特開2021-70345(P2021-70345A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-70345(P2021-70345A)
(43)【公開日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】ハブユニット軸受
(51)【国際特許分類】
   B60B 35/02 20060101AFI20210409BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
   B60B35/02 L
   F16C19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-196349(P2019-196349)
(22)【出願日】2019年10月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高梨 晴美
(72)【発明者】
【氏名】若林 達男
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA03
3J701AA32
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701AA72
3J701BA77
3J701FA60
3J701GA03
(57)【要約】
【課題】ハブボルトを取り外した状態でも、制動用回転体が不用意に脱落することを防止でき、かつ、製造コストを低減することができる構造を実現する。
【解決手段】回転フランジ9は、軸方向外側面に、ゴム磁石製の吸着手段13を有する。制動用回転体12は、吸着手段13により磁気吸着されて、回転フランジ9に対し支持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面または外周面に、複列の静止軌道を有する、静止輪と、
内周面と外周面とのうち、前記複列の静止軌道に対向する周面に、複列の回転軌道を有し、かつ、径方向外側に向けて突出した回転フランジを有する、回転輪と、
前記複列の静止軌道と前記複列の回転軌道との間に転動自在に配置された、複数個の転動体と、備え、
前記回転フランジは、円周方向複数箇所に雌ねじ孔を有し、かつ、軸方向外側面に、制動用回転体を吸着支持する吸着手段を有する、
ハブユニット軸受。
【請求項2】
前記吸着手段が、前記回転フランジの軸方向外側面のうち、前記雌ねじ孔よりも径方向外側に位置する部分に配置されている、
請求項1に記載のハブユニット軸受。
【請求項3】
前記吸着手段が、磁石により構成されている、
請求項1または2に記載のハブユニット軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪および制動用回転体は、ハブユニット軸受により懸架装置に対して回転自在に支持される。ハブユニット軸受は、複列の静止軌道を有する静止輪と、複列の回転軌道および回転フランジを有する回転輪と、前記複列の静止軌道と前記複列の回転軌道との間に転動自在に配置された複列の転動体とを備える。前記静止輪は、懸架装置を構成するナックルに支持固定される。前記車輪および制動用回転体は、前記回転フランジに対し支持される。
【0003】
近年、小型化および軽量化のため、車輪を構成するホイールおよび制動用回転体に備えられた通孔を挿通したハブボルトを、回転フランジに備えられた雌ねじ孔に螺合することで、前記ホイールおよび制動用回転体を前記回転フランジに支持するハブユニット軸受が提案されている。ハブボルトを使用するハブユニット軸受では、車輪の交換時に、前記ハブボルトを取り外すと、前記制動用回転体が前記回転フランジに対し支持されていない状態になり、前記制動用回転体が、回転輪のパイロット部から脱落する可能性がある。
【0004】
さらに、前記ハブボルトを使用するハブユニット軸受では、前記ホイールと前記制動用回転体とを前記回転フランジに対して共締めする際に、前記ホイールの通孔と、前記制動用回転体の通孔と、前記回転フランジの雌ねじ孔とのそれぞれの円周方向に関する位相を一致させる必要がある。
【0005】
特開2001−180211号公報(特許文献1)には、制動用回転体のうち、結合部材を挿通するための取付孔から円周方向に外れた部分に小通孔を形成し、かつ、該小通孔に挿通したねじを、回転フランジに形成された小ねじ孔に螺合した、ハブユニット軸受が記載されている。
【0006】
特開2001−180211号公報に記載のハブユニット軸受のように、制動用回転体を、ホイールと共に回転フランジに対して支持するための結合部材とは別のねじにより、回転フランジに支持する構造を採用すれば、前記結合部材としてハブボルトを使用したハブユニット軸受において、車輪の交換に伴い前記ハブボルトを取り外した場合でも、前記制動用回転体が、回転輪のパイロット部から脱落することはない。
