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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-85226(P2021-85226A)
(43)【公開日】2021年6月3日
(54)【発明の名称】屋根構造及び建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/02 20060101AFI20210507BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20210507BHJP
【FI】
   E04B7/02 502
   E04B1/94 F
   E04B1/94 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-214963(P2019-214963)
(22)【出願日】2019年11月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】植村 敏正
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DD01
2E001DD05
2E001DE01
2E001FA16
2E001FA18
2E001GA06
2E001GA12
2E001GA24
2E001HA01
2E001HA07
2E001HA32
2E001HA33
2E001HD02
2E001HD09
(57)【要約】
【課題】 建物の設備機器を設置できる水平面を有する屋根構造であり、建物のデザイン性が低下することを抑制できる屋根構造を提供する。
【解決手段】屋根構造1は、水平に形成される床版40が敷設された陸屋根部4と、前記陸屋根部4の外周から立ち上がって形成される立ち上がり部5と、前記立ち上がり部5の上端から軒先に向かって下り勾配の勾配屋根部6と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に形成される床版が敷設された陸屋根部と、
前記陸屋根部の外周から立ち上がって形成される立ち上がり部と、
前記立ち上がり部の上端から軒先に向かって下り勾配の勾配屋根部と、を備えることを特徴とする屋根構造。
【請求項2】
前記勾配屋根部の下方に外壁材が立設される建物の屋根構造であって、
前記陸屋根部の床版から軒先側に水平に延びて形成され、前記勾配屋根部の下方に延びる延長床版を、更に備え、
前記床版及び前記延長床版を含む耐火材が連続して配置されて、屋根耐火ラインを形成し、
当該屋根耐火ラインは、前記延長床版から外壁材の上端に接続されることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記延長床版は、軒先側を低くする段差が形成されることを特徴とする請求項2に記載の屋根構造。
【請求項4】
前記段差は、前記延長床版の厚さ以下であることを特徴とする請求項3に記載の屋根構造。
【請求項5】
前記床版及び前記延長床版を支持する梁を被覆する耐火被覆材が設けられ、
前記屋根耐火ラインは、前記床版、前記延長床版、及び前記耐火被覆材により連続して配置されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の屋根構造。
【請求項6】
前記床版及び前記延長床版の下面に断熱材が吹き付けられるとともに、前記耐火被覆材にシート材を貼付して当該シート材に断熱材が吹きつけられることを特徴とする請求項5に記載の屋根構造。
【請求項7】
請求項1の屋根構造が設けられる建物であって、
平面視した場合に外壁材が配置されて形成される外壁ラインの一部が屋内側に窪んで凹部が設けられており、
当該凹部は、平面視した場合に、前記立ち上がり部が設けられる前記陸屋根部の外周ラインよりも内側に前記外壁ラインが形成されることを特徴とする建物。
【請求項8】
前記凹部は、前記床版の下面にから前記外壁材の上端に接続される屋根耐火ラインが形成されることを特徴とする請求項7に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根構造及び建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、陸屋根の屋上を形成し、当該屋上に空気調和機の室外機、排煙機、高置水槽、エレベータの機械室などの設備を設置した建物が知られている(特許文献1参照)。陸屋根の屋上に設備を設置すれば保守作業の際に足場を設ける必要がなく、メンテナンスを容易にすることができる。また、寄棟などの勾配屋根に室外機等を設置するための架台も知られている(特許文献2参照)。建物のデザイン上、陸屋根ではなく、勾配屋根とした場合であっても、屋根に室外機等を設置でき、空間利用効率を高めることができる。
