を含む第一出口側部を有し、
前記第一空気通路のうちで少なくとも前記第一出口側部は、前記上流側に向かうに連れて、次第に前記高さ方向第一側に向かうよう傾斜している、
静翼。
【請求項8】
請求項7に記載の静翼において、
前記第一空気通路の前記第一出口側部は、前記上流側に向かうに連れて、次第に、前記側方向の一方側である側方向第一側に向かうよう傾斜し、
前記側方向第一側は、前記負圧側端面に対して前記正圧側端面が位置している側である、
静翼。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の静翼において、
前記前端角部は、前記ガスパス面及び前記前端面のそれぞれに対して傾斜している前端傾斜面を含み、
前記第一出口は、前記前端傾斜面で開口している、
静翼。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の静翼において、
前記第二空気通路は、前記第二空気通路中で前記第二出口を含む第二出口側部を有し、
前記第二空気通路のうちで少なくとも前記第二出口側部は、前記上流側に向かうに連れて、次第に、前記高さ方向第一側に向かうよう傾斜している、
静翼。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の静翼において、
前記キャビティを、前記高さ方向第一側の第一側キャビティと前記高さ方向第二側の第二側キャビティとに仕切る衝突板をさらに備え、
前記衝突板には、前記翼高さ方向に貫通し、前記第二側キャビティ内の前記冷却空気を前記第一側キャビティ内に導く複数の貫通孔が形成され、
前記第一入口と前記第二入口とのうち、少なくとも、一方の入口は、前記キャビティ画定面のうちで前記第二側キャビティを画定する面で開口している、
静翼。
【請求項12】
請求項11に記載の静翼において、
前記第一入口と前記第二入口とは、いずれも、前記キャビティ画定面のうちで前記第二側キャビティを画定する面で開口している、
静翼。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の静翼において、
前記シュラウドは、
前記ガスパス面と前記前端面と前記負圧側端面との角部である前端負圧側角部と、
前記冷却空気が流れる第三空気通路と、を有し、
前記第三空気通路は、前記キャビティ画定面で開口している第三入口と、前記前端負圧側角部で開口している第三出口と、を有する、
静翼。
【請求項14】
請求項13に記載の静翼において、
前記前端負圧側角部は、前記ガスパス面と前記前端面と前記負圧側端面とのそれぞれに対して傾斜している前端負圧側傾斜面を含み、
前記第三出口は、前記前端負圧側傾斜面で開口している、
静翼。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の静翼を複数備えていると共に、
軸線を中心として回転するタービンロータと、
前記タービンロータを覆うタービンケーシングと、
前記軸線が延びる軸線方向における軸線上流側から前記タービンケーシング内に前記燃焼ガスを送る燃焼器と、
を備え、
複数の前記静翼は、前記タービンケーシング内に配置され、
前記タービンロータは、前記軸線を中心とするロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼と、を有し、
複数の前記動翼は、前記軸線に対する周方向に並び、
複数の前記静翼は、前記周方向に並び、且つ複数の前記動翼よりも前記軸線上流側に位置し、前記翼高さ方向が前記軸線に対する径方向になり且つ前記上流側が前記軸線上流側になるよう、前記タービンケーシングに取り付けられている、
ガスタービン。
【請求項16】
請求項15に記載のガスタービンにおいて、
前記高さ方向第二側は、前記軸線に対する径方向内側であり、
前記シュラウドは、前記翼体の前記径方向内側の端に設けられている内側シュラウドである、
ガスタービン。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のガスタービンにおいて、
前記燃焼器と前記静翼とを接続するシールを備え、
前記燃焼器は、前記軸線方向における前記軸線上流側とは反対側の軸線下流側の方向成分を含む方向に燃料を噴射するバーナと、筒状を成し、前記バーナから噴射された燃料が燃焼する燃焼空間を形成する尾筒と、を有し、
前記尾筒は、前記軸線下流側の方向成分を含む方向に延び、内周側に前記燃焼空間が形成されている筒と、前記筒の前記軸線下流側の下流端部から外周側に突出したフランジと、を有し、
前記静翼の前記シュラウドは、前記前端面中の前記ガスパス面から離れた位置から前記上流側に突出した上流側突出部を有し、
前記シールは、前記筒の外周面よりも外周側に位置し、前記筒の下流端と前記シュラウドの前記前端面とが間隔をあけて対向し、
前記シールは、前記尾筒の前記フランジに接続される尾筒接続部と、前記静翼の前記上流側突出部に接続される静翼接続部と、冷却空気が流れる冷却空気通路と、を有し、
前記シールの前記冷却空気通路は、前記筒の前記下流端と前記シュラウドの前記前端面との間の空間と、前記尾筒の外周側の空間と、を連通させる、
ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静翼、及びこれを備えているガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃料ガスを生成する燃焼器と、燃焼ガスで駆動するタービンと、を備える。タービンは、軸線を中心として回転するタービンロータと、このロータを覆うタービンケーシングと、複数の静翼列と、を備える。タービンロータは、軸線を中心とするロータ軸と、ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有する。複数の動翼列は、軸線が延びる軸線方向に並んでいる。各動翼列は、いずれも、軸線に対する周方向に並ぶ複数の動翼を有する。複数の静翼列は、軸線方向に並んで、タービンケーシングの内周側に取り付けられている。複数の静翼列のそれぞれは、複数の動翼列のうちのいずれか一の動翼列の軸線上流側に配置されている。各静翼列は、いずれも、軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有する。
【0003】
静翼は、軸線に対する径方向に延びて翼形を成す翼体と、翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有する。静翼の翼体は、燃焼ガスが通る燃焼ガス流路内に配置される。内側シュラウドは、燃焼ガス流路の径方向内側の縁を画定する。外側シュラウドは、燃焼ガス流路の径方向外側の縁を画定する。
【0004】
ガスタービンの静翼は、高温の燃焼ガスに晒される。このため、静翼は、一般的に、空気等で冷却される。
【0005】
例えば、以下の特許文献1に記載の静翼の内側シュラウドには、冷却空気が通る冷却空通路が形成されている。内側シュラウドは、径方向外側を向くガスパス面と、径方向内側を向く反ガスパス面と、軸線上流側を向く前端面と、を有する。ガスパス面は、燃焼ガスに晒される。前端面は、燃焼ガスに接する可能性がある。一方、反ガスパス面は、圧縮空気からの圧縮空気に接する。冷却空気通路は、反ガスパス面で開口している入口と、前端面で開口している出口と、を有する。冷却空気通路には、圧縮空気が冷却空気として入口から流入する。この冷却空気は、この冷却空気通路を通る過程で、ガスパス面を冷却する。この冷却空気は、前端面に形成されている出口から流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−107628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガスタービンの静翼に関しては、この静翼を効果的に冷却して、静翼の耐久性を向上させつつも、この静翼を冷却するための空気の使用量をできるかぎり減らすことが望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、効率的に冷却可能な静翼、及びこの静翼を備えているガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための発明に係る一態様の静翼は、