【0007】
また、前記制動用回転体を前記回転フランジに前記ねじにより支持した状態で、前記制動用回転体の通孔と、前記回転フランジの雌ねじ孔との円周方向に関する位相は一致する。したがって、前記車輪を構成するホイールと前記制動用回転体とを前記回転フランジに対して共締めする際には、前記ホイールの通孔と、前記回転フランジの雌ねじ孔(および制動用回転体の通孔)との円周方向に関する位相を一致させるだけで良い。このため、車輪の交換作業を容易化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−180211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ホイールおよび制動用回転体を回転フランジに支持するための結合部材としてハブボルトを使用し、かつ、前記制動用回転体を前記回転フランジに対し、ハブボルトとは別のねじによっても支持したハブユニット軸受は、製造コストを低減する面からは改良の余地がある。
【0010】
前記ねじを螺合するための小ねじ孔は、前記回転フランジにタップ加工を施すことにより形成される。しかしながら、肉厚(軸方向厚さ)が大きい前記回転フランジに、内径が小さい前記小ねじ孔をタップ加工により形成すると、工具(タップ)が折損するなどのトラブルが発生しやすく、ハブユニット軸受の製造コストが嵩む原因になる。
【0011】
本発明は、上述のような事情に鑑みて、ハブボルトを使用したハブユニット軸受において、ハブボルトを取り外した状態でも、制動用回転体が不用意に脱落することを防止でき、かつ、製造コストを低減することができる構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のハブユニット軸受は、
内周面または外周面に、複列の静止軌道を有する、静止輪と、
内周面と外周面とのうち、前記複列の静止軌道に対向する周面に、複列の回転軌道を有し、かつ、径方向外側に向けて突出した回転フランジを有する、回転輪と、
前記複列の静止軌道と前記複列の回転軌道との間に転動自在に配置された、複数個の転動体と、を備え、
前記回転フランジは、円周方向複数箇所に雌ねじ孔を有し、かつ、軸方向外側面に、制動用回転体を吸着支持する吸着手段を有する。
なお、本発明のハブユニット軸受に関して、軸方向外側とは、自動車に組みつけた状態での車両の幅方向外側(図1から図3の左側)をいい、軸方向内側とは、自動車に組みつけた状態での車両の幅方向中央側(図1から図3の右側)をいう。
【0013】
前記吸着手段は、前記回転フランジの軸方向外側面のうち、前記雌ねじ孔よりも径方向外側に位置する部分に配置することができる。
または、前記吸着手段は、前記回転フランジの軸方向外側面のうち、前記雌ねじ孔よりも径方向内側に位置する部分、若しくは、前記雌ねじ孔と径方向位置が一致し、かつ、前記雌ねじ孔から円周方向に外れた部分に配置することができる。
【0014】
前記吸着手段は、磁石により構成することができる。あるいは、前記吸着手段は、吸盤により構成することもできる。
【0015】
前記磁石または前記吸盤は、前記回転フランジの軸方向外側面に全周にわたり配置することができる。換言すれば、前記磁石または前記吸盤は、円環状に構成することができる。
あるいは、前記磁石または前記吸盤は、前記回転フランジの軸方向外側面の円周方向複数箇所に配置することができる。
【0016】
前記回転輪は、軸方向外側の端部にパイロット部を有し、
前記パイロット部は、外周面の軸方向内側部分に、前記制動用回転体の中心孔をがたつきなく(微小隙間を持たせた隙間嵌または軽圧入により)外嵌する大径嵌合面部を有し、かつ、外周面の軸方向外側部分に、車輪を構成するホイールの中心孔を外嵌する小径嵌合面部を有することができる。
【0017】
前記静止輪を外輪により構成し、かつ、前記複列の静止軌道を、前記外輪の内周面に備えられた複列の外輪軌道により構成し、
前記回転輪をハブにより構成し、かつ、前記複列の回転軌道を、前記ハブの外周面に備えられた複列の内輪軌道により構成することができる。
【0018】
あるいは、前記静止輪を内方部材により構成し、かつ、前記複列の静止軌道を、前記内方部材の外周面に備えられた複列の内輪軌道により構成し、
前記回転輪を外方部材により構成し、かつ、前記複列の回転軌道を、前記外方部材の内周面に備えられた複列の外輪軌道により構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のハブユニット軸受によれば、ハブボルトを取り外した状態でも、制動用回転体が不用意に脱落することを防止でき、かつ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態の第1例を示す断面図である。