【0003】
また、従来より、水平な屋根スラブの上に切妻屋根の置屋根を設けた蔵が知られている(特許文献3参照)。気密性や断熱性を屋根スラブで受け持つことで、切妻屋根の性能を問わず蔵としての温度や湿度を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−198000号公報
【特許文献2】特開2008−045825号公報
【特許文献3】特開平9−88375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
陸屋根上に設備機器を設置する建物は、メンテナンス等において有利ではあるが、建物のデザインが制限される問題がある。また、勾配屋根の上に架台を設置して室外機などの設備機器を設置した場合、屋根の上の室外機が外部から見えて、建物の意匠性を低下させる問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、建物の設備機器を設置できる水平面を有する屋根構造であり、建物のデザイン性が低下することを抑制できる屋根構造及び建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の屋根構造は、水平に形成される床版が敷設された陸屋根部と、前記陸屋根部の外周から立ち上がって形成される立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から軒先に向かって下り勾配の勾配屋根部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の第二の屋根構造は、前記勾配屋根部の下方に外壁が立設される建物の屋根構造であって、前記陸屋根部の床版から軒先側に延びて形成され、前記勾配屋根部の下方にもぐりこむ延長床版を、更に備え、前記床版及び前記延長床版を含む耐火材が連続して配置されて、屋根耐火ラインを形成し、当該屋根耐火ラインは、前記延長床版から外壁材の上端に接続されることを特徴としている。
【0009】
本発明の第三の屋根構造は、前記延長床版は、軒先側を低くする当該延長床版の厚さ以下の段差が形成されることを特徴としている。
【0010】
本発明の第四の屋根構造は、前記床版及び前記延長床版を支持する梁を被覆する耐火被覆材が設けられ、前記屋根耐火ラインは、前記床版、前記延長床版、及び前記耐火被覆材により連続して配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明の第五の屋根構造は、前記床版及び前記延長床版の下面に断熱材が吹き付けられるとともに、前記耐火被覆材にシート材を貼付して当該シート材に断熱材が吹きつけられることを特徴としている。
【0012】
本発明の建物は、第一の屋根構造が設けられる建物であって、平面視した場合に外壁材が配置されて形成される外壁ラインの一部が屋内側に窪んで凹部が設けられており、当該凹部は、平面視した場合に、前記立ち上がり部が設けられる前記陸屋根部の外周ラインよりも内側に前記外壁ラインが形成されることを特徴としている。
【0013】
本発明の建物は、前記凹部は、前記床版の下面にから前記外壁材の上端に接続される耐火ラインが形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第一の屋根構造によると、陸屋根部の外周に立ち上がり部が立ち上がり、立ち上がり部の上端から軒先に向かって下り勾配の勾配屋根部が形成されているので、立ち上がり部が目隠しとなって陸屋根部が視認できなくなるので、陸屋根部に空気調和機の室外機などの設備を設置しても建物のデザインを損なうことがない。立ち上がり部の上端から下り勾配の勾配屋根部が形成されているので、陸屋根部を有しつつ、屋外から建物を見上げたときに勾配屋根の屋根構造であると認識させることができる。
【0015】
本発明の第二の屋根構造によると、陸屋根部の床版から軒先側に延長床版が延びて、勾配屋根部の下方にもぐりこんでおり、床版及び延長床版を含む耐火材が連続して配置されて屋根耐火ラインを形成しており、当該屋根耐火ラインが、延長床版から外壁材の上端に接続されているので、勾配屋根部を耐火仕様としなくても、屋根耐火ラインと外壁材とで建物の耐火性を保つことができる。
【0016】
本発明の第三の屋根構造によると、延長床版は、軒先側を低くする延長床版の厚さ以下の段差が形成されるので、勾配屋根部と干渉することなく延長床版を配置することができる。
【0017】
本発明の第四の屋根構造によると、屋根耐火ラインは、床版、延長床版、及び梁を被覆する耐火被覆材により連続して配置されるので、屋根耐火ラインの耐火性能を確実なものとすることができる。
