分子量が3000以下であり、かつ式(X)で表される部分構造を有する化合物、及び下記群Aから選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む組成物から形成される請求項1〜18のいずれかに記載の光学層。
群A:セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂及びシクロオレフィン系樹脂
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイルオキシ基」や「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」などというときについても同様である。
【0010】
<光学層>
本発明の光学層は、光を吸収及び/又は透過する層である。光学層は、表示装置や撮像装置等の光学部材に含まれる層であり得る。本発明の光学層は波長395nm付近の短波長の可視光に対する高い吸収性を示す一方、波長430nm付近の光の吸収性は低く、表示装置の色相への影響を抑制することができる。
本発明の光学層は、分子量が3000以下であり、かつ式(X)で表される部分構造を有する化合物(以下、化合物(X)という場合がある。)を含む組成物から形成される。
化合物(X)を含むことにより、良好な耐候性と波長390nm付近の短波長の可視光に対する高い吸収選択性とを有する光学層を得ることができる。
【0011】
本発明の光学層は、下記式(a)を満たすことが好ましい。
A(395)≧0.5 (a)
[A(395)は、光学層の波長395nmにおける吸光度を表す。]
A(395)の値が大きいほど波長395nmにおける吸収が高いことを表す。A(395)の値が0.5未満であると、波長395nmにおける吸収が低く、短波長の可視光における位相差フィルムや有機EL素子等の表示装置の劣化を抑制する効果が小さい。A(395)の値は、耐候劣化抑制の観点から、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.8以上であり、特に好ましくは1.0以上である。上限は特にないが、通常は10.0以下である。
【0012】
本発明の光学層は、下記式(b)を満たすことがより好ましい。
A(395)/A(430)≧10 (b)
[A(395)は光学層の波長395nmにおける吸光度を表し、A(430)は光学層の波長430nmにおける吸光度を表す。]
A(395)/A(430)の値は、波長430nmの光吸収の大きさに対する波長395nmの光吸収の大きさの割合を表し、この値が大きいほど395nm付近の波長域に特異的な吸収があることを表し、表示装置への色相影響を抑えることができる。A(395)/A(430)の値は15以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、特に好ましくは30以上である。
【0013】
本発明の光学層の厚みは、通常1〜500μmであり、好ましくは2〜100μmであり、より好ましくは2.5〜50μmであり、さらに好ましくは3〜30μmである。
【0014】
本発明の光学層としては、例えば、偏光子、保護フィルム、位相差フィルム、粘着剤層、接着剤層、ハードコート等の表面処理層、輝度向上フィルム等が挙げられる。本発明の光学層は、例えば、化合物(X)を含む組成物をシート状に成形することで得ることができる。また本発明の光学層に別の光学層を積層させ、光学積層体とすることもできる。光学層同士を積層する場合、本発明の光学層同士を積層してもよいし、本発明の光学層と、化合物(X)とを含まない層とを積層させてもよい。
【0015】
<化合物(X)>
本発明の光学層は、分子量が3000以下であり、かつ式(X)で表される部分構造を有する化合物を含む。
【化8】
[式(X)中、環W
1は、環の構成要素として少なくとも1つの二重結合を有し、かつ芳香族性を有さない環構造を表す。
R
3は、複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、−SF
5、−SF
3、−SO
3H、−SO
2H、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−O−、−S−、−NR
1A−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CONR
2A−、−O−CO−NR
3A−、−NR
4A−CO−、−NR
5A−CO−O−、−NR
6A−CO−NR
7A−、−CO−S−、−S−CO−S−、−S−CO−NR
8A−、−NR
9A−CO−S−、−CS−、−O−CS−、−CS−O−、−NR
10A−CS−、−NR
11A−CS−S−、−S−CS−、−CS−S−、−S−CS−S−、−SO−又は−SO
2−に置換されていてもよい。
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A及びR
11Aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0016】
本明細書において、炭素数は、置換基の炭素数を含まず、−CH
2−又は−CH=が例えば上記のように置換されている場合、置換される前の炭素数をいう。
【0017】
環W
1は、環の構成要素として二重結合を1つ以上有する環であり、かつ芳香族性を有さない環であれば特に限定されない。環W
1は単環であってもよいし、縮合環であってもよい。
環W
1は、環の構成要素としてヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)を含む複素環であってもよいし、炭素原子と水素原子とからなる脂肪族炭化水素環であってもよい。
環W
1は、環の構成要素として二重結合を1つ以上有するが、環W
1に含まれる二重結合は、通常1〜4であり、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1つであることがさらに好ましい。
【0018】
環W
1は、通常、炭素数5〜18の環であり、5〜7員環構造であることが好ましく、6員環構造であることがより好ましい。
環W
1は、単環であることが好ましい。
【0019】
環W
1は、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の炭素数1〜12のアルキル基;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等の炭素数1〜12のアルキルチオ基;モノフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基等の炭素数1〜12のフッ素化アルコキシ基;アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチル等の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜12のアルキルカルボニルオキシ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等の炭素数1〜12のアルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基等の炭素数6〜12のアリールスルホニル基;シアノ基;ニトロ基;水酸基;チオール基;カルボキシ基;−SF
3;−SF
5等が挙げられる。
環W
1が有していてもよい置換基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基又は炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基であることが好ましい。
【0020】
環W
1としては、例えば、下記に記載の基が挙げられる。
【化9】
【化10】
【化11】
[式中、*1は窒素原子との結合手を表し、*2は炭素原子との結合手を表す。]
【0021】
R
3で表される複素環基としては、ピリジル基、ピロリジル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロチオフェン基、ピロール基、フリル基、チオフェノ基、ピぺリジン基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、チアピラニル基、イミダゾリノ基、ピラゾール基、オキサゾール基、チアゾリル基、ジオキサニル基、モルホリノ基、チアジニル基、トリアゾール基、テトラゾール基、ジオキソラニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾリル基、プリニル基、ベンゾトリアゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、ベンゾピラニル基、アントリル基、アクリジニル基、キサンテニル基、カルバゾリル基、テトラセニル基、ポルフィニル基、クロリニル基、コリニル基、アデニル基、グアニル基、シトシル基、チミニル基、ウラシル基、キノリル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基等の炭素数3〜16の脂肪族複素環及び炭素数3〜16の芳香族複素環基が挙げられ、ピロリジル基、ピぺリジル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフェノ基、テトラヒドロチオピラニル基又はピリジル基であることが好ましい。
【0022】
R
3で表される炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基等の炭素数1〜25の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基:シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜25のシクロアルキル基;シクロヘキシルメチル基等の炭素数4〜25のシクロアルキルアルキル基等が挙げられる。
R
3で表される炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。
R
3で表される脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、−SO
3H等が挙げられる。
【0023】
R
3で表される炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−O−、−S−、−NR
1A−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CONR
2A−、−O−CO−NR
3A−、−NR
4A−CO−、−NR
5A−CO−O−、−NR
6A−CO−NR
7A−、−CO−S−,−S−CO−S−、−S−CO−NR
8A−、−NR
9A−CO−S−、−CS−、−O−CS−、−CS−O−、−NR
10A−CS−、−NR
11A−CS−S−、−S−CS−、−CS−S−、−S−CS−S−、−SO−又は−SO
2−に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が置換される場合、−O−、−S−、−CO−O−又は−SO
2−で置換されることが好ましい。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−O−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−O−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表されるアルコキシ基であることが好ましい。また、ポリエチレンオキシ基やポリプロピレンオキシ基等のポリアルキレンオキシ基であってもよい。−O−R’で表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、−OCF
3基等が挙げられる。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−S−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−S−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表されるアルキルチオ基であることが好ましい。また、ポリエチレンチオ基やポリプロピレンチオ基等のポリアルキレンチオ基であってもよい。−S−R’で表されるアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、−SCF
3基、ポリエチレンチオ基、ポリプロピレンチオ基等が挙げられる。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−COO−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−COO−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表される基であることが好ましく、−SO
2CHF
2基、−SO
2CH
2F基等であってもよい。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−SO
2−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−SO
2−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表される基であることが好ましい。
【0024】
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A及びR
11Aで表される炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0025】
R
3で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フェナントリル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、テトラフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、ビフェニル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられ、炭素数6〜18のアリール基であることが好ましく、フェニル基又はベンジル基であることがより好ましい。
【0026】
R
3で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子;水酸基;チオール基;アミノ基;ニトロ基;シアノ基;−SO
3H基等が挙げられる。
【0027】
R
3で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−O−、−S−、−NR
1A−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CONR
2A−、−O−CO−NR
3A−、−NR
4A−CO−、−NR
5A−CO−O−、−NR
6A−CO−NR
7A−、−CO−S−、−S−CO−S−、−S−CO−NR
8A−、−NR
9A−CO−S−、−CS−、−O−CS−、−CS−O−、−NR
10A−CS−、−NR
11A−CS−S−、−S−CS−、−CS−S−、−S−CS−S−、−SO−又は−SO
2−に置換されていてもよい。
前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が置換される場合、−O−又は−SO
2−で置換されることが好ましい。
前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−O−で置換された場合、当該芳香族炭化水素基は、フェノキシ基等の炭素数6〜17のアリールオキシ基;フェノキシエチル基、フェノキシジエチレングリコール基、フェノキシポリアルキレングリコール基のアリールアルコキシ基等であることが好ましい。
前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−SO
2−で置換された場合、当該芳香族炭化水素基は、−SO
2−R”(R”は炭素数6〜17のアリール基又は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。)で表される基であることが好ましい。
【0028】
R
3で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0029】
R
3は、ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;−OCF
3;−SCF
3;−SF
5;−SF
3;フルオロアルキル基(好ましくは、炭素数1〜25);フルオロアリール基(好ましくは、炭素数6〜18);−CO−O−R
111A又は−SO
2−R
112A(R
111A及びR
112Aは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基を表す。)であることが好ましく、
シアノ基;フッ素原子;塩素原子;−OCF
3;−SCF
3;フルオロアルキル基(好ましくは、炭素数1〜12);−CO−O−R
111A又は−SO
2−R
112A(R
111A及びR
112Aは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基を表す。)であることがより好ましく、
シアノ基であることが特に好ましい。
【0030】
化合物(X)の分子量は、好ましくは2500以下であり、より好ましくは2000以下であり、さらに好ましくは1500以下であり、特に好ましくは1000以下である。また、好ましくは100以上であり、150以上であり、200以上である。
化合物(X)は分子量が3000以下であれば、コポリマーであってもよいが、単量体であることが好ましい。
【0031】
化合物(X)は、波長370nm以上420nm以下に極大吸収波長を示すことが好ましい。化合物(X)が波長370nm以上420nm以下に極大吸収波長を示すと、波長380nm以上400nm以下の範囲の紫外〜近紫外光を効率よく吸収することができる。化合物(X)の極大吸収波長(λmax)は、好ましくは波長375nm以上415nm以下であり、より好ましくは波長375nm以上410nm以下であり、さらに好ましくは波長380nm以上400nm以下である。
【0032】
化合物(X)は、λmaxにおけるグラム吸光係数εが0.5以上であることが好ましく、より好ましくは0.75以上、特に好ましくは1.0以上である。上限は特に制限されないが、一般的には10以下である。なお、λmaxは、化合物(X)の極大吸収波長を表す。
化合物(X)のλmaxにおけるグラム吸光係数εが0.5以上であると、少量の添加量であっても波長380〜400nmの範囲の紫外〜近紫外光を効率よく吸収することができる。
化合物(X)は、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)が5以上であることが好ましく、よく好ましくは10以上、特に好ましくは20以上である。上限は特に制限されないが、一般的には1000以下である。ε(λmax)は、化合物(X)の極大吸収波長[nm]におけるグラム吸光係数を表し、ε(λmax+30nm)は、化合物(X)の(極大吸収波長[nm]+30nm)の波長[nm]におけるグラム吸光係数を表す。
ε(λmax)/ε(λmax+30nm)が5以上であると、420nm以上の波長における副吸収を最小限にすることができるため、着色が生じにくい。
なお、グラム吸光係数の単位は、L/(g・cm)である。
【0033】
化合物(X)としては、式(I)で表される化合物〜式(VIII)で表される化合物のいずれかであることが好ましく、式(I)で表される化合物であることがより好ましい。
【化12】
【化13】
[式(I)〜式(VIII)中、
環W
1及びR
3は、前記と同じ意味を表す。
環W
2、環W
3、環W
4、環W
5、環W
6、環W
7、環W
8、環W
9、環W
10、環W
11及び環W
12は、それぞれ独立して、環の構成要素として少なくとも1つの二重結合を有する環構造を表す。
環W
111は、構成要素として窒素原子を少なくとも2つ有する環を表す。
環W
112及び環W
113は、それぞれ独立して、構成要素として窒素原子を少なくとも1つ有する環を表す。
R
1、R
41、R
51、R
61、R
91、R
101、R
111、R
2、R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102及びR
112は、それぞれ独立して、水素原子、複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、−SF
5、−SF
3、−SO
3H、−SO
2H、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−NR
12A−、−SO
2−、−CO−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR
13A−、−NR
14A−CO−、−S−、−SO−、−CF
2−又は−CHF−に置換されていてもよい。
R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113は、それぞれ独立して、複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、−SF
5、−SF
3、−SO
3H、−SO
2H、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−O−、−S−、−NR
1A−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CONR
2A−、−O−CO−NR
3A−、−NR
4A−CO−、−NR
5A−CO−O−、−NR
6A−CO−NR
7A−、−CO−S−,−S−CO−S−、−S−CO−NR
8A−、−NR
9A−CO−S−、−CS−、−O−CS−、−CS−O−、−NR
10A−CS−、−NR
11A−CS−S−、−S−CS−、−CS−S−、−S−CS−S−、−SO−又は−SO
2−に置換されていてもよい。
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11A、R
12A、R
13A及びR
14Aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
R
4、R
14、R
24、R
34、R
44、R
54、R
64、R
74、R
84、R
94、R
104、R
114、R
5、R
15、R
25、R
35、R
75及びR
85は、それぞれ独立して、電子求引性基を表す。
R
1及びR
2は互いに結合して環を形成してもよい。
R
41及びR
42は互いに結合して環を形成してもよい。
R
51及びR
52は互いに結合して環を形成してもよい。
R
61及びR
62は互いに結合して環を形成してもよい。
R
91及びR
92は互いに結合して環を形成してもよい。
R
101及びR
102は互いに結合して環を形成してもよい。
R
111及びR
112は互いに結合して環を形成してもよい。
R
2及びR
3は互いに結合して環を形成してもよい。
R
12及びR
13は互いに結合して環を形成してもよい。
R
42及びR
43は互いに結合して環を形成してもよい。
R
52及びR
53は互いに結合して環を形成してもよい。
R
62及びR
63は互いに結合して環を形成してもよい。
R
72及びR
73は互いに結合して環を形成してもよい。
R
82及びR
83は互いに結合して環を形成してもよい。
R
92及びR
93は互いに結合して環を形成してもよい。
R
102及びR
103は互いに結合して環を形成してもよい。
R
112及びR
113は互いに結合して環を形成してもよい。
R
4及びR
5は互いに結合して環を形成してもよい。
R
14及びR
15は互いに結合して環を形成してもよい。
R
24及びR
25は互いに結合して環を形成してもよい。
R
34及びR
35は互いに結合して環を形成してもよい。
R
74及びR
75は互いに結合して環を形成してもよい。
R
84及びR
85は互いに結合して環を形成してもよい。
R
6及びR
8は、それぞれ独立して、2価の連結基を表す。
R
7は、単結合又は2価の連結基を表す。
R
9及びR
10は、それぞれ独立して、3価の連結基を表す。
R
11は、4価の連結基を表す。]
【0034】
環W
2、環W
3、環W
4、環W
5、環W
6、環W
7、環W
8、環W
9、環W
10、環W
11及び環W
12は、それぞれ独立して、環の構成要素として二重結合を1つ以上有する環であれば特に限定されない。環W
2〜環W
12はそれぞれ単環であってもよいし、縮合環であってもよい。また、環W
2〜環W
12は脂肪族環であってもよいし、芳香環であってもよい。
環W
2〜環W
12は、環の構成要素としてヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)を含む複素環であってもよい。
【0035】
環W
2〜環W
12は、環の構成要素として二重結合を1つ以上有するが、環W
2〜環W
12に含まれる二重結合は、それぞれ独立して、通常1〜4であり、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1つであることがさらに好ましい。
【0036】
環W
2〜環W
12は、それぞれ独立して、通常、炭素数5〜18の環であり、5〜7員環構造であることが好ましく、6員環構造であることがより好ましい。
環W
2〜環W
12は、それぞれ独立して、単環であることが好ましい。また環W
2〜環W
12はそれぞれ独立して芳香族性を有さない環であることが好ましい。
環W
2〜環W
12は、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、環W
1が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0037】
環W
2〜環W
12が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基又は炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基であることが好ましい。
【0038】
環W
2〜環W
12の具体例としては、環W
1の具体例と同じものが挙げられる。
【0039】
環W
111は、環の構成要素として窒素原子を2つ含む環である。環W
111は、単環であってもよいし、縮合環であってもよいが、単環であることが好ましい。
環W
111は、通常5〜10員環であり、5〜7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
環W
111は、置換基を有していてもよい。環W
111が有していてもよい置換基としては、水酸基;チオール基;アルデヒド基;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチル等の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基;−CONR
1fR
2f(R
1f及びR
2fはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。);−COSR
3f(R
3fは炭素数1〜6のアルキル基を表す。);−CSSR
4f(R
4fは炭素数1〜6のアルキル基を表す。);−CSOR
5f(R
5fは炭素数1〜6のアルキル基を表す。);−SO
2R
6f(R
5fは炭素数6〜12のアリール基又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)等が挙げられる。
【0040】
環W
111としては、例えば下記に記載の環等が挙げられる。
【化14】
【0041】
環W
112及び環W
113は、それぞれ独立して、環の構成要素として窒素原子を1つ含む環である。環W
112及び環W
113は、それぞれ独立して、単環であってもよいし、縮合環であってもよいが、単環であることが好ましい。
環W
112及び環W
113は、それぞれ独立して、通常5〜10員環であり、5〜7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
環W
112及び環W
113は、置換基を有していてもよい。環W
112及び環W
113が有していてもよい置換基としては、環W
1の置換基と同じものが挙げられる。
【0042】
環W
112及び環W
113としては、例えば下記に記載の環等が挙げられる。
【化15】
【0043】
R
4、R
14、R
24、R
34、R
44、R
54、R
64、R
74、R
84、R
94、R
104、R
114、R
5、R
15、R
25、R
35、R
75及びR
85で表される電子求引性基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、−OCF
3、−SCF
3、−SF
5、−SF
3、−SO
3H、−SO
2H、−SO
2CF
3、−SO
2CHF
2、−SO
2CH
2F、式(X−1)で表される基が挙げられる。
【化16】
[式(X−1)中、
X
1は、−CO−、−COO−、−OCO−、−CS−、−CSS−、−COS−、−CSO−、−SO
2−、−NR
223CO−又は−CONR
224−を表す。
R
222は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
R
223及びR
224は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。
*は、結合手を表す。]
【0044】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基及びペルフルオロヘキシル基等のフルオロアルキル基等が挙げられ、ペルフルオロアルキル基であることが好ましい。ハロゲン化アルキル基の炭素数としては、通常1〜25であり、好ましくは炭素数1〜12である。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
ハロゲン化アリール基としては、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基等が挙げられフルオロアリール基であることが好ましく、ペルフルオロアリール基であることがより好ましい。ハロゲン原子を含むアリール基の炭素数としては、通常6〜18であり、好ましくは炭素数6〜12である。
【0045】
X
1は、−COO−又は−SO
2−であることが好ましい。
R
222で表される炭素数1〜25のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−オクチル基、n−デシル、2−へキシル−オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜25のアルキル基が挙げられる。R
222は、炭素数1〜12のアルキルであることが好ましい。
R
222で表される炭素数1〜25のアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等が挙げられる。
R
222で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられる。
R
222で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等が挙げられる。
R
223及びR
224で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルブチル基、3−メチルブチル基等が挙げられる。
【0046】
R
4、R
14、R
24、R
34、R
44、R
54、R
64、R
74、R
84、R
94、R
104、R
114、R
5、R
15、R
25、R
35、R
75及びR
85で表される電子求引性基としては、それぞれ独立して、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、−OCF
3、−SCF
3、−SF
5、−SF
3、フルオロアルキル基(好ましくは、炭素数1〜25)、フルオロアリール基(好ましくは、炭素数6〜18)、−CO−O−R
222、−SO
2−R
222又は−CO−R
222(R
222は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)であることが好ましく、
ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、−OCF
3、−SCF
3、フルオロアルキル基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)であることがより好ましく、シアノ基であることがさらに好ましい。
R
4及びR
5のうちの少なくとも一方がシアノ基であることが好ましく、R
4がシアノ基であり、かつ、R
5がシアノ基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)であることがより好ましい。
【0047】
R
4及びR
5は互いに結合して環を形成してもよい。R
4及びR
5が互いに結合して形成する環は、単環であってもよいし、縮合環であってもよいが、単環であることが好ましい。また、R
4及びR
5が互いに結合して形成する環は、環の構成要素としてヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子)等を含んでいてもよい。
R
4及びR
5が互いに結合して形成する環は、通常3〜10員環であり、5〜7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
R
4及びR
5が互いに結合して形成する環としては、例えば、下記に記載の構造が挙げられる。
【化17】
[式中、*は、炭素原子との結合手を表す。R
1E〜R
16Eは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。]