図2図2は、図1の左上部拡大図である。
図3図3は、本発明の実施の形態の第2例を示す、図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態の第1例]
図1および図2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のハブユニット軸受1は、従動輪用のハブユニット軸受であって、静止輪である外輪2と、回転輪であるハブ3と、複数個の転動体4a、4bを備える。
【0022】
外輪2は、内周面に、複列の外輪軌道5a、5bを有し、かつ、軸方向中間部に、径方向外方に突出した静止フランジ6を有する。静止フランジ6は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する支持孔7を有する。外輪2は、静止フランジ6の支持孔7を挿通したボルトにより、懸架装置に対し支持固定され、車輪が回転する際にも回転しない。
【0023】
ハブ3は、外輪2の径方向内側に外輪2と同軸に配置される。ハブ3は、外周面に備えられた複列の内輪軌道8a、8bと、外輪2の軸方向外側の端部よりも軸方向外側に位置する部分に備えられ、かつ、径方向外側に向けて突出した回転フランジ9と、軸方向外側の端部に備えられた、円筒状のパイロット部10とを有する。
【0024】
回転フランジ9は、径方向中間部の円周方向複数箇所に雌ねじ孔11を有し、かつ、軸方向外側面に、ディスクやドラムなどの制動用回転体12を吸着支持するための吸着手段13を有する。
【0025】
本例では、吸着手段13は、磁性粉末をゴム中に混入したゴム磁石により構成され、かつ、回転フランジ9の軸方向外側面のうち、雌ねじ孔11よりも径方向外側に位置する部分に全周にわたって設けられている。すなわち、回転フランジ9の軸方向外側面のうち、雌ねじ孔11よりも径方向外側に位置する部分に凹溝14を全周にわたって設け、凹溝14の内側に、円環状の吸着手段13を配置している。吸着手段13は、凹溝14の底面に接着剤などにより接着支持されている。
【0026】
パイロット部10は、外周面の軸方向内側部分に、制動用回転体12の中心孔15をがたつきなく(微小隙間を持たせた隙間嵌または軽圧入により)外嵌する大径嵌合面部16を有し、かつ、外周面の軸方向外側部分に、車輪を構成するホイール17の中心孔18を外嵌する小径嵌合面部19を有する。
【0027】
本例のハブ3は、内輪20とハブ輪21とを備える。
【0028】
内輪20は、外周面に、複列の内輪軌道8a、8bのうちの軸方向内側の内輪軌道8aを有する。
【0029】
ハブ輪21は、外周面の軸方向中間部に、複列の内輪軌道8a、8bのうちの軸方向外側の内輪軌道8bを有する。さらに、ハブ輪21は、軸方向外側の端部に、円筒状のパイロット部10を有し、かつ、軸方向外側の内輪軌道8bよりも軸方向外側に位置する部分であって、パイロット部10の軸方向内側に隣接する部分に、径方向外側に向けて突出した回転フランジ9を有する。
【0030】
また、ハブ輪21は、軸方向外側の内輪軌道8bよりも軸方向内側に位置する部分に、軸方向外側に隣接する部分よりも外径が小さく、内輪20が外嵌される嵌合筒部22を有する。さらに、ハブ輪21は、嵌合筒部22の軸方向内側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がり、内輪20の軸方向内側の端面を押え付けるかしめ部23を有する。すなわち、ハブ3は、ハブ輪21の嵌合筒部22に内輪20を外嵌した状態で、嵌合筒部22の軸方向外側の端部に存在する段差面24と、かしめ部23との間で内輪20を軸方向両側から挟持して、内輪20とハブ輪21とを結合固定することにより構成されている。ただし、ハブは、内輪とハブ輪とをナットにより結合固定することで構成することもできる。
【0031】
転動体4a、4bは、複列の外輪軌道5a、5bと複列の内輪軌道8a、8bとの間に、それぞれ複数個ずつ、保持器25a、25bにより保持された状態で転動自在に配置されている。これにより、ハブ3は、外輪2の径方向内側に回転自在に支持されている。
【0032】
なお、本例では、転動体4a、4bとして玉を使用しているが、玉に代えて円すいころを使用することもできる。また、本例では、軸方向内側列の転動体4aのピッチ円直径と、軸方向外側列の転動体4bのピッチ円直径とを互いに同じとしているが、本発明は、軸方向内側列の転動体のピッチ円直径と、軸方向外側列の転動体のピッチ円直径とが互いに異なる異径PCD型のハブユニット軸受に適用することもできる。
【0033】
