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特開2021-32605検査治具および電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-32605(P2021-32605A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】検査治具および電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20210201BHJP
【FI】
   G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-150240(P2019-150240)
(22)【出願日】2019年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】岡村 篤司
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG12
2G003AH00
2G003AH08
(57)【要約】
【課題】エアを供給する機構を設置するためのスペースを削減することができる検査治具を提供する。
【解決手段】検査治具は、半導体装置を押圧する押圧面が検査装置へ向かう方向へ移動するための力が作用している押さえ部材と、押さえ部材を移動可能なように保持するガイド部材と、ガイド部材を移動させる駆動機構と、ガイド部材に設けられており、検査装置へ向かう方向へ押さえ部材が移動しないように押さえ部材が移動することを制限する第1の制限部と、第1の制限部による押さえ部材の移動の制限を解除する解除部材と、ガイド部材に設けられており、押圧面に張り付いた半導体装置が検査装置に接触しないように、押さえ部材と衝突して押さえ部材が移動することを制限する第2の制限部と、を備えたものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を検査装置に押圧する押圧面を有し、前記押圧面が前記検査装置へ向かう方向へ移動するための力が作用している押さえ部材と、
前記検査装置へ向かう方向へ前記押さえ部材が移動可能なように、前記押さえ部材を保持するガイド部材と、
前記検査装置から離れる方向へ前記ガイド部材を移動させる駆動機構と、
前記ガイド部材に設けられており、前記駆動機構が前記ガイド部材を移動させた場合に、前記検査装置へ向かう方向へ前記押さえ部材が移動しないように、前記押さえ部材と接触して前記押さえ部材が移動することを制限する第1の制限部と、
前記第1の制限部が前記押さえ部材の移動を制限している状態で前記駆動機構が前記ガイド部材を移動させた場合に、前記押さえ部材を前記検査装置に向かって押圧し、前記第1の制限部による前記押さえ部材の移動の制限を解除する解除部材と、
前記ガイド部材に設けられており、前記解除部材が前記押さえ部材の移動の制限を解除して前記押さえ部材が前記検査装置へ向かって移動した場合に、前記押圧面に張り付いた前記半導体装置が前記検査装置に接触しないように、前記押さえ部材と衝突して前記押さえ部材が移動することを制限する第2の制限部と、
を備えた検査治具。
【請求項2】
前記第1の制限部が前記押さえ部材の移動を制限している状態で前記駆動機構によって前記ガイド部材が移動した後であり、前記解除部材が前記押さえ部材の移動の制限を解除する前において、前記第1の制限部は、前記押圧面に張り付いた前記半導体装置と前記検査装置との距離が第1の距離以上となるように、前記押さえ部材の移動を制限し、
前記第2の制限部は、前記解除部材によって移動の制限を解除された前記押さえ部材が、前記第1の距離より短い第2の距離を移動した時点で、前記押さえ部材の移動を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記解除部材は、前記押さえ部材を挟んで前記検査装置と対向する位置に固定された部材であり、前記第1の制限部に移動を制限された前記押さえ部材が前記ガイド部材とともに前記駆動機構によって移動した場合に、前記押さえ部材に接触して押圧する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査治具。
【請求項4】
前記押さえ部材は、前記押圧面に接続された側面を有する筒状の部材であり、前記側面には凹部が形成されており、
前記第1の制限部は、前記側面と対向する位置に配置され前記凹部に嵌まり込むことが可能な球体と、前記球体を前記側面に向かって押圧する弾性部材とを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の検査治具。
【請求項5】
前記押さえ部材は、前記押圧面に接続された側面を有する筒状の部材であり、前記側面には第1の凸部が形成されており、
前記第1の制限部は、前記側面と対向する位置に配置され前記第1の凸部の頂部と接触可能な頂部を有する第2の凸部を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の検査治具。
【請求項6】
前記押さえ部材は、前記押圧面に接続された側面を有する筒状の部材であり、前記側面には凹部が形成されており、
前記第1の制限部は、前記側面と対向する位置に配置され前記凹部に嵌まり込むことが可能な凸部を有する板バネを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の検査治具。
【請求項7】
前記ガイド部材の第1の制限部と第2の制限部の間に設けられており、前記解除部材が前記第1の制限部による前記押さえ部材の移動の制限を解除して前記押さえ部材が前記検査装置へ向かって移動した場合に、前記押さえ部材が移動することを制限する第3の制限部をさらに備えており、
