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特開2021-34163荷電粒子ビームシステム、及び重ね合わせずれ量測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-34163(P2021-34163A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】荷電粒子ビームシステム、及び重ね合わせずれ量測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20210201BHJP
   G01B 15/04 20060101ALI20210201BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20210201BHJP
【FI】
   H01J37/22 502G
   H01J37/22 502H
   G01B15/04 K
   H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-150662(P2019-150662)
(22)【出願日】2019年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山木 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】後藤 泰範
(72)【発明者】
【氏名】田盛 友浩
(72)【発明者】
【氏名】淺尾 一成
【テーマコード(参考)】
2F067
4M106
【Fターム(参考)】
2F067AA03
2F067AA13
2F067AA15
2F067AA63
2F067BB01
2F067BB04
2F067CC17
2F067EE03
2F067EE04
2F067HH06
2F067JJ05
2F067KK04
2F067PP12
2F067RR24
2F067RR35
2F067RR44
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA39
4M106DB05
4M106DB18
4M106DJ12
4M106DJ18
4M106DJ20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高精度な重ね合わせずれ量の測定を可能にする。
【解決手段】この荷電粒子ビームシステムは、検出器の出力に基づいて、試料の第1の層、及び第1の層よりも下層の第2の層の間の重ね合わせずれ量を測定するコンピュータシステムを備える。コンピュータシステムは、検出器の出力に基づいて、第1の層についての第1画像P1、及び第2の層についての第2画像P2を生成し、第1の加算枚数の第1画像を加算して第1加算画像P1oを生成し、第1の加算枚数よりも大きい第2の加算枚数の第2画像を加算して第2加算画像P2oを生成する。第1加算画像及び第2加算画像に基づき、第1の層及び第2の層の間の重ね合わせずれ量が測定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に荷電粒子ビームを照射する荷電粒子ビーム照射部と、
前記試料からの信号を検出する検出器と、
前記検出器の出力に基づいて、前記試料の第1の層、及び前記第1の層よりも下層の第2の層の間の重ね合わせずれ量を測定するコンピュータシステムと
を備え、
前記コンピュータシステムは、
前記検出器の出力に基づいて、前記第1の層についての第1画像、及び前記第2の層についての第2画像を生成し、
第1の加算枚数の前記第1画像を加算して第1加算画像を生成し、前記第1の加算枚数よりも大きい第2の加算枚数の前記第2画像を加算して第2加算画像を生成し、
前記第1加算画像及び前記第2加算画像に基づき、前記第1の層及び前記第2の層の間の重ね合わせずれ量を測定するよう構成された
ことを特徴とする荷電粒子ビームシステム。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、
第1のテンプレート画像と前記第1加算画像との間のマッチング処理を実行すると共に、第2のテンプレート画像と前記第2加算画像との間のマッチング処理を実行し、前記マッチング処理の結果に従い、前記第1の層及び前記第2の層の間の重ね合わせずれ量を測定するように構成された、請求項1に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項3】
前記コンピュータシステムは、前記荷電粒子ビームの前記試料への照射により発生した二次電子の情報に基づき前記第1画像を生成し、前記荷電粒子ビームの前記試料への照射により発生した反射電子の情報に基づき、前記第2画像を生成する、請求項1に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項4】
前記コンピュータシステムは、前記第1の加算枚数、及び前記第2の加算枚数を設定するよう構成された、請求項1に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項5】
前記コンピュータシステムは、前記第1の加算枚数、及び前記第2の加算枚数に加え、撮像された複数の画像のうち、何番目の画像を選択するかを設定可能に構成された、請求項4に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項6】
前記コンピュータシステムは、前記荷電粒子ビームの照射軌道を異ならせて得られた複数の画像を加算することにより前記第1加算画像及び前記第2加算画像を生成する、請求項1に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項7】
前記コンピュータシステムは、ドリフトによる影響を低減するドリフト補正を実行した後の画像を加算して前記第1加算画像及び前記第2加算画像を生成する、請求項1に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項8】
前記コンピュータシステムは、前記第2の加算枚数の前記第2画像を加算する場合に、前記第2の加算枚数よりも小さい第3の枚数毎に前記第2画像を加算して複数の中間画像を生成し、前記複数の中間画像の間のずれ量に従い、前記ドリフト補正を実行する、請求項7に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項9】
