特開2021-60009(P2021-60009A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2021060009-燃料供給装置 図000003
  • 特開2021060009-燃料供給装置 図000004
  • 特開2021060009-燃料供給装置 図000005
  • 特開2021060009-燃料供給装置 図000006
  • 特開2021060009-燃料供給装置 図000007
  • 特開2021060009-燃料供給装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-60009(P2021-60009A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20210319BHJP
   F02M 37/10 20060101ALI20210319BHJP
   F02M 37/32 20190101ALI20210319BHJP
【FI】
   F02M37/00 301J
   F02M37/10 B
   F02M37/32
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-184946(P2019-184946)
(22)【出願日】2019年10月8日
(11)【特許番号】特許第6804608号(P6804608)
(45)【特許公報発行日】2020年12月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】特許業務法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 穰
(72)【発明者】
【氏名】光藤 英雄
(72)【発明者】
【氏名】江口 慶祐
(57)【要約】
【課題】重量、径方向寸法の増大を抑制しつつ、燃料ポンプを軸方向および径方向に効果的に支持することができる燃料供給装置を得ることを目的とする。
【解決手段】燃料タンクの開口部を塞ぐ蓋部と、燃料タンク内側に配置された燃料ポンプと、蓋部と燃料ポンプとの間に配置され、燃料ポンプの一端を固定するサクションフィルタと、蓋部に固定され燃料ポンプの他端を支持するポンプケースとを備え、サクションフィルタを燃料ポンプの軸方向および径方向への蓋部に対する移動を規制するよう支持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの開口部を塞ぐ蓋部と、
前記蓋部の前記燃料タンクの内側に配置され前記燃料タンクの内側の燃料を昇圧して前記燃料タンクの外側に吐出する燃料ポンプと、
前記蓋部と前記燃料ポンプとの間に配置され、前記燃料ポンプが吸い込む燃料をろ過するとともに、前記燃料ポンプの軸方向の一方側の端部を固定するサクションフィルタと、
前記蓋部に固定され前記燃料ポンプの軸方向の他方側の端部を支持するポンプケースと、を備え、
前記燃料ポンプの軸方向および径方向への前記蓋部に対する前記サクションフィルタの移動を規制するように、前記蓋部は前記サクションフィルタを支持する燃料供給装置。
【請求項2】
前記サクションフィルタは、前記燃料ポンプの軸方向の他方側に窪む凹部を有し、
前記蓋部は、前記凹部と嵌合する、前記燃料ポンプの軸方向の他方側に突出する凸部を有する、請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記サクションフィルタは、中央に前記燃料ポンプの軸方向の他方側に窪む中空穴を有し、
前記蓋部は、前記中空穴と嵌合する、前記燃料ポンプの軸方向の他方側に突出する凸部を有する、請求項1または2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記サクションフィルタは、前記燃料ポンプの軸心と同心の円筒状に形成され、前記燃料ポンプの軸心と同心の円筒状の前記中空穴が形成されている請求項3に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記蓋部は、前記サクションフィルタの外周面を支持する支持部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記燃料タンクの開口部は、前記燃料タンクの底壁に設けられ、
