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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-54353(P2021-54353A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】船舶用電気推進システムおよび船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/17 20060101AFI20210312BHJP
   B63H 21/21 20060101ALI20210312BHJP
【FI】
   B63H21/17
   B63H21/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-181523(P2019-181523)
(22)【出願日】2019年10月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592250540
【氏名又は名称】株式会社大島造船所
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西田 英幸
(72)【発明者】
【氏名】白水 照二
(72)【発明者】
【氏名】林田 和也
(72)【発明者】
【氏名】高比良 栄治
(57)【要約】
【課題】蓄電池に充電された電力を利用して船舶を推進する電気推進システムにおいては、蓄電池の蓄電量が船舶を推進不可能な状態まで放電してしまうことを防ぐことが好ましい。
【解決手段】船舶を推進させる推進用電動機と、推進用電動機に電力を供給する二次電池と、推進用電動機の出力を制御する制御部と、を備え、二次電池は、推進用電動機への主要な電力供給源であり、制御部は、二次電池の充電状態に基づいて、推進用電動機の出力を制御する、船舶用電気推進システムを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶を推進させる推進用電動機と、
前記推進用電動機に電力を供給する二次電池と、
前記推進用電動機の出力を制御する制御部と、
を備え、
前記二次電池は、前記推進用電動機への主要な電力供給源であり、
前記制御部は、前記二次電池の充電状態に基づいて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、
船舶用電気推進システム。
【請求項2】
前記二次電池は、前記推進用電動機への唯一の電力供給源である、請求項1に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記二次電池における予め定められた閾値残充電量に基づいて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、請求項1または2に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項4】
前記二次電池の前記充電状態と、前記推進用電動機の回転数の上限値との関係を記憶した記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記二次電池の前記充電状態と、前記推進用電動機の前記回転数の上限値との関係に基づいて、前記推進用電動機の前記回転数を制御する、請求項1または2に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項5】
前記二次電池の前記充電状態と、前記推進用電動機の前記出力の上限値との関係を記憶した記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記二次電池の前記充電状態と、前記推進用電動機の前記出力の上限値との関係に基づいて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、請求項1または2に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項6】
前記船舶が航行する海洋の状態を取得する海洋状態取得部をさらに備え、
前記制御部は、海洋の前記状態に応じて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項7】
前記船舶が航行する海洋上の風の状態を取得する風状態取得部をさらに備え、
前記制御部は、海洋上の風の前記状態に応じて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項8】
前記船舶の喫水を取得する喫水取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記船舶の前記喫水に基づいて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項9】
前記船舶の現在位置を取得する位置情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記船舶が停泊する一または複数の港のいずれかと、前記位置情報取得部により取得された前記船舶の現在位置との距離に基づいて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項10】
前記二次電池を充電するための充電設備が備えられた場所の情報を取得する充電場所情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記充電設備が備えられた前記場所と、前記位置情報取得部により取得された前記船舶の現在位置との距離に基づいて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、
