特開2021-36642(P2021-36642A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2021036642-車載ネットワークシステム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-36642(P2021-36642A)
(43)【公開日】2021年3月4日
(54)【発明の名称】車載ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20210205BHJP
【FI】
   H04L12/28 200Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-157921(P2019-157921)
(22)【出願日】2019年8月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 高弘
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】黒川 芳正
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA06
5K033BA06
5K033EA02
5K033EA03
5K033EB06
(57)【要約】
【課題】堅牢性の高い車載ネットワークシステムを提供する。
【解決手段】車載ネットワークシステムは、上位装置と、上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第1通信系統による通信が可能に接続された第1中間装置と、上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第2通信系統による通信が可能に接続された第2中間装置と、第1中間装置と第1通信系統による通信が可能に接続され、かつ、第2中間装置と第2通信系統による通信が可能に接続された、第1下位装置とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置と、
前記上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第1通信系統による通信が可能に接続された第1中間装置と、
前記上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第2通信系統による通信が可能に接続された第2中間装置と、
前記第1中間装置と前記第1通信系統による通信が可能に直接接続され、かつ、前記第2中間装置と前記第2通信系統による通信が可能に直接接続された、第1下位装置とを備える、車載ネットワークシステム。
【請求項2】
上位装置と、
前記上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第1通信系統による通信が可能に接続された第3中間装置と、
前記上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第2通信系統による通信が可能に接続された第4中間装置と、
前記第3中間装置と前記第1通信系統による通信が可能に直接接続された第2下位装置と、
前記第4中間装置と前記第2通信系統による通信が可能に直接接続され、前記第2下位装置と同等の機能を有する第3下位装置とを備える、車載ネットワークシステム。
【請求項3】
前記上位装置が配置される位置を中心に、車両を右前、左前、右後、左後の4つの区画に区分したとき、
前記区画のうちいずれかの区画とその対角側の区画とにそれぞれ1つ以上ずつ配置され、前記上位装置と直接または1つ以上の装置を介して前記第1通信系統による通信が可能に接続された中間装置と、
前記いずれかの区画の前後方向に隣接する区画と左右方向に隣接する区画とにそれぞれ1つ以上ずつ配置され、前記上位装置と直接または1つ以上の装置を介して前記第2通信系統による通信が可能に接続された中間装置とを含む、請求項1または2のいずれかに記載の車載ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されるネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる電子機器や、電装部品等の装置が複数搭載されている。これらの装置は車両の各種機能を分担して実行する。
【0003】