前記燃料ポンプは、前記蓋部の上側に配置され、前記燃料ポンプの軸方向は、上下方向に延びている請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項7】
前記蓋部は、前記昇圧した燃料を前記燃料タンクの外側へ吐出する吐出口を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の燃料供給装置の中でも、自動二輪車などの車両に使用される燃料供給装置は、車体の構造上、燃料タンク底面の開口部から燃料タンク内部に挿入され、燃料タンク底面から立ち上がるように設置される場合が多い。
【0003】
このような燃料供給装置は、燃料タンクの開口部を塞ぐ蓋部と、燃料を昇圧し吐出する燃料ポンプと、前記燃料ポンプに吸入される燃料をろ過するサクションフィルタと、前記燃料ポンプから吐出された燃料をろ過する高圧フィルタと、およびこれらを収納支持するポンプケースから構成され、ポンプケースは蓋部にスナップフィット等により保持されている。
【0004】
燃料供給装置は、悪路を走行する車両、競技用車両等の多様な走行環境への対応が求められている。このため、燃料供給装置には走行中の振動、衝撃に耐える耐振性、耐衝撃性向上の要求が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−117323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、燃料タンクの底壁の開口部の蓋をする蓋部が備えられており、フランジと称されている。燃料供給装置は蓋部の上部の燃料タンク内側に構成されており、燃料吐出パイプが蓋部を貫通して燃料タンク外のエンジンに昇圧した燃料を供給している。燃料タンク内側に設けられた燃料ポンプの上端は、蓋部に固定されたポンプケースの上端によって支持されており、ポンプケースはケースと称されている。燃料ポンプの下端は、燃料ポンプ吸込み口と接続し燃料ポンプが吸い込む燃料をろ過するサクションフィルタを介して、蓋部の底部によって支持されている。これらの支持によって、燃料供給装置内での燃料ポンプの軸方向の移動が規制されている。また、燃料ポンプは径方向に対してポンプケースの円筒保持部分で支持され、径方向の移動が規制されている。
【0007】
燃料供給装置のポンプケースは樹脂成形部材であり、成形寸法公差、金型の抜き勾配によりポンプケースの円筒保持部分と燃料ポンプには燃料ポンプの径方向にすき間が生じてしまう。また、燃料ポンプ下部を支持するサクションフィルタについては、燃料ポンプの径方向の移動を抑制する構造が設置されておらず、車両の振動により燃料供給装置内での燃料ポンプの共振または周囲の部品との衝突が発生し、燃料供給装置の性能劣化の原因となる。これに対して、耐振性向上のため、燃料ポンプの径方向移動をよりタイトに抑制するポンプケースへの構造の追加は、ポンプケース、ひいては燃料供給装置全体の径方向寸法の増大につながり、燃料供給装置の重量増加または燃料タンクへの挿入性悪化の懸念を生ずる。
【0008】
そこで本願は、燃料供給装置の重量、径方向寸法の増大を抑制しつつ、燃料ポンプを軸方向および径方向に効果的に支持することができる燃料供給装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る燃料供給装置は、
燃料タンクの開口部を塞ぐ蓋部と、蓋部の前記燃料タンク内側に配置され燃料タンク内の燃料を昇圧して燃料タンク外に吐出する燃料ポンプと、蓋部と燃料ポンプとの間に配置され、燃料ポンプが吸い込む燃料をろ過するとともに、燃料ポンプの軸方向の一方側の端部を固定するサクションフィルタと、蓋部に固定され燃料ポンプの軸方向の他方側の端部を支持するポンプケースとを備え、燃料ポンプの軸方向および径方向への蓋部に対するサクションフィルタの移動を規制するように、蓋部はサクションフィルタを支持している。
【発明の効果】
【0010】
