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特開2021-54769抗ウィルス性部材、抗ウィルス性部材の製造方法及び抗ウィルス組成物
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  • 特開2021054769-抗ウィルス性部材、抗ウィルス性部材の製造方法及び抗ウィルス組成物 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-54769(P2021-54769A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】抗ウィルス性部材、抗ウィルス性部材の製造方法及び抗ウィルス組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/34 20060101AFI20210312BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20210312BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20210312BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20210312BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20210312BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20210312BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20210312BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20210312BHJP
   C09D 5/14 20060101ALI20210312BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20210312BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20210312BHJP
   C09D 175/14 20060101ALI20210312BHJP
   C09D 7/47 20180101ALI20210312BHJP
【FI】
   A01N25/34 A
   A01P1/00
   A01N59/16 Z
   A01N59/16 A
   B05D7/14 Z
   B05D7/00 E
   B05D7/00 C
   B05D3/06 102Z
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 301T
   B05D7/24 303A
   C09D4/02
   C09D5/14
   C09D7/61
   C09D7/63
   C09D175/14
   C09D7/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-180657(P2019-180657)
(22)【出願日】2019年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 晃章
(72)【発明者】
【氏名】堀野 克年
【テーマコード(参考)】
4D075
4H011
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AC53
4D075BB16X
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075CA02
4D075CA13
4D075CA32
4D075CA45
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB01
4D075DB04
4D075DB13
4D075DB14
4D075DC01
4D075DC15
4D075DC38
4D075EA05
4D075EA21
4D075EB22
4D075EB35
4D075EB43
4D075EB51
4D075EC01
4D075EC07
4D075EC10
4D075EC33
4H011AA04
4H011BB18
4H011BC19
4H011DA07
4H011DH02
4H011DH07
4J038DG211
4J038DG221
4J038FA111
4J038FA121
4J038FA211
4J038HA216
4J038HA396
4J038HA456
4J038HA506
4J038JA19
4J038JB32
4J038JB33
4J038JB36
4J038KA02
4J038NA02
4J038PA17
4J038PB01
4J038PB03
4J038PB04
4J038PB05
4J038PB06
4J038PC01
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC06
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】 抗ウィルス性が経時劣化しない抗ウィルス性部材を提供する
【解決手段】 金属、セラミック又はガラスからなる基材の表面に、光触媒機能を持たない抗ウィルス剤を含む紫外線硬化樹脂の硬化物が膜状に固着形成されてなり、かつ、上記紫外線硬化樹脂中に、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする抗ウィルス性部材。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、セラミック又はガラスからなる基材の表面に、光触媒機能を持たない抗ウィルス剤を含む紫外線硬化樹脂の硬化物が膜状に固着形成されてなり、かつ、前記紫外線硬化樹脂中に、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする抗ウィルス性部材。
【請求項2】
前記抗ウィルス剤は、光触媒機能を持たない無機系抗ウィルス剤又は光触媒機能を持たない有機系抗ウィルス剤である請求項1に記載の抗ウィルス性部材。
【請求項3】
前記光触媒機能を持たない無機系抗ウィルス剤は、銅イオン及び銅化合物を含まない請求項1又は2に記載の抗ウィルス性部材。
【請求項4】
前記紫外線硬化樹脂中に、メチルメタアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種以上のアクリレートと、光重合開始剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗ウィルス性部材。
【請求項5】
前記紫外線硬化樹脂中に、レベリング剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗ウィルス性部材。
【請求項6】
前記紫外線硬化樹脂中に、多官能ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗ウィルス性部材。
【請求項7】