前記解除部材は、前記第3の制限部が前記押さえ部材の移動を制限している状態で前記駆動機構が前記ガイド部材を移動させた場合に、前記押さえ部材を前記検査装置に向かって押圧し、前記第3の制限部による前記押さえ部材の移動の制限を解除する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の検査治具。
【請求項8】
前記ガイド部材の第1の制限部と第2の制限部の間に前記第3の制限部が複数設けられていること
を特徴とする請求項7に記載の検査治具。
【請求項9】
前記ガイド部材と前記押さえ部材の間に設けられ、前記押圧面が前記検査装置へ向かう方向へ移動するように前記押さえ部材を押圧する弾性部材をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の検査治具。
【請求項10】
ウェハを準備する準備ステップと、
前記ウェハに回路を形成する加工ステップと、
回路を形成した前記ウェハを切断する切断ステップと、
切断された前記ウェハをパッケージ基板に実装して電子デバイスとする実装ステップと、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の検査治具における前記押圧面で、前記電子デバイスを前記検査装置に押圧し、検査を行う検査ステップと、
前記検査治具における前記駆動機構によって、前記ガイド部材を移動させ、前記第1の制限部によって前記押さえ部材の移動を制限する移動制限ステップと、
前記第1の制限部によって前記押さえ部材の移動が制限された状態で、前記検査治具における前記駆動機構によって、前記ガイド部材を移動させ、前記解除部材によって前記第1の制限部による前記押さえ部材の移動の制限を解除し、前記第2の制限部によって前記押さえ部材の移動を制限して、前記電子デバイスを前記押圧面から剥離させ、回収する回収ステップと、
を備えた電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を検査する際に半導体装置を検査装置に押しつける検査治具に関する。また、本発明は、半導体装置である電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の電気特性を検査する際に、半導体装置を検査装置に押しつける検査治具がある。半導体装置を検査装置に押しつけることで、半導体装置の端子と検査装置の評価端子を接触させ、半導体装置の電気特性の検査が行われる。
一方で、半導体装置を検査装置に押しつけると、半導体装置が検査治具に張り付いてしまうことがあり、検査終了後に何等かの手段で半導体装置を検査治具から剥離する必要がある。検査治具から半導体装置を剥離する手段として、検査治具から半導体装置へエアを吹き出すことが考えられる。例えば、下記の特許文献1の検査治具は、検査治具内の空気通路から半導体装置へエアを供給可能であり、半導体装置を剥離することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−24977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1の検査治具は、エアを供給する機構を設置するためのスペースが必要になるという問題があった。また、上記の特許文献1の検査治具を用いて半導体装置である電子デバイスを製造すると、エアを供給する機構を設置するためのスペースが必要となり、限られたスペースでは製造することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、エアを供給する機構を設置するためのスペースを削減することができる検査治具を提供することを目的とする。また、エアを供給する機構を設置するためのスペースを削減して電子デバイスを製造することが可能な電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検査治具は、半導体装置を検査装置に押圧する押圧面を有し、押圧面が検査装置へ向かう方向へ移動するための力が作用している押さえ部材と、検査装置へ向かう方向へ押さえ部材が移動可能なように、押さえ部材を保持するガイド部材と、検査装置から離れる方向へガイド部材を移動させる駆動機構と、ガイド部材に設けられており、駆動機構がガイド部材を移動させた場合に、検査装置へ向かう方向へ押さえ部材が移動しないように、押さえ部材と接触して押さえ部材が移動することを制限する第1の制限部と、第1の制限部が押さえ部材の移動を制限している状態で駆動機構がガイド部材を移動させた場合に、押さえ部材を検査装置に向かって押圧し、第1の制限部による押さえ部材の移動の制限を解除する解除部材と、ガイド部材に設けられており、解除部材が押さえ部材の移動の制限を解除して押さえ部材が検査装置へ向かって移動した場合に、押圧面に張り付いた半導体装置が検査装置に接触しないように、押さえ部材と衝突して押さえ部材が移動することを制限する第2の制限部と、を備えたものである。
【0007】
本発明に係る電子デバイスの製造方法は、ウェハを準備する準備ステップと、ウェハに回路を形成する加工ステップと、回路を形成したウェハを切断する切断ステップと、切断されたウェハをパッケージ基板に実装して電子デバイスとする実装ステップと、上記の検査治具における押圧面で、電子デバイスを検査装置に押圧し、検査を行う検査ステップと、検査治具における駆動機構によって、ガイド部材を移動させ、第1の制限部によって押さえ部材の移動を制限する移動制限ステップと、第1の制限部によって押さえ部材の移動が制限された状態で、検査治具における駆動機構によって、ガイド部材を移動させ、解除部材によって第1の制限部による押さえ部材の移動の制限を解除し、第2の制限部によって押さえ部材の移動を制限して、電子デバイスを押圧面から剥離させ、回収する回収ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る検査治具では、第1の制限部による移動の制限を解除された押さえ部材が、第2の制限部まで移動して衝突し第2の制限部で再度移動を制限される。第2の制限部で移動を制限された際に、衝突により押さえ部材が停止し、押さえ部材に張り付いた半導体装置には慣性力が作用し、押さえ部材と半導体装置が剥離する。よって、本発明に係る検査治具は、エアを供給する機構を設置せずに、半導体装置を剥離することができ、エアを供給する機構を設置するためのスペースを削減することができる。