制動用回転体12およびホイール17は、ハブボルト26により、ハブ3の回転フランジ9に結合固定される。すなわち、制動用回転体12の中心孔15を、パイロット部10の大径嵌合面部16にがたつきなく外嵌し、かつ、ホイール17の中心孔18を、パイロット部10の小径嵌合面部19に外嵌した状態で、制動用回転体12およびホイール17の径方向中間部の円周方向複数箇所に備えられた通孔27a、27bを挿通したハブボルト26を、回転フランジ9の雌ねじ孔11に螺合している。これにより、制動用回転体12およびホイール17を、ハブ3の回転フランジ9に結合固定している。
【0034】
本例のハブユニット軸受1では、回転フランジ9は、軸方向外側面に、ゴム磁石製の吸着手段13を備えている。また、ディスクやドラムなどである制動用回転体12は、磁性を有する金属材料により構成されている。したがって、制動用回転体12の中心孔15を、パイロット部10の大径嵌合面部16にがたつきなく外嵌し、かつ、制動用回転体12の軸方向内側面を回転フランジ9の軸方向外側面に当接させた状態で、制動用回転体12は、吸着手段13により磁気吸着されて、回転フランジ9に対し支持される。このため、ハブボルト26を取り外した状態(ハブボルト26により、回転フランジ9と制動用回転体12とホイール17とを共締めする以前の状態)でも、制動用回転体12が、ハブ3のパイロット部10から不用意に脱落することを防止できる。また、回転フランジ9と制動用回転体12とを、雌ねじ孔11と通孔27aとの円周方向に関する位相を一致させた状態で仮止めすることができる。これにより、回転フランジ9と制動用回転体12とホイール17とを、ハブボルト26により共締めする作業を容易化することができる。
【0035】
本例では、回転フランジ9の軸方向外側面にゴム磁石製の吸着手段13を設けることで、ハブボルト26を取り外した状態でも、制動用回転体12が、ハブ3のパイロット部10から不用意に脱落することを防止している。このため、本例のハブユニット軸受1によれば、特開2001−180211号公報に記載のハブユニット軸受のように、肉厚が大きい回転フランジに、内径が小さい小ねじ孔をタップ加工により形成する必要はない。したがって、タップ加工に使用する工具(タップ)が折損するなどのトラブルの発生を防止できて、ハブユニット軸受1の製造コストを抑えることができる。
【0036】
本例のハブユニット軸受1では、制動用回転体12は、中心孔15を、パイロット部10の外周面のうち、軸方向内側部分に備えられた大径嵌合面部16にがたつきなく外嵌している。このため、吸着手段13によって、制動用回転体12が回転フランジ9に対し傾かない程度の力で吸着すれば、重力に基づいて制動用回転体12に加わるモーメント荷重の作用により、制動用回転体12がさらに傾くことを防止できて、制動用回転体12がパイロット部10から脱落しにくくすることができる。
【0037】
なお、回転フランジ9に対する制動用回転体12の傾きを抑える面からは、吸着手段13による制動用回転体12の吸着は、なるべく径方向外側で行うことが望ましい。この点に関して、本例では、吸着手段13は、回転フランジ9の軸方向外側面のうち、雌ねじ孔11よりも径方向外側部分に設けられているため、制動用回転体12が回転フランジ9に対し傾くことを効果的に防止できる。ただし、本発明を実施する場合には、吸着手段を、回転フランジの軸方向外側面のうち、雌ねじ孔よりも径方向内側部分、または、雌ねじ孔と径方向位置が一致する部分(円周方向に隣り合う雌ねじ孔同士の間部分)に設けることもできる。
【0038】
また、本例では、吸着手段13は、回転フランジ9の軸方向外側面に、全周にわたり円環状に設けられているが、本発明を実施する場合、制動用回転体を吸着して脱落することを防止できる限り、吸着手段の形状や個数は特に限定されない。例えば、回転フランジの軸方向外側面の円周方向複数箇所に、吸着手段を設けることができる。この場合、回転フランジの軸方向外側面の円周方向複数箇所に凹部を設け、該凹部の内側に吸着手段を配置する。
【0039】
本例では、吸着手段13は、磁性粉末をゴム中に混入したゴム磁石により構成されているが、本発明を実施する場合、制動用回転体を吸着することができれば、吸着手段を構成する材料や構造は、特に限定されない。例えば、吸着手段を、磁性粉末を熱可塑性の合成樹脂により固めたプラスチック磁石、フェライト磁石など、ゴム磁石以外の永久磁石により構成することもできるし、吸盤により構成することもできる。
【0040】
なお、本例では、ハブ3が中実である(軸方向に貫通する係合孔を備えない)従動輪用のハブユニット軸受1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明のハブユニット軸受は、ハブが、駆動軸を係合するための係合孔を備える駆動輪用のハブユニット軸受に適用することもできる。