【0018】
本発明の第五の屋根構造によると、床版及び延長床版の下面に断熱材が吹き付けられており、耐火被覆材にシート材を貼付して当該シート材に断熱材が吹きつけられるので、耐火被覆材の耐火性能を損なうことなく、床版、延長床版、及び耐火被覆材の屋根耐火ラインに断熱気密性を持たせることができる。
【0019】
本発明の建物によると、外壁ラインの一部が陸屋根部の外周ラインよりも内側に形成されるので、建物の外部からみて軒の深い勾配屋根の建物であると認識させることができる。
【0020】
本発明の建物によると、凹部は、床版の下面にから外壁材の上端に接続される耐火ラインが形成されるので、勾配屋根部を耐火仕様としなくても、建物の耐火性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】屋根構造が形成される建物の外観構成を説明する簡略斜視図。
図2】屋根構造及び外壁ラインを説明する平面図。
図3】外壁ラインが軒先から約1000mmの位置である屋根構造の外周部分の構成を説明する図2のI−I線断面図。
図4図3のA部分拡大図。
図5図3のB部分拡大図。
図6】外壁ラインが軒先から約1500mmの位置である屋根構造の外周部分の構成を説明する図2のII−II線断面図。
図7】外壁ラインが軒先から約2000mmの位置である屋根構造の外周部分の構成を説明する図2のIII−III線断面図。
図8】外壁ラインが軒先から陸屋根部の外周ラインに接近した位置である屋根構造の外周部分の構成を説明する図2のIV−IV線断面図。
図9】外壁ラインが陸屋根部の外周ラインよりも屋内側の位置である屋根構造の外周部分の構成を説明する図2のV−V線断面図。
図10】外壁から屋外方向に突出する袖壁部が形成されており、当該袖壁部に挟まれた外壁ラインが屋内側に窪んで形成された凹部を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の屋根構造1及び建物2の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。屋根構造1が設けられる建物2は、各種の設備機器類3aから3fが、後述する陸屋根部4に設置される建物2である。建物2は、図1に示すように、例えば宿泊施設、商業施設、オフィス、集合住宅である。屋根構造1が設けられる建物2は、これに限定されるものではなく、戸建住宅を含む居住性の建物2や様々な非居住性の建物2であってもよい。本実施形態における建物2は、複数の客室を有する3階建のホテルであり、各部屋の空気調和機の室外機3aなどの設備が屋上が形成される陸屋根部4に配置されるものである。なお、本発明の建物2は、3階建に限定されるものではないが、建物2のデザイン上、勾配屋根のように見える屋根形状が好まれる低層又は中層の建物2が好ましい。
【0023】
建物2は、H形鋼の柱と梁とを組み合わせて構造躯体を形成する鉄骨造の建物2であり、構造躯体に、押出成形セメント板の外壁材10と、ALCの床版40とを固定して形成している。建物2は、図2に示すように、平面視した場合に略矩形で、外壁材10で形成される外壁は、平面視した場合に複数の凹凸が形成されている。外壁には複数の袖壁部11が形成されており、袖壁部11に挟まれた外壁の一部は、図10に示すように、後述する立ち上がり部5よりも屋内側に窪んだ凹部12を形成している。
【0024】
屋根構造1は、図3に示すように、水平な床版40が敷設された陸屋根部4と、陸屋根部4の外周から立ち上がって形成される立ち上がり部5と、立ち上がり部5の上端から軒先に向かって下り勾配の勾配屋根部6と、勾配屋根部6の下方に延びる延長床版8と、を備える。
【0025】
陸屋根部4は、図4に示すように、H形鋼で形成される梁の上に水平なALC製の床版40が敷設され、床版40の上にわずかな水勾配を形成するポリスチレンフォームやフェノールフォームの勾配断熱材41が敷設され、勾配断熱材41の上にガラスクロスシート42を貼り付けて、その上に例えばポリエステルの防水シート43を貼り付けて歩行可能に形成されている。勾配断熱材41は陸屋根部4の内側に向かって下り勾配に形成されており、陸屋根部4の中央に設けられた図示しないドレイン口に雨水を導いている。
【0026】