翼形を成す翼体と、前記翼体における翼高さ方向の一方側である高さ方向第一側と前記翼高さ方向の他方側のである高さ方向第二側とのうち、前記高さ方向第二側の端に設けられているシュラウドと、を備える。前記シュラウドは、前記高さ方向第一側を向いて、燃焼ガスに接するガスパス面と、前記翼体の前縁に対する後縁が存在する側であって、前記燃焼ガスが流れてゆく下流側を向き、前記翼体よりも前記下流側に位置する後端面と、前記下流側とは反対側の上流側を向き、前記翼体よりも前記上流側に位置する前端面と、前記前端面と前記後端面とをつなぎ、前記翼体のキャンバーラインを基準にして前記翼体の正圧面が存在する正圧側の側端面であって、前記翼体よりも前記正圧側に位置する正圧側端面と、前記前端面と前記後端面とをつなぎ、前記翼体のキャンバーラインを基準にして前記翼体の負圧面が存在する負圧側の側端面であって、前記翼体よりも前記負圧側に位置する負圧側端面と、前記ガスパス面と前記前端面との角部である前端角部と、前記前端面と前記後端面と前記正圧側端面と前記負圧側端面とで囲まれた領域内に形成され、冷却空気が流入するキャビティを画定するキャビティ画定面と、前記冷却空気が流れる第一空気通路と、前記冷却空気が流れる第二空気通路と、を有する。前記第一空気通路は、前記キャビティ画定面で開口している第一入口と、前記前端角部で開口している第一出口と、を有する。前記第二空気通路は、前記キャビティ画定面で開口している第二入口と、前記前端面で開口している第二出口と、を有する。
【0010】
キャビティ内に流入した冷却空気の一部は、第一入口から第一空気通路内に流入する。キャビティ内に流入した冷却空気の他の一部は、第二入口から第二空気通路内に流入する。第一空気通路に流入した冷却空気は、この第一空気通路を通過する過程で、シュラウドの上流側の部分、特にガスパス面の上流側の部分を対流冷却する。冷却空気は、前端角部に形成されている第一出口から燃焼ガス流路内に流出する。燃焼ガス流路内に流出した冷却空気は、燃焼ガスが前端角部に至るのを抑制することで、燃焼ガスによる前端角部の加熱を抑制する。さらに、燃焼ガス流路内に流出した冷却空気は、尾筒とシュラウドとの間の隙間空間に燃焼ガスが流れ込むのを抑制すると共に、この隙間空間に流入するガスの温度を下げる。
【0011】
第二空気通路に流入した冷却空気は、この第二空気通路を通過する過程で、シュラウドの上流側の部分、特に前端面周りを対流冷却する。冷却空気は、前端面に形成されている第二出口から尾筒とシュラウドとの間の隙間空間に流出する。隙間空間に流出した冷却空気は、隙間空間にパージされるパージ空気の役割を果たし、燃焼ガスが尾筒とシュラウドの間の隙間空間を介して、尾筒の筒内周面より外周側の尾筒フランジとシュラウドとの間の隙間空間に燃焼ガスが流入するのを抑制している。その結果、燃焼ガスが隙間空間に面しているシュラウドの前端面、尾筒の後端面並びに尾筒フランジに至るのを抑制すると共に、燃焼ガスによるシュラウドの前端面、尾筒の後端面並びに尾筒フランジの加熱が抑制される。この冷却空気は、隙間空間に流入した燃焼ガスを希釈して、隙間空間のガス温度を下げ、シュラウドの前端面、尾筒の後端面、及びこれらの周囲の加熱を抑制する。つまり、隙間空間に流出した冷却空気は、この隙間空間に燃焼ガスが流れ込むのを抑制するパージ空気の役割を果たすと共に、燃焼ガスの希釈により、この隙間空間内の雰囲気ガスの温度を下げ、隙間空間を画定する面を有する部品の加熱を抑制する。
【0012】
ところで、第一空気通路と第二空気通路とのうち、一方の空気通路のみでも、シュラウドの上流側の部分を冷却し、この部分の熱損傷を抑えることができる。ここで、仮に、第一空気通路のみでシュラウドの上流側の部分を冷却する場合について考察する。この場合、第二空気通路による効果も第一空気通路が担う必要がある。このため、例えば、第一空気通路の通路総断面積を大きくして、第一空気通路を流れる冷却空気の流量を、本態様において第一空気通路及び第二空気通路を流れる冷却空気の総流量より、多くする必要がある。
【0013】
さらに、仮に、第二空気通路のみでシュラウドの上流側の部分を冷却する場合について考察する。この場合、第一空気通路による効果も第一空気通路が担う必要がある。このため、例えば、第二空気通路の通路総断面積を大きくして、第二空気通路を流れる冷却空気の流量を、本態様において第一空気通路及び第二空気通路を流れる冷却空気の総流量より、多くする必要がある。
【0014】
従って、本態様のシュラウドは、第一空気通路及び第二空気通路を有するので、シュラウドを効果的に冷却して、シュラウドの耐久性を向上させつつも、このシュラウドを冷却するための空気の使用量を抑えることができる。
【0015】
ここで、前記一態様の静翼において、前記シュラウドは、前記第一空気通路を複数有すると共に、前記第二空気通路を複数有してもよい。この場合、複数の前記第一空気通路及び複数の前記第二空気通路は、いずれも、前記正圧側端面と前記負圧側端面とが並ぶ側方向に並んでいる。
【0016】
複数の前記第一空気通路及び複数の前記第二空気通路を有する、前記態様の静翼において、複数の前記第一空気通路のうち、少なくとも一部の前記第一空気通路の前記第一出口は、前記前端角部のうち、前記翼体の前記前縁を基準にして、前記側方向の一方側である側方向第一側と前記側方向の他方側である側方向第二側とのうちの前記側方向第一側の領域に位置してもよい。さらに、複数の前記第二空気通路のうち、少なくとも一部の前記第二空気通路の前記第二出口は、前記前端面のうち、前記翼体の前記前縁を基準にして、前記側方向第一側の領域に位置してもよい。この場合、前記側方向第一側は、前記負圧側端面に対して前記正圧側端面が位置している側であり、前記側方向第二側は、前記側方向第一側とは反対側である。
【0017】
燃焼ガス流路中で、静翼の上流側周りには、複数の静翼が並ぶ側方向に圧力分布が生じる。具体的に、静翼の上流側周りでは、翼体の前縁を基準にして側方向第一側(正圧側)の部分の圧力が高くなり、翼体の前縁を基準にして側方向第二側(負圧側)の部分の圧力が相対的に低くなる。このため、燃焼ガス流路を流れている燃焼ガスは、尾筒の後端面とシュラウドの前端面との間のうち、翼体の前縁を基準にして側方向第二側(負圧側)の部分よりも側方向第一側(正圧側)の部分から、燃焼ガスが隙間空間内に流入し易くなる。このため、複数の第一空気通路のうち、少なくとも一部の第一空気通路の第一出口は、前端角部のうち、翼体の前縁を基準にして、側方向第一側(正圧側)の領域に位置していることが好ましい。また、複数の第二空気通路のうち、少なくとも一部の第二空気通路の第二出口は、前端面のうち、翼体の前縁を基準にして、側方向第一側(正圧側)の領域に位置していることが好ましい。
【0018】
前記態様の静翼において、複数の前記第二空気通路のうち、前記少なくとも一部を除く前記第二空気通路の前記第二出口は、前記前端面のうち、前記翼体の前記前縁を基準にして、前記側方向第二側の領域に位置してもよい。
【0019】
本態様では、第二空気通路の第二出口が、翼体の前縁を基準にして、側方向第二側の領域に配置される。従って、静翼の上流側周りにおける燃焼ガスの圧力変動等により、燃焼ガスの隙間空間への流入が、翼体の前縁を基準にて側方向第二側の領域において一時的に増加しようとしても、側方向の第二側の領域への燃焼ガスの流入増加を抑制できる。
【0020】
複数の前記第一空気通路及び複数の前記第二空気通路を有する、以上のいずれかの前記態様の静翼において、複数の前記第一空気通路のうち、少なくとも一部の第一空気通路は、複数の前記第二空気通路のうちのいずれかの第二空気通路に対して、前記側方向で隣接していてもよい。
【0021】
本態様では、一部の第一空気通路は、第二空気通路に対して側方向に隣接させ、第一空気通路と第二空気通路が側方向で交互に配置させている。従って、シュラウドの前縁角部と前端面の側方向における対流冷却が均一的に行われ、シュラウドの前縁角部及び前端面の熱応力が低減される。また、第二空気通路から排出されるパージ空気の偏流も抑制され、燃焼ガスの隙間空間への流入も一層抑制される。