本願に係る燃料供給装置によれば、サクションフィルタを介して燃料ポンプの軸方向および径方向の移動を規制するように燃料ポンプを支持する構成となり、ポンプケースで燃料ポンプの径方向の移動を規制するように支持をする構造と比較して耐振性、耐衝撃性を向上させることができる。さらに、耐振性向上のための、燃料ポンプの径方向移動をよりタイトに規制するポンプケースへの構造の追加をする必要が無いため、ポンプケースの径方向寸法増加による燃料供給装置全体の大型化、重量増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る燃料供給装置の上面図である。
図2】実施の形態1に係る燃料供給装置の図1のA−A線における断面図である。
図3】実施の形態1に係る燃料供給装置の図1のB−B線における断面図である。
図4】実施の形態2に係る燃料供給装置の図2のC−C線における断面図である。
図5】実施の形態2に係る燃料供給装置の図4のD−D線における断面図である。
図6】実施の形態3に係る燃料供給装置の図4のD−D線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施の形態1
実施の形態1に係る燃料供給装置1について、図面を参照して説明する。図1は燃料供給装置1の上面図である。図2は、燃料供給装置1の図1のA−A線における断面図である。図3は燃料供給装置1の図1のB−B線における断面図である。
【0013】
燃料供給装置1は、自動二輪車などの車両に搭載され、燃料タンク2の底面から燃料タンク2内部に挿入され、燃料タンク2の底面から立ち上がるように設置されている。燃料供給装置1は、燃料タンク2の内部の燃料をエンジンに供給するために加圧して送出する。
【0014】
本願では、燃料ポンプ4の回転軸の軸心Sに平行な方向を燃料ポンプ4の軸方向X(以下、軸方向X)と称する。軸方向Xに垂直な方向を燃料ポンプの径方向と称する。軸方向Xの一方側X1は、燃料タンク2内で、蓋部3に近い側であり、図2,3,5,6の下側となる。また、軸方向Xの他方側X2は、燃料タンク2内で、蓋部3から遠い側であり、図2,3,5,6の上側である。
【0015】
<構成>
図1、2、3に示すように、燃料供給装置1は主要な構成部材として、燃料タンク2の底部に設置された開口部21に取付け、開口部21を塞ぐ蓋部3と、蓋部3の燃料タンク2の内側に設置され燃料タンク2の内側の燃料を吸引し昇圧して燃料タンク2の外側に吐出する燃料ポンプ4と、燃料ポンプ4が吸いこむ燃料をろ過するとともに、燃料ポンプ4の軸方向Xの一方側X1の端部を固定するサクションフィルタ6と、蓋部3に固定され燃料ポンプ4の軸方向Xの他方側X2の端部を支持するポンプケース5とを備える。さらに、燃料ポンプ4の軸方向Xおよび径方向への蓋部3に対するサクションフィルタ6の移動を規制するように、蓋部3はサクションフィルタ6を支持するよう構成されている。
【0016】
燃料供給装置1は、燃料ポンプ4が昇圧した燃料をろ過する高圧フィルタ7と、燃料を調圧し余剰燃料を燃料タンクへ戻すプレッシャレギュレータ8、昇圧し調圧した燃料を燃料ポンプ外部へ吐出する吐出パイプ31を有し、ポンプケース5は燃料の流路を構成し、蓋部3には吐出パイプ31につながる昇圧燃料の流路である連結部34が貫通している。
【0017】
蓋部3は例えばポリアセタール(POM)等の樹脂で成形され、燃料ポンプ4より圧送された燃料を外部に吐出する吐出パイプ31と、電気配線の接続のために使用される電気コネクタ32を備えている。電気コネクタ32はリード線9を介して燃料ポンプ4への電源供給および、油面検出器10からのを検出信号を出力するためのものである。
【0018】
燃料ポンプ4は電気コネクタ32と電気的に接続する図示しない端子を有しており、内部にモータ駆動で回転する図示しないインペラ等の回転部材により、燃料を吸引および昇圧する。燃料ポンプ4の軸方向の4には、燃料ポンプ4の吸込口4bが設けられている。吸込口4bにはサクションフィルタ6が接続されており、燃料タンク2内の燃料に混入する比較的大きな異物を除去し、燃料ポンプ4内部の詰りを防止する。
【0019】
<ポンプケース>