陸屋根部4には、図1及び図2に示すように、空気調和機の室外機3a、屋上集合排出BOX3b、調理場からの排気を屋外に放出する排気ダクト3c、屋上点検口3d、下階の階段と繋がる屋上点検用出入口3e、エレベータの機械室3fなどの設備機器類3aから3fが形成されている。室外機3aは、図示を省略する架台の上に載置されており、陸屋根部4の表面を流れる雨水によって設備機器類3aから3fが故障することを防止している。なお、陸屋根部4に設置される設備機器類3aから3fはこれに限定されるものではなく、例えば放送受信用のアンテナなどの各種アンテナが設けられていてもよい。また、陸屋根部4は、各種の設備機器類3aから3fのみが設置されるものに限定されるものではなく、例えば、洗濯物干しスペースや屋上ガーデニングスペース等の様々な用途に活用されるスペースを有していても良い。
【0027】
立ち上がり部5は、図4に示すように、床版40の上に立ち上がる壁材50と、壁材50の上端に配置される片流水切51と、を有している。立ち上がり部5は、陸屋根部4の周縁に形成されており、略矩形で、一方の長辺の概ね半分の長さが僅かにセットバックして形成されている。陸屋根部4の防水シート43は立ち上がり部5の壁材50の下端に立ち上がって貼り付けられており、陸屋根部4の床版40と壁材50との突合せ部分の防水性を保っている。立ち上がり部5の高さは、床版40が固定される梁天端から約943mmである。陸屋根部4の上面から立ち上がり部5の上端までの長さは陸屋根部4に若干の勾配があるため位置によって異なるが、700mm〜800mm程度である。陸屋根部4の上に設置される設備機器類3aから3fの高さにもよるが、立ち上がり部5及び勾配屋根部6によって設備機器類3aから3fの少なくとも下側の部分が隠されることとなり、陸屋根部4上に設置される設備機器類3aから3fによって建物2の意匠性が損なわれることを抑制することができる。
【0028】
立ち上がり部5の上端から軒先側に下り勾配で延びる勾配屋根部6は、図3から図5に示すように、立ち上がり部5の上端から軒先までの水平方向の長さが約4mである。勾配屋根部6は例えば2.5寸勾配の片流れ状に形成されている。勾配屋根部6の軒先に向かう水平方向の長さは、上述のものに限定されるものではない。また、勾配寸法は上述のものに限定されるものではなく、例えば4寸勾配や6寸勾配であってもよい。勾配屋根部6は、床版40が載置されて固定され、軒先に向かって水平に延びるH形鋼の水平梁13、水平梁13の間に架設される複数の架設梁14の上に形成される。
【0029】
勾配屋根部6は、立ち上がり部5の壁材50の軒側に位置し、水平梁13から立ち上がる支持束60と、支持束60の上に配置される棟梁61と、一端が棟梁61に接合され、他端が水平梁13の中間位置に接合された支持プレート62に接合される斜材63と、斜材63の上で棟梁61及び軒先側の軒先梁15の間に架設される登り梁64と、複数の登り梁64の間に架設される鉄母屋65と、軒先梁15の更に軒先側に延びる勾配を有する腕木66と、登り梁64及び腕木66の上に敷設される野地板67、ルーフィング68、及び屋根材69とを備える。勾配屋根部6の軒先には軒樋70が配置されて、勾配屋根部6の上面を伝った雨水は、軒樋70を経て、図示しない竪樋に流れる。
【0030】
屋根構造1は、陸屋根部4の防水シート43、立ち上がり部5の片流水切51、及び勾配屋根部6のルーフィング68で防水ラインが形成されている。また、勾配屋根部6は、小屋裏に耐火被覆や断熱材が設けられておらず、勾配屋根部6は、耐火性や気密・断熱性を有していない。
【0031】
延長床版8は、図3、及び図6から図9に示すように、建物2を平面視した場合に外壁材10が立設される外壁ラインLと、立ち上がり部5が形成される陸屋根部4の外周ラインLの位置関係によって態様が異なる。本実施形態ではどの位置であっても、立ち上がり部5が設けられる陸屋根部4の外周ラインLは軒先から約4mで固定されているが、外壁ラインLは、位置によっての軒先からの距離が変化している。
【0032】
まず、図3に示すように、外壁ラインLが軒先から約1000mmの位置である場合の延長床版8の態様を説明する。外壁ラインLが陸屋根部4の外周ラインLよりも屋外側に配置されている箇所、即ち、建物2を平面視した場合に外壁材10が立設される外壁ラインLが、勾配屋根部6の下方となる位置に配置されている場合には、延長床版8は、陸屋根部4の床版40の側縁から水平方向に延びるように設けられて、勾配屋根部6の下方に潜り込んで延びている。
【0033】
延長床版8はALC板で形成されており、図3及び図5に示すように、外壁材10の上端の近傍にまで延びている。延長床版8は陸屋根部4に近い部分が、陸屋根部4の床版40と面一に連続するように延びて、水平梁13の上に載置されて固定されており、軒先側が段差82を設けて下げられている。延長床版8はこのような段差82を設けられることで、延長床版8と勾配屋根部6の野地板67との干渉を避けることができる。
【0034】
