特開2021-60607(P2021-60607A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-60607(P2021-60607A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20210319BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20210319BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20210319BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210319BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20210319BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210319BHJP
【FI】
   G02B5/30
   H05B33/02
   H01L27/32
   H05B33/14 A
   B32B7/023
   B32B27/30 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-212796(P2020-212796)
(22)【出願日】2020年12月22日
(62)【分割の表示】特願2018-119686(P2018-119686)の分割
【原出願日】2018年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】出▲崎▼ 光
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4F100
【Fターム(参考)】
2H149AA18
2H149AB02
2H149AB05
2H149AB06
2H149BA02
2H149BA12
2H149DA02
2H149DA12
2H149DA18
2H149DA24
2H149DA27
2H149EA03
2H149EA06
2H149FA02W
2H149FA03W
2H149FA05Y
2H149FA24Y
2H149FA52Y
2H149FA58Y
2H149FA63
2H149FA68
2H149FC07
2H149FD05
2H149FD06
2H149FD10
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC37
3K107EE26
3K107FF06
3K107FF13
3K107FF15
4F100AB10D
4F100AB13D
4F100AB33D
4F100AJ06A
4F100AK03B
4F100AK03C
4F100AK21A
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA13A
4F100EC182
4F100EH66D
4F100EH71D
4F100EJ37A
4F100GB41
4F100JB14B
4F100JB14C
4F100JD08B
4F100JD08C
4F100JN06D
4F100JN10A
4F100JN18B
4F100JN18C
4F100JN28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外光反射による反射光の色付きを抑制し、斜め方向から見たときにも良好な黒表示能力を付与できる円偏光板を備える積層体を提供する。
【解決手段】偏光フィルム10、位相差フィルム20、21、および光反射層をこの順に備え、第1の位相差フィルム21は、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、第2の位相差フィルム21は、式(4)で表される特性を有し、位相差フィルム20、21は、式(5)の関係を満たし、光反射層16は、式(6)で表される特性を有する積層体。
nx>ny≒nz(1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93(2)
135nm<RoA(550)<145nm(3)
nx≒ny<nz(4)
0.1<|RthC(550)|/|RoA(550)|<0.5(5)
45%<Yref<85%(6)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルム、位相差フィルム、および光反射層をこの順に備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとが、式(5)の関係を満たし、
前記光反射層は、式(6)で表される特性を有する積層体。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.1<|RthC(550)|/|RoA(550)|<0.5 (5)
45%<Yref<85% (6)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕
【請求項2】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルム、位相差フィルム、および光反射層をこの順に備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとが、式(7)の関係を満たし、
前記光反射層は、式(8)で表される特性を有する積層体。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.5<|RthC(550)|/|RoA(550)|<1.0 (7)
85%≦Yref<100% (8)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕
【請求項3】
請求項1または2に記載された積層体を備え、
黒表示時に仰角50°の斜角から観察した際、
反射色相値が極大になる面内角度における反射色相値と、当該面内角度に90°加えた角度における反射色相値とのa*b*平面内の距離である斜角色差が、4未満である有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルム、および位相差フィルムを備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとが、式(5)の関係を満たす、
式(6)で表される特性を有する光反射層に貼合するための円偏光板。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.1<|RthC(550)|/|RoA(550)|<0.5 (5)
45%<Yref<85% (6)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕
【請求項5】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルム、および位相差フィルムを備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムが、式(7)の関係を満たす、
式(8)で表される特性を有する光反射層に貼合するための円偏光板。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.5<|RthC(550)|/|RoA(550)|<1.0 (7)
85%≦Yref<100% (8)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELともいう。)表示装置に代表される画像表示装置が急速に普及している。有機EL表示装置には、偏光フィルム及び位相差フィルム(λ/4板、位相差値約140nm)を備える円偏光板が搭載される。円偏光板を配置することにより、外光の反射を防止し、画面の視認性を向上させることができる。表示装置が外光の反射を防止する能力は、黒を本来の黒として表示する性能に直結する。この性能が高いほど、表示装置はコントラストが高くなる。
【0003】
円偏光板としては、偏光フィルムとAプレートとを組み合わせることにより得られる。Aプレートの位相差値は、斜め方向から見たときと、正面方向から見たときとで、見かけ上異なる。そのため、画面を見る方向によっては、反射光の色目が変わり、表示装置のコントラストが低下してしまうという問題がある。
【0004】
