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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-68315(P2021-68315A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】車線状態の推定方法及び推定システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20210402BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   G08G1/00 J
   G08G1/01 D
   G08G1/01 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-194691(P2019-194691)
(22)【出願日】2019年10月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 光範
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD01
5H181DD02
5H181DD03
5H181DD04
5H181DD05
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL09
5H181MC14
(57)【要約】
【課題】車線を封鎖する障害のために車両の待ち行列が発生している状態でも、当該障害を推定可能にする。
【解決手段】車両1に搭載した物体検出センサ10によって車両1の周囲の物体の位置を検出し(S1、S2)、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、車両1の周囲にある対象車線201に車両の待ち行列が発生している待ち行列区間206を検出し(S3)、待ち行列区間206内の車両の車速を測定し(S4)、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、待ち行列よりも対象車線201の進行方向前方の区間である前方区間において第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間207を検出し(S5)、待ち行列区間206内の車両の速度が前記第1所定速度よりも低い第2所定速度以下であり、かつ走行可能区間207を検出した場合に、対象車線201の少なくとも一部を封鎖する障害203が存在すると推定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載した物体検出センサによって前記車両の周囲の物体の位置を検出し、
前記物体検出センサの検出結果に基づいて、前記車両の周囲にある対象車線に車列が発生している待ち行列区間を検出し、
前記待ち行列区間内の車両の車速を測定し、
前記物体検出センサの検出結果に基づいて、前記車列よりも前記対象車線の進行方向前方の区間である前方区間において第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間を検出し、
前記待ち行列区間内の車両の速度が前記第1所定速度よりも低い第2所定速度以下であり、かつ前記走行可能区間を検出した場合に、前記対象車線の少なくとも一部を封鎖する障害が存在すると推定する、
ことを特徴とする車線状態の推定方法。
【請求項2】
前記物体検出センサが前記対象車線の側方の一方に位置するときに、前記対象車線を挟んで反対側の車線境界を表す車線境界線が所定長以上の長さに亘って連続して前記物体検出センサで検出される区間を、前記走行可能区間として検出することを特徴とする請求項1に記載の推定方法。
【請求項3】
前記物体検出センサが前記対象車線の側方の一方に位置するときに、前記対象車線の側方の他方に存在する物標が所定長以上の長さに亘って連続して前記物体検出センサで検出される区間を、前記走行可能区間として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の推定方法。
【請求項4】
前記前方区間を走行する車両が前記第1所定速度以上で走行している区間を前記走行可能区間として検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の推定方法。
【請求項5】
前記待ち行列区間において、前記障害が存在すると推定される区間である障害存在区間と、前記第2所定速度以下の速度で車両が走行する区間である準静止物体存在区間と、を推定し、前記障害存在区間は、前記準静止物体存在区間と前記走行可能区間との間に挟まれた区間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の推定方法。
【請求項6】
前記待ち行列区間内で方向指示器を点灯させている車両を検出し、当該車両よりも前記対象車線の進行方向前方に、前記障害存在区間と前記準静止物体存在区間の境界があると推定する、ことを特徴とする請求項5に記載の推定方法。
【請求項7】
前記障害存在区間の位置、又は前記準静止物体存在区間の両端のうち前記対象車線の進行方向を基準に後側となる後端の位置に応じて前記車列の特性を推定し、
前記車列の特性に応じて前記障害が存在しないと推定することを特徴とする請求項5又は6に記載の推定方法。
【請求項8】
前記障害存在区間に交差点が存在する場合には、前記障害が存在しないと推定することを特徴とする請求項7に記載の推定方法。
【請求項9】
前記障害存在区間に道路沿い施設への出入口が存在する場合に、前記障害存在区間における物体の滞留時間を判定し、前記滞留時間が所定時間より長い場合に前記障害が存在しないと推定することを特徴とする請求項7又は8に記載の推定方法。
【請求項10】
前記障害存在区間にカーブの終了地点が存在するか、前記準静止物体存在区間の前記後端とカーブの開始地点との距離が閾値以下の場合に、前記障害が存在しないと推定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の推定方法。
【請求項11】
前記障害存在区間に下り勾配の開始地点が存在するか、前記準静止物体存在区間の前記後端と上り勾配の開始地点又は下り勾配の終了地点との距離が閾値以下の場合に、前記障害が存在しないと推定することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の推定方法。
【請求項12】
前記障害存在区間に渋滞の先頭が存在するか、前記準静止物体存在区間の前記後端と渋滞最後尾との距離が閾値以下の場合に、前記障害が存在しないと推定することを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の推定方法。
【請求項13】
前記対象車線の対向車線における車両間隔を検出し、
前記車両間隔と、前記車列の長さと、制限速度とに基づいて、前記対向車線を走行して前記障害を追い越せるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の推定方法。
【請求項14】
前記対向車線を走行する第1対向車両及び第2対向車両の間を走行する第3対向車両と前記第1対向車両との間の第1車間距離と、前記第3対向車両と前記第2対向車両との間の第2車間距離と、を測定し、
前記第3対向車両の車両長を検出又は推定し、
前記第1車間距離、前記第2車間距離及び前記車両長の合計と、前記第1対向車両と前記第2対向車両との間の距離とが合致しない場合に、前記障害の追越しを禁止する、
ことを特徴とする請求項13に記載の推定方法。
【請求項15】
車両に搭載され前記車両の周囲の物体の位置を検出する物体検出センサと、
前記物体検出センサの検出結果に基づいて、前記車両の周囲にある対象車線に車両の車列が発生している待ち行列区間を検出する待ち行列区間検出手段と、
前記待ち行列区間内の車両の車速を測定する車速測定手段と、
前記物体検出センサの検出結果に基づいて、前記車列よりも前記対象車線の進行方向前方の区間である前方区間において、第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間を検出する走行可能区間検出手段と、
前記待ち行列区間内の車両の速度が前記第1所定速度よりも低い第2所定速度以下であり、かつ前記走行可能区間を検出した場合に、前記対象車線の少なくとも一部を封鎖する障害が存在すると推定する推定手段と、
備えることを特徴とする車線状態の推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行する車線の状態の推定方法及び推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両で検出した駐車車両の情報を管理サーバに送信し、管理サーバが地図上に駐車車両の存在をプロットして路上駐車マップ情報を提供する技術が知られている(例えば特許文献1)。自車両は、他の車両を追い越すために車線変更を行った際に、他の車両を駐車車両として判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−76074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、駐車車両の情報を送信する車両が駐車車両を追い越すための車線変更を行わなければ駐車車両を検出できない。