光触媒機能を持たない抗ウィルス剤を含む未硬化の紫外線硬化樹脂組成物からなる抗ウィルス組成物を、金属、セラミック又はガラスからなる基材の表面に膜状に被覆させた後、紫外線を照射することにより前記紫外線硬化組成物を硬化させる抗ウィルス性部材の製造方法であって、
前記紫外線硬化樹脂中に、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする抗ウィルス性部材の製造方法。
【請求項8】
前記抗ウィルス組成物は有機溶媒を含まない請求項7に記載の抗ウィルス性部材の製造方法。
【請求項9】
前記抗ウィルス組成物は水を含まない請求項7又は8に記載の抗ウィルス性部材の製造方法。
【請求項10】
光触媒機能を持たない抗ウィルス剤を含む未硬化の紫外線硬化樹脂からなる抗ウィルス組成物であって、前記紫外線硬化樹脂がリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする抗ウィルス組成物。
【請求項11】
前記抗ウィルス組成物は有機溶媒を含まない請求項10に記載の抗ウィルス組成物。
【請求項12】
前記抗ウィルス組成物は水を含まない請求項10又は11に記載の抗ウィルス組成物。
【請求項13】
前記紫外線硬化樹脂中に、メチルメタアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種以上のアクリレートと、光重合開始剤とを含む請求項10〜12のいずれか1項に記載の抗ウィルス組成物。
【請求項14】
前記紫外線硬化樹脂中に、多官能ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む請求項10〜13のいずれか1項に記載の抗ウィルス組成物。
【請求項15】
前記抗ウィルス剤は、光触媒機能を持たない無機系抗ウィルス剤及び/又は光触媒機能を持たない有機系抗ウィルス剤である請求項10〜14のいずれか1項に記載の抗ウィルス組成物。
【請求項16】
前記抗ウィルス剤は、銅イオン及び銅化合物を含まない請求項10〜15のいずれか1項に記載の抗ウィルス組成物。
【請求項17】
前記紫外線硬化樹脂中に、レベリング剤を含む請求項10〜16のいずれか1項に記載の抗ウィルス組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウィルス性部材、抗ウィルス性部材の製造方法及び抗ウィルス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病原体である種々の微生物を媒介とした感染症が短時間で急激に広がる、いわゆる「パンデミック」が問題になっており、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、ノロウィルス、鳥インフルエンザ等のウィルス感染による死者も報告されている。
【0003】
そこで、様々のウィルスに対して抗ウィルス活性を発揮する抗ウィルス剤の開発が活発に行われており、実際に様々な部材に抗ウィルス活性を有するPd等の金属や有機化合物からなる抗ウィルス剤を含む樹脂等を塗布したり、抗ウィルス剤が担持された材料を含む部材を製造することが行われている。しかし、金属やセラミック部材上に抗ウィルス剤を担持させると、時間とともに抗ウィルス性能が低下するという問題がみられた。
【0004】
特許文献1には、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200:物質名 ジペンタエリスリトールテトラアクリレート)中に銅化合物を分散させて、基材上に固着させた抗ウィルス性部材が開示されているが、このような基材が金属やセラミックの場合、時間の経過とともに、抗ウィルス性能が低下するという問題がみられた。
【0005】
特許文献2には、アクリル樹脂やイソシアネート硬化用アクリル樹脂とジイソシアネート(実施例中では旭化成ケミカルズ株式会社の商品名で「デュラネート(登録商標)」と表記)を反応させた熱硬化性のウレタン樹脂中にリン酸エステル型アニオン界面活性剤と亜酸化銅が分散した抗ウィルス組成物がコートされた抗ウィルスコート部材が開示されているが、このような抗ウィルス組成物を金属やセラミック基材にコートした抗ウィルス部材は、時間の経過とともに、抗ウィルス性能が低下するという問題がみられた。
【0006】
特許文献3には、アクリル樹脂やウレタン樹脂エマルジョンなどのバインダ中に無機リン酸化合物などの無機固体酸を含む抗ウィルス組成物を開示するが、このような抗ウィルス組成物を金属やセラミック基材にコートした抗ウィルス部材は、やはり時間の経過とともに、抗ウィルス性能が低下するという問題がみられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2019/74121号
【特許文献2】国際公開第2014/132606号
【特許文献3】国際公開第2017/150063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上、説明のようにこれまでの抗ウィルスコート組成物を使用した抗ウィルス性部材は、時間の経過とともに、抗ウィルス性能が低下するという問題がみられた。
本発明の目的は、抗ウィルス性が経時劣化しない抗ウィルス性部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究した結果、このような金属やセラミックに抗ウィルス組成物をコートした抗ウィルス性部材が、経時劣化する原因は、抗ウィルスコート膜と金属やセラミック基材との密着性が悪く、靴による踏みつけ及び擦れや、機械清掃時の回転ブラシによる過酷な摩耗条件により、抗ウィルスコート膜が剥離するためであることを突き止めた。
さらに、本発明者らは、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートを紫外線硬化樹脂に加えることにより、得られる抗ウィルス性部材の耐摩耗性を向上することができることを見出した。
すなわち、本発明は、金属、セラミック又はガラスからなる基材の表面に、光触媒機能を持たない抗ウィルス剤を含む紫外線硬化樹脂の硬化物が膜状に固着形成されてなり、かつ、上記紫外線硬化樹脂中に、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする抗ウィルス性部材、当該抗ウィルス性部材の製造方法、及び、当該抗ウィルス性部材の製造方法に使用される抗ウィルス組成物である。
【0010】
本発明の抗ウィルス性部材は、紫外線硬化樹脂中に、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。そのため、基材の表面の水酸基や金属とリン酸エステル基が結合して、これらの基材との密着性が向上する。その結果、紫外線硬化樹脂に清掃時や靴などによる圧縮、せん断応力がかかった場合でも、基材との密着性に優れ、硬度が高く、耐摩耗性に優れた紫外線硬化樹脂の硬化物を得ることができる。このため、靴による踏みつけ及び擦れや、機械清掃時の回転ブラシによる過酷な摩耗条件でも紫外線硬化樹脂の硬化物から抗ウィルス剤が脱落しにくい。
【0011】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ジヒドロホスフェート、ジ−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)ヒドロゲンホスフェート、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等が挙げられる。