荷電粒子ビームの試料への照射により検出器により検出された信号に基づき、試料の異なる層の間の重ね合わせずれ量を測定する重ね合わせずれ量測定方法であって、
前記検出器の出力に基づいて、前記試料の第1の層についての第1画像、及び前記第1の層よりも下層の第2の層についての第2画像を生成するステップと、
第1の加算枚数の前記第1画像を加算して第1加算画像を生成し、前記第1の加算枚数よりも大きい第2の加算枚数の前記第2画像を加算して第2加算画像を生成するステップと、
前記第1加算画像及び前記第2加算画像に基づいて、前記第1の層及び前記第2の層の間の重ね合わせずれ量を測定するステップと
を備えることを特徴とする重ね合わせずれ量測定方法。
【請求項10】
第1のテンプレート画像と前記第1加算画像との間のマッチング処理を実行すると共に、第2のテンプレート画像と前記第2加算画像との間のマッチング処理を実行するステップを更に備え、前記重ね合わせずれ量の測定は、前記マッチング処理の結果に従い実行される、請求項9に記載の重ね合わせずれ量測定方法。
【請求項11】
前記荷電粒子ビームの前記試料への照射により発生した二次電子の情報に基づき前記第1画像を生成し、前記荷電粒子ビームの前記試料への照射により発生した反射電子の情報に基づき前記第2画像を生成する、請求項9に記載の重ね合わせずれ量測定方法。
【請求項12】
前記第1の加算枚数、及び前記第2の加算枚数を設定するステップを更に備える、請求項9に記載の重ね合わせずれ量測定方法。
【請求項13】
前記第1の加算枚数、及び前記第2の加算枚数を設定するステップは、撮像された複数の画像のうち、何番目の画像を選択するかを設定することを含む、請求項12に記載の重ね合わせずれ量測定方法。
【請求項14】
前記第1加算画像及び前記第2加算画像は、
前記荷電粒子ビームの照射軌道を異ならせて得られた複数の画像を加算することにより生成される、請求項9に記載の重ね合わせずれ量測定方法。
【請求項15】
前記第1加算画像及び前記第2加算画像の生成において、ドリフトによる影響を低減するドリフト補正を実行した後の画像を加算して前記第1加算画像及び前記第2加算画像を生成する、請求項9に記載の重ね合わせずれ量測定方法。
【請求項16】
前記第2の加算枚数の前記第2画像を加算する場合に、前記第2の加算枚数よりも小さい第3の枚数毎に前記第2画像を加算して複数の中間画像を生成し、前記複数の中間画像の間のずれ量に従い、前記ドリフト補正を実行する、請求項15に記載の重ね合わせずれ量測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビームシステム、及び重ね合わせずれ量測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、リソグラフィ処理及びエッチング処理を用いて、フォトマスクに形成されたパターンを半導体ウェハ上に転写する工程を行い、これを繰り返すことにより製造される。半導体デバイスの製造工程では、リソグラフィ処理及びエッチング処理の良否、並びに異物の発生等が、製造される半導体デバイスの歩留まりに大きく影響する。従って、製造工程における異常や不良の発生を早期に、又は事前に検知することが、半導体デバイスの歩留まりの向上のために重要である。
【0003】
このため、半導体デバイスの製造工程では、半導体ウェハ上に形成したパターンの計測や検査が行われる。とりわけ、近年の半導体デバイスの微細化の更なる進展と三次元化の進行により、異なる工程間におけるパターンの重ね合わせずれ量の計測及び制御を的確に実行することの重要度が高まっている。
【0004】
従来の装置では、光を半導体デバイスに照射することにより得られる反射光に基づいて、各工程で作成されたパターンの位置を計測し、異なる工程間でのパターンの重ね合わせずれ量を計測することが行われている。しかし、パターンの微細化の進展により、光によるずれ量の検出手法では、必要とされる検出精度を得ることが難しくなっている。そのため、光よりも分解能が高い走査型電子顕微鏡を用いてパターンの重ね合わせずれ量を計測するニーズが高まっている。
【0005】
例えば特許文献1には、二次電子と反射電子とを検出し、各々に最適なコントラスト補正を適用することで異なる層間(上層と下層)の重ね合わせずれ量を高精度に測定する技術が開示されている。しかし、この特許文献1に記載されているように、上層のパターンと下層のパターンの重ね合わせずれ量を走査型電子顕微鏡により測定する場合、下層からの信号は上層からの信号に比べ雑音が多い。このため、特許文献1の装置では、取得した画像を複数枚加算することでSN比(信号雑音比)を向上させ、高精度な重ね合わせずれ量の測定を実現している。
【0006】
しかし、この方法では、複数枚の画像の加算のため、測定対象物に複数回の荷電粒子ビームの照射を行った場合において、荷電粒子ビームに対する感受性が高い上層において形状変化が生じ、その結果上層の形状について正確な情報が得られないという問題が生じ得る。これを回避するため、画像の加算枚数を減らすと、下層の画像のSN比が低くなり、逆に下層の正確な情報が得られない。以上のように、前記方法では、重ね合わせずれ量について高い計測精度を得ることが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/181577号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高精度な重ね合わせずれ量の測定を行うことができる荷電粒子ビームシステム、及び重ね合わせずれ量測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る荷電粒子ビームシステムは、試料に荷電粒子ビームを照射する荷電粒子ビーム照射部と、前記試料からの信号を検出する検出器と、前記検出器の出力に基づいて、前記試料の第1の層、及び前記第1の層よりも下層の第2の層の間の重ね合わせずれ量を測定するコンピュータシステムとを備える。前記コンピュータシステムは、前記検出器の出力に基づいて、第1の層についての第1画像、及び第2の層についての第2画像を生成し、第1の加算枚数の前記第1画像を加算して第1加算画像を生成し、前記第1の加算枚数よりも大きい第2の加算枚数の前記第2画像を加算して第2加算画像を生成する。第1加算画像及び第2加算画像に基づき、前記第1の層及び前記第2の層の間の重ね合わせずれ量が測定される。