【0022】
複数の前記第一空気通路及び複数の前記第二空気通路を有する、以上のいずれかの前記態様の静翼において、複数の前記第一空気通路と複数の前記第二空気通路とのうち、一方の通路の数は、他方の通路の数より多くてもよい。
【0023】
複数の前記第一空気通路及び複数の前記第二空気通路を有する、以上のいずれかの前記態様の静翼において、前記第一空気通路は、前記第一空気通路中の前記第一出口を含む第一出口側部を有し、前記第一空気通路のうちで少なくとも前記第一出口側部は、前記上流側に向かうに連れて、次第に前記高さ方向第一側に向かうよう傾斜していてもよい。
【0024】
本態様では、第一空気通路から流出した冷却空気は、上流側に向かうに連れて、次第に高さ方向第一側に向かう。従って、この第一空気通路から流出した冷却空気により、効果的に、燃焼ガスが前端角部に至るのを抑制できると共に、尾筒とシュラウドとの間の隙間空間に燃焼ガスが流れ込むのを抑制できる。
【0025】
前記第一出口側部を有する、前記態様の静翼において、前記第一空気通路の前記第一出口側部は、前記上流側に向かうに連れて、次第に、前記側方向の一方側である側方向第一側に向かうよう傾斜していてもよい。この場合、前記側方向第一側は、前記負圧側端面に対して前記正圧側端面が位置している側である。
【0026】
本態様では、第一入口が形成されているキャビティ前側画定面と第一出口が形成されている前端角部との間の距離が短くても、第一空気通路の通路長を長くすることができる。従って、この第一空気通路を通過している冷却空気により、効果的に、内側シュラウドの上流側の部分を対流冷却できる。また、前述したように、燃焼ガス流路を流れている燃焼ガスは、尾筒の後端面とシュラウドの前端面との間のうち、翼体の前縁を基準にして側方向第一側(正圧側)の部分から、燃焼ガスが隙間空間内に流入し易い。本態様では、第一空気通路から流出した冷却空気は、上流側に向かいつつも、側方向第一側(正圧側)に向かうため、燃焼ガスが隙間空間内に流入するのを効果的に抑制することができる。
【0027】
以上のいずれかの前記態様の静翼において、前記前端角部は、前記ガスパス面及び前記前端面のそれぞれに対して傾斜している前端傾斜面を含んでもよい。この場合、前記第一出口は、前記前端傾斜面で開口している。
【0028】
以上のいずれかの前記態様の静翼において、前記第二空気通路は、前記第二空気通路中で前記第二出口を含む第二出口側部を有し、前記第二空気通路のうちで少なくとも前記第二出口側部は、前記上流側に向かうに連れて、次第に、前記高さ方向第一側に向かうよう傾斜していてもよい。
【0029】
以上のいずれかの前記態様の静翼において、前記キャビティを、前記高さ方向第一側の第一側キャビティと前記高さ方向第二側の第二側キャビティとに仕切る衝突板をさらに備えてもよい。この場合、前記衝突板には、前記翼高さ方向に貫通し、前記第二側キャビティ内の前記冷却空気を前記第一側キャビティ内に導く複数の貫通孔が形成されている。また、前記第一入口と前記第二入口とのうち、少なくとも、一方の入口は、前記キャビティ画定面のうちで前記第二側キャビティを画定する面で開口していてもよい。
【0030】
冷却空気は、衝突板の貫通孔を介して、第二側キャビティから第一側キャビティ内に流入すると、圧力が低下すると共に、温度が上昇する。従って、空気通路の入口が、キャビティ画定面のうちで第二側キャビティを画定する面で開口していると、この空気通路に流入する冷却空気の圧力の低下を抑えることができると共に、この冷却空気の温度上昇を抑えることができる。
【0031】
前記衝突板を備える前記態様の静翼において、前記第一入口と前記第二入口とは、いずれも、前記キャビティ画定面のうちで前記第二側キャビティを画定する面で開口していてもよい。
【0032】
以上のいずれかの前記態様の静翼において、前記シュラウドは、前記ガスパス面と前記前端面と前記負圧側端面との角部である前端負圧側角部と、前記冷却空気が流れる第三空気通路と、を有してもよい。この場合、前記第三空気通路は、前記キャビティ画定面で開口している第三入口と、前記前端負圧側角部で開口している第三出口と、を有する。
【0033】
キャビティ内に流入した冷却空気の一部は、第三入口から第三空気通路内に流入する。第三空気通路に流入した冷却空気は、この第三空気通路を通過する過程で、シュラウドの上流側の部分、特に、ガスパス面の上流側で且つ側方向第二側(負圧側)の部分、及び負圧側端面の上流側の部分を対流冷却する。冷却空気は、前端負圧側角部に形成されている第三出口から燃焼ガス流路内に流出する。燃焼ガス流路内に流出した冷却空気は、パージ空気として燃焼ガスが前端負圧側角部に至るのを抑制して、燃焼ガスによる前端負圧側角部の加熱を抑制する。
【0034】
前記第三空気通路を有する前記態様の静翼において、前記前端負圧側角部は、前記ガスパス面と前記前端面と前記負圧側端面とのそれぞれに対して傾斜している前端負圧側傾斜面を含み、前記第三出口は、前記前端負圧側傾斜面で開口していてもよい。
【0035】
前記目的を達成するための発明に係る一態様のガスタービンは、
以上のいずれかの態様の静翼を複数備えていると共に、軸線を中心として回転するタービンロータと、前記タービンロータを覆うタービンケーシングと、前記軸線が延びる軸線方向における軸線上流側から前記タービンケーシング内に前記燃焼ガスを送る燃焼器と、を備える。複数の前記静翼は、前記タービンケーシング内に配置されている。前記タービンロータは、前記軸線を中心とするロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼と、を有する。複数の前記動翼は、前記軸線に対する周方向に並ぶ。複数の前記静翼は、前記周方向に並び、且つ複数の前記動翼よりも前記軸線上流側に位置し、前記翼高さ方向が前記軸線に対する径方向になり且つ前記上流側が前記軸線上流側になるよう、前記タービンケーシングに取り付けられている。
【0036】
ここで、前記態様のガスタービンにおいて、前記高さ方向第二側は、前記軸線に対する径方向内側であり、前記シュラウドは、前記翼体の前記径方向内側の端に設けられている内側シュラウドであってもよい。
【0037】
以上のいずれかの前記態様のガスタービンにおいて、前記燃焼器と前記静翼とを接続するシールを備えてもよい。前記燃焼器は、前記軸線方向における前記軸線上流側とは反対側の軸線下流側の方向成分を含む方向に燃料を噴射するバーナと、筒状を成し、前記バーナから噴射された燃料が燃焼する燃焼空間を形成する尾筒と、を有する。前記尾筒は、前記軸線下流側の方向成分を含む方向に延び、内周側に前記燃焼空間が形成されている筒と、前記筒の前記軸線下流側の下流端部から外周側に突出したフランジと、を有する。前記静翼の前記シュラウドは、前記前端面中の前記ガスパス面から離れた位置から前記上流側に突出した上流側突出部を有する。前記シールは、前記筒の外周面よりも外周側に位置する。前記筒の下流端と前記シュラウドの前記前端面とは、間隔をあけて対向する。前記シールは、前記尾筒の前記フランジに接続される尾筒接続部と、前記静翼の前記上流側突出部に接続される静翼接続部と、冷却空気が流れる冷却空気通路と、を有する。前記シールの前記冷却空気通路は、前記筒の前記下流端と前記シュラウドの前記前端面との間の空間と、前記尾筒の外周側の空間と、を連通させる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一態様によれば、静翼を効果的に冷却して、耐久性の向上を図りつつも冷却空気の使用量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係る一実施形態におけるガスタービンの模式的な断面図である。
図2】本発明に係る一実施形態におけるガスタービンの要部断面図である。
図3】本発明に係る一実施形態における静翼の斜視図である。
図4】本発明に係る一実施形態における内側シュラウドの斜視図である。
図5】本発明に係る一実施形態における静翼の断面図である。
図6図3におけるVI矢視図である。