ポンプケース5は蓋部3の底面より立ち上がる外壁部33のスナップフィット331、332等によって、外壁部33に係止される。ポンプケース5はケース部材51とカバー部材52より構成され、どちらも例えばPOMなどの樹脂による成形部材である。ケース部材51は燃料ポンプ4を収容する円筒形状のポンプ保持部511を有し、ポンプ保持部511の上端、すなわち燃料ポンプの軸方向Xの他方側X2に流入口512、上端支持部513を有する。燃料ポンプの軸方向Xの他方側X2の燃料ポンプ吐出口4aは流入口512とOリングを介して連結される。また、燃料ポンプの軸方向Xの他方側である上面4cを支持するポンプケース5の上端支持部513によって、燃料ポンプ4とポンプケース5との相対的な上下方向移動(燃料ポンプの軸方向Xの移動)が上側から規制されている。ポンプケース5と蓋部3はスナップフィット331,332等によって係合しているので、燃料ポンプ4と蓋部3との相対的な、燃料ポンプ4の軸方向Xの移動も同時に規制される。すなわち、燃料ポンプ4の軸方向Xについて、燃料ポンプ4と蓋部3との相対的移動がポンプケース5を介して規制されることになる。
【0020】
このとき、ポンプケース5のケース部材51について、成形における公差ばらつきおよび抜き勾配を考慮すると、ポンプ保持部511の内径Dcは、燃料ポンプ4の外径Dpより常に大きく(Dc>Dp)なる。その結果、ケース部材51と燃料ポンプ4の間には、燃料ポンプ4の径方向に隙間が発生する。
【0021】
ケース部材51とカバー部材52は熱溶着等によって接合されて空間を封止し、燃料ポンプ4によって吐出された後の燃料が高圧フィルタ7へ向かうための流路53を形成する。流路53は高圧フィルタ7に接続され、高圧フィルタ7は昇圧された燃料内の比較的小さな異物を除去する。ポンプケース5は高圧フィルタ7で異物が除去された燃料をエンジン側へ圧送するための第一流出口54と、余剰燃料を排出するための第二流出口55を備えており、第一流出口54は蓋部3の連結部34とシーリングを介して連結される。もう一方の第二流出口55には燃料の圧力を調圧するプレッシャレギュレータ8が設置されており、余剰燃料は燃料タンク2の内側へ排出される。
【0022】
<サクションフィルタ>
図2にはサクションフィルタ6の構成および設置状態が示されている。サクションフィルタ6は、ろ紙または不織布を用いた菊花ドーナツ形状のフィルタ本体61と、フィルタ本体61を収容するフィルタキャップ62、フィルタホルダ63で構成される。フィルタキャップ62とフィルタホルダ63は、フィルタ本体61を内蔵し、保護する構造材であり、接着剤、熱溶着、スナップフィットなどの手法で一体化されている。
【0023】
フィルタホルダ63と一体化されたフィルタキャップ62は、フィルタ本体61の上面方向および外周方向を支持しており、燃料ポンプ4の吸込口4bと連結するための連結口621を有し、吸込口4bの外周を取り囲みシーリングを介して連結される。また、フィルタキャップ62は上面部に燃料ポンプ4の底面部4dを支持するための下端支持部622を有し、連結口621とあわせて燃料ポンプ4とフィルタキャップ62の、燃料ポンプ4の軸方向Xおよび径方向の移動を下側から規制している。これにより、燃料ポンプ4の軸方向Xおよび径方向への燃料ポンプ4に対するサクションフィルタ6の移動が規制される。
【0024】
一方、フィルタキャップ62と一体化されたフィルタホルダ63は、フィルタ本体61の下側を保持するほか、フィルタ本体61の内周部分を保持する円筒状の突起部631を有している。突起部631はサクションフィルタ6の外部から見ると、フィルタホルダ63の燃料ポンプ4の軸方向Xの他方側X2に窪む凹部であり、円筒形の中空穴に相当する形状を有する。
【0025】
<蓋部>
蓋部3は底面に、燃料ポンプ4の軸方向Xの他方側X2に突出する蓋部底面突出部35を有し、蓋部底面突出部35はフィルタホルダ63の突起部631に下方から嵌合する。蓋部底面突出部35は、蓋部3とフィルタホルダ63の相対的な上下方向移動および水平方向移動(燃料ポンプの軸方向Xの移動および径方向の移動)を下側から規制している。これにより、燃料ポンプ4の軸方向Xおよび径方向への、蓋部3に対するサクションフィルタ6の移動が規制される。
【0026】
よって、燃料ポンプ4の軸方向Xおよび径方向への蓋部3に対する燃料ポンプ4の移動がサクションフィルタ6を介して規制されることとなる。
【0027】
