特開2021-68360(P2021-68360A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧
特開2021-68360近似データ作成装置および近似データ作成方法
<>
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000004
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000005
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000006
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000007
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000008
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000009
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000010
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000011
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000012
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000013
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000014
  • 特開2021068360-近似データ作成装置および近似データ作成方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-68360(P2021-68360A)
(43)【公開日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】近似データ作成装置および近似データ作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/17 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   G06F17/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-195087(P2019-195087)
(22)【出願日】2019年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏
【テーマコード(参考)】
5B056
【Fターム(参考)】
5B056BB53
5B056BB55
(57)【要約】
【課題】折れ線近似を行う際のメモリ使用量および計算量をより削減することができる近似データ作成技術を提供することを目的とする。
【解決手段】
近似データ作成装置1は、XY座標平面上のグラフで表されるデータのX座標軸に沿って指定された近似区間Rにおいてデータの近似データを作成し、近似区間Rの両端である端点(x,y)および端点(x,y)のX値よりも大きいX値を有する他方の端点端点(xn+1,yn+1)のそれぞれから、近似区間R内のデータのY値が予め設定された値の範囲内である点に最初の折れ点および最後の折れ点を設定する折れ点設定部12と、近似区間内Rの任意のX値と最初の折れ点および最後の折れ点のX値との比較に基づいて、任意のX値に対応するデータのY値の近似値を算出する近似値算出部40とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
XY座標平面上のグラフで表されるデータのX座標軸に沿って指定された近似区間において前記データの近似データを作成する近似データ作成装置であって、
前記近似区間の両端である第1端点および前記第1端点のX値よりも大きいX値を有する第2端点のそれぞれから、前記近似区間内の前記データのY値が予め設定された値の範囲内である点に第1折れ点および第2折れ点を設定するように構成された折れ点設定部と、
前記近似区間内の任意のX値と前記第1折れ点および前記第2折れ点のX値との比較に基づいて、前記任意のX値に対応する前記データのY値の近似値を算出するように構成された近似値算出部と
を備える近似データ作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の近似データ作成装置において、
前記折れ点設定部は、前記第1折れ点と前記第2折れ点との間の前記近似区間内の前記データに離散的な第3折れ点を設定し、
前記近似値算出部は、前記任意のX値が、前記折れ点設定部によって設定された前記第1折れ点、前記第2折れ点、および前記第3折れ点を含む折れ点のうち、X座標軸方向において互いに隣接する折れ点に挟まれていない場合には、最近傍の折れ点のY値を前記任意のX値に対応するY値の近似値として算出するように構成された第1近似部を備える