【0009】
また、本発明に係る電子デバイスの製造方法では、上記の検査治具を用いて、電子デバイスの検査を行う。よって、エアを供給する機構を設置せずに、半導体装置を剥離することができ、エアを供給する機構を設置するためのスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る検査治具の構成を示す斜視図、および、I−I断面における断面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る検査治具を用いて、半導体装置を検査装置に押さえつけてから、半導体装置を検査治具から剥離するまでの様子を示した概略図である。
図3】本発明の実施の形態2に係る検査治具の断面図である。
図4】本発明の実施の形態3に係る検査治具の断面図である。
図5】本発明の実施の形態4に係る検査治具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図中の同一の符号は、同一または相当する部分を表す。
【0012】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る検査治具1の構成について、図1を用いて説明する。図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る検査治具1で半導体装置100を検査装置101へ押さえつけている様子を示しており、図1(b)は、検査治具1の一部の断面(図1(a)のI−I断面)を示している。なお、図1(a)では、説明の便宜上、ガイド部材20の前面を省略してガイド部材20の内部を示している。
図1(a)に示されているように、検査治具1は、半導体装置100を検査装置101に押圧するための押圧面11を有する押さえ部材10を備えている。押さえ部材10は、円形状の押圧面11と、押圧面11に接続された側面12とを有する円筒状の部材である。押圧面11とは反対側で側面12は円形状の頂面13と接続されている。この頂面13の外周部は側面12よりせり出しており、押さえ部材10は、T字状の断面を有している(図1(b)参照)。
押さえ部材10の押圧面11は、半導体装置100を挟んで検査装置101と対向するように配置され、押さえ部材10が検査装置101へ向かう方向へ移動した場合に、半導体装置100と接触し、半導体装置100を検査装置101に押さえつける(図1(a)の状態)。
また、押さえ部材10の押圧面11は、ゴム、ウレタン等の軟質系材料または樹脂等の硬質系材料で構成されており、半導体装置100を強く押圧すると、半導体装置100が押圧面11に張り付くことがある。
【0013】
検査治具1は、図1(a)、(b)に示されているように、押さえ部材10を内部に保持するガイド部材20を備えている。ガイド部材20は、円形状の底部21と、底部21に接続された側部22と、底部21とは反対側で側部22に接続された円形状の頂部23とを有する中空の円筒状の部材である。
ガイド部材20の底部21には外部と内部とをつなぐ開口が形成され、押さえ部材10が挿入されており、押さえ部材10の押圧面11がガイド部材20の外部へ突出している。ガイド部材20の底部21の開口周辺の部分と押さえ部材10の側面12とは、スライド可能に接触している。そのため、押さえ部材10は、ガイド部材20の軸方向に沿ってスライド可能であり、そのほかの方向へは移動できないようにガイド部材20に保持されている。すなわち、押さえ部材10は、押圧面11が検査装置101へ向かう方向へ移動可能なように、ガイド部材20に保持されている。また、ガイド部材20の側部22の内壁面と押さえ部材10の頂面13の外周部もスライド可能に接触している。
また、ガイド部材20の頂部23には、外部と内部をつなぐ貫通孔24が形成されている。この貫通孔24は、後述する解除部材50が挿入される孔である。
【0014】
ガイド部材20の内部において、ガイド部材20の頂部23と押さえ部材10の頂面13の間には空間が形成されている。この空間には、頂部23の内壁面に接するように円形状の部材である板材30が設けられている。板材30の外周部はガイド部材20の側部22の内壁面とスライド可能に接触しており、板材30は、ガイド部材20の内部で、ガイド部材20の軸方向に沿ってスライド可能である。この板材30と押さえ部材10の頂面13の間にはバネ31が配置されている。バネ31は、頂面13と板材30の間で伸縮可能であり、押圧面11がガイド部材20から離れる方向へ移動するように押さえ部材10を押圧している。すなわち、押さえ部材10には、押圧面11が検査装置101へ向かう方向へ移動するための力が作用している。図1(a)は、押さえ部材10で半導体装置100を押さえつけている状態を示しているので、バネ31は収縮した状態である。
なお、バネ31に代えて、ゴムなどを利用してもよい。バネ31およびゴムなどを総称して弾性部材という。
【0015】
検査治具1は、上述のような押さえ部材10、ガイド部材20、板材30およびバネ31を移動させるための駆動機構40を備えている。駆動機構40は、ガイド部材20の側部22に接続されており、駆動源からの力をガイド部材20の底部21が検査装置101へ近接、検査装置101から離間する方向の力に変換するものである。すなわち、底部21が検査装置101へ向かう方向へガイド部材20を移動させ、底部21が検査装置101から離れる方向へガイド部材20を移動させるものである。ガイド部材20が移動することに伴って、押さえ部材10、板材30およびバネ31も移動する。