請求項9に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記船舶が港を出発してから前記港に到着するまでの総航行予定距離と、前記港と前記船舶の現在位置との距離と、に基づいて、前記推進用電動機の前記出力を制御する、請求項8または10に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項12】
前記二次電池から電力を供給される温度調整部をさらに備え、
前記二次電池の周囲の温度は、前記温度調整部の出力により調整され、
前記制御部は、前記温度調整部の前記出力を制御する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記二次電池の残充電量が、予め定められた残充電量未満である場合に、前記温度調整部の前記出力の制御を停止する、請求項12に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の船舶用電気推進システムが搭載された船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用電気推進システムおよび船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池に充電された電力を利用して船舶を推進する電気推進システムが知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1 特許第4816347号
特許文献2 特開2012−253930号公報
特許文献3 特許第6044922号
特許文献4 特許第6187930号
特許文献5 特許第4421344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
蓄電池に充電された電力を利用して船舶を推進する電気推進システムにおいては、蓄電池の蓄電量が船舶を推進不可能な状態まで放電してしまうことを防ぐことが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、船舶用電気推進システムを提供する。船舶用電気推進システムは、船舶を推進させる推進用電動機と、推進用電動機に電力を供給する二次電池と、推進用電動機の出力を制御する制御部と、を備える。二次電池は、推進用電動機への主要な電力供給源であり、制御部は、二次電池の充電状態に基づいて、推進用電動機の出力を制御する。
【0005】
二次電池は、推進用電動機への唯一の電力供給源であってよい。
【0006】
制御部は、二次電池における予め定められた閾値残充電量に基づいて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0007】
船舶用電気推進システムは、二次電池の充電状態と、推進用電動機の回転数の上限値との関係を記憶した記憶部をさらに備えてよい。制御部は、二次電池の充電状態と、推進用電動機の回転数の上限値との関係に基づいて、推進用電動機の回転数を制御してよい。
【0008】
船舶用電気推進システムは、二次電池の充電状態と、推進用電動機の出力の上限値との関係を記憶した記憶部をさらに備えてよい。制御部は、二次電池の充電状態と、推進用電動機の出力の上限値との関係に基づいて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0009】
船舶用電気推進システムは、船舶が航行する海洋の状態を取得する海洋状態取得部をさらに備えてよい。制御部は、海洋の状態に応じて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0010】
船舶用電気推進システムは、船舶が航行する海洋上の風の状態を取得する風状態取得部をさらに備えてよい。制御部は、海洋上の風の状態に応じて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0011】
船舶用電気推進システムは、船舶の喫水を取得する喫水取得部をさらに備えてよい。制御部は、船舶の喫水に基づいて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0012】
船舶用電気推進システムは、船舶の現在位置を取得する位置情報取得部をさらに備えてよい。制御部は、船舶が停泊する一または複数の港のいずれかと、位置情報取得部により取得された船舶の現在位置との距離に基づいて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0013】
船舶用電気推進システムは、二次電池を充電するための充電設備が備えられた場所の情報を取得する充電場所情報取得部をさらに備えてよい。制御部は、充電設備が備えられた場所と、位置情報取得部により取得された船舶の現在位置との距離に基づいて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0014】
制御部は、船舶が港を出発してから港に到着するまでの総航行予定距離と、港と船舶の現在位置との距離と、に基づいて、推進用電動機の出力を制御してよい。
【0015】
船舶用電気推進システムは、二次電池から電力を供給される温度調整部をさらに備えてよい。二次電池の周囲の温度は、温度調整部の出力により調整されてよい。制御部は、温度調整部の出力を制御してよい。
【0016】
制御部は、二次電池の残充電量が、予め定められた残充電量未満である場合に、温度調整部の出力の制御を停止してよい。
【0017】