ことを特徴とする近似データ作成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の近似データ作成装置において、
前記近似値算出部は、前記任意のX値が、前記折れ点設定部によって設定された前記第1折れ点、前記第2折れ点、および前記第3折れ点を含む折れ点のうち、X座標軸方向において互いに隣接する折れ点に挟まれている場合には、前記互いに隣接する折れ点を直線補間して算出される、前記任意のX値に対応するY値を近似値として求めるように構成された第2近似部を備える
ことを特徴とする近似データ作成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の近似データ作成装置において、
前記近似値算出部によって算出された近似値に基づいて、前記近似区間の近似曲線を生成するように構成された近似曲線生成部をさらに備える
ことを特徴とする近似データ作成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の近似データ作成装置において、
前記近似曲線生成部によって生成された前記近似区間の近似曲線を表示するように構成された表示装置をさらに備える
ことを特徴とする近似データ作成装置。
【請求項6】
XY座標平面上のグラフで表されるデータのX座標軸に沿って指定された近似区間において前記データの近似データを作成する近似データ作成装置によって実行される近似値データ作成方法であって、
折れ点設定部が、前記近似区間の両端である第1端点および前記第1端点のX値よりも大きいX値を有する第2端点のそれぞれから、前記近似区間内の前記データのY値が予め設定された値の範囲内である点に第1折れ点および第2折れ点を設定する第1ステップと、
近似値算出部が、前記近似区間内の任意のX値と前記第1折れ点および前記第2折れ点のX値との比較に基づいて、前記任意のX値に対応する前記データのY値の近似値を算出する第2ステップと
を備える近似データ作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近似データ作成装置および近似データ作成方法に関し、特に測定データを近似する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、データの折れ線近似では、しばしば折れ点間の内挿や直線近似などによる補間処理が行われていた。そのため、折れ線近似の計算対象となるデータの近似範囲を補間処理ですべてカバーできるようにする折れ点が必要となっていた(例えば、特許文献1参照)。このため、例えば、図12に示すように、近似範囲の境界もしくは近似範囲の外側に折れ点を設けておく必要があった(図12の折れ点「0」、「n+1」(n=0,1,・・・))。
【0003】
従来の折れ線近似によれば、図12に示される折れ点「0」の値と、折れ点「1」の値とが許容誤差範囲で同じ値であったとしても近似範囲である近似区間Rを内挿や直線近似などの補間処理でカバーできるようにするために近似区間Rの端点において折れ点を設定する必要があった。同様に、図12の折れ点「n+1」の値と折れ点「n」の値とが許容誤差の範囲で同じ値であったとしても近似範囲の近似区間Rを補間処理でカバーできるようにするために近似区間Rの他方の端点においても、折れ点を設定する必要があった。そのため、従来の折れ線近似を採用する場合、折れ点の数を削減することができず、メモリ使用量や計算量を削減することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−072691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、折れ線近似を行う際のメモリ使用量および計算量をより削減することができる近似データ作成技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る近似データ作成装置は、XY座標平面上のグラフで表されるデータのX座標軸に沿って指定された近似区間において前記データの近似データを作成する近似データ作成装置であって、前記近似区間の両端である第1端点および前記第1端点のX値よりも大きいX値を有する第2端点のそれぞれから、前記近似区間内の前記データのY値が予め設定された値の範囲内である点に第1折れ点および第2折れ点を設定するように構成された折れ点設定部と、前記近似区間内の任意のX値と前記第1折れ点および前記第2折れ点のX値との比較に基づいて、前記任意のX値に対応する前記データのY値の近似値を算出するように構成された近似値算出部とを備える。
【0007】
また、本発明に係る近似データ作成装置において、前記折れ点設定部は、前記第1折れ点と前記第2折れ点との間の前記近似区間内の前記データに離散的な第3折れ点を設定し、前記近似値算出部は、前記任意のX値が、前記折れ点設定部によって設定された前記第1折れ点、前記第2折れ点、および前記第3折れ点を含む折れ点のうち、X座標軸方向において互いに隣接する折れ点に挟まれていない場合には、最近傍の折れ点のY値を前記任意のX値に対応するY値の近似値として算出するように構成された第1近似部を備えていてもよい。