このため、駐車車両が車線を封鎖していることによりその手前に車両の待ち行列が発生している場合には、駐車車両の情報を送信する車両が駐車車両を追い越す車線変更を行うまで駐車車両を検出できず、駐車車両の認識が遅れるという問題があった。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、車線を封鎖する障害のために車両の待ち行列が発生している状態でも、当該障害を推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車線状態の推定方法では、車両に搭載した物体検出センサによって車両の周囲の物体の位置を検出し、物体検出センサの検出結果に基づいて、車両の周囲にある対象車線に車列が発生している待ち行列区間を検出し、待ち行列区間内の車両の車速を測定し、物体検出センサの検出結果に基づいて、車列よりも対象車線の進行方向前方の区間である前方区間において第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間を検出し、待ち行列区間内の車両の速度が前記第1所定速度よりも低い第2所定速度以下であり、かつ走行可能区間を検出した場合に、対象車線の少なくとも一部を封鎖する障害が存在すると推定する。
【発明の効果】
【0006】
車線を封鎖する障害のために車両の待ち行列が発生している状態でも、当該障害を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の車線状態推定システムの一例の概略構成図である。
図2A】第1実施形態の車線状態推定方法の一例の説明図である。
図2B】第1実施形態の車線状態推定方法の一例の説明図である。
図2C】第1実施形態の車線状態推定方法の一例の説明図である。
図2D】第1実施形態の車線状態推定方法の一例の説明図である。
図3】第1実施形態の車線状態推定方法の一例の説明図である。
図4】第1実施形態の車線状態推定システムの機能構成の一例のブロック図である。
図5】第1実施形態の車線状態推定方法の一例のフローチャートである。
図6】第1実施形態の車線状態推定システムにおけるデータ授受シーケンスの一例の説明図である。
図7】第2実施形態の車線状態推定方法における障害存在区間の補正方法の一例の説明図である。
図8】第2実施形態の車線状態推定方法における障害推定結果の補正方法の一例の説明図である。
図9】第2実施形態の車線状態推定方法における障害推定結果の補正方法の一例の説明図である。
図10】第2実施形態の車線状態推定システムの一例の概略構成図である。
図11】第2実施形態の車線状態推定システムの機能構成の一例のブロック図である。
図12】第2実施形態の車線状態推定方法の一例のフローチャートである。
図13】第3実施形態の車線状態推定方法の一例の説明図である。
図14】第3実施形態の車線状態推定システムの一例の概略構成図である。
図15】第3実施形態の車線状態推定システムの機能構成の一例のブロック図である。
図16】第3実施形態の車線状態推定方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1を参照する。第1実施形態の車線状態推定システム100は、第1車両1の周囲の物体の情報をプローブ情報として取得して、第1車両1の周囲にある車線(以下「対象車線」と表記する)の状態を推定する。車線状態推定システム100は、第1車両1に搭載された物体検出センサ10、測位装置11及び通信装置12と、コンピュータ4、5及び6を備える。
図1には、車線状態推定システム100による対象車線の推定結果を利用する第2車両2が記載されている。第2車両2は、物体検出センサ20、測位装置21、通信装置22、車載装置23及びアクチュエータ24を備える。
【0010】
物体検出センサ10は、第1車両1の周囲の物体を検出する複数の異なる種類のセンサを備える。
例えば物体検出センサ10は、第1車両1に搭載されたカメラを備える。物体検出センサ10は、例えば第1車両1の周囲を撮像する1又は複数のカメラを備える。物体検出センサ10は、例えば、第1車両1の前方を撮像する画角90度の4K解像度カメラと、第1車両1の後方を撮像する画角90度の4K解像度カメラと、第1車両1の左側方を撮像する画角180度の4K解像度カメラと、第1車両1の右側方を撮像する画角180度の4K解像度カメラを備えてよい。
【0011】
第1車両1の物体検出センサ10は、これらのカメラを同期させながら各々のカメラの撮像画像を取得することで、第1車両1の周囲360度の範囲を撮像する。
また例えば物体検出センサ10は、レーザレーダやミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)などの測距センサを備え、第1車両1の前方、後方又は側方の物体や道路白線、路面の位置データ又はポイントクラウドデータを取得してもよい。
【0012】
測位装置11は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して、現在時刻と、第1車両1の現在位置及び進行方向を測定する。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置11は、例えば慣性航法装置であってもよく、オドメトリによって第1車両1の現在位置及び進行方向を測定してもよい。
通信装置12は、測位装置11から得られる現在時刻情報に基づいて物体検出センサ10に対して基準時刻を配信する。また、通信装置12は、コンピュータ4の通信手段40を介して、物体検出手段41との間でデータの授受を行う。
【0013】
第2車両2の物体検出センサ20は、第2車両2の周囲の物体を検出する複数の異なる種類のセンサを備える。物体検出センサ20は、第2車両2に搭載されたカメラや、レーザレーダやミリ波レーダ、LIDARなどの測距センサを備えてもよい。
測位装置21は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して、現在時刻と、第2車両2の現在位置及び進行方向を測定する。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置21は、例えば慣性航法装置であってもよく、オドメトリによって第2車両2の現在位置及び進行方向を測定してもよい。
【0014】
通信装置22は、コンピュータ6の通信手段60を介して、障害区間推定手段61から対象車線の状態情報を受信する。
車載装置23は、第2車両2の走行を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。例えば車載装置23は、第2車両2の現在位置と周囲環境に基づいて、運転者が関与せずに第2車両2を自動で運転する自動走行制御を行う。
【0015】
また例えば車載装置23は、周囲環境に基づいて第2車両2の操舵または加減速のみを制御する運転支援制御を行う。
車載装置23は、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
【0016】
アクチュエータ24は、車載装置23からの制御信号に応じて、第2車両2のステアリングホイール、アクセル開度及びブレーキ装置を操作して、第2車両2の車両挙動を発生させる。アクチュエータ24は、ステアリングアクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、第2車両2のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータは、第2車両2のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータは、第2車両2のブレーキ装置の制動動作を制御する。
【0017】
コンピュータ4は、通信手段40を備え、後述する物体検出手段41として動作する。コンピュータ5は、通信手段50を備え、後述する待ち行列区間検出手段51、速度判定手段52及び走行可能区間検出手段53として動作する。コンピュータ6は、通信手段60を備え、後述する障害区間推定手段61として動作する。通信手段40、50及び60は、有線又は無線の通信手段により互いにデータを授受可能である。
【0018】
コンピュータ4〜6は、例えば第1車両1に実装されてもよい。この場合、通信装置12及び通信手段40〜60は、有線又は無線の通信手段によりデータを授受してよい。例えば、通信装置12及び通信手段40〜60は、例えばCSMA/CA方式の多重通信(CAN:Controller Area Network)やフレックスレイ(Flex Ray)等の車載通信ネットワーク(車載LAN)を備えてもよい。
この場合に、第2車両2の通信装置22と通信手段60は、車車間通信、公衆携帯電話網、路車間通信、衛星通信等の無線通信手段を介して、データを授受してよい。
【0019】
また、コンピュータ4〜6は、例えば第2車両2に実装されてもよい。この場合、通信装置22及び通信手段40〜60は、有線又は無線の通信手段によりデータを授受してよい。例えば、通信装置22及び通信手段40〜60は、例えばCSMA/CA方式の多重通信やフレックスレイ等の車載通信ネットワーク(車載LAN)を備えてもよい。
この場合に、第1車両1の通信装置12と通信手段40は、車車間通信、公衆携帯電話網、路車間通信、衛星通信等の無線通信手段を介して、データを授受してよい。
【0020】