本発明の第2の態様においては、船舶を提供する。船舶は、船舶用電気推進システムが搭載されていてよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一つの実施形態に係る船舶200の一例を示す図である。
図2】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の一例を示すシステム構成図である。
図3】推進用電動機10の回転数Rと、推進用電動機10の出力Pとの関係の一例を示す図である。
図4】二次電池30の放電特性の一例を示す図である。
図5】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
図6】記憶部44に記憶される、二次電池30の充電状態S、推進用電動機10の回転数Rの上限値、および、推進用電動機10の出力Pの上限値を示す図である。
図7】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
図8】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
図9】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
図10】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
図11】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
図12】船舶200の航路の一例を示す図である。
図13】船舶200の航路の他の一例を示す図である。
図14】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
図15】船舶200の航路の一例を示す図である。
図16】本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る船舶200の一例を示す図である。船舶200は、船体210、スクリュー220および船舶用電気推進システム100を備える。スクリュー220は、船体210に設けられる。船舶200の航海中において、スクリュー220は海洋中に配置される。
【0022】
船舶用電気推進システム100は、推進用電動機10を備える。推進用電動機10は、スクリュー220を回転させる。推進用電動機10は、スクリュー220を回転させることにより、船舶200を推進させる。図1において、船舶200の進行方向が太い矢印にて示されている。
【0023】
図2は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の一例を示すシステム構成図である。船舶用電気推進システム100は、推進用電動機10、二次電池30および制御部40を備える。二次電池30は、推進用電動機10に電力を供給する。制御部40は、推進用電動機10の出力を制御する。
【0024】
二次電池30は、推進用電動機10への主要な動力供給源である。二次電池30が推進用電動機10への主要な動力供給源であるとは、二次電池30が、推進用電動機10への供給電力の50%より大きく100%未満の電力を供給している状態を指してよく、推進用電動機10への供給電力の70%以上100%未満の電力を供給している状態を指してもよく、推進用電動機10への供給電力の90%以上100%未満の電力を供給している状態を指してもよい。二次電池30は、推進用電動機10への唯一の電力供給源であってもよい。即ち、推進用電動機10への供給電力の100%が、二次電池30から供給されていてもよい。
【0025】
船舶用電気推進システム100は、電力変換部20および電力変換部22、並びに船内負荷12、変圧器14を備えてよい。電力変換部20および電力変換部22は、直流電力を交流電力に変換する。電力変換部20は、二次電池30から供給された直流電力を交流電力に変換する。電力変換部20は、当該交流電力を推進用電動機10に供給する。電力変換部22は、二次電池30から供給された直流電力を交流電力に変換する。電力変換部22は、当該交流電力を船内負荷12に供給する。船内負荷12には、変圧器14によって船内負荷12向けに変圧された当該交流電力が供給されてよい。船内負荷12は、例えば船体210に設けられた空調設備等である。船舶用電気推進システム100は、複数の船内負荷12を備えてもよい。
【0026】
船舶用電気推進システム100は、BMS(Battery Management System)32を備えてよい。BMS32は、二次電池30の状態を管理するシステムである。
【0027】
二次電池30は、ヒューズを有してよい。BMS32は、二次電池30の状態が過剰発熱状態である等の異常を検知した場合、当該ヒューズを切断して当該二次電池30の熱暴走を防止してよい。
【0028】
BMS32は、充電状態測定部42を有してよい。BMS32は、二次電池30の状態に関する情報を制御部40に送信してよい。充電状態測定部42は、二次電池30の充電状態SOC(State of Charge)を測定する。以下、本明細書において二次電池30の充電状態SOCを充電状態Sと表記する。
【0029】
二次電池30の充電状態Sとは、二次電池30の充電率(=残充電量/満充電量)であってよい。本例の充電状態測定部42は、二次電池30の状態に関する情報に基づいて、二次電池30の充電状態Sを測定する。
【0030】
制御部40は、推進用電動機10の出力を制御する。制御部40は、回転数指令部41および回転数設定部43を有してよい。回転数指令部41は、船舶200を推進させる推進用電動機10の回転数を指令する回転数指令値を出力する。充電状態測定部42は、充電状態Sに基づいて推進用電動機10の回転数制限値を出力してよい。回転数設定部43は、当該回転数指令値および当該回転数制限値に基づいて、推進用電動機10の回転数Rを設定する。回転数設定部43は、設定した回転数Rの回転数指令を電力変換部20に出力する。