【0012】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、抗ウィルス剤として光触媒機能を持たないものを使用するため、紫外線硬化樹脂を劣化させない。
【0013】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、上記抗ウィルス剤は、光触媒機能を持たない無機系抗ウィルス剤又は光触媒機能を持たない有機系抗ウィルス剤であることが好ましい。
また、光触媒機能を持たない無機系抗ウィルス剤としては、光触媒機能を持たない金属化合物、金属イオンでイオン交換されたゼオライトから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。金属化合物としては、金属酸化物、無機リン酸化合物、無機ケイ酸化合物を挙げることができる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化銀、酸化鉛などを使用することができる。
また、無機リン酸化合物としては、リン酸亜鉛や、リン酸ジルコニウム、リン酸ハフニウム、リン酸チタニウム等のチタン族元素のリン酸化合物、リン酸アルミニウム、ヒドロキシアパタイト(リン酸塩鉱物)等の無機リン酸化合物;ケイ酸マグネシウム、シリカゲル、アルミノケイ酸塩、セピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)、モンモリロナイト(ケイ酸塩鉱物)、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)等の無機ケイ酸化合物等を使用できる。
金属イオンで置換したゼオライトとしては、銀イオン置換ゼオライト等を使用できる。なお、無機系抗ウィルス剤として、シリカに担持した銀は抗菌作用を有するが、表面積が小さく、またシリカ自身には抗ウィルス性能が無いため、銀担持シリカは抗ウィルス剤としては機能しない。一方、ゼオライトは表面積が大きく、ゼオライト自身にも抗ウィルス機能があるため、銀担持のシリカよりも銀イオンで置換したゼオライトの方が好ましい。従って、本発明で使用される抗ウィルス剤からは、銀担持シリカは除かれることが好ましい。
また、光触媒機能を持たない無機系抗ウィルス剤は、銅イオン及び銅化合物を含まないものであってもよい。銅イオンや銅化合物は有色のものが多いため、抗ウィルス組成物を膜状に形成して硬化させると、基材表面の色彩が損なわれるからである。
なお、銅イオンや銅化合物を含んでいても基材表面の色彩に影響を与えない場合は、抗ウィルス剤として銅化合物を含んでいてもよい。具体的には、酸化銅、亜酸化銅、水酸化銅などを用いることができる。
また、光触媒機能を持たない有機系抗ウィルス剤としては、トリアジン、アゾール、スルホン酸系界面活性剤、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
有機系抗ウィルス剤としては、例えば、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール及びベンゾイミダゾールなどのアゾール、トリアジン、ハロカルバン、クロロフェネシン、塩化リゾチーム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヘキサクロロフェン、ベルベリン、チオキソロン、サリチル酸及びそれらの誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、チアントール、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、モノニトログアヤコールナトリウム、ウイキョウエキス、サンショウエキス、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム及びウンデシレン酸誘導体、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、ビス型ピリジニウム塩、ビス型キノリニウム塩、ビス型チアゾリウム塩等が挙げられる。
【0014】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、紫外線硬化樹脂中に、メチルメタアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種以上のアクリレートと光重合開始剤を含むことが好ましい。これらの樹脂は、硬化前の紫外線硬化樹脂の粘度を下げることができるからである。
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物において、上記メチルメタアクリレート、上記ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、上記シクロヘキシルメタクリレートの重量割合は、それぞれ、全(メタ)アクリレート中50〜70重量%、5〜20重量%、1〜5重量%であることが望ましい。
【0015】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、紫外線硬化樹脂中にレべリング剤を含んでいてもよい。
レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、とりわけ非揮発性シリコーンを好適に用いることができる。非揮発性であることにより、レベリング効果が高く、指滑り性も優れたものになる。非揮発性シリコーンとしてはポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、アミノ官能置換基のあるポリシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。非揮発性シリコーンの添加量は、全(メタ)アクリレートの固形分100重量部に対して、固形分0.002〜0.007重量部が好適である。
【0016】
本発明の抗ウィルス組成物は、無溶剤(有機溶媒を含まない)であることが好ましい。乾燥させることなく紫外線で硬化させることができ、また、人体に有害な溶剤が揮発することが無いからである。
また、本発明の抗ウィルス組成物は水を含んでいないことが好ましい。また、未硬化の紫外線硬化樹脂及びメチルメタアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートがエマルジョンとなっていないことが好ましい。未硬化の紫外線硬化樹脂や(メタ)アクリレートがエマルジョンとなっている場合は、均一な膜を形成することができないからである。
【0017】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、分子内に5個以上のアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
分子内に5個以上のアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートは硬度を向上させる機能を有する。具体的にはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0018】
本発明の抗ウィルス組成物では、メチルメタクリレート(MMA)を粘度調整剤として含むことが好ましく、抗ウィルス組成物の粘度は10mPa・s/25℃未満に調整されることが好ましい。MMAは組成物全重量中50〜70重量%配合するのが好ましい。