コンピュータ4〜6は、第1車両1や第2車両2以外の場所に実装されてもよい。この場合、例えば通信装置12と通信手段40、及び通信装置22と通信手段60は、車車間通信、公衆携帯電話網、路車間通信、衛星通信等の無線通信手段を介して、互いにデータを授受する。コンピュータ4〜6は、例えば、他車両、携帯電話/自営網上のモバイルエッジコンピュータ、路側に設置された道路交通インフラサーバもしくはインターネット上のクラウドサーバに実装されてもよい。
【0021】
続いて、第1実施形態の車線状態推定システム100による車線状態推定方法の概要について説明する。
図2Aを参照する。道路200には、対象車線201と、対象車線201に隣接する対向車線202が設けられている。車線状態推定システム100は、対向車線202を走行する第1車両1の周囲の物体の検出結果に基づいて、第2車両2が走行する対象車線201の車線状態を推定する。
【0022】
いま、対象車線201の一部が障害203によって封鎖されており、障害203よりも対象車線201の進行方向後方に、障害203を追い越すための車線変更の順番を待っている車両204a〜204cの車列が発生している状態を想定する。障害203は、例えば、対象車線201に駐車している駐車車両などの静止物体であってもよく、工事区間であってもよい。
障害203は、有体物に限らず対象車線201の一部を封鎖するものであれ足りる。障害203は、例えば対象車線201の欠損であってもよい。以下の例では、障害203が有体物(静止物体)として説明を行う。
【0023】
第1車両1の物体検出センサ10は、地点P1にて第1車両1の周囲の物体の位置を検出する。図2Aの例で物体検出センサ10は、対象車線201上の障害203や車両204a〜204cの位置を検出する。
さらに物体検出センサ10は、対象車線201の車線境界線(例えば道路白線)205の位置を検出する。車線境界線205は、対象車線201の側方の一方(すなわち対向車線202側)の地点P1に物体検出センサ10が位置している場合に、対象車線201を挟んで物体検出センサ10の反対側の車線境界を表す車線境界線である。
【0024】
図2Bを参照する。計測間隔Tだけ時間が進んで第1車両1が地点P2まで到達すると、物体検出センサ10は、地点P2にて第1車両1の周囲の物体を検出する。図2Bの例で物体検出センサ10は、障害203、車両204a〜204c及び車線境界線205の位置を検出する。
車線状態推定システム100は、地点P2における物体検出センサ10の検出結果に基づいて対象車線201上の物体同士の間隔を検出し、物体同士の間隔に基づいて、対象車線201に車列が発生しており、車両の待ち行列となっている可能性がある待ち行列区間206を検出する。
なお、本明細書において、用語「区間」は、対象車線201の道のり方向の範囲を表すために用いる。
【0025】
車線状態推定システム100は、地点P1及びP2における物体検出センサ10の検出結果に基づいて、待ち行列区間206内の物体である障害203、車両204a〜204c及びの速度を検出する。車線状態推定システム100は、第2所定速度以下で走行する車両204a〜204cを「待ち車両」と判定する。
図2Cを参照する。車線状態推定システム100は、地点P2における物体検出センサ10の検出結果(地点P2における物体検出センサ10の検出結果でもよい)に基づいて、車列よりも対象車線201の進行方向前方の区間である前方区間において第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間207を検出する。
例えば車線状態推定システム100は、前方区間において車線境界線205が所定長以上の長さに亘って連続して検出される区間を走行可能区間207と検出してよい。
【0026】
図2Dを参照する。車線状態推定システム100は、待ち行列区間206において、障害203が存在すると推定される区間である障害存在区間208と、第2所定速度以下の速度で車両が走行する区間である準静止物体存在区間209と、を推定する。
例えば車線状態推定システム100は、速度0の静止物体が占める区間を障害存在区間208と推定する。
【0027】
速度0の静止物体を検出されていない場合には、図3に示すように待ち行列区間206と同じ長さを有し、且つ待ち行列区間206と走行可能区間207との境界位置が中央となる区間を、障害存在区間208として設定する。
また、車線状態推定システム100は、待ち車両204a〜204cのうち、障害存在区間208から最も離れた位置から障害存在区間208までの区間を、準静止物体存在区間209として決定する。
【0028】
このように、実施形態1の車線状態推定システム100によれば、第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間207と、待ち行列区間206内の車両の速度が第2所定速度以下であることに基づいて、対象車線201の少なくとも一部を封鎖する障害203が存在すると推定できる。
このため、障害203のために車両の待ち行列が発生している状態において障害203を認識できなくても、対象車線201を封鎖する障害203の存在を推定できる。
【0029】
次に、第1実施形態の車線状態推定システム100の機能構成について説明する。図4は、第1実施形態の車線状態推定システム100の機能構成の一例のブロック図である。
車線状態推定システム100は、物体検出センサ10と、測位装置11と、物体検出手段41と、待ち行列区間検出手段51と、速度判定手段52と、走行可能区間検出手段53と、障害区間推定手段61と、軌道生成手段25と、走行制御手段26と、アクチュエータ24を備える。第2車両2の車載装置23は、軌道生成手段25及び走行制御手段26として動作する。
【0030】
物体検出センサ10は、第1車両1の周囲の物体の位置を測定する。例えば、物体検出センサ10は、レーザレンジファインダが第1車両の周囲の水平角度360度の見通し範囲で、150m程度の道路周辺物体の位置を測定し、ポイントクラウド形式の検出結果を出力する。また、可視カメラが道路周辺物体の画像データを出力する。
測位装置11は、所定の座標を基準とする共通座標系(例えば世界座標系や地図座標系)における第1車両1の現在位置を測定する。
【0031】
物体検出手段41は、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、第1車両1の周囲の物体の位置を検出する。例えば物体検出手段41は、物体検出センサ10が出力するポイントクラウドをクラスタリングして、点群データのクラスタを生成することにより第1車両1の周囲の物体である障害203、車両204a〜204c、車線境界線205とその位置を検出する。
また物体検出手段41は、物体検出センサ10が出力する画像データを解析することにより、障害203、車両204a〜204c、車線境界線205とその位置を検出する。
【0032】
物体検出手段41は、第1車両1の現在位置に基づいて、第1車両1の周囲の物体の位置の座標系を共通座標系に変換する。または、高精度地図上の交差点等の基準点からの道のり距離で表現してもよい。
さらに、物体検出手段41は、地点P1の物体検出センサ10の検出結果から検出した物体の位置と、地点P2の物体検出センサ10の検出結果から検出した物体の位置との間の変化と、計測間隔Tとに基づいて、障害203及び車両204a〜204cの速度と移動方向を測定する。
【0033】
待ち行列区間検出手段51は、対象車線201に車両の車列が発生しており、車両の待ち行列となっている可能性がある待ち行列区間206を検出する。例えば、待ち行列区間検出手段51は、対象車線201上の物体の間隔が所定閾値以下となる区間を待ち行列区間206として検出する。例えば、車間時間が3秒以下、または車間距離が30m以下となる区間を待ち行列区間206として検出してよい。
【0034】
速度判定手段52は、物体検出手段41が測定した物体の速度に基づいて、待ち行列区間206内の物体の速度を判定する。図2Aの例では、待ち行列区間206内の障害203及び車両204a〜204cの速度を判定する。
速度判定手段52は、第2所定速度以下で走行する車両204a〜204cを「待ち車両」と判定する。第2所定速度は例えば第1所定速度の半分以下の速度に設定してよい。
【0035】
走行可能区間検出手段53は、待ち行列よりも対象車線201の進行方向前方の区間である前方区間において、第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間207を検出する。
例えば走行可能区間検出手段53は、走行可能区間207であるか否かを判断する評価区間を前方区間に設定する。
【0036】
評価区間の範囲は、待ち行列区間206の両端のうち対象車線201の進行方向を基準に前側となる前端から、所定の評価区間長だけ離れた地点までの範囲である。評価区間長は、例えば、対象車線201を走行する車両の想定速度と所定の車頭時間に基づいて設定する。例えば、対象車線201を走行する車両の想定速度を40km/hとし車頭時間を5秒として、評価区間長を50mに設定してよい。
【0037】
走行可能区間検出手段53は、評価区間において車線境界線205が所定長(例えば30m)以上の長さに亘って連続して物体検出センサ10で検出される区間を走行可能区間207と検出してよい。
また例えば、評価区間において、車線境界線205よりも外側に存在する物標等の背景物体が、所定長以上の長さに亘って連続して物体検出センサ10で検出される区間を走行可能区間207と検出してもよい。
【0038】