【0031】
本例の制御部40は、二次電池30の充電状態Sに基づいて、電力変換部20から出力される交流電力の周波数を制限するように制御する。本例の制御部40は、当該交流電力の周波数を制御することにより、推進用電動機10の回転数を回転数Rに制御する。本例の制御部40は、推進用電動機10の回転数を回転数Rに制御することにより、推進用電動機10の出力Pを制御する。
【0032】
図3は、推進用電動機10の回転数Rと、推進用電動機10の出力Pとの関係の一例を示す図である。本例の推進用電動機10において、出力Pは回転数Rの3乗に比例する。即ち、P=αR(αは定数)である。
【0033】
船舶200の航行速度Vは、推進用電動機10の回転数Rと相関関係を有している。すなわち、船舶200の航行速度Vは、推進用電動機10の回転数Rの増加に伴って増加し、推進用電動機10の回転数Rの低下に伴って低下する。
【0034】
推進用電動機10の回転数Rが回転数R1および回転数R2の場合の推進用電動機10の出力Pを、それぞれ出力Pw1および出力Pw2とする。上述したとおり、本例において出力Pは回転数Rの3乗に比例するので、回転数R1が回転数R2のk倍(k>0)である場合(R1=kR2)、出力Pw1は出力Pw2のk倍となる(Pw1=kPw2)。これより、例えば回転数R1が回転数R2の1/2である場合、出力Pw1は出力Pw2の1/8となる。即ち、推進用電動機10の回転数Rを小さくすると、推進用電動機10の出力Pは、回転数Rの減少割合より大きい割合で減少する。上述したとおり、船舶200の航行速度Vは、推進用電動機10の回転数Rと相関関係を有しているので、船舶200が回転数R1で航行可能な距離は、回転数R2で航行可能な距離よりも大きくなりやすい。
【0035】
本例の船舶用電気推進システム100において、制御部40は、推進用電動機10の回転数指令値と二次電池30の充電状態Sとに基づいて推進用電動機10の出力Pを制御する。このため、制御部40は、推進用電動機10の出力Pを二次電池30の充電状態Sに応じた出力に制限できる。例えば、制御部40は、二次電池30の充電率がCa%である場合に推進用電動機10の出力PがPa[W]を超えないように制御してよく、二次電池30の充電率がCa%よりも小さいCb%である場合に推進用電動機10の出力PがPaよりも小さいPb[W]を超えないように制御してよい。これにより、制御部40は、二次電池30の充電状態Sに応じて船舶200が航行可能な距離Dを制御できる。これにより、船舶用電気推進システム100は、例えば、船舶200が航海中にもかかわらず、二次電池30が推進用電動機10を駆動不可能となることを抑制できる。
【0036】
二次電池30の充電状態Sとは、二次電池30の残充電量であってもよい。制御部40は、二次電池30の残充電量に基づいて推進用電動機10の出力Pを制御してもよい。
【0037】
図4は、二次電池30の放電特性の一例を示す図である。図4は、満充電状態の二次電池30が推進用電動機10に所定の電力を継続的に供給し続けた場合における、二次電池30の正極と負極との間の電圧Vと、経過時間との関係が示されている。
【0038】
二次電池30の満充電量を充電量Pmaxとする。二次電池30が推進用電動機10を駆動可能な最低充電量を充電量Pminとする。なお、通常は充電量Pmin>0である。図4における電圧Vmaxは、二次電池30の充電量が充電量Pmaxである場合において、二次電池30が供給可能な電圧である。図4における電圧Vminは、二次電池30の充電量が充電量Pminである場合において、二次電池30が供給可能な電圧である。
【0039】
二次電池30において予め定められた閾値残充電量を、閾値Pthとする。閾値Pthは、充電量Pminより大きく充電量Pmaxより小さい。閾値Pthは、充電量Pminと充電量Pmaxとの間において所定の値に設定されてよい。閾値Pthは、制御部40が、二次電池30の残充電量が減少して充電量Pminに近づきつつあると判断するための残充電量であってよい。
【0040】
図4におけるVthは、二次電池30の充電量が閾値Pthである場合における、二次電池30の電圧である。二次電池30が時刻0において放電を開始し、電圧VがVthに達する時刻を時刻Tthとする。
【0041】
制御部40は、閾値Pthに基づいて推進用電動機10の出力Pを制御してよい。時刻0〜時刻Tthの間における推進用電動機10の出力Pを出力P1とする。制御部40は、二次電池30の充電量が閾値Pth未満となった場合、推進用電動機10の出力Pを、出力P1よりも小さい出力P2を超えないように制御してよい。これにより、船舶用電気推進システム100は、時刻0〜時刻Tthの間よりも船舶200の航行速度Vを小さくしつつ、船舶200が航行可能な距離Dを長くできる。
【0042】
なお、図4における粗い破線部は、二次電池30の充電量が閾値Pth未満となった場合においてもなお、推進用電動機10の出力Pを出力P1に制御した場合の放電特性である。図4における一点鎖線部は、二次電池30の充電量が閾値Pth未満となった場合に、推進用電動機10の出力Pを出力P2に制御した場合の放電特性である。
【0043】
図5は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、記憶部44および上限演算部46をさらに備える点で、図2に示される船舶用電気推進システム100と異なる。本例の記憶部44および上限演算部46は、制御部40に設けられている。
【0044】