また、本発明の抗ウィルス組成物及びその硬化物中に2官能性(メタ)アクリレートとしてジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、単官能(メタ)アクリレートとしてシクロヘキシルメタクリレートを含んでいてよい。これらは抗ウィルス組成物の粘度を低減させることができ、また、硬化後の硬化収縮も小さくすることができる。
【0019】
本発明の抗ウィルス性部材において、抗ウィルス剤を含む紫外線硬化樹脂層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましい。
【0020】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、紫外線硬化樹脂が、多官能ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいてもよい。硬度が高く、靱性も改善されるため、摩耗やクラックが発生しにくく、無機系の抗ウィルス剤の脱落が無く、抗ウィルス性能の経時劣化がない。
本発明で用いられる多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を持つ多官能(メタ)アクリレートモノマー及び/又は3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を持つ多官能アクリレートオリゴマーとイソシアネートモノマーあるいは有機ポリイソシアネートとからなることが望ましい。
イソシアネートモノマーとしてはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられ、有機ポリイソシアネートはイソシアネートモノマーから合成されるアダクトタイプ、イソシアヌレートタイプ、ビュレットタイプのポリイソシアネートなどが挙げられる。
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を持つ多官能アクリレートモノマー及び/又は3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を持つ多官能アクリレートオリゴマーとしてはジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどが挙げられる。これらの多官能アクリレートは、その水酸基がイソシアネートモノマーあるいは有機ポリイソシアネートと結合して、架橋点が多い多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを形成でき、その硬化物は3次元的な架橋を実現でき、硬度、靱性に優れるからである。
【0021】
本発明の抗ウィルス性部材の製造方法は、光触媒機能を持たない抗ウィルス剤を含む未硬化の紫外線硬化樹脂組成物からなる抗ウィルス組成物を、金属、セラミック又はガラスからなる基材の表面に膜状に被覆させた後、紫外線を照射することにより上記紫外線硬化組成物を硬化させる抗ウィルス性部材の製造方法であって、上記紫外線硬化樹脂中に、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする。
本発明の抗ウィルス性部材の製造方法は、本発明の抗ウィルス組成物を用いて本発明の抗ウィルス性部材を製造する方法といえる。
【0022】
本発明の抗ウィルス性部材の製造方法において、抗ウィルス組成物は有機溶媒を含まないことが好ましい。
この場合、抗ウィルス組成物を乾燥させることなく紫外線で硬化させることができ、また、人体に有害な溶剤が揮発することが無い。
また、本発明の抗ウィルス性部材の製造方法において、抗ウィルス組成物は水を含まないことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明のウィルス性部材の一例を模式的に示す断面図である。
【0024】
本発明の抗ウィルス性部材は、基材表面に抗ウィルス剤を含む紫外線硬化樹脂が膜状に固着形成されてなる。
本発明の抗ウィルス性部材を構成する基材の材料は、金属、セラミック、ガラスであれば特に限定されるものでない。
また、本発明の抗ウィルス性部材は、建築物内部の化粧板、内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよく、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる建築基材であってもよい。
【0025】
セラミックとしては、陶器でもよく、アルミナ、シリカ、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの酸化物、窒化物の板状体、マグネシアセメント板、石膏ボード、各種金属酸化物を使用できる。また、ガラスとしては、ソーダ石灰ガラスのほか、ホウケイ酸ガラスや石英ガラスなどを使用できる。
金属としてはアルミニウム、銅、ニッケル、クロム、スズ、インジウム、亜鉛、金、銀、白金及びこれらの合金であってもよい。また、これらの酸化物であってもよい。これらの他には、スズドープ酸化インジウム、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
金属、金属酸化物は、基材表面に層状に形成されていてもよい。基材としては板状、球状、フィルム状など各種形状を採用できる。
【0026】
以下に、本発明の抗ウィルス性部材について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の抗ウィルス性部材の一例を模式的に示す断面図である。
【0027】
図1に示すように、抗ウィルス性部材1は、金属、ガラス又はセラミックからなる基材10と基材10の表面に固着形成された紫外線硬化樹脂の硬化物20を有する。
紫外線硬化樹脂の硬化物20は、抗ウィルス剤30を含んでいる。
【0028】
また、抗ウィルス性部材1では、紫外線硬化樹脂の硬化物20は、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。
そのため、基材の表面の水酸基や金属とリン酸エステル基が結合して、これらの基材との密着性が向上する。その結果、紫外線硬化樹脂に清掃時や靴などによる圧縮、せん断応力がかかった場合でも、基材との密着性に優れ、硬度が高く、耐摩耗性に優れた紫外線硬化樹脂の硬化物を得ることができる。このため、靴による踏みつけ及び擦れや、機械清掃時の回転ブラシによる過酷な摩耗条件でも紫外線硬化樹脂の硬化物から抗ウィルス剤が脱落しにくい。
【0029】
リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−ジヒドロホスフェート、ジ−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)ヒドロゲンホスフェート、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等が挙げられる。
【0030】
本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、分子内に5個以上のアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