特許文献1は、ツリー型の接続トポロジを有するネットワークシステムを開示している。すなわち、ネットワークシステムにおいて、上位ノードである1つのECUが複数の通信線を備え、通信線のそれぞれに下位ノードである複数のECUが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−78800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなネットワークシステムにおいて、上位ノードを車両制御のための機能を集約した高機能な装置とし、複数の下位ノードを上位ノードから制御される簡易化された装置とすることが考えられる。また、上位ノードと下位ノードとの間にゲートウェイの機能を有する中位ノードをさらに設けることが考えられる。しかし、このような構成においては、通信線や中位ノード等に故障が発生すると、上位ノードからの制御ができずその機能が発揮できなくなるおそれがある。このように、ネットワークシステムにおいて上位ノードに機能を集約する場合、堅牢性の向上に検討の余地があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、堅牢性の高い車載ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一局面は、上位装置と、上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第1通信系統による通信が可能に接続された第1中間装置と、上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第2通信系統による通信が可能に接続された第2中間装置と、第1中間装置と第1通信系統による通信が可能に接続され、かつ、第2中間装置と第2通信系統による通信が可能に接続された、第1下位装置とを備える、車載ネットワークシステムである。
【0008】
本発明の他の局面は、上位装置と、上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第1通信系統による通信が可能に接続された第3中間装置と、上位装置と直接または1つ以上の装置を介して第2通信系統による通信が可能に接続された第4中間装置と、第3中間装置と第1通信系統による通信が可能に接続された第2下位装置と、第4中間装置と第2通信系統による通信が可能に接続され、第2下位装置と同等の機能を有する第3下位装置とを備える、車載ネットワークシステムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信系統や装置の構成を冗長化するので、堅牢性の高い車載ネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す図
図2】本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの故障発生箇所の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態においては、上位装置と下位装置との間で2つの通信系統によって通信が可能である。あるいは、同等の機能を有する2つの下位装置が相異なる通信系統によって上位装置と通信することが可能である。これらによりネットワークシステムに、好適に冗長性を付与することができ、各部の故障に対して堅牢性を向上することができる。
【0012】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
<構成>
図1に、本実施形態に係るネットワークシステム1の構成と車両100における配置とを模式的に示す。
【0014】
本実施形態においては、ネットワークシステム1は、上位ノード、中位ノード、下位ノードを備える。上位ノードは、一例として、各種の車両制御機能のための演算を集約的に実行する比較的高機能なECUである。下位ノードは、一例として、センサあるいはアクチュエータ、あるいはこれらを個別制御する比較的特化した機能を有するECUである。中間ノードは、一例として、上位ノードと下位ノードとの間の通信を中継するゲートウェイとして機能するECUである。
【0015】
ネットワークシステム1は、上位ノードとして上位装置10を備える。また、上位装置10の配下に1つ以上の中位ノードである中間装置をスター型あるいはスター&デイジー型の接続トポロジで接続する。すなわち、図1に示す例においては、第1中間装置21、第2中間装置22、第5中間装置25、第6中間装置26が、それぞれ他の装置を介さず直接的に上位装置10と接続される(スター型)。また、スター型で接続された第5中間装置25、第6中間装置26を介して、第3中間装置23、第4中間装置24が、それぞれ上位装置10と間接的に接続される(デイジー型)。
【0016】
各中間装置には、それぞれ1つ以上の下位ノードである下位装置が接続可能である。図1には、第1下位装置31、第2下位装置32、第3下位装置33を例示し、他の下位装置は図示を省略する。第1下位装置31が、第1中間装置21および第2中間装置22に接続されている。また、第2下位装置32が第3中間装置23に接続されている。また、第3下位装置33が第4中間装置24に接続されている。
【0017】