【0010】
また、本発明に係る、荷電粒子ビームの試料への照射により検出器により検出された信号に基づき、試料の異なる層の間の重ね合わせずれ量を測定する重ね合わせずれ量測定方法は、前記検出器の出力に基づいて、前記試料の第1の層についての第1画像、及び前記第1の層よりも下層の第2の層についての第2画像を生成するステップと、第1の加算枚数の前記第1画像を加算して第1加算画像を生成し、前記第1の加算枚数よりも大きい第2の加算枚数の前記第2画像を加算して第2加算画像を生成するステップと、前記第1加算画像及び第2加算画像に基づき、前記第1の層及び前記第2の層の間の重ね合わせずれ量を測定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高精度な重ね合わせずれ量の測定を行うことができる荷電粒子ビームシステム、及び重ね合わせずれ量測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態の走査型電子顕微鏡(SEM)の概略構成を示す概略図である。
図2】第1の実施の形態の走査型電子顕微鏡(SEM)の各部の動作を示す概略図である。
図3】第1の実施の形態の荷電粒子ビームシステムにおいて重ね合わせずれ量測定の対象とされる試料の構造の一例を説明する斜視図及び断面図である。
図4】第1の実施の形態における重ね合わせずれ量測定の手順(レシピ設定フロー)の一例を説明するフローチャートである。
図5】第1の実施の形態における重ね合わせずれ量測定の手順(測定実行フロー)の一例を説明するフローチャートである。
図6】第1の実施の形態における重ね合わせずれ量測定の手順(レシピ設定(テンプレート登録)フロー)の一例を説明するフローチャートである。
図7】第1の実施の形態における重ね合わせずれ量測定の手順(測定実行フロー)の一例を説明するフローチャートである。
図8図4のテンプレート登録(ステップS303)、及び測定点登録(ステップS304)を実行するためのGUI画面の一例を説明する。
図9】取得条件設定画面の例である。
図10】測定実行フロー(図5)における位置ずれ量計算(ステップS404)の詳細を説明する概略図である。
図11】第2の実施の形態に係る取得条件設定画面の例である。
図12】第3の実施の形態に係る取得条件設定画面の例である。
図13】第3の実施の形態に係るドリフト補正条件設定画面の例である。
図14】第3の実施の形態におけるドリフトずれ量の検出方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0014】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0015】
以下に説明する実施の形態では、荷電粒子ビームシステムの一例として、走査型電子顕微鏡を主に説明する。しかし、走査型電子顕微鏡は荷電粒子ビームシステムの単なる一例であり、本発明が以下説明する実施形態に限定されるものではない。本発明における荷電粒子ビームシステムは荷電粒子ビームを用いて対象の情報を取得する装置を広く含むものとする。荷電粒子ビームシステムの一例として、走査型電子顕微鏡を備えた検査装置、形状計測装置、欠陥検出装置が挙げられる。当然ながら、汎用の電子顕微鏡や、電子顕微鏡を備えた加工装置にも適用可能である。
【0016】
また、上記の荷電粒子ビームシステムが信号線で接続されたシステムや荷電粒子ビームシステムを備えた複合装置も含むものとする。また、以下の実施の形態では、半導体ウェハを計測対象とし、半導体ウェハ中の2つの層の重ね合わせずれ量の測定方法について説明する。しかし、この方法も例示のための一例であり具体的に記載された例に本発明が限定されるものではない。例えば「重ね合わせずれ量測定」は2層だけでなく3層以上の場合も含まれ、各層のパターンの位置ずれだけでなく同層のパターンの位置ずれも含まれ得る。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1及び図2を参照して、第1の実施の形態に係る、重ね合わせずれ量測定機能を備えた荷電粒子ビームシステムを説明する。この荷電粒子ビームシステムは、一例として、走査型電子顕微鏡(SEM)であり、荷電粒子ビームである電子ビームの照射により取得される画像を用いて上層のパターンと下層のパターンの重ね合わせずれ量を測定する重ね合わせずれ量測定方法を実行可能に構成されている。図1は、第1の実施の形態の走査型電子顕微鏡(SEM)の概略構成を示す概略図であり、図2は、各部の動作を示す概略図である。
【0018】
このSEMは、電子光学系であるカラム1と、試料室2とを備える。カラム1は、照射すべき電子ビーム(荷電粒子ビーム)を発生させる電子銃3、コンデンサレンズ4、アライナ5、ExBフィルタ6、偏向器7、及び対物レンズ8を備え、荷電粒子ビーム照射部として機能する。コンデンサレンズ4及び対物レンズ8は、電子銃3で発生した電子ビームを集束させて、試料としてのウェハ11上に照射させる。偏向器7は、電子ビームをウェハ11上で走査するため、印加電圧に従って電子ビームを偏向させる。アライナ5は、電子ビームを対物レンズ8に対してアライメントするための電界を発生させるよう構成されている。ExBフィルタ6は、ウェハ11から発せられた二次電子を二次電子検出器9に取り込むためのフィルタである。
【0019】
また、カラム1、及び試料室2には、ウェハ11(試料)からの二次電子を検出するための二次電子検出器9(第1検出器)、及びウェハ11からの反射電子を検出するための反射電子検出器10(第2検出器)が設けられている。なお、ウェハ11は、試料室2に設置されるXYステージ13上に載置される。XYステージ13上には、ウェハ11に加え、ビーム校正のための標準試料12を載置することができる。標準試料12は、XYステージ13上に固定され、ステージコントローラ18からの信号によりXYステージ13が移動することにより、カラム101に対する標準資料12の位置が決定される。また、XYステージ13の上方には、ウェハ11をアライメントするため、ウェハ11を光学的に観察するための光学顕微鏡14が備えられている。
【0020】