分子内に5個以上のアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートは硬度を向上させる役目を有し、具体的にはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0031】
また、上記無機系抗ウィルス剤は、光触媒機能を持たない金属化合物及び金属イオンで置換したゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記金属化合物としては、金属酸化物、無機リン酸化合物、無機ケイ酸化合物等を挙げることができる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化銀、酸化鉛等を使用することができる。
また、無機リン酸化合物としては、リン酸亜鉛や、リン酸ジルコニウム、リン酸ハフニウム、リン酸チタニウム等のチタン族元素のリン酸化合物、リン酸アルミニウム、ヒドロキシアパタイト(リン酸塩鉱物)等の無機リン酸化合物;ケイ酸マグネシウム、シリカゲル、アルミノケイ酸塩、セピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)、モンモリロナイト(ケイ酸塩鉱物)、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)等の無機ケイ酸化合物等を使用できる。
金属イオンで置換したゼオライトとしては、銀イオン置換ゼオライトを使用できる。なお、無機系抗ウィルス剤として、シリカに担持した銀は抗菌作用を有するが、表面積が小さく、またシリカ自身には抗ウィルス性能が無いため、銀担持シリカは抗ウィルス剤としては機能しない。一方、ゼオライトは表面積が大きく、ゼオライト自身にも抗ウィルス機能があるため、銀担持のシリカよりも銀イオンで置換したゼオライトの方が好ましい。従って、本発明で使用される抗ウィルス剤からは、銀担持シリカは除かれることが好ましい。
また、無機系抗ウィルス剤は、銅イオン及び銅化合物を含まないものであってもよい。銅イオンや銅化合物は有色のものが多いため、抗ウィルス組成物を膜状に形成して硬化させると、基材表面の色彩が損なわれるからである。
なお、銅イオンや銅化合物を含んでいても基材表面の色彩に影響を与えない場合は、抗ウィルス剤として銅化合物を含んでいてもよい。具体的には、酸化銅、亜酸化銅、水酸化銅などを用いることができる。
【0032】
また、本発明の抗ウィルス性部材及び抗ウィルス組成物では、有機系抗ウィルス剤は、トリアジン、アゾール、スルホン酸系界面活性剤、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
有機系抗ウィルス剤としては、例えば、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール及びベンゾイミダゾールなどのアゾール、トリアジン、ハロカルバン、クロロフェネシン、塩化リゾチーム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヘキサクロロフェン、ベルベリン、チオキソロン、サリチル酸及びそれらの誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、チアントール、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、モノニトログアヤコールナトリウム、ウイキョウエキス、サンショウエキス、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム及びウンデシレン酸誘導体、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、ビス型ピリジニウム塩、ビス型キノリニウム塩、ビス型チアゾリウム塩等が挙げられる。
【0033】
次に、本発明の抗ウィルス性部材における紫外線硬化樹脂の硬化物について説明する。
未硬化の紫外線硬化樹脂であるモノマー又はオリゴマーと重合開始剤と各種添加剤と抗ウィルス成分とを含んだ混合組成物を用いて基材表面に皮膜を形成した後、紫外線を照射することにより、重合開始剤は、開裂反応、水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が未硬化の紫外線硬化樹脂を構成する攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応が進行し、抗ウィルス剤を含む紫外線硬化樹脂の硬化物形成される。
【0034】
本発明の抗ウィルス性部材によれば、例えば、金属、ガラス、セラミックからなる建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア、ノブ、スライドキー、台所用品等や、事務機器や家具等に、表面に形成されたパターン、色彩、意匠、色調等を変えることなく、抗ウィルス機能を付加することができる。
【0035】
次に、上記した抗ウィルス性部材の製造方法について説明する。
上記抗ウィルス性部材を製造する際には、まず、基材の表面に、抗ウィルス剤と未硬化の紫外線硬化樹脂、即ちリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー及び光重合開始剤を含む抗ウィルス組成物を膜状に塗布する塗布工程を行い、続いて必要に応じて、上記塗布工程により塗布された上記抗ウィルス組成物を乾燥させて、最後に上記未硬化のバインダを紫外線硬化樹脂させる硬化工程を行うことにより、基材表面に抗ウィルス剤を含む紫外線樹脂の硬化物が膜状に固着形成されてなる抗ウィルス性部材を得ることができる。
【0036】
(1)塗布工程
本発明の抗ウィルス性部材を製造する際には、まず、塗布工程として、基材の表面に、抗ウィルス剤と未硬化の紫外線硬化樹脂と必要に応じて分散媒と光重合開始剤とを含む抗ウィルス組成物を調製して、これを基材表面に塗布する。
抗ウィルス剤は、光触媒機能を持たない有機系抗ウィルス剤及び/又は光触媒機能を持たない無機系抗ウィルス剤が好ましい。
また、無機系抗ウィルス剤は、金属化合物及び金属イオンで置換したゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
金属化合物としては、金属酸化物、無機リン酸化合物、無機ケイ酸化合物等を挙げることができる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化銀、酸化鉛等を使用することができる。また、無機リン酸化合物としては、リン酸亜鉛や、リン酸ジルコニウム、リン酸ハフニウム、リン酸チタニウム等のチタン族元素のリン酸化合物、リン酸アルミニウム、ヒドロキシアパタイト(リン酸塩鉱物)等の無機リン酸化合物;ケイ酸マグネシウム、シリカゲル、アルミノケイ酸塩、セピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)、モンモリロナイト(ケイ酸塩鉱物)、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)等の無機ケイ酸化合物などを使用できる。
また、無機系抗ウィルス剤は、銅イオン及び銅化合物を含まないものであってもよい。銅イオンや銅化合物は有色のものが多いため、抗ウィルス組成物を膜状に形成して硬化させると、基材表面の色彩が損なわれるからである。