【0048】
R
4及びR
5が互いに結合して形成する環は、置換基(上記式中のR
1E〜R
16E)を有していてもよい。前記置換基は、例えば、環W
1が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。前記R
1E〜R
16Eは、それぞれ独立して、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
【0049】
R
14及びR
15が互いに結合して形成する環は、R
4及びR
5が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
24及びR
25が互いに結合して形成する環は、R
4及びR
5が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
34及びR
35が互いに結合して形成する環は、R
4及びR
5が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
74及びR
75が互いに結合して形成する環は、R
4及びR
5が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
84及びR
85が互いに結合して形成する環は、R
4及びR
5が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
【0050】
R
1、R
41、R
51、R
61、R
91、R
101、R
111、R
2、R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102、R
112、R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113で表される複素環基としては、R
3で表される複素環基と同じものが挙げられ、ピロリジル基、ピぺリジル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフェノ基、テトラヒドロチオピラニル基又はピリジル基であることが好ましい。
【0051】
R
1、R
41、R
51、R
61、R
91、R
101、R
111、R
2、R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102、R
112、R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113で表される炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基としては、R
3で表される炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基と同じものが挙げられる。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。
【0052】
R
1、R
41、R
51、R
61、R
91、R
101、R
111、R
2、R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102、R
112、R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113で表される脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、−SO
3H等が挙げられる。
【0053】
また、R
1、R
41、R
51、R
61、R
91、R
101、R
111、R
2、R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102、R
112、で表される炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−NR
12A−、−SO
2−、−CO−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR
13A−、−NR
14A−CO−、−S−、−SO−、−CF
2−又は−CHF−に置換されていてもよい。
R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113で表される炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−O−、−S−、−NR
1A−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CONR
2A−、−O−CO−NR
3A−、−NR
4A−CO−、−NR
5A−CO−O−、−NR
6A−CO−NR
7A−、−CO−S−,−S−CO−S−、−S−CO−NR
8A−、−NR
9A−CO−S−、−CS−、−O−CS−、−CS−O−、−NR
10A−CS−、−NR
11A−CS−S−、−S−CS−、−CS−S−、−S−CS−S−、−SO−又は−SO
2−に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が置換される場合、−O−、−S−、−CO−O−又は−SO
2−で置換されることが好ましい。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−O−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−O−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表されるアルコキシ基であることが好ましい。また、ポリエチレンオキシ基やポリプロピレンオキシ基等のポリアルキレンオキシ基であってもよい。−O−R’で表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、−OCF
3基等が挙げられる。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−S−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−S−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表されるアルキルチオ基であることが好ましい。また、ポリエチレンチオ基やポリプロピレンチオ基等のポリアルキレンチオ基であってもよい。−S−R’で表されるアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、−SCF
3基、ポリエチレンチオ基、ポリプロピレンチオ基等が挙げられる。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−COO−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−COO−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表される基であることが好ましい。
前記炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−SO
2−で置換された場合、当該脂肪族炭化水素基は、−SO
2−R’(R’はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基)で表される基であることが好ましく、−SO
2CHF
2基、−SO
2CH
2F基等であってもよい。
【0054】
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11A、R
12A、R
13A及びR
14Aで表される炭素数1〜6のアルキル基としては、R
1Aで表される炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0055】
R
1、R
41、R
51、R
61、R
91、R
101、R
111、R
2、R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102、R
112、R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基としては、R
3で表される炭素数6〜18で表される芳香族炭化水素基と同じものが挙げられ、炭素数6〜18のアリール基であることが好ましく、フェニル基又はベンジル基であることがより好ましい。
前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子;水酸基;チオール基;アミノ基;ニトロ基;シアノ基;−SO
3H基等が挙げられる。
R
1、R
41、R
51、R
61、R
91、R
101、R
111、R
2、R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102、R
112で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−NR
12A−、−SO
2−、−CO−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR
13A−、−NR
14A−CO−、−S−、−SO−、−CF
2−又は−CHF−に置換されていてもよい。
R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113で表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=は、−O−、−S−、−NR
1A−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CONR
2A−、−O−CO−NR
3A−、−NR
4A−CO−、−NR
5A−CO−O−、−NR
6A−CO−NR
7A−、−CO−S−,−S−CO−S−、−S−CO−NR
8A−、−NR
9A−CO−S−、−CS−、−O−CS−、−CS−O−、−NR
10A−CS−、−NR
11A−CS−S−、−S−CS−、−CS−S−、−S−CS−S−、−SO−又は−SO
2−に置換されていてもよい。
前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が置換される場合、−O−又は−SO
2−で置換されることが好ましい。
前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−O−で置換された場合、当該芳香族炭化水素基は、フェノキシ基等の炭素数6〜17のアリールオキシ基;フェノキシエチル基、フェノキシジエチレングリコール基、フェノキシポリアルキレングリコール基のアリールアルコキシ基等であることが好ましい。
前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−又は−CH=が−SO
2−で置換された場合、当該芳香族炭化水素基は、−SO
2−R”(R”は炭素数6〜17のアリール基又は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。)で表される基であることが好ましい。
【0056】
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11A、R
12A、R
13A及びR
14Aで表される炭素数1〜6のアルキル基としては、上記したものが挙げられる。
【0057】
R
2及びR
3は、互いに連結して環を形成してもよい。R
2及びR
3が連結して形成される環の構成要素として、環W
1を構成する二重結合を含む。つまり、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とで縮合環を形成する。R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環としては、具体的には、以下に記載の環構造が挙げられる。
【化18】
【0058】
R
12及びR
13が互いに結合して形成する環は、R
12及びR
13が連結して形成される環の構成要素として、環W
2を構成する二重結合を含む。つまり、R
12及びR
13が互いに結合して形成する環と環W
2とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
42及びR
43が互いに結合して形成する環は、R
42及びR
43が連結して形成される環の構成要素として、環W
5を構成する二重結合を含む。つまり、R
42及びR
43が互いに結合して形成する環と環W
5とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
52及びR
53が互いに結合して形成する環は、R
52及びR
53が連結して形成される環の構成要素として、環W
6を構成する二重結合を含む。つまり、R
52及びR
53が互いに結合して形成する環と環W
6とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
62及びR
63が互いに結合して形成する環は、R
62及びR
63が連結して形成される環の構成要素として、環W
7を構成する二重結合を含む。つまり、R
62及びR
63が互いに結合して形成する環と環W
7とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
72及びR
73が互いに結合して形成する環は、R
72及びR
73が連結して形成される環の構成要素として、環W
8を構成する二重結合を含む。つまり、R
72及びR
73が互いに結合して形成する環と環W
8とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
82及びR
83が互いに結合して形成する環は、R
82及びR
83が連結して形成される環の構成要素として、環W
9を構成する二重結合を含む。つまり、R
82及びR
83が互いに結合して形成する環と環W
9とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
92及びR
93が互いに結合して形成する環は、R
92及びR
93が連結して形成される環の構成要素として、環W
12を構成する二重結合を含む。つまり、R
92及びR
93が互いに結合して形成する環と環W
12とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
102及びR
103が互いに結合して形成する環は、R
102及びR
103が連結して形成される環の構成要素として、環W
10を構成する二重結合を含む。つまり、R
102及びR
103が互いに結合して形成する環と環W
10とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
R
112及びR
113が互いに結合して形成する環は、R
112及びR
113が連結して形成される環の構成要素として、環W
11を構成する二重結合を含む。つまり、R
112及びR
113が互いに結合して形成する環と環W
11とで縮合環を形成する。具体的には、R
2及びR
3が連結して形成される環と環W
1とが形成する縮合環と同じものが挙げられる。
【0059】
R
1及びR
2は、互いに結合して環を形成してもよい。R
1及びR
2が互いに結合して形成する環は、環の構成要素として窒素原子を1つ含む。R
1及びR
2が互いに結合して形成する環は、単環であってもよいし、縮合環であってもよいが、単環であることが好ましい。R
1及びR
2が互いに結合して形成する環は、環の構成要素としてさらにヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)を含んでいてもよい。R
1及びR
2が互いに結合して形成する環は、脂肪族環であることが好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがより好ましい。
R
1及びR
2が互いに結合して形成する環は、通常3〜10員環であり、5〜7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
R
1及びR
2が互いに結合して形成する環は置換基を有していてもよく、例えば、環W
2〜環W
12が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
R
1及びR
2が互いに結合して形成する環としては、例えば、下記に記載の環が挙げられる。
【化19】
【0060】
R
41及びR
42が互いに結合して形成する環は、R
1及びR
2が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
51及びR
52が互いに結合して形成する環は、R
1及びR
2が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
61及びR
62が互いに結合して形成する環は、R
1及びR
2が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
91及びR
92が互いに結合して形成する環は、R
1及びR
2が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
101及びR
102が互いに結合して形成する環は、R
1及びR
2が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
R
111及びR
112が互いに結合して形成する環は、R
1及びR
2が互いに結合して形成する環と同じものが挙げられる。
【0061】
R
6、R
7及びR
8で表される2価の連結基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表す。前記2価の脂肪族炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−S−、−NR
1B−(R
1Bは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)、−CO−、−SO
2−、−SO−、−PO
3−で置換されていてもよい。
また、前記2価の脂肪族炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0062】
R
6、R
7及びR
8で表される2価の連結基は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
【0063】
R
6、R
7及びR
8で表される2価の連結基の具体例としては、以下に記載の連結基が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【化20】
【0070】
R
6及びR
7は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基又は下記式で表される連結基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基又は下記式で表される連結基であることがより好ましい。
【化27】
【0071】
R
8は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基又は下記式で表される連結基であることが好ましい。
【化28】
【0072】
R
9及びR
10で表される3価の連結基としては、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の3価の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の3価の芳香族炭化水素基が挙げられる。前記3価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−S−、−CS−、−CO−、−SO−、−NR
11B−(R
11Bは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で置き換わっていてもよい。
前記3価の脂肪族炭化水素基及び前記3価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられる。
R
9及びR
10で表される3価の連結基は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の3価の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
R
9及びR
10で表される3価の連結基の具体例としては、以下に記載の連結基が挙げられる。
【化29】
【0073】
R
11で表される4価の連結基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の4価の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の4価の芳香族炭化水素基が挙げられる。前記4価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−S−、−CS−、−CO−、−SO−、−NR
11C−(R
11Cは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で置き換わっていてもよい。
前記4価の脂肪族炭化水素基及び前記4価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられる。
R
11で表される4価の連結基は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の4価の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
R
11で表される4価の連結基の具体例としては、以下に記載の連結基が挙げられる。
【化30】
【0074】
R
1は、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
R
2は、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
R
1とR
2とは互いに連結して環を形成することが好ましく、脂肪族環を形成することがより好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがさらに好ましく、ピロリジン環またはピペリジン環構造を有することが特に好ましい。
R
3は、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、−OCF
3、−SCF
3、−SF
5、−SF
3、フルオロアルキル基(好ましくは、炭素数1〜25)、フルオロアリール基(好ましくは、炭素数6〜18)、−CO−O−R
111A又は−SO
2−R
112A(R
111A及びR
112Aはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基を表す。)であることが好ましく、
シアノ基、フッ素原子、塩素原子、−OCF
3、−SCF
3、フルオロアルキル基、−CO−O−R
111A又は−SO
2−R
112A(R
111A及びR
112Aは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基を表す。)であることがより好ましく、シアノ基、フッ素原子であることがさらに好ましく、特に好ましくはシアノ基である。
【0075】
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、−OCF
3、−SCF
3、−SF
5、−SF
3、フルオロアルキル基、フルオロアリール基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)であることが好ましく、
ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、−OCF
3、−SCF
3、フルオロアルキル基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)であることがより好ましく、
シアノ基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)であることがさらに好ましく、シアノ基であることが特に好ましい。
R
4及びR
5のうちの少なくとも一方がシアノ基であることが好ましく、R
4がシアノ基であり、かつ、R
5がシアノ基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)であることがより好ましい。
R
4及びR
5は、同じ構造を有することが好ましい。
R
4及びR
5は、ともにシアノ基であることが好ましい。
【0076】
R
41、R
51、R
61、R
91、R
101及びR
111は、それぞれ独立して、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
R
12、R
42、R
52、R
62、R
72、R
82、R
92、R
102及びR
112は、それぞれ独立して、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
R
41とR
42とは、互いに連結して環を形成することが好ましく、脂肪族環を形成することがより好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがさらに好ましく、特に好ましくはピロリジン環またはピペリジン環構造を有することが好ましい。
R
51とR
52とは、互いに連結して環を形成することが好ましく、脂肪族環を形成することがより好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがさらに好ましく、特に好ましくはピロリジン環またはピペリジン環構造を有することが好ましい。
R
61とR
62とは、互いに連結して環を形成することが好ましく、脂肪族環を形成することがより好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがさらに好ましく、特に好ましくはピロリジン環またはピペリジン環構造を有することが好ましい。
R
91とR
92とは、互いに連結して環を形成することが好ましく、脂肪族環を形成することがより好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがさらに好ましく、特に好ましくはピロリジン環またはピペリジン環構造を有することが好ましい。
R
101とR
102とは、互いに連結して環を形成することが好ましく、脂肪族環を形成することがより好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがさらに好ましく、特に好ましくはピロリジン環またはピペリジン環構造を有することが好ましい。
R
111とR
112とは、互いに連結して環を形成することが好ましく、脂肪族環を形成することがより好ましく、不飽和結合を有さない脂肪族環であることがさらに好ましく、特に好ましくはピロリジン環またはピペリジン環構造を有することが好ましい。
【0077】
R
13、R
23、R
33、R
43、R
53、R
63、R
73、R
83、R
93、R
103及びR
113は、それぞれ独立して、ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;−OCF
3;−SCF
3;−SF
5;−SF
3;炭素数1〜25のフルオロアルキル基;炭素数6〜18のフルオロアリール基;−CO−O−R
111A又は−SO
2−R
112A(R
111A及びR
112Aは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基を表す。)であることが好ましく、
シアノ基;フッ素原子;塩素原子;−OCF
3;−SCF
3;炭素数1〜12のフルオロアルキル基;−CO−O−R
111A又は−SO
2−R
112A(R
111A及びR
112Aは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜24のアルキル基を表す。)であることがより好ましく、
シアノ基であることが特に好ましい。
【0078】
R
14、R
24、R
34、R
44、R
54、R
64、R
74、R
84、R
94、R
104、R
114、R
15、R
25、R
35、R
75及びR
85は、それぞれ独立して、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、−OCF
3、−SCF
3、−SF
5、−SF
3、−CO−O−R
222、−SO
2−R
222(R
222は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基を表す)、炭素数1〜25のフルオロアルキル基又は炭素数6〜18のフルオロアリール基であることが好ましく、
ニトロ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、−OCF
3、−SCF
3、フルオロアルキル基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基を表す)ことがより好ましく、
シアノ基、−CO−O−R
222又は−SO
2−R
222(R
222は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜25のアルキル基を表す)であることがさらに好ましく、
シアノ基であることが特に好ましい。
【0079】
R
14とR
15とは同じ構造であることが好ましい。
R
24とR
25とは同じ構造であることが好ましい。
R
34とR
35とは同じ構造であることが好ましい。
R
74とR
75とは同じ構造であることが好ましい。
R
84とR
85とは同じ構造であることが好ましい。
【0080】
式(I)で表される化合物は、式(I−1A)で表される化合物、式(I−2A)で表される化合物又は式(I−3A)で表される化合物の何れかであることがより好ましい。
【化31】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、上記と同じ意味を表す。
Rx
1、Rx
2、Rx
3、Rx
4、Rx
5、Rx
6、Rx
7及びRx
8は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。
m1は0〜4の整数を表し、m2は0〜5の整数を表す。]
Rx
1〜Rx
8で表される置換基としては、環W
1が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
m1及びm2は、それぞれ独立して、0又は1であることが好ましい。
【0081】
式(II)で表される化合物は、式(II−A)で表される化合物であることが好ましい。
【化32】
[式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
12、R
13、R
14及びR
15は、上記と同じ意味を表す。
R
x9、R
x10、R
x11及びR
x12は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。]
R
x9〜R
x12で表される置換基としては、環W
1が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0082】
式(III)で表される化合物は、式(III−A)で表される化合物であることが好ましい。
【化33】
[式中、R
3、R
4、R
5、R
23、R
24及びR
25は、上記と同じ意味を表す。
R
x13、R
x14、R
x15及びR
x16は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。]
R
x13〜R
x16で表される置換基としては、環W
1が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0083】
式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
化合物(I)は、式(1−1)〜式(1−4)、式(1−7)、式(1−8)、式(1−10)、式(1−12)、式(1−20)〜式(1−25)、式(1−54)〜式(1−57)、式(1−59)、式(1−63)〜式(1−68)、式(1−70)〜式(1−78)、式(1−80)、式(1−124)〜式(1−132)、式(1−135)、式(1−137)〜式(1−142)、式(1−158)〜式(1−172)、式(1−218)〜式(1−229)で表される化合物であることが好ましく、
式(1−1)、式(1−2)、式(1−4)、式(1−7)、式(1−10)、式(1−12)、式(1−20)、式(1−22)、式(1−54)〜式(1−56)、式(1−59)、式(1−63)〜式(1−65)、式(1−66)、式(1−71)、式(1−124)、式(1−125)、式(1−126)、式(1−128)、式(1−131)、式(1−158)、式(1−160)、式(1−164)、式(1−169)、式(1−218)〜式(1−227)で表される化合物であることがより好ましく、
式(1−54)〜式(1−56)、式(1−59)、式(1−64)、式(1−125)、式(1−218)〜式(1−229)で表される化合物であることがさらに好ましい。
【0093】
式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
化合物(II)としては、式(2−1)、式(2−2)、式(2−5)〜式(2−12)、式(2−24)〜式(2−28)、式(2−32)、式(2−33)、式(2−38)〜式(2−44)、式(2−70)、式(2−71、式(2−103)〜式(2−106))で表される化合物であることが好ましく、式(2−1)、式(2−2)、式(2−5)〜式(2−10)、式(2−103)〜式(2−106)で表される化合物であることがより好ましい。
【0102】
式(III)で表される化合物(以下、化合物(III)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