このSEMは更に、アンプ15、16、電子光学系コントローラ17、ステージコントローラ18、画像処理ユニット19、及び制御部20を備えている。画像処理ユニット19、及び制御部20は一体としてコンピュータシステムを構成する。アンプ15及び16は、二次電子検出器9及び反射電子検出器10からの検出信号を増幅して画像処理ユニット19に向けて出力する。電子光学系コントローラ17は、制御部20からの制御信号に従ってカラム1内のアライナ5、ExBフィルタ6、偏向器7等を制御する。
【0021】
ステージコントローラ18は、制御部20からの制御信号に従って、XYステージ13を駆動するための駆動信号を出力する。制御部20は、例えば汎用コンピュータにより構成することができる。
【0022】
画像処理ユニット19は、一例として、画像生成部1901、加算画像生成部1902、及びマッチング処理部1903を備えている。画像処理ユニット19は、汎用のコンピュータにより構成することができ、画像生成部1901、加算画像生成部1902、及びマッチング処理部1903は、図示しない画像処理ユニット19が有するプロセッサ、メモリ、及び内蔵のコンピュータプログラムによって画像処理ユニット19内に実現される。
【0023】
画像生成部1901は、アンプ15及び16から受信した増幅検出信号に従って、二次電子に基づいて得られるウェハ11の表面(第1の層)の画像P1(第1画像P1)、及び、反射電子に基づいて得られる表面よりも下層(第2の層)の画像P2(第2画像P2)を生成する。なお、画像生成部1901は、得られた画像に対するエッジ抽出処理、平滑化処理、その他の画像処理を実行する機能を含み得る。
【0024】
加算画像生成部1902は、図2に示すように、複数回の荷電粒子ビームの照射により得られる複数の第1画像P1、又は複数の第2画像P2を、指定された加算枚数だけ加算して、それぞれ第1加算画像P1o、第2加算画像P2oを生成する。後述するように、第2加算画像P2oを生成する際の加算枚数は、第1加算画像P1oを生成する際の加算枚数よりも大きい数に設定される。これは、第1画像P1は電子ビーム感受性の高い表面の画像である一方、第2画像P2は、電子ビーム感受性が低い下層の画像であるためである。
【0025】
マッチング処理部1903は、図2に示すように、第1加算画像P1oと、第1加算画像P1o用のテンプレート画像T1とのマッチングを実行し、テンプレート画像T1と適合する第1加算画像P1o中の画像を抽出する。また、マッチング処理部1903は、第2加算画像P2oと、第2加算画像P2o用のテンプレート画像T2とのマッチングを実行し、テンプレート画像T2と適合する第2加算画像P2o中の画像を抽出する。
【0026】
このマッチングの結果に従い、制御部20において、ウェハ表面と下層との間の重ね合わせずれ量が計測される。ここで、平滑化処理の有無及びその強度、並びにエッジ抽出処理の実行有無は、画像毎に選択可能とすることができる。
【0027】
制御部20は、電子光学系コントローラ17、及びステージコントローラ18を介して、走査型電子顕微鏡(SEM)の全体の制御を司る。制御部20は、図示は省略するが、マウスやキーボードなどユーザが指示入力するための入力部、撮像画像等を表示する表示部、及び、ハードディスクやメモリ等の記憶部を含むことができる。
【0028】
また、制御部20は、例えば、前述のテンプレート画像を生成するテンプレート画像生成部2001、重ね合わせずれ量を計測する重ね合わせずれ量測定部2002を備えることができる。制御部20は、汎用のコンピュータにより構成することができ、テンプレート画像生成部2001、及び重ね合わせずれ量測定部2002は、図示しない制御部20が有するプロセッサ、メモリ、及び内蔵のコンピュータプログラムによって制御部20内に実現される。荷電粒子ビームシステムは前記以外にも各構成要素の制御部及び各構成要素間の情報線を含み得る(図示省略)。
【0029】
図3を参照して、第1の実施の形態の荷電粒子ビームシステムにおいて重ね合わせずれ量測定の対象とされる試料の構造の一例を説明する。図3(a)は、該試料の積層構造を表した模式図(斜視図)の例である。この試料では、ウェハ材料である酸化シリコン203が最下層に位置し、酸化シリコン203上に、例えばアルミニウム等の金属材料からなる下層204が形成されている。更に、酸化シリコン203及び下層204の上に、絶縁材料からなる中間層202が堆積しており、更に中間層202の表面(最上層)に上層201が位置している。上層201及び中間層202には、下層204に達する円柱型のコンタクトホール206が形成されている。このコンタクトホール206の下端は下層204の表面に達している。上層201は、中間層202を保護する保護層である。
【0030】
図3(b)〜(d)は、コンタクトホール206の形成の工程を、図3(a)のA−A’部分に沿った断面図により示している。図3(b)は、ホール205を中間層202の表面まで達するようにエッチングにより形成した段階の断面図である。図3(b)の段階から更に、上層201を保護層としたエッチング処理を施して、図3(c)に示すように、上層201の表面から下層204の表面に達するコンタクトホール206を形成する。
【0031】
コンタクトホール206はエッチング処理後の工程(例えばCVD工程)により導電性物質で埋められる。これにより、下層204の一部が、図示しない上層配線と埋め込まれた導電物質(コンタクト)を介して電気的に接続される。
【0032】
図3(b)及び図3(c)は、ホール205(コンタクトホール206)が所定の重ね合わせずれ量未満で適切に形成されている例を示している。このように重ね合わせずれ量が所定値未満であれば、下層204と上層配線とをコンタクトにより正常に接続することが可能である。
【0033】
しかし、図3(d)に示すように、コンタクトホール206の下層204に対する重ね合わせずれ量が許容値よりも大きいと、コンタクトホール206に埋められた導電性物質が下層204に位置する複数の部材と接することが生じ得る。この場合、重ね合わせずれが生じていない場合に比べ回路の性能が変化してしまい、最終的に製造される半導体デバイスが正常に動作しない可能性がある。このため、重ね合わせずれ量を高精度に計測することが重要になる。
【0034】
以下、図4図7のフローチャートを参照して、本実施の形態における重ね合わせずれ量測定の手順の一例を説明する。重ね合わせずれ量測定は、図4に示す重ね合わせずれ量測定のためのレシピ設定フロー、及び図5に示す測定実行フローを実施することで実現される。図6は、図4のレシピ設定フローにおけるテンプレート登録(ステップS303)の手順の詳細を説明している。また、図7は、図5の測定実行フローにおける重ね合わせずれ量計算(ステップS404)の手順の詳細を示している。なお、レシピとは一連の測定シーケンスを自動及び半自動で実施するための設定を集約したものである。また、テンプレートとは、テンプレート画像、画像取得条件、加算枚数などの情報の集合であり、重ね合わせずれ量の測定を行うためのデータの集合である。