【0041】
本例は、ハブ輪21の軸方向中間部外周面に、軸方向外側の内輪軌道8bを直接形成した、いわゆる第3世代のハブユニット軸受1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、第3世代のハブユニット軸受以外のハブユニット軸受にも適用することができる。例えば、本発明は、軸部材に、それぞれの外周面に内輪軌道を有する一対の内輪を外嵌してなるハブを備える、いわゆる第2.5世代のハブユニット軸受に適用することができる。
【0042】
また、本例のハブユニット軸受1は、外輪2が、懸架装置に支持固定される静止輪を構成し、かつ、ハブ3が、制動用回転体およびホイールを支持する回転輪を構成する、いわゆる内輪回転型の構造を有する。ただし、本発明は、外方部材が、制動用回転体およびホイールを支持する回転輪を構成し、かつ、内方部材が、懸架装置に支持固定される静止輪を構成する、いわゆる外輪回転型のハブユニット軸受に適用することもできる。この場合、例えば、内方部材は、それぞれが外周面に、静止軌道である内輪軌道を有する一対の内輪により構成することができる。
【0043】
[実施の形態の第2例]
図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のハブユニット軸受1aでは、回転フランジ9aは、円周方向複数箇所に、制動用回転体12を吸着支持するための吸着手段13aを有する。本例では、吸着手段13aは、ゴムや合成樹脂などの可撓性を有する材料製の吸盤により構成されている。
【0044】
回転フランジ9aは、雌ねじ孔11よりも径方向外側部分に、径方向内側部分よりも肉厚(軸方向厚さ)が小さい薄肉部28を有する。さらに、回転フランジ9aは、薄肉部28の軸方向外側面の円周方向複数箇所に凹部29を有し、かつ、凹部29の底面(軸方向外側を向いた面)と薄肉部28の軸方向内側面とを連通する小通孔30を有する。
【0045】
吸着手段13aは、皿状部31と、皿状部31の軸方向内側面から突出した突起32と、突起32の先端部から径方向外側に向けて突出し、かつ、小通孔30の内径よりも大きい外径を有するストッパ33とを備える。吸着手段13aを回転フランジ9aに支持するには、ストッパ33を弾性的に縮径させた状態で、ストッパ33と突起32とを小通孔30に軸方向外側から挿通し、かつ、皿状部31を凹部29の内側に配置する。その後、ストッパ33を弾性的に復元させ、突起32が小通孔30から抜け落ちることを阻止することで、吸着手段13aを回転フランジ9aに支持する。
【0046】
本例では、制動用回転体12の軸方向内側面を、回転フランジ9aの軸方向外側面に押し付けることに伴い、吸着手段13aの皿状部31が弾性変形すると、皿状部31の内面と制動用回転体12の軸方向内側面との間の空気が抜けて圧力が下がる。この結果、制動用回転体12は、吸着手段13aにより吸着されて、回転フランジ9aに対し支持される。
【0047】
なお、制動用回転体12をハブ3aから取り外す際には、ストッパ33を軸方向外側に向けて押圧する。これにより、皿状部31を押し潰すように弾性変形させ、皿状部31の内面と制動用回転体12の軸方向内側面との間に空気を導入し、吸着手段13aによる吸着力を喪失させる。
【0048】
上述のように、本例のハブユニット軸受1aでは、制動用回転体12をハブ3aから取り外す際に、吸着手段13aによる吸着力を容易に喪失させることができ、制動用回転体12の取り外し作業を容易に行う(小さな力で行う)ことができる。
【0049】
なお、本例では、吸着手段13aは、回転フランジ9の軸方向外側面のうち、雌ねじ孔11よりも径方向外側部分に設けられている。ただし、吸着手段として吸盤を用いる場合であっても、吸着手段を、回転フランジの軸方向外側面のうち、雌ねじ孔よりも径方向内側部分、または、雌ねじ孔と径方向位置が一致する部分(円周方向に隣り合う雌ねじ孔同士の間部分)に設けることもできる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
【符号の説明】
【0050】
1、1a ハブユニット軸受
2 外輪
3、3a ハブ
4a、4b 転動体
5a、5b 外輪軌道
6 静止フランジ
7 支持孔
8a、8b 内輪軌道
9、9a 回転フランジ
10 パイロット部
11 雌ねじ孔
12 制動用回転体
13、13a 吸着手段
14 凹溝
15 中心孔
16 大径嵌合面部
17 ホイール
18 中心孔
19 小径嵌合面部
20 内輪
21 ハブ輪
22 嵌合筒部
23 かしめ部
24 段差面
25a、25b 保持器
26 ハブボルト
27a、27b 通孔
28 薄肉部
29 凹部
30 小通孔
31 皿状部
32 突起
33 ストッパ
図1
図2
図3