【化51】
式(IV)で表される化合物(以下、化合物(IV)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
【化52】
【0103】
式(V)で表される化合物(以下、化合物(V)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
化合物(V)としては、式(5−1)〜式(5−3)、式(5−6)、式(5−7)、式(5−9)、式(5−15)、式(5−21)、式(5−23)、式(5−25)、式(5−26)、式(5−32)、式(5−36)、式(5−38)で表される化合物であることが好ましく、式(5−1)〜式(5−3)、式(5−21)、式(5−25)、式(5−36)で表される化合物であることがより好ましい。
【化53】
【0109】
式(VI)で表される化合物(以下、化合物(VI)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
化合物(VI)としては、式(6−1)、式(6−2)、式(6−4)、式(6−5)、式(6−7)、式(6−8)、式(6−9)、式(6−12)、式(6−15)、式(6−18)、式(6−19)、式(6−22)、式(6−23)、式(6−50)、式(6−57)、式(6−69)、式(6−80)式(6−85)、式(6−94)で表される化合物であることが好ましく、式(6−1)、式(6−2)、式(6−4)、式(6−8)、式(6−15)、式(6−22)、式(6−80)で表される化合物であることがより好ましい。
【0119】
式(VII)で表される化合物(以下、化合物(VII)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
化合物(VII)としては、式(7−1)〜式(7−9)、式(7−12)、式(7−14)、式(7−17)、式(7−42)〜式(7−44)、式(7−57)で表される化合物であることが好ましく、式(7−1)〜式(7−8)、で表される化合物であることがより好ましい。
【0128】
式(VIII)で表される化合物(以下、化合物(VIII)という場合がある。)としては、例えば、以下に記載の化合物が挙げられる。
化合物(VIII)としては、式(8−1)、式(8−2)、式(8−4)、式(8−5)、式(8−11)、式(8−13)〜式(8−17)、式(8−25)、式(8−26)、式(8−47)、式(8−48)で表される化合物であることが好ましく、式(8−1)、式(8−4)、式(8−5)、式(8−15)、式(8−17)、式(8−25)で表される化合物であることがより好ましい。
【0139】
<化合物(I)の製造方法>
化合物(I)は、例えば、式(I−1)で表される化合物(以下、化合物(I−1)という場合がある。)と式(I−2)で表される化合物(以下、化合物(I−2)という場合がある。)とを反応させることにより得ることができる。
【化87】
[式中、環W
1、R
1〜R
5は前記と同じ意味を表す。]
【0140】
化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応は、通常、化合物(I−1)と化合物(I−2)とを混合することにより実施され、化合物(I−1)に化合物(I−2)を加えることが好ましい。
また、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応は、塩基及びメチル化剤の存在下で化合物(I−1)と化合物(I−2)とを混合することが好ましく、
化合物(1−1)、化合物(I−2)、塩基及びメチル化剤を混合することが好ましく、
化合物(1−1)とメチル化剤との混合物に、化合物(I−2)と塩基とを混合することがより好ましく、
化合物(1−1)及びメチル化剤の混合物に、化合物(I−2)及び塩基の混合物を加えることがさらに好ましい。
【0141】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物(好ましくはアルカリ金属水酸化物);ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等の金属アルコキシド(好ましくはアルカリ金属アルコキシド);水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウム、水素化アルミニウムナトリウム等の金属水素化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩(好ましくはアルカリ土類金属炭酸塩);ノルマルブチルリチウム、ターシャリーブチルリチウム、メチルリチウム、グリニャール試薬等の有機アルキル金属化合物;アンモニア、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、ピロリジン、ピペリジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、グアニジン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、ピリジン、アニリン、ジメトキシアニリン、酢酸アンモニウム、β-アラニン等のアミン化合物(好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミン);リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、カリウムヘキサメチルジシラジド等の金属アミド化合物(好ましくはアルカリ金属アミド);水酸化トリメチルスルホニウム等のスルホニウム化合物;水酸化ジフェニルヨードニウム等のヨードニウム化合物;フォスファゼン塩基等が挙げられる。
塩基の使用量としては、化合物(I−1)1モルに対して、通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
【0142】
メチル化剤としては、ヨードメタン、硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
メチル化剤の使用量としては、化合物(I−1)1モルに対して、通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
【0143】
化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。好ましくはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテルであり、より好ましくはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルムであり、さらに好ましくはアセトニトリルである。
また、溶媒は脱水溶媒であることが好ましい。
【0144】
化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応時間は、通常0.1〜10時間であり、好ましくは、0.2〜3時間である。
化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応温度は、通常−50〜150℃であり、好ましくは−20〜100℃である。
化合物(I−2)の使用量は、化合物(I−1)1モルに対して、通常0.1〜10モルであり、0.5〜5モルであることが好ましい。
【0145】
化合物(I−1)としては、例えば、下記に記載の化合物等が挙げられる。
【化88】
【0146】
化合物(I−2)としては、市販品を用いてもよく、例えば、下記に記載の化合物等が挙げられる。
【化89】
【0147】
化合物(I−1)は、例えば、式(I−3)で表される化合物(以下、化合物(I−3)という場合がある。)と式(I−4)で表される化合物(以下、化合物(I−4)という場合がある。)とを反応させて得ることができる。
【化90】
[式(I−3)中、環W
1、R
1、R
2及びR
3は前記と同じ意味を表す。E
1は脱離基を表す。]
【0148】
E
1で表される脱離基としては、ハロゲン原子、p−トルエンスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0149】
化合物(I−3)と化合物(I−4)との反応は、化合物(I−3)と化合物(I−4)とを混合することにより実施される。
化合物(I−4)の使用量は、化合物(I−3)1モルに対して通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
化合物(I−3)と化合物(I−4)との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。好ましくはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテルであり、より好ましくはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルムであり、さらに好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリルである。
化合物(I−3)と化合物(I−4)との反応時間は、通常0.1〜10時間である。
化合物(I−3)と化合物(I−4)との反応温度は、通常−50〜150℃である。
【0150】
化合物(I−3)としては、例えば、下記に記載の化合物が挙げられる。
【化91】
【0151】
化合物(I−4)は、市販品を用いてもよい。例えば、クロロシアン、ブロモシアン、パラトルエンスルホニルシアニド、トリフルオロメタンスルホニルシアニド、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン ビス(テトラフルオロボラート(セレクトフルオロ(Air Products and Chemicalsの登録商標)ともいう)、ベンゾイル(フェニルヨードニオ)(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド、2,8−ジフルオロ−5−(トリフルオロメチル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェン−5−イウムトリフルオロメタンスルホナート、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等が挙げられる。
【0152】
化合物(I−3)は、式(I−5)で表される化合物(以下、化合物(I−5)という場合がある。)と式(I−6)で表される化合物(以下、化合物(I−6)という場合がある。)とを反応させることにより得ることができる。
【化92】
[式中、環W
1、R
1、及びR
2は前記と同じ意味を表す。]
【0153】
化合物(I−5)と化合物(I−6)との反応は、化合物(I−5)と化合物(I−6)とを混合することにより実施される。
化合物(I−6)の使用量は、化合物(I−5)1モルに対して通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
化合物(I−5)と化合物(I−6)との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリーブタノール、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。好ましくはベンゼン、トルエン、エタノール、アセトニトリルである。
化合物(I−5)と化合物(I−6)との反応時間は、通常0.1〜10時間である。
化合物(I−5)と化合物(I−6)との反応温度は、通常−50〜150℃である。
【0154】
化合物(I−5)としては、例えば、下記に記載の化合物等が挙げられる。
【化93】
【0155】
化合物(I−6)としては、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、4−ヒロキシブチルアミン等の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、3−ヒドロキシピロリジン、4−ヒドロキシピペリジン、アゼチジン等の2級アミンが挙げられる。
【0156】
また、化合物(I−1)は、式(I−5−1)で表される化合物(以下、化合物(I−5−1)という場合がある。)と化合物(I−6)とを反応させて得ることもできる。
【化94】
[式(I−5−1)中、環W
1及びR
3、前記と同じ意味を表す。]
【0157】
化合物(I−5−1)と化合物(I−6)との反応は、化合物(I−5−1)と化合物(I−6)とを混合することにより実施される。
化合物(I−6)の使用量は、化合物(I−5−1)1モルに対して通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
化合物(I−5−1)と化合物(I−6)との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリーブタノール、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。好ましくはベンゼン、トルエン、エタノール、アセトニトリルである。
化合物(I−5−1)と化合物(I−6)との反応時間は、通常0.1〜10時間である。
化合物(I−5−1)と化合物(I−6)との反応温度は、通常−50〜150℃である。
【0158】
式(I−5−1)で表される化合物は、例えば、下記に記載の化合物等が挙げられる。
【化95】
【0159】
化合物(I)は、式(I−7)で表される化合物(以下、化合物(I−7)という場合がある。)と化合物(I−6)とを反応させることにより得ることもできる。
【化96】
[式(I−7)中、環W
1、R
3、R
4及びR
5は上記と同じ意味を表す。]
【0160】
化合物(I−7)と化合物(I−6)との反応は、通常、化合物(I−7)と化合物(I−6)とを混合することにより実施され、化合物(I−7)に化合物(I−6)を加えることが好ましい。
また、化合物(I−7)と化合物(I−6)との反応は、塩基及びメチル化剤の存在下で化合物(I−7)と化合物(I−6)とを混合することにより実施されることが好ましく、
化合物(I−7)、化合物(I−6)、塩基及びメチル化剤を混合することがより好ましく、
化合物(I−7)とメチル化剤と塩基との混合物に化合物(I−6)を混合することがさらに好ましい。
【0161】
塩基としては、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応に用いられる塩基と同じものが挙げられる。
塩基の使用量としては、化合物(I−7)1モルに対して、通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
メチル化剤としては、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応に用いられるメチル化剤と同じものが挙げられる。
メチル化剤の使用量としては、化合物(I−7)1モルに対して、通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
化合物(I−6)の使用量は、化合物(I−7)1モルに対して、通常0.1〜10モルであり、0.5〜5モルであることが好ましい。
【0162】
化合物(I−7)と化合物(I−6)との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応に用いられる溶媒と同じもの等が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、アセトニトリルである。
【0163】
化合物(I−7)と化合物(I−6)との反応時間は、通常0.1〜10時間である。
化合物(I−7)と化合物(I−6)との反応温度は、通常−50〜150℃である。
【0164】
化合物(I−7)としては、例えば下記に記載の化合物が挙げられる。
【化97】
【0165】
化合物(I−7)は、式(I−8)で表される化合物と化合物(I−4)とを反応させることにより得ることもできる。
【化98】
[式(I−8)中、環W
1、R
4及びR
5は前記と同じ意味を表す。]
【0166】
化合物(I−8)と化合物(I−4)との反応は、化合物(I−8)と化合物(I−4)とを混合することにより実施することができる。
化合物(I−8)と化合物(I−4)との反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応に用いられる塩基と同じものが挙げられる。好ましくは、金属水酸化物(より好ましくはアルカリ金属水酸化物)、金属アルコキシド(より好ましくはアルカリ金属アルコキシド)、アミン化合物、金属アミド化合物(より好ましくはアルカリ金属アミド)である。
塩基の使用量は、化合物(I−8)1モルに対して、通常0.1〜10モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
化合物(I−8)と化合物(I−4)との反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。好ましくは、トルエン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノールである。
化合物(I−8)と化合物(I−4)との反応時間は、通常0.1〜10時間である。
化合物(I−8)と化合物(I−4)との反応温度は、通常−50〜150℃である。
【0167】
化合物(I−8)は、例えば、下記に記載の化合物等が挙げられる。
【化99】
【0168】
化合物(I−8)は、化合物(I−5)と化合物(I−2)とを反応させることにより得ることもできる。化合物(I−5)と化合物(I−2)との反応は、化合物(I−5)と化合物(I−2)とを混合することにより実施することができる。
化合物(I−5)と化合物(I−2)との反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応に用いられる塩基と同じものが挙げられる。塩基の使用量は、化合物(I−5)1モルに対して通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
化合物(I−5)と化合物(I−2)との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、化合物(I−1)と化合物(I−2)との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、アセトニトリルである。
化合物(I−5)と化合物(I−2)との反応時間は、通常0.1〜10時間である。
化合物(I−5)と化合物(I−2)との反応温度は、通常−50〜150℃である。
化合物(I−2)の使用量は、化合物(I−5)1モルに対して通常0.1〜10モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
【0169】
また、化合物(I−7)は、化合物(I−5−1)と化合物(I−2)とを反応させることにより得ることもできる。
化合物(I−5−1)と化合物(I−2)との反応は、化合物(I−5−1)と化合物(I−2)とを混合することにより実施される。
化合物(I−2)の使用量は、化合物(I−5−1)1モルに対して通常0.1〜5モルであり、0.5〜2モルであることが好ましい。
化合物(I−5−1)と化合物(I−2)との反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリーブタノール、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。好ましくはベンゼン、トルエン、エタノール、アセトニトリルである。
化合物(I−5−1)と化合物(I−2)との反応時間は、通常0.1〜10時間である。
化合物(I−5−1)と化合物(I−2)との反応温度は、通常−50〜150℃である。
【0170】
<化合物(II)〜化合物(VIII)の製造方法>
化合物(II)は、例えば、化合物(I−7)2モル当量と式(II−1)で表される化合物1モル当量とを反応させることにより得ることができる。
【化100】
[式中、R
2、R
12及びR
6は前記と同じ意味を表す。]
【0171】
式(II−1)で表される化合物としては、例えば、以下に記載の化合物等が挙げられる。
【化101】
【0172】
化合物(III)は、例えば、化合物(I−7)2モル当量と式(III−1)で表される化合物1モル当量とを反応させることにより得ることができる。
【化102】
[式中、環W
111は前記と同じ意味を表す。]
【0173】
式(III−1)で表される化合物としては、例えば、以下に記載の化合物等が挙げられる。
【化103】
【0174】
化合物(IV)は、例えば、化合物(I−7)2モル当量と式(IV−1)で表される化合物1モル当量とを反応させることにより得ることができる。
【化104】
[式中、環W
112、環W
113、R
7は前記と同じ意味を表す。]
【0175】
式(IV−1)で表される化合物としては、例えば、以下に記載の化合物等が挙げられる。
【化105】
【0176】
化合物(V)は、例えば、化合物(I−1)2モル当量と式(V−1)で表される化合物1モル当量とを反応させることにより得ることができる。
【化106】
[式中、R
4、R
8及びR
44は前記と同じ意味を表す。]
【0177】
式(V−1)で表される化合物としては、例えば、以下に記載の化合物等が挙げられる。
【化107】
【0178】
化合物(VI)は、例えば、化合物(I−1)3モル当量と式(VI−1)で表される化合物1モル当量とを反応させることにより得ることができる。
【化108】
[式中、R
4、R
8、R
54及びR
64は前記と同じ意味を表す。]
【0179】
式(VI−1)で表される化合物としては、例えば、以下に記載の化合物等が挙げられる。
【化109】
【0180】
化合物(VII)は、例えば、化合物(I−7)3モル当量と式(VII−1)で表される化合物1モル当量とを反応させることにより得ることができる。
【化110】
[式中、R
2、R
10、R
72及びR
82は前記と同じ意味を表す。]
【0181】
式(VII−1)で表される化合物としては、例えば、下記に記載の化合物等が挙げられる。
【化111】
【0182】
化合物(VIII)は、例えば、化合物(I−7)4モル当量と式(VIII−1)で表される化合物1モル当量とを反応させることにより得ることができる。
【化112】
[式中、R
4、R
11、R
94、R
104及びR
114は前記と同じ意味を表す。]
【0183】
式(VIII−1)で表される化合物としては、例えば、下記に記載の化合物等が挙げられる。
【化113】
【0184】
<偏光子>
偏光子は、入射する自然光から直線偏光を取り出す機能を有するフィルムである。偏光子は、例えば、二色性色素を吸着させた延伸フィルムであってもよいし、水平配向された重合性液晶化合物と水平配向された二色性色素とを含む組成物の硬化物であってもよい。
【0185】
二色性色素を吸着させた延伸フィルムとしては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、ヨウ素や二色性の有機染料等の二色性色素が吸着配向された偏光フィルムが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な単量体と酢酸ビニルとの共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有するアクリルアミドなどが挙げられる。
【0186】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒドで変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなどであってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜5,000である。
【0187】
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子の原反フィルムとして、通常用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、公知の方法で製膜することができる。前記原反フィルムの膜厚は、通常1〜150μmであり、延伸のしやすさなども考慮すれば、その膜厚は、好ましくは10μm以上である。
【0188】
二色性色素を吸着させた延伸フィルムである偏光子は、例えば、原反フィルムに対して、一軸延伸する工程、二色性色素でフィルムを染色してその二色性色素を吸着させる工程、ホウ酸水溶液でフィルムを処理する工程、および、フィルムを水洗する工程が施され、最後に乾燥されて製造される。偏光子の膜厚は、通常1〜30μmである。また、二色性色素を吸着させた延伸フィルムである偏光子は、特開平10−186133号公報、特表2006−509250号公報に記載の製造方法等でも製造することができる。
【0189】
本発明の光学層が二色性色素を吸着させた延伸フィルムである場合、例えば、二色性色素及び化合物(X)を含む溶液で原反フィルムを染色して、二色性色素及び化合物(X)を原反フィルムに吸着させることにより得ることができる。
化合物(X)の含有量は特に制限を受けないが、偏光子に対する色相の影響の観点から、原反樹脂フィルム100質量部に対して、通常0.01〜50質量部であり、好ましくは0,1〜10質量部であり、より好ましくは0.2〜7質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
【0190】
本発明の光学層が、水平配向された重合性液晶化合物と水平配向された二色性色素とを含む組成物の硬化物である偏光子である場合、重合性液晶化合物と二色性色素と化合物(X)とを含む組成物(以下、組成物(A)という場合がある。)から形成される。
重合性液晶化合物としては、サーモトロピック性液晶化合物であることが好ましく、スメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であることが好ましい。重合性液晶化合物は、少なくとも1つの重合性基を有する液晶化合物である。重合性基とは、重合開始剤から発生する活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基を意味し、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。
重合性液晶化合物としては、具体的には、特開2017−107232号公報、特許第4719156号に記載の重合性液晶化合物が挙げられる。
【0191】
二色性色素としては、300〜700nmの範囲に極大吸収波長を有するものが好ましい。例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素等が挙げられ、アゾ色素であることが好ましい。
二色性色素としては、例えば、特開2017−107232号公報に記載の二色性色素が挙げられる。
【0192】
組成物(A)中における重合性液晶化合物の含有量は、組成物(A)の固形分100質量%中、通常70〜99.9質量%であり、好ましくは90〜99.9質量%である。
化合物(X)の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.01〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。
二色性色素の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0193】
組成物(A)はさらに、重合開始剤、レベリング剤、光増感剤、溶剤等を含んでいてもよい。重合開始剤及びレベリング剤としては、特開2017−107232号公報に記載の重合開始剤及びレベリング剤が挙げられる。
【0194】
組成物(A)から偏光子を形成する方法は、組成物(A)の塗膜を形成し、前記塗膜を昇温した後、重合性液晶化合物を液晶状態(好ましくはスメクチック液晶状態)に相転移させて液晶状態(好ましくはスメクチック液晶状態)を保持したまま、重合性液晶化合物を重合させる方法等が挙げられる。
組成物(A)の塗膜の形成は、例えば、基材上に、組成物(A)を塗布することにより行うことができる。塗布する方法は、スピンコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法等の公知の方法が挙げられる。
組成物(A)が溶剤を含む場合、重合性液晶化合物が重合しない条件で溶剤を乾燥等により除去することにより、乾燥塗膜が形成される。さらに、重合性液晶化合物を相転移させるために、重合性液晶化合物が液体相に相転移する温度以上まで昇温した後降温し、該重合性液晶化合物を液晶状態(好ましくはスメクチック液晶状態)に相転移させる。かかる相転移は、前記塗膜中の溶媒除去後に行ってもよいし、溶媒の除去と同時に行ってもよい。重合性液晶化合物の液晶状態を保持したまま、重合性液晶化合物を重合させることにより、組成物(A)の硬化層としての偏光子が形成される。重合方法は光重合法であることが好ましい。
【0195】
組成物(A)から形成される偏光子の厚みは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜3μmである。
【0196】
組成物(A)から形成される偏光子は、配向膜上に形成されることが好ましい。該配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜および表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、光配向膜であることが好ましい。
配向膜の具体例としては、例えば、特開2017−107232号公報に記載の配向膜が挙げられる。
【0197】
<保護フィルム>
保護フィルムは、偏光子等の他の光学層を保護する目的で設けられるフィルム層である。保護フィルムとしては、透明樹脂フィルムから形成されるフィルムが挙げられ、本発明の光学層が保護フィルムである場合、透明樹脂フィルムと化合物(X)を含む組成物から形成される。
透明樹脂としては、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂などが挙げられる。
【0198】
<透明樹脂>
セルロース系樹脂としては、好ましくはセルロースエステル系樹脂、すなわち、セルロースにおける水酸基の少なくとも一部が酢酸エステル化されている樹脂であり、一部が酢酸エステル化され、一部が他の酸でエステル化されている混合エステルであってもよい。セルロースエステル系樹脂は、好ましくはアセチルセルロース系樹脂である。アセチルセルロース系樹脂の具体例として、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等を挙げることができる。
アセチルセルロースの原料綿は発明協会公開技法2001−1745等で公知の木材パルプや綿リンターなどのセルロース原料を用いることができる。また、アセチルセルロースは、木材化学180〜190頁(共立出版、右田他、1968年)等に記載の方法で合成することができる。
トリアセチルセルロースの市販品としては、富士フィルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」等が挙げられる。
【0199】
(メタ)アクリル系樹脂としては、メタクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルキルエステルの単独重合体や、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体などが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとしては、具体的に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートなどが、またアクリル酸アルキルエステルとしては、具体的に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートなどがそれぞれ挙げられる。かかる(メタ)アクリル系樹脂には、汎用の(メタ)アクリル系樹脂として市販されているものが使用できる。(メタ)アクリル系樹脂として、耐衝撃(メタ)アクリル樹脂と呼ばれるものを使用してもよい。
また、(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、三菱レイヨン株式会社の「アクリペットVH」、「アクリペットVRL20A」等も挙げられる。
【0200】
ポリエステル系樹脂は、主鎖にエステル結合の繰り返し単位を持つ重合体樹脂であり、一般的には多価カルボン酸またはその誘導体と多価アルコールまたはその誘導体との縮合重合によって得られる。
ポリエステルを与える多価カルボン酸またはその誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としては例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、成形性、取り扱い性の点で、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。
ポリエステルを与える多価アルコールまたはその誘導体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、成形性、取り扱い性の点で、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートなどが挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートなどが好ましい。
【0201】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等があるが、好ましくはシクロオレフィン系樹脂である。
シクロオレフィン系樹脂は、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのような環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する熱可塑性の樹脂であり、熱可塑性シクロオレフィン系樹脂とも呼ばれる。このシクロオレフィン系樹脂は、上記シクロオレフィンの開環重合体や2種以上のシクロオレフィンを用いた開環共重合体の水素添加物であってもよく、シクロオレフィンと、鎖状オレフィンや、ビニル基の如き重合性二重結合を有する芳香族化合物などとの付加重合体であってもよい。シクロオレフィン系樹脂には、極性基が導入されていてもよい。