この画面を見る方向に依存した位相差値の変化を補償するために、さらにCプレートを組み合わせることが提案されている(特許文献1)。Cプレートは、斜め方向から見たときの位相差を補償し、コントラストの向上に貢献することができる。補償の効果の大きさは、Aプレートの面内の位相差値RoAとCプレートの厚み方向の位相差値RthCとの関係で決まる。補償不足及び補償過剰のいずれの場合においても、反射光に色付きがみられ、斜め方向から見たときのコントラスト低下を引き起こすことがある。従来、理論計算の見地から、理想的な補償をするのに必要なCプレートの厚み方向の位相差値RthCは、Aプレートの面内の位相差値の1/2であると考えられてきた。しかしながら、このように設計された位相差フィルムを備える円偏光板を搭載した表示装置は、必ずしも画面を見る方向に依存しないコントラストを達成するものとは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−40603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、外光反射による反射光の色付きを抑制し、斜め方向から見たときにも良好な黒表示能力を付与できる円偏光板を備える積層体を提供すること、および当該積層体を備える有機EL表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 偏光フィルム、位相差フィルム、および光反射層をこの順に備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとが、式(5)の関係を満たし、前記光反射層は、式(6)で表される特性を有する積層体。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.1<|RthC(550)|/|RoA(550)|<0.5 (5)
45%<Yref<85% (6)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕
[2] 偏光フィルム、位相差フィルム、および光反射層をこの順に備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとが、式(7)の関係を満たし、前記光反射層は、式(8)で表される特性を有する積層体。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.5<|RthC(550)|/|RoA(550)|<1.0 (7)
85%≦Yref<100% (8)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕
[3] [1]または[2]に記載された積層体を備え、
黒表示時に仰角50°の斜角から観察した際、
反射色相値が極大になる面内角度における反射色相値と、当該面内角度に90°加えた角度における反射色相値とのa*b*平面内の距離である斜角色差が、4未満である有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
[4] 偏光フィルム、および位相差フィルムを備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとが、式(5)の関係を満たす、
式(6)で表される特性を有する光反射層に貼合するための円偏光板。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.1<|RthC(550)|/|RoA(550)|<0.5 (5)
45%<Yref<85% (6)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕
[5] 偏光フィルム、および位相差フィルムを備え、
前記位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有し、
前記第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有し、
前記第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有し、
前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムが、式(7)の関係を満たす、
式(8)で表される特性を有する光反射層に貼合するための円偏光板。
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
nx≒ny<nz (4)
0.5<|RthC(550)|/|RoA(550)|<1.0 (7)
85%≦Yref<100% (8)
〔各式において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、
RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表し、
Yrefは、視感度補正反射率を表す。〕
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体は、外光反射による反射光の色付きを抑制し、斜め方向から見たときにも良好な黒表示能力を付与することができる。本発明の積層体を備える有機EL表示装置は、外光反射による反射光の色付きが抑制され、斜め方向から見たときにも良好な黒表示能力を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】積層体の層構成を示す概略断面図の一例である。
図2】斜角色差の測定を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<積層体>
本発明の積層体は、偏光フィルム、位相差フィルム、および光反射層をこの順に備える。偏光フィルム、位相差フィルム、光反射層、およびその他の部材は、接着層を介して互いに積層されることができる。接着層としては、例えば後述の粘着剤層や接着剤層が挙げられる。
【0011】
以下、図1を参照して、本発明の積層体の層構成の一例を説明する。なお、図1において偏光フィルム10と保護フィルム11,12とをそれぞれ貼合するための接着剤層は図示していない。図1に示す積層体100は、偏光フィルム10の一方の面に第1の保護フィルム11が積層され、偏光フィルム10のもう一方の面に第2の保護フィルム12が積層された偏光板と、位相差フィルム2と、光反射層16とがこの順に積層された層構成を有する。
【0012】
偏光板と位相差フィルム2とは粘着剤層13を介して積層されており、位相差フィルム2と光反射層16とは粘着剤層14を介して積層されている。位相差フィルム2は、第1の位相差フィルム20と第2の位相差フィルム21とが、接着層15を介して積層されている。また、位相差フィルムは、第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルム以外に、例えば重合性液晶化合物を配向させるための配向膜や、基材フィルム、その他の位相差層を有していてもよい。光反射層16は、例えば、有機EL表示素子が備える電極であることができる。この場合、光反射層16と位相差フィルムとの間に、さらに、透明または半透明電極、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、正孔防止層、電子輸送層、電子注入層からなる群から選ばれる少なくとも一つの層を備えることができる。
【0013】
第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとの積層順は任意である。すなわち、本発明の積層体は、偏光フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルム、光反射層をこの順に備えてもよいし、偏光フィルム、第2の位相差フィルム、第1の位相差フィルム、光反射層をこの順に備えてもよい。
【0014】
積層体は、図1に示した層以外の層を有することができる。積層体がさらに有していてもよい層としては、前面板、遮光パターン、タッチセンサーなどが挙げられる。前面板は、偏光板における位相差フィルムが積層された側とは反対側に配置されることができる。遮光パターンは、前面板と積層体との間に配置することができる。遮光パターンは、前面板における偏光板側の面上に形成することができる。遮光パターンは、画像表示装置の額縁(非表示領域)に形成され、画像表示装置の配線が使用者に視認されないようにすることができる。タッチセンサーは、前面板と積層体との間、積層体における位相差フィルムと光反射層との間などに配置されることができる。
【0015】
本発明の積層体の形状は特に限定されるものではない。積層体が実質的に矩形である場合、長辺の長さは5cm以上35cm以下であることが好ましく、10cm以上25cm以下であることがより好ましく、短辺の長さは5cm以上25cm以下であることが好ましく、6cm以上20cm以下であることがより好ましい。
【0016】
実質的に矩形であるとは、積層体が、それぞれ、主面の4つの隅(角部)のうち少なくとも1つの角部が鈍角となるように切除された形状や丸みを設けた形状であったり、主面に垂直な端面の一部が面内方向に窪んだ凹み部(切り欠け)を有したり、主面内の一部が、円形、楕円形、多角形及びそれらの組合せ等の形状にくり抜かれた穴あき部を有したりしてもよいことをいう。
【0017】
本発明の積層体を備える有機EL表示装置は、斜角色差が4未満であることが好ましく、3未満であることがより好ましい。斜角色差の下限値は特に限定されないが、理想的には0である。斜角色差が、このような値をとると、有機EL表示装置の反射光の色味をより均一にすることができる。