【0008】
また、本発明に係る近似データ作成装置において、前記近似値算出部は、前記任意のX値が、前記折れ点設定部によって設定された前記第1折れ点、前記第2折れ点、および前記第3折れ点を含む折れ点のうち、X座標軸方向において互いに隣接する折れ点に挟まれている場合には、前記互いに隣接する折れ点を直線補間して算出される、前記任意のX値に対応するY値を近似値として求めるように構成された第2近似部を備えていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る近似データ作成装置において、前記近似値算出部によって算出された近似値に基づいて、前記近似区間の近似曲線を生成するように構成された近似曲線生成部をさらに備えていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る近似データ作成装置において、前記近似曲線生成部によって生成された前記近似区間の近似曲線を表示するように構成された表示装置をさらに備えていてもよい。
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る近似データ作成方法は、XY座標平面上のグラフで表されるデータのX座標軸に沿って指定された近似区間において前記データの近似データを作成する近似データ作成装置によって実行される近似値データ作成方法であって、折れ点設定部が、前記近似区間の両端である第1端点および前記第1端点のX値よりも大きいX値を有する第2端点のそれぞれから、前記近似区間内の前記データのY値が予め設定された値の範囲内である点に第1折れ点および第2折れ点を設定する第1ステップと、近似値算出部が、前記近似区間内の任意のX値と前記第1折れ点および前記第2折れ点のX値との比較に基づいて、前記任意のX値に対応する前記データのY値の近似値を算出する第2ステップとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、近似区間の両端である第1端点および第2端点のそれぞれから、近似区間内のデータのY値が予め設定された値の範囲内である点に第1折れ点および第2折れ点を設定し、近似区間内の任意のX値と第1折れ点および第2折れ点のX値との比較に基づいて、任意のX値に対応するデータのY値の近似値を算出するので、折れ線近似を行う際のメモリ使用量および計算量をより削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る近似データ作成装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態に係る近似データ作成装置の動作を説明するための図である。
図3図3は、本実施の形態に係る近似データ作成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本実施の形態に係る近似データ作成装置の動作を説明するフローチャートである。
図5図5は、本実施の形態に係る折れ点の設定処理を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態に係る近似値算出処理を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態に係る近似データ作成装置の動作を説明するための図である。
図8図8は、本実施の形態に係る近似データ作成装置の動作を説明するための図である。
図9図9は、本実施の形態に係る近似データ作成装置の動作を説明するための図である。
図10図10は、本実施の形態に係る近似データ作成装置の動作を説明するための図である。
図11図11は、本実施の形態に係る近似データ作成装置の動作を説明するための図である。
図12図12は、従来の折れ線近似を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1から図11を参照して詳細に説明する。
【0015】
[近似データ作成装置の機能ブロック]
近似データ作成装置1は、外部で測定された非線形のデータなどを、設定された近似範囲で折れ線近似する。本実施の形態に係る近似データ作成装置1は、前述した従来の折れ線近似を拡張したものであり、折れ点で囲まれていない近似範囲のデータについては最近傍の折れ点の値を使い近似データを作成することをその特徴のひとつとする。
【0016】
近似データ作成装置1は、図1に示すように、例えば、データ取得部10、区間指定部11、折れ点設定部12、判定部13、第1近似部14、第2近似部15、近似曲線生成部16、記憶部17、および提示部18を備える。判定部13、第1近似部14、および第2近似部15は、近似値算出部40を構成する。
【0017】