【0035】
図4を参照して、レシピ設定フローを説明する。まず、重ね合わせずれ量測定の対象物であるウェハ11を試料室2へロードする(ステップS301)。次に、ウェハ11の座標系と装置の座標系を一致させるためのウェハアライメントを実行し、その結果としてのウェハアライメント情報を登録する(ステップS302)。
【0036】
その後、取得した画像において、テンプレートの登録を行い(ステップS303)、更に、重ね合わせずれ量の測定を実施するためにウェハ11上で測定対象とする測定点を登録する(ステップS304)。テンプレートの登録の詳細については後述する。以上の手順により重ね合わせずれ量測定のためのレシピが作成され、以降の測定実行フローでは、作成されたレシピに基づいて重ね合わせずれ量の測定が実行される。
【0037】
次に、図5を参照して、測定実行フローについて説明する。まず、ウェハアライメント登録(ステップS302)で登録したウェハアライメント情報に従い、ウェハアライメントを実行する(ステップS401)。次に、測定点登録(ステップS304)で登録した測定点へ移動し(ステップS402)、テンプレート登録(ステップS303)で登録したテンプレートが定める画像取得条件で画像を取得する(ステップS403)。
【0038】
ウェハ11の表面(上層)の画像(加算画像P1o)、及び下層の画像(加算画像P2o)が取得されたら、取得した加算画像P1o、P2oとテンプレート画像T1、T2とのマッチング処理が実行され、その結果に従い、上層と下層の重ね合わせずれ量が計算される(ステップS404)。重ね合わせずれ量の算出については後述する。
【0039】
このステップS402〜S404の動作が、測定点登録(ステップS304)で登録した全ての測定点の測定が完了するまで継続される。測定が終了していない測定点が残っている場合には(ステップS405のNo)次の測定点へ移動(ステップS402)し、全ての測定点での測定が終了した場合には、ウェハ11を試料室2からアンロードする(ステップS406)。その後、測定結果を出力して測定実行フローは終了する(ステップS407)。
【0040】
次に、図6のフローチャートを参照して、レシピ設定フローにおけるテンプレート登録(ステップS303)の詳細を説明する。
【0041】
まず、テンプレート画像を取得するため、指定された画像取得位置にウェハ11を移動させる(ステップS303a)。次に、テンプレート画像の基準点を選択し(ステップS303b)、その後、テンプレート画像として用いる画像の取得条件を設定する(ステップS303c)。そして、選択された基準点を中心に、設定した画像取得条件の下で、ウェハ11の表面についての第1画像P1、及び、下層の第2画像P2を取得する(ステップS303d)。更に、第1画像P1、第2画像P2についての加算枚数が調整されると(ステップS303e)、テンプレートが確定する(ステップS303f)。
【0042】
次に、図7のフローチャートを参照して、測定実行フロー(図5)における位置ずれ量計算(S404)の詳細を説明する。
【0043】
レシピに設定した条件の下で第1画像P1、第2画像P2が取得されると、レシピに設定された加算画像枚数及び加算画像レンジを用いて第1画像P1及び第2画像P2の加算が行われ、第1加算画像P1o、第2加算画像P2oが生成される(ステップS404a)。ここで、「加算画像枚数」とは、何枚の画像を重畳して第1加算画像P1o又は第2加算画像P2oを生成するかを示すデータである。また、「加算画像レンジ」とは、複数枚撮像された画像のうち、何番目から何番目まで画像を使用するかに関するデータである。
【0044】
加算画像枚数に関しては、上述の通り、電子ビーム感受性の高い表面の画像である第1画像P1の加算枚数よりも、電子ビーム感受性が低い下層の画像である第2画像P2の加算枚数を多く設定する。一例としては、第1加算画像P1oについては、2枚の第1画像P1を加算する一方、第2加算画像P2oについては、256枚の第2画像P2を加算するものとして、加算画像枚数を設定することができる。
【0045】
また、第1加算画像P1oについては、撮像された256枚の第1画像P1のうち、最初の1枚目と2枚目(計2枚の)の第1画像P1を加算するものとして、加算画像レンジを「1〜2」と設定することができる。これは、複数枚の画像のうち、初期に撮像された画像が、電子ビームの照射による形成パターンへの影響が少ないからである。なお、加算画像レンジの入力は省略することも可能である。その場合、第1加算画像P1oにおいては、撮像された複数の画像のうちの初期に撮像された画像を制御部20の側で自動的に選択するようにすればよい。
【0046】
一方、第2加算画像P2oについては、撮像された256枚の第2画像P2の全てを加算の対象とし、加算画像レンジを「1〜256」と設定することができる。下層の画像は、上層よりもSN比が低くなりやすいため、加算枚数を増やすことで、より高いSN比の画像を取得することができる。
【0047】
次に、生成された第1加算画像P1o、第2加算画像P2oにおいて、レシピに登録されたテンプレート画像T1、T2に一致する画像の位置が探索される(ステップS404b)。一致する画像の位置が探索されることで、重ね合わせずれ量の計測対象とすべきパターンの位置が算出される(ステップS404c)。なお、テンプレート画像に一致する画像の位置の探索は、例えば正規化相関や位相限定相関などのアルゴリズムにより行うことができる。
【0048】
第1加算画像P1o、第2加算画像P2oの各々において重ね合わせずれ量の計測対象であるパターンの位置が算出されると、その算出結果に従って、上層と下層の間の重ね合わせずれ量が算出される(ステップS404d)。重ね合わせずれ量は、パターンの位置関係を示す指標であればよく、単純な座標の差分として算出してもよいし、予め設定したオフセット量などを加味した差分として算出されてもよい。
【0049】
図8を参照して、テンプレート登録(ステップS303)、及び測定点登録(ステップS304)を実行するためのGUI画面の一例を説明する。このGUI画面は、一例として、ウェハマップ表示エリア501、画像表示エリア502、テンプレート登録エリア503、測定点登録エリア504を含む。