この例において、上位装置10は、ゲートウェイである各中間装置を介して、センサを制御する下位装置から車両100や車両100の周囲の情報を収集する。この情報は例えば、アクチュエータ等の動作状態、車両100の速度や加速度等の走行状態、車両100の周囲の道路や物標等の環境状況、乗員の着座状況、車両100の各部に対して行われた操作内容等を含むことができる。なお、スタートスイッチのような一部のスイッチやセンサ等は上位装置10に直接的に接続されていてもよく、上位装置10は中間装置を介することなく、これらのスイッチやセンサ等から情報を取得してもよい。上位装置10は、これらの情報に基づいて、演算を行い、制御データを生成する。制御データは、自動運転機能、自動駐車機能や、衝突回避、車線維持、前車追従、速度維持等の運転支援機能や、エンジン、変速機、冷却器、エアコンの動作制御、電池の充放電制御、照度に応じたヘッドランプ点灯、携帯機(電子キー)の認証によるドア開錠許可、ユーザーへの情報提示等のさまざまな車両100の制御のためのデータである。上位装置10は、制御データを中間装置に送信して、中間装置に制御データに応じた動作を行わせる。また上位装置10は、ゲートウェイである中間装置を介して、制御データを、アクチュエータを制御する下位装置に送信して、制御データに応じた動作を行わせる。このようなネットワークシステム1においては、高機能化した上位装置10に車両100の各種制御機能を集約することで、代わりに中間装置、下位装置の構成を比較的簡易化して、総合的なコストの低減を図っている。
【0018】
以上の各装置は、典型的にはプロセッサあるいはマイコンのような制御部およびメモリを含んで構成されるが、下位装置の中には、センサまたはアクチュエータを含んでいるが、制御部またはメモリを含まないものがあってもよい。
【0019】
上位装置10は、一例として、車両100のセンターコンソールやその近傍に配置される。各中間装置は、車両100の各位置に分散して配置される。下位装置は、その機能に応じて好適な位置に配置され、典型的には最も近くの中間装置と他の装置を介さず直接的に接続される。
【0020】
上位装置10は、第1通信系統および第2通信系統の2系統の通信機能を有しており、第1通信系統の通信を行う第1系統通信部101および第2通信系統の通信を行う第2系統通信部102を含む。
【0021】
また、第1中間装置21、第3中間装置23、第5中間装置25が、それぞれ第1通信系統の通信を行う第1系統通信部211、231、251を含む。また、第2中間装置22、第4中間装置24、第6中間装置26が、それぞれ第2通信系統の通信を行う第2系統通信部222、242、262を含む。
【0022】
また、第1下位装置31は、第1通信系統の通信を行う第1系統通信部311および第2通信系統の通信を行う第2系統通信部312を含む。第1下位装置31は、一例としてEPS(電動パワーステアリングシステム)である。第1下位装置31は、内部で通信系統、電源系統、アクチュエータの系統が二重化されており、単体で冗長構成を有する装置である。例えば、上位装置10は、第1下位装置31と、第1通信系統による通信を行うことにより、第1下位装置31の一方の系統を制御し、第2通信系統による通信を行うことにより、第1下位装置31の他方の系統を制御することができる。そのため、第1通信系統および第2通信系統のいずれか1つに故障が発生した場合であっても、上位装置10は、第1下位31の二重化された系統のいずれか1つを制御することができる。
【0023】
また、第2下位装置32は、第1通信系統の通信を行う第1系統通信部321を含む。
【0024】
また、第3下位装置33は、第2通信系統の通信を行う第2系統通信部332を含む。
【0025】
第2下位装置32および第3下位装置33は、互いに同等の機能を有する。これらは、例えば、それぞれ、車両100の衝突回避等の安全性向上機能に用いられる、Rader(Radio detection and Ranging)方式およびLidar(Laser Imaging Detection and Ranging)方式のセンサである。このように、第2下位装置32および第3下位装置33は、車両100の周囲の物体の検出と測距とを行うという、同等の機能を有する。ここで同等の機能とは、完全同一の機能だけでなく、類似的、代替的な機能も含む。これらは、第1下位装置31とは異なり、いずれも単体では冗長構成を有しないが、同等の機能を有する2つの装置として、安全性向上機能としては冗長構成となっている。例えば、上位装置10は、各中間装置を介して、第1通信系統および第2通信系統に故障が発生していない場合は、第2下位装置32との第1通信系統による通信および第3下位装置33との第2通信系統による通信の両方を行って第2下位装置32、第3下位装置33の両方の機能を相補的に利用し、一方に故障が発生すれば、他方との通信のみを行って、他方の機能を利用することで、安全性向上機能を継続して実行することができる。なお、第2下位装置32および第3下位装置33は、同一の2つの装置であってもよい。
【0026】
第1通信系統の通信および第2通信系統の通信はそれぞれ通信線11および通信線12を介して行われる。図1には通信線11を実線で示し、通信線12を通信線11より太い実線で示す。なお、上述した各第1系統通信部および各第2系統通信部は、通信規格がCAN(登録商標)規格の場合は、例えば通信ICであり、Ethernet(登録商標)規格の場合、例えばEthernetスイッチである。
【0027】
<処理>
以下に、本実施形態に係る、ネットワークシステム1の故障発生時の処理の各例を説明する。図2に各例における故障発生箇所を示す。