外壁ラインLが軒先から約1000mmの位置である場合には、延長床版8は2段の段差82が設けられている。段差82を2段設けることで、一段ごとの延長床版8の下げ幅を小さくすることができる。段差82は、延長床版8の厚さ以下であることが好ましい。仮に段差82が延長床版8の厚さ以上であれば、延長床版8の間に隙間が形成されることとなり、段差82を挟んだ上下の延長床版8の間に例えば耐熱ロックウールなどの耐火材を配置する必要が生じるが、段差82を延長床版8の厚さ以下とすることで延長床版8同士を突き合せた位置に隙間が生じることが無く、耐火材を追加で配置する必要がなくなり、施工性を向上させることができる。
【0035】
延長床版8の段差82より軒先側の下がった部分には水平梁13、及び水平梁13の間に架設される架設梁14の上側のフランジにZ字状の固定金具80を介して固定されており、延長床版8の側面と水平梁13及び架設梁14の上側のフランジとの間に形成された溝にモルタル81を打設して、これらの梁の上側を覆っている。陸屋根部4の床版40及び延長床版8を固定する水平梁13及び架設梁14は耐熱ロックウールなどの耐火被覆材83で床版40及び延長床版8から下方に突き出た部分が覆われている。
【0036】
延長床版8の軒先側の端部は、軒先梁15に固定金具80を介して固定されており、耐火被覆材83が延長床版8の軒先側の端部の下面から押出成形セメント板の外壁材10の屋内面まで、軒先梁15の屋外側及び屋内側を覆うように形成されている。
【0037】
屋根構造1は、耐火性を有するALC板である床版40及び延長床版8と、耐火被覆材83が外壁材10の上端まで連続して配置されており、屋根耐火ラインを形成している。このように、床版40、延長床版8、及び耐火被覆材83で連続する屋根耐火ラインを形成するので、勾配屋根部6を耐火仕様としなくても、屋根耐火ラインと外壁材10とで建物2の耐火性を保つことができる。また、床版40及び延長床版8の下面には、発泡ウレタンの断熱材84が吹き付けられて断熱層を形成しており、耐火被覆材83にはポリエチレンのシート材85が貼り付けられ、当該シート材85に断熱材84が吹きつけられて断熱層を形成している。屋根構造1は、これらの断熱材84によって外壁材10の上端まで連続する断熱・気密ラインが形成されている。
【0038】
このように屋根構造1は、床版40、延長床版8、及び耐火被覆材83が連続して配置され、屋根耐火ライン、及び断熱・気密ラインを形成するので、勾配屋根部6に耐火性、断熱・気密性が求められず、施工性を高めることができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、延長床版8の軒先側の端部は、外壁材10の上端との間に間隔が設けられており、軒先梁15を被覆する耐火被覆材83を介して、屋根耐火ラインが外壁材10の上端に接続されているが、本発明の屋根構造1は、これに限定されるものではない。例えば、延長床版8の軒先側の端部と外壁材10の上端とが互いに当接し突き合わされることで屋根耐火ラインが外壁材10の上端に接続されるものであっても良い。この場合でも、軒先梁15の端部は耐火被覆材83で被覆され、延長床版8の下面、及びシート材85が貼り付けられた耐火被覆材83に、断熱材84が吹きつけられることで、断熱・気密ラインを外壁の内側に形成される図示しない壁内断熱材に接続する。
【0040】
次に、図6に示すように、外壁ラインLが軒先から約1500mmの位置である場合の延長床版8の態様を説明する。延長床版8は、陸屋根部4の床版40から勾配屋根部6の下方に面一に水平に延びて形成され、斜材63と干渉しないように、段差82を設けて軒先側が下げられて形成されている。延長床版8の軒先側の端部は外壁ラインL近傍に形成された架設梁14まで延びている。延長床版8の軒先方向への突出長さは、前述の外壁ラインLが軒先から約1000mmの位置である場合に比べて、500mm短いので、段差82が1段であっても、勾配屋根部6の斜材63や野地板67と干渉することなく延長床版8を配置することができる。
【0041】
延長床版8の軒先側の端部は、架設梁14に固定金具80を介して固定されており、耐火被覆材83が延長床版8の軒先側の端部の下面から押出成形セメント板の外壁材10の屋内面まで、架設梁14の屋外側及び屋内側を覆うように形成されている。また、陸屋根部4の床版40及び延長床版8を固定する水平梁13及び架設梁14は耐熱ロックウールなどの耐火被覆材83で床版40及び延長床版8から下方に突き出た部分が覆われている。床版40及び延長床版8の下面には、発泡ウレタンの断熱材84が吹き付けられて断熱層を形成しており、耐火被覆材83にはポリエチレンのシート材85が貼り付けられ、当該シート材85に断熱材84が吹きつけられて断熱層を形成している。このように延長床版8は外壁ラインLの近くまで延びていれば、床版40、延長床版8、及び耐火被覆材83が屋根構造1に連続して配置されることとなり、屋根耐火ライン、断熱・気密ラインを形成することができる。