データ取得部10は、近似対象のデータを取得する。例えば、データ取得部10は、外部のセンサや機器によって測定されたデータなど非線形なプロセスデータを通信ネットワークNWを介して取得することができる。あるいは、データ取得部10は、予め記憶部17に記憶されている近似対象のデータを読み込むことができる。図2は、データ取得部10によって取得されたデータの一例を示している(図2の「近似対象」の曲線y=f(x))。
【0018】
本実施の形態では、データは、(x,y)からなる2変量のデータあり、図2に示すように、XYの2次元平面状の点集合で表現することができる。例えば、データがある物理量の測定値の時系列データであるとすると、xとyとは、それぞれ時間を表す量とその物理量の測定値となる。
【0019】
区間指定部11は、データ取得部10によって取得されたデータにおいて近似区間を指定する。本実施の形態においては、この近似区間は、XY平面のX軸に対して定義される。例えば、図2において、近似区間R[x,xn+1]が指定される。近似区間Rの下限値はxであり、上限値がxn+1で示され、データは近似区間R内で連続である。区間指定部11は、後述の入力装置107が外部から受け付けた操作入力に応じて近似区間Rを指定することができる。
【0020】
折れ点設定部12は、区間指定部11によって指定された近似区間Rに折れ点を設定する。折れ点設定部12は、近似区間R[x,xn+1]の両端のデータの端点(第1端点)(x,y)および値xよりも大きい値xn+1を有する他方の端点(第2端点)(xn+1,yn+1)のそれぞれから、近似区間R内のデータのy値が予め設定された値の範囲内である点に、最初の折れ点(第1折れ点)(x,y)および最後の折れ点(第2折れ点)(x,y)を設定する。最初の折れ点および最後の折れ点は、近似区間Rの境界線上あるいは近似区間R内の両端側に設けられる近似区間Rの内側方向のみに隣接する折れ点を有する折れ点である。
【0021】
折れ点設定部12は、例えば、任意のy値であるyと誤差範囲内のy値を有する区間を取得する。折れ点設定部12は、その区間における近似区間Rの端点(x,y)ではない方の端点を最初の折れ点(x,y)として設定することができる。
【0022】
同様に、折れ点設定部12は、例えば、あるy値としてyと誤差範囲内のy値を有する区間を取得し、その区間における近似区間Rの端点(xn+1,yn+1)ではない方の端点を最後の折れ点(x,y)として設定することができる。
【0023】
図2の例に示すように、折れ点設定部12は、近似区間Rの両端(x,y)、(xn+1,yn+1)には折れ点を設定していない。すなわち、近似区間Rの端点(x,y)から最初の折れ点(x,y)までのy値は、誤差範囲内である。また、近似区間Rの他方の端点(xn+1,yn+1)から最後の折れ点(x,y)までのy値についても誤差範囲である。
【0024】
また、折れ点設定部12は、最初の折れ点(x,y)と最後の折れ点(x,y)との間のデータに離散的な折れ点(第3折れ点)(x,y)を設定する(i=2,・・・,n−1)。折れ点設定部12は、例えば、複数の折れ点を最初の折れ点(x,y)と最後の折れ点(x,y)との間に設定する。折れ点設定部12は、Ramer−Douglas−Peuckerアルゴリズムなどの公知の手法を用いて最初の折れ点(x,y)と最後の折れ点(x,y)との間に折れ点を設けることができる。折れ点設定部12によって設定された折れ点は、記憶部17に保存される。なお、折れ点設定部12は、1つの折れ点を最初の折れ点(x,y)と最後の折れ点(x,y)との間に設定することも可能である。
【0025】
例えば、図2の「折れ点」に示すように、近似区間R[x,xn+1]内には、データを折れ線近似するために、最初の折れ点(x,y)と最後の折れ点(x,y)との間に複数の折れ点が設定されている。折れ点は、図2に示すように、例えば、X軸に沿って等間隔で設定されることができる。また、折れ点の数は、データ(y=f(x))の特性や指定された近似区間Rにおいて要求される近似精度やメモリ容量などに応じて適宜に設定することができる。
【0026】
近似値算出部40は、近似区間R内の近似値を求めたい任意のx値と、最初の折れ点(x,y)のx値との比較、および最後の折れ点(x,y)のx値との比較に基づいて、近似値を求めたいx値に対応するデータのy値の近似値を算出する。
【0027】
近似値算出部40は、図1に示すように、判定部13、第1近似部14、および第2近似部15を備える。
判定部13は、近似値を求めたい任意のx値が最初の折れ点(x,y)のX座標の値xよりも小さいか否かを判定する。また、判定部13は、近似値を求めたいx値が最後の折れ点(x,y)のX座標の値xよりも大きいか否かを判定する。
【0028】
第1近似部14は、判定部13によって、近似値を求めたいx値が最初の折れ点の値xよりも小さいと判定した場合に、最初の折れ点のy値であるyを近似値として返す。また、第1近似部14は、判定部13によって近似値を求めたいx値が最後の折れ点の値xよりも大きいと判定された場合に、最後の折れ点のy値であるyを近似値として返す。