記憶部44は、二次電池30の充電状態Sと、推進用電動機10の回転数Rの上限値Rmaxとの関係を記憶している。上限演算部46は、推進用電動機10に対して予め設定された回転数Rsetと、回転数Rの上限値Rmaxとを比較して、回転数指令を出力する。予め設定された回転数Rsetとは、ユーザの所望の回転数Rであってよい。
【0045】
図6は、記憶部44に記憶される、二次電池30の充電状態S、推進用電動機10の回転数Rの上限値、および、推進用電動機10の出力Pの上限値を示す図である。図6に示されるように、本例の記憶部44には、充電状態SがC1〜CNの場合の回転数Rの上限値R1ma〜RNma、および、出力Pの上限値P1ma〜Pmaxが記憶されている。出力Pの上限値については、後述する。
【0046】
充電状態SがC1〜CNの場合の回転数Rの上限値R1ma〜RNmaは、各充電状態C1〜CNと閾値Pthとに基づいて決定されてよい。図3の説明において上述したように、船舶200の航行速度Vを小さくすると、船舶200が航行可能な距離は大きくなりやすい。各充電状態C1〜CNが二次電池30の残充電量である場合、各充電状態C1〜CNの場合における船舶200の各航行速度Vは、各充電状態C1〜CNと閾値Pthとの差分と、船舶200の総航行予定距離とに基づいて決定されてよい。回転数Rの上限値R1ma〜RNmaは、各充電状態C1〜CNの場合において決定された、当該各航行速度Vに基づいて決定されてよい。
【0047】
制御部40は、二次電池30の充電状態Sと、推進用電動機10の回転数Rの上限値との関係に基づいて、推進用電動機10の回転数Rを制御してよい。図5に戻り説明すると、記憶部44は、充電状態測定部42により測定された充電状態Sに基づいて、二次電池30の充電状態SとしてC1〜CNのいずれかを選択してよい。記憶部44は、選択したC1〜CNのいずれかの充電状態Sに対応する、回転数Rの上限値Rmaを、上限演算部46に出力してよい。
【0048】
本例において、上限演算部46は、予め設定された回転数Rsetと回転数Rmaの大小関係を比較する。回転数Rset<回転数Rmaである場合、上限演算部46は電力変換部20に回転数Rsetの回転数指令を出力してよい。回転数Rset≧回転数Rmaである場合、上限演算部46は電力変換部20に回転数Rmaの回転数指令を出力する。即ち、回転数Rset≧回転数Rmaである場合、上限演算部46は回転数Rmaを超えない範囲の回転数指令を電力変換部20に出力する。電力変換部20は、当該回転数指令の回転数Rで推進用電動機10を回転させるのに必要な交流電力を、推進用電動機10に供給する。
【0049】
本例の船舶用電気推進システム100は、制御部40が二次電池30の充電状態Sと推進用電動機10の回転数Rの上限値との関係に基づいて、推進用電動機10の回転数Rを制御する。このため、本例の船舶用電気推進システム100は推進用電動機10の回転数Rを二次電池30の充電状態Sに応じた回転数Rとしつつ、船舶200が航行中に二次電池30の充電量がPminになるのを防ぐことができる。
【0050】
図7は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、記憶部44、回転数取得部48および除算部49をさらに備える点で、図2に示される船舶用電気推進システム100と異なる。本例の記憶部44、回転数取得部48および除算部49は、制御部40に設けられている。
【0051】
記憶部44は、二次電池30の充電状態Sと、推進用電動機10の出力Pの上限値Pmaxとの関係を記憶している。回転数取得部48は、推進用電動機10の回転数Rを取得する。本例の回転数取得部48は、電力変換部20から推進用電動機10の回転数Rを取得する。除算部49については、後述する。
【0052】
図6に示されるように、本例の記憶部44には、充電状態SがC1〜CNの場合の出力Pの上限値P1ma〜PNmaが記憶されている。出力Pの上限値P1ma〜PNmaは、各充電状態C1〜CNと閾値Pthとに基づいて決定されてよい。各充電状態C1〜CNが二次電池30の残充電量である場合、各充電状態C1〜CNの場合における船舶200の各航行速度Vは、各充電状態C1〜CNと閾値Pthとの差分と、船舶200の総航行予定距離とに基づいて決定されてよい。出力Pの上限値P1ma〜PNmaは、各充電状態C1〜CNの場合において決定された、当該各航行速度Vに基づいて決定されてよい。
【0053】
制御部40は、二次電池30の充電状態Sと、推進用電動機10の出力Pの上限値Pmaとの関係に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御してよい。本例の記憶部44は、充電状態測定部42により測定された充電状態Sに基づいて、二次電池30の充電状態SとしてC1〜CNのいずれかを選択する。本例の記憶部44は、選択したC1〜CNのいずれかの充電状態Sに対応する、出力Pの上限値Pmaを、除算部49に出力する。
【0054】
除算部49は、推進用電動機10の出力Pの上限値Pmaを、回転数取得部48により取得された、推進用電動機10の回転数Rで除算する。これにより、除算部49は推進用電動機10のトルクTrqの上限値Tmaを算出する。除算部49は、算出した当該上限値Tmaを出力する。除算部49は、当該上限値Tmaを電力変換部20に出力してよい。電力変換部20は、推進用電動機10のトルクTrqが当該上限値Tmaとなるように、交流電力を推進用電動機10に供給してよい。
【0055】
本例の船舶用電気推進システム100は、制御部40が二次電池30の充電状態Sと推進用電動機10の出力Pの上限値との関係に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御する。このため、本例の船舶用電気推進システム100は、推進用電動機10の出力Pを二次電池30の充電状態Sに応じた出力Pとしつつ、船舶200が航行中に二次電池30の充電量がPminになるのを防ぐことができる。