【0018】
本明細書において、斜角色差は、有機EL表示装置が黒表示の状態で、仰角50°の方向から観察したときに、反射色相値が極大になる面内角度における反射色相値と、当該面内角度に90°加えた角度における反射色相値とのa*b*平面内の距離のことをいう。反射色相値が極大になる面内角度は、仰角を50°として、面内角度を0°から360°まで変えて反射色相値を測定し、反射色相値が極大になる角度のことをいう。
【0019】
具体的に図2を参照して、斜角色差を説明する。図2(a)は、積層体100を側面から見たものである。斜角色差を算出するための反射色相値は、仰角30が、50°となる方向40から観察したときの値を採用する。図2(b)は、積層体100を上面から(偏光子を基準にして位相差フィルム側とは反対側から)見たものである。斜角色差は、反射色相値が極大になる方向41から観察したときの反射色相値と、当該方向41の面内角度に90°(面内角度32)を加えた角度の方向42から観察したときの反射色相値とをそれぞれ測定し、両者のa*b*平面内の距離として、以下の式から算出される。
斜角色差=(Δa*+Δb*1/2
【0020】
反射色相値が極大になる方向41から観察したときの反射色相値に関し、a*は−3以上3以下であることが好ましく、−1.5以上1.5以下であることがより好ましい。b*は−3以上3以下であることが好ましく、−1.5以上1.5以下であることがより好ましい。
【0021】
方向41の面内角度に90°(角度32)を加えた角度の方向42から観察したときの反射色相値に関し、a*は−3以上3以下であることが好ましく、−1.5以上1.5以下であることがより好ましい。b*は−3以上3以下であることが好ましく、−1.5以上1.5以下であることがより好ましい。
【0022】
<偏光板>
本発明において偏光板とは、偏光フィルムと、偏光フィルムの片面、もしくは両面に貼合された保護フィルムとからなるフィルムのことをいう。偏光板が備える保護フィルムは、後述のハードコート層、反射防止層、帯電防止層などの表面処理層を有していてもよい。偏光フィルムと保護フィルムとは、例えば接着剤層や粘着剤層を介して積層することができる。偏光板が備える部材について、以下に説明する。
【0023】
(1)偏光フィルム
偏光板が備える偏光フィルムは、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光フィルムであることができる。第1の層が有する偏光フィルムとしては、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルムを好適に用いることができる。偏光フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液等の架橋液で処理する工程;及び、架橋液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造できる。
【0024】
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体の例は、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、及びアンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等を含む。
【0025】
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
【0026】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は通常、85〜100mol%であり、98mol%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等を用いることもできる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は通常、1000〜10000であり、1500〜5000が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
【0027】
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に制限されないが、偏光フィルムの厚みを15μm以下とするためには、5〜35μmのものを用いることが好ましい。より好ましくは、20μm以下である。
【0028】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、架橋処理の前又は架橋処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
【0029】
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤や水を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常、3〜8倍である。
【0030】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、該フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
【0031】
二色性色素による染色後の架橋処理としては通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。
【0032】
偏光フィルムの厚みは、通常30μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは13μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下であり、特に好ましくは8μm以下である。偏光フィルムの厚みは、通常2μm以上であり、3μm以上であることが好ましい。
【0033】
偏光フィルムとしては、例えば特開2016−170368号公報に記載されるように、液晶化合物が重合した硬化膜中に、二色性色素が配向したものを使用してもよい。二色性色素としては、波長380〜800nmの範囲内に吸収を有するものを用いることができ、有機染料を用いることが好ましい。二色性色素として、例えば、アゾ化合物が挙げられる。液晶化合物は、配向したまま重合することができる液晶化合物であり、分子内に重合性基を有することができる。また、WO2011/024891に記載されるように、液晶性を有する二色性色素から偏光フィルムを形成してもよい。
【0034】
偏光フィルムの視感度補正偏光度は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。上限値は、特に限定されないが、99.9999%以下である。また、偏光フィルムの視感度補正単体透過率は、35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。上限値は、特に限定されないが、49.9%以下である。積層体が、このような性能の偏光フィルムを備えることで、反射光が漏れにくくなり、色付きを目立たなくすることができる。
【0035】
(2)保護フィルム
偏光フィルムの片面または両面に積層される保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂であることができる。保護フィルムは、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。
【0036】
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
【0037】
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
【0038】
ポリエステル系樹脂は、下記セルロースエステル系樹脂を除く、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。ポリエステル系樹脂の代表例として、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体であるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0039】
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
【0040】
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものも挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
【0041】
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックである。
【0042】
保護フィルムの位相差値を、適宜に好適な値に制御してもよい。使用者が偏光サングラス等を着用した場合の画面の視認性を向上させるために、波長550nmにおける面内位相差値を70〜140nmとしてもよい。
【0043】