なお、銅イオンや銅化合物を含んでいても基材表面の色彩に影響を与えない場合は、抗ウィルス剤として銅化合物を含んでいてもよい。具体的には、酸化銅、亜酸化銅、水酸化銅などを用いることができる。
金属イオンで置換したゼオライトとしては、銀イオン置換ゼオライト等を使用できる。なお、無機系抗ウィルス剤として、シリカに担持した銀は抗菌作用を有するが、表面積が小さく、またシリカ自身には抗ウィルス性能が無いため、銀担持シリカは抗ウィルス剤としては機能しない。一方、ゼオライトは表面積が大きく、ゼオライト自身にも抗ウィルス機能があるため、銀担持のシリカよりも銀イオンで置換したゼオライトの方が抗ウィルス剤として好ましい。従って、本発明で使用される抗ウィルス剤からは、銀担持シリカは除かれることが好ましい。
また、前記有機系抗ウィルス剤は、トリアジン、アゾール、スルホン酸系界面活性剤、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記有機系抗ウィルス剤としては、例えば、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール及びベンゾイミダゾールなどのアゾール、トリアジン、ハロカルバン、クロロフェネシン、塩化リゾチーム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヘキサクロロフェン、ベルベリン、チオキソロン、サリチル酸及びそれらの誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、チアントール、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、モノニトログアヤコールナトリウム、ウイキョウエキス、サンショウエキス、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム及びウンデシレン酸誘導体、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、ビス型ピリジニウム塩、ビス型キノリニウム塩、ビス型チアゾリウム塩等が挙げられる。
【0037】
上記分散媒の種類は特に限定されるものではないが、安定性を考慮した場合にはアルコール類や水を使用できる。アルコール類としては、粘性を下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。これらのアルコールのなかでは、粘度が高くなりにくいメチルアルコール、エチルアルコールが好ましく、アルコールと水との混合液が好ましい。
また、メチルエチルケトンや酢酸エチルなどの有機溶媒を使用してもよい。
なお、分散媒として水を使用すると紫外線硬化樹脂や前記(メタ)アクリレートや前記光重合開始剤がエマルジョンとなってしまい、塗布した際に均一な膜を形成できないという問題が発生してしまうため、水を使用して紫外線硬化樹脂や前記(メタ)アクリレートや前記光重合開始剤等をエマルジョン化することは好ましくない。
【0038】
また、抗ウィルス組成物を調製する際の、最も好ましい形態としては、分散媒を使用せずに、無溶剤で抗ウィルス組成物を調製する形態が挙げられる。
無溶剤で抗ウィルス組成物を調製した場合、後に分散媒を乾燥させる乾燥工程を行うことなく、塗布後に紫外線を照射することで、短時間に紫外線硬化樹脂を硬化することができる。また、分散媒として有機溶媒を使用すると、抗ウィルス組成物の塗布時及び硬化後でも有機溶媒が揮発して、作業者や抗ウィルス性部材を配置した空間に居住する人間の健康に悪影響を与える可能性がある。そのため、健康面からも無溶剤であることが好ましい。
抗ウィルス組成物の粘度を下げるために、メチルメタアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種以上の(メタ)アクリレートを添加することが好ましい。
【0039】
上記重合開始剤は、具体的にはアルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、分子内水素引き抜き型、及び、オキシムエステル系からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0040】
上記アルキルフェノン系の重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
【0041】
アシルフォスフィンオキサイド系の重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0042】
分子内水素引き抜き型の重合開始剤としては、例えば、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、オキシフェニルサクサン、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルトオキシフェニル酢酸と2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物等が挙げられる。
【0043】
オキシムエステル系の重合開始剤としては、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0044】
上記抗ウィルス組成物中の抗ウィルス剤の含有割合は、未硬化の紫外線硬化樹脂100重量部に対して15〜60重量部が好ましい。
また、上記抗ウィルス組成物中のリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーの含有割合は、未硬化の紫外線硬化樹脂100重量部に対して1から30重量部が好ましい。
また、上記抗ウィルス組成物に分散媒を加える場合には、分散媒の含有割合は、未硬化の紫外線硬化樹脂100重量部に対して1から80重量部が好ましい。
【0045】
上記抗ウィルス組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、消泡剤等が配合されていてもよい。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、とりわけ非揮発性シリコーンを好適に用いることができる。非揮発性であることにより、レベリング効果が高く、指滑り性も優れたものになる。非揮発性シリコーンとしてはポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、アミノ官能置換基のあるポリシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。非揮発性シリコーンの添加量は、紫外線硬化樹脂の固形分100重量部に対して、固形分0.002〜0.007重量部が好適である。
【0046】
上記塗布方法としては、例えば、スポンジローラー、刷毛、モップ、スキージーなどを利用して抗ウィルス組成物を金属、セラミック、ガラス基材表面に塗布することができる。
分散媒を含まない無溶剤の抗ウィルス組成物を使用する場合は、この乾燥工程は不要である。
【0047】
(2)硬化工程
上記の抗ウィルス性部材を製造する際には、硬化工程として、抗ウィルス組成物中の上記未硬化の紫外線硬化樹脂を構成するモノマーやオリゴマー並びにリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーに紫外線を照射して上記未硬化の紫外線樹脂を硬化させ、硬化物とする。
