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特開2021-93243燃料電池モジュールおよび燃料電池スタック、ならびに燃料電池モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-93243(P2021-93243A)
(43)【公開日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】燃料電池モジュールおよび燃料電池スタック、ならびに燃料電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0247 20160101AFI20210521BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20210521BHJP
   H01M 8/0271 20160101ALI20210521BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20210521BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20210521BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20210521BHJP
【FI】
   H01M8/0247
   H01M8/10 101
   H01M8/0271
   H01M8/02
   H01M8/0276
   H01M8/2465
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-221451(P2019-221451)
(22)【出願日】2019年12月6日
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】田口 良文
(72)【発明者】
【氏名】上山 康博
(72)【発明者】
【氏名】吉原 康通
(72)【発明者】
【氏名】国吉 こずえ
(72)【発明者】
【氏名】藤井 努
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126AA13
5H126AA22
5H126BB06
5H126DD04
5H126DD05
5H126EE11
(57)【要約】
【課題】発電性能を向上させることができる燃料電池モジュールを提供する。
【解決手段】燃料電池モジュールは、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の第1の主面に設けられたアノード電極と、高分子電解質膜の第2の主面に設けられたカソード電極と、を有する膜−電極接合体と、膜−電極接合体を挟み込む一対のセパレータと、膜−電極接合体と、一対のセパレータのそれぞれと、を接着して封止する封止部材とを備え、封止部材は、膜−電極接合体の外周部よりも面方向内側の内側領域上において厚み方向に貫通した開口部を有し、膜−電極接合体の外周部と、膜−電極接合体に面する一対のセパレータのそれぞれの外周部とを接着し、封止部材の内縁部上の一対のセパレータ間の距離は、封止部材の外縁部上の一対のセパレータ間の距離よりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の第1の主面に設けられたアノード電極と、前記高分子電解質膜の第2の主面に設けられたカソード電極と、を有する膜−電極接合体と、
前記膜−電極接合体を挟み込む一対のセパレータと、
前記膜−電極接合体と、前記一対のセパレータのそれぞれと、を接着して封止する封止部材と、
を備え、
前記封止部材は、前記膜−電極接合体の外周部よりも面方向内側の内側領域上において厚み方向に貫通した開口部を有し、前記膜−電極接合体の外周部と、前記膜−電極接合体に面する前記一対のセパレータのそれぞれの外周部と、を接着し、
前記封止部材の内縁部上の前記一対のセパレータ間の距離は、前記封止部材の外縁部上の前記一対のセパレータ間の距離よりも大きい、燃料電池モジュール。
【請求項2】
前記一対のセパレータのうちの少なくとも一方は、外周部から中央部に向かうにつれて、厚み方向に膨らんで形成される、請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記第1の主面に垂直な方向から見たときに、前記封止部材の外縁の少なくとも一部が、前記一対のセパレータのうちの少なくとも一方の外縁よりも内側に位置する、請求項1又は2に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記第1の主面に垂直な方向から見たときに、前記封止部材の外縁の少なくとも一部が、前記一対のセパレータの両方の外縁よりも内側に位置する、請求項3に記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
前記封止部材の外縁は、前記第1の主面に垂直な方向から見たときに、前記封止部材の中心から対称に配置された位置において、前記一対のセパレータのうちの少なくとも一方の外縁よりも内側に位置する、請求項3又は4に記載の燃料電池モジュール。
【請求項6】
前記封止部材の外縁は、前記第1の主面に垂直な方向から見たときに、前記封止部材の中心から対称に配置された位置において、前記一対のセパレータの両方の外縁よりも内側に位置する、請求項5に記載の燃料電池モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料電池モジュールを少なくとも2つ有し、