【0202】
シクロオレフィンと、鎖状オレフィン及び/又はビニル基を有する芳香族化合物との共重合体を用いて保護フィルムを構成する場合、鎖状オレフィンとしては、エチレンやプロピレンなどが挙げられ、またビニル基を有する芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。このような共重合体においては、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットが50モル%以下であってもよいが、好ましくは15〜50モル%程度とされる。特に、シクロオレフィンと鎖状オレフィンとビニル基を有する芳香族化合物との三元共重合体を用いて保護フィルムを構成する場合、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットは、上述したように比較的少ない量とすることができる。かかる三元共重合体において、鎖状オレフィンからなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%、ビニル基を有する芳香族化合物からなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%である。
【0203】
シクロオレフィン系樹脂としては、適宜の市販品を用いることができる。例えば、ポリプラスチック株)から販売されている「TOPAS 」、JSR株式会社から販売されている「アートン」、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオノア(ZEONOR)」及び「ゼオネックス(ZEONEX)」、三井化学(株)から販売されている「アペル」(以上、いずれも商品名)などを挙げることができる。
【0204】
ポリアミド系樹脂は、主鎖として繰り返し単位にアミド結合を含む重合体樹脂であり、例えば芳香環骨格がアミド結合により結合された芳香族ポリアミド(アラミド)や脂肪族骨格がアミド結合により結合された脂肪族ポリアミド等が挙げられる。一般的には多価カルボン酸またはその誘導体と多価アミンとの重合反応等により得ることができる。
ポリアミドを与える多価カルボン酸またはその誘導体としては、テレフタル酸クロライド、2−クロロ−テレフタル酸クロライド、イソフタル酸ジクロライド、ナフタレンジカルボニルクロライド、ビフェニルジカルボニルクロライド、ターフェニルジカルボニルクロライドなどが挙げられる。
ポリアミドを与える多価アミンとしては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられるが、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−ノルボルネンジアミンが挙げられる。
【0205】
ポリイミド系樹脂は、主鎖として繰り返し単位にイミド結合を含む重合体樹脂であり、ジアミン類とテトラカルボン酸二無水物とを出発原料として、重縮合によって得られる縮合型ポリイミドが一般的である。ジアミン類としては、芳香族ジアミン類、脂環式ジアミン類、脂肪族ジアミン類等を用いることができる。テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。ジアミン類及びテトラカルボン酸二無水物はそれぞれ、単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。テトラカルボン酸二無水物に代えて、酸クロライド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体から選ばれるテトラカルボン酸化合物を出発原料として用いてもよい。
【0206】
透明樹脂は、透明性、機械強度、成形加工性の観点から、トリアセチルセルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂のいずれかであることが好ましい。
【0207】
透明樹脂の23℃における貯蔵弾性率E‘は、通常100MPa以上であり、好ましくは300MPa以上であり、より好ましくは500MPa以上であり、特に好ましくは1000MPa以上である。上限は制限ないが、通常100000MPa以下である。
【0208】
化合物(X)の含有量は、透明樹脂100質量部に対して通常0.01〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.2〜10質量部であり、特に好ましくは0.5〜5質量部である。
【0209】
保護フィルムを形成する場合、少なくとも化合物(X)と透明樹脂とを含む組成物(以下、樹脂組成物(1)という場合がある。)を任意の適切な成形加工方法で形成することができる。具体的には、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、キャスト塗工法(例えば、流延法)、カレンダー成形法、熱プレス法等が挙げられる。得られる光学層の平滑性を高め、良好な光学的均一性を得ることができることから、押出成形法またはキャスト塗工法が好ましい。成形条件は、使用される樹脂の組成や種類、所望される特性等に応じて適宜設定され得る。
【0210】
保護フィルムは、さらに、可塑剤、有機酸、色素、帯電防止剤、界面活性剤、滑剤、難燃剤、フィラー、ゴム粒子、位相差調整剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等を含んでいてもよい。
【0211】
<位相差フィルム>
位相差フィルムとは、光学異方性を示す光学フィルムであって、延伸フィルムから形成される位相差フィルム又は液晶性化合物を基材に塗布・配向によって光学異方性を発現させた位相差フィルムが挙げられる。
延伸フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニリデンフルオライド/ポリメチルメタクリレート、アセチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニルなどからなる高分子フィルムを1.01〜6倍程度に延伸することにより得られる延伸フィルムなどが挙げられる。延伸フィルムの中でも、アセチルセルロース、ポリエステル、ポリカーボネートフィルムやシクロオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸した高分子フィルムであることが好ましい。
本発明の光学層が延伸フィルムから形成される位相差フィルムである場合、前記高分子フィルムを形成する樹脂と化合物(X)とを含む樹脂組成物から形成される。例えば、任意の固有複屈折値を持つ樹脂と化合物(X)を少なくとも含む組成物を溶融押出またはキャスト成形して得られる未延伸フィルムを延伸することによって製造できる。延伸は一軸延伸であってもよいし、二軸延伸であってもよい。延伸する際は、樹脂のガラス転移温度より高い温度で延伸することが好ましい。また延伸後にはフィルムの残留応力を熱緩和する工程を行うことが好ましい。また、特開2013−205500号公報に記載の方法等も挙げられる。
【0212】
なお、本明細書において、位相差フィルムは、ゼロレタデーションフィルムを含み、一軸性位相差フィルム、低光弾性率位相差フィルム、広視野角位相差フィルムなどと称されるフィルムも含む。
ゼロレタデーションフィルムとは、正面レタデーションR
eと厚み方向のレタデーションR
thとが、ともに−15〜15nmであり、光学的に等方なフィルムをいう。ゼロレタデーションフィルムとしては、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(鎖状ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂など)またはポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる樹脂フィルムから形成されるフィルムが挙げられ、レタデーション値の制御が容易であることから、セルロース系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から形成されることが好ましい。
ゼロレタデーションフィルムは、前述の延伸フィルムから形成される位相差フィルムと同じ作成方法で延伸倍率を調整することで作成できる。また、正負の異なる固有複屈折を持つ樹脂を組み合わせた未延伸フィルムを延伸することによっても作成することができる。
【0213】
本発明において、位相差フィルムは液晶性化合物を塗布・配向によって光学異方性を発現させた位相差フィルムが好ましい。
液晶性化合物を塗布・配向によって光学異方性を発現させた位相差フィルムは、液晶性化合物と化合物(X)とを含む組成物(以下、組成物(B)という場合がある)から形成される。組成物(B)はさらに光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0214】
組成物(B)に含まれる液晶性化合物としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、並びに、特開2010−31223号公報、特開2010−270108号公報、特開2011−6360号公報、特開2011−207765号公報、特開2011−162678号公報、特開2016−81035号公報、国際公開第2017/043438号及び特表2011−207765号公報に記載の重合性液晶化合物等が挙げられる。
【0215】
組成物(B)中における液晶性化合物の含有量は、組成物(B)の固形分100質量%中、通常50〜99質量%であり、好ましくは75〜90質量%である。
化合物(X)の含有量は、液晶性化合物100質量部に対して、通常0.01〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
【0216】
組成物(B)から位相差フィルムを製造する方法は、例えば、特開2010−31223号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0217】
液晶性化合物の塗布・配向によって光学異方性を発現させたフィルムとしては、以下の第一の形態〜第五の形態が挙げられる。
第一の形態:棒状液晶化合物が支持基材に対して水平方向に配向した位相差フィルム
第二の形態:棒状液晶化合物が支持基材に対して垂直方向に配向した位相差フィルム
第三の形態:棒状液晶化合物が面内で螺旋状に配向の方向が変化している位相差フィルム第四の形態:円盤状液晶化合物が傾斜配向している位相差フィルム
第五の形態:円盤状液晶化合物が支持基材に対して垂直方向に配向した二軸性の位相差フィルム
【0218】
たとえば、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイに用いられる光学フィルムとしては、第一の形態、第二の形態、第五の形態が好適に用いられる。またはこれらの形態の位相差フィルムを積層させて用いてもよい。
【0219】
位相差フィルムが、重合性液晶化合物の配向状態における重合体からなる層(以下、「光学異方性層」と称する場合がある)である場合、位相差フィルムは逆波長分散性を有することが好ましい。逆波長分散性とは、短波長での液晶配向面内位相差値の方が長波長での液晶配向面内位相差値よりも小さくなる光学特性であり、好ましくは、位相差フィルムが下記式(7)および式(8)を満たすことである。なお、Re(λ)は波長λnmの光に対する面内位相差値を表す。
Re(450)/Re(550)≦1 (7)
1≦Re(630)/Re(550) (8)
本発明の光学層において、位相差フィルムが第一の形態でかつ逆波長分散性を有する場合、表示装置での黒表示時の着色が低減するため好ましく、前記式(7)において0.82≦Re(450)/Re(550)≦0.93であればより好ましい。さらに120≦Re(550)≦150が好ましい。
【0220】
第二の形態の場合、正面位相差値Re(550)は0〜10nmの範囲に、好ましくは0〜5nmの範囲に調整すればよく、厚み方向の位相差値R
thは、−10〜−300nmの範囲に、好ましくは−20〜−200nmの範囲に調整すればよい。厚み方向の屈折率異方性を意味する厚み方向の位相差値R
thは、面内の進相軸を傾斜軸として50度傾斜させて測定される位相差値R
50と面内の位相差値R
0 とから算出できる。すなわち、厚み方向の位相差値R
thは、面内の位相差値R
0、進相軸を傾斜軸として50度傾斜させて測定した位相差値R
50、位相差フィルムの厚みd、及び位相差フィルムの平均屈折率n
0から、以下の式(10)〜(12)によりn
x、n
y及びn
z を求め、これらを式(9)に代入して、算出することができる。
【0221】
R
th=[(n
x+n
y)/2−n
z]×d (9)
R
0 =(n
x−n
y)×d (10)
R
50=(n
x−n
y')×d/cos(φ) (11)
(n
x+n
y+n
z)/3=n
0 (12)
ここで、
φ=sin
−1〔sin(40°)/n
0〕
n
y'=n
y×n
z/〔n
y2×sin
2(φ)+n
z2×cos
2(φ)〕
1/2
【0222】
位相差フィルムは、二以上の層を有する多層フィルムであってもよい。例えば、位相差フィルムの片面又は両面に保護フィルムが積層されたものや、二以上の位相差フィルムが粘着剤又は接着剤を介して積層されたものが挙げられる。
【0223】
<粘着剤層>
粘着剤層は、粘着性(感圧接着性)を有し、光学層同士、光学層と他の層、又は他の層同士を貼り合わせたり、光学層を他の物体に固定するために用いられる。
【0224】
粘着剤層は、例えば、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂、化合物(X)及び架橋剤を含む粘着剤組成物(以下、粘着剤組成物(3)という場合がある。)から形成される。ガラス転移温度が30℃以下の樹脂としてはゴム系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を用いることができるが、透明性、耐久性、性能調整のしやすさ等の観点から、(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。
【0225】
((メタ)アクリル系樹脂)
粘着剤組成物における(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を主成分(好ましくは50質量%以上含む)とする重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、一種以上の(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位(例えば、極性官能基を有する単量体に由来する構造単位)を含んでもよい。
【0226】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(Y)で示される(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【化114】
[式(Y)中、R
1 は水素原子又はメチル基で表し、R
2 は炭素数1〜14のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を表し、該アルキル基または該アラルキル基の水素原子は、炭素数1〜10のアルコキシ基で置き換わっていてもよい。]
R
2は、好ましくは、炭素数1〜14のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。
【0227】
式(Y)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、等の(メタ)アクリル酸の直鎖状アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ペンチル、(メタ)アクリル酸i−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸i−オクチル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸i−ステアリル、(メタ)アクリル酸i−アミル、等の(メタ)アクリル酸の分枝状アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル、等の(メタ)アクリル酸の脂環骨格含有アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸の芳香環骨格含有エステル;
等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基に置換基が導入された置換基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることもできる。置換基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステルの置換基は、アルキル基の水素原子を置換する基であり、その具体例はフェニル基、アルコキシ基、フェノキシ基を含む。置換基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、具体的には、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリ(エチレングリコール)等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いることができるほか、異なる複数のものを用いてもよい。
【0228】
(メタ)アクリル系樹脂は、ホモポリマーのガラス転移温度Tgが0℃未満であるアクリル酸アルキルエステル(a1)由来の構成単位、及びホモポリマーのTgが0℃以上であるアクリル酸アルキルエステル(a2)由来の構成単位を含有することが好ましい。アクリル酸アルキルエステル(a1)由来の構成単位及びアクリル酸アルキルエステル(a2)由来の構成単位を含有することは、粘着剤層の高温耐久性を高めるうえで有利である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのホモポリマーのTgは、例えばPOLYMER
HANDBOOK(Wiley−Interscience)などの文献値を採用することができる。
【0229】
アクリル酸アルキルエステル(a1)の具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−及びi−プロピル、アクリル酸n−及びi−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−及びi−へキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−及びi−オクチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸n−及びi−ノニル、アクリル酸n−及びi−デシル、アクリル酸n−ドデシル等のアルキル基の炭素数が2〜12程度のアクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどが好ましい。
アクリル酸アルキルエステル(a1)は、2種以上を併用してもよい。
【0230】
アクリル酸アルキルエステル(a2)は、アクリル酸アルキルエステル(a1)以外のアクリル酸アルキルエステルである。アクリル酸アルキルエステル(a2)の具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボロニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸t−ブチル等が挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボロニル等を含むことが好ましく、アクリル酸メチルを含むことがより好ましい。
アクリル酸アルキルエステル(a2)は、12種以上を併用してもよい。
【0231】
式(Y)で示される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、(メタ)アクリル系樹脂に含まれる全構造単位中、50質量%以上であることが好ましく、60〜95質量%であることが好ましく、65〜95質量%以上であることがより好ましい。
【0232】
(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位としては、極性官能基を有する単量体に由来する構造単位が好ましく、極性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位がより好ましい。極性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換アミノ基、エポキシ基等の複素環基などが挙げられる。
極性官能基を有する単量体としては、
(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸2−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシドデシル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシドデシル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシトリデシル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシドデシル、アクリル酸10−ヒドロキシトリデシル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシテトラデシル、(メタ)アクリル酸11−ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸11−ヒドロキシドデシル、(メタ)アクリル酸11−ヒドロキシトリデシル、(メタ)アクリル酸11−ヒドロキシテトラデシル、(メタ)アクリル酸11−ヒドロキシペンタデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシドデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシトリデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシテトラデシル、(メタ)アクリル酸13−ヒドロキシペンタデシル、(メタ)アクリル酸13−ヒドロキシテトラデシル、(メタ)アクリル酸13−ヒドロキシペンタデシル、(メタ)アクリル酸14−ヒドロキシテトラデシル、(メタ)アクリル酸14−ヒドロキシペンタデシル、(メタ)アクリル酸15−ヒドロキシペンタデシル、(メタ)アクリル酸15−ヒドロキシヘプタデシル等のヒドロキシ基を有する単量体;
(メタ)アクリル酸、カルボキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基を有する単量体;
アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,5−ジヒドロフラン等の複素環基を有する単量体;
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の置換もしくは無置換アミノ基を有する単量体が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル酸エステル重合体と架橋剤との反応性の点で、ヒドロキシ基を有する単量体またはおよびカルボキシル基を有する単量体が好ましく、ヒドロキシ基を有する単量体およびカルボキシル基を有する単量体のいずれもを含むことがより好ましい。
【0233】
ヒドロキシ基を有する単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルが好ましい。特に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルおよびアクリル酸5−ヒドロキシペンチルを用いることで良好な耐久性を得ることができる。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸を用いることが好ましい。
また、(メタ)アクリル系樹脂は、アミノ基を有する単量体に由来の構造単位を実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは、(メタ)アクリル系樹脂を構成する全構成単位100質量部中、0.1質量部以下であることをいう。
【0234】
極性官能基を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、粘着剤の耐久性(高温時の剥がれや凝集破壊)の観点から、(メタ)アクリル系樹脂の全構造単位100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは、0.5質量部以上15質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以上10質量部以下、特に好ましくは1質量部以上7質量部以下である。一方で、含有する化合物(X)の耐ブリード性の観点からは、(メタ)アクリル系樹脂の全構造単位100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7.5質量部以上である。耐久性及び耐ブリード性のバランスを取るためには化合物(X)の含有量に応じて極性官能基量を調整することが好ましい。
芳香族基を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂の全構造単位100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは4質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは4質量部以上16質量部以下である。
【0235】
(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位としては、スチレン系単量体に由来する構造単位、ビニル系単量体に由来する構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構造単位、(メタ)アクリルアミド系単量体に由来する構造単位なども挙げられる。
【0236】
スチレン系単量体としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン;アセチルスチレン;メトキシスチレン;および、ジビニルベンゼンが挙げられる。
【0237】
ビニル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等の含窒素複素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン;および、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリルが挙げられる。
【0238】
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体が挙げられる。
【0239】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(5−ヒドロキシペンチル)(メタ)アクリルアミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル〕(メタ)アクリルアミド、2−アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチルエトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチルプロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−メチルプロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチルエトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−エトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−プロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルエトキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルプロポキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−メチルプロポキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド、N−(2−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。なかでも、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミドおよびN−(2−メチルプロポキシメチル)アクリルアミドが好ましい。
【0240】
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50万〜250万であり、より好ましくは60万〜180万であり、さらに好ましくは70万〜170万であり、特に好ましくは100万〜160万である。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、通常2〜10、好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜6である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより分析でき、標準ポリスチレン換算の値である。
【0241】
(メタ)アクリル酸樹脂は、酢酸エチルに溶解させ、濃度20質量%の溶液としたとき、25℃における粘度が、20Pa・s以下であることが好ましく、0.1〜15Pa・sであることがより好ましい。該範囲の粘度であると、粘着剤組成物(3)を塗工する際の塗工性の観点から有利である。なお、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定できる。
(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば−60〜20℃、好ましくは−50〜15℃、さらに好ましくは−45〜10℃、特に−40〜0℃であってもよい。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
【0242】
(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法によって製造することができ、特に溶液重合法が好ましい。
【0243】
(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、粘着剤組成物(3)100質量%中、通常60質量%〜99.9質量%であり、好ましくは70質量%〜99.5質量%であり、より好ましくは80質量%〜99質量%である。
化合物(X)の含有量は、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂100質量部に対して通常0.01〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.2〜10質量部であり、特に好ましくは0.5〜5質量部である。
【0244】
架橋剤は、樹脂中の極性官能基(例えばヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、複素環基等)と反応する。架橋剤は樹脂等と架橋構造を形成し、耐久性に有利な架橋構造を形成する。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられ、粘着剤組成物のポットライフ及び粘着剤組成物から形成される光学層の耐久性、架橋速度などの観点から、イソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
【0245】
イソシアネート系化合物としては、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物が好ましく、例えば、脂肪族イソシアネート系化合物(例えばヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族イソシアネート系化合物(例えばイソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート)、芳香族イソシアネート系化合物(例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等)などが挙げられる。また架橋剤は、前記イソシアネート化合物の多価アルコール化合物による付加体(アダクト体)[例えば、グリセロール、トリメチロールプロパンなどによる付加体]、イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等と付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート化合物などの誘導体であってもよい。架橋剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、代表的には芳香族イソシアネート系化合物(例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート)、脂肪族イソシアネート系化合物(例えばヘキサメチレンジイソシアネート)又はこれらの多価アルコール化合物(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン)による付加体、又はイソシアヌレート体が挙げられる。架橋剤が、芳香族イソシアネート系化合物及び/又はこれらの多価アルコール化合物、又はイソシアヌレート体による付加体であると、最適な架橋密度(又は架橋構造)の形成に有利なためか、粘着剤組成物(3)から形成される光学層の耐久性を向上できる。特に、トリレンジイソシアネート系化合物及び/又はこれらの多価アルコール化合物による付加体であると、耐久性を向上することができる。