保護フィルムの厚みは通常1〜100μmであるが、強度や取扱性等の観点から5〜60μmであることが好ましく、10〜55μmであることがより好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましい。
【0044】
偏光フィルムの両面に貼合される保護フィルムは、同種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよいし、異種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。また、厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、同じ位相差特性を有していてもよいし、異なる位相差特性を有していてもよい。
【0045】
上述のように、保護フィルムの少なくともいずれか一方は、その外面(偏光フィルムとは反対側の面)に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、反射防止層、低屈折率層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を備えるものであってもよい。なお、保護フィルムの厚みは、表面処理層の厚みを含んだものである。
【0046】
保護フィルムは、例えば接着剤層または粘着剤層を介して偏光フィルムに貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。粘着剤層としては後述のものが使用できる。
【0047】
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
【0048】
水系接着剤を使用する場合は、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するための乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥工程後、例えば20〜45℃の温度で養生する養生工程を設けてもよい。
【0049】
上記活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。
【0050】
上記硬化性化合物は、カチオン重合性の硬化性化合物やラジカル重合性の硬化性化合物であることができる。カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含む。
【0051】
偏光フィルムと保護フィルムとを貼合するにあたっては、接着性を高めるために、これらの少なくともいずれか一方の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理;水やアセトン等の溶媒を用いた超音波処理、ケン化処理、アンカーコート処理のような湿式処理を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。
【0052】
偏光フィルムの両面に保護フィルムが貼合される場合においてこれらの保護フィルムを貼合するための接着剤は、同種の接着剤であってもよいし異種の接着剤であってもよい。
【0053】
<位相差フィルム>
位相差フィルムは、第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを有する。さらに、位相差フィルムは後述の基材、配向膜、その他の位相差層を含んでいてもよい。
【0054】
第1の位相差フィルムは、式(1)〜式(3)で表される特性を有するものである。第1の位相差フィルムは、ポジティブAプレートであることができ、λ/4板であることができる。また、第1の位相差フィルムは、逆波長分散性を示す。このような第1の位相差フィルムを備えることで、反射光の色付きを抑制することができる。第1の位相差フィルムは、その遅相軸が、偏光フィルムの吸収軸に対して略45°となるように配置されることができる。略45°とは、45±5°を意味する。
【0055】
nx>ny≒nz (1)
RoA(450)/RoA(550)≦0.93 (2)
135nm<RoA(550)<145nm (3)
式(1)〜式(3)において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表す。RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表す。
【0056】
ny≒nzは、nyとnzとが完全に等しい場合に加え、nyとnzとが実質的に等しい場合も包含する。具体的には、nyとnzとの差の大きさが0.01以内であれば、nyとnzとが実質的に等しいと言うことができる。
【0057】
RoA(λ)は、波長λnmにおける屈折率n(λ)と、厚みdから、以下の式に基づいて算出することができる。
RoA(λ)=〔nx(λ)−ny(λ)〕×d
RoA(450)/RoA(550)は、第1の位相差フィルムの波長分散性を表し、好ましくは0.92以下である。
【0058】
また、波長λnmにおける第1の位相差フィルムの面内位相差値RoA(λ)について、RoA(450)は100nm以上135nm以下であることが好ましく、RoA(550)は137nm以上145nm以下であることが好ましく、RoA(650)は137以上165以下であることが好ましい。
【0059】
第2の位相差フィルムは、式(4)で表される特性を有するものである。第2の位相差フィルムは、ポジティブCプレートであることができる。このような第2の位相差フィルムを備えることで、反射光の色付きを抑制することができる。
nx≒ny<nz (4)
式(4)において、nxは、フィルム面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、フィルム面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表す。
【0060】
nx≒nyは、nxとnyとが完全に等しい場合に加え、nxとnyとが実質的に等しい場合も包含する。具体的には、nxとnyとの差の大きさが0.01以内であれば、nxとnyとが実質的に等しいと言うことができる。
【0061】
後述の光反射層の反射特性に依存するが、具体的に、第2の位相差フィルムの厚み方向の位相差値は、波長550nmにおいて、−150nm以上0nm以下であることが好ましく、−90nm以上−20nm以下であることがより好ましい。
【0062】
位相差フィルムは、第1の位相差フィルム及び第2の位相差フィルム以外の位相差を有する層(以下、その他の位相差層ということがある。)を1つ以上備えていてもよい。その他の位相差層としては、表示素子が備えるタッチセンサー、発光素子の封止層、発光素子のベースフィルム等が挙げられる。その他の位相差層は、偏光フィルムと光反射層との間に配置され、好ましくは第2の位相差フィルムと光反射層との間に配置される。
【0063】
その他の位相差層は、Aプレートであってもよいが、通常はCプレートであることができる。その他の位相差層は、式(9)で表される特性を有していてもよい。すなわち、その他の位相差層は、ネガティブCプレートであることができる。
nx≒ny>nz (9)
【0064】
nx≒nyは、nxとnyとが完全に等しい場合に加え、nxとnyとが実質的に等しい場合も包含する。具体的には、nxとnyとの差の大きさが0.01以内であれば、nxとnyとが実質的に等しいと言うことができる。
【0065】
少なくとも第1の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを備える位相差フィルムは、光反射層の視感度補正反射率に応じて、以下の式(5)または(7)を満たす。
0.1<|RthC(550)|/|RoA(550)|<0.5 (5)
0.5<|RthC(550)|/|RoA(550)|<1.0 (7)
式(5)および式(7)において、RoA(λ)は、第1の位相差フィルムの波長λnmにおける面内位相差値を表し、RthC(λ)は、第2の位相差フィルムの波長λnmにおける厚み方向の位相差値を表す。
【0066】
RthC(λ)は、波長λnmにおける屈折率n(λ)と、厚みdから、以下の式に基づいて算出することができる。
RthC(λ)={〔nx(λ)+ny(λ)〕/2−nz}×d
【0067】
RthC(450)/RthC(550)は、第2の位相差フィルムの波長分散性を表し、好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.1以下である。
【0068】
上記式(5)および式(7)は、発明者が鋭意検討した結果、実際の表示装置における最適な補償値は、光反射層の反射特性によって従来の理想的な補償値とは異なることが明らかになったことに基づくものである。
【0069】
光反射層が後述の式(6)の特性を満たす場合、位相差フィルムは、式(5)の関係を満たすことが好ましい。すなわち、第2の位相差フィルムの厚み方向の位相差値RthCと第1の位相差フィルムの面内の位相差値との比は、従来理想的な補償を達成できると考えられていた0.5よりも小さい。|RthC(550)|/|RoA(550)|は、好ましくは0.1を超えて0.5未満であり、より好ましくは0.2以上0.4以下である。位相差フィルムが、上記関係を満たすことで、斜め方向から見たときの反射光の色付きを抑制することができる。