少なくとも2つの前記燃料電池モジュールは積層され、かつ締結されている、燃料電池スタック。
【請求項8】
高分子電解質膜、前記高分子電解質膜の第1の主面に設けられたアノード電極、および前記高分子電解質膜の第2の主面に設けられたカソード電極を有する膜−電極接合体と、一対のセパレータと、封止部材と、を準備する準備工程と、
前記膜−電極接合体の外周部を挟むように前記封止部材を配置し、前記膜−電極接合体および前記封止部材を挟むように前記一対のセパレータを配置する配置工程と、
前記封止部材の内縁部よりも大きい圧力を前記封止部材の外縁部にかけた状態で封止する封止工程と、
を含む、燃料電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池モジュールおよび燃料電池スタック、ならびに燃料電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の燃料電池モジュールは、膜−電極接合体が一対のセパレータにより挟まれており、膜−電極接合体と一対のセパレータのそれぞれとが、少なくとも一部に繊維を含有する樹脂部により接着されて一体に接合されている。
【0003】
特許文献2に記載の燃料電池スタックは、電解質膜を一対の電極層で挟持した構造を有する膜−電極接合体と、膜−電極接合体との間にガス流路を形成する一対のセパレータと、燃料電池単セルを積層した状態で積層方向の変位を吸収可能な変位吸収部材とを備える。当該変位吸収部材は、導電性を有し、且つ一方のセパレータと積層時に隣接する燃料電池単セルとの間に介装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2016−507916号公報
【特許文献2】特開2017−216255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の燃料電池モジュールおよび燃料電池スタックによれば、発電性能を向上させる観点において、未だ改善の余地がある。
【0006】
従って、本開示の目的は、上記課題を解決することにあって、発電性能を向上させることができる燃料電池モジュールおよび燃料電池スタック、ならびに燃料電池モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の燃料電池モジュールは、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の第1の主面に設けられたアノード電極と、高分子電解質膜の第2の主面に設けられたカソード電極と、を有する膜−電極接合体と、膜−電極接合体を挟み込む一対のセパレータと、膜−電極接合体と、一対のセパレータのそれぞれと、を接着して封止する封止部材と、を備え、封止部材は、膜−電極接合体の外周部よりも面方向内側の内側領域上において厚み方向に貫通した開口部を有し、膜−電極接合体の外周部と、膜−電極接合体に面する一対のセパレータのそれぞれの外周部と、を接着し、封止部材の内縁部上の一対のセパレータ間の距離は、封止部材の外縁部上の一対のセパレータ間の距離よりも大きい。
【0008】
本開示の燃料電池スタックは、上述の燃料電池モジュールを少なくとも2つ有し、少なくとも2つの燃料電池モジュールは積層され、かつ締結されている。
【0009】
本開示の燃料電池モジュールの製造方法は、高分子電解質膜、高分子電解質膜の第1の主面に設けられたアノード電極、および高分子電解質膜の第2の主面に設けられたカソード電極を有する膜−電極接合体と、一対のセパレータと、封止部材と、を準備する準備工程と、膜−電極接合体の外周部を挟むように封止部材を配置し、膜−電極接合体および封止部材を挟むように一対のセパレータを配置する配置工程と、封止部材の内縁部よりも大きい圧力を封止部材の外縁部にかけた状態で封止する封止工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る燃料電池モジュールおよび燃料電池スタック、ならびに燃料電池モジュールの製造方法によれば、発電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態1にかかる燃料電池スタックの分解斜視図
図2】本開示の実施の形態1にかかる燃料電池モジュールの膜−電極接合体および封止部材の平面図
図3図2の膜−電極接合体のA−A線断面図
図4】本開示の実施の形態1にかかる燃料電池モジュールの締結前の状態を示す部分断面図
図5】本開示の実施の形態1にかかる燃料電池モジュールを積層して締結した状態を示す燃料電池スタックの部分断面図
図6】本開示の実施の形態1にかかる膜−電極接合体にかかる面圧と、隣接するセパレータ間の接触面積との関係を示すシミュレーション結果
図7】本開示の実施の形態1にかかる燃料電池モジュールの製造方法の例示的なフローチャート
図8】本開示の実施の形態2に係る封止部材および膜−電極接合体の平面図
図9図8の封止部材および膜−電極接合体のB−B線断面図
図10】変形例の封止部材および膜−電極接合体の平面図
図11】従来の固体高分子形燃料電池の構成要素の断面図
図12】従来の燃料電池モジュールの部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示に至った経緯)