【0246】
架橋剤の含有量は、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂(好ましくは(メタ)アクリル系樹脂)100質量部に対して、通常0.01〜15質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部であり、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0247】
粘着剤組成物(3)はさらにシラン化合物を含んでいてもよい。
シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエトキシジメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シラン化合物は、シリコーンオリゴマーであってもよい。シリコーンオリゴマーの具体例を、モノマー同士の組み合わせの形で表記すると次のとおりである。
【0248】
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー等のメルカプトプロピル基含有オリゴマー;メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー等のメルカプトメチル基含有オリゴマー;3−グリジドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−グリジドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−グリジドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−グリジドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−グリジドキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−グリジドキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−グリジドキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−グリジドキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー等の3−グリジドキシプロピル基含有のコポリマー;3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー等のメタクリロイルオキシプロピル基含有オリゴマー;3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー等のアクリロイルオキシプロピル基含有オリゴマー;ビニルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、ビニルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、ビニルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、ビニルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、ビニルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、ビニルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、ビニルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー等のビニル基含有オリゴマー;3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー等のアミノ基含有のコポリマーなど。
【0249】
シラン化合物は、下記式(d1)で表されるシラン化合物であってもよい。
【化115】
(式中、Bは、炭素数1〜20のアルカンジイル基又は炭素数3〜20の二価の脂環式炭化水素基を示し、前記アルカンジイル基及び前記脂環式炭化水素基を構成する−CH
2−は、−O−又は−CO−に置換されてもよく、R
d7は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R
d8、R
d9、R
d10、R
d11及びR
d12はそれぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を示す。)
【0250】
式(d1)において、Bは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基などの炭素数1〜20のアルカンジイル基;シクロブチレン基(例えば1,2−シクロブチレン基)、シクロペンチレン基(例えば1,2−シクロペンチレン基)、シクロヘキシレン基(例えば1,2−シクロへキシレン基)、シクロオクチレン基(例えば1,2−シクロオクチレン基)などの炭素数3〜20の二価の脂環式炭化水素基、又はこれらのアルカンジイル基及び前記脂環式炭化水素基を構成する−CH
2−が、−O−又は−CO−に置換された基を示す。好ましいBは、炭素数1〜10のアルカンジイル基である。R
d7はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基を示し、R
d8、R
d9、R
d10、R
d11及びR
d12はそれぞれ独立して、前記R
3に例示の炭素数1〜5のアルキル基、又はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基を示す。好ましいR
d8、R
d9、R
d10、R
d11及びR
d12はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルコキシ基である。これらのシラン化合物(d)は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0251】
式(d1)で表されるシラン化合物としては、例えば、(トリメトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1,5−ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(トリプロポキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,8−ビス(トリプロポキシシリル)オクタンなどのビス(トリC1−5アルコキシシリル)C1−10アルカン;ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジメトキシエチルシリル)エタン、1,4−ビス(ジメトキシメチルシリル)ブタン、1,4−ビス(ジメトキシエチルシリル)ブタン、1,6−ビス(ジメトキシメチルシリル)ヘキサン、1,6−ビス(ジメトキシエチルシリル)ヘキサン、1,8−ビス(ジメトキシメチルシリル)オクタン、1,8−ビス(ジメトキシエチルシリル)オクタンなどのビス(ジC1−5アルコキシC1−5アルキルシリル)C1−10アルカン;1,6−ビス(メトキシジメチルシリル)ヘキサン、1,8−ビス(メトキシジメチルシリル)オクタンなどのビス(モノC1−5アルコキシ−ジC1−5アルキルシリル)C1−10アルカンなどが挙げられる。これらのうち、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1,5−ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタンなどのビス(トリC1−3アルコキシシリル)C1−10アルカンが好ましく、特に、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタンが好ましい。
【0252】
シラン化合物の含有量は、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂(好ましくは(メタ)アクリル系樹脂)100質量部に対して、通常0.01〜10質量部であり、好ましくは0.03〜5質量部であり、より好ましくは0.05〜2質量部であり、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
【0253】
粘着剤組成物(3)は、さらに帯電防止剤を含有していてもよい。
帯電防止剤としては、界面活性剤、シロキサン化合物、導電性高分子、イオン性化合物等が挙げられ、イオン性化合物であることが好ましい。イオン性化合物としては、慣用のものが挙げられる。イオン性化合物を構成するカチオン成分としては、有機カチオン、無機カチオンなどが挙げられる。有機カチオンとしては、例えばピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。無機カチオンとしては、例えばリチウムカチオン、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、セシウムカチオンなどのアルカリ金属カチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオンなどのアルカリ土類金属カチオンなどが挙げられる。特に(メタ)アクリル系樹脂との相溶性の観点からピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、リチウムカチオン、カリウムカチオンが好ましい。イオン性化合物を構成するアニオン成分としては、無機アニオン及び有機アニオンのいずれでもよいが、帯電防止性能の点で、フッ素原子を含むアニオン成分が好ましい。フッ素原子を含むアニオン成分としては、例えばヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF
6−)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン[(CF
3SO
2)
2N
−]、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン[(FSO
2)
2N
−]、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン[(C
6F
5)
4B
−]などが挙げられる。これらのイオン性化合物は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン[(CF
3SO
2)
2N
−]、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン[(FSO
2)
2N
−]、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン[(C
6F
5)
4B
−]が好ましい。
粘着剤組成物(3)から形成される光学層の帯電防止性能の経時安定性の点で、室温で固体であるイオン性化合物が好ましい。
帯電防止剤の含有量は、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂(好ましくは(メタ)アクリル系樹脂)100質量部に対して、例えば、0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは1〜7質量部である。
【0254】
粘着剤組成物(3)は、さらに溶剤、架橋触媒、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、顔料、防錆剤、無機フィラー、光散乱性微粒子等の添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
【0255】
粘着剤組成物(3)から粘着剤層を形成する方法としては、溶剤に溶解又は分散して溶剤含有の組成物とし、次いで、これを、基材(プラスチックフィルム等)や他の光学層の表面に塗布し、乾燥させる方法等挙げられる。
【0256】
粘着剤層は、離型フィルム上に粘着剤層を形成した後で他の層に貼り合わせ、離型フィルムを剥離したのちに、粘着剤層の離型フィルムを剥離した面とさらに別の層と貼り合わせることもできる。また粘着剤層は、離型フィルム上に粘着剤層を形成した後で別の離型フィルムに貼り合わせ、離型フィルム同士で挟んだ状態で保管し、使用時に離型フィルムを剥離して光学層と貼り合わせてもよい。
【0257】
<接着剤層>
接着剤層は、光学層同士、光学層と他の層、又は他の層同士を貼り合わせたり、光学層を別の物体に固定するために用いられる。接着剤層は接着剤組成物を硬化させることで形成でき、熱硬化性成分を加熱硬化させて固定を行う熱硬化型接着剤や活性エネルギー線組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる活性エネルギー線硬化型接着剤等を用いることができる。
【0258】
<活性エネルギー線硬化型組成物>
活性エネルギー線硬化性組成物とは、活性エネルギー線の照射を受けて硬化する組成物である。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、可視光等が挙げられ、好ましくは紫外線である。紫外線光源としては、波長400nm以下に発光分布を有する光源が好ましく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を挙げることができる。
本発明の光学層を形成する活性エネルギー線硬化型組成物(以下、活性エネルギー線硬化型組成物(2)という場合がある)は、少なくとも光硬化成分と化合物(X)とを含み、さらに光開始剤を含むことが好ましい。
【0259】
光硬化性成分としては、活性エネルギー線の照射によりラジカル重合反応により硬化する化合物又はオリゴマー(ラジカル重合性化合物)、並びに活性エネルギー線の照射によりカチオン重合反応により硬化する化合物(カチオン重合性化合物)、アニオン重合反応により硬化する化合物等が挙げられる。光硬化性成分は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物、およびアニオン重合性化合物を併用してもよい。
【0260】
<ラジカル重合性化合物>
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性(メタ)アクリル系化合物等が挙げられる。本明細書において「(メタ)アクリル系化合物」とは、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をいう。活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、ラジカル重合性(メタ)アクリル系化合物を1種又は2種以上含有することができる。
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー及び分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルオリゴマー等の(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。(メタ)アクリルオリゴマーは好ましくは、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。(メタ)アクリル系化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0261】
(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
【0262】
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のテルペンアルコールの(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のテトラヒドロフルフリル構造を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等のアルキル基部位にシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキル部位にエーテル結合を有する(メタ)アクリレートも等も挙げられる。
【0263】
さらに、単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アルキル部位に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート;アルキル部位にカルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル部位に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル部位にカルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n=2)モノ(メタ)アクリレート、1−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタル酸、1−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヘキサヒドロフタル酸、1−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]コハク酸、4−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]トリメリット酸、N−(メタ)アクリロイルオキシ−N’,N’−ジカルボキシメチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0264】
(メタ)アクリルアミドモノマーとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドの等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドのようなN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−アクリロイルピロリジン、3−アクリロイル−2−オキサゾリジノン、4−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン等が挙げられる。
【0265】
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
テトラフルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のハロゲン置換アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート;
水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の水添ジシクロペンタジエン又はトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;
1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕等のジオキサングリコール又はジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物等のビスフェノールA又はビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物等のビスフェノールA又はビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート;シリコーンジ(メタ)アクリレート;
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート;
2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン;2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン;
2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート;
トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0266】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレート;3官能以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート;グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート;1,1,1−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0267】
(メタ)アクリルオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリルオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリルオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリルオリゴマー等が挙げられる。
【0268】
ウレタン(メタ)アクリルオリゴマーとは、分子内にウレタン結合(−NHCOO−)及び少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応生成物や、ポリオールをポリイソシアネートと反応させて得られる末端イソシアナト基含有ウレタン化合物と、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する(メタ)アクリルモノマーとのウレタン化反応生成物等であり得る。
【0269】
上記ウレタン化反応に用いられる水酸基含有(メタ)アクリルモノマーは、例えば水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーであることができ、その具体例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを含む。水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー以外の具体例は、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドモノマーを含む。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとのウレタン化反応に供されるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのうち芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(例えば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジベンジルベンゼントリイソシアネート等のジ−又はトリ−イソシアネート、及び、上記のジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
【0270】
また、ポリイソシアネートとの反応により末端イソシアナト基含有ウレタン化合物とするために用いられるポリオールとしては、芳香族、脂肪族又は脂環式のポリオールの他、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を使用することができる。脂肪族及び脂環式のポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、上記したポリオールと多塩基性カルボン酸又はその無水物との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸又はその無水物の例を、無水物であり得るものに「(無水)」を付して表すと、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等がある。
ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレングリコールの他、上記したポリオール又はジヒドロキシベンゼン類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオール等であり得る。
【0271】
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内にエステル結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有するオリゴマーを意味する。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸又はその無水物、及びポリオールを脱水縮合反応させることにより得ることができる。
多塩基性カルボン酸又はその無水物としては、無水コハク酸、アジピン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、フタル酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
ポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
【0272】
エポキシ(メタ)アクリルオリゴマーは、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得ることができる。エポキシ(メタ)アクリルオリゴマーは、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する。
ポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0273】
<カチオン重合性化合物>
カチオン重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりカチオン重合反応が進行し、硬化する化合物又はオリゴマーである。カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。カチオン重合性化合物は単独で使用してもよいし、複数の種類を併用してもよい。
カチオン重合性化合物は、好ましくはエポキシ化合物である。エポキシ化合物とは、分子内に1個以上(好ましくは2個以上)のエポキシ基を有する化合物である。
エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、水素化エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0274】
脂環式エポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物である。脂環式環に結合したエポキシ基としてとは、例えば、エポキシシクロペンタン構造、エポキシシクロヘキサン構造等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート;ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート;ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル);エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル);2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン;3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン;4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド;リモネンジオキサイド;ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル;ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
【0275】
芳香族エポキシ化合物は、分子内に芳香族環とエポキシ基とを有する化合物である。芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ化合物又はそのオリゴマー;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル等の多官能型のエポキシ化合物;エポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0276】
水素化エポキシ化合物は、脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテルであり、芳香族ポリオールを触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる核水添ポリヒドロキシ化合物をグリシジルエーテル化したものであることができる。芳香族ポリオールの具体例は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェールF、ビスフェノールS等のビスフェノール型化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂等のノボラック型樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ポリビニルフェノール等の多官能型の化合物を含む。芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールにエピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテルとすることができる。水素化エポキシ化合物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0277】
脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環(3員の環状エーテル)を分子内に少なくとも1個有する化合物である。例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等の単官能のエポキシ化合物;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の2官能のエポキシ化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の3官能以上のエポキシ化合物;4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド等の、脂環式環に直接結合するエポキシ基1個と、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環とを有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【0278】
オキセタン化合物は、分子内に1個以上のオキセタン環(オキセタニル基)を含有する化合物である。オキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、1,4−ビス〔{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}メチル〕ベンゼン、3−エチル−3〔{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}メチル〕オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−(シクロヘキシルオキシ)メチル−3−エチルオキセタン等が挙げられる。
【0279】
ビニル化合物としては、脂肪族又は脂環式のビニルエーテル化合物が挙げられる。ビニル化合物としては、n−アミルビニルエーテル、i−アミルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、オレイルビニルエーテル等の炭素数5〜20のアルキル又はアルケニルアルコールのビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテル、2−メチルシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等の脂肪族環又は芳香族環を有するモノアルコールのビニルエーテル;グリセロールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンモノビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンモノビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル等の多価アルコールのモノ〜ポリビニルエーテル;ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルモノビニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノ〜ジビニルエーテル;グリシジルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテルメタクリレート等が挙げられる。
【0280】
光硬化性成分の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物(2)の固形分100質量%に対して、通常50〜99.5質量%であり、好ましくは70〜97質量%である。
化合物(X)の含有量は、光硬化性成分100質量部に対して、通常0.01〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
【0281】
<光重合開始剤>
(光ラジカル重合開始剤)