【0028】
例1:本例は、第1中間装置21の第1系統通信部211が故障した場合の例である。この場合、上位装置10は第1通信系統による第1下位装置31との通信ができなくなる。上位装置10は、第2中間装置22を介して、第2通信系統による通信ができるので、第1下位装置31の制御を継続することができる。
【0029】
例2:本例は、第1中間装置21と上位装置10との間で、通信線11が断線等により故障した場合の例である。この場合、上位装置10は第1通信系統による第1下位装置31との通信ができなくなる。上位装置10は、第2中間装置22を介して、第2通信系統による通信ができるので、第1下位装置31の制御を継続することができる。
【0030】
例3:本例は、第1下位装置31の第1系統通信部311が故障した場合の例である、この場合、上位装置10は第1通信系統による第1下位装置31との通信ができなくなる。上位装置10は、第2中間装置22を介して、第2通信系統による第1下位装置31との通信ができるので、第1下位装置31の制御を継続することができる。
【0031】
例4:本例は、第2下位装置32が故障した場合の例である。この場合、上位装置10は第2下位装置32に機能を発揮させることができなくなる。上位装置10は、第2下位装置32と同等の機能を有する第3下位装置33と通信しその機能を用いることで制御を継続することができる。
【0032】
例5:本例は、第3下位装置33と第4中間装置24との間で通信線12が断線等により故障した場合の例である。この場合、上位装置10は第3下位装置33に機能を発揮させることができなくなる。上位装置10は、第3下位装置33と同等の機能を有する第2下位装置32と通信しその機能を用いることで制御を継続することができる。
【0033】
例6:本例は、上位装置10の第1系統通信部101が故障した場合の例である。この場合、上位装置10は第1通信系統による第1下位装置31および第2下位装置32との通信ができなくなる。上位装置10は第2通信系統によって第1下位装置31との通信ができるので、第1下位装置31の制御を継続することができる。また、上位装置10は第2通信系統によって第2下位装置32と同等の機能を有する第3下位装置33との通信ができるので、第3下位装置33と通信しその機能を用いることで制御を継続することができる。
【0034】
<効果>
本実施形態においては、上位装置と下位装置との間で2つの通信系統によって通信が可能である。あるいは、同等の機能を有する2つの下位装置が相異なる通信系統によって上位装置と通信することが可能である。これらによりネットワークシステム1に好適に冗長性を付与することができ、各部の故障に対して堅牢性を向上することができる。また、とくに、本実施形態においては、中間装置は、内部で通信系統等を冗長化しなくてもよくコストを抑制することができる。なお、上述の実施形態では、通信系統を2つ設けたが、他の通信経路を追加して冗長性をさらに高めてもよい。
【0035】
なお、図1に示すように、例えば上位装置10を中心に、車両100を右前、左前、右後、左後の4つの区画に区分したとき、第1通信系統による通信を行う中間装置が、右前およびその対角側である左後の各区画に少なくとも1つずつ配置され、第2通信系統による通信を行う中間装置が、左前およびその対角側である右後の各区画に少なくとも1つずつ配置されることが好ましい。第1通信系統および第2通信系統は、この逆でもよい。このようにすれば、相異なる通信系統による通信を行う中間装置の組が、車両100の前後方向に隣接する2区画および左右方向に隣接する2区画において存在することになる。これにより、車両100において、下位装置の配置位置として、上位装置10の前後左右において、第1通信系統による通信を行う中間装置および第2通信系統による通信を行う中間装置の両方に接続しやすく冗長性を付与しやすい位置を多く確保することができ好ましい。
【0036】
本発明は、ネットワークシステムだけでなくネットワークシステムに含まれる装置のような車載装置、プロセッサとメモリを備えた車載装置が実行する制御方法、制御プログラム、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体、ネットワークシステムを備えた車両等として捉えることが可能である。また、本発明は、車両に搭載されるネットワークシステム以外のネットワークシステムにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、車両等に搭載されるネットワークシステムに有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 ネットワークシステム
10 上位装置
11、12 通信線
21 第1中間装置
22 第2中間装置
23 第3中間装置
24 第4中間装置
25 第5中間装置
26 第6中間装置
31 第1下位装置
32 第2下位装置
33 第3下位装置
100 車両
101、211、231、251、311、321 第1系統通信部
102、222、242、262、312、332 第2系統通信部
図1
図2