固体高分子形燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることにより、電力および熱を同時に発生させる装置である。以降、固体高分子形燃料電池をPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)と称する。PEFCの基本的構成を図11の断面図に示す。PEFCは、水素イオンを選択的に輸送する高分子の電解質膜150と、電解質膜150の両面に形成されたアノード電極190およびカソード電極200とを備える。
【0013】
アノード電極190は、電解質膜150の第1の主面151に形成されるアノード触媒層160と、アノード触媒層160に積層されるアノードガス拡散層181とを有する。カソード電極200は、電解質膜150の第2の主面152に形成されるカソード触媒層170と、カソード触媒層170に積層されるカソードガス拡散層182とを有する。アノードガス拡散層181およびカソードガス拡散層182は、通気性および電子導電性の機能を有する。以降、ガス拡散層をGDL(Gas Diffusion Layer)と称することもある。
【0014】
このように、電解質膜150と電極190,200とが一体的に接合されて組み立てられたものが膜−電極接合体100である。以降、膜−電極接合体100をMEA(Membrane Electrode Assembly)と称することもある。
【0015】
燃料電池モジュール210の断面図を図12に示す。MEA100のアノード電極190(図11)側にアノードセパレータ111が設けられ、MEA100のカソード電極200(図11)側にカソードセパレータ112が設けられている。アノードセパレータ111およびカソードセパレータ112は、MEA100を機械的に挟み込んで固定する。このように、MEA100が一対のセパレータ111,112により挟まれた構造体が燃料電池モジュール(単電池モジュール)210である。
【0016】
セパレータ111,112は、隣接する燃料電池モジュール210を互いに電気的に直列に接続するための部材である。アノードセパレータ111のMEA100と接触する部分には、アノード電極190に反応ガスを供給し生成水や余剰ガスを運び去るためのガス流路溝131が形成されている。カソードセパレータ112のMEA100と接触する部分にも同様にガス流路溝132が形成されている。
【0017】
反応ガスをガス流路溝131、132に供給するために、セパレータ111、112の縁部にマニホールド孔を設けて反応ガスを分配する。さらに、ガス流路溝131、132に供給する反応ガス等が外部へリークしたり、混合したりしないように、MEA100における電極形成部、すなわち発電領域の外周を囲むように、一対のセパレータ111、112の間には、封止部材90が配置される。
【0018】
封止部材90には、MEA100を保持するための樹脂枠体と弾性体シールが使用されている。この場合、樹脂枠体と電解質膜150との間隙を弾性体シールで埋める必要があり、高い部品寸法精度と組立精度が要求される。そこで、特許文献1のように、封止部材90として絶縁性の熱硬化性樹脂を使用することで薄型モジュールを実現する方法が知られている。
【0019】
また、燃料電池モジュール210を複数直列に積層して燃料電池スタックを構成する際に、アノードセパレータ111、および隣接する燃料電池モジュール210のカソードセパレータ112が接触して電気的に接続される。このとき、セパレータの厚みのバラツキやセパレータの反りなどの影響で、アノードセパレータ111およびカソードセパレータ112の接触面積が減少し得る。これにより、電気抵抗が増大して発電性能が低下し得る。
【0020】
そこで、特許文献2のように、変位吸収可能な部材を、アノードセパレータ111とカソードセパレータ112との間に設置することで電気抵抗を改善する方法が知られている。
【0021】
しかしながら、変位吸収部材を設けた場合、部品点数が増えることで製造過程が複雑化するとともに製造コストが増大し得る。このため、製造コストを低減しつつ、燃料電池スタックの電気抵抗を改善して発電性能を確保することは困難である。
【0022】
本発明者らは、発電性能を向上させるために鋭意検討した結果、開口部が設けられた封止部材の内縁部上の一対のセパレータ間の距離が、封止部材の外縁部上の一対のセパレータ間の距離よりも大きくなっている構成を見出した。具体的には、セパレータの外面において、中央部が外周部よりも厚み方向に膨らんだ形状を有する。これにより、セパレータにおいて膜−電極接合体上に位置する部分(中央部)が締結時に変形して平坦(略平坦)な状態となることで、セパレータの中央部と、セパレータの厚み方向外側に設けられる部材との間の接触面積を増加させることができる。この結果、電気抵抗を低減させることができ、発電性能を向上させることができることを見出した。
【0023】
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
【0024】
本開示の第1態様によれば、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の第1の主面に設けられたアノード電極と、高分子電解質膜の第2の主面に設けられたカソード電極と、を有する膜−電極接合体と、膜−電極接合体を挟み込む一対のセパレータと、膜−電極接合体と、一対のセパレータのそれぞれと、を接着して封止する封止部材と、を備え、封止部材は、膜−電極接合体の外周部よりも面方向内側の内側領域上において厚み方向に貫通した開口部を有し、膜−電極接合体の外周部と、膜−電極接合体に面する一対のセパレータのそれぞれの外周部と、を接着し、封止部材の内縁部上の一対のセパレータ間の距離は、封止部材の外縁部上の一対のセパレータ間の距離よりも大きい、燃料電池モジュールを提供する。