なお、駆動源には、モータやシリンダが用いられるが、検査者が駆動機構を直接操作してもよい。
【0016】
ガイド部材20が駆動機構40によって検査装置101へ近づく方向へ移動すると、押圧面11が半導体装置100と接触する。接触すると、バネ31を収縮させて、押さえ部材10はガイド部材20の内部へ収縮する。また、ガイド部材20が駆動機構40によって検査装置101から遠ざかる方向へ移動すると、押さえ部材10はバネ31の力を受けて、ガイド部材20から突出する方向へ移動する。この際に、押さえ部材10のガイド部材20から突出する方向への移動は、下記に説明する構成により制限される。
押さえ部材10の側面12には、凹部15が形成されている。この凹部15は、バネ31が収縮した状態でガイド部材20の内部に位置し、バネ31が完全に伸長した状態でガイド部材20の外部に位置するように配置されている。言い換えれば、バネ31が収縮した状態から伸長した状態に変形する際に、凹部15がガイド部材20の底部21の開口を通過するように、凹部15は配置されている。
また、ガイド部材20の底部21の開口周辺には、押さえ部材10の側面12と対向する位置に凹部25が形成されている(図1(b)参照)。そして、凹部25の内部には、バネ26が配置されており、バネ26と押さえ部材10の側面12の間には、凹部15に嵌まり込む大きさの球体27が配置されている。バネ26は球体27を押さえ部材10の側面12に向かって押圧している。したがって、押さえ部材10が移動して、押さえ部材10の凹部15と球体27とが対向すると、バネ26の押圧力によって、球体27が凹部15に嵌まり込み、押さえ部材10とガイド部材20の相対的な移動が制限される。すなわち、バネ26および球体27は、駆動機構40がガイド部材20を検査装置101から離れる方向へ移動させた場合に、押さえ部材10の押圧面11が検査装置101へ向かう方向へ移動しないように、押さえ部材と接触して押さえ部材が移動することを制限するものであり、これらを第1の制限部と呼ぶ。また、押さえ部材10の凹部15と球体27とが対向していない場合は、押さえ部材10とガイド部材20の相対的な移動は妨げられない。
【0017】
上記のように押さえ部材10の移動が制限された状態を解除するために、検査治具1は、解除部材50を備えている(図1(a)参照)。解除部材50は、押さえ部材10およびガイド部材20を挟んで検査装置101と対向する天井51などに固定されており、軸方向が押さえ部材10およびガイド部材20へ向って伸びる棒状の部材である。より詳細には、解除部材50の軸中心は、ガイド部材20の頂部23に形成された貫通孔24の中心と略一致している。
そして、解除部材50は、駆動機構40がガイド部材20を検査装置101に向かって移動させ押圧面11で半導体装置100を押圧している状態では、ガイド部材20と離れた位置にあるように配置されている。また、押圧面11で半導体装置100を押圧した後にガイド部材20が検査装置101から離れる方向へ移動して、押さえ部材10の移動が制限された状態なった後、さらに、ガイド部材20がさらに検査装置101から離れる方向へ移動すると、解除部材50がガイド部材20の頂部23の貫通孔24に挿入され、押さえ部材10の頂面13と接触して押さえ部材10を検査装置101に向かって押圧するように、解除部材50は配置されている。押さえ部材10は、解除部材50によって押圧されると、バネ26および球体27による移動の制限が解除される。
【0018】
ここで、検査治具1を用いて検査される半導体装置100は、ウェハに回路を形成して切断した半導体チップに対して端子を接続した電子デバイスである。より具体的には、CDMA(Code Division Muotiple Access)をはじめとする携帯電話基地局用電力増幅器であり、LDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)、GaN−HEMT(Gallium Nitride−High Electron Mobility Transistor)またはGaAs−HBT(Gallium Arsenide−Heterojunction Bipolar Transistor)である。これらの電子デバイスは、携帯電話基地局の大きさに応じて、数ワットから数百ワットの出力電力が求められ、出力電力に比例して発熱量が増加する。
また、検査治具1によって押しつけられた半導体装置100を検査する検査装置101は、半導体装置100の電気特性を検査するための検査装置である。検査装置101は、評価基板102上に半導体装置100の端子と接続される評価端子103が設置されており、さらに、評価基板102には放熱板104が設置されている(図2(a)参照)。
上記のとおり、半導体装置100である電力増幅器は、発熱量が大きいため、電気特性検査を行う場合、電力増幅器を評価基板102に十分に密着させて、放熱板104から放熱しなければ、熱の影響により電力増幅器の電気特性を正しく検査できないことがある。そのため、検査治具1は、押圧面11で半導体装置100である電力増幅器を検査装置101へ押さえつけるように構成されている。また、検査治具1は、強い力で半導体装置100を検査装置101へ押さえつけるため、検査後に半導体装置100が検査治具1の押圧面11に張り付いた状態となることがある。
【0019】
次に、以上のように構成された検査治具1を用いて、半導体装置100を検査する方法について、図2を用いて、説明する。
図2は、検査治具1で半導体装置100を検査装置101へ押さえつけてから、検査治具1から半導体装置100を剥離させるまでの様子を示しており、(a)から(d)まで時系列に並んでいる。なお、図2では駆動機構40を省略している。また、図2(a)、(b)では、解除部材50を省略している。また、各構成を示す符号は、図2(a)に付しており、図2(b)、(c)、(d)では省略している。図2(c)では、解除部材50と天井51の符号だけを示している。