車線境界線205よりも外側に存在する背景物体とは、対象車線201の側方の一方(すなわち対向車線202側)の地点P1及び地点P2に物体検出センサ10が位置している場合に、対象車線201の側方の他方(すなわち、対象車線201を挟んで物体検出センサ10の反対側の側方)に位置する背景物体である。また、背景物体は、例えば、道路構造物、縁石、道路周辺の建物であってよい。
【0039】
また、走行可能区間検出手段53は、評価区間において車両が第1所定速度で走行している区間を走行可能区間207と検出してもよい。
一方で、走行可能区間検出手段53は、評価区間において第2所定速度で走行する車両が存在する場合には、待ち行列区間206の前端を当該車両の位置まで移動して、待ち行列区間206を延伸してよい。
【0040】
障害区間推定手段61は、待ち行列区間206内の車両204a〜204cの速度が第2所定速度以下であり、かつ走行可能区間207が検出されたか否かを判定する。待ち行列区間206内の車両204a〜204cの速度が第2所定速度以下であり、かつ走行可能区間207が検出された場合に、障害区間推定手段61は、待ち行列区間206において、障害203が存在すると推定される区間である障害存在区間208を推定する。
【0041】
障害区間推定手段61は、待ち行列区間206において、速度0の静止物体が検出されている場合には、静止物体が占める区間を障害存在区間208と推定する。速度0の静止物体を検出されていない場合には、図3に示すように待ち行列区間206と同じ長さを有し、且つ待ち行列区間206と走行可能区間207との境界位置が中央となる区間を、障害存在区間208として設定する。
【0042】
さらに障害区間推定手段61は、待ち行列区間206において、第2所定速度以下の速度で車両が走行する区間である準静止物体存在区間209を推定する。障害区間推定手段61は、待ち車両204a〜204cのうち、障害存在区間208から最も離れた位置から障害存在区間208までの区間を、準静止物体存在区間209として決定する。
障害区間推定手段61は、障害存在区間208の位置情報を第2車両2の車載装置23へ送信する。
【0043】
車載装置23の軌道生成手段25は、第2車両2の自動走行制御又は運転支援制御において、第2車両2を走行させる目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。
障害区間推定手段61が、第2車両2の進路の前方の障害存在区間208の位置情報を出力した場合、障害存在区間208を回避するように目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。具体的には、障害存在区間208を追い越すために対向車線202へ車線変更し、障害存在区間208を追い越した後に対象車線201へ車線変更する目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。
【0044】
走行制御手段26は、軌道生成手段25が生成した速度プロファイルに従う速度で第2車両2が目標走行軌道を走行するようにアクチュエータ24を駆動する。これによりアクチュエータ24は、障害存在区間208を追い越すために対向車線202へ車線変更し、障害存在区間208を追い越した後に対象車線201へ車線変更するように、操舵制御及び加減速制御を行う。
【0045】
これにより、待ち車両204a〜204cの後ろを走行する第2車両2が、第2車両2の前方において対象車線201を封鎖する障害203を認識できない状況であっても、この障害203が存在する障害存在区間208を予め推定できる。この結果、障害203の認識や大きさの判別を待たずに余裕を持って障害存在区間208を避ける車両挙動を発生できる。
なお、車載装置23は、障害存在区間208やその位置情報を、第2車両2の運転者や乗員に、音声情報や視覚情報として通知してもよい。
【0046】
(動作)
次に、図5を参照して第1実施形態の車線状態推定方法の一例を説明する。
ステップS1において第1車両1の物体検出センサ10は、地点P1にて第1車両1の周囲の物体である障害203、車両204a〜204c、車線境界線205の位置を測定する。物体検出手段41は、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、これらの物体とその位置を検出する。
【0047】
ステップS2において第1車両1の物体検出センサ10は、地点P2にて障害203、車両204a〜204c、車線境界線205の位置を測定する。物体検出手段41は、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、これらの物体とその位置を検出する。
また物体検出手段41は、地点P1の物体検出センサ10の検出結果から検出した物体の位置と、地点P2の物体検出センサ10の検出結果から検出した物体の位置との間の変化と、計測間隔Tとに基づいて、障害203及び車両204a〜204cの速度を測定する。
【0048】
ステップS3において待ち行列区間検出手段51は、対象車線201に車両の待ち行列が発生している待ち行列区間206を検出する。
ステップS4において速度判定手段52は、物体検出手段41が測定した物体の速度に基づいて、待ち行列区間206内の物体である障害203及び車両204a〜204cの速度を判定する。
速度判定手段52は、第2所定速度以下で走行する車両204a〜204cを「待ち車両」と判定する。
【0049】
ステップS5において走行可能区間検出手段53は、待ち行列よりも対象車線201の進行方向前方の区間である前方区間において第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間207を検出する。
ステップS6において障害区間推定手段61は、待ち行列区間206において速度0の静止物体に占められた区間を、障害存在区間208として推定する。
障害区間推定手段61は、待ち行列区間206において、第2所定速度以下の速度で車両が走行する区間である準静止物体存在区間209を推定する。
【0050】
次に、図6を参照し、車線状態推定システム100におけるデータ授受シーケンスの一例を説明する。
時刻t1において物体検出センサ10は、地点P1において第1車両1の周囲の物体である障害203、車両204a〜204c、車線境界線205の位置を計測する。また測位装置11は第1車両1の現在位置を計測する。物体検出センサ10と測位装置11は、物体検出センサ10のセンサ信号(例えばポイントクラウドデータ及び画像データ)と、地点P1の位置データ、計測時刻データに、データ送信時刻情報を付加して、物体検出手段41へ送信する。
【0051】
時刻t2において物体検出手段41は、これらのデータを受信する。物体検出手段41は、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、これらの物体とその位置を検出する。
その後、時刻t3より後の時刻t4において物体検出センサ10は、地点P2において第1車両1の周囲の物体の位置を計測する。測位装置11は第1車両1の現在位置を計測する。時刻t1から時刻t3までの時間間隔は、測定間隔(時刻t1からt4までの間隔)が、物体の位置の変化から物体の速度を計測するために必要な時間よりも長くなるように設定されている。
【0052】
物体検出センサ10と測位装置11は、物体検出センサ10のセンサ信号(例えばポイントクラウドデータ及び画像データ)と、地点P1の位置データ、計測時刻データに、データ送信時刻情報を付加して、物体検出手段41へ送信する。
時刻t5において物体検出手段41は、これらのデータを受信する。物体検出手段41は、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、これらの物体とその位置を検出する。また、地点P1の物体検出センサ10の検出結果から検出した物体の位置と、地点P2の物体検出センサ10の検出結果から検出した物体の位置との間の変化に基づいて、障害203及び車両204a〜204cの速度を測定する。
【0053】
時刻t6において物体検出手段41は、障害203及び車両204a〜204cの位置情報及び速度と、車線境界線205の位置情報を、待ち行列区間検出手段51、速度判定手段52及び走行可能区間検出手段53へ送信する。時刻t7において待ち行列区間検出手段51、速度判定手段52及び走行可能区間検出手段53は、これらのデータを受信する。
待ち行列区間検出手段51は、待ち行列区間206を検出する。速度判定手段52は、待ち行列区間206内の障害203及び車両204a〜204cの速度を判定する。走行可能区間検出手段53は、走行可能区間207を検出する。
【0054】
時刻t8において待ち行列区間検出手段51、速度判定手段52及び走行可能区間検出手段53は、待ち行列区間206、待ち行列区間206内の物体の速度、走行可能区間207のデータを障害区間推定手段61へ送信する。時刻t9において障害区間推定手段61は、これらのデータを受信する。
障害区間推定手段61は、障害存在区間208と準静止物体存在区間209とを推定する。
【0055】
なお、物体検出センサ10のセンサ信号が遠方の物体の画像データを含む場合(例えば道路境界線を表現する為の点群のうち1つ以上が30m以上にある等)は非圧縮あるいは可逆圧縮処理を行ったデータを送信し、それ以外の画像領域は圧縮画像を復調用識別情報付きで送信してよい。また、位置座標はGNSSで扱われる緯度経度や、最寄り交差点からの道のり距離、平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号等で指定されるもの)を用いて表現してよい。時刻情報はGNSSから配信される時刻情報を用いてよい。