【0056】
図8は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、海洋状態取得部50および加速度センサ52をさらに備える点で、図2に示される船舶用電気推進システム100と異なる。本例の海洋状態取得部50は、制御部40に設けられている。本例において、加速度センサ52は船体210(図1参照)に設けられている。
【0057】
海洋状態取得部50は、船舶200が航行する海洋の状態を取得する。海洋の状態とは、海洋における潮の流れであってよく、時化(しけ)の度合いであってもよい。海洋における潮の流れとは、潮流の向き、高さおよび速さの少なくとも一つであってよい。船体210は、航海中に、海洋から海洋の状態に応じた応力を受ける。本例においては、船体210に設けられた加速度センサ52が、当該応力を検知する。本例の海洋状態取得部50は、加速度センサ52により検知された当該応力から、海洋の状態を取得する。なお、海洋の状態として、加速度センサ52により検知された応力に代えて、気象庁から発表される波浪観測情報が用いられてもよい。海洋の状態として、当該応力と当該波浪観測情報とが用いられてもよい。
【0058】
本例においては、制御部40は船舶200が航行する海洋の状態に応じて、推進用電動機10の出力Pを制御する。本例においては、回転数設定部43は、回転数指令部41から指令される推進用電動機10の回転数指令値と、充電状態測定部42により測定された充電状態Sと、海洋状態取得部50により取得された海洋の状態とに基づいて、推進用電動機10の回転数Rを設定する。制御部40は、設定された当該回転数Rにより、推進用電動機10の出力Pを制御してよい。
【0059】
本例の船舶用電気推進システム100においては、制御部40が海洋の状態に応じて推進用電動機10の出力Pを制御するので、船舶用電気推進システム100は、例えば、海洋に発生している時化の度合いに応じて推進用電動機10の出力Pを制御できる。例えば、船舶用電気推進システム100は、海洋に時化が発生している場合の推進用電動機10の出力Pを、時化が発生していない場合の出力Pよりも小さくしてよい。
【0060】
図9は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、風状態取得部54および風向風速計55をさらに備える点で、図2に示される船舶用電気推進システム100と異なる。本例の風状態取得部54は、制御部40に設けられている。
【0061】
本例において、風向風速計55は船体210(図1参照)に設けられている。風向風速計55は、船体210の上方に設けられていてよい。風向風速計55は、船舶200の甲板に設けられていてよい。
【0062】
風向風速計55は、船舶200が航行する海洋上の風の状態を取得する。海洋上の風の状態とは、海洋上における風の向き、風速、風の加速度の少なくとも一つであってよい。船体210は、航海中に、海洋上において風に応じた応力を受ける。本例においては、風向風速計55が当該応力を検知する。本例の風状態取得部54は、風向風速計55により検知された当該応力から、海洋上の風の状態を取得する。なお、海洋上の風の状態として、気象庁から発表される風情報が用いられてもよい。
【0063】
本例においては、制御部40は船舶200が航行する海洋上の風の状態に応じて、推進用電動機10の出力Pを制御する。本例においては、回転数設定部43は、回転数指令部41から指令される推進用電動機10の回転数指令値と、充電状態測定部42により測定された充電状態Sと、風状態取得部54により取得された海洋上の風の状態とに基づいて、推進用電動機10の回転数Rを設定する。制御部40は、設定された当該回転数Rにより、推進用電動機10の出力Pを制御してよい。
【0064】
本例の船舶用電気推進システム100においては、制御部40が海洋上の風の状態に応じて推進用電動機10の出力Pを制御するので、船舶用電気推進システム100は、例えば、荒天による嵐の度合いに応じて推進用電動機10の出力Pを制御できる。例えば、船舶用電気推進システム100は、台風による荒天である場合の推進用電動機10の出力Pを、荒天ではない場合の出力Pよりも小さくしてよい。
【0065】
図10は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、喫水取得部56および喫水センサ58をさらに備える点で、図2に示される船舶用電気推進システム100と異なる。本例の喫水取得部56は、制御部40に設けられている。
【0066】
本例において、喫水センサ58は船体210に設けられている。喫水センサ58の長手方向は、鉛直方向であってよい。喫水センサ58は、水平線300(水面と空との境界をなす線)を鉛直方向に跨ぐように配置されていてよい。
【0067】
喫水センサ58は、船体210における水平線300の位置を検知する。喫水取得部56は、喫水センサ58により検知された水平線300の位置に基づいて、船舶200の喫水を取得する。船舶200の喫水とは、船体210の底から水平線300までの鉛直方向における距離である。
【0068】
船舶200の喫水は、船舶200に積載された積載物の重量に応じて変化する。本例においては、喫水センサ58が、積載物の重量に応じて変化した水平線300の位置を検知する。本例の喫水取得部56は、喫水センサ58により検知された水平線300の位置に基づいて、積載物の重量に応じて変化する喫水を取得する。
【0069】