【0020】
まず、図2(a)に示すように、駆動機構40によってガイド部材20を検査装置101へ近づく方向(黒塗の矢印の方向)へ移動させて、押さえ部材10の押圧面11と半導体装置100とを接触させ、半導体装置100を検査装置101へ押しつける。この際、バネ31は、収縮している。
半導体装置100を検査装置101へ押しつけることによって、半導体装置100の端子と検査装置101の評価端子を接触させるとともに、評価基板102に半導体装置100を強く押しつけて放熱性を確保する。そして、半導体装置100の電気特性の検査を行う。
【0021】
次に、図2(b)に示すように、駆動機構40によってガイド部材20を検査装置101から離れる方向(黒塗の矢印の方向)へ移動させる。この際、バネ31が伸長し、押さえ部材10がガイド部材20から突出する方向へ移動し、ガイド部材20の底部21に設けられた球体27と押さえ部材10の側面12に設けられた凹部15とが対向する。バネ26に押圧された球体27は、凹部15へ嵌りこみ、押さえ部材10とガイド部材20の相対的な移動が制限される。押さえ部材10の移動が制限されているため、バネ31はこれ以上伸長しないが、バネ31はまだ収縮した状態であり、押さえ部材10を押圧している。
【0022】
次に、図2(c)に示すように、駆動機構40によってガイド部材20を検査装置101からさらに離れる方向(黒塗の矢印の方向)へ移動させる。この際、押さえ部材10とガイド部材20の相対的な移動が制限されているので、押さえ部材10は、ガイド部材20とともに検査装置101から離れるが、半導体装置100は押圧面11へ張り付いたままである。この状態で、半導体装置100と検査装置101との距離を第1の距離(図中のAの距離)とする。
そして、ガイド部材20と押さえ部材10が検査装置101から離れる方向へ移動していくと、解除部材50がガイド部材20の頂部23の貫通孔24から挿入される。ここで、押さえ部材10の押圧面11に張り付いた半導体装置100と検査装置101との距離は第1の距離以上となっている。そして、解除部材50は、板材30を検査装置101の方向(白抜きの矢印の方向)へ押圧して、バネ31を収縮させる。
【0023】
解除部材50によるバネ31の収縮によって、バネ31の伸長しようとする力が大きくなると、押さえ部材10は、バネ26および球体27による移動の制限が解除され、検査装置101へ近づく方向(白抜きの矢印の方向)へ移動する(図2(d))。そして、ガイド部材20の底部21の開口周辺と、押さえ部材10の頂面13のせり出した部分とが衝突して、押さえ部材10は、これ以上、ガイド部材20から突出できないように移動を制限される。ここで、押さえ部材10の検査装置101へ近づく方向への移動が停止するため、押圧面11に張り付いた半導体装置100には検査装置101へ近づく方向へ向かおうとする慣性力が働き、半導体装置100は押圧面11から剥離される。
なお、ガイド部材20の底部21の開口周辺は、押さえ部材10の頂面13の外周部と接触して押さえ部材10の移動を制限するので、底部21を第2の制限部と呼ぶ。
【0024】
ここで、球体27が凹部15に嵌まり込んで押さえ部材10の移動が制限されている状態で、押さえ部材10の頂面13のせり出した部分における検査装置101側の面とガイド部材20の底部21の検査装置101とは反対側の面の距離を第1の距離より短い第2の距離(図2(c)の距離B)となるように構成しておく。このようにすることで、解除部材50によって移動の制限を解除された押さえ部材10は第2の距離だけ移動した時点で再び移動を制限される。第2の距離は第1の距離より短いので、押さえ部材10がガイド部材20から突出しようとした際に、半導体装置100が検査装置101と接触することはない。
【0025】
本発明の実施の形態1に係る検査治具1は、以上のように構成されており、次のような効果を奏する。
検査治具1は、ガイド部材20の底部21に設けられたバネ26および球体27によって押さえ部材10の移動が制限される。そして、解除部材50によって移動の制限が解除されて、押さえ部材10が移動し、ガイド部材20の底部21と衝突し押さえ部材の移動が再び制限される。押さえ部材10の移動が停止することに伴い、押圧面11に張り付いた半導体装置100は慣性力を受けて、押圧面11から剥離する。
よって、検査治具1は、エアを供給する機構を備えていなくても半導体装置100を剥離することができ、エアを供給する機構を設置するスペースを削減することができる。
【0026】
また、検査治具1は、バネ26および球体27によって押さえ部材10の移動が制限された際の半導体装置100と検査装置101との距離である第1の距離よりも、バネ26および球体27によって押さえ部材10の移動が制限された状態から押さえ部材10の移動が再び制限されるまでに移動できる距離である第2の距離が短くなるように構成されている。
よって、半導体装置100が検査装置101に衝突することなく、半導体装置100を押圧面11から剥離することができ、半導体装置100が破損することを抑制することができる。
【0027】
検査治具1は、解除部材50が押さえ部材10およびガイド部材20を挟んで検査装置101と対向する位置に固定されており、駆動機構40によって押さえ部材10およびガイド部材20が移動することで、解除部材50によって押さえ部材10が押圧され、押さえ部材10の移動の制限が解除される。
よって、検査治具1は、押さえ部材10およびガイド部材20を移動させる駆動機構40を用いて押さえ部材10の移動の制限を解除できるので、解除部材50を移動させる駆動機構を別途設ける必要がなく、低コスト、小スペースで検査を行うことができる。
【0028】
検査治具1は、第1の制限部として、バネ26および球体27を備えている。解除部材50によって押さえ部材10が押圧された際に、球体27には角が形成されていないため、凹部15に引っかかりにくく、スムーズに凹部15から外れる。そのため、第1の制限部が凹部15と引っかかり、押さえ部材10の移動の制限が解除できないといった誤作動を抑制することができる。