【0056】
(第1実施形態の効果)
(1)第1車両1に搭載した物体検出センサ10は、第1車両1の周囲の物体の位置を検出する。待ち行列区間検出手段51は、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、第1車両1の周囲にある対象車線201に車両の待ち行列が発生している待ち行列区間206を検出する。速度判定手段52は、待ち行列区間206内の車両の車速を測定する。走行可能区間検出手段53は、物体検出センサ10の検出結果に基づいて、待ち行列よりも対象車線201の進行方向前方の区間である前方区間において第1所定速度以上で車両が走行できる走行可能区間207を検出する。障害区間推定手段61は、待ち行列区間206内の車両の速度が前記第1所定速度よりも低い第2所定速度以下であり、かつ走行可能区間207を検出した場合に、対象車線201の少なくとも一部を封鎖する障害203が存在すると推定する。
【0057】
これにより、障害203のために車両の待ち行列が発生している状態において、たとえ障害203を認識できなくても、対象車線201を封鎖する障害203の存在を推定できる。
このため、例えば待ち車両204a〜204cの後ろを走行する第2車両2が、第2車両2の前方において対象車線201を封鎖する障害203を認識できない状況であっても、この障害203が存在する障害存在区間208を予め推定できる。この結果、障害203の認識や大きさの判別を待たずに余裕を持って障害存在区間208を避ける車両挙動を発生できる。
【0058】
(2)物体検出センサ10が対象車線201の側方の一方に位置するときに、走行可能区間検出手段53は、対象車線201を挟んで反対側の車線境界を表す車線境界線205が所定長以上の長さに亘って連続して物体検出センサ10で検出される区間を、走行可能区間207として検出する。
これにより、実際に第1所定速度以上で走行する車両を検出できなくても、走行可能区間207を検出できる。
【0059】
(3)物体検出センサ10が対象車線201の側方の一方に位置するときに、走行可能区間検出手段53は、対象車線201の側方の他方に存在する物標が所定長以上の長さに亘って連続して物体検出センサ10で検出される区間を、走行可能区間207として検出する。
車線境界線205だけに限られずに様々な物標の検出結果に基づくことで、安定して走行可能区間207を検出できる。例えば、道路インフラの整備に伴って車線境界線205や道路構造物が変化しても、ロバストに走行可能区間207を検出できる。
【0060】
(4)走行可能区間検出手段53は、前方区間を走行する車両が第1所定速度以上で走行している区間を走行可能区間として検出する。
これにより、実際に第1所定速度以上で走行する車両に基づいて走行可能区間207を検出できる。
【0061】
(5)障害区間推定手段61は、待ち行列区間206において、障害203が存在すると推定される区間である障害存在区間208と、第2所定速度以下の速度で車両が走行する区間である準静止物体存在区間209と、を推定する。障害存在区間208は、準静止物体存在区間209と走行可能区間207との間に挟まれた区間である。
これにより、待ち行列区間206において停止している物体に占められた区間と、低速で走行している車両に占められた区間との境界に基づいて、障害存在区間208を特定できる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。図7を参照する。第2実施形態の車線状態推定システム100は、待ち行列区間206の車両の方向指示器の点灯210を検出する。
待ち行列区間206の車両が、障害203を追い越す車線変更に必要な操舵方向(すなわち対向車線202側)に方向指示器を点灯させている場合に、車線状態推定システム100は、このような方向指示器を点灯させている車両のうち最も前方の車両の位置の前方の位置へ、障害存在区間208と準静止物体存在区間209の境界位置を変更する。
これにより、待ち車両204a〜204cが停止していても、これら待ち車両204a〜204cによって占められる区間を障害存在区間208から除外し、障害存在区間208を限定できる。
【0063】
さらに第2実施形態における車線状態推定システム100は、障害存在区間208の位置に応じて、車両204a〜204cの待ち行列の特性を推定し、待ち行列の特性に応じて障害存在区間208の推定を取り消す。すなわち、対象車線201を封鎖する障害203が存在しないと推定する。
図8を参照する。障害存在区間208内に(a)交差点の一時停止線、(b)赤信号の交差点の停止線、(c)カーブの終了地点、(d)下り勾配の開始地点、又は(f)駐車場が満車の道路沿い施設の出入り口が存在する場合を想定する。これらの地点を「追い越し不要地点Pu1」と表記する。追い越し不要地点Pu1の手前に発生している待ち行列は、先行車両の一時的な停止または減速に起因する待ち行列と推定される。
【0064】
このような場所では車線が封鎖されていなくても車速が減速し、追い越し不要地点Pu1を通過すると速度が回復する可能性がある。したがって、この場合は車線変更をしなくてもこれらの地点を通過できる。追い越し不要地点Pu1が(e)渋滞の先頭である場合にも同様である。
このため、障害存在区間208内にこのような追い越し不要地点Pu1が存在している場合には、障害存在区間208の推定を取り消す。これにより、不要な車線変更を抑制するように自動走行制御又は運転支援制御を行うことができる。
【0065】
さらに第2実施形態における車線状態推定システム100は、準静止物体存在区間209の位置に応じて、車両204a〜204cの待ち行列の特性を推定し、待ち行列の特性に応じて障害存在区間208の推定を取り消す。すなわち、対象車線201を封鎖する障害203が存在しないと推定する。
【0066】
図9を参照する。準静止物体存在区間209の開始エリアに(a)交差点待ち行列の最後尾、(b)カーブの開始地点、(c)のぼり勾配の開始地点、又は(d)下り勾配の終了地点が存在する場合を想定する。これらの地点を「追い越し不要地点Pu2」と表記する。
なお、準静止物体存在区間209の「開始エリア」とは、準静止物体存在区間209の両端のうち対象車線201の進行方向を基準に後側となる後端から、所定距離だけ進行方向前方に離れた地点までの範囲をいう。
【0067】
追い越し不要地点Pu2よりも前方で発生している待ち行列は、先行車両の一時的な停止または減速に起因する待ち行列と推定される。
このような場所では車線が封鎖されていなくても車速が減速し、追い越し不要地点Pu2を通過すると、一時的に速度が減速してもいずれ速度が回復する可能性がある。
【0068】
したがって、この場合は車線変更をしなくてもこれらの地点を通過できる。追い越し不要地点Pu2が(e)渋滞の最後尾である場合にも同様である。
このため、準静止物体存在区間209の開始エリアに追い越し不要地点Pu2が存在している場合には、障害存在区間208の推定を取り消す。これにより、不要な車線変更を抑制するように自動走行制御又は運転支援制御を行うことができる。
【0069】
(構成)
図10を参照する。第2実施形態の車線状態推定システム100は、図1に示す第1実施形態の車線状態推定システム100の構成に加えて、コンピュータ7を備える。コンピュータ7は、通信手段70を備え、方向指示器検出手段71、ナビゲーションシステム72及び待ち行列特性確認手段73として動作する。
通信手段70は、有線又は無線の通信手段により、コンピュータ4の通信手段40を介して、物体検出手段41との間でデータの授受を行うとともに、コンピュータ6の通信手段60を介して、障害区間推定手段61との間でデータの授受を行う。
コンピュータ7は、第1車両1や第2車両2に実装されてもよく、第1車両1や第2車両2以外の他車両、携帯電話/自営網上のモバイルエッジコンピュータ、路側に設置された道路交通インフラサーバもしくはインターネット上のクラウドサーバに実装されてもよい。
【0070】
図11を参照して、第2実施形態の車線状態推定システム100の機能構成について説明する。第2実施形態の車線状態推定システム100は、第1実施形態の車線状態推定システム100と同様の機能構成を有しており、同一の構成要素には同じ参照符号を付して、重複説明を省略する。
物体検出手段41は、物体検出センサ10の可視カメラから出力された画像データに基づいて、車両として検出した物体の方向指示器の点灯を検出する。
【0071】
方向指示器検出手段71は、方向指示器を点灯させている車両が待ち行列区間206内の車両であるか否かを判定する。そして、車両が、障害203を追い越す車線変更に必要な操舵方向に方向指示器を点灯させているか否かを判定する。方向指示器検出手段71は、判定結果を障害区間推定手段61へ出力する。
【0072】
待ち行列区間206内の車両が、障害203を追い越す車線変更に必要な操舵方向に方向指示器を点灯させている場合に、障害区間推定手段61は、このような方向に方向指示器を点灯させている車両のうち最も前方の車両204cの位置を判定する。障害区間推定手段61は、車両204cの前方の位置へ、障害存在区間208と準静止物体存在区間209の境界位置を変更する。
【0073】
ナビゲーションシステム72は、地図情報を記憶した地図データベースを備える。通信手段70を介して地図情報を外部サーバから取得してもよい。また、ナビゲーションシステム72は、通信手段70を介して道路交通情報と駐車場の満空情報を外部サーバから取得する。