本例においては、制御部40は船舶200の喫水に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御する。本例においては、回転数設定部43は、回転数指令部41から指令される推進用電動機10の回転数指令値と、充電状態測定部42により測定された充電状態Sと、喫水取得部56により取得された喫水とに基づいて、推進用電動機10の回転数Rを設定する。制御部40は、設定された当該回転数Rにより、推進用電動機10の出力Pを制御してよい。
【0070】
本例の船舶用電気推進システム100においては、制御部40が喫水に応じて推進用電動機10の出力Pを制御する。このため、船舶用電気推進システム100は、例えば船舶200に積載された積載物の重量に応じて推進用電動機10の出力Pを制御できる。
【0071】
船舶200の喫水は、船舶200に積載された積載物の重量が大きいほど深くなりやすい。船舶200の航行速度Vが一定である場合、推進用電動機10の出力Pは船舶200の喫水が深いほど大きくなりやすい。言い換えると、推進用電動機10の出力Pが一定である場合、船舶200の航行速度Vは船舶200の喫水が深いほど小さくなりやすい。
【0072】
船舶用電気推進システム100は、船舶200が積載物をLH[kg]積載している場合の推進用電動機10の出力Pを、積載物をLH[kg]よりも軽いLL[kg]積載している場合の出力Pよりも大きくしてよい。これにより、船舶用電気推進システム100は船舶200の航行速度Vの低下を抑制できる。
【0073】
図11は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、位置情報取得部60およびアンテナ62をさらに備える点で、図2に示される船舶用電気推進システム100と異なる。本例の位置情報取得部60は、制御部40に設けられている。位置情報取得部60は、例えば全地球測位システム(GPS(Global Positioning System))である。
【0074】
アンテナ62は、船体210に設けられていてよい。アンテナ62は、船舶200に搭乗する乗員が携行する携帯端末に設けられていてもよい。
【0075】
図12は、船舶200の航路の一例を示す図である。図12において、港A〜港Dは、船舶200が停泊する港である。本例において、船舶200は4つの港に停泊する。本例において、船舶200は港Aを出発した後、港Bおよび港Cにこの順に停泊する。船舶200は港Cを出発した後、港Dに到着する。港Dは、船舶200の航路の終点である。港Aにおいて、船舶200における船舶用電気推進システム100の二次電池30は、満充電とされる。
【0076】
港Aと港Bとの距離を、距離d1とする。港Bと港Cとの距離を、距離d2とする。港Cと港Dとの距離を、距離d3とする。本例において、船舶200の総航行距離Sは、距離d1と距離d2と距離d3との和である。
【0077】
船舶200は現在、位置PSを航行しているとする。船舶200の位置情報取得部60は、船舶200の現在位置PSを取得する。港Aと位置PSとの距離を、距離dd1とする。位置PSと港Bとの距離を、距離dd2とする。なお、距離dd1と距離dd2との和は、距離d1である。
【0078】
制御部40は、船舶200が停泊する一または複数の港のいずれかと船舶200の現在位置PSとの距離、および、回転数指令部41から指令される推進用電動機10の回転数指令値に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御してよい。当該一または複数の港は、船舶200の航海における目的地の港であってよい。本例においては、制御部40は港B〜港Dのいずれかと、船舶200の現在位置PSとの距離に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御する。
【0079】
目的地が港Dである場合、制御部40は、距離dd2と距離d2と距離d3との和に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御する。これにより、船舶200が港Dに到着する前に、二次電池30の充電量がPminになるのを防ぐことができる。
【0080】
図13は、船舶200の航路の他の一例を示す図である。図13において、港A〜港Dは図12と同じであるが、図13に示される船舶200の航路は、図12に示される船舶200の航路と異なる。本例において、船舶200は港Aを出発した後、港B、港Dおよび港Cにこの順に停泊する。船舶200は港Cを出発した後、港Aに帰着する。港Aの出発時において、船舶200における船舶用電気推進システム100の二次電池30は、満充電とされる。港B〜港Dには、二次電池30を充電するための充電設備が備えられていなくてよい。
【0081】
港Bと港Dとの距離を、距離d2'とする。港Cと港Aとの距離を、距離d4とする。本例において、船舶200の総航行距離S'は、距離d1と距離d2'と距離d3と距離d4との和である。
【0082】
図12の場合と同様に、船舶200は現在、位置PSを航行しているとする。船舶200の位置情報取得部60は、船舶200の現在位置PSを取得する。港Aから現在位置PSまでの船舶200の航行距離は、距離dd1である。
【0083】
制御部40は、船舶200が港を出発してから当該港に到着するまでの総航行予定距離と、当該港と現在位置PSとの距離と、に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御してよい。本例においては、制御部40は総航行距離S'と距離dd1とに基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御する。これにより、船舶200が港Aに帰着する前に、二次電池30の充電量がPminになるのを防ぐことができる。