【0050】
ウェハマップ表示エリア501は、ウェハ11の形状をマップ表示するためのエリアである。ウェハマップ表示エリア501の表示倍率は、ウェハマップ倍率設定ボタン505によって変更することができる。
【0051】
画像表示エリア502は、ウェハ11を光学顕微鏡14で撮像した光学顕微鏡画像、又はSEM画像を選択的に表示可能なエリアである。画像表示エリア502の右側には、OMボタン506とSEMボタン507とが表示され、これらのボタンのクリックにより光学顕微鏡画像と走査型電子顕微鏡画像とを選択的に画像表示エリア502に表示することができる。また、倍率変更ボタン508を操作することにより画像表示エリア502における画像の表示倍率を変更することができる。
【0052】
また、テンプレート登録エリア503は、テンプレート画像T1、T2の登録を行うための各種入力を行うためのエリアである。テンプレート登録エリア503は、第1画像P1用のテンプレート画像T1を登録するための第1画面(Template1)503Aと、第2画像P2用のテンプレート画像T2を登録するための第2画面(Template2)503Bとを含む。
【0053】
第1画面503A、及び第2画面503Bは、それぞれ、テンプレート画像表示エリア514、加算枚数調整エリア515、加算画像レンジ調整エリア516、適用ボタン517、及び登録ボタン518を含む。
【0054】
テンプレート画像表示エリア514は、テンプレート画像T1又はT2として取得された画像を表示するためのエリアである。テンプレート画像に用いる画像の取得条件を、条件設定ボタン512をクリックして条件設定を行った後、画像取得ボタン513が押されることで、このテンプレート画像表示エリア514にテンプレート画像となる画像が表示される。
【0055】
加算枚数調整エリア515は、第1画像P1又は第2画像P2について設定された加算枚数を表示し調整するための表示/入力部である。また、加算画像レンジ調整部516は、第1画像P1又は第2画像P2について設定された加算画像レンジを表示し調整するための表示/入力部である。
【0056】
図8の例では、初期値として、ステップS303cで設定した加算画像枚数と加算画像レンジが表示されている。取得した画像が測定に適した画像でない場合は、加算枚数調整エリア515と加算画像レンジ調整エリア516の値を、図示しないマウスやキーボードを操作して変更した後、適用ボタン517をクリックすることで、調整後の画像がテンプレート画像表示エリア514に表示される。加算枚数の調整後、登録ボタン518をクリックすることでテンプレートが確定する。
【0057】
測定点登録エリア504は、測定チップ設定エリア519とチップ内座標設定エリア520を含む。各々のエリアに測定するチップのウェハ内座標と測定点のチップ内座標を入力することにより、確定したテンプレートを用いた重ね合わせずれ量測定を行う測定点が登録される。なお、図8の例の画面は、レシピ試行ボタン521とレシピ確定ボタン522とを含んでいる。レシピ試行ボタン521は、レシピとして設定したレシピ条件を確認するための試行を指示するためのボタンである。また、レシピ確定ボタン522は、レシピ試行ボタン521を試行後、入力されたレシピを確定させる場合に押されるボタンである。また、重ね合わせずれ量測定設定画面操作エリア523は、レシピ条件の保存と読み込みを行うためのエリアである。
【0058】
図8を参照して、テンプレート画像を登録する場合の操作手順を説明する。まず、ウェハマップ表示エリア501の任意の位置をクリックすることで、そのクリックされた位置にウェハ11を移動させる(図4のステップS303a)。図8において、ウェハマップ表示エリア501内のハイライト表示509は、現在表示されているチップの位置を示している。また、クロスマーク510は現在位置を示している。
【0059】
現在位置が画像表示エリア502に表示されると、ユーザにより、図示しないマウス等が操作されることにより、テンプレートの基準点が画像表示エリア502内の任意の位置において選択される(図4のステップS303b)。画像表示エリア502内の基準点クロスマーク511は、選択した基準点を示している。
【0060】
基準点選択の後、条件設定ボタン512をクリックすると、後述する取得条件設定画面が表示される。この取得条件設定画面により、画像取得条件が設定される(図4のステップS303c)。
【0061】
図9は取得条件設定画面の例である。図9に例示する取得条件設定画面601は、光学条件設定エリア602、及び画像生成条件設定エリア603を含む。光学条件設定エリア602の加速電圧設定エリア604とプローブ電流設定エリア605では、各々一次電子の加速電圧とプローブ電流が設定され得る。
【0062】
画像生成条件設定エリア603は、一例として、取得画像ピクセル設定エリア606、取得画像フレーム数設定エリア607、及びパターン条件設定エリア608を含む。取得画像ピクセル設定エリア606において取得画像ピクセルを設定することにより、基準点511を中心に電子ビームを走査する範囲を決定し得る。また、取得画像フレーム数設定エリア607では、取得画像フレーム数、すなわち取得する画像の枚数を決定することができる。本実施の形態では、上層と下層の各パターンに対する重ね合わせずれ量測定を行うため、2つのパターン条件設定エリア608が配置されているが、本形態に限定されるものではない。
【0063】
パターン条件設定エリア608は、一例として、検出器設定エリア609、加算画像枚数設定エリア610、加算画像レンジ設定エリア611、及びパターン種類設定エリア612を含む。各エリアには、測定パターンに適した条件を設定する。例えば本実施の形態では、ホールパターンへの電子ビーム照射によって二次電子検出器9で検出した画像の1枚目と2枚目の合計2枚を加算した画像を上層のテンプレート画像T1とし、ラインパターンへの電子ビーム照射によって反射電子検出器10で検出した画像の1枚目から256枚目の合計256枚を加算した画像を下層のテンプレート画像T2とすることができる。画像の取得条件確定後、条件確定ボタン613をクリックすることで、取得条件が制御部20に記憶される。また設定画面操作エリア614により、設定した取得条件の保存と読み込みが可能であり、一度設定した画像の取得条件の再利用が可能である。
【0064】