光硬化性成分がラジカル重合化合物である場合、光重合開始剤は光ラジカル重合開始剤を含有する。また、さらに、熱ラジカル重合開始剤を含有していてもよい。光ラジカル重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、又は電子線のような活性エネルギー線の照射によって、ラジカル硬化性化合物の重合反応を開始させるものである。
【0282】
光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤としては従来公知のものを使用できる。光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインメ、チルエーテルベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等;1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−, 2−(o−ベンゾイルオキシム)−1,2−オクタンジオン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−, 1−(o−アセチルオキシム)−エタノン等のオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、通常0.01〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。ラジカル重合開始剤を0.5質量部以上含有させることにより、ラジカル重合性化合物を十分に硬化させることができる。
【0283】
(光カチオン重合開始剤)
光硬化性成分がカチオン重合性化合物である場合、光重合開始剤は光カチオン重合開始剤である。光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、又は電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、カチオン硬化性化合物の重合反応を開始させるものである。活性エネルギー線の照射によりカチオン種又はルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;芳香族ジアゾニウム塩;鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。
【0284】
芳香族ヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはジフェニルヨードニウムカチオンを挙げることができる。芳香族スルホニウム塩は、トリアリールスルホニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはトリフェニルスルホニウムカチオンや4,4’−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィドカチオン等を挙げることができる。芳香族ジアゾニウム塩は、ジアゾニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはベンゼンジアゾニウムカチオンを挙げることができる。また、鉄−アレーン錯体は、典型的にはシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩である。
【0285】
上に示したカチオンは、アニオン(陰イオン)と対になって光カチオン重合開始剤を構成する。光カチオン重合開始剤を構成するアニオンの例を挙げると、特殊リン系アニオン[(Rf)
nPF
6-n]
-、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPF
6-、ヘキサフルオロアンチモネートアニオンSbF
6-、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネートアニオンSbF
5(OH)
-、ヘキサフルオロアーセネートアニオンAsF
6-、テトラフルオロボレートアニオンBF
4-、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンB(C
6F
5)
4-等がある。中でも、カチオン重合性化合物の硬化性及び得られる光学層の安全性の観点から、特殊リン系アニオン[(Rf)
nPF
6-n]
-、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPF
6-、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンB(C
6F
5)
4-であることが好ましい。
【0286】
光カチオン重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。中でも、芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため好ましい。
【0287】
光カチオン重合開始剤の含有量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、通常、0.01〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。光カチオン重合開始剤を0.5質量部以上配合することにより、カチオン重合性化合物を十分に硬化させることができる。
【0288】
接着剤組成物の硬化性や、硬化時の着色影響のコントロールの観点から、接着剤組成物はラジカル重合性硬化成分を含むことが好ましく、ラジカル重合性(メタ)アクリル系成分を含むことが好ましい。また硬化性の観点からオキシムエステル系光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。また無溶剤系であることが好ましい。
【0289】
熱硬化型接着剤としては、熱により反応しうる官能基を有する熱硬化性化合物を使用することができる。熱硬化性化合物はモノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであってもよい。熱により反応し得る官能基としては、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、イソシアネート基、シラノール基、アルコキシシリル基、シアネート基、アミド基、酸無水物基、アルデヒド基、アセトアセチル基、ジケトン基等が挙げられる。
熱硬化性成分は、単一の官能基種のみを使用しても構わないが、より低温で効率よく硬化されるために、複数の官能基種を組み合わせることが好ましい。また別途、架橋剤を併用してもよい。
【0290】
接着剤組成物は、必要に応じて添加剤を含むことができる。添加剤としては、イオントラップ剤、連鎖移動剤、重合促進剤、増感剤、増感助剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、透光性微粒子、有機溶剤等の溶剤、熱重合開始剤、ブロッキング剤、防汚剤、界面活性剤、硬化剤、粘度調整剤、防汚剤、スリップ剤、屈折率調整剤、分散剤等が挙げられる。
【0291】
<ハードコート層>
ハードコート層は、光学層や他の層の傷つきや凹みを防止する機能を有する層であり、多くは保護フィルム等に積層される。
ハードコート層は、前述の接着剤組成物と同様の成分から形成することができる。ハードコート層を形成する組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物(2)であることが好ましい。
ハードコート層の耐擦傷性や硬度と柔軟性との性能調整のしやすさから、光ラジカル重合性成分を含むことが好ましく、より好ましくは、(メタ)アクリル系成分を含むことが好ましい。また耐擦傷性や硬度を十分に高めやすいことから、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。また柔軟性の付与のため、ウレタンアクリルオリゴマーを含むことが好ましい。さらに光ラジカル開始剤を含むことが好ましい。硬化性の観点から、光ラジカル開始剤はオキシムエステル系開始剤であることが好ましい。さらに基材塗工時の液表面のレベリング性の観点から、レベリング剤を含むことが好ましい。
レベリング剤としては、例えば、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤等の公知のものを挙げることができる。レベリング剤を含有する場合、光硬化性成分100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。
【0292】
ハードコート層を形成する組成物は、有機溶剤、水、無溶剤のいずれであってもよい。粘度のコントロールが容易な点や溶解させることのできる硬化成分の種類が豊富な点、レベリング性の観点から、有機溶剤を含むことが好ましい。
有機溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル化グリコールエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のセルソルブ類;2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のカルビトール類;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテルアルコール類等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、必要に応じて数種類を混合して用いてもよい。活性エネルギー線硬化型組成物(2)が有機溶媒を含む場合には、塗工後にその有機溶媒を蒸発させる必要がある。そのため有機溶媒は、60℃〜160℃の範囲の沸点を有するものであることが望ましい。また、その20℃における飽和蒸気圧は、0.1kPa〜20kPaの範囲にあることが好ましい。
【0293】
活性エネルギー線硬化型組成物(2)を基材(プラスチックフィルム等)や他の光学層上に塗布して塗膜を形成し、必要に応じて乾燥させた後、上記塗膜を硬化させることで、本発明の光学層を形成することができる。つまり、活性エネルギー線硬化型組成物(2)の硬化物が本発明の光学層である。
活性エネルギー線硬化型組成物(2)を塗布して塗膜を形成する方法としては、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の公知の各種方法を挙げることができる。
乾燥の方法としては特に限定されない。乾燥温度は通常30〜120℃であり、乾燥時間は3〜300秒で行うとよい。
基材等に活性エネルギー線硬化型組成物(2)を塗布したのちに塗膜に活性エネルギー線照射を行うことで、塗膜を硬化させることができる。活性エネルギー線照射強度は、活性エネルギー線硬化型組成物(2)の配合により決定されるが、光重合開始剤の活性化に有効な波長領域の光照射強度が0.1〜2000mW/cm
2となるようにすることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化型組成物(2)の塗膜への光照射時間も、活性エネルギー線硬化型組成物(2)の配合により決定されるが、光照射強度と光照射時間の積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm
2となるように設定されることが好ましい。
【0294】
活性エネルギー線硬化型組成物(2)から形成される光学層がハードコート層である場合、ハードコート層の厚みは好ましくは0.5〜20μmであり、より好ましくは1〜10μmであり、さらに好ましくは2〜7μmであり、特に好ましくは3〜5μmである。
また、活性エネルギー線硬化型組成物(2)から形成される光学層がハードコート層である場合、化合物(X)の含有量は、光硬化性成分100質量部に対して、通常0.01〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
【0295】
<光学積層体>
本発明は、本発明の光学層と他の層とを含む光学積層体も含む。他の層としては、前述の任意の光学層であってもよい。積層された複数の光学層のうち、化合物(X)を含む光学層はどれか一層であってもよいし、複数層であってもよい。
光学層を積層させる場合、接着剤層または粘着剤層を介して積層させることが好ましい。接着剤層を介する場合、例えば、どちらか片方の光学層に接着剤組成物を塗布し、もう片方の光学層を貼り合わせたのちに加熱または活性エネルギー線の照射等で硬化させることで、積層体を形成することができる。溶剤系、水系の接着剤組成物を使用する場合、光学層に塗布したのちに、乾燥して溶剤を除去してから光学層と貼り合わせてもよいし、貼り合わせたのちに溶剤を乾燥除去してもよい。
粘着剤層を介して積層する場合、接着剤層と同様、片方の光学層に粘着剤組成物を塗布して貼り合わせてもよいが、先に離型フィルム上に粘着剤層を形成しておいて、光学層に転写した後、離型フィルムを剥離することによって光学層に貼り合わせてもよい。
なお、接着剤層及び粘着剤層は公知の接着剤組成物から形成される接着剤層であってもよいし、公知の粘着剤組成物から形成される粘着剤層であってもよいし、本発明の光学層であってもよい。
【0296】
本発明の光学積層体の層構成の断面模式図を
図1〜
図6に示した。
図1に記載の光学積層体10は、光学フィルム40、光学層3、発光素子30を含む積層体である。ここで、光学層3は粘着剤組成物(3)から形成される光学層であることが好ましい。光学層3は粘着性機能を有する粘着剤層であることができる。
図2に記載の光学積層体10Aは、本発明の光学層1、接着剤層4、偏光子5、粘接着剤層6、保護フィルム7を含む積層体である。ここで、本発明の光学層1は樹脂組成物(1)から形成される光学層であることが好ましい。光学層1は偏光子の保護フィルムとして機能する。なお、保護フィルム7も本発明の光学層であってもよいし、公知の保護フィルムであってもよい。また、接着剤層4は公知の接着剤層であれば特に限定されず、公知の水系接着剤でもよいし公知の活性エネルギー線硬化型接着剤でもよい。
図3に記載の光学積層体10Bは、保護フィルム7、接着剤層4、偏光子5、本発明の光学層2、保護フィルム8を含む光学積層体である。ここで、光学層2は活性エネルギー線硬化型組成物(2)から形成される光学層であることが好ましく、該光学層は接着性機能を有する接着剤層であることができる。
図4に記載の光学積層体10Cは、光学層2、保護フィルム7、接着剤層4、偏光子5、粘接着剤層6、保護フィルム8を含む積層体である。ここで、光学層2は活性エネルギー線硬化型組成物(2)から形成される光学層であることが好ましく、該光学層は表面処理層であることができる。
図5に記載の光学積層体10D及び
図6に記載の光学積層体10Eは、表面処理層20、保護フィルム7、接着剤層4、偏光子5、粘接着剤層6、光学フィルム40、粘着剤層6a、発光素子30(液晶セル、有機ELセル)を含む光学積層体である。
【0297】
図5及び
図6に記載の光学積層体は、多層の位相差フィルムを含む積層体の例である。例えば、
図5に示した積層体は透過光に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長位相差層50と透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長位相差層70とを、接着剤層又は粘着剤層60を介して積層した位相差フィルム110を含む。また、
図6に示した積層体は、1/4波長位相差層50aとポジティブC層80とを、粘接着剤層60を介して積層した光学フィルム40を含む構成も挙げられる。
【0298】
図5における1/4波長分の位相差を付与する1/4波長位相差層50、および透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長位相差層70は上記第一の形態の位相差フィルムであっても第五の形態の位相差フィルムであってもよい。
図4の構成の場合、少なくとも片方が第五の形態であることがより好ましい。
図6における1/4波長位相差層50aは上記第一の形態の光学フィルムであることが好ましく、さらに式(7)、式(8)を満たすことがより好ましい。
【0299】
図5及び
図6においては、表面処理層20、保護フィルム7、接着剤層4、粘接着剤層6、粘着剤層6aのいずれかが、本発明の光学層であればよい。表面処理層20は上述の活性エネルギー線硬化型組成物(2)から形成される光学層であってもよいし、公知の表面処理層であってもよい。なお、表面処理層20は例えばハードコート層等が挙げられる。接着剤層4は、上述の活性エネルギー線硬化型組成物(2)から形成される光学層であってもよいし、公知の接着剤組成物から形成される接着剤であってもよい。粘接着剤層6は、接着剤層であってもよいし粘着剤層であってもよい。粘接着剤層6が接着剤層である場合、上述の活性エネルギー線硬化型組成物から形成される光学層であってもよいし、公知の接着剤組成物から形成される接着剤であってもよい。粘接着剤層6が粘着剤層である場合、上述の粘着剤組成物から形成される粘着剤層であってもよいし、公知の粘着剤組成物から形成される粘着剤層であってもよい。保護フィルム7は、上述の樹脂組成物(1)から形成される光学層であってもよいし、公知の保護フィルムであってもよい。粘着剤層6aは上述の粘着剤組成物(3)から形成される光学層であってもよいし、公知の粘着剤組成物から形成される粘着剤層であってもよい。
図5又は
図6のような光学積層体である場合、表面処理層20又は粘接着剤層6が本発明の光学層であることが好ましく、粘接着剤層6は上述の粘着剤組成物(3)から形成される粘着剤層であることがより好ましい。
【0300】
<画像表示装置>
本発明の光学層及び該光学層を含む光学積層体は、有機EL素子、液晶セル等の表示素子に積層させて、有機EL表示装置や液晶表示装置等の画像表示装置(FPD:フラットパネルディスプレイ)に用いる事ができる。
本発明の光学層を光学積層体や画像表示装置として用いる場合、積層体中の光学層と他の光学層を積層する順番は特に制限されないが、液晶系位相差フィルムや有機EL発光素子の耐光劣化抑制の観点から、化合物(X)を含む光学層は液晶系位相差フィルムや有機EL発光素子よりも視認側に配置されることが好ましい。
【実施例】
【0301】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特に断りのない限り質量基準である。
【0302】
(合成例1)式(UVA−1)で表される化合物の合成
【化116】
ジムロート冷却管及び温度計を設置した300mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、2−メチル1,3−シクロヘキサンジオン5部、ピペリジン3.7部、トルエン50部を仕込み、5時間還流撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し精製を行い、式(M−1)で表される化合物を6.8部得た。
窒素雰囲気下で、得られた式(M−1)で表される化合物、ジメチル硫酸1.3部及びアセトニトリル4部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、マロノニトリル0.75部、トリエチルアミン1.2部及びイソプロパノール4部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−1)で表される化合物0.3部を得た。
【0303】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−1)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重ジメチルスルホキシド(以下、重DMSOという場合がある)δ:1.68−1.75(m、8H)、2.16(s、3H)、2.50−2.62(dt、4H)3.40−3.43(t、4H)
LC−MS;[M+H]
+=242.5
【0304】
<極大吸収波長及びグラム吸光係数ε測定>
得られた式(UVA−1)で表される化合物の2−ブタノン溶液(0.006g/L)を1cmの石英セルに入れ、石英セルを分光光度計UV−2450(株式会社島津製作所製)にセットし、ダブルビーム法により1nmステップ毎に300〜800nmの波長範囲の吸光度を測定した。得られた吸光度の値と、溶液中の式(UVA−1)で表される化合物の濃度、石英セルの光路長から、波長ごとのグラム吸光係数を算出した。
ε(λ)=A(λ)/CL
〔式中、ε(λ)は波長λnmにおける式(UVA−1)で表される化合物のグラム吸光係数(L/(g・cm))を表し、A(λ)は波長λnmにおける吸光度を表し、Cは濃度(g/L)を表し、Lは石英セルの光路長(cm)を表す。〕
得られた式(UVA−1)で表される化合物の極大吸収波長は412.9nmであった。得られた式(UVA−1)で表される化合物のε(λmax)は1.946L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.138L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は14.1であった。
【0305】
(合成例2)式(UVA−2)で表される化合物の合成
【化117】
ジムロート冷却管及び温度計を設置した300mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、2−メチル1,3−シクロペンタンジオン5部、ピペリジン4.2部、トルエン50部を仕込み、5時間還流撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し精製を行い、式(M−2)で表される化合物を4部得た。
【0306】
【化118】
窒素雰囲気下で、得られた式(M−2)で表される化合物、ジメチル硫酸1.7部及びアセトニトリル4.5部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、(2−エチルブチル)シアノアセテート2.4部、トリエチルアミン1.4部及びイソプロパノール4.5部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−2)で表される化合物1.5部を得た。
【0307】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−2)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.89−0.93(t、6H)、1.36−1.48(m、4H)、1.52−1.62(m、2H)1.69−1.71(m、6H)、2.22(s、3H)、2.57−2.60(t、2H)、3.15−3.18(t、2H)、3.53−3.55(t、4H)、4.05−4.06(d、2H)
LC−MS;[M+H]
+=331.5
【0308】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−2)で表される化合物の極大吸収波長は382.6nmであった。得られた式(UVA−2)で表される化合物のε(λmax)は1.9L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.057L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は33.3であった。
【0309】
(合成例3)式(UVA−3)で表される化合物の合成
【化119】
窒素雰囲気下で、式(M−2)で表される化合物2部、ジメチル硫酸1.5部及びアセトニトリル4部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。さらに得られた混合物に、マロノニトリル0.8部、トリエチルアミン1.2部及びイソプロパノール4部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−3)で表される化合物1.7部を得た。
【0310】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−3)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.69−1.74(m、6H)、2.19(s、3H)、2.65−2.81(dt、4H)3.57−3.59(t、4H)
LC−MS;[M+H]
+=228.5(+H)
【0311】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−3)で表される化合物の極大吸収波長は376.8nmであった。得られた式(UVA−3)で表される化合物のε(λmax)は2.81L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.058L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は48.4であった。
【0312】
(合成例4)式(UVA−4)で表される化合物の合成
【化120】
窒素雰囲気下で、1,7−ジメチル−1−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロキノリン−5(1H)−オン 1.5部、ジメチル硫酸1.1部、アセトニトリル9部を仕込み、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、マロノニトリル0.6部、トリエチルアミン0.9部及びイソプロパノール9部を加えて、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−4)で表される化合物1.2部を得た。
【0313】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−4)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.08−1。09(d、3H)、1.76−2.13(m、5H)、2.55−2.59(dd、1H)、2.66−2.74(m、1H)、2.81−2.93(m、2H)、3.12(s、3H)、3.28−3.37(m、2H)
LC−MS;[M+H]
+=228.2
【0314】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−4)で表される化合物の極大吸収波長は401.8nmであった。得られた式(UVA−4)で表される化合物のε(λmax)は2.76L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.055L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は50.1であった。
【0315】
(合成例5)式(UVA−5)で表される化合物の合成
【化121】
窒素雰囲気下で、1,7−ジメチルー1−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロキノリン−5(1H)−オン1.5部、ジメチル硫酸1.1部及びアセトニトリル9部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、(2−エチルブチル)シアノアセテート1.6部、トリエチルアミン0.9部及びイソプロパノール9部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し精製を行い、式(UVA−5)で表される化合物1部を得た。
【0316】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−5)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.89−0.93(t、6H)、1.07−1.08(d、3H)、1.36−1.48(m、4H)、1.57−1.62(m、3H)、1.82−2.04(m、4H)、2.04−2.21(dd、1H)、2.52−2.57(dd、1H)、2.73(m、1H)、3.09(s、3H)、3.30−3.33(t、2H)、4.04−4.06(dd、2H)
LC−MS;[M+H]
+=:331.2
【0317】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−5)で表される化合物の極大吸収波長は412.7nmであった。得られた式(UVA−5)で表される化合物のε(λmax)は1.36L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.202L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は6.74であった。
【0318】
(合成例6)式(UVA−6)で表される化合物の合成
【化122】
ジムロート冷却管及び温度計を設置した500mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、ジメドン20部、ピロリジン11.2部及びトルエン200部を仕込み、5時間還流撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し精製を行い、式(M−3)で表される化合物27.4部得た。
【0319】
【化123】
窒素雰囲気下で、得られた式(M−3)で表される化合物1.0部、パラトルエンスルホニルシアニド2.8部及びアセトニトリル10部を混合した。得られた混合物を0〜5℃で5時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(M−4)で表される化合物0.6部を得た。
【0320】
【化124】
窒素雰囲気下で、式(M−4)で表される化合物4.8部、メチルトリフラート4.6部及びアセトニトリル24部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物にマロノニトリル1.9部、トリエチルアミン3部及びアセトニトリル24部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−6)で表される化合物2.9部を得た。
【0321】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−6)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(CDCl
3)δ:0.99(s、6H)、1.90−1.96(m、4H)、2.48−2.51(m、4H)、3.70−3.88(dt、4H)
LC−MS;[M+H]
+=284.5
【0322】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−6)で表される化合物の極大吸収波長は380nmであった。得られた式(UVA−6)で表される化合物のε(λmax)は1.75L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.032L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は54.53であった。
【0323】
(合成例7)式(UVA−7)で表される化合物の合成
【化125】
窒素雰囲気下で、式(M−4)で表される化合物1部、メチルトリフラート0.6部、及びアセトニトリル10部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、エチルシアノアセテート5.2部、トリエチルアミン4.6部及びアセトニトリル10部を加えて、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−7)で表される化合物0.5部を得た。
【0324】
上記と同様にして、LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−7)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.960−0.994(d、6H)、1.20−1.26(m、3H)、1.93(m、4H)、2.53−2.91(m、4H)、3.77−3.81(m、4H)、4.10−4.19(m、2H)
LC−MS;[M+H]
+=314.5(+H)
【0325】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−7)で表される化合物の極大吸収波長は382.7nmであった。得られた式(UVA−7)で表される化合物のε(λmax)は1.08L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.153L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は7.04であった。
【0326】
(合成例8)式(UVA−8)で表される化合物の合成
【化126】
窒素雰囲気下で、式(M−4)で表される化合物0.5部、ジメチル硫酸0.5部及びアセトニトリル5部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌反応させた。さらにピバロイルアセトニトリル0.4部、トリエチルアミン0.5部、アセトニトリル5.0部を加えて20〜30℃で3時間撹拌反応させた。反応終了後に溶媒を留去し精製を行い、式(UVA−8)で表される化合物0.07部を得た。
【0327】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−8)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.92(s、6H)、1.26(s、9H)、1.90(s、4H)、2.55(m、4H)、3.64−3.71(m、4H)
LC−MS;[M+H]
+=326.5
【0328】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−8)で表される化合物の極大吸収波長は377.4nmであった。得られた式(UVA−8)で表される化合物のε(λmax)は0.66L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.395L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は1.