【0070】
一方、光反射層が後述の式(8)の特性を満たす場合、位相差フィルムは、式(7)の関係を満たすことが好ましい。すなわち、第2の位相差フィルムの厚み方向の位相差値RthCと第1の位相差フィルムの面内の位相差値との比は、従来理想的な補償を達成できると考えられていた0.5よりも大きい。|RthC(550)|/|RoA(550)|は、好ましくは0.5を超えて1.0未満であり、より好ましくは0.55以上0.8以下である。位相差フィルムが、上記関係を満たすことで、斜め方向から見たときの反射光の色付きを抑制することができる。
【0071】
位相差フィルムを形成する第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムは、上述の熱可塑性樹脂フィルムや重合性液晶化合物を含む組成物から形成することができる。第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されることが好ましい。重合性液晶化合物を含む組成物から形成される層としては、重合性液晶化合物が硬化した層が挙げられる。
【0072】
第1の位相差フィルムが満たす式(1)〜式(3)の関係、第2の位相差フィルムが満たす式(4)の関係、および位相差フィルムが満たす式(5)または式(7)の関係は、例えば第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムを形成する熱可塑性樹脂や重合性液晶化合物の種類、配合比率を調整したり、第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムの厚みを調整したりすることによって制御される。
【0073】
重合性液晶化合物が硬化した層は例えば、基材に設けられた配向膜上に形成される。前記基材は、配向膜を支持する機能を有し、長尺に形成されている基材であってもよい。この基材は、離型性支持体として機能し、転写用の位相差フィルムを支持することができる。さらに、その表面が剥離可能な程度の接着力を有するものが好ましい。前記基材としては、上記保護フィルムの材料として例示をした樹脂フィルムが挙げられる。
【0074】
基材の厚みとしては、特に限定されないが、例えば20μm以上200μm以下の範囲とすることが好ましい。基材の厚さが20μm以上であると、強度が付与される。一方で、厚さが200μm以下であると、基材を裁断加工して枚葉の基材とするにあたり、加工屑の増加、裁断刃の磨耗を抑制できる。
【0075】
なお、基材は、種々のブロッキング防止処理が施されていてもよい。ブロッキング防止処理としては、例えば、易接着処理、フィラー等を練り込ませる処理、エンボス加工(ナーリング処理)等が挙げられる。このようなブロッキング防止処理を基材に対して施すことによって、基材を巻き取る際の基材同士の張り付き、いわゆるブロッキングを効果的に防止することができ、生産性高く光学フィルムを製造することが可能となる。
【0076】
重合性液晶化合物が硬化した層は、配向膜を介して基材上に形成される。すなわち、基材、配向膜の順で積層され、重合性液晶化合物が硬化した層は前記配向膜上に積層される。
【0077】
なお、配向膜は、垂直配向膜に限らず、重合性液晶化合物の分子軸を水平配向させる配向膜であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を傾斜配向させる配向膜であってもよい。第1の位相差フィルムを作製する場合には、水平配向膜を使用することができ、第2の位相差フィルムを作製する場合には、垂直配向膜を使用することができる。配向膜としては、後述する重合性液晶化合物を含む組成物の塗工等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向膜が挙げられる。配向膜の厚さは、通常10nm〜10000nmの範囲であり、好ましくは10nm〜1000nmの範囲であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは10nm〜200nmの範囲である。
【0078】
配向膜に用いる樹脂としては、公知の配向膜の材料として用いられる樹脂であれば特に限定されるものではなく、従来公知の単官能又は多官能の(メタ)アクリレート系モノマーを重合開始剤下で硬化させた硬化物等を用いることができる。具体的に、(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸、ウレタンアクリレート等を例示することができる。なお、樹脂としては、これらの1種類であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
【0079】
本実施形態で使用される重合性液晶化合物の種類については、特に限定されないものの、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物)とに分類できる。さらに、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。なお、高分子とは、一般に重合度が100以上のものを言う(高分子物理・相転移ダイナミクス、土井 正男著、2頁、岩波書店、1992)。
【0080】
本実施形態では、何れの重合性液晶化合物を用いることもできる。さらに、2種以上の棒状液晶化合物や、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
【0081】
なお、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1、又は、特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好適に用いることができる。円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]、又は、特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好適に用いることができる。
【0082】
重合性液晶化合物は、2種類以上を併用してもよい。その場合、少なくとも1種類が分子内に2以上の重合性基を有している。すなわち、前記重合性液晶化合物が硬化した層は、重合性基を有する液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
【0083】
重合性液晶化合物は、重合反応をし得る重合性基を有する。重合性基としては、例えば、重合性エチレン性不飽和基や環重合性基などの付加重合反応が可能な官能基が好ましい。より具体的には、重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などを挙げることができる。その中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基及びアクリロイル基の両者を包含する概念である。
【0084】
重合性液晶化合物が硬化した層は、後述するように、重合性液晶化合物を含む組成物を、例えば配向膜上に塗工することによって形成することができる。前記組成物には、上述した重合性液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。例えば、前記組成物には、重合開始剤が含まれていることが好ましい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が選択される。例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は、前記塗工液中の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
【0085】
また、前記組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。その中でも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。
【0086】
なお、重合性モノマーとしては、上述した重合性液晶化合物と共重合することができるものが好ましい。具体的な重合性モノマーとしては、例えば、特開2002−296423号公報中の段落[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。重合性モノマーの使用量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
【0087】
また、前記組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられる。その中でも特に、フッ素系化合物が好ましい。具体的な界面活性剤としては、例えば、特開2001−330725号公報中の段落[0028]〜[0056]に記載の化合物、特願2003−295212号明細書中の段落[0069]〜[0126]に記載の化合物が挙げられる。