図7図6におけるVII−VII線断面図である。
図8図6におけるVIII−VIII線断面図である。
図9】本発明に係る一実施形態の変形例における静翼の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の各種実施形態及びその変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
「ガスタービンの実施形態」
ガスタービンの実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0042】
図1に示すように、本実施形態のガスタービン10は、空気Aを圧縮する圧縮機20と、圧縮機20で圧縮された空気A中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成する燃焼器30と、燃焼ガスGにより駆動するタービン40と、を備えている。
【0043】
圧縮機20は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ21と、圧縮機ロータ21を覆う圧縮機ケーシング25と、複数の静翼列26と、を有する。タービン40は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ41と、タービンロータ41を覆うタービンケーシング45と、複数の静翼列46と、を有する。なお、以下では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。また、軸線方向Daの一方側を軸線上流側Dau、その反対側を軸線下流側Dadとする。また、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0044】
圧縮機20は、タービン40に対して軸線上流側Dauに配置されている。
【0045】
圧縮機ロータ21とタービンロータ41とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ11を成す。このガスタービンロータ11には、例えば、発電機GENのロータが接続されている。ガスタービン10は、さらに、中間ケーシング16を備える。この中間ケーシングは、軸線方向Daで、圧縮機ケーシング25とタービンケーシング45との間に配置されている。圧縮機ケーシング25と中間ケーシング16とタービンケーシング45とは、互いに接続されてガスタービンケーシング15を成す。
【0046】
圧縮機ロータ21は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸22と、このロータ軸22に取り付けられている複数の動翼列23と、を有する。複数の動翼列23は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列23は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼23aで構成されている。複数の動翼列23の各軸線下流側Dadには、複数の静翼列26のうちのいずれか一の静翼列26が配置されている。各静翼列26は、圧縮機ケーシング25の内側に設けられている。各静翼列26は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼26aで構成されている。
【0047】
タービンロータ41は、図1及び図2に示すように、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸42と、このロータ軸42に取り付けられている複数の動翼列43と、を有する。複数の動翼列43は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列43は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼43aで構成されている。複数の動翼列43の各軸線上流側Dauには、複数の静翼列46のうちのいずれか一の静翼列46が配置されている。各静翼列46は、タービンケーシング45の内側に設けられている。各静翼列46は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼46aで構成されている。
【0048】
タービンケーシング45は、その外殻を構成する筒状の外側ケーシング45aと、外側ケーシング45aの内側に固定されている内側ケーシング45bと、内側ケーシング45bの内側に固定されている複数の分割環45cとを有する。複数の分割環45cは、いずれも、複数の静翼列46の相互の間の位置に設けられている。従って、各分割環45cの径方向内側Driには、動翼列43が配置されている。
【0049】
ロータ軸42の外周側とタービンケーシング45の内周側との間であって、軸線方向Daで静翼46a及び動翼43aが配置されている環状の空間は、燃焼器30からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路49を成す。この燃焼ガス流路49は、軸線Arを中心として環状を成し、軸線方向Daに長い。タービンケーシング45の内側ケーシング45bには、径方向外側Droから径方向内側Driに貫通する冷却空気通路45pが形成されている。この冷却空気通路45pを通った冷却空気は、静翼46a内及び分割環45c内に導入されて、静翼46a及び分割環45cの冷却に利用される。なお、静翼列46によっては、ガスタービンケーシング15内の空気が、冷却空気として、タービンケーシング45の冷却空気通路45pを経ずにこの静翼列46を構成する静翼46aに供給される場合もある。
【0050】
燃焼器30は、中間ケーシング16に取り付けられている。この燃焼器30は、図2に示すように、燃料が燃焼する内筒(又は燃焼筒)33と、この内筒33内に燃料を噴射する複数のバーナ31と、複数のバーナ31を支えるバーナ枠32と、内筒33の下流側に接続されている尾筒35と、を有する。尾筒35は、燃焼器軸線Ca周りに筒状の筒36と、この筒36の一端部から外周側に突出したフランジ37と、を有する。この筒36の他端部には、バーナ枠32が装着されている。この筒36の内周側が燃焼空間を形成する。この筒36は、燃焼器30が中間ケーシング16に取り付けられている状態では、軸線下流側Dadに延びている。フランジ37は、この筒36の軸線下流側Dadの下流側端部に設けられている。
【0051】
複数の静翼列46のうち、最も軸線上流側Dauの初段静翼列46を構成する静翼46aと、尾筒35のフランジ37とは、出口シール90で接続されている。
【0052】
図1に示すように、圧縮機20は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する。この圧縮空気は、燃焼器30内に流入する。燃焼器30には、燃料Fが供給される。燃焼器30内では、圧縮空気中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスGが生成される。この燃焼ガスGは、燃焼器30からタービン40内の燃焼ガス流路49に送られる。燃焼ガスGは、燃焼ガス流路49を軸線下流側DadDadへ流れる過程で、タービンロータ41を回転させる。このタービンロータ41の回転で、ガスタービンロータ11に接続されている発電機GENのロータが回転する。この結果、発電機GENは発電する。
【0053】
以下、初段静翼列46を構成する静翼に関する各種実施形態について説明する。
【0054】
「静翼の実施形態」
以下、本発明に係る静翼の実施形態について、図3図8を参照して説明する。
【0055】
図3に示すように、本実施形態の静翼50は、翼体51と、翼体51の翼高さ方向Dhにおける一方側に設けられている内側シュラウド60iと、翼体51の翼高さ方向Dhにおける他方側に設けられている外側シュラウド60oと、を有する。
【0056】