【0029】
すなわち、第1近似部14は、近似値を求めたいx値が、折れ点設定部12によって設定された折れ点のうち、X軸上において互いに隣接する折れ点に挟まれていない場合には、最近傍の折れ点のy値をそのまま用いて近似値として算出する。
【0030】
第2近似部15は、近似値を求めたいx値が、折れ点設定部12によって設定された折れ点のうち、X軸上において互いに隣接する折れ点に挟まれている場合には、その互いに隣接する折れ点を線形補間して、近似値を求めたいx値に対応するy値を算出し、近似値として求める。例えば、近似値を求めたいx値が互いに隣接する折れ点(x,y)、(xi+1,yi+1)のx値に挟まれる場合(x≦x<xi+1)、折れ点「i」と折れ点「i+1」のy値を線形補間(あるいは「内分」とも呼ぶ。)した値を、y値の近似値として算出する。
【0031】
図2の例では、近似区間Rの「線形補間」で示した部分が、第2近似部15によって近似値が算出されるデータ部分である。また、図2の「引継ぎ部分」で示される近似区間Rの両端部分が、第1近似部14によって最近傍の折れ点のy値がそのまま使用され近似値として算出されるデータ部分である。
【0032】
近似曲線生成部16は、第1近似部14によって算出された近似値と、第2近似部15によって算出された近似値とに基づいて、近似区間Rの近似曲線を生成する。生成された近似曲線は記憶部17に記憶される。
【0033】
記憶部17は、データ取得部10によって取得された近似対象のデータを記憶する。また、記憶部17は、折れ点設定部12によって設定された折れ点の情報を記憶する。記憶部17は、近似曲線生成部16によって生成されたデータの近似曲線を記憶する。
【0034】
提示部18は、近似曲線生成部16によって生成されたデータの近似曲線を提示する。例えば、提示部18は、後述の表示装置108の表示画面に近似曲線を表示することができる。提示部18は、例えば、図2に示す近似曲線を表示画面に表示することができる。あるいは、提示部18は、図示されない外部の演算装置に、生成された近似曲線を送出することができる。
【0035】
[近似データ作成装置のハードウェア構成]
次に、上記の機能を有する近似データ作成装置1を実現するハードウェア構成について、図3のブロック図を参照して説明する。
【0036】
図3に示すように、近似データ作成装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106、入力装置107、および表示装置108を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。プロセッサ102は、CPUやGPUなどによって構成される。
【0037】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、図1に示した区間指定部11、折れ点設定部12、判定部13、第1近似部14、第2近似部15、近似曲線生成部16など、近似データ作成装置1の各機能が実現される。
【0038】
通信インターフェース104は、近似データ作成装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。例えば、データ取得部10は、通信インターフェース104から通信ネットワークNWを介して外部の図示されない機器や端末装置などから解析対象のデータを受信することができる。
【0039】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0040】
補助記憶装置105は、近似データ作成装置1が折れ点の設定処理、近似処理、および近似曲線の作成処理を実行するためのプログラムを格納するプログラム格納領域を有する。補助記憶装置105によって、図1で説明した記憶部17が実現される。さらには、例えば、上述したデータやプログラムやなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0041】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりするI/O端子により構成される。
【0042】
入力装置107は、物理キーやタッチパネルなどで構成され、外部からの操作入力に応じた信号を出力する。
【0043】
表示装置108は、液晶ディスプレイなどによって構成される。表示装置108は、図1で説明した提示部18を実現する。
【0044】
[近似データ作成方法]
次に、上述した構成を有する近似データ作成装置1の動作について、図4から図6のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
まず、図4を用いて近似データ作成方法の概要を説明する。図4に示すように、データ取得部10は、XY座標平面上のグラフで表される近似対象のデータを取得する(ステップS1)。取得されたデータは記憶部17に蓄積される。データは、例えば、センサなどの機器で測定された非線形プロセスデータ等を用いることができる。次に、区間指定部11は、取得されたデータにおいて近似を行う近似区間Rを指定する(ステップS2)。次に、折れ点設定部12は、ステップS2で指定された近似区間Rの折れ点を設定する(ステップS3)。