実施の形態1に係る燃料供給装置1によれば、燃料ポンプ4の軸方向Xおよび径方向への移動を規制するために、サクションフィルタ6を介して燃料ポンプ4を支持する構成となり、ポンプケース5のみで燃料ポンプ4の径方向への移動を規制する構造と比較して耐振性、耐衝撃性を向上させることができる。さらに、耐振性、耐衝撃性向上のための、燃料ポンプの径方向移動をよりタイトに規制するポンプケースへの構造の追加をする必要が無いため、ポンプケースの径方向寸法増加による燃料供給装置全体の大型化、重量増加を抑制することができる。
【0028】
実施の形態1では、突起部631は、サクションフィルタ6の中央部に設けられた軸方向Xの他方側X2に窪みを有し、中空穴を形成する。図2では、突起部631は、サクションフィルタの直径の1/2から1/4の直径を有しているが、直径比はこれに限らない。突起部631が設けられた空間は、ドーナツ状に配置されたフィルタ本体61が存在しない部分なので、中空穴を設けることでフィルタ本体61の設置を阻害することはない。また、サクションフィルタ6の中央に一つだけ設けられた中空穴は、軸方向Xの他方側X2に突出する蓋部底面突出部35と嵌合することによって、サクションフィルタの位置決めにも適しており、比較的大きな形状によって充分な機械的強度を確保するにも適している。さらに、サクションフィルタ6全体で燃料ポンプ4を支持する上で、突起部631がサクションフィルタの中心に配置され、突起部631の中空穴が蓋部底面突出部35と嵌合することで安定した支持をすることができる。
【0029】
実施の形態1では、サクションフィルタ6を、燃料ポンプ4の軸心Sと同心の円筒状に形成し、燃料ポンプ4の軸心Sと同心の円筒状の中空穴を形成して突起部631としている。燃料供給装置の中で、重量の大きい燃料ポンプ4を支えるために、サクションフィルタ6を燃料ポンプ4と同心の円筒構造としている。蓋部3は蓋部底面突出部35によって、燃料ポンプ4を重心位置で安定して支持することができる。また、電動で回転する燃料ポンプ4の回転に伴う振動の発生に対して、突起部631が燃料ポンプの軸心Sと同心であることが、耐震性を確保する上で有利に働く。燃料ポンプ4の電動機の加減速時に、サクションフィルタ6の中空穴と嵌合する蓋部底面突出部35を介して、蓋部3は、燃料ポンプ4から回転モーメント以外の応力変動を受けなくて済むからである。
【0030】
サクションフィルタ6の軸心と燃料ポンプ4の軸心Sを一致させない配置とすることもできる。サクションフィルタ6の必要とされるろ過能力から決まるサクションフィルタ6の外径と、燃料ポンプ4の必要とされる燃料吐出能力から決まる燃料ポンプ4の外径が異なる場合がある。その場合、燃料供給装置1のコンパクト化に際して、サクションフィルタ6の軸心と燃料ポンプ4の軸心Sをずらして配置する場合がある。そのような配置に対しても、サクションフィルタ6の中央に一つだけ設けられた中空穴は、蓋部底面突出部35と嵌合することによって、サクションフィルタの位置決めにも適しており、比較的大きな形状のため充分な機械的強度を確保するにも適している。
【0031】
また、蓋部3とフィルタホルダ63の相対的な上下方向移動及び水平方向移動を下側から規制するためには、突起部631を、サクションフィルタ6の中央部に設けられた中空穴に限定する必要はない。フィルタホルダ63に、1個または複数の凹部を任意の位置に設けることができる。二個以上の円形凹部を設けることで、凹部を中心に回転することを防ぐことができる。また、凹部を真円以外の形状とすることで1個であっても回転を防ぐことができる。さらに、フィルタホルダ63に、凹部ではなく凸部を設け、蓋部3の蓋部底面突出部35を蓋部底面凹部として嵌合できるようにしてもよい。
【0032】
実施の形態1では、蓋部3には吐出パイプ31につながる昇圧燃料の流路である連結部34が貫通して一体化している。蓋部3に昇圧し調圧した燃料を燃料ポンプ外部へ吐出する吐出パイプ31につながる連結部34を設けることで、電気コネクタ32とともに燃料供給装置1の入出力を集約し、燃料タンクに他の入出力管を設ける必要がないので、燃料供給装置の単純化、簡素化、小型化が達成できる。