【0088】
また、前記組成物には、溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。その中でも、アルキルハライド、ケトンが好ましい。また、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0089】
また、前記組成物には、偏光フィルム界面側垂直配向剤、空気界面側垂直配向剤などの垂直配向促進剤、並びに、偏光フィルム界面側水平配向剤、空気界面側水平配向剤などの水平配向促進剤といった各種配向剤が含まれていてもよい。さらに、前記組成物には、上記成分以外にも、密着改良剤、可塑剤、ポリマーなどが含まれていてもよい。
【0090】
本実施形態において第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムの厚みは、0.1μ以上5μm以下とすることができる。第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムの厚みが前記範囲内であると、十分な耐久性が得られ、積層体の薄層化に貢献し得る。当然のことながら、第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムの厚みは、λ/4の位相差を与える層、λ/2の位相差を与える層、又はポジティブCプレート等の所望の面内位相差値、及び厚み方向の位相差値が得られるよう調整され得る。
【0091】
位相差フィルムが、第1の位相差フィルムおよび第2の位相差フィルムとして、重合性液晶化合物が硬化した層を2層含む場合、重合性液晶化合物が硬化した層を配向膜上にそれぞれ作製し、両者を接着剤層や粘着剤層を介して積層することにより、位相差フィルムは製造され得る。両者を積層した後、基材および配向膜は剥離することができる。位相差フィルムの厚みは、3〜30μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。
【0092】
<光反射層>
光反射層は、積層体に入射する光を反射する層であり、典型的には、有機EL表示素子が備える電極を含むことができる。有機EL表示素子は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された薄膜構造体を有する。この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに、他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して自己発光を行う。バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、より薄型化が可能であり、かつ、直流低電圧駆動が可能であるという利点を有する。
【0093】
光反射層は、式(6)または式(8)を満たすものであれば、形成する材料に制限はない。光反射層は、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、チタン、アルミニウムなどの金属やそれらの合金などから形成されることができる。
【0094】
光反射層は、位相差フィルムの特性に応じて、以下の式(6)または式(8)を満たす。
45%<Yref<85% (6)
85%≦Yref<100% (8)
式(6)および式(8)において、Yrefは、視感度補正反射率を表す。
【0095】
Yrefは、正反射光を含むSCI方式で測定される反射率であり、等色関数y(λ)(JIS Z 8701)によって視感度補正された反射率である。Yrefは、分光測色計により測定されることができる。
【0096】
上述のとおり、位相差フィルムが式(5)の関係を満たす場合、光反射層は、式(6)で表される特性を満たし、位相差フィルムが式(7)の関係を満たす場合、光反射層は、式(8)で表される特性を満たす。このような位相差フィルムと光反射層との組合せにより、斜め方向から見たときの反射光の色付きを抑制することができる。式(6)においてYrefは、好ましくは45%以上80%以下であり、式(8)においてYrefは好ましくは90%以上99.9%以下であり、より好ましくは94%以上99.9%以下である。
【0097】
光反射層は、正反射光を除いたSCE方式で測定される反射率が10%以上80%以下であることが好ましく、15%以上80%以下であることがより好ましい。SCE方式で測定される反射率を、このような範囲とすることは正反射光を相対的に目立たなくすることで、特定の仰角での光強度の増加を少なくすることに寄与しえる。SCE方式で測定される反射率は、分光測色計により測定されることができる。
【0098】
<粘着剤層>
粘着剤層は、積層体の各部材を互いに積層するために使用することができる。光反射層が有機EL表示素子の備える電極を含む場合、粘着剤層を介して有機EL表示素子と位相差フィルムとは積層されてもよい。粘着剤層は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。粘着剤層の厚みは、通常3〜30μmであり、好ましくは3〜25μmである。
【0099】
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
【0100】
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0101】
<前面板>
前面板は、偏光板の視認側に配置されることができる。前面板は、接着層を介して偏光板に積層されることができる。接着層としては、例えば前述の粘着剤層や接着剤層が挙げられる。
【0102】
前面板としては、ガラス、樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなるものなどが挙げられる。ガラスとしては、例えば、高透過ガラスや、強化ガラスを用いることができる。特に薄い透明面材を使用する場合には、化学強化を施したガラスが好ましい。ガラスの厚みは、例えば100μm〜5mmとすることができる。
【0103】
樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなる前面板は、既存のガラスのように硬直ではなく、フレキシブルな特性を有することができる。ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、5〜100μmであってもよい。
【0104】
樹脂フィルムとしては、ノルボルネンまたは多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、セルロース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース)エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリシクロオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシなどの高分子で形成されたフィルムであってもよい。樹脂フィルムは、未延伸、1軸または2軸延伸フィルムを使用することができる。これらの高分子はそれぞれ単独または2種以上混合して使用することができる。樹脂フィルムとしては、透明性及び耐熱性に優れたポリアミドイミドフィルムまたはポリイミドフィルム、1軸または2軸延伸ポリエステルフィルム、透明性及び耐熱性に優れるとともに、フィルムの大型化に対応できるシクロオレフィン系誘導体フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム及び透明性と光学的に異方性のないトリアセチルセルロース及びイソブチルエステルセルロースフィルムが好ましい。樹脂フィルムの厚さは5〜200μm、好ましくは、20〜100μmであってもよい。
【0105】
<遮光パターン>
遮光パターン(ベゼル)は、前面板における表示素子側に形成することができる。遮光パターンは、表示装置の各配線を隠し使用者に視認されないようにすることができる。遮光パターンの色及び/または材質は特に制限されることはなく、黒色、白色、金色などの多様な色を有する樹脂物質で形成することができる。一実施形態において、遮光パターンの厚さは2μm〜50μmであってもよく、好ましくは4μm〜30μmであってもよく、より好ましくは6μm〜15μmの範囲であってもよい。また、遮光パターンと表示部の間の段差による気泡混入及び境界部の視認を抑制するために、遮光パターンに形状を付与することができる。
【0106】
<積層体の製造方法>
図1に示した積層体100を例に、積層体の製造方法を説明する。積層体100は、例えば偏光板と位相差フィルム2と光反射層16とを、粘着剤層13,14を介して、順次積層させることにより製造される。
【0107】
偏光板は、偏光フィルム10と保護フィルム11,12とを、それぞれ接着剤層を介して積層して製造されることができる。偏光板は、長尺の部材を準備し、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせた後、所定形状に裁断して製造してもよいし、それぞれの部材を所定の形状に裁断した後、貼り合わせてもよい。次いで、保護フィルム12上に、剥離フィルム上に形成された粘着剤層13を積層させる。