静翼50がタービンケーシング45に取り付けられた状態(図2参照)では、翼高さ方向Dhが径方向Drになる。また、翼高さ方向Dhの一方側である高さ方向第一側Dh1は、径方向外側Droになり、翼高さ方向Dhの他方側である高さ方向第二側Dh2は、径方向内側Driになる。このため、内側シュラウド60iは、翼体51の径方向内側Driに設けられ、外側シュラウド60oは、翼体51の径方向外側Droに設けられることになる。そこで、以下では、翼高さ方向Dhを径方向Dr、高さ方向第一側Dh1を径方向外側Dro、高さ方向第二側Dh2を径方向内側Driとする。
【0057】
翼体51は、図3図5及び図6に示すように、前縁52と、後縁53と、凸状の面である負圧面(背側面)54と、凹状の面である正圧面(腹側面)55と、を有する。前縁52及び後縁53は、負圧面54と正圧面55とのつながり部分に存在する。前縁52、後縁53、負圧面54及び正圧面55は、いずれも、翼高さ方向Dhである径方向Drに延びている。前縁52は、静翼50がタービンケーシング45に取り付けられた状態で、後縁53に対して軸線上流側Dauに位置する。
【0058】
翼体51は、燃焼ガスGが通る燃焼ガス流路49内に配置されている。内側シュラウド60iは、環状の燃焼ガス流路49の径方向内側Driの縁を画定する。また、外側シュラウド60oは、環状の燃焼ガス流路49の径方向外側Droの縁を画定する。
【0059】
内側シュラウド60iは、図4図6に示すように、シュラウド本体61と、周壁71と、上流側突出部74と、リテーナ76と、を有する。
【0060】
シュラウド本体61は、翼高さ方向Dhである径方向Drに垂直な方向の方向成分を含む方向に広がる板状の部材である。このシュラウド本体61は、ガスパス面64と、反ガスパス面65と、前端面62fと、後端面62bと、負圧側端面63nと、正圧側端面63pと、を有する。
【0061】
ガスパス面64は、高さ方向第一側Dh1である径方向外側Droを向き、燃焼ガスGが接する面である。反ガスパス面65は、高さ方向第二側Dh2である径方向内側Driを向く面である。この反ガスパス面65は、ガスパス面64と背合わせの関係である。前端面62fは、翼体51よりも軸線上流側Dauに位置し、軸線上流側Dauを向く面である。後端面62bは、翼体51よりも軸線下流側Dadに位置し、軸線下流側Dadを向く面である。負圧側端面63nは、翼体51のキャンバーラインCLを基準にして翼体51の負圧面54が存在する負圧側の側端面であって、翼体51よりも負圧側に位置する面である。この負圧側端面63nは、前端面62fと後端面62bとをつなぐ。正圧側端面63pは、翼体51のキャンバーラインCLを基準にして翼体51の正圧面55が存在する正圧側の側端面であって、翼体51よりも正圧側に位置する面である。この正圧側端面63pは、前端面62fと後端面62bとをつなぐ。この正圧側端面63pは、翼体51を基準にして負圧側端面63nと反対側に位置する。後端面62bは、前端面62fに対してほぼ平行である。また、正圧側端面63pは、負圧側端面63nに対してほぼ平行である。よって、シュラウド本体61は、径方向Drから見た場合、図6に示すように、平行四辺形状を成している。
【0062】
ここで、正圧側端面63pと負圧側端面63nとが並び且つ軸線Arに直交する方向を側方向Dsとする。静翼50がタービンケーシング45に取り付けられた状態(図2参照)では、側方向Dsが周方向Dcになる。また、側方向Dsの一方側である側方向第一側Ds1は、周方向正圧側Dcpになり、側方向Dsの他方側である側方向第二側Ds2は、周方向負圧側Dcnになる。そこで、以下では、側方向Dsを周方向Dcとする。また、側方向第一側Ds1を周方向正圧側Dcpとし、側方向第二側Ds2を周方向負圧側Dcnとする。
【0063】
シュラウド本体61は、さらに、前端角部66と、前端正圧側角部67pと、前端負圧側角部67nと、を有する。前端角部66は、ガスパス面64と前端面62fとの角部である。この前端角部66は、前端面62fと正圧側端面63pとのそれぞれに対して傾斜している前端傾斜面66aを含む。前端正圧側角部67pは、ガスパス面64と前端面62fと正圧側端面63pとの角部である。前端負圧側角部67nは、ガスパス面64と前端面62fと負圧側端面63nとの角部である。この前端負圧側角部67nは、ガスパス面64と前端面62fと負圧側端面63nとのそれぞれに対して傾斜している前端負圧側傾斜面67naを含む。なお、図6及び図7において、前端傾斜面66aは、前端面62fと正圧側端面63pとのそれぞれに対して傾斜し、且つ前端面62fと正圧側端面63pとを接続する曲面で描いている。しかしながら、前端傾斜面66aは、前端面62fと正圧側端面63pとのそれぞれに対して傾斜していれば、前端面62fと正圧側端面63pとを接続する平面であってもよい。
【0064】
周壁71は、シュラウド本体61の外周縁に沿ってシュラウド本体61から径方向内側Driに突出する壁である。周壁71は、軸線方向Daで互いに対向する前周壁71f及び後周壁71bと、周方向Dcで互いに対向する正圧側周壁71p及び負圧側周壁71nと、を有する。前周壁71fは、翼体51よりも軸線上流側Dauに位置している。この前周壁71fは、シュラウド本体61に対して、正圧側周壁71p及び負圧側周壁71nよりも径方向外側Dro及び径方向内側Driに突出している。前周壁71fの軸線上流側Dauを向く面は、内側シュラウド60iの前端面62fの一部を成す。後周壁71bは、翼体51よりも軸線下流側Dadに位置している。正圧側周壁71pは、翼体51よりも周方向正圧側Dcpに位置している。この正圧側周壁71pの周方向正圧側Dcpを向く面は、内側シュラウド60iの正圧側端面63pの一部を成す。負圧側周壁71nは、翼体51よりも周方向負圧側Dcnに位置している。この負圧側周壁71nの周方向負圧側Dcnを向く面は、内側シュラウド60iの負圧側端面63nの一部を成す。
【0065】
内側シュラウド60iには、シュラウド本体61と周壁71とにより、径方向内側Driに向かって凹むキャビティ72が形成されている。このキャビティ72は、シュラウド本体61の反ガスパス面65と、前周壁71fの軸線下流側Dadを向く面と、後周壁71bの軸線上流側Dauを向く面と、正圧側周壁71pの周方向負圧側Dcnを向く面と、負圧側周壁71nの周方向正圧側Dcpを向く面と、で画定されている。よって、これらの面により、キャビティ72を画定するキャビティ画定面73が構成されている。なお、以下の説明の都合上、前周壁71fの軸線下流側Dadを向く面をキャビティ前側画定面73fとする。
【0066】
リテーナ76は、軸線方向Daにおいて前周壁71fと後周壁71bとの間に位置し、負圧側端面63nから正圧側端面63pにかけて形成されている。このリテーナ76は、ガスタービンケーシング15に固定されている内側カバー17の径方向外側Droの端17a(図2図3参照)に接続され、この静翼50の径方向内側Driの部分を内側カバー17に支持させるための役目を担う。
【0067】
上流側突出部74は、前端面62f中のガスパス面64から離れた位置から軸線上流側Dauに突出している。
【0068】
静翼50は、図4及び図5に示すように、さらに、衝突板78を備える。この衝突板78は、キャビティ72を、径方向外側Droの領域である第一側キャビティ72aと、径方向内側Driの領域である第二側キャビティ72bとに仕切る。この衝突板78には、径方向Drに貫通する複数の貫通孔79が形成されている。静翼50の径方向内側Driに存在する冷却空気Acの一部は、第二側キャビティ72b内に流入する。第二側キャビティ72bに流入した冷却空気の一部は、衝突板78の貫通孔79を経て、第一側キャビティ72a内に流入し、反ガスパス面65をインピンジ冷却する。
【0069】
外側シュラウド60oは、基本的に、内側シュラウド60iの構成と同じである。よって、外側シュラウド60oも、内側シュラウド60iと同様に、シュラウド本体61と、周壁71と、上流側突出部74と、を有する。但し、外側シュラウド60oは、内側シュラウド60iのリテーナ76に相当する部分を有していない。この外側シュラウド60oのシュラウド本体61も、内側シュラウド60iのシュラウド本体61と同様、ガスパス面64と、反ガスパス面65と、前端面62fと、後端面62bと、負圧側端面63nと、正圧側端面63pと、前端角部66と、前端正圧側角部67pと、前端負圧側角部67nと、を有する。また、この外側シュラウド60oの周壁71も、内側シュラウド60iの周壁71と同様、前周壁71fと、後周壁71bと、正圧側周壁71pと、負圧側周壁71nと、を有する。外側シュラウド60oの前周壁71f及び後周壁71bは、静翼50をタービンケーシング45(図2参照)の内周側に取り付ける役目を担う。