しかし、吐出パイプ31につながる連結部34を燃料タンクの別の場所に設けることとしてもよい。燃料タンク2からエンジンにより近い位置から昇圧燃料を供給することで、吐出パイプを短縮することができるからである。
【0033】
実施の形態1では、燃料供給装置1を、車両の燃料タンク2の底部に設けられた開口部21から燃料タンク2内に立ち上げて軸方向Xの他方側X2に向けて設置する場合について説明した。このような配置を採用することで、燃料の残量が少なくなった場合でも燃料タンク底面に残された燃料の吸引と昇圧が容易となり、また、自動二輪車などのコンパクトな車両の比較的小型の燃料タンクに装着することが容易となる。
【0034】
しかしながら、燃料供給装置1は、燃料タンク2の上部から燃料タンク2内に吊り下げ構造で設置することもできる。また、燃料タンク内に斜め方向に設けられた開口部21に設置することもできる。燃料供給装置1の取付け方向が変更された場合でも、上記各実施例に記載した燃料供給装置1は適用可能である。
【0035】
2.実施の形態2
実施の形態2に係る燃料供給装置1について、図面を参照して説明する。図4は燃料供給装置1の図2のC−C線における断面図である。図5は燃料供給装置の図4のD−D線における断面図である。
【0036】
図4および図5は、サクションフィルタ6の保持構造を示している。蓋部3の外壁部33のうち、燃料ポンプ4の軸心Sに向かうように突出させた凸部33a、33b、33c、33dに対して、フィルタキャップ62の外周部はそれぞれ外接するための接触部62a、62b、62c、62dを有しており、燃料供給装置1内でのサクションフィルタ6が、燃料ポンプ4の径方向に移動することを外周方向から規制している。
【0037】
蓋部3の底部で、サクションフィルタ6のフィルタキャップ62の下端またはフィルタホルダ63の底部を支えることで、蓋部3とサクションフィルタ6の間の、燃料ポンプ4の軸方向Xの移動を規制することができる。そして、蓋部3の外壁部33の凸部33a、33b、33c、33dがフィルタキャップ62を支持することによって、蓋部3とサクションフィルタ6の間の、燃料ポンプ4の径方向の移動を規制することができる。
【0038】
このため、燃料供給装置の耐振性、耐衝撃性を向上させることができる。さらに、耐振性、耐衝撃性向上のための、燃料ポンプの径方向移動をよりタイトに規制するポンプケースへの構造の追加をする必要が無いため、ポンプケースの径方向寸法増加による燃料供給装置全体の大型化、重量増加を抑制することができる。
【0039】
図4図5では、蓋部3の外壁部33のうち、燃料ポンプ4の軸心Sに向かうように突出させた凸部を、33a、33b、33c、33dの4か所としたが、任意の数とすることができる。燃料ポンプの移動を規制する箇所を増加させることで、耐振性、耐衝撃性を向上させることができる。
【0040】
3.実施の形態3
実施の形態3に係る燃料供給装置1について、図面を参照して説明する。図6は燃料供給装置の図4のD−D線における断面図である。
【0041】
図6には実施の形態3に係るサクションフィルタ6の保持構造を示す。フィルタキャップ62の外周を支持する手段として蓋部3の外壁部33または底部の一部から縦壁部361をサクションフィルタ6の中心側へ、連続的にまたは不連続にせり出して、フィルタキャップ62の外周と嵌合させることにより、振動を抑制する機能を確保している。
【0042】
実施の形態3に係る燃料供給装置において、縦壁部361とフィルタキャップ62の外周を嵌合させることにより、サクションフィルタ6の燃料ポンプ4の径方向の移動を規制することができる。また、フィルタキャップ62の下端またはフィルタホルダ63の底部を蓋部3の底部が支えることで、サクションフィルタ6の燃料ポンプ4の軸方向Xの移動を規制することができる。このため、燃料供給装置の耐振性、耐衝撃性を向上させることができる。さらに、耐振性、耐衝撃性向上のための、燃料ポンプの径方向移動をよりタイトに規制するポンプケースへの構造の追加をする必要が無いため、ポンプケースの径方向寸法増加による燃料供給装置全体の大型化、重量増加を抑制することができる。
【0043】