【0108】
位相差フィルム2は、例えば次のように製造することができる。基材上に配向膜を形成し、配向膜上に重合性液晶化合物を含む塗工液を塗工する。重合性液晶化合物を配向させた状態で、活性エネルギー線を照射し、重合性液晶化合物を硬化させる。このようにして、第1の位相差フィルム20を備えるフィルムを作製する。同様にして、第2の位相差フィルム21を備えるフィルムを作製する。
【0109】
第1の位相差フィルム20または第2の位相差フィルム上に、接着層15を形成し、第1の位相差フィルム20を備えるフィルムと第2の位相差フィルム21を備えるフィルムとを貼り合わせる。次いで、基材フィルム、または基材フィルムおよび配向膜を、それぞれ剥離し、位相差フィルム2を作製する。位相差フィルム2は、長尺の部材を準備し、ロール・トゥ・ロールでそれぞれの部材を貼り合わせた後、所定形状に裁断して製造してもよいし、それぞれの部材を所定の形状に裁断した後、貼り合わせてもよい。位相差フィルム2は、第1の位相差フィルム上に、直接第2の位相差フィルムを形成することによって得てもよい。すなわち、接着層15は省略可能である。
【0110】
粘着剤層13上の剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層13を介して、得られた偏光板と位相差フィルム2とを貼り合わせる。こうして得られたフィルムは、円偏光板として機能することができる。光反射層16が、有機EL表示素子の備える電極を含む場合、円偏光板を有機EL表示素子に積層させることで、本発明の積層体100が製造される。円偏光板は、例えば粘着剤層14を介して、光反射層16を含む有機EL表示素子に積層される。
【0111】
<用途>
本発明の積層体は、さまざまな表示装置に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(以下、無機ELともいう)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FEDともいう)、表面電界放出表示装置(SEDともいう))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLVともいう)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMDともいう)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置などのいずれをも含む。本発明の積層体は、特に有機EL表示装置又は無機EL表示装置に特に有効に用いることができる。
【0112】
特に、発明の積層体を備える有機EL表示装置は、外光反射による反射光の色付きが抑制され、斜め方向から見たときにも良好な黒表示能力を示すことができる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。尚、例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部を意味する。
(1)フィルム厚みの測定方法:
フィルムの厚みは、日本分光株式会社製のエリプソメータ M−220、又は接触式膜厚計(株式会社ニコン製のMH−15M、カウンタTC101、MS−5C)を用いて測定した。
【0114】
(2)位相差値の測定方法:
厚み方向の位相差値や面内位相差値は、王子計測機器株式会社 KOBRA−WPR、又は日本分光株式会社製のエリプソメータ M−220を使用して測定した。
【0115】
(3)仰角8°の方向から観察した反射色相値:
コニカミノルタ株式会社製の分光測色計であるCM−2600dを使用して測定した。
【0116】
(4)仰角50°の方向から観察した反射色相値:
Instrument SystemsGmbH製のディスプレイ評価システムDMS803で測定した。
【0117】
〔光反射層の準備〕
以下の5種類の光反射層を用いた。いずれの光反射層も平坦な反射スペクトルを有し、白もしくは銀色の反射光を視認できた。
光反射層1:日本金属工業株式会社製のSUS板であるNTK SUS 304B。
光反射層2:光反射層1の表面にクロームメッキを施したもの。
光反射層3:株式会社UACJ製のアルミホイルであるマイホイル厚形50の光沢面。
光反射層4:株式会社UACJ製のアルミホイルであるマイホイル厚形50の非光沢面。
光反射層5:高反射率反射板としてAlanod社製のアルミ蒸着反射板であるMIRO5 5011GP。
【0118】
各光反射層の反射特性は、以下の表に示すとおりである。いずれの反射率も視感度補正されている。コニカミノルタ株式会社製の分光測色計であるCM−2600dを使用して仰角8°で測定した。
【0119】
【表1】
【0120】
[円偏光板1の作製]
〔水平配向膜形成用組成物の調製〕
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを混合した。得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、水平配向膜形成用組成物を得た。
【化1】
【0121】
〔垂直配向膜形成用組成物の調製〕
日産化学工業株式会社製、サンエバーSE610を使用した。
【0122】
〔水平配向液晶硬化膜形成用組成物の調製〕
水平配向液晶硬化膜(第1の位相差フィルム)を形成するために、重合性液晶化合物Aと重合性液晶化合物Bを用いた。重合性液晶化合物Aは、特開2010−31223号公報に記載された方法で製造した。また、重合性液晶化合物Bは、特開2009−173893号公報に記載された方法に準じて製造した。以下にそれぞれの分子構造を示す。
【0123】
[重合性液晶化合物A]
【化2】
【0124】
[重合性液晶化合物B]
【化3】
【0125】
重合性液晶化合物A、及び重合性液晶化合物Bを90:10の質量比で混合した。得られた混合物100部に対して、レベリング剤(F−556;DIC株式会社製)を1.0部、重合開始剤である2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369、BASFジャパン株式会社製)を6部添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、水平配向液晶硬化膜形成用組成物を得た。
【0126】
〔垂直配向液晶硬化膜形成用組成物の調整〕
垂直配向液晶硬化膜(第2の位相差フィルム)を形成するために、以下の手順で組成物を調製した。重合性液晶化合物であるPaliocolor LC242(BASF社登録商標)100部に対して、レベリング剤としてF−556を0.1部、及び重合開始剤としてイルガキュア369を3部添加した。固形分濃度が13%となるようにシクロペンタノンを添加して、垂直配向液晶硬化膜形成用組成物を得た。
【0127】
〔偏光板の作製〕
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上、厚さ75μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを準備した。PVAフィルムを30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬してヨウ素染色を行った(ヨウ素染色工程)。ヨウ素染色工程を経たPVAフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に、56.5℃で浸漬してホウ酸処理を行った(ホウ酸処理工程)。ホウ酸処理工程を経たPVAフィルムを8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムを得た。PVAフィルムの延伸は、ヨウ素染色工程とホウ酸処理工程において行った。PVAフィルムの総延伸倍率は5.3倍であった。得られた偏光フィルムの厚みは27μmであった。
【0128】
偏光フィルムと、ケン化処理されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ株式会社製 KC4UYTAC 厚み40μm)とを水系接着剤を介してニップロールで貼り合わせた。得られた貼合物の張力を430N/mに保ちながら、60℃で2分間乾燥して、片面に保護フィルムとしてTACフィルムを有する偏光板を得た。なお、水系接着剤は水100部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、「クラレポバールKL318」)3部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業株式会社製、「スミレーズレジン650」、固形分濃度30%の水溶液〕1.5部とを添加して調製した。
【0129】