【0042】
次に、図7に示すように、外壁ラインLが、軒先から約2000mmの位置である場合の延長床版8の態様を説明する。延長床版8は、陸屋根部4の床版40から面一に勾配屋根部6の下方に水平に延びており、段差82が設けられていない。延長床版8の軒先側の端部は外壁ラインL近傍に形成された架設梁14まで延びている。延長床版8の軒先方向への突出長さは、前述の外壁ラインLが軒先から約1000mmの位置である場合に比べて、1000mm短いので、段差82が無くても、勾配屋根部6の斜材63や野地板67と干渉することなく延長床版8を配置することができる。
【0043】
そして、延長床版8の軒先側の端部は、架設梁14の上側のフランジ上に固定されており、耐火被覆材83が架設梁14の周りを被覆し、押出成形セメント板の外壁材10の屋内面まで、覆っている。また、陸屋根部4の床版40及び延長床版8を固定する水平梁13及び架設梁14は耐熱ロックウールなどの耐火被覆材83で床版40及び延長床版8から下方に突き出た部分が覆われているとともに、床版40及び延長床版8の下面には、発泡ウレタンの断熱材84が吹き付けられて断熱層を形成しており、耐火被覆材83にはポリエチレンのシート材85が貼り付けられ、当該シート材85に断熱材84が吹きつけられて断熱層を形成している。床版40、延長床版8、及び耐火被覆材83が屋根構造1に連続して配置されて、屋根耐火ライン、断熱・気密ラインを形成している。
【0044】
次に、図8に示すように、外壁ラインLが軒先から陸屋根部4の外周ラインLに接近した位置である場合、及び、図9に示すように、外壁ラインLが陸屋根部4の外周ラインLよりも屋内側の位置である場合には、延長床版8は設けられていない。このような平面視した場合に、外壁ラインLが軒先から陸屋根部4の外周ラインLに接近し、または、外壁ラインLが陸屋根部4の外周ラインLよりも屋内側となる位置の両側には、図10に示すように、外壁から屋外方向に突出する袖壁部11が形成されており、当該袖壁部11に挟まれた外壁ラインLが屋内側に窪んだ凹部12となっている。
【0045】
凹部12は例えば幅4m以下で、軒の深さが3m〜4mに形成されている。凹部12の寸法はこれに限定されるものではない。袖壁部11の内部には構造柱16が立設されており、凹部12の上の勾配屋根部6を支持している。このように、凹部12の両側の袖壁部11に構造柱16が立設されることで、凹部12には独立柱を設ける必要がない。したがって、柱の無い凹部12が設けられることで、軒の深い印象の建物2とすることができる。なお凹部12の幅は、勾配屋根部6を支える為に構造柱16を配置する必要があるスパン以下とすることで、凹部12に柱を設けないように設計することができる。
【0046】
陸屋根部4の床版40は、架設梁14の上面に固定されており、耐火被覆材83が架設梁14の周りを被覆し、押出成形セメント板の外壁材10の屋内面まで、覆っている。また、陸屋根部4の床版40を固定する水平梁13及び架設梁14は耐熱ロックウールなどの耐火被覆材83で床版40から下方に突き出た部分が覆われているとともに、床版40の下面には、発泡ウレタンの断熱材84が吹き付けられて断熱層を形成しており、耐火被覆材83にはポリエチレンのシート材85が貼り付けられ、当該シート材85に断熱材84が吹きつけられて断熱層を形成している。床版40及び耐火被覆材83が屋根構造1に連続して配置されて、屋根耐火ライン、断熱・気密ラインを形成している。
【0047】
このように構成すると、建物2の外部からみて軒の深い勾配屋根部6の建物2であると認識させることができ、建物2の意匠性を向上させることができ、床版40の下面にから外壁材10の上端に接続される屋根耐火ラインが形成されるので、勾配屋根部6を耐火仕様としなくても、建物2の耐火性を保つことができる。
【0048】
なお、建物2を平面視した場合に外壁材10が立設される外壁ラインLと、立ち上がり部5が形成される陸屋根部4の外周ラインLの位置関係は上述のものに限定されるものではない。本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る屋根構造1及び建物2は、例えば宿泊施設の屋根構造1及び宿泊施設として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 屋根構造
2 建物
4 陸屋根部
5 立ち上がり部
6 勾配屋根部
8 延長床版
10 外壁材
12 凹部
82 段差
83 耐火被覆材
84 断熱材
85 シート材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10