また、図6のように、蓋部3を燃料タンク2の開口部21へ固定する取付フランジ37と縦壁部361及びフィルタキャップ62の嵌合部を接近させることで、燃料タンク2に対して嵌合部の剛性が高くなり、燃料ポンプ4の保持性能が向上し、燃料供給装置1の耐振性、耐衝撃性をより向上させることができる。
【0044】
サクションフィルタ6の構造について、フィルタ本体61の内部にろ紙または不織布と骨組み部材などを混在させることで、フィルタ本体61に充分な強度を持たせ、燃料ポンプ4および蓋部3との接続部と一体化した構造としてもよい。フィルタキャップ62、フィルタホルダ63とともに、フィルタ本体61の構造で燃料ポンプ4を支持することによって、耐振性、耐衝撃性を向上させることが可能である。
【0045】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0046】
1 燃料供給装置、2 燃料タンク、21 開口部、3 蓋部、31 吐出パイプ、33a、33b,33c、33d 凸部、34 連結部、35 蓋部底面突出部、361 縦壁部、4 燃料ポンプ、5 ポンプケース、6 サクションフィルタ、631 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020年9月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの開口部を塞ぐ蓋部と、
前記蓋部の前記燃料タンクの内側に配置され前記燃料タンクの内側の燃料を昇圧して前記燃料タンクの外側に吐出する燃料ポンプと、
前記蓋部と前記燃料ポンプとの間に配置され、前記燃料ポンプが吸い込む燃料をろ過するとともに、前記燃料ポンプの軸方向の一方側の端部を固定するサクションフィルタと、
前記蓋部に固定され前記燃料ポンプの軸方向の他方側の端部を支持するポンプケースと、を備え、
前記サクションフィルタは、前記燃料ポンプの前記軸方向の他方側に窪む凹部を有し、
前記蓋部は、前記燃料ポンプの前記軸方向および径方向への前記蓋部に対する前記サクションフィルタの移動を規制するように、前記凹部と嵌合する、前記燃料ポンプの前記軸方向の他方側に突出する凸部を有し前記サクションフィルタを支持する燃料供給装置。
【請求項2】
前記サクションフィルタは、中央に前記燃料ポンプの軸方向の他方側に窪む前記凹部を有し、
前記蓋部は、前記凹部と嵌合する、前記燃料ポンプの軸方向の他方側に突出する凸部を有する、請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記サクションフィルタは、前記燃料ポンプの軸心と同心の円筒状に形成され、前記燃料ポンプの軸心と同心の円筒状の前記凹部が形成されている請求項に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記蓋部は、前記サクションフィルタの外周面を支持する前記燃料ポンプの軸心に向かうように突出させた凸部を有する請求項1からのいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記燃料タンクの開口部は、前記燃料タンクの底壁に設けられ、
前記燃料ポンプは、前記蓋部の上側に配置され、前記燃料ポンプの軸方向は、上下方向に延びている請求項1からのいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記蓋部は、前記昇圧した燃料を前記燃料タンクの外側へ吐出する吐出パイプを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本願に係る燃料供給装置は、
燃料タンクの開口部を塞ぐ蓋部と、蓋部の燃料タンク内側に配置され燃料タンク内側の燃料を昇圧して燃料タンクに吐出する燃料ポンプと、蓋部と燃料ポンプとの間に配置され、燃料ポンプが吸い込む燃料をろ過するとともに、燃料ポンプの軸方向の一方側の端部を固定するサクションフィルタと、蓋部に固定され燃料ポンプの軸方向の他方側の端部を支持するポンプケースとを備え、サクションフィルタは、燃料ポンプの軸方向の他方側に窪む凹部を有し、蓋部は、燃料ポンプの軸方向および径方向への蓋部に対するサクションフィルタの移動を規制するように、凹部と嵌合する、燃料ポンプの軸方向の他方側に突出する凸部を有しサクションフィルタを支持するものである