次に、図10を参照して、測定実行フロー(図5)における位置ずれ量計算(ステップS404)の詳細を説明する。図10の例では、上層のホールパターン701の重心位置702の座標を算出し((a))、更に下層のラインパターン703の重心位置704の座標を算出する((b))。各種パターンの位置は、一例として重心位置により特定することができるが、重心位置は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、パターンの相対及び絶対座標を特徴づける位置であればよく、幾何学的な中心位置を算出してもよい。
【0065】
図10のように、上層及び下層のパターンの位置を算出した後、上層及び下層のパターンの位置のずれ量を算出し、これを重ね合わせずれ量として算出することができる。重ね合わせずれ量は、パターンの位置関係を示す指標であればよく、単純な座標の差分や、予め設定したオフセット量などを加味した差分などでもよい。
【0066】
以上説明したように、この第1の実施の形態によれば、複数層間の重ね合わせずれ量を測定する場合において、上層の画像よりも、下層の画像において画像の加算回数を大きく設定して加算画像を生成し、この加算画像に従って重ね合わせずれ量を測定する。上層については、荷電粒子ビームによるパターンの変形等の影響が小さい画像のみを加算するため、パターンの形状を正確に撮像できる一方、SN比の低い下層の画像については、加算枚数を多くしてSN比を高めることができる。従って、この第1の実施の形態によれば、高精度な重ね合わせずれ量の測定を行うことができる荷電粒子ビームシステム、及び重ね合わせずれ量測定方法を提供することができる。
【0067】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る荷電粒子ビームシステムとしての走査型電子顕微鏡(SEM)を、図11を参照して説明する。この第2の実施の形態の走査型電子顕微鏡の構成は、第1の実施の形態(図1)と略同一であってよい。また、重ね合わせずれ量の測定の手順も、図4図7のフローチャートと略同一の手順により実行され得る。ただし、この第2の実施の形態では、ステップS303cの画像取得条件設定画面の工程が第1の実施の形態とは異なっている。
【0068】
この第2の実施の形態では、取得条件設定画面において、走査方法を選択可能とされ、例えば走査方法として双方向走査を選択可能とされている。換言すれば、この第2の実施の形態では、電子ビームの照射軌道を異ならせて得られた画像を加算することにより加算画像を生成可能に構成されている。測定対象とする試料、及び電子ビームの走査方向の組み合わせによっては、重ね合わせ測定精度が低下する場合がある。具体的には、検出される電子信号によって形成される画像が試料の凹凸を正しく反映しない場合がある。
【0069】
例えば、左側エッジと右側エッジが対称であるラインパターンであっても、電子ビームを左側から右側の一方向に走査して得られた二次電子信号の形状はエッジ効果等が一因となり左右対称とならない場合がある。また、反射電子信号の形状は、検出器特性等が一因となり左右対称とならない場合がある。
【0070】
そこで、第2の実施の形態では、ステップS303cにおいてエッジ効果又は検出器特性等の影響を低減する走査方法を設定可能とされている。これにより、対象試料や検出される電子信号の形状に基づく誤差を低減することができる。
【0071】
図11は、本実施の形態の取得条件設定画面の一例である。第1の実施の形態(図9)との相違点は、画像生成条件設定エリア603が走査方法設定エリア801を含んでいる点である。該エリアには、電子ビームの走査方向を設定することができる。これにより、対象試料の特性に合わせ、検出される電子信号の形状の差異を低減させて画像を取得することができ、重ね合わせ測定を高精度に実行することができる。
【0072】
例えばエッジ効果が誤差の主原因となる場合、電子ビームを左側から右側に走査した後、同位置を右側から左側に走査する方法(双方向走査)が考えられる。該走査方法によれば、左側から右側に走査して得られる第1の電子信号と、右側から左側に走査して得られる第2の電子信号との加算平均を計算することで、左側エッジと右側エッジのエッジ効果を均一にした二次電子信号を得ることができる。
【0073】
また、検出器特性が誤差の主原因となる場合、走査方向を、ある特定の角度毎に回転させながら走査する方法が考えられる。該走査方法によれば、複数の異なる角度の走査方向により得られる各々の画像に対してパターンマッチング等を用いて対象試料が同一方向となるよう回転し、各々の画像の加算平均を計算することで、ある特定の角度に依存する検出器特性の影響を低減することができる。
【0074】
走査方法及び画像の生成方法は、前記内容に限定されるものではない。対象試料と電子ビームの走査方向の組み合わせを適切に選定し、対象試料から検出される電子信号の形状の差異が低減できれば十分である。
【0075】
以上説明したように、この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。加えて、この第2の実施の形態では、電子ビームの走査方法が選択可能とされることで、対象試料の特性等に応じて、電子信号の形状の差異を低減し、より高精度な重ね合わせずれ計測を実行することが可能になる。
【0076】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る荷電粒子ビームシステムとしての走査型電子顕微鏡(SEM)を、図12を参照して説明する。この第3の実施の形態の走査型電子顕微鏡の構成は、第1の実施の形態(図1)と略同一であってよい。また、重ね合わせずれ量の測定の手順も、図4図7のフローチャートと略同一の手順により実行され得る。ただし、この第3の実施の形態では、走査方法設定エリア801に加え、ドリフト補正の有無(要否)を選択可能にされている。
【0077】
走査型電子顕微鏡において、対象試料の帯電によりドリフトが発生し、これが重ね合わせずれ測定の精度に影響を与えることが起こり得る。例えば、複数画像を撮像して加算し加算画像を生成する場合に、対象試料が電子ビーム照射によって帯電を生じていれば、異なるタイミングで撮像された複数の画像の間で帯電量が異なることになる。この場合、加算される複数の画像の間でドリフトの影響が異なり、画像を加算しても十分な解像度の加算画像が得られない虞がある。
【0078】