【0025】
本開示の第2態様によれば、一対のセパレータのうちの少なくとも一方は、外周部から中央部に向かうにつれて、厚み方向に膨らんで形成される、第1態様に記載の燃料電池モジュールを提供する。
【0026】
本開示の第3態様によれば、第1の主面に垂直な方向から見たときに、封止部材の外縁の少なくとも一部が、一対のセパレータのうちの少なくとも一方の外縁よりも内側に位置する、第1態様又は第2態様に記載の燃料電池モジュールを提供する。
【0027】
本開示の第4態様によれば、第1の主面に垂直な方向から見たときに、封止部材の外縁の少なくとも一部が、一対のセパレータの両方の外縁よりも内側に位置する、第3態様に記載の燃料電池モジュールを提供する。
【0028】
本開示の第5態様によれば、封止部材の外縁は、第1の主面に垂直な方向から見たときに、封止部材の中心から対称に配置された位置において、一対のセパレータのうちの少なくとも一方の外縁よりも内側に位置する、第3態様又は第4態様に記載の燃料電池モジュールを提供する。
【0029】
本開示の第6態様によれば、封止部材の外縁は、第1の主面に垂直な方向から見たときに、封止部材の中心から対称に配置された位置において、一対のセパレータの両方の外縁よりも内側に位置する、第5態様に記載の燃料電池モジュールを提供する。
【0030】
本開示の第7態様によれば、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の燃料電池モジュールを少なくとも2つ有し、少なくとも2つの燃料電池モジュールは積層され、かつ締結されている、燃料電池スタックを提供する。
【0031】
本開示の第8態様によれば、高分子電解質膜、高分子電解質膜の第1の主面に設けられたアノード電極、および高分子電解質膜の第2の主面に設けられたカソード電極を有する膜−電極接合体と、一対のセパレータと、封止部材と、を準備する準備工程と、膜−電極接合体の外周部を挟むように封止部材を配置し、膜−電極接合体および封止部材を挟むように一対のセパレータを配置する配置工程と、封止部材の内縁部よりも大きい圧力を封止部材の外縁部にかけた状態で封止する封止工程と、を含む、燃料電池モジュールの製造方法を提供する。
【0032】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によって本開示が限定されるものではない。また、図面中の各部材の寸法は、実際の寸法を示すものではなく、説明のために一部強調した部分を含む。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかる燃料電池スタック1の分解斜視図である。図2は、本実施の形態にかかる燃料電池モジュール2における膜−電極接合体10および封止部材(ガスケット)9の平面図である。図3は、図2の膜−電極接合体10のA−A線断面図である。図1では、1つの燃料電池モジュール2が分解されて、他の燃料電池モジュールが積層された状態を示す。
【0034】
[全体構成]
本実施の形態にかかる燃料電池スタック1は、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC)である。PEFCは、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで、電力、熱、および水を同時に発生させるものである。
【0035】
図1に示すように、燃料電池スタック1は、例えば、単電池モジュールである燃料電池モジュール(燃料電池セル)2と、集電板3と、端板4と、バネ5とを備える。燃料電池スタック1では、複数の燃料電池モジュール2が直列接続するように積層されている。燃料電池スタック1の両端には、端板4、および端板4の内側に配置された集電板3が配置される。端板4の内側の面、すなわち燃料電池モジュール2側の面には、複数のバネ5が配置されている。燃料電池スタック1は、両端からボルト孔6に挿通される締結ボルト7およびナット8で締結される。
【0036】
燃料電池モジュール2は、図1図3に示すように、膜−電極接合体10と、一対のセパレータ(アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11C)と、アノード封止部材9Aと、カソード封止部材9Cとを備える。
【0037】
膜−電極接合体10は、高分子電解質膜15と、高分子電解質膜15の第1の主面15aに設けられたアノード電極14Aと、高分子電解質膜15の第2の主面15bに設けられたカソード電極14Cとを有する。アノード電極14Aは、高分子電解質膜15の第1の主面15aに設けられたアノード触媒層16と、アノード触媒層16に積層されたアノードガス拡散層18Aとを有する。カソード電極14Cは、高分子電解質膜15の第2の主面15bに設けられたカソード触媒層17と、カソード触媒層17に積層されたカソードガス拡散層18Cとを有する。
【0038】
アノードセパレータ11Aは、膜−電極接合体10のアノードガス拡散層18A側に配置される。カソードセパレータ11Cは、膜−電極接合体10のカソードガス拡散層18C側に配置され、アノードセパレータ11Aと対になって、膜−電極接合体10を挟み込む。
【0039】