【0084】
図14は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、充電場所情報取得部64をさらに備える点で、図11に示される船舶用電気推進システム100と異なる。本例の充電場所情報取得部64は、制御部40に設けられている。充電場所情報取得部64は、二次電池30を充電するための充電設備が備えられた場所の情報を取得する。
【0085】
図15は、船舶200の航路の一例を示す図である。図15における船舶200の航路は、図12における船舶200の航路と同じである。また、図15における船舶200の現在位置PSは、図12における船舶200の現在位置PSと同じである。本例において、二次電池30を充電するための充電設備が、港Aおよび港Cには備えられているが、港Bおよび港Dには備えられていない。
【0086】
制御部40は、充電設備が備えられた場所と船舶200の現在位置PSとの距離、および、回転数指令部41から指令される推進用電動機10の回転数指令値に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御してよい。本例においては、制御部40は充電設備が備えられている港Cと、船舶200の現在位置PSとの距離に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御する。即ち、本例において制御部40は、距離dd2と距離d2との和に基づいて、推進用電動機10の出力Pを制御する。これにより、船舶200が港Cに到着する前に、二次電池30の充電量がPminになるのを防ぐことができる。また、港Cにおいて、船舶200は二次電池30を、港Cに備えられた充電設備によって再度充電できる。
【0087】
図16は、本発明の一つの実施形態に係る船舶用電気推進システム100の他の一例を示すシステム構成図である。本例の船舶用電気推進システム100は、温度調整部70、出力設定部72および電力変換部24をさらに備える点で、図2に示される船舶用電気推進システムと異なる。温度調整部70は、二次電池30から電力を供給される。本例において、二次電池30の周囲の温度は温度調整部70の出力により調整される。
【0088】
本例において、船舶200は二次電池設置部230を備える。二次電池設置部230は、船体210に設けられていてよい。温度調整部70は、二次電池設置部230に設けられていてよい。二次電池設置部230は、二次電池30を設置する部屋状の空間であってよい。二次電池設置部230が部屋状の空間である場合、温度調整部70は当該空間における、二次電池30の周囲の温度を調整する。温度調整部70は、例えば空調機である。
【0089】
本例において、出力設定部72は温度調整部70の出力を設定する。本例の出力設定部72は、制御部40に設けられている。電力変換部24は、直流電力を交流電力に変換する。電力変換部24は、二次電池30から供給された直流電力を交流電力に変換する。電力変換部24は、当該交流電力を温度調整部70に供給する。
【0090】
本例において、制御部40は温度調整部70の出力を制御する。本例の制御部40は、電力変換部24を制御することにより、温度調整部70の出力を制御する。本例においては、出力設定部72が、電力変換部24において変換される交流電力の出力を設定することにより、温度調整部70の出力を制御する。
【0091】
制御部40は、二次電池30の残量が、予め定められた残充電量未満である場合に、温度調整部70の出力の制御を停止してよい。これにより、二次電池30の電力は温度調整部70に供給されず、推進用電動機10に供給される。
【0092】
二次電池30の予め定められた残充電量の電力を全て推進用電動機10に供給した場合に、船舶200が航行可能な距離を距離dpとする。船舶200の現在位置PS(図12参照)と、充電設備を備える最寄りの港までの距離を、距離dnとする。二次電池30の予め定められた残充電量は、距離dpと距離dnとに基づいて設定されてよい。当該残充電量は、距離dpが距離dnよりも大きくなるように設定されてよい。二次電池30の残充電量が予め定められた残充電量未満となった場合、距離dpが距離dnよりも小さくなる恐れがあるので、制御部40は温度調整部70の出力の制御を停止してよい。これにより、船舶用電気推進システム100は、例えば、船舶200が航海中にもかかわらず、二次電池30が推進用電動機10を駆動不可能となることを抑制できる。
【0093】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0094】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0095】
10・・・推進用電動機、12・・・船内負荷、14・・・変圧器、20・・・電力変換部、22・・・電力変換部、24・・・電力変換部、30・・・二次電池、32・・・BMS、40・・・制御部、41・・・回転数指令部、42・・・充電状態測定部、43・・・回転数設定部、44・・・記憶部、46・・・上限演算部、48・・・回転数取得部、49・・・除算部、50・・・海洋状態取得部、52・・・加速度センサ、54・・・風状態取得部、55・・・風向風速計、56・・・喫水取得部、58・・・喫水センサ、60・・・位置情報取得部、62・・・アンテナ、64・・・充電場所情報取得部、70・・・温度調整部、72・・・出力設定部、100・・・船舶用電気推進システム、200・・・船舶、210・・・船体、220・・・スクリュー、230・・・二次電池設置部、300・・・水平線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16