ナビゲーションシステム72は、地図情報、道路交通情報及び満空情報に基づいて、追い越し不要地点Pu1及びPu2を検出して、待ち行列特性確認手段73へ出力する。
【0074】
待ち行列特性確認手段73は、障害区間推定手段61が推定した障害存在区間208内に、追い越し不要地点Pu1が存在するか否かを判定する。
また、待ち行列特性確認手段73は、障害区間推定手段61が推定した準静止物体存在区間209の開始エリアに追い越し不要地点Pu2が存在するか否かを判定する。待ち行列特性確認手段73は、判定結果を障害区間推定手段61に出力する。
【0075】
障害存在区間208内に追い越し不要地点Pu1が存在する場合、又は準静止物体存在区間209の開始エリアに追い越し不要地点Pu2が存在する場合に、障害区間推定手段61は、障害存在区間の推定を取り消す。
この結果、例えば、障害存在区間208の位置情報が軌道生成手段25に出力されなくなるので、第2車両2の自動走行制御又は運転支援制御において障害存在区間208を追い越すための車線変更が抑制される。
【0076】
なお、追い越し不要地点Pu1が、駐車場が満車の道路沿い施設の出入り口である場合には、障害存在区間208において物体の滞留時間を判定し、滞留時間が所定時間より長い場合に、障害存在区間の推定を取り消してよい。
例えば、第1車両1と同様の構成を有する複数の車両が対向車線202を走行する場合に、異なる時刻において障害存在区間208内の物体を検出して物体の滞留時間を判定してよい。
【0077】
また、障害区間推定手段61は、障害存在区間の推定を取り消す代わりに、障害203が存在する可能性が低いと判定してもよい。軌道生成手段25は、障害203が存在する可能性に応じて、障害存在区間208を追い越すための車線変更の要否を判定してもよい。例えば、軌道生成手段25は、障害203が存在する可能性に加えて、第2車両2の周囲に存在するリスクなどの他の要因を組み合わせて、障害存在区間208を追い越すための車線変更の要否を判定してもよい。
【0078】
また、障害区間推定手段61は、障害存在区間の推定を取り消す代わりに、第1所定速度を上げるか、第2所定速度を下げることにより、障害203が存在すると推定しにくくしてもよい。この場合、追い越し不要地点Pu1及びPu2におけるカーブ曲率や、勾配率に応じて第1所定速度や第2所定速度を補正してもよい。
【0079】
(動作)
次に、図12を参照して第2実施形態の車線状態推定方法の一例を説明する。
ステップS10〜S14の処理は、図5のステップS1〜S5の処理と同様である。
ステップS15において方向指示器検出手段71は、行列区間206内の車両が、障害203を追い越す車線変更に必要な操舵方向に方向指示器を点灯させているか否かを判定する。
【0080】
ステップS16において障害区間推定手段61は、障害存在区間208と準静止物体存在区間209を推定する。このとき障害区間推定手段61は、待ち行列区間206内の車両が、障害203を追い越す車線変更に必要な操舵方向に方向指示器を点灯させている場合に、このような方向に方向指示器を点灯させている車両のうち最も前方の車両204cの位置を判定する。障害区間推定手段61は、車両204cの前方の位置へ、障害存在区間208と準静止物体存在区間209の境界位置を変更する。
【0081】
ステップS17において待ち行列特性確認手段73は、障害存在区間208内に追い越し不要地点Pu1が存在するか否かを判定する。障害存在区間208内に追い越し不要地点Pu1が存在しない(ステップS17:N)場合に処理はステップS18に進む。障害存在区間208内に追い越し不要地点Pu1が存在する場合(ステップS17:Y)に処理はステップS19に進む。
【0082】
ステップS18において待ち行列特性確認手段73は、準静止物体存在区間209の開始エリアに追い越し不要地点Pu2が存在するか否かを判定する。開始エリアに追い越し不要地点Pu2が存在する場合(ステップS18:Y)に処理はステップS19に進む。
ステップS19において障害区間推定手段61は、障害存在区間208の推定を取り消す。
【0083】
この結果、例えば、障害存在区間208の位置情報が軌道生成手段25に出力されなくなり、第2車両2の自動走行制御又は運転支援制御において、障害存在区間208を追い越すための車線変更が抑制される。
一方、ステップS18において開始エリアに追い越し不要地点Pu2が存在しない(ステップS18:N)場合には、障害区間推定手段61は、障害存在区間208の推定を取り消さずに出力する。これにより、第2車両2の自動走行制御又は運転支援制御において障害存在区間208を追い越すための車線変更が可能になる。
【0084】
(第2実施形態の効果)
(1)方向指示器検出手段71は、待ち行列区間206内で方向指示器を点灯させている車両を検出する。障害区間推定手段61は、当該車両よりも対象車線201の進行方向前方に、障害存在区間208と準静止物体存在区間209の境界があると推定する。
これにより、待ち行列区間206内で車両の待ち行列が停止していても、これらの車両によって占められる区間を障害存在区間208から除外し、障害存在区間208を限定できる。
【0085】
(2)待ち行列特性確認手段73は、障害存在区間208の位置、又は準静止物体存在区間209の両端のうち対象車線の進行方向を基準に後側となる後端の位置に応じて待ち行列の特性を推定する。障害区間推定手段61は、待ち行列の特性に応じて障害203が存在しないと推定する。
これにより、対象車線201を封鎖する障害203が存在しないのにもかかわらず、先行車両の一時的な停止又は減速によって待ち行列が発生している場合に、障害203が存在すると誤判断して不要な車線変更を行うことを防ぐことができる。
【0086】
(3)障害区間推定手段61は、障害存在区間208に交差点が存在する場合には、障害203が存在しないと推定する。
これにより、対象車線201を封鎖する障害203が存在しないのにもかかわらず、先行車両が交差点で一時的に停止又は減速することによって待ち行列が発生している場合に、障害203が存在すると誤判断して不要な車線変更を行うことを防ぐことができる。
【0087】
(4)障害区間推定手段61は、障害存在区間208に道路沿い施設への出入口が存在する場合に、障害存在区間208における物体の滞留時間を判定し、滞留時間が所定時間より長い場合に障害203が存在しないと推定する。
これにより、対象車線201を封鎖する障害203が存在しないのにもかかわらず、先行車両が道路沿い施設への出入口で一時的に停止又は減速することによって待ち行列が発生している場合に、障害203が存在すると誤判断して不要な車線変更を行うことを防ぐことができる。
【0088】
(5)障害区間推定手段61は、障害存在区間208にカーブの終了地点が存在するか、準静止物体存在区間209の後端とカーブの開始地点との距離が閾値以下の場合に、障害203が存在しないと推定する。
これにより、対象車線201を封鎖する障害203が存在しないのにもかかわらず、先行車両がカーブ区間で減速することによって待ち行列が発生している場合に、障害203が存在すると誤判断して不要な車線変更を行うことを防ぐことができる。
【0089】
(6)障害区間推定手段61は、障害存在区間208に下り勾配の開始地点が存在するか、準静止物体存在区間209の後端と上り勾配の開始地点又は下り勾配の終了地点との距離が閾値以下の場合に、障害203が存在しないと推定する。
これにより、対象車線201を封鎖する障害203が存在しないのにもかかわらず、先行車両が勾配区間で減速することによって待ち行列が発生している場合に、障害203が存在すると誤判断して不要な車線変更を行うことを防ぐことができる。
【0090】
(7)障害区間推定手段61は、障害存在区間208に渋滞の先頭が存在するか、準静止物体存在区間209の後端と渋滞最後尾との距離が閾値以下の場合に、障害203が存在しないと推定する。
これにより、いずれ渋滞を通過して速度が回復する可能性がある場合に、障害203が存在すると誤判断して不要な車線変更を行うことを防ぐことができる。
【0091】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を説明する。図13を参照する。第3実施形態の車線状態推定システム100では、対象車線201に隣接する対向車線202を走行する第1車両1及び第3車両3の各々に搭載した測位装置によって、第1車両1及び第3車両3の各々の位置を測定する。これらの測定結果に基づいて、第1車両1と第3車両3との間の距離を算出する。
【0092】
また、第1車両1及び第3車両3の間に、自己位置の測定及び送信機能を有しない中間車両220が走行している場合に、第1車両1に搭載した物体検出センサによって、第1車両1と中間車両220の間の第1車間距離D1を検出する。また、第3車両3に搭載した物体検出センサによって、第3車両3と中間車両220との間の第2車間距離D2を検出する。また、中間車両220の車両長Lを検出又は推定する。
さらに、車両204a〜204cの待ち行列の長さと対象車線201の制限速度に基づいて、第2車両2が対向車線202に車線変更して障害203を追い越すのに必要な距離D3を算出する。以下、距離D3を「追越所要距離D3」と表記する。
【0093】
第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致し、第1車間距離D1が追越所要距離D3より長い場合に、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミングで、第2車両2が対向車線202に車線変更して障害203を追い越すことができると判定する。