【0046】
その後、近似値算出部40は、ステップS2で指定された近似区間Rの折れ点を用いて任意のx値におけるデータの近似値を算出する(ステップS4)。次に、近似曲線生成部16は、近似値算出部40によって算出された近似区間Rの近似値から近似曲線を生成する(ステップS5)。その後、提示部18は、ステップS5で生成された近似曲線を提示する。例えば、提示部18は、図2に示す近似曲線を表示装置108に表示させることができる。
【0047】
[折れ点の設定処理]
ここで、折れ点設定部12による折れ点の設定処理(図4のステップS3)について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
まず、折れ点設定部12は、近似区間RのX座標における値が小さい側の端点(x、y)から、データの値が、ある値yの許容誤差の範囲内で表される区間を取得する(ステップS30)。次に、折れ点設定部12は、ステップS30で取得された区間において、近似区間Rの端点(x、y)でない方の端点に、最初の折れ点(x、y)を設ける(ステップS31)。図2の例では、折れ点「1」で示されている点が、ステップS31で設定された最初の折れ点である。
【0049】
次に、折れ点設定部12は、ステップS2で指定された近似区間RのX座標における値が大きい側の端点(xn+1、yn+1)から、データの値が、ある値yの許容誤差範囲内で表される区間を取得する(ステップS32)。次に、折れ点設定部12は、ステップS32で取得された区間において、近似区間Rの端点(xn+1、yn+1)でない方の端点に最後の折れ点(x、y)を設ける(ステップS33)。図2の例では、折れ点「n」で示されている点が、ステップS33で設定された最後の折れ点である。
【0050】
次に、折れ点設定部12は、最初の折れ点(x、y)と最後の折れ点(x、y)との間のデータに、折れ点を設ける(ステップS34)。折れ点設定部12は、例えば、Ramer−Douglas−Peuckerアルゴリズムなどの公知の手法を用いて折れ点を設けることができる。また、折れ点設定部12は、ステップS34において複数の折れ点を設けることができる。折れ点設定部12によって設定された折れ点は、記憶部17に保存される(ステップS35)。
【0051】
また、図7の例では、折れ点設定部12による最初の折れ点「1」が設定されている。しかし、任意の値yから許容誤差範囲となる区間が存在しなかったため、近似区間Rの端点(xn+1、yn+1)には、折れ点が設定されている。
【0052】
一方、図8の例では、折れ点設定部12により最後の折れ点「n」が設定されている。しかし、近似区間Rの他方の端点(x、y)側において、任意のyと許容誤差範囲となる区間が存在しなかったため、近似区間Rの端点(x、y)に折れ点が設定されている。
【0053】
[近似値算出処理]
次に、近似値算出部40によって実行される近似値算出処理(図4のステップS4)について図6のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
まず、近似値算出部40は、記憶部17に記録されている折れ点を読み出す(ステップS40)。次に、近似値算出部40は、近似値を求めたい近似区間R内のX座標の値を取得する(ステップS41)。例えば、近似値算出部40は、入力装置107で受け付けられたX座標の任意のx値を取得することができる。あるいは、予め設定されたX座標の値を取得することができる。
【0055】
次に、判定部13は、ステップS41で取得された近似値を求めたいX座標の値が、最初の折れ点のX座標のxよりも小さいか否かを判定し、小さい場合には(ステップS42:YES)、第1近似部14は、最初の折れ点のy値を近似値として返す(ステップS43)。
【0056】
一方、判定部13が、ステップS41で取得された近似値を求めたいX座標の値が、最初の折れ点のX座標のxと同じ値の場合(ステップS42:NO,ステップS44:NO)、第1近似部14は、最後の折れ点のy値を近似値として返す(ステップS45)。
【0057】
一方において、判定部13が、ステップS41で取得された近似値を求めたいX座標の値が最初の折れ点のX座標のxよりも大きい場合には(ステップS42:NO、ステップS44:YES)、第2近似部15は、折れ点「i」のX座標の値xと折れ点「i+1」のX座標の値xi+1とを使って、xがx≦x<xi+1と表されるiを見つける(ステップS46)。
【0058】
その後、第2近似部15は、折れ点「i」および折れ点「i+1」のy値を線形補間(内分)した値を近似値として返す(ステップS47)。より詳細には、第2近似部15は、次の式(1)を用いて算出される折れ点間のデータを、近似値として求める。
【0059】
【数1】
ただし、iは折れ点を示している(i=0,1,・・・)。
【0060】