【0070】
前述した出口シール90は、図2に示すように、尾筒35のフランジ37中で径方向外側Droの部分と外側シュラウド60oとを接続する外側出口シール90oと、尾筒35のフランジ37中で径方向内側Driの部分と内側シュラウド60iとを接続する内側出口シール90iと、を有する。
【0071】
内側出口シール90iは、図7に示すように、主板91と、下流側第一板92aと、下流側第二板92bと、上流側第一板93aと、上流側第二板93bと、を有する。主板91は、周方向Dc及び径方向Drに延びている。下流側第一板92a及び下流側第二板92bは、周方向Dc及び軸線方向Daに延びている。下流側第一板92aは、主板91の径方向外側Droの端から軸線下流側Dadに延びている。下流側第二板92bは、主板91の径方向外側Droの端と径方向内側Driの端とのほぼ中間位置から軸線下流側Dadに延びている。この下流側第二板92bは、下流側第一板92aに対して、径方向Drに間隔をあけて、径方向Drで対向している。
【0072】
上流側第一板93aは、周方向Dc及び軸線方向Daに延びている。この上流側第一板93aは、主板91の径方向内側Driの端から軸線上流側Dauに延びている。上流側第二板93bは、周方向Dc及び径方向Drに延びている。この上流側第二板93bは、上流側第一板93aの軸線上流側Dauの端から径方向外側Droに延びている。この上流側第二板93bは、主板91に対して、軸線方向Daに間隔をあけて、軸線方向Daで対向している。
【0073】
内側出口シール90iを構成する部材中で、径方向Drで最も燃焼ガス流路49に近い部材は、下流側第一板92aである。この下流側第一板92aは、尾筒35の筒36及び内側シュラウド60iのシュラウド本体61よりも径方向内側Driに位置する。従って、この下流側第一板92aは、燃焼ガス流路49から径方向Drに離れている。
【0074】
内側出口シール90iは、尾筒接続部94と、静翼接続部95と、冷却空気通路96と、を有する。尾筒接続部94は、尾筒35のフランジ37が入り込めるよう、径方向内側Driに向かって凹む溝である。溝である尾筒接続部94は、主板91と上流側第一板93aと上流側第二板93bとで形成される。静翼接続部95は、内側シュラウド60iの上流側突出部74が入り込めるよう、軸線上流側Dauに向かって凹む溝である。溝である静翼接続部95は、主板91と下流側第一板92aと下流側第二板92bとで形成される。冷却空気通路96は、主板91の径方向内側Driの端で開口している入口96iと、下流側第一板92aの軸線下流側Dadの端で開口する出口96oと、を有する。
【0075】
筒36の後端面36bと、内側シュラウド60iの前端角部66及び前端面62f中でガスパス面64寄りの部分とは、軸線方向Daに間隔をあけて互いに対向している。尾筒35のフランジ37と内側シュラウド60iの前端面62f中でガスパス面64から離れた部分とは、軸線方向Daに間隔をあけて互いに対向している。筒36の後端面36bと、内側シュラウド60iの前端角部66及び前端面62fとの間の軸線方向Daの間隙は、第一間隙S1を成す。尾筒35のフランジ37と内側シュラウド60iの前端面62fと内側出口シール90iの下流側第一板92aとで囲まれた空間は、第二間隙S2を成す。よって、この第二間隙S2は、燃焼ガス流路49から径方向Drに離れた位置に存在する。
第一間隙S1と第二間隙S2とは、互いに径方向Drにつながって一つの隙間空間Sを形成する。出口シール90は、尾筒35内を流れてきた燃焼ガスGの一部が、この隙間空間Sを経て中間ケーシング16内に流出するのを防ぐ役目も担っている。
【0076】
外側出口シール90oは、内側出口シール90iの構成と同じである。但し、外側出口シール90oの構成要素における径方向Drの相互関係は、内側出口シール90iの構成要素における径方向Drの相互関係と逆である。このため、例えば、外側出口シール90oの下流側第一板92aは、外側出口シール90oの主板91における径方向内側Driの端に設けられている。また、外側出口シール90oの尾筒接続部94は、径方向外側Droに向かって凹む溝である。
【0077】
翼体51、外側シュラウド60o及び内側シュラウド60iには、図3及び図5に示すように、径方向Drに延びる複数の翼空気通路81が形成されている。各翼空気通路81は、いずれも、外側シュラウド60oから、翼体51を経て、内側シュラウド60iにまで連なって形成されている。複数の翼空気通路81は、翼体51のキャンバーラインCLに沿って並んでいる。隣接する翼空気通路81の一部は、径方向外側Droの部分、又は径方向内側Driの部分で互いに連通している。また、複数の翼空気通路81のうち、いずれかは、外側シュラウド60oの反ガスパス面65で開口している。さらに、複数の翼空気通路81のうち、いずれかは、内側シュラウド60iの反ガスパス面65で開口している。静翼50の径方向外側Dro又は径方向内側Driに存在する冷却空気Acの一部は、この翼空気通路81の開口から翼空気通路81内に流入する。翼体51の前縁52及び後縁53には、翼空気通路81から燃焼ガス流路49へ貫通する複数の翼面噴出通路82が形成されている。
【0078】
内側シュラウド60iには、図5及び図6に示すように、複数の後端通路83と、複数の第一空気通路84と、複数の第二空気通路85と、第三空気通路86と、が形成されている。
【0079】
複数の後端通路83は、周方向Dcに並んでいる。これらの後端通路83は、入口83iと出口83oとを有する。入口83iは、第一側キャビティ72aを画定する面であって、後周壁71bの軸線上流側Dauを向く面に形成されている。出口83oは、後端面62bに形成されている。
【0080】
複数の第一空気通路84は、図5図7に示すように、周方向Dcに並んでいる。これら第一空気通路84は、図7に示すように、第一入口84iと第一出口84oとを有する。第一入口84iは、キャビティ前側画定面73f中で第二側キャビティ72bを画定する部分で開口している。第一出口84oは、前端角部66中の前端傾斜面66aで開口している。第一空気通路84は、第一空気通路84中の第一出口84oを含む第一出口側部84poを有する。この第一出口側部84poは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向外側Droに向かうよう形成されている。さらに、この第一出口側部84poは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に周方向正圧側Dcpに向かうように傾斜している(図6参照)。
【0081】
複数の第二空気通路85は、図5図7に示すように、周方向Dcに並んでいる。本実施形態では、複数の第一空気通路84と複数の第二空気通路85とが、周方向Dcに、交互に並んでいる。これら第二空気通路85は、図7に示すように、第二入口85iと第二出口85oとを有する。第二入口85iは、キャビティ前側画定面73f中で第二側キャビティ72bを画定する部分で開口している。第二出口85oは、前端面62fで開口している。この第二出口85oは、軸線方向Daで筒36の後端面36bと対向している。第二空気通路85は、第二空気通路85中の第二出口85oを含む第二出口側部85poを有する。この第二出口側部85poは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向外側Droに向かうよう形成されている。
【0082】