紫外線を照射の条件は、特に限定されないが、その条件は、1〜300mW/cm、1〜800秒であることが好ましい。
【0048】
(その他の工程)
なお、抗ウィルス組成物が分散媒を含む場合には、上記(1)塗布工程の後に、抗ウィルス組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、抗ウィルス組成物を基材表面に仮固定させるとともに、抗ウィルス組成物の乾燥収縮により、抗ウィルス剤を抗ウィルス組成物の表面から露出させることができる。
乾燥条件としては、60〜100℃、0.5〜5.0分が好ましい。
抗ウィルス組成物が無機バインダを含む場合は、この乾燥工程において分散媒を除去することで無機バインダの硬化が進行する。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
(a)MMA(メチルメタクリレート)245重量部と、(b)分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びヘキサアクリレート混合物(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、固形分100%、ペンタ比率約40%)100重量部と、(c)2官能(メタ)アクリレートとしてジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(商品名:ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学株式会社製、粘度130〜170mPa・s/25℃)を80重量部と、(d)単官能(メタ)アクリレートとしてシクロヘキシルメタクリレート(商品名:ライトエステルCH、共栄社化学株式会社製)を20重量部と、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ジヒドロフォスフェート(商品名:KAYAMER PM−2、日本化薬株式会社製、固形分100%)5重量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名:Irgacure184、BASF社製、固形分100%)を13.5重量部と、レベリング剤としてアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの溶液(商品名:BYK−UV3570、ビッグケミー・ジャパン株式会社製)を1.35重量部とを配合して、無溶剤型紫外線硬化樹脂組成物を得る。
【0050】
次に、無溶剤型紫外線硬化樹脂組成物100重量部に対してリン酸亜鉛(高純度化学)を15重量部添加して、三本ローラーで混練して抗ウィルス組成物を得る。
【0051】
得られた抗ウィルス組成物を500mm×500mmの大きさのステンレス板上に、ラバースキージを用いてコートする。膜厚は3μmである。
【0052】
この後、紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cmの照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、基材であるステンレス板表面にリン酸エステル基を有するアクリレートを含む紫外線硬化樹脂からなる硬化物が膜状に形成された抗ウィルス性部材を得る。
【0053】
(実施例2)
リン酸亜鉛を、銀イオン置換ゼオライト(商品名:ゼオミック、(株)シナネンゼオミック製)に変更し、無溶剤型紫外線硬化樹脂組成物100重量部に対して銀イオン置換ゼオライトを30重量部添加すること、及び、基材として500mm×500mmの白色の陶器製タイルを用いる他は、実施例1と同様に抗ウィルス性部材を得る。
【0054】
(実施例3)
多官能ウレタン(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとを必須成分として構成される数平均分子量が600〜800のピークと2000〜3000のピークを有する10官能ウレタンアクリレート化合物(製品名:KUA−10H、ケーエスエム株式会社製 固形分100%)を100重量部、イミダゾール系の抗微生物剤(商品名:バイオカットBM−100F、日本曹達(株))を50重量部、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ジヒドロフォスフェート(商品名:KAYAMER PM−2、日本化薬株式会社製、固形分100%)5重量部、光重合開始剤として、Irgacure184(商品名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASFジャパン株式会社製)を4.5重量部、LUCIRINTPO(商品名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、BASFジャパン株式会社製)を4.5重量部、粘度を低減させるためにMMA(メチルメタクリレート)250重量部とを配合して、無溶剤の抗ウィルス組成物を得る。
【0055】
得られた抗ウィルス組成物を500mm×500mmの大きさのガラス板上に、ラバースキージを用いてコートする。膜厚は3μmである。
【0056】
この後、紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cmの照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、基材であるステンレス板表面にリン酸エステル基を有するアクリレートを含む紫外線硬化樹脂からなる硬化物が膜状に形成された抗ウィルス性部材を得る。
【0057】
(比較例1)
酢酸銅の濃度が0.7wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フィルム和光純薬社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。酢酸銅水溶液は、後の工程を経て抗ウィルス剤となる。光ラジカル重合型アクリレート樹脂(商品名:UCECOAT7200 ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ダイセル・オルネクス社製)と光重合開始剤(商品名:Omnirad500、IGM社製)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して紫外線硬化樹脂を調製した。上記0.7wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂及びコロイダルシリカ(商品名:メタノールシリカゾル、日産化学社製、固形分30%)を重量比4.5:2.4:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製した。なお、IGM社製のOmnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンとの混合物である。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力を発現する。
【0058】