図9は、第2近似部15によって折れ点間のデータが線形補間された近似区間Rの一部を示している。
【0061】
また、図10は、第1近似部14によって最初の折れ点の値をそのまま使用する近似区間Rの一部を示している。第1近似部14は、近似区間Rの最初の折れ点「1」(x,y)の値yに基づいて、次式(2)を用いて近似区間Rの近似値を算出する。
y=y ・・・(2)
【0062】
一方、図11の例では、近似区間Rの上限値側において、折れ点「n+1」は設定されず、近似区間Rの折れ点「n」よりも外側のx軸に沿った区間のデータはy値がそのまま引き継がれている。
【0063】
図11は、第1近似部14によって最後の折れ点の値をそのまま使用する近似区間Rの一部を示している。第1近似部14は、最後の折れ点「n」(x,y)の値yに基づいて、次式(3)を用いて近似区間Rの近似値を算出する。
y=y ・・・(3)
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、指定された近似区間の折れ点の数を削減すことができるので、メモリ使用量を削減し、装置の小型化、および低消費電力化に寄与することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、指定された近似区間の折れ点の数を減らすことが可能であるため、工数の削減に寄与することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、折れ点が設定されている近似区間の外側では、最近傍の折れ点の値をそのまま使うこととなり、範囲外の値を入力することにより折れ線近似による近似値が求められなくなるようなエラーを回避することができる。また、近似区間の外側において最近傍の折れ点の値を用いるので、得られる近似値は最近傍の折れ点の値であり、極端に異なる値とは通常ならないため、その後の計算処理をより適切に行うことができる。
【0067】
なお、説明した実施の形態では、近似データ作成装置1がデータ取得部10、区間指定部11、および折れ点設定部12を備える場合を例示したが、これらの構成は、近似データ作成装置1の外部に設けられていてもよい。この場合、近似データ作成装置1の記憶部17において予め格納されている近似対象のデータ、データに指定された近似区間、およびデータに設定された折れ点に関する情報を読み込み、近似データ作成装置1は上述した近似データ作成処理を実行する。
【0068】
[具体例]
次に、上述した本実施の形態に係る近似データ作成装置1が適用される具体例について説明する。前述したように、近似データ作成装置1が近似対象とするデータは、例えば、非線形のプロセスデータなどである場合について説明した。近似データ作成装置1は、例えば、超音波流量計において流量補正係数をレイノルズ数の関数として算出する際の近似曲線の生成に適用することができる。また、近似データ作成装置1は、このような超音波流量計によって計測された流量を用いて熱量を算出する積算熱量計に応用することができる。
【0069】
例えば、特別な形状や表面状態の流路では理論的に流量補正係数を求めることができる。しかし、一般には、実験により流量補正係数を各レイノルズ数に対して測定しておき、これを折れ線で近似し、計測時にはこの折れ線近似でレイノルズ数に対する流量補正係数を算出することが多い。
【0070】
流体が層流となって流れているときには流量補正係数は流速によらず一定の値となる。一般にレイノルズ数が約2000以下の時には層流となるとされているため、流量が少ない(レイノルズ数が小さい)ところでは流量補正係数は一定の値となる。例えば円筒流路の場合、層流時の流量補正係数は4/3(=1.333…)となる。
【0071】
流体が乱流となっているときには流量補正係数はレイノルズ数の関数として変化するが、流量が多く(レイノルズ数が大きく)なってくると流路全体の流速が一様となり流量補正係数は1に近づく。流量計の計測範囲が大流量まで設定されており、流量計の精度との兼ね合いで、あるレイノルズ数以上で一定の流量補正係数とみなすことができれば、流量が多い(レイノルズ数が大きい)ところでは流量補正係数を一定の値とすることができる。
【0072】
本実施の形態に係る近似データ作成装置1を流量補正係数の折れ線近似に適用する場合、流量計の流量計測範囲によっては折れ点の数を1個または2個減らすことが可能である。
【0073】
本発明の近似データ作成装置および近似データ作成方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…近似データ作成装置、10…データ取得部、11…区間指定部、12…折れ点設定部、13…判定部、14…第1近似部、15…第2近似部、16…近似曲線生成部、17…記憶部、18…提示部、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、107…入力装置、108…表示装置、NW…通信ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12