【0029】
ここで、本発明の実施の形態1の補足説明および変形例の説明を行う。
実施の形態1で説明した半導体装置100は電子デバイスであるとしたが、電子デバイスにリードフレームや放熱板などを取り付けた半導体モジュールであってもよい。
また、検査装置101は評価基板102、評価端子103および放熱板104を備えているが、さらに、検査後の半導体装置100を回収するための回収ボックスを備えていてもよい。この場合、解除部材50を回収ボックスと対向する位置に配置しておく。検査治具1の駆動機構40は、バネ26および球体27が押さえ部材10の移動を制限している状態で、押さえ部材10およびガイド部材20を回収ボックス上まで移動させる。そして、検査治具1が回収ボックス上に到達した後で、解除部材50が押さえ部材10の移動の制限を解除して、半導体装置100を押圧面11から剥離させ、回収ボックスに半導体装置100を落下させる。
また、上記の回収ボックスを2つ用意しておき、それらを良品用および不良品用としてもよい。検査装置101による検査で半導体装置100が良品と判断された場合は、検査治具1は良品用の回収ボックス上まで移動して、半導体装置100を剥離して落下させる。半導体装置100が不良品と判断された場合は、検査治具1は不良品用の回収ボックス上まで移動して、半導体装置100を剥離して落下させる。
【0030】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1で説明した構成および動作と同様の部分については説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について、以下に説明する。なお。実施の形態2の検査治具201は実施の形態1の変形例と組み合わせて実施することができる。
実施の形態2の検査治具201は、第1の制限部の構成および押さえ部材10の側面12の構成が実施の形態1とは異なる。実施の形態2の検査治具201の構成は図3に示されており、図3は、図1(b)と対応する検査治具201の断面図である。ただし、図1(a)とは異なり、第1の制限部によって押さえ部材10の移動が制限された状態を示している。
【0031】
実施の形態1の検査治具1は、図1に示されるように、押さえ部材10の側面12に凹部15が形成されていたが、実施の形態2の検査治具201は、図3に示されるように、凹部15に代えて、凸部211が形成されている。
また、実施の形態1の検査治具1は、図1に示されるように、ガイド部材20の底部21の開口周辺に凹部25が形成されその内部にバネ26および球体27が配置されていたが、実施の形態2の検査治具201は、図3に示されるように、凹部25、バネ26および球体27に代えて、凸部221が形成されている。なお、凸部211を第1の凸部、凸部221を第2の凸部と呼ぶ。
【0032】
ガイド部材20に設けられた凸部221は、その頂面が押さえ部材10の凸部211の頂面と接触可能な大きさで構成されている。すなわち、押さえ部材10が半導体装置100を検査装置101へ押しつけている状態から、バネ31が伸長して押さえ部材10が検査装置101へ近づく方向へ移動して凸部211と凸部221とが対向した場合に、凸部211の頂面と凸部221の頂面とは接触可能なように構成されている。
そして、凸部211の頂面と凸部221の頂面が接触している状態では、頂面同士の摩擦によって、バネ31の押圧を受けても押さえ部材10の移動が制限される。また、押さえ部材10が解除部材50によって押圧された場合、摩擦による移動の制限が維持できなくなり、移動の制限が解除される。
なお、凸部221は、押さえ部材10の移動を制限するので、第1の制限部である。
【0033】
本発明の実施の形態2に係る検査治具201は、以上のように構成されており、実施の形態1と同様の効果を奏するだけでなく、次のような効果を奏する。
検査治具201では、凸部211と凸部221を形成するだけで、押さえ部材10の移動を制限することができるので、バネ26および球体27を必要とせず、低コストで治具を作成することができる。また、簡易な構成であるため、検査治具201を小型化することができる。
【0034】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1で説明した構成および動作と同様の部分については説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について、以下に説明する。なお。実施の形態3の検査治具301は実施の形態1の変形例と組み合わせて実施することができる。
実施の形態3の検査治具301は、第1の制限部の構成が実施の形態1とは異なる。実施の形態3の検査治具301の構成は図4に示されており、図4は、図1(b)と対応する検査治具301の断面図である。ただし、図1(a)とは異なり、第1の制限部によって押さえ部材10の移動が制限された状態を示している。
【0035】
実施の形態1の検査治具1は、図1に示されるように、ガイド部材20の凹部25内にバネ26および球体27が設けられていたが、実施の形態3の検査治具301は、図4に示されるように、バネ26および球体27に代えて、板バネ321が設けられている。
板バネ321は、押さえ部材10の側面12に向かって凸部が形成されており、押さえ部材10の凹部15と凸部とが対向した場合、凸部が凹部15へ嵌りこみ、押さえ部材10の移動を制限する。また、押さえ部材10が解除部材50によって押圧された場合、板バネ321が側面12とは反対方向へ変形することで、押さえ部材10の移動の制限が解除される。
なお、板バネ321は、押さえ部材10の移動を制限するので、第1の制限部である。
【0036】
本発明の実施の形態3に係る検査治具301は、以上のように構成されており、実施の形態1と同様の効果を奏するだけでなく、次のような効果を奏する。