ついで、500mm×500mmの大きさのステンレス板上に、抗ウィルス組成物を刷毛で膜状に塗布し、この後、ステンレス板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cmの照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、基材であるステンレス板、白色陶器、ガラス板表面に銅化合物を含む紫外線硬化樹脂の硬化物からなる硬化膜が形成された抗ウィルス性部材を得る。
【0059】
(比較例2)
リン酸亜鉛と、不揮発分が30%のウレタンエマルジョンバインダーとを、固形分重量比で1:1になるように混合し、抗ウィルス組成物を製造する。
次いで、この抗ウィルス組成物を、500mm×500mmの大きさのステンレス板、白色陶器、ガラス板上に、抗ウィルス組成物を刷毛で膜状に塗布し、105℃で乾燥して、抗ウィルス加工生地を製造する。
【0060】
(比較例3)
イソシアネート硬化用の2官能のアクリル樹脂(商品名:アクリディック(登録商標:A801)、DIC株式会社製)とヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:デュラネートTPA100、旭化成ケミカルズ株式会社製)とを、イソシアネート基と水酸基の比がNCO:OH=1:1となるように混合した。次に、この混合物に対して、メチルエチルケトンを用いて加熱残分が20質量%となるように希釈を行うことにより、熱硬化性樹脂を調製する。
上記熱硬化性樹脂100重量部に亜酸化銅100質量部、メチルエチルケトン1000質量部、リン酸エステル型アニオン界面活性剤30質量部を混合して抗ウィルス組成物を製造する。
500mm×500mmの大きさのステンレス板、白色陶器、ガラス板上に、抗ウィルス組成物を刷毛で膜状に塗布し、100℃で乾燥、硬化して、比較例3に係る抗ウィルス性部材を製造する。
【0061】
(抗ウィルス性部材の膜性状の評価)
得られた各実施例及び各比較例に係る抗ウィルス性部材について、目視により抗ウィルス性部材の色調を確認する。また、光学顕微鏡(キーエンス社製 マイクロスコープ VHX−5000)により、表面の凹凸の有無を確認する。
結果を表1に示す。
【0062】
(ネコカリシウィルスを用いた抗ウィルス性評価)
この抗ウィルス性試験は以下のように実施する。
各実施例及び各比較例で得られる抗ウィルス性部材の抗ウィルス性を評価するために、JIS Z 2801 抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果を改変した手法を用いる。改変点は、「試験菌液の接種」を「試験ウィルスの接種」に変更する点である。ウィルスを使用することによる変更点についてはすべてJIS L 1922繊維製品の抗ウィルス性試験方法に基づき変更する。測定結果は各実施例及び各比較例で得られた抗ウィルス性部材についてJIS L 1922付属書Bに基づき、CRFK細胞への感染能力を失ったネコカリシウィルス濃度をネコカリシウィルス不活度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、CRFK細胞に対して不活性化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいて抗ウィルス活性値を算出する。
【0063】
以下、手順を具体的に記載する。
(1)各実施例及び各比較例に係る抗ウィルス性部材を、1辺50mm角の正方形に切り出して試験試料とし、当該試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験ウィルス液(>10PFU/mL)を0.4mL接種する。
試験ウィルス液は10PFU/mLのストックを精製水で10倍希釈したものを使用する。
【0064】
(2)対照資料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様にウィルス液を接種する。
【0065】
(3)接種したウィルスの液の上から40mm角のポリエチレンを被せ、試験ウィルス液を均等に接種させた後、25℃で24時間反応させる。
【0066】
(4)接種直後又は反応後、SCDLP培地10mLを加え、ウィルス液を洗い流す。JIS L 1922付属書Bによってウィルスの感染値を求める。
【0067】
(5)以下の計算式を用いて抗ウィルス活性値を算出する。
Mv=Log(Vb/Vc)
Mv:抗ウィルス活性値
Log(Vb):ポリエチレンフイルムの所定時間反応後の感染値の対数値
Log(Vc):試験試料の所定時間反応後の感染値の対数値
参考規格 JIS L 1922、JIS Z 2801
測定方法は、プラーク測定法によった。
また、試験ウィルスはFeline calcivirus; Strain :F−9 ATCC VR−782を用いる。
【0068】
(加速試験)
水道水を含ませたマイクロファイバークロスを用いて150Pa、11000回の加速試験を行う。この加速試験は1日3回ふき取りを行う想定で、約3年分の経時変化に相当する。
加速試験前後の各実施例及び各比較例に係る試験試料を用いて、上記「ネコカリシウィルスを用いた抗ウィルス性評価」と同様の方法で抗ウィルス活性値を算出する。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示すように、実施例1〜3に係る抗ウィルス組成物は、リン酸エステル基を有するアクリレートモノマーを有しており、金属、セラミック、ガラスとの密着性に優れる。そのため加速試験後でも実用的な抗ウィルス性能を維持することができる。また、無溶剤であるため、分散媒の揮発に伴うボイドなども無く、膜表面が平滑であり、均一な膜を形成することができる。
さらに、抗ウィルス剤として銅イオンや銅化合物を含んでいないため膜状にコートしても基材表面の色彩が変わらない。
【0071】
表1に示すように、比較例1に係る抗ウィルス組成物は、耐摩耗性が低く、加速試験後に抗ウィルス性能が低下してしまうことが分かる。また、銅を含むため抗ウィルス組成物の硬化膜は青みがかっており、基材の表面の色彩が損なわれる。また、金属、セラミック、ガラスとの密着性が低く、加速試験後に膨れが知見される。
比較例2に係る抗ウィルス組成物は、ウレタンエマルジョンバインダーを乾燥、熱硬化させたものであり、硬化膜の表面に凹凸が見られ、また、直鎖の高分子であるため、三次元的なネットワーク構造が形成されず、耐摩耗性に劣る。また、金属、セラミック、ガラスとの密着性が低く、加速試験により、紫外線硬化樹脂の硬化物は剥離してしまう。
比較例3に係る抗ウィルス組成物は、熱硬化性のウレタン樹脂を用いており、イソシアネート基と水酸基がNCO:OH=1であることから、硬化剤として機能するアクリル樹脂分子1個に対してヘキサメチレンジアミン分子1個が結合する直鎖高分子となるため、架橋時の高分子鎖のネットワークの形成が不十分であるため、耐摩耗性が低く、また、金属、セラミック、ガラスとの密着性が低く、加速試験により、紫外線硬化樹脂の硬化物は剥離してしまう。
【0072】
以上の結果から、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることで、金属やセラミックなどの表面に抗ウィルス膜が形成された場合でも、抗ウィルス性能が経時的に低下しない抗ウィルス性部材を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 抗ウィルス部材
10 基材
20 紫外線硬化樹脂の硬化物
30 抗ウィルス剤
図1