得られた偏光板について光学特性の測定を行った。測定は上記で得られた偏光板の偏光フィルム面を入射面として分光光度計(「V7100」、日本分光株式会社製)にて実施した。偏光板の吸収軸はポリビニルアルコールの延伸方向と一致しており、得られた偏光板の視感度補正単体透過率は42.3%、視感度補正偏光度は99.996%、単体色相aは−1.0、単体色相bは2.7であった。
【0130】
〔位相差フィルムの作製〕
日本ゼオン株式会社製の環状オレフィン系樹脂(COP)フィルム(ZF−14−50)上にコロナ処理を実施した。コロナ処理は、ウシオ電機株式会社製のTEC−4AXを使用して行った。コロナ処理は、出力0.78kW、処理速度10m/分の条件で1回行った。COPフィルムに水平配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した。塗布膜に対して、偏光UV照射装置(「SPOT CURE SP−9」、ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長313nmにおける積算光量が100mJ/cmとなるように、軸角度45°にて偏光UV露光を実施した。得られた水平配向膜の膜厚は100nmであった。
【0131】
続いて、水平配向膜に、水平配向液晶硬化膜形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した。塗布膜に対して、高圧水銀ランプ(「ユニキュアVB−15201BY−A」、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、水平配向液晶硬化膜(第1の位相差フィルム)を形成した。水平配向液晶硬化膜の膜厚は2.3μmであった。
【0132】
水平配向液晶硬化膜上に、粘着剤層を積層した。当該粘着剤層を介して、COPフィルム、配向膜、水平配向液晶硬化膜からなるフィルムをガラスに貼合した。COPフィルムを剥離して、位相差値を測定するためのサンプルを得た。
各波長における位相差値RoA(λ)を測定した結果、RoA(450)=121nm、RoA(550)=142nm、RoA(650)=146nm、RoA(450)/RoA(550)=0.85、RoA(650)/RoA(550)=1.03であり、水平配向液晶硬化膜は、逆波長分散性を示した。水平配向液晶硬化膜は、nx>ny≒nzの関係を満たす、ポジティブAプレートであった。
なお、各波長における位相差値RthA(λ)を測定した結果、RthA(450)=61nm、RthA(550)=71nm、RthA(650)=73nmであった。
【0133】
〔垂直配向液晶硬化膜の作製〕
上記で作製したCOPフィルム、配向膜、水平配向液晶硬化膜からなるフィルムにおける水平配向液晶硬化膜に対して、コロナ処理を実施した。コロナ処理の条件は上記と同じとした。水平配向液晶硬化膜上に、垂直配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させて、垂直配向膜を得た。得られた垂直配向膜の膜厚は50nmであった。
【0134】
垂直配向膜に、バーコーターを用いて垂直配向液晶硬化膜形成用組成物を塗布し、90℃で120秒間乾燥した。塗布膜に対して、高圧水銀ランプ(「ユニキュアVB−15201BY−A」、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、垂直配向液晶硬化膜(第2の位相差フィルム)を形成した。このようにしてCOPフィルム、水平配向膜、水平配向液晶硬化膜、垂直配向膜、垂直配向液晶硬化膜からなるフィルムを得た。垂直配向液晶硬化膜の膜厚は、0.1μmであった。
【0135】
垂直配向液晶硬化膜の厚み方向の位相差値を測定するために、別途、COPフィルム上に、上記と同様の手順で、垂直配向膜、垂直配向液晶硬化膜を形成した。垂直配向液晶硬化膜上に粘着剤層を積層した。当該粘着剤層を介して、COPフィルム、配向膜、垂直配向液晶硬化膜からなるフィルムをガラスに貼合した。COPフィルムを剥離して、位相差値を測定するためのサンプルを得た。波長550nmにおける位相差値RthC(550)を測定した結果、RthC(550)=−20nmであった。垂直配向液晶硬化膜は、nx≒ny<nzの関係を満たすポジティブCプレートであった。
【0136】
COPフィルム、水平配向膜、水平配向液晶硬化膜、垂直配向膜、垂直配向液晶硬化膜からなるフィルムにおける垂直配向液晶硬化膜にコロナ処理を施した。コロナ処理の条件は上記と同じとした。偏光板における偏光フィルムと垂直配向液晶硬化膜とが互いに接するように、両者を粘着剤層を介して積層した。このとき、偏光フィルムの吸収軸と、水平配向液晶硬化膜の遅相軸とのなす角度は45°であった。最後にCOPフィルムを剥離して、位相差フィルムと偏光板とが粘着剤層を介して積層された円偏光板1を得た。この円偏光板1は、TACフィルム、偏光フィルム、粘着剤層、垂直配向液晶硬化膜、垂直配向膜、水平配向液晶硬化膜、水平配向膜の層構成を有していた。|RthC(550)|/|RoA(550)|=0.14であった。
【0137】
[円偏光板2の作製]
垂直配向液晶硬化膜の膜厚を0.3μm、RthC(550)=−40nmとした以外は円偏光板1と同様にして、円偏光板2を作製した。|RthC(550)|/|RoA(550)|=0.28であった。
【0138】
[円偏光板3の作製]
垂直配向液晶硬化膜の膜厚を0.4μm、RthC(550)=−60nmとした以外は円偏光板1と同様にして、円偏光板3を作製した。|RthC(550)|/|RoA(550)|=0.42であった。
【0139】
[円偏光板4の作製]
垂直配向液晶硬化膜の膜厚を0.5μm、RthC(550)=−71nmとした以外は円偏光板1と同様にして、円偏光板4を作製した。|RthC(550)|/|RoA(550)|=0.50であった。
【0140】
[円偏光板5の作製]
垂直配向液晶硬化膜の膜厚を0.6μm、RthC(550)=−90nmとした以外は実施例1と同様にして、円偏光板5を作製した。|RthC(550)|/|RoA(550)|=0.63であった。
【0141】
[円偏光板6の作製]
垂直配向液晶硬化膜を作製しなかったこと以外は、円偏光板1と同様にして、円偏光板6を作製した。円偏光板6は、位相差フィルムとして水平配向液晶硬化膜(第1の位相差フィルム)のみを有していた。|RthC(550)|/|RoA(550)|=0であった。
【0142】
[実施例1]
円偏光板における、COPフィルムを剥離して露出した面に、粘着剤層を積層した。この粘着剤層を介して、円偏光板1と光反射層1とを積層し、積層体を得た。
【0143】
得られた積層体について、斜角色差を測定した。具体的には、積層体を仰角50°の方向から面内角度を変えて、それぞれ反射色相値をディスプレイ評価システムDMS803により測定した。測定した反射色相値の内、反射色相値が極大になる面内角度における反射色相値と、当該面内角度に90°加えた角度における反射色相値とのa*b*平面内の距離を算出した。
【0144】
得られた積層体について、目視により水平配向液晶硬化膜の光学軸と観測者の位置との関係を変化させたときの色相を観察した。具体的には、第1の位相差フィルムの遅相軸に平行な面内角度で、仰角50°付近から目視で観察したときの反射光の色と、第1の位相差フィルムの進相軸に平行な面内角度で、仰角50°付近から目視で観察したときの反射光の色とを評価した。以下の評価基準で斜め方向のコントラストが良好であるか否かを判断した。
良:斜め方向から見たときに、外光の反射光が色付いておらず、良好な黒表示を実現することができる。
不良:斜め方向から見たときに、外光の反射光が色付いており、良好な黒表示を実現することが難しい。
【0145】
その結果、実施例1で得られた積層体の斜角色差は2であり、いずれの方向から見ても反射光の色は均一であり、広い視野角で良好な黒表示をできることがわかった。以上の、結果を表2に示す。
【0146】
[実施例2〜13、比較例1〜17]
円偏光板と光反射層との組合せを表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。得られた積層体について、実施例1と同様に斜角色差を測定した。また、得られた積層体について、実施例1と同様に、目視により水平配向液晶硬化膜の光学軸と観測者の位置との関係を変化させたときの反射光の色目を観察した。以上の、結果を表2に示す。
【0147】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明の積層体は、外光反射による反射光の色付きを抑制し、斜め方向から見たときにも良好な黒表示能力を付与することができる。本発明の積層体を備える有機EL表示装置は、外光反射による反射光の色付きが抑制され、斜め方向から見たときにも良好な黒表示能力を示すことができる。
【符号の説明】
【0149】
2 位相差フィルム
10 偏光フィルム
11,12 保護フィルム
13,14 粘着剤層
15 接着層
16 光反射層
20 第1の位相差フィルム
21 第2の位相差フィルム
30 仰角
32 面内角度
40 仰角が50°となる方向
41 反射色相値が極大になる方向
42 反射色相値が極大になる方向の面内角度に90°を加えた角度の方向
100 積層体
図1
図2