検査治具301では、板バネ321を設けるだけで、押さえ部材10の移動を制限することができるので、バネ26および球体27を必要とせず、低コストで治具を作成することができる。また、簡易な構成であるため、検査治具201を小型化することができる。
【0037】
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態2で説明した構成および動作と同様の部分については説明を省略し、実施の形態2と異なる部分について、以下に説明する。なお。実施の形態4の検査治具401は実施の形態1、実施の形態3またはその変形例と組み合わせて実施することができる。
実施の形態4の検査治具401は、押さえ部材10に設けられた凸部およびガイド部材20に設けられた凸部の位置が実施の形態2とは異なる。また、第1の制限部および第2の制限部に加えて、複数の第3の制限部が設けられている。実施の形態4の検査治具401の構成は図5に示されており、図5は、図3と対応する検査治具401の断面図である。ただし、図3とは異なり、押さえ部材10は、第1の制限部によって移動を制限されていない状態を示している。
【0038】
実施の形態2の検査治具201は、図3に示されるように、押さえ部材10の側面12に凸部211が設けられていたが、実施の形態4の検査治具401は、図5に示されるように、頂面13における側部22と対向する位置に凸部411が設けられている。
また、実施の形態2の検査治具201は、図3に示されるように、ガイド部材20の底部21の開口周辺に凸部221が設けられていたが、実施の形態4の検査治具401は、図5に示されるように、ガイド部材20の側部22の内壁面に凸部421が設けられている。凸部411と凸部421は、実施の形態2と同様、頂面同士が接触することで発生する摩擦により、押さえ部材10の移動を制限するような大きさで構成されている。
なお、凸部421は、押さえ部材10の移動を制限する第1の制限部である。
【0039】
検査治具401は、さらに、ガイド部材20の側部22の内壁面に複数の凸部422A、422B、422C、422Dを備えている。凸部422A、422B、422C、422Dは順番に、側部22の内壁面において、凸部421と底部21の間に設けられている。凸部422A、422B、422C、422Dの形状は、凸部421と略同一であり、その頂面が凸部411の頂面と接触することで発生する摩擦により、押さえ部材10の移動を制限するような大きさで構成されている。
凸部422A、422B、422C、422Dは、押さえ部材10の移動を制限するものであり、第3の制限部と呼ぶ。
【0040】
次に、検査治具401の動作について説明する。
まず、半導体装置100を検査装置101へ押しつけている動作は、実施の形態1と同様である(図2(a)参照)。駆動機構40によってガイド部材20が検査装置101から離れる方向へ移動すると、バネ31が伸長し、押さえ部材10が検査装置101の方向へ移動し、凸部411と凸部421が接触して、押さえ部材10の移動が制限される(図2(b)参照。ただし、第1の制限部の構成、位置は異なる)。その後、さらにガイド部材20が検査装置101から離れる方向へ移動すると、解除部材50が押さえ部材10を押圧し、凸部421による移動の制限が解除される(図2(c)参照)。
そして、押さえ部材10は解除部材50に押されて、押さえ部材10に設けられた凸部411は、ガイド部材20に設けられた凸部422A、422B、422C、422Dと次々に衝突し、押圧面11に張り付いた半導体装置100に対して断続的に慣性力を作用させる。
最終的に、押さえ部材10の頂面13とガイド部材20の底部21が衝突し、押さえ部材10の移動が制限される(図2(d)参照)。
【0041】
本発明の実施の形態4に係る検査治具401は、以上のように構成されており、実施の形態2と同様の効果を奏するだけでなく、次のような効果を奏する。
検査治具401は、第3の制限部として、凸部422を備えている。そのため、半導体装置100には、第3の制限部および第2の制限部によって、少なくとも2回、慣性力が作用する。よって、半導体装置100が押圧面11に強く張り付いている場合でも、半導体装置100を容易に剥離し、回収することができる。
【0042】
検査治具401は、第3の制限部として、複数の凸部422A、422B、422C、422Dを備えている。これにより、半導体装置100には、第3の制限部によって複数回にわたって、断続的に慣性力が作用する。よって、半導体装置100が押圧面11に強く張り付いている場合でも、半導体装置100を容易に剥離し、回収することができる。
【0043】
ここで、本発明の実施の形態4の補足説明および変形例の説明を行う。
実施の形態4では、押さえ部材10の凸部411が、凸部422A、422B、422C、422Dと接触して、最終的に押さえ部材10の頂面13とガイド部材の底部21とが接触する例を示した。この例においては、凸部422A、422B、422C、422Dが第3の制限部であり、底部21が第2の制限部である。これに代えて、押さえ部材10が、凸部422B、422C、422Dのいずれかと接触した際に、それ以上、押さえ部材10が検査装置101に近づく方向へ移動しないようにしてもよい。例えば、凸部422B、422C、422Dのいずれかの大きさを大きくすることで、移動の制限を解除できないようにすることができる。または、凸部422B、422C、422Dのいずれかと接触した後に解除部材50で移動の制限を解除しなければよい。このようにした場合、最後に押さえ部材10の移動を制限する凸部422B、422C、422Dは、第2の制限部となる。また、このようにすることで、押さえ部材10のガイド部材20からの突出量を少なくすることができ、ガイド部材20の移動量を少なくしても、半導体装置100が検査装置101と衝突しなくなる。
【0044】