68であった。
【0329】
(合成例9)式(UVA−9)で表される化合物の合成
【化127】
ジムロート冷却管及び温度計を設置した300mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、ジメドン 70.0部、マロノニトリル10.4部、ジイソプロピルエチルアミン40.6部、エタノール100.0部仕込み、3時間加熱還流撹拌させた。反応終了後に溶媒を留去し精製を行い、式(M−5)で表される化合物15.1部を得た。
【0330】
【化128】
窒素雰囲気下で、式(M−5)で表される化合物5部、パラトルエンスルホニルシアニド5.8部及びカリウムtert−ブトキシド3部及びエタノール50部を混合した。得られた混合物を0〜5℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(M−6)で表される化合物3.3部を得た。
【0331】
【化129】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物1部、メチルトリフラート1部、ジイソプロピルエチルアミン0.8部及びアセトニトリル20部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ピペリジン1.4部及びアセトニトリル20部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−9)で表される化合物0.5部を得た。
【0332】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−9)で表される化合物が生成したことが確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.99(s、6H)、1.60(m、6H)、2.71(s、2H)、3.80(m、4H)
LC−MS;[M+H]
+=281.5
【0333】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−9)で表される化合物の極大吸収波長は385.6nmであった。得られた式(UVA−9)で表される化合物のε(λmax)は1.65L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.088L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は18
.8であった。
【0334】
(合成例10)式(UVA−A1)で表される化合物の合成
【化130】
ジムロート冷却管、温度計を設置した200mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、特開2014−194508号公報を参考に合成した式(M−7)で表される化合物10部、無水酢酸3.6部、(2−ブチルオクチル)シアノアセテート6.9部及びアセトニトリル60部を仕込み、20〜30℃で撹拌させた。得られた混合物に、ジイソプロピルエチルアミン4.5部を1時間かけて滴下し、2時間撹拌した。得られた混合物から溶媒を留去し精製して、式(UVA−A1)で表される化合物4.6部を得た。
【0335】
(合成例11)式(UVA−A2)で表される化合物の合成
【化131】
ジムロート冷却管及び温度計を設置した100mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、式(M−8)で表される化合物6部、ジブチルアミン14.2部及びイソプロパノール31.3部を混合し、加熱還流した後、3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し精製して、式(UVA-A2)で表される化合物4.6部を得た。
【0336】
(合成例12)式(UVA−A3)で表される化合物の合成
【化132】
ジムロート冷却管及び温度計を設置した300mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、マロンアルデヒドジアニリド塩酸塩 30部、メルドラム酸18.4部、トリエチルアミン12.9部、メタノール90部仕込み、20〜30℃で3時間撹拌反応させた。反応終了後に溶媒を留去し精製を行い、式(M−8)で表される化合物24.4部を得た。
【0337】
【化133】
式(M−8)で表される化合物6部、ジベンジルアミン21.7部、イソプロパノール31.3部を混合し、加熱還流した後、3時間撹拌反応させた。得られた混合物から溶媒を留去し精製して、式(UVA−A3)で表される化合物 3.5部を得た。
【0338】
(合成例13)式(UVA−A4)で表される化合物の合成
【化134】
ジムロート冷却管、温度計を設置した100mL−四ツ口フラスコ内を窒素雰囲気とし、2−フェニル−1−メチルインドール−3−カルボキシアルデヒド5部、ピペリジン1.8部、マロノニトリル1.5部及びエタノール20部を混合し、加熱還流した後18時間撹拌させた。得られた混合物を80℃まで加熱し、80℃で18時間保温した。得られた混合物から溶媒を留去し精製を行い、式(UVA−A4)で表される化合物4.9部を得た。
【0339】
(実施例1)光選択吸収組成物(1)の調製
各成分を以下の割合で混合して、光選択吸収組成物(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)(1)を調製した。
多官能アクリレート(「A−DPH−12E」:新中村化学工業株式会社製) 70部
ウレタンアクリレート(「UV−7650B」:日本化学工業株式会社製) 30部
光重合開始剤(「NCI−730」:株式会社ADEKA製) 3部
合成例1で合成した式(UVA−1)で表される化合物 2部
メチルエチルケトン 34部
【0340】
(実施例2)光選択吸収組成物(2)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−2)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(2)を調製した。
【0341】
(実施例3)光選択吸収組成物(3)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−3)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(3)を調製した。
【0342】
(実施例4)光選択吸収組成物(4)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−4)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(4)を調製した。
【0343】
(実施例5)光選択吸収組成物(5)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−5)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(5)を調製した。
【0344】
(実施例6)光選択吸収組成物(6)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−6)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(6)を調製した。
【0345】
(実施例7)光選択吸収組成物(7)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−7)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(7)を調製した。
【0346】
(実施例8)光選択吸収組成物(8)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−8)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(8)を調製した。
【0347】
(実施例9)光選択吸収組成物(9)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−9)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(9)を調製した。
【0348】
(調製例1)光選択吸収組成物(A1)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A1)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(A1)を調製した。
【0349】
(調製例2)光選択吸収組成物(A2)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A2)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(A2)を調製した。
【0350】
(調製例3)光選択吸収組成物(A3)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A4)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(A3)を調製した。
【0351】
(実施例10)硬化層付きフィルム(1)の作製
厚み23μmの環状ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルム〔商品名「ZEONOR」、日本ゼオン(株)製〕の表面にコロナ放電処理を施し、そのコロナ放電処理面に、光選択吸収組成物(6)をバーコーターを用いて塗工した。塗工したフィルムを乾燥オーブンに投入し100℃で2分間乾燥した。乾燥後の塗工フィルムを、窒素置換ボックスに入れてボックス内に窒素を1分間封入したのち、塗工面側から紫外線照射することで硬化層付きフィルム(6)を得た。なお、硬化層の膜厚は約6.0μmであった。
紫外線照射装置としては、ベルトコンベア付き紫外線照射装置〔ランプはフュージョンUVシステムズ社製の「Hバルブ」使用〕を用い、積算光量が400mJ/cm
2(UVB)となるように紫外線を照射した。
【0352】
(比較例1)硬化層付きフィルム(A1)の作製
光選択吸収組成物(6)を光選択吸収組成物(A1)に代えた以外は実施例10と同様にして、硬化層付きフィルム(A1)を得た。
【0353】
(比較例2)硬化層付きフィルム(A2)の作製
光選択吸収組成物(6)を光選択吸収組成物(A2)に代えた以外は実施例10と同様にして、硬化層付きフィルム(A2)を得た。
【0354】
(比較例3)硬化層付きフィルム(A3)の作製
光選択吸収組成物(6)を光選択吸収組成物(A3)に代えた以外は実施例10と同様にして、硬化層付きフィルム(A3)を得た。
【0355】
<硬化層付きフィルムの吸光度測定>
実施例10で得られた硬化層付きフィルム(1)を30mm×30mmの大きさに裁断し、サンプル(1)とした。得られたサンプル(1)と無アルカリガラス〔コーニング社製の商品名“EAGLE XG”〕とをアクリル系粘着剤を介して貼合し、サンプル(2)とした。作成したサンプル(2)の波長300〜800nm範囲の吸光度を1nmステップ毎に、分光光度計(UV−2450:株式会社島津製作所製)を用いて測定した。測定した波長395nm及び波長430nmにおける吸光度を、硬化層付きフィルム(1)の波長395nm及び波長430nmの吸光度とした。その結果を表1に示す。なお、無アルカリガラスの波長395nm及び波長430nmにおける吸光度はほぼ0であり、環状ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムの波長395nm及び波長430nmにおける吸光度はほぼ0であり、アクリル系粘着剤の波長395nm及び波長430nmにおける吸光度はほぼ0である。
【0356】
<硬化層付きフィルムの吸光度保持率の測定>
吸光度測定後のサンプル(2)を、温度63℃、相対湿度50%RHの条件でサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)に48時間投入し、耐候性試験を実施した。耐候性試験後のサンプル(2)の吸光度を上記と同様の方法で測定した。測定した吸光度から、下記式に基づき、波長395nmにおけるサンプル(2)の吸光度保持率を求めた。結果を表1に示す。吸光度保持率が100に近い値ほど、光選択吸収機能の劣化がなく良好な耐候性を有することを示す。A(395)は波長395nmにおける吸光度を示す。
吸光度保持率(%)
=(耐久試験後のA(395)/耐久試験前のA(395))×100
【0357】
硬化層付フィルム(1)の代わりに、硬化層付きフィルム(A1)、硬化層付きフィルム(A2)、及び硬化層付きフィルム(A3)をそれぞれ用いて、硬化層付きフィルム(1)と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0358】
【表1】
【0359】
(実施例11)光学フィルム(1)の作製
ポリメタクリル酸メチル樹脂(住友化学社製:スミペックスMH)70部、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)/ポリアクリル酸ブチル樹脂(PBA)のコアシェル構造からなる粒子径250nmのゴム粒子30部と、式(UVA−6)で表される化合物2部、及び2−ブタノンとからなる樹脂溶液(固形分濃度:25質量%)をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解した。
得られた溶解物を、アプリケーターを用い、ガラス支持体に均一に流延し、40℃のオーブンで10分間乾燥させたあと、さらに80℃のオーブンで10分乾燥させた。乾燥後、ガラス支持体から光学フィルム(1)を剥離させ、光選択吸収能を有する光学フィルム(1)を得た。乾燥後の光学フィルム(1)の膜厚は30μmであった。
【0360】
(実施例12)光学フィルム(2)の作製
セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.87)100部、式(UVA−6)で表される化合物2部及びクロロホルムとエタノールとの混合溶液(質量比、クロロホルム:エタノール=90:10)とからなる樹脂溶液(固形分濃度:7質量%)をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解した。
得られた溶解物を、アプリケーターを用い、ガラス支持体に均一に流延し、40℃のオーブンで10分間乾燥させたあと、さらに80℃のオーブンで10分乾燥させた。乾燥後、ガラス支持体から光学フィルム(2)を剥離させ、光選択吸収能を有する光学フィルム(2)を得た。乾燥後の光学フィルム(2)の膜厚は30μmであった。
【0361】
(実施例13)光学フィルム(3)の作製
シクロオレフィンポリマー樹脂(JSR製:ARTON F4520)100部、式(UVA−6)で表される化合物2部及びジクロロメタンとトルエンとの混合溶液(質量比、ジクロロメタン:トルエン=50:50)とからなる樹脂溶液(固形分濃度:20質量%)をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解した。
得られた溶解物を、アプリケーターを用い、ガラス支持体に均一に流延し、40℃のオーブンで10分間乾燥させたあと、さらに80℃のオーブンで10分乾燥させた。乾燥後、ガラス支持体から光学フィルム(3)を剥離させ、光選択吸収能を有する光学フィルム(3)を得た。乾燥後の光学フィルム(3)の膜厚は30μmであった。
【0362】
(比較例4)光学フィルム(4)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A1)で表される化合物に変更した以外は、実施例11と同様にして光学フィルム(4)を作製した。
【0363】
(比較例5)光学フィルム(5)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A1)で表される化合物に変更した以外は、実施例12と同様にして光学フィルム(5)を作製した。
【0364】
(比較例6)光学フィルム(6)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A4)で表される化合物に変更した以外は、実施例11と同様にして光学フィルム(6)を作製した。
【0365】
(比較例7)光学フィルム(7)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A4)で表される化合物に変更した以外は、実施例12と同様にして光学フィルム(7)を作製した。
【0366】
<光学フィルムの吸光度測定>
実施例11で得た光学フィルム(1)の片面にコロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤をラミネーターにより貼り合わせ、温度23℃、相対湿度65%RHの条件で7日間養生し、粘着剤付き光学フィルム(1)を得た。次いで、粘着剤付き付光学フィルム(1)を30mm×30mmの大きさに裁断し、無アルカリガラス〔コーニング社製の商品名“EAGLE XG”〕に貼合し、サンプル(3)を作製した。作成したサンプル(3)の波長300〜800nm範囲の吸光度を1nmステップ毎に、分光光度計(UV−2450:株式会社島津製作所製)を用いて測定した。測定した波長395nm及び波長430nmにおける吸光度を光学フィルム(1)の波長395nm及び波長430nmの吸光度とした。その結果を表2に示す。なお、無アルカリガラスの波長395nm及び波長430nmにおける吸光度はほぼ0であり、アクリル系粘着剤の波長395nm及び波長430nmにおける吸光度はほぼ0である。
【0367】
吸光度測定後のサンプル(3)を、温度63℃、相対湿度50%RHの条件でサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)に投入し、200時間の耐候性試験を実施した。耐候性試験後のサンプル(3)の吸光度を上記と同様の方法で測定した。測定した吸光度から、下記式に基づき、波長395nmにおけるサンプルの吸光度保持率を求めた。結果を表2に示す。吸光度保持率が100に近い値ほど、光選択吸収機能の劣化がなく良好な耐候性を有することを示す。
吸光度保持率(%)
=(耐久試験後のA(395)/耐久試験前のA(395))×100
【0368】
光学フィルム(1)の代わりに、光学フィルム(2)〜光学フィルム(7)をそれぞれ用いて、光学フィルム(1)と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【表2】
【0369】
(実施例14)粘着剤組成物(1)の作製
<アクリル樹脂(A)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸ブチル70.4部、アクリル酸メチル20.0部、およびアクリル酸2−フェノキシエチル8.0部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1.0部、アクリル酸0.6部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが142万、Mw/Mnが5.2であった。これをアクリル樹脂(A)とする。
【0370】
<粘着剤組成物(1)の調製>
上記で合成したアクリル樹脂(A)の酢酸エチル溶液(1)(樹脂濃度:20%)の固形分100部に対して、架橋剤(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)0.5部、シラン化合物(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、商品名「KBM403」)0.5部、式(UVA−1)で表される化合物2.0部を混合し、さらに固形分濃度が14%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物(1)を得た。なお、上記架橋剤の配合量は、有効成分としての質量部数である。
【0371】
(実施例15)粘着剤組成物(2)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−2)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(2)を得た。
【0372】
(実施例16)粘着剤組成物(3)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−3)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(3)を得た。
【0373】
(実施例17)粘着剤組成物(4)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−4)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(4)を得た。
【0374】
(実施例18)粘着剤組成物(5)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−5)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(5)を得た。
【0375】
(実施例19)粘着剤組成物(6)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−6)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(6)を得た。
【0376】
(実施例20)粘着剤組成物(7)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−7)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(7)を得た。
【0377】
(実施例21)粘着剤組成物(8)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−8)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(8)を得た。
【0378】
(実施例22)粘着剤組成物(9)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−9)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(9)を得た。
【0379】
(比較例8)粘着剤組成物(10)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−A1)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(10)を得た。
【0380】
(実施例23)粘着剤層(1)及び粘着剤シート(1)の作製
得られた粘着剤組成物(6)を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック株式会社から入手した商品名「PLR−382190」〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層(1)を作製した。得られた粘着剤層の厚みは15μmであった。
【0381】
得られた粘着剤層(1)をラミネーターにより、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルム〔日本ゼオン株式会社から入手した商品名「ZEONOR」〕に貼り合わせた後、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生し、粘着剤シート(1)を得た。
【0382】
(実施例24)粘着剤層(2)及び粘着剤シート(2)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(7)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(2)及び粘着剤シート(2)を作製した。
【0383】
(比較例9)粘着剤層(3)及び粘着剤シート(3)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(10)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(3)及び粘着剤シート(3)を作製した。
【0384】
<粘着剤シートの吸光度測定>
得られた粘着剤シート(1)を30mm×30mmの大きさに裁断し、セパレートフィルムを剥離して、粘着剤層(1)と無アルカリガラス〔コーニング社製の商品名“EAGLE XG”〕とを貼合し、これをサンプル(4)とした。作成したサンプル(4)の波長300〜800nm範囲の吸光度を1nmステップ毎に、分光光度計(UV−2450:株式会社島津製作所製)を用いて測定した。測定した波長395nm及び波長430nmにおける吸光度を、粘着剤シート(1)の波長395nm及び波長430nmの吸光度とした。その結果を表3に示す。なお、シクロオレフィンフィルム単体及び無アルカリガラス単体のいずれも、波長395nm及び波長430nmの吸光度は0である。
【0385】
<粘着剤シートの吸光度保持率の測定>
吸光度測定後のサンプル(4)を、温度63℃、相対湿度50%RHの条件でサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)に200時間投入し、耐候性試験を実施した。取り出したサンプル(4)の吸光度を上記と同様の方法で測定した。測定した吸光度から、下記式に基づき、395nmにおけるサンプルの吸光度保持率を求めた。結果を表3に示す。吸光度保持率が100に近い値ほど、光選択吸収機能の劣化がなく良好な耐候性を有することを示す。
吸光度保持率(%)
=(耐久試験後のA(395)/耐久試験前のA(395))×100
【0386】
粘着剤シート(1)の代わりに、粘着剤シート(2)及び粘着剤シート(3)をそれぞれ用いて、粘着剤シート(1)と同様に評価を行った。結果を表3に示す。
【0387】
【表3】
【0388】
(合成例14)式(UVA−10)で表される化合物の合成
【化135】
窒素雰囲気下で、式(M−9)で表される化合物2.5部、ベンゾイル(フェニルヨードニオ)(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド15.1部及び塩化銅(I)0.4部及びジオキサン100部を混合した。得られた混合物を30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(M−10)で表される化合物1.7部を得た。
【0389】
【化136】
窒素雰囲気下で、式(M−10)で表される化合物1.5部、メチルトリフラート1.4部及びアセトニトリル10部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ジイソプロピルエチルアミン1.3部、マロノニトリル0.7部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−10)で表される化合物1.0部を得た。
【0390】
上記と同様にして、LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−10)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.00(s、3H)、1.15(s、3H)、1.86(m、2H)、2.18(m、2H)、2.32〜2.91(m、4H)、3.50〜4.20(m、4H)
LC−MS;[M+H]
+=343.5
【0391】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−10)で表される化合物の極大吸収波長は384.2nmであった。得られた式(UVA−10)で表される化合物のε(λmax)は1.29L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.075L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は17.2であった。
【0392】
(合成例15)式(UVA−11)で表される化合物の合成
【化137】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物5部、メチルトリフラート4.9部、ジイソプロピルエチルアミン3.8部及びアセトニトリル10部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ジメチルアミン5部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−11)で表される化合物3.1部を得た。
【0393】
上記と同様にして、LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−11)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.08(s、6H)、2.42(s、2H)、2.55(s、2H)、3.40(m、6H)
LC−MS;[M+H]
+=241.5
【0394】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−11)で表される化合物の極大吸収波長は379.4nmであった。得られた式(UVA−11)で表される化合物のε(λmax)は1.93L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.063L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は30.6であった。
【0395】
(合成例16)式(UVA−12)で表される化合物の合成
【化138】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物5部、メチルトリフラート4.9部、ジイソプロピルエチルアミン3.8部及びアセトニトリル10部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ジエチルアミン8.4部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−12)で表される化合物2.9部を得た。
【0396】
上記と同様にして、LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−12)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.08(s、6H)、1.39(t、6H)、2.44(s、2H)、2.58(s、2H)、3.74(m、4H)LC−MS;[M+H]
+=269.5
【0397】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−12)で表される化合物の極大吸収波長は380.5nmであった。得られた式(UVA−12)で表される化合物のε(λmax)は1.75L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.098L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は17.6であった。
【0398】
(合成例17)式(UVA−13)で表される化合物の合成
【化139】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物5部、メチルトリフラート4.9部、ジイソプロピルエチルアミン3.8部及びアセトニトリル10部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ジブチルアミン14.8部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−13)で表される化合物2.5部を得た。
【0399】
上記と同様にして、LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−13)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.99(t、6H)、1.07(s、6H)、1.32〜1.46(m、4H)、1.70(m、4H)、2.40(s、2H)、2.57(s、2H)、3.32〜3.85(m、4H)。
LC−MS;[M+H]
+=325.5
【0400】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−13)で表される化合物の極大吸収波長は382.8nmであった。得られた式(UVA−13)で表される化合物のε(λmax)は1.42L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.095L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は14.9であった。
【0401】
(合成例18)式(UVA−14)で表される化合物の合成
【化140】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物5部、炭酸カリウム3.6部、メチルトリフラート7.7部及びメチルエチルケトン40部を混合し、0〜5℃で4時間撹拌させた。得られた混合物に、アゼチジン2部を加えて0〜5℃で10分間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−14)で表される化合物2.6部を得た。
【0402】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−14)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.05(s、6H)、2.14(s、2H)、2.45〜2.53(m、4H)、4.36(t、2H)、4.91(t、2H)
LC−MS;[M+H]
+=253.3
【0403】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−14)で表される化合物の極大吸収波長は377.2nmであった。得られた式(UVA−14)で表される化合物のε(λmax)は1.93L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.028L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は68.9であった。
【0404】
(合成例19)式(UVA−15)で表される化合物の合成
【化141】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物4.0部、メチルトリフラート3.7部及びアセトニトリル40部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ジイソプロピルエチルアミン2.9部、メチルアミンをテトラヒドロフランに溶解させた溶液40部(メチルアミンの濃度;7質量%)を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−15)で表される化合物1.9部を得た。
【0405】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−15)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.98(s、6H)、2.48〜2.58(m、4H)、3.03(s、3H)、9.15(s、1H)
LC−MS;[M+H]
+=226.5
【0406】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−15)で表される化合物の極大吸収波長は364.8nmであった。得られた式(UVA−15)で表される化合物のε(λmax)は1.86L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.066L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は28.2であった。
【0407】
(合成例20)式(UVA−16)で表される化合物の合成
【化142】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物4.0部、メチルトリフラート3.7部及びアセトニトリル40部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ジイソプロピルエチルアミン2.9部、エチルアミンをテトラヒドロフランに溶解させた溶液40部(エチルアミンの濃度;10質量%)を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−16)で表される化合物1.5部を得た。
【0408】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−16)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.98(s、6H)、2.48〜2.58(m、4H)、3.03(t、3H)、4.21(m、2H)、9.15(s、1H)
LC−MS;[M+H]
+=240.5
【0409】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−16)で表される化合物の極大吸収波長は364.8nmであった。得られた式(UVA−16)で表される化合物のε(λmax)は1.80L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.074L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は24.4であった。
【0410】
(合成例21)式(UVA−17)で表される化合物の合成
【化143】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物1.7部、メチルトリフラート1.6部及びアセトニトリル17部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、ジイソプロピルエチルアミン1.2部、アンモニアをテトラヒドロフランに溶解させた溶液100部(アンモニアのモル濃度;0.4モル%)を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−17)で表される化合物0.7部を得た。
【0411】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−17)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.98(s、6H)、2.48〜2.58(m、4H)、9.15(m、2H)
LC−MS;[M+H]
+=213.5
【0412】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−17)で表される化合物の極大吸収波長は352.6nmであった。得られた式(UVA−17)で表される化合物のε(λmax)は1.75L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.11L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は15.9であった。
【0413】
(合成例22)式(UVA−18)で表される化合物の合成