また、第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致し、第2車間距離D2が追越所要距離D3より長い場合に、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで、第2車両2が対向車線202に車線変更して障害203を追い越すことができると判定する。
【0094】
なお、第1車間距離D1及び第2車間距離D2のいずれもが、追越所要距離D3以下の場合には、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミング、及び中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングのいずれにおいても、第2車両2が障害203を追い越すことはできないと判定する。この場合には、第2車両2は、障害203の手前で停止する判定を行う。
【0095】
第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致しない場合は、第1車間距離D1又は第2車間距離D2が正確に測定されていないと考えられるため、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミング、及び中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで第2車両2が障害203を追い越すことを禁止する。この場合には、第2車両2は、障害203の手前で停止する判定を行う。
【0096】
(構成)
図14を参照する。第3実施形態の車線状態推定システム100は、図10に示す第2実施形態の車線状態推定システム100の構成に加えて、第3車両3に搭載された物体検出センサ30、測位装置31及び通信装置32と、コンピュータ8を備える。
物体検出センサ30は、第3車両3の周囲の物体を検出する複数の異なる種類のセンサを備える。測位装置31は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して、現在時刻と第3車両3の現在位置及び進行方向を測定する。
物体検出センサ30及び測位装置31は、例えば第1車両1の物体検出センサ10及び測位装置11と同様の構成を有してよい。
【0097】
通信装置32は、測位装置31から得られる現在時刻情報に基づいて物体検出センサ30に対して基準時刻を配信する。また通信装置32は、有線又は無線の通信手段により、コンピュータ4の通信手段40を介して、物体検出手段41との間でデータを授受する。
第1車両1の通信装置12と、第2車両2の通信装置22と、第3車両3の通信装置32は、低遅延の通信無線手段により直接通信して、第1車両1及び第3車両3の現在位置情報を第2車両2の車載装置23に送信する。無線方式は、例えばIEEE802.11pで規定されるDSRC方式もしくは3GPP Release14以降で規定されるセルラV2X方式を用いてよい。
【0098】
コンピュータ8は、通信手段80を備え、追越車線状況認識手段81、追越間隙計測手段82と、追越判定手段83として動作し、対象車線201の第2車両2が、進路前方の障害203を追い越しすることができるか否かを判定する。
通信手段80は、有線又は無線の通信手段により、コンピュータ6の通信手段60を介して、障害区間推定手段61との間でデータの授受を行う。また通信手段80は、第2車両2の通信装置22を介して、追越可否の判定結果を車載装置23に送信する。
コンピュータ8は、第1車両1〜第3車両3のいずれかに実装されてもよく、第1車両1〜第3車両3以外の他車両、携帯電話/自営網上のモバイルエッジコンピュータ、路側に設置された道路交通インフラサーバもしくはインターネット上のクラウドサーバに実装されてもよい。
【0099】
図15を参照して、第3実施形態の車線状態推定システム100の機能構成について説明する。第3実施形態の車線状態推定システム100は、第2実施形態の車線状態推定システム100と同様の機能構成を有しており、同一の構成要素には同じ参照符号を付して、重複説明を省略する。
第3実施形態の車線状態推定システム100は、第1実施形態及び第2実施形態の物体検出手段41と同様の機能を備える物体検出手段41a及び41bを、それぞれ第1車両1及び第3車両3に実装する。また車線状態推定システム100は、第3車両3の物体検出センサ30及び測位装置31と、追越車線状況認識手段81と、追越間隙計測手段82と、追越判定手段83を備える。
【0100】
物体検出センサ30は、第3車両3の周囲の物体の位置を測定する。例えば、物体検出センサ30は、レーザレンジファインダが第3車両の周囲の水平角度360度の見通し範囲で、150m程度の道路周辺物体の位置を測定し、ポイントクラウド形式の検出結果を出力する。また、可視カメラが道路周辺物体の画像データを出力する。
【0101】
測位装置31は、所定の座標を基準とする共通座標系(例えば世界座標系や地図座標系)における第3車両3の現在位置を測定する。第1車両1の測位装置11と第3車両3の測位装置31は、第1車両1及び第3車両3の現在位置を、第2車両2の軌道生成手段25へ送信する。
物体検出手段41a及び41bは、物体検出センサ10及び30の検出結果に基づいて、第1車両1及び第3車両3の周囲の物体の位置、速度、移動方向をそれぞれ検出する。
【0102】
追越車線状況認識手段81は、物体検出手段41a及び41bの検出結果に基づいて、第1車両1及び第3車両3の間を走行する中間車両220を検出する。追越車線状況認識手段81は、中間車両220が、第1車両1や第3車両のような自己位置を送信する機能を有しているか否かを判定する。例えば、通信手段80が中間車両220の自己位置情報を受信しているか否かによって、中間車両220が自己位置の送信機能を有しているか否かを判定する。
【0103】
中間車両220が自己位置を送信する機能を有していない場合に、追越車線状況認識手段81は、物体検出手段41aの検出結果に基づいて、第1車両1と中間車両220の間の第1車間距離D1を検出する。また、物体検出手段41bの検出結果に基づいて、第3車両3と中間車両220との間の第2車間距離D2を検出する。
【0104】
さらに、追越車線状況認識手段81は、物体検出手段41a又は物体検出手段41bの検出結果に基づいて、中間車両220の現在位置を算出する。追越車線状況認識手段81は、中間車両220の現在位置を2車両2の軌道生成手段25へ送信する。
また、追越車線状況認識手段81は、第1車両1及び第3車両3の各々の現在位置に基づいて第1車両1と第3車両3との間の距離を算出する。
【0105】
また、追越車線状況認識手段81は、物体検出手段41a又は41bの検出結果にもとづいて、中間車両220の車両長Lを検出する。
追越車線状況認識手段81は、中間車両220の車両長Lを推定してもよい。例えば追越車線状況認識手段81は、物体検出手段41a又は41bの検出結果から中間車両220の車幅を測定し、中間車両220の車幅から想定しうる車両長を、車両長Lとして推定してよい。また例えば、物体検出手段41a又は41bによる中間車両220の画像に対して画像認識処理を施すことによって、中間車両220の車種を特定して既知の車両諸元データから車両長Lを推定してもよい。
【0106】
追越間隙計測手段82は、第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致するか否かを判定する。「合致」とは、第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と第1車両1と第3車両3との間の距離との差が所定の許容誤差未満であることを意味する。追越間隙計測手段82は、判定結果を追越判定手段83に出力する。
【0107】
第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致する場合、追越判定手段83は、車両204a〜204cよりも対象車線201の進行方向後方の第2車両2が、対向車線202へ車線変更して車両204a〜204cと障害203を追い越すために必要な距離D3(追越所要距離D3)を算出する。
【0108】
具体的には、追越判定手段83は次式に従って追越所要距離D3を算出する。
追越所要距離D3=制限速度×追越所要時間+(車間距離+車両長)×待ち行列の車両台数
なお、追越所要時間とは、対象車線201から対向車線202への車線変更に要する時間と、対向車線202から対象車線201へ戻るのに要する時間の合計である。また、上記の追越所要距離D3を算出する式において、車間距離及び車両長は予め求めた車両停止時の平均的な車間距離及び平均的な車両の車両長を用いる。なお上記の通り、追越所要距離D3は、第2車両2が対向車線202へ車線変更して車両204a〜204cと障害203を追い越すために必要な距離D3であり、算出式は上記の式に限定されない。
【0109】
追越判定手段83は、第1車間距離D1及び第2車間距離D2と、追越所要距離D3とを比較する。第1車間距離D1が追越所要距離D3より長い場合に、追越判定手段83は、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミングで、第2車両2が対向車線202に車線変更して障害203を追い越すことができると判定する。
【0110】