このため、この第3の実施の形態の走査型電子顕微鏡は、ステップS303cにおいて画像加算時におけるドリフトの影響を低減するようドリフト補正を実行するか否かを設定画面上において選択可能に構成されている。ドリフト補正が実行される場合、ドリフト補正が実行された後の複数の画像が加算されて加算画像とされる。ドリフト補正が必要と判断される場合には、ドリフト補正を実施する設定を選択することで、ドリフトによる加算画像のぼけを低減することができる。
【0079】
図12は、第3の実施の形態の取得条件設定画面の例である。第2の実施の形態の画面(図11)との相違点は、走査方法設定エリア801に加え、ドリフト補正適用要否設定エリア901及びドリフト補正条件設定ボタン902を有している点である。ドリフト補正適用要否設定エリア901では、対象試料と光学条件の組み合わせから生じるドリフトによる加算画像のぼけを低減するよう、ドリフト補正適用の要否(ON/OFF)を設定する。
【0080】
補正適用により、ステップS303d又はS403において、ドリフト方向へのぼけが低減された加算画像又はテンプレート画像を取得することができ、重ね合わせ測定精度の低下を防ぐことができる。なお、ドリフトによる加算画像のぼけを低減するための具体的な補正方法は、例えば特開2013−165003号公報に記載されている。該補正方法によれば荷電粒子ビーム感受性が高い対象試料及び周期性パターンをもつ対象試料に対して適正な補正が可能となる。
【0081】
ただし、前記補正方法では、単一フレーム画像間の位置ずれ量に対して補正を実施するため、単一フレーム画像のSN比が低い下層204に対し、適正な補正が適用されないことが考えられる。そのため、本実施の形態では、詳細なドリフト補正条件を、ドリフト補正条件設定ボタン902をクリックすることで表示されるドリフト補正条件設定画面1001によって設定することが可能にされている。
【0082】
図13は、ドリフト補正条件設定画面の例であり、ドリフト補正条件設定画面1001にはドリフト補正条件設定エリア1002が配置されている。本実施の形態では、上層と下層のパターンの各々について個別にドリフト補正条件を設定するため、2つのドリフト補正条件設定エリア1002が配置されている。ただし、これは一例であり、本形態に限定される趣旨ではない。
【0083】
ドリフト補正条件設定エリア1002は、一例として、ドリフト量検出範囲設定エリア1003、ドリフト補正対象画像加算枚数設定エリア1004、及びドリフト補正対象画像範囲設定エリア1005を含む。
【0084】
ドリフト量検出範囲設定エリア1003は、撮像された画像において、ドリフト量の検出に用いる範囲を設定するためのエリアである。また、ドリフト補正対象画像加算枚数設定エリア1004は、ドリフト補正対象とする画像について、加算枚数を設定するためのエリアである。更に、ドリフト補正対象画像範囲設定エリア1005は、ドリフト補正対象とする画像の範囲を設定するためのエリアである。
【0085】
ドリフト量の算出に用いる画像の加算枚数と範囲をドリフト補正条件設定エリア1002において設定することによりドリフト補正の条件が確定した後、条件確定ボタン1006をクリックすると、そのドリフト補正条件が制御部20に記憶される。また、設定画面操作部1007により、設定したドリフト補正条件の保存と読み込みが可能であり、1度設定したドリフト補正条件の再利用が可能である。
【0086】
図14を参照して、第3の実施の形態におけるドリフトずれ量の検出方法を説明する。この実施の形態では、ドリフトずれ量が上層と下層とで異なることに鑑み、上層と下層とで異なるドリフトずれ量の検出方法を採用する。
【0087】
一例として、上層においては、複数枚(例:256枚)の第1画像P1のうち、画像電子ビーム照射による形状変化が小さい1枚目と2枚目の画像を対象とし、且つ検出した画像の512×512画素を用い、ドリフトずれ量を検出する。
【0088】
一方、下層においては、複数枚の第2画像P2を、隣接する小単位(例えば4枚)毎に加算して複数の中間画像を生成し、中間画像の間のドリフトずれ量を検出する。更に、複数のラインパターンによる誤検知を防ぐため、検出した画像の256×512画素を用いてドリフトずれ量を検出する。下層においては、1枚の画像辺りのSN比が低いことから、このように中間像を生成することで、誤検知を防止することが可能になる。
【0089】
本実施の形態によれば、上層においては電子ビーム照射による形状変化が小さい画像からドリフトずれ量を算出でき、下層においては個々の画像から中間画像を生成して、SN比を高めてからドリフトずれ量を検出することができる。従って、上層、下層の両方において適切なドリフト補正が可能となる。従って、ドリフト方向へのぼけが低減された状態でドリフトずれ量を検出することができるので、結果として重ね合わせずれ量の測定精度を向上させることができる。
【0090】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、荷電粒子ビームシステムを制御する制御部とは別に荷電粒子ビームシステムにネットワーク接続された計算部を含む装置も、本発明の範囲に含まれ得る。このような構成にすることで、荷電粒子ビームシステムは画像取得のみを行い、計算部がテンプレート位置探索や重ね合わせずれ量算出などのその他の処理を行うことで、ステージなどの物理的機構以外の処理速度に律速されず効率の良い測定が可能となる。
【0091】
また、実施形態の構成に対し、適宜他の構成を追加したり、又は構成要素を削除・置換することが可能である。実施の形態に記載した構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計することによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVDなどの記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…カラム、2…試料室、3…電子銃、4…コンデンサレンズ、5…アライナ、6…ExBフィルタ、7…偏向器、8…対物レンズ、9…二次電子検出器、10…反射電子検出器、11…ウェハ、12…標準試料、13…XYステージ、14…光学顕微鏡、15,16…アンプ、17…電子光学系コントローラ、18…ステージコントローラ、19…画像処理ユニット、20…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14