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5では、実施の形態1の検査治具1を用いて半導体装置100である電子デバイスを製造する方法について説明する。なお、実施の形態1の検査治具1を用いた場合について説明するが、実施の形態1の変形例、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4またはその変形例に係る検査治具を用いてもよい。
【0045】
(準備ステップ)
まず、高純度のGaN結晶体であるインゴットを円形状に切り出し、ウェハを準備する。
(加工ステップ)
切り出したウェハの表面に対して研磨処理、薄膜結晶成長処理を行い、予め用意したフォトマスクを用いてウェハの表面に回路を形成する。
(切断ステップ)
回路を形成したウェハを、ダイヤモンドブレードを使って切断し、複数の半導体チップを作成する。
(実装ステップ)
切断されたウェハである半導体チップを、端子などにより構成されるパッケージ基板に実装して、電子デバイスを作成する。
(検査ステップ)
作成した電子デバイスを検査装置101上まで搬送し、検査装置101の評価端子103と電子デバイスの端子の位置合わせを行う。そして、検査治具1の駆動機構40によってガイド部材20および押さえ部材10を検査装置101へ向かって移動させ、押圧面11で電子デバイスを検査装置101へ向かって押圧する。この状態で、評価端子103と電子デバイスの端子を通電させて電子デバイスの電気特性の検査を行う。
(移動制限ステップ)
検査後に、検査治具1の駆動機構40によってガイド部材20を、検査装置101から離れる方向へ移動させる。この際、押さえ部材10は、バネ31によって押圧されて、検査装置101の方向へ移動する。そして、押さえ部材10の側面12の凹部15と、ガイド部材20の球体27とが対向した際に、球体27は凹部15に嵌まり込み、押さえ部材10は検査装置101へ向かう方向への移動が制限される。
(回収ステップ)
押さえ部材10の移動が制限された状態で、検査治具1の駆動機構40は、ガイド部材20を移動させ、ガイド部材20の頂部23の貫通孔24に解除部材50を挿入する。解除部材50は押さえ部材10を押圧し、移動の制限を解除する。その後、押さえ部材10はバネ31に押圧されて検査装置101へ向かう方向へ移動し、押さえ部材10の頂面13の外周部とガイド部材20の底部21とが衝突して、押さえ部材10の移動が制限される。このとき、押圧面11に張り付いた電子デバイスは、慣性力によって剥離され、回収される。
【0046】
本発明の実施の形態5に係る電子デバイスの製造方法は、以上のように構成されており、次のような効果を奏する。
実施の形態5では、電子デバイスを製造する際に、実施の形態1等の検査治具を用いている。よって、エアを供給する機構を設置しなくても、電子デバイスを剥離することができ、エアを供給する機構を設置するスペースを削減することができる。
【0047】
ここで、本発明の実施の形態1から実施の形態4の補足説明および変形例の説明を行う。
実施の形態1から実施の形態3では、第1の制限部をガイド部材20の底部21に設けていた。また、第1の制限部と接触する凹部または凸部を押さえ部材10の側面12に設けていた。これらの構成については、実施の形態4と同様に、ガイド部材20の側部22の内壁面、押さえ部材10の頂面13の外周部に設けてもよい。
また、実施の形態4においても、第1の制限部または第3の制限部をガイド部材の底部21の開口周辺に設け、第1の制限部または第3の制限部と接触する押さえ部材10の凸部411を押さえ部材10の側面12に設けてもよい。
【0048】
実施の形態1から実施の形態4の検査治具は、押さえ部材10とガイド部材20の間に板材30を配置していたが、板材30を配置しなくてもよい。この場合、解除部材50は、押さえ部材10の頂面13を直接押圧し、押さえ部材10の移動の制限を解除する。
【0049】
実施の形態1から実施の形態4の検査治具のガイド部材20は、円筒状の部材としたが、多角形の筒状の部材であってもよい。また、ガイド部材20の内部に多角形状の空間を形成し、押さえ部材10および板材30は、多角形の部材としてもよい。
【0050】
また、実施の形態1から実施の形態4では、検査治具のガイド部材20の底部21の開口周辺の部分と押さえ部材10の側面12とがスライド可能に接触しており、押さえ部材10は、ガイド部材20の軸方向以外の方向へは移動できないとしたが、ガイド部材20の底部21の開口周辺の部分と押さえ部材10の側面12の間に遊びを設けて、さらに、押さえ部材10の頂面13の外周部とガイド部材20の側部22の内壁面との間にも遊びを設けてもよい。このようにすることで、押さえ部材10がガイド部材20の軸方向以外にもわずかに移動可能となる。そして、このような検査治具を用いることで、半導体装置100と押圧面11の位置関係がずれていたとしても、押さえ部材10がわずかに移動することで、ずれを吸収でき、半導体装置100を均一に押圧することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の検査治具は、半導体装置の検査に利用することができる。また、本発明の電子デバイスの製造方法は、電力増幅器などの電子デバイスの製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 検査治具、10 押さえ部材、11 押圧面、12 側面、13 頂面、15 凹部、20 ガイド部材、21 底部、22 側部、23 頂部、24 貫通孔、25 凹部、26 バネ、27 球体、30 板材、31 バネ、40 駆動機構、50 解除部材、51 天井、100 半導体装置、101 検査装置、102 評価基板、103 評価端子、104 放熱板、201 検査治具、211 凸部、221 凸部、301 検査治具、321 板バネ、401 検査治具、411 凸部、421 凸部、422 凸部
図1
図2
図3
図4
図5