第三空気通路86は、図6及び図8に示すように、第三入口86iと第三出口86oとを有する。第三入口86iは、キャビティ前側画定面73f中で第二側キャビティ72bを画定する部分で開口している。第三出口86oは、前端負圧側角部67n中の前端負圧側傾斜面67naで開口している。第三空気通路86は、第三空気通路86中の第三出口86oを含む第三出口側部86poを有する。この第三出口側部86poは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向外側Droに向かうよう形成されている。さらに、この第三出口側部86poは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に周方向負圧側Dcnに向かうように傾斜している。
【0083】
外側シュラウド60oには、図5に示すように、複数の後端通路83と、複数の第四空気通路87とが形成されている。
【0084】
複数の後端通路83は、内側シュラウド60iの複数の後端通路83と同様、周方向Dcに並んでいる。これらの後端通路83は、入口83iと出口83oとを有する。入口83iは、外側シュラウド60oの第一側キャビティ72aを画定する面であって、後周壁71bの軸線上流側Dauを向く面に形成されている。出口83oは、外側シュラウド60oの後端面62bに形成されている。
【0085】
複数の第四空気通路87は、周方向Dcに並んでいる。これら第四空気通路87は、第四入口87iと第四出口87oとを有する。第四入口87iは、外側シュラウド60oのキャビティ前側画定面73f中で第一側キャビティ72aを画定する部分で開口している。第四出口87oは、外側シュラウド60oの前端面62fで開口している。
【0086】
なお、外側シュラウド60oには、以上の第四空気通路87の替わりに、第一空気通路84及び第二空気通路85を形成してもよい。さらに、外側シュラウド60oには、第三空気通路86を形成してもよい。このように、外側シュラウド60oに第一空気通路84や第二空気通路85等を形成する場合、この外側シュラウド60oにとっての高さ方向第一側Dh1は、径方向内側Driになり、この外側シュラウド60oにとっての高さ方向第二側Dh2は、径方向外側Droになる。このため、例えば、外側シュラウド60oに形成される第一空気通路84中の第一出口側部84poは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向内側Driに向かうよう形成される。
【0087】
静翼50は、ガスタービン10が駆動している間、高温の燃焼ガスGに晒される。このため、静翼50に各種通路を形成し、この通路に空気を通して、静翼50を冷却する。
【0088】
ところで、燃焼ガス流路49において、静翼50の上流側周りには、周方向Dcで隣り合う二つの静翼50の間を流れる燃焼ガス流の関係で、周方向Dcに圧力分布が生ずる。つまり、静翼50の上流側周りでは、翼体51の前縁52を基準にして、側方向第一側Ds1(正圧側)の部分の圧力が高くなり、相対的に側方向第二側Ds2(負圧側)の圧力が低くなる。このため、燃焼ガス流路49を流れている燃焼ガスは、尾筒35の後端面36bと内側シュラウド60iの前端面62fとの間のうち、翼体51の前縁52を基準にして側方向第二側Ds2(負圧側)の部分よりも側方向第一側Ds1(正圧側)の部分から、燃焼ガスGが隙間空間S内に流入し易くなる。更に、流入した一部の燃焼ガスGは、隙間空間S内を周方向Dcに移動して、圧力の低い側方向第二側Ds2の燃焼ガス流路49に排出される。
【0089】
静翼50の内側シュラウド60iに着目すると、図7に示すように、内側シュラウド60iのガスパス面64は、燃焼ガスGに晒される。また、第一空気通路84及び第二空気通路85に空気が流れていない場合、尾筒35と内側シュラウド60iとの間の隙間空間Sには、前述したように、燃焼ガスGが流れ込む。このため、ガスパス面64と前端面62fとの角部である前端角部66は、ガスパス面64の側と前端面62fの側とからの入熱により、二面加熱される。従って、前端角部66は、ガスパス面64や前端面62fより、燃焼ガスGによって加熱され易い。
【0090】
内側シュラウド60iの第二側キャビティ72bには、中間ケーシング16内の圧縮空気が流入する。この圧縮空気の一部は、冷却空気Acとして、第一入口84iから第一空気通路84に流入する。この圧縮空気の他の一部は、冷却空気Acとして、第二入口85iから第二空気通路85に流入する。さらに、この圧縮空気の他の一部は、冷却空気Acとして、第三入口86iから第三空気通路86(図8参照)に流入する。
【0091】
第一空気通路84に流入した冷却空気Acは、この第一空気通路84を通過する過程で、内側シュラウド60iの軸線上流側Dauの部分、特にガスパス面64の軸線上流側Dauの部分を対流冷却する。冷却空気Acは、前端角部66に形成されている第一出口84oから燃焼ガス流路49内に流出する。燃焼ガス流路49内に流出した冷却空気Acは、パージ空気として機能し、燃焼ガスGが前端角部66に至るのを抑制して、燃焼ガスGによる前端角部66の加熱を抑制する。さらに、燃焼ガス流路49内に流出した冷却空気Acは、尾筒35と内側シュラウド60iとの間の隙間空間Sに燃焼ガスGが流れ込むのを抑制するパージ空気として機能すると共に、燃焼ガスGの希釈により、この隙間空間Sに流入するガスの温度を下げる。
【0092】
第一空気通路84の第一出口側部84poは、前述したように、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向外側Droに向かっている。このため、この第一空気通路84から流出した冷却空気Acは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向外側Droに向かう。従って、この第一空気通路84から流出した冷却空気Acにより、効果的に、燃焼ガスGが前端角部66に至るのを抑制できると共に、隙間空間Sに燃焼ガスGが流れ込むのを抑制できる。さらに、この第一出口側部84poは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に周方向正圧側Dcpに向かっている。このため、第一入口84iが形成されているキャビティ前側画定面73fと第一出口84oが形成されている前端角部66との間の距離が短くても、第一空気通路84を径方向Drにも延びる傾斜通路として形成することにより、第一空気通路84の通路長を長くすることができる。従って、この第一空気通路84を通過している冷却空気Acにより、効果的に、内側シュラウド60iの軸線上流側Dauの部分を対流冷却できる。
【0093】
ここで、第一空気通路84を通過中の冷却空気Acは、燃焼ガスGに晒される内側シュラウド60iを対流冷却する効果を有する。また、第一空気通路84から流出した冷却空気Acは、燃焼ガスGの内側シュラウド60iへの接触を抑制して、この内側シュラウド60iの加熱を抑制するパージ空気としての効果を有する。第一空気通路84は、第一空気通路84から流出した冷却空気Acをパージ空気として機能させる効果よりも、第一空気通路84を通過中の冷却空気Acによる対流冷却による効果を大きくするようにした通路である。
【0094】
第二空気通路85に流入した冷却空気Acは、この第二空気通路85を通過する過程で、内側シュラウド60iの軸線上流側Dauの部分、特に前端面62f周りを対流冷却する。冷却空気Acは、前端面62fに形成されている第二出口85oから隙間空間Sに流出する。隙間空間Sに流出した冷却空気Acは、燃焼ガスGが隙間空間Sに面している前端面62fに至るのを抑制することで、燃焼ガスGによる前端面62f及び尾筒35の後端面36bの加熱を抑制する。つまり、この冷却空気Acは、前端面62f周りを対流冷却すると共に、隙間空間Sに流入する燃焼ガスGを希釈してこの隙間空間S内のガス温度を下げて、前端面62f、尾筒35の後端面36b、及びこれらの周囲の加熱を抑制する。さらに、隙間空間Sに流出した冷却空気Acは、この隙間空間Sに燃焼ガスGが流れ込むのを抑制するパージ空気として機能する。
【0095】