【化144】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物3.5部、メチルトリフラート3.2部及びアセトニトリル35部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、炭酸カリウム2.2部、N,N’−ジメチルエチレンジアミン0.8部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−18)で表される化合物0.4部を得た。
【0414】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−18)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.98(s、12H)、2.67(m、4H)、3.44(m、8H)、4.05(m、6H)
LC−MS;[M+H]
+=479.7
【0415】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−18)で表される化合物の極大吸収波長は391.4nmであった。得られた式(UVA−18)で表される化合物のε(λmax)は1.52L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.036L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は42.2であった。
【0416】
(合成例23)式(UVA−19)で表される化合物の合成
【化145】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物3.5部、メチルトリフラート3.2部及びアセトニトリル35部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、炭酸カリウム2.2部、N,N’−ジメチルトリメチレンジアミン1.0部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−19)で表される化合物0.2部を得た。
【0417】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−19)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.99(s、12H)、2.50(m、8H)、2.66(m、6H)、3.32(m、6H)
LC−MS;[M+H]
+=493.7
【0418】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−19)で表される化合物の極大吸収波長は384.9nmであった。得られた式(UVA−19)で表される化合物のε(λmax)は1.63L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.036L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は45.3であった。
【0419】
(実施例25)光選択吸収組成物(10)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−10)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(10)を調製した。
【0420】
(実施例26)光選択吸収組成物(11)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−11)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(11)を調製した。
【0421】
(実施例27)光選択吸収組成物(12)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−12)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(12)を調製した。
【0422】
(実施例28)光選択吸収組成物(13)の調製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−13)で表される化合物とした以外は、実施例1と同様にして光選択吸収組成物(13)を調製した。
【0423】
(実施例29)硬化層付きフィルム(2)の作製
光選択吸収組成物(1)を光選択吸収組成物(11)に代えた以外は実施例10と同様にして、硬化層付きフィルム(2)を得た。
【0424】
(実施例30)硬化層付きフィルム(3)の作製
光選択吸収組成物(1)を光選択吸収組成物(12)に代えた以外は実施例10と同様にして、硬化層付きフィルム(3)を得た。
【0425】
<硬化層付きフィルムの吸光度測定及び吸光度保持率の測定>
硬化層付きフィルム(1)の代わりに、硬化層付きフィルム(2)及び硬化層付きフィルム(3)を用いたこと以外は、上記した<硬化層付きフィルムの吸光度測定>と同様にして吸光度を測定した。
また、サンシャインウェザーメーターへの投入時間を75時間としたこと以外は、上記した<硬化層付きフィルムの吸光度保持率の測定>と同様にして、実施例10で得られた硬化層付きフィルム(1)及び比較例3で得られた硬化層付きフィルム(A3)の吸光度保持率を測定した。
さらに、硬化層付きフィルム(1)の代わりに、硬化層付きフィルム(2)及び硬化層付きフィルム(3)を用い、サンシャインウェザーメーターへの投入時間を75時間としたこと以外は、上記した<硬化層付きフィルムの吸光度保持率の測定>と同様にして吸光度保持率を測定した。
これらの結果を表4に示す。表4には、実施例10で得られた硬化層付きフィルム(1)及び比較例3で得られた硬化層付きフィルム(A3)の吸光度の値も示している。
【0426】
【表4】
【0427】
(実施例31)粘着剤組成物(11)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−10)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(11)を得た。
【0428】
(実施例32)粘着剤組成物(12)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−11)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(12)を得た。
【0429】
(実施例33)粘着剤組成物(13)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−12)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(13)を得た。
【0430】
(実施例34)粘着剤組成物(14)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−13)で表される化合物に変更した以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(14)を得た。
【0431】
(実施例35)粘着剤層(4)及び粘着剤シート(4)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(9)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(4)及び粘着剤シート(4)を作製した。
【0432】
(実施例36)粘着剤層(5)及び粘着剤シート(5)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(11)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(5)及び粘着剤シート(5)を作製した。
【0433】
(実施例37)粘着剤層(6)及び粘着剤シート(6)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(12)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(6)及び粘着剤シート(6)を作製した。
【0434】
(実施例38)粘着剤層(7)及び粘着剤シート(7)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(13)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(7)及び粘着剤シート(7)を作製した。
【0435】
(実施例39)粘着剤層(8)及び粘着剤シート(8)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(14)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(8)及び粘着剤シート(8)を作製した。
【0436】
(実施例40)粘着剤組成物(15)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−18)で表される化合物に変更し、その含有量をアクリル樹脂(A)100質量部に対して1.0質量部とした以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(15)を得た。
【0437】
(実施例41)粘着剤層(9)及び粘着剤シート(9)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(15)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(9)及び粘着剤シート(9)を作製した。
【0438】
<粘着剤シートの吸光度測定及び吸光度保持率の測定>
粘着剤シート(1)の代わりに、粘着剤シート(4)〜粘着剤シート(9)を用いたこと以外は、上記した<粘着剤シートの吸光度測定>及び<粘着剤シートの吸光度保持率の測定>と同様にして吸光度及び吸光度保持率を測定した。その結果を表5に示す。
【0439】
【表5】
【0440】
(合成例24)式(UVA−20)で表される化合物の合成
【化146】
窒素雰囲気下で、式(M−3)で表される化合物17部、炭酸カリウム12.2部、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2.]オクタン ビス(テトラフルオロボラード)(セレクトフルオロ、Air Products and Chemicalsの登録商標)15.9部及びメチルエチルケトン85部を混合し、氷浴中で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(M−11)で表される化合物3.7部を得た。
【0441】
【化147】
窒素雰囲気下で、式(M−11)で表される化合物18部、メチルトリフラート28部及びメチルエチルケトン90部を混合し、20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物に、炭酸カリウム13.0部、マロノニトリル8.4部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−20)で表される化合物5.8部を得た。
【0442】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−20)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.08(s、6H)、1.97(m、4H)、2.40(d、2H)、2.50(d、2H)、3.53(m、2H)、3.86(m、2H)
LC−MS;[M+H]
+=260.5
【0443】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−20)で表される化合物の極大吸収波長は407.5nmであった。得られた式(UVA−20)で表される化合物のε(λmax)は2.30L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.041L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は56.0であった。
【0444】
(合成例25)式(UVA−21)で表される化合物の合成
【化148】
窒素雰囲気下で3−ヒドロキシピペリジン5部、ターシャリーブチルジフェニルシリルクロリド13.6部、イミダゾール6.7部及びジクロロメタン40部を混合し、20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(M−12)で表される化合物10.5部を得た。
【0445】
【化149】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物4.0部、ジイソプロピルエチルアミン3.2部、メチルトリフラート4.0部及びアセトニトリル80部を混合し、20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物に式(M−12)で表される化合物8.3部を加えて20〜30℃で3時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−21)で表される化合物6.5部を得た。
【0446】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−21)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.97(s、6H)、1.04(s、9H)、1.70(m、2H)、1.85(m、2H)、2.48(s、2H)、2.65(s、2H)、3.72(m、2H)、3.94(m、2H)、4.13(m、1H)、7.42〜7.52(m、6H)、7.61〜7.64(m、4H)
LC−MS;[M+H]
+=535.9
【0447】
(合成例26)式(UVA−22)で表される化合物の合成
【化150】
窒素雰囲気下で、式(UVA−21)で表される化合物4.2部及びテトラブチルアンモニウムフルオリド/テトラヒドロフラン1M溶液50部を混合し、20〜30℃で40時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−22)で表される化合物1.8部を得た。
【0448】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−22)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.98(s、6H)、1.59(m、2H)、1.92(m、2H)、2.67(s、2H)、3.68〜3.95(m、4H)、4.97(m、1H)
LC−MS;[M+H]
+=297.5
【0449】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−22)で表される化合物の極大吸収波長は384.6nmであった。得られた式(UVA−22)で表される化合物のε(λmax)は1.43L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.085L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は16.8であった。
【0450】
(合成例27)式(UVA−23)で表される化合物の合成
【化151】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物5.0部、炭酸カリウム3.6部、メチルトリフラート7.7部、アセトニトリル40部を混合し、20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物にアゼチジン2.0部を加えて20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−23)で表される化合物2.3部を得た。
【0451】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−23)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.05(s、6H)、2.14(s、2H)、2.44〜2.53(m、4H)、4.36(t、2H)、4.91(t、2H)
LC−MS;[M+H]
+=253.5
【0452】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−23)で表される化合物の極大吸収波長は377.2nmであった。得られた式(UVA−23)で表される化合物のε(λmax)は1.93L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.028L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は68.9であった。
【0453】
(合成例28)式(UVA−24)で表される化合物の合成
【化152】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物2.5部、炭酸カリウム1.6部、メチルトリフラート2.3部、アセトニトリル25部を混合し、20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物にピペラジン0.6部を加えて20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−24)で表される化合物1.0部を得た。
【0454】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−24)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.93(s、2H)、1.01(s、12H)、1.24(s、2H)、2.65(s、4H)、4.09(m、8H)
LC−MS;[M+H]
+=477.5
【0455】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−24)で表される化合物の極大吸収波長は390.5nmであった。得られた式(UVA−24)で表される化合物のε(λmax)は1.92L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.033L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は58.2であった。
【0456】
(合成例29)式(UVA−25)で表される化合物の合成
【化153】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物2.5部、炭酸カリウム1.6部、メチルトリフラート2.3部、メチルエチルケトン25部を混合し、20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物に1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン1.0部を加えて20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−25)で表される化合物1.0部を得た。
【0457】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−25)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:0.98(m、12H)、1.38〜1.78(m、10H)、2.67(m、6H)、3.40(m、2H)、9.15(m、2H)
LC−MS;[M+H]
+=533.6
【0458】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−25)で表される化合物の極大吸収波長は372.7nmであった。得られた式(UVA−25)で表される化合物のε(λmax)は1.59L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.036L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は44.1であった。
【0459】
(合成例30)式(UVA−26)で表される化合物の合成
【化154】
窒素雰囲気下で、式(M−6)で表される化合物2.5部、炭酸カリウム1.6部、メチルトリフラート2.3部、メチルエチルケトン25部を混合し、20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物に1,2−ビス(エチルアミノ)エタン0.8部を加えて20〜30℃で4時間撹拌させた。得られた混合物から溶媒を留去し、精製して、式(UVA−26)で表される化合物0.9部を得た。
【0460】
LC−MS測定及び
1H−NMR解析を行い、式(UVA−26)で表される化合物が生成したことを確認した。
1H−NMR(重DMSO)δ:1.00(s、12H)、1.29(t、6H)、2.56(s、4H)、2.70(s、4H)、3.85(m、4H)、4.05(m、4H)
LC−MS;[M+H]
+=507.7
【0461】
また、上記と同様にして、極大吸収波長及びグラム吸光係数を測定した。得られた式(UVA−26)で表される化合物の極大吸収波長は390.7nmであった。得られた式(UVA−26)で表される化合物のε(λmax)は1.30L/(g・cm)、ε(λmax+30nm)は0.048L/(g・cm)、ε(λmax)/ε(λmax+30nm)は27.1であった。
【0462】
(実施例42)粘着剤組成物(16)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−23)で表される化合物に変更し、その含有量をアクリル樹脂(A)100部に対して0.5部とした以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(16)を得た。
【0463】
(実施例43)粘着剤組成物(17)の作製
式(UVA−1)で表される化合物を式(UVA−26)で表される化合物に変更し、その含有量をアクリル樹脂(A)100部に対して0.2部とした以外は実施例14と同様にして、粘着剤組成物(17)を得た。
【0464】
(実施例44)粘着剤層(10)及び粘着剤シート(10)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(16)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(10)及び粘着剤シート(10)を作製した。
【0465】
(実施例45)粘着剤層(11)及び粘着剤シート(11)の作製
粘着剤組成物(6)を粘着剤組成物(17)に変更した以外は、実施例23と同様にして粘着剤層(11)及び粘着剤シート(11)を作製した。
【0466】
<粘着剤シートの吸光度測定及び吸光度保持率の測定>
粘着剤シート(1)の代わりに、粘着剤シート(10)及び粘着剤シート(11)を用いたこと以外は、上記した<粘着剤シートの吸光度測定>及び<粘着剤シートの吸光度保持率の測定>と同様にして吸光度及び吸光度保持率を測定した。その結果を表6に示す。
【0467】
【表6】
【0468】
(実施例46)粘着剤組成物(18)の作製
<アクリル樹脂(A−2)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸ブチル96部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル3部、アクリル酸1部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが140万であった。Mw/Mnは4.8であった。これをアクリル樹脂(A−2)とする。
【0469】
<粘着剤組成物(18)の調製>
上記で合成したアクリル樹脂(A−2)の酢酸エチル溶液(樹脂濃度:20%)の固形分100部に対して、架橋剤(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)0.5部、シラン化合物(1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、信越化学工業株式会社製、商品名「KBM3066」)0.3部、式(UVA−6)で表される化合物3部を混合し、さらに固形分濃度が14%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物(18)を得た。なお、上記架橋剤の配合量は、有効成分としての質量部数である。
【0470】
(実施例47)粘着剤組成物(19)の作製
<アクリル樹脂(A−3)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸メチル60部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、アクリル酸10部及びアクリル酸2−フェノキシエチル20部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが92万であった。Mw/Mn=7.8であった。これをアクリル樹脂(A−3)とする。
【0471】
<粘着剤組成物(19)の調製>
アクリル樹脂(A−2)に代えて、上記で合成したアクリル樹脂(A−3)を用いた以外は実施例46と同様にして粘着剤組成物(19)を得た。
【0472】
(実施例48)粘着剤組成物(20)の作製
<アクリル樹脂(A−4)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸ブチル10部、アクリル酸メチル60部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、アクリル酸10部及びアクリル酸2−フェノキシエチル10部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが94万であった。Mw/Mn=8.5であった。これをアクリル樹脂(A−4)とする。
【0473】
<粘着剤組成物(20)の調製>
アクリル樹脂(A−2)に代えて、上記で合成したアクリル樹脂(A−4)を用いた以外は実施例46と同様にして粘着剤組成物(20)を得た。
【0474】
(実施例49)粘着剤組成物(21)の作製
<アクリル樹脂(A−5)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸ブチル20部、アクリル酸メチル50部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、アクリル酸10部及びアクリル酸2−フェノキシエチル10部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが91万であった。これをアクリル樹脂(A−5)とする。
【0475】
<粘着剤組成物(21)の調製>
アクリル樹脂(A−2)に代えて、上記で合成したアクリル樹脂(A−5)を用いた以外は実施例46と同様にして粘着剤組成物(21)を得た。
【0476】
(実施例50)粘着剤組成物(22)の作製
<アクリル樹脂(A−6)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸ブチル50部、アクリル酸メチル10部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、アクリル酸10部及びアクリル酸2−フェノキシエチル20部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが120万であった。これをアクリル樹脂(A−6)とする。
【0477】
<粘着剤組成物(22)の調製>
アクリル樹脂(A−2)に代えて、上記で合成したアクリル樹脂(A−6)を用いた以外は実施例46と同様にして粘着剤組成物(22)を得た。
【0478】
(実施例51)粘着剤組成物(23)の作製
<アクリル樹脂(A−7)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸ブチル60部、アクリル酸メチル10部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、アクリル酸10部及びアクリル酸2−フェノキシエチル10部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが118万であった。これをアクリル樹脂(A−7)とする。
【0479】
<粘着剤組成物(23)の調製>
アクリル樹脂(A−2)に代えて、上記で合成したアクリル樹脂(A−7)を用いた以外は実施例46と同様にして粘着剤組成物(23)を得た。
【0480】
(実施例52)粘着剤組成物(24)の作製
<アクリル樹脂(A−8)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル81.8部、単量体としてアクリル酸ブチル70部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、アクリル酸10部及びアクリル酸2−フェノキシエチル10部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで反応容器内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが110万であった。これをアクリル樹脂(A−8)とする。
【0481】
<粘着剤組成物(24)の調製>
アクリル樹脂(A−2)に代えて、上記で合成したアクリル樹脂(A−8)を用いた以外は実施例46と同様にして粘着剤組成物(23)を得た。
【0482】
<粘着剤層の結晶析出(耐ブリード性)評価>
粘着剤組成物(18)を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック株式会社から入手した商品名「PLR−382190」〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層を作製した。この粘着剤層のもう一方の面にさらにセパレートフィルムを積層させて両面セパレートフィルム付き粘着剤層を得た。得られた粘着剤層の厚みは15μmであった。
【0483】
得られた両面セパレートフィルム付き粘着剤層を温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生した。養生後の両面セパレートフィルム付き粘着剤層を顕微鏡を用いて面内の化合物の結晶析出の有無を確認した。結晶析出がない場合をaと評価し、結晶析出がある場合をbと評価した。評価結果を表7の「養生後」の欄に示す。
また、得られた両面セパレートフィルム付き粘着剤層を温度40℃の空気下で1ヶ月保管した。保管後の両面セパレートフィルム付き粘着剤層を顕微鏡を用いて面内の化合物の結晶析出の有無を確認した。結晶析出がない場合をaと評価し、結晶析出がある場合をbと評価した。評価結果を表7の「40℃ 1M」の欄に示す。
【0484】
粘着剤組成物(18)を、粘着剤組成物(19)〜粘着剤組成物(24)に代えた以外は同様にして、結晶析出の有無を確認した。結果を表7に示す。
【0485】
【表7】
【0486】
(実施例53)粘着剤層(12)及び粘着剤シート(12)の作製
得られた粘着剤組成物(18)を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック株式会社から入手した商品名「PLR−382190」〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層(12)を作製した。得られた粘着剤層の厚みは15μmであった。
【0487】
得られた粘着剤層(12)をラミネータにより、23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムに貼り合わせた後、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生し、粘着剤シート(12)を得た。
【0488】
(実施例54)粘着剤層(13)及び粘着剤シート(13)の作製
粘着剤組成物(18)を粘着剤組成物(19)に変更した以外は、実施例53と同様にして粘着剤層(13)及び粘着剤シート(13)を作製した。
【0489】
(実施例55)粘着剤層(14)及び粘着剤シート(14)の作製
粘着剤組成物(18)を粘着剤組成物(20)に変更した以外は、実施例53と同様にして粘着剤層(14)及び粘着剤シート(14)を作製した。
【0490】
(実施例56)粘着剤層(15)及び粘着剤シート(15)の作製
粘着剤組成物(18)を粘着剤組成物(21)に変更した以外は、実施例53と同様にして粘着剤層(15)及び粘着剤シート(15)を作製した。
【0491】
(実施例57)粘着剤層(16)及び粘着剤シート(16)の作製
粘着剤組成物(18)を粘着剤組成物(22)に変更した以外は、実施例53と同様にして粘着剤層(16)及び粘着剤シート(16)を作製した。
【0492】
(実施例58)粘着剤層(17)及び粘着剤シート(17)の作製
粘着剤組成物(18)を粘着剤組成物(23)に変更した以外は、実施例53と同様にして粘着剤層(17)及び粘着剤シート(17)を作製した。
【0493】
(実施例59)粘着剤層(18)及び粘着剤シート(18)の作製
粘着剤組成物(18)を粘着剤組成物(24)に変更した以外は、実施例53と同様にして粘着剤層(18)及び粘着剤シート(18)を作製した。
【0494】
<粘着剤シートの吸光度保持率の測定>
得られた粘着剤シート(12)を30mm×30mmの大きさに裁断し、セパレートフィルムを剥離して、粘着剤層(12)と無アルカリガラス[コーニング社製の商品名“EAGLE XG”]とを貼合し、これをサンプル(5)とした。作成したサンプル(5)の波長300〜800nm範囲の吸光度を1nmステップ毎に、分光光度計(UV−2450:株式会社島津製作所製)を用いて測定した。測定した波長400nmにおける吸光度を、粘着剤シート(12)の波長400nmの吸光度とした。その結果を表8に示す。なお、シクロオレフィンフィルム単体及び無アルカリガラス単体のいずれも、波長400nmの吸光度は0である。
【0495】
吸光度測定後のサンプル(5)を、温度63℃、相対湿度50%RHの条件でサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)に150時間投入し、耐候性試験を実施した。取り出したサンプル(5)の吸光度を上記と同様の方法で測定した。測定した吸光度から、下記式に基づき、波長400nmにおけるサンプルの吸光度保持率を求めた。結果を表8に示す。吸光度保持率が100に近い値ほど、光選択吸収機能の劣化がなく良好な耐候性を有することを示す。
また、サンプル(5)を、温度63℃、相対湿度50%RHの条件でサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)に225時間投入した場合の吸光度保持率も求めた。
吸光度保持率(%)
=(耐久試験後のA(400)/耐久試験前のA(400))×100
【0496】
粘着剤シート(12)を、粘着剤シート(13)〜粘着剤シート(18)に代えた以外は同様にして吸光度保持率を測定した。結果を表8に示す。
【0497】
【表8】
【0498】
(実施例60)粘着剤シート(19)の作製
23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムを、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルムに変更した以外は、実施例53と同様にして粘着剤シート(19)を作製した。
【0499】
(実施例61)粘着剤シート(20)の作製
23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムを、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルムに変更した以外は、実施例54と同様にして粘着剤シート(20)を作製した。
【0500】
(実施例62)粘着剤シート(21)の作製
23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムを、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルムに変更した以外は、実施例55と同様にして粘着剤シート(21)を作製した。
【0501】
(実施例63)粘着剤シート(22)の作製
23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムを、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルムに変更した以外は、実施例56と同様にして粘着剤シート(22)を作製した。
【0502】
(実施例64)粘着剤シート(23)の作製
23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムを、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルムに変更した以外は、実施例57と同様にして粘着剤シート(23)を作製した。
【0503】
(実施例65)粘着剤シート(24)の作製
23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムを、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルムに変更した以外は、実施例58と同様にして粘着剤シート(24)を作製した。
【0504】
(実施例66)粘着剤シート(25)の作製
23μmの紫外線吸収剤を含まないシクロオレフィンフィルムを、23μmの紫外線吸収剤含有シクロオレフィンフィルムに変更した以外は、実施例59と同様にして粘着剤シート(25)を作製した。
【0505】
<粘着剤シートの吸光度保持率の測定>
得られた粘着剤シート(19)を30mm×30mmの大きさに裁断し、セパレートフィルムを剥離して、粘着剤層(19)と無アルカリガラス[コーニング社製の商品名“EAGLE XG”]とを貼合し、これをサンプル(6)とした。作成したサンプル(5)の波長300〜800nm範囲の吸光度を1nmステップ毎に、分光光度計(UV−2450:株式会社島津製作所製)を用いて測定した。測定した波長405nmにおける吸光度を、粘着剤シート(19)の波長405nmの吸光度とした。その結果を表9に示す。なお、無アルカリガラス単体及びの波長405nmの吸光度は0である。
【0506】
吸光度測定後のサンプル(6)を、温度63℃、相対湿度50%RHの条件でサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)に150時間投入し、耐候性試験を実施した。取り出したサンプル(5)の吸光度を上記と同様の方法で測定した。測定した吸光度から、下記式に基づき、波長405nmにおけるサンプルの吸光度保持率を求めた。結果を表9に示す。吸光度保持率が100に近い値ほど、光選択吸収機能の劣化がなく良好な耐候性を有することを示す。
また、サンプル(6)を、温度63℃、相対湿度50%RHの条件でサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)に225時間投入した場合の吸光度保持率も求めた。
吸光度保持率(%)
=(耐久試験後のA(405)/耐久試験前のA(405))×100
【0507】
粘着剤シート(19)を、粘着剤シート(20)〜粘着剤シート(25)に代えた以外は同様にして吸光度保持率を測定した。結果を表9に示す。
【0508】
【表9】
【0509】
本発明の光学層は、耐候性試験後であっても波長380〜400nmの光吸収機能が良好であり、良好な耐候性(耐久性)を有する。そのため、本発明の光学フィルムは、短波長の可視光による位相差フィルム又は有機EL素子の劣化を抑制する機能を維持することができる。