また、第2車間距離D2が追越所要距離D3より長い場合に、追越判定手段83は、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで、第2車両2が対向車線202に車線変更して障害203を追い越すことができると判定する。
反対に、第1車間距離D1及び第2車間距離D2のいずれもが、追越所要距離D3以下の場合には、追越判定手段83は、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミング、及び中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングのいずれにおいても、第2車両2が障害203を追い越すことはできないと判定する。
【0111】
第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致しない場合は、追越判定手段83は、第1車間距離D1又は第2車間距離D2が正確に測定されていないと判定する。この場合、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミング、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで第2車両2が障害203を追い越すことを禁止する。追越判定手段83は、判定結果を軌道生成手段25へ出力する。
【0112】
第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミングで障害203を追い越すことができると判定した場合、軌道生成手段25は、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミングで対象車線201から対向車線202へ車線変更し、障害存在区間208を追い越してから対象車線201へ戻る目標走行軌道と速度プロファイルを生成し、走行制御手段26へ出力する。
なお、第2車両2の車載装置23は、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミングで対向車線202へ車線変更して、進路前方の障害203を追い越すことができることを知らせる音声情報や視覚情報を、第2車両2の運転者や乗員に通知してもよい。
【0113】
また、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで障害203を追い越すことができると判定した場合、軌道生成手段25は、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで対象車線201から対向車線202へ車線変更し、障害存在区間208を追い越してから対象車線201へ戻る目標走行軌道と速度プロファイルを生成し、走行制御手段26へ出力する。
なお、第2車両2の車載装置23は、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで対向車線202へ車線変更して、進路前方の障害203を追い越すことができることを知らせる音声情報や視覚情報を、第2車両2の運転者や乗員に通知してもよい。
【0114】
一方で、障害203を追い越すことはできないと判定された場合、又は第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致しない場合には、軌道生成手段25は、待ち行列区間206の手前で停止する目標走行軌道と速度プロファイルを生成し、走行制御手段26へ出力する。
なお、第2車両2の車載装置23は、待ち行列区間206の手前で停止することを知らせる、又は促す音声情報や視覚情報を、第2車両2の運転者や乗員に通知してもよい。
【0115】
(動作)
次に、図16を参照して第3実施形態の車線状態推定方法の一例を説明する。
ステップS20において測位装置11と測位装置31は、第1車両1と第3車両3の現在位置を測定する。
ステップS21において追越車線状況認識手段81は、自己位置を送信する機能を有しない中間車両220と第1車両1との間の第1車間距離D1と、中間車両220と第3車両3との間の第2車間距離D2を検出する。
【0116】
ステップS22において追越車線状況認識手段81は、中間車両220の車両長Lを検出又は算出する。
ステップS23において追越間隙計測手段82は、第1車間距離D1、第2車間距離D2及び車両長Lの合計と、第1車両1と第3車両3との間の距離とが合致するか否かを判定する。合計(D1+D2+L)が第1車両1と第3車両3との間の距離と合致しない場合(ステップS23:N)に処理はステップS24に進む。合致する場合(ステップS23:Y)に処理はステップS25に進む。
【0117】
ステップS24において追越判定手段83は、第1車両1又は中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで第2車両2が障害203を追い越すことを禁止する。軌道生成手段25は、待ち行列区間206の手前で停止する目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。その後に処理は終了する。
ステップS25において追越間隙計測手段82は、追越所要距離D3を算出する。
【0118】
ステップS26において追越間隙計測手段82は、第1車間距離D1又は第2車間距離D2が追越所要距離D3より長いか否かを判定する。第1車間距離D1及び第2車間距離D2のいずれも追越所要距離D3より長くない場合(ステップS26:N)に処理はステップS24に進む。
ステップS24において追越判定手段83は、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミング、及び中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングのいずれにおいても第2車両2が障害203を追い越すことができないと判定する。軌道生成手段25は、待ち行列区間206の手前で停止する目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。その後に処理は終了する。
【0119】
一方で、第1車間距離D1が追越所要距離D3より長い場合(ステップS26:Y)には、ステップS27において追越判定手段83は、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミングで、第2車両2が対向車線202に車線変更して障害203を追い越すことができると判定する。軌道生成手段25は、第1車両1が第2車両2の側方を通過したタイミングで対象車線201から対向車線202へ車線変更し、障害存在区間208を追い越してから対象車線201へ戻る目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。その後に処理は終了する。
【0120】
また、第2車間距離D2が追越所要距離D3より長い場合(ステップS26:Y)は、追越判定手段83は、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで、第2車両2が対向車線202に車線変更して障害203を追い越すことができると判定する。軌道生成手段25は、中間車両220が第2車両2の側方を通過したタイミングで対象車線201から対向車線202へ車線変更し、障害存在区間208を追い越してから対象車線201へ戻る目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。その後に処理は終了する。
【0121】
(第3実施形態の効果)
(1)追越車線状況認識手段81は、対象車線201の対向車線202における車両間隔を検出する。追越間隙計測手段82は、車両間隔と、車両の待ち行列の長さと、制限速度とに基づいて、対向車線202を走行して障害203を追い越せるか否かを判定する。
これにより、障害203の手前に車両の待ち行列が発生している状況において、対向車線202を走行して障害203を追い越せるか否かを判定できる。
【0122】
(2)追越車線状況認識手段81は、対向車線を走行する第1対向車両及び第2対向車両の間を走行する第3対向車両と第1対向車両との間の第1車間距離と、第3対向車両と第2対向車両との間の第2車間距離と、を測定する。追越車線状況認識手段81は、第3対向車両の車両長を検出又は推定する。追越間隙計測手段82は、第1車間距離、第2車間距離及び車両長の合計と、第1対向車両と第2対向車両との間の距離とが合致しない場合に、障害の追越しを禁止する。
これにより、対向車線202を走行して障害203を追い越す際に、対向車線202の車間距離を正確に検出できているか否かを判断できる。
【符号の説明】
【0123】
100…車線状態推定システム、1…第1車両、2…第2車両、3…第3車両、4〜8…コンピュータ、10、20、30…物体検出センサ、11、21、31…測位装置、12、22、32…通信装置、23…車載装置、24…アクチュエータ、25…軌道生成手段、26…走行制御手段、40、50、60、70,80…通信手段、41、41a、41b…物体検出手段、51…行列区間検出手段、52…速度判定手段、53…走行可能区間検出手段、61…障害区間推定手段、71…方向指示器検出手段、72…ナビゲーションシステム、73…行列特性確認手段、81…追越車線状況認識手段、82…追越間隙計測手段、83…追越判定手段
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16