第二空気通路85の第二出口側部85poは、前述したように、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向外側Droに向かっている。このため、この第二空気通路85から流出した冷却空気Acは、軸線上流側Dauに向かうに連れて、次第に径方向外側Droに向かう。従って、この第二空気通路85から流出した冷却空気Acにより、効果的に、燃焼ガスGが隙間空間Sに流入するのを抑制できる。
【0096】
この第二空気通路85は、第一空気通路84と比較して、対流冷却による効果よりも冷却空気Acをパージ空気として機能させる効果を大きくするようにした通路である。
【0097】
第三空気通路86に流入した冷却空気Acは、この第三空気通路86を通過する過程で、内側シュラウド60iの軸線上流側Dauの部分、特に、ガスパス面64の軸線上流側Dauで且つ周方向負圧側Dcnの部分、及び負圧側端面63nの軸線上流側Dauの部分を対流冷却する。冷却空気Acは、前端負圧側角部67nに形成されている第三出口86oから燃焼ガス流路49内に流出する。燃焼ガス流路49内に流出した冷却空気Acは、燃焼ガスGが前端負圧側角部67nに至るのを抑制することで、燃焼ガスGによる前端負圧側角部67nの加熱を抑制する。つまり、この冷却空気Acは、前端負圧側角部67n及びその周囲をフィルム冷却する。さらに、燃焼ガス流路49内に流出した冷却空気Acは、尾筒35と内側シュラウド60iとの間の隙間空間Sに燃焼ガスGが流れ込むのを抑制すると共に、この隙間空間Sに流入するガスの温度を下げる。
【0098】
ところで、第一空気通路84と第二空気通路85とのうち、一方の空気通路のみでも、内側シュラウド60iの軸線上流側Dauの部分を冷却し、この部分の熱損傷を抑えることができる。ここで、仮に、第一空気通路84のみで内側シュラウド60iの軸線上流側Dauの部分を冷却する場合について考察する。この場合、第二空気通路85による効果も第一空気通路84が担う必要がある。このため、例えば、第一空気通路84の通路断面積を大きくして、第一空気通路84を流れる冷却空気Acの流量を、本実施形態において第一空気通路84及び第二空気通路85を流れる冷却空気Acの総流量より、多くする必要がある。
【0099】
さらに、仮に、第二空気通路85のみで内側シュラウド60iの軸線上流側Dauの部分を冷却する場合について考察する。この場合、第一空気通路84による効果も第一空気通路84が担う必要がある。このため、例えば、第二空気通路85の数を多くして、第二空気通路85を流れる冷却空気Acの流量を、本実施形態において第一空気通路84及び第二空気通路85を流れる冷却空気Acの総流量より、多くする必要がある。
【0100】
従って、本実施形態の内側シュラウド60iは、第一空気通路84及び第二空気通路85を有するので、内側シュラウド60iを効果的に冷却して、内側シュラウド60iの耐久性を向上させつつも、この内側シュラウド60iを冷却するための冷却空気Acの使用量を抑えることができる。
【0101】
「静翼の変形例」
第一空気通路84の数と第二空気通路85の数とは同数でなくてもよい。例えば、図9に示すように、第一空気通路84の数を第二空気通路85の数より多くしてもよい。また、逆に、第二空気通路85の数を第一空気通路84の数より多くしてもよい。従って、複数の第一空気通路84と複数の第二空気通路85とを周方向Dcに交互に配置しなくてもよい。
【0102】
また、第一空気通路84の通路総断面積と第二空気通路85の通路総断面積とは同じでなくてもよい。例えば、第一空気通路84の通路断面積を第二空気通路85の通路断面積より大きくしてもよい。
【0103】
内側シュラウド60iの前端角部66のうち、周方向正圧側Dcpの端及び周方向負圧側Dcnの端を除く全域に、第一空気通路84の第一出口84oを配置しなくてもよい。また、内側シュラウド60iの前端面62fのうち、周方向正圧側Dcpの端及び周方向負圧側Dcnの端を除く全域に、第二空気通路85の第二出口85oを配置しなくてもよい。前述したように、燃焼ガスGは、尾筒35の後端面36bと内側シュラウド60iの前端面62fとの間のうち、翼体51の前縁52を基準にして周方向負圧側Dcnの部分よりも周方向正圧側Dcpの部分から、燃焼ガスGが隙間空間S内に流入し易い。このため、例えば、前端角部66のうち、翼体51の前縁52を基準にして、周方向正圧側Dcpのみに第一空気通路84の第一出口84oを配置してもよい。また、前端面62fのうち、翼体51の前縁52を基準にして、周方向正圧側Dcpのみに第二空気通路85の第二出口85oを配置してもよい。具体的に、例えば、前端角部66のうち、翼体51の前縁52を基準にして、周方向正圧側Dcpのみに第一空気通路84の第一出口84oを配置し、前端面62fのうち、周方向正圧側Dcpの端及び周方向負圧側Dcnの端を除く全域に第二空気通路85の第二出口85oを配置しなくてもよい。逆に、前端角部66のうち、周方向正圧側Dcpの端及び周方向負圧側Dcnの端を除く全域に第一空気通路84の第一出口84oを配置し、前端面62fのうち、翼体51の前縁52を基準にして、周方向正圧側Dcpのみに第二空気通路85の第二出口85oを配置してもよい。
【0104】
また、繰り返すことになるが、外側シュラウド60oには、第四空気通路87の替わりに、第一空気通路84及び第二空気通路85を形成してもよい。さらに、この外側シュラウド60oには、第三空気通路86を形成してもよい。
【符号の説明】
【0105】
10:ガスタービン
11:ガスタービンロータ
15:ガスタービンケーシング
16:中間ケーシング
20:圧縮機
21:圧縮機ロータ
22:ロータ軸
23:動翼列
23a:動翼
25:圧縮機ケーシング
26:静翼列
26a:静翼
30:燃焼器
31:バーナ
32:バーナ枠
33:内筒(又は燃焼筒)
35:尾筒
36:筒
36b:後端面
37:フランジ
40:タービン
41:タービンロータ
42:ロータ軸
43:動翼列
43a:動翼
45:タービンケーシング
45a:外側ケーシング
45b:内側ケーシング
45c:分割環
45p:冷却空気通路
46:静翼列
46a:静翼
49:燃焼ガス流路
50:静翼
51:翼体
52:前縁
53:後縁
54:負圧面
55:正圧面
60o:外側シュラウド
60i:内側シュラウド
61:シュラウド本体
62f:前端面
62b:後端面
63n:負圧側端面
63p:正圧側端面
64:ガスパス面
65:反ガスパス面
66:前端角部
66a:前端傾斜面
67p:前端正圧側角部
67n:前端負圧側角部
67na:前端負圧側傾斜面
71:周壁
71f:前周壁
71b:後周壁
71n:負圧側周壁
71p:正圧側周壁
72:キャビティ
72a:第一側キャビティ
72b:第二側キャビティ
73:キャビティ画定面
73f:キャビティ前側画定面
74:上流側突出部
76:リテーナ
78:衝突板
79:貫通孔
81:翼空気通路
82:翼面噴出通路
83:後端通路
84:第一空気通路
84i:第一入口
84o:第一出口
84po:第一出口側部
85:第二空気通路
85i:第二入口
85o:第二出口
85po:第二出口側部
86:第三空気通路
86i:第三入口
86o:第三出口
86po:第三出口側部
87:第四空気通路
87i:第四入口
87o:第四出口
90:出口シール
90i:内側出口シール
90o:外側出口シール
91:主板
92a:下流側第一板
92b:下流側第二板
93a:上流側第一板
93b:上流側第二板
94:尾筒接続部
95:静翼接続部
96:冷却空気通路
A:空気
Ac:冷却空気
F:燃料
G:燃焼ガス
Ar:軸線
Ca:燃焼器軸線
S:隙間空間
S1:第一間隙
S2:第二間隙
Da:軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
Dc:周方向
Dcp:周方向正圧側
Dcn:周方向負圧側
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
Dh:翼高さ方向
Dh1:高さ方向第一側
Dh2:高さ方向第二側
Ds:側方向
Ds1:側方向第一側
Ds2:側方向第二側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9