アノード封止部材9Aは、開口部26を有し、膜−電極接合体10とアノードセパレータ11Aとを接着する。カソード封止部材9Cは、開口部26を有し、膜−電極接合体10とカソードセパレータ11Cとを接着する。アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cの外側には、冷却水セパレータ11Wが配置されていてもよい。
【0040】
なお、本実施の形態において、膜‐電極接合体をMEAと称することもある。また、アノード封止部材9Aおよびカソード封止部材9Cを合わせて封止部材9と称することもある。また、アノードセパレータ11A、カソードセパレータ11C、および冷却水セパレータ11Wをあわせてセパレータ11と称することもある。また、アノードガス拡散層18Aおよびカソードガス拡散層18Cをあわせてガス拡散層18と称することもある。
【0041】
次に、燃料電池スタック1の各構成部材について詳細に説明する。
【0042】
<集電板>
集電板3は、燃料電池モジュール2の積層体の外側に配置される。燃料電池モジュール2において発電された電気を効率よく集電できるように、集電板3は、例えば、銅板に金メッキが施されて形成される。集電板3には、電気伝導性の良好な金属材料、例えば、鉄、ステンレス鋼、またはアルミニウム等を使用してもよい。また、スズメッキ、ニッケルメッキ等の表面処理を施してもよい。
【0043】
<端板>
端板4は、集電板3の外側に配置される。端板4は、例えば、電気絶縁性のある材料で形成され、絶縁板としても機能する。端板4は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂を用いて、射出成形により形成される。端板4と一体となっている配管は、例えば、燃料電池モジュール2の積層体のマニホールド孔12に、ガスケット(図示略)を介して押し当てられる。端板4の内側の面、すなわち燃料電池モジュール2側の面には、燃料電池モジュール2に荷重を加えるバネ5が配置されている。バネ5は、積層されたときに、燃料電池モジュール2のMEA10と重なる部分に集中的に配置されている。バネ5の付勢力が所定の値になるように、締結ボルト7およびナット8によって燃料電池スタック1が締結される。
【0044】
<高分子電解質膜>
高分子電解質膜15には、プロトン伝導性を示す固体高分子材料、例えば、パーフルオロスルホン酸膜を用いることができる。パーフルオロスルホン酸膜として、例えば、デュポン社製のナフィオン膜を採用することができる。
【0045】
<膜‐電極接合体>
MEA10は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜15のアノード側の面、すなわち第1の主面15aに、例えば、白金ルテニウム合金触媒を担持したカーボン粉末を主成分とするアノード触媒層16が形成されている。また、高分子電解質膜15のカソード側の面、すなわち第2の主面15bに、例えば、白金触媒を担持したカーボン粉末を主成分とするカソード触媒層17が形成されている。アノード触媒層16にはアノードガス拡散層18Aが積層され、カソード触媒層17にはカソードガス拡散層18Cが積層される。
【0046】
MEA10の外周形状は、例えば、四角形形状である。MEAの外周形状は、四角形形状に限定されず、例えば円形状、楕円形状、または四角形以外の多角形形状等の任意の形状であってもよい。
【0047】
<ガス拡散層>
アノードガス拡散層18Aは、アノード触媒層16に積層され、燃料ガスの通気性および電気伝導性の機能を有する。また、カソードガス拡散層18Cは、カソード触媒層17に積層され、酸化剤ガスの通気性および電気伝導性の機能を有する。ガス拡散層18には、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスが用いられる。
【0048】
<セパレータ>
アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cは、平板状に形成される。アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cの、MEA10と接触する面、すなわち、後述する図4に示される内面11Aiおよび内面11Ciには、MEA10の形状に応じて、燃料ガス流路溝13Aおよび酸化剤ガス流路溝13Cが形成される。後述する図4に示される外面11Aoおよび11Co、ならびに冷却水セパレータ11Wの両面には、冷却水流路溝13Wが形成されている。
【0049】
セパレータ11は、ガス不透過性の導電性材料で形成される。セパレータ11には、例えば、樹脂含浸カーボン材料を所定の形状に切削したもの、カーボン粉末と樹脂材料の混合物を成形したもの、または金属を成形したもの等を用いることができる。
【0050】
<封止部材>
図2は、MEA10および封止部材9を第1の主面15aと垂直な方向から見た図である。以後、第1の主面15aと垂直な方向を厚み方向と称することもある。また、第1の主面15aと垂直な方向から見た状態を平面視と称することもある。
【0051】
図2に示すように、封止部材9の開口部26には、封止部材9の中央部分において、厚み方向、すなわち図2のZ軸方向に貫通した貫通孔28が形成される。すなわち、封止部材9は、面方向に延びる部材の中央部が切り取られて外周を縁取った形状(額縁状)に形成される。本実施の形態の貫通孔28は、四角形形状に形成される。貫通孔28の形状は、四角形形状に限定されず、例えば円形状、楕円形状、または四角形以外の多角形形状等の任意の形状であってもよい。貫通孔28の形状は、例えば、封止部材9の外周形状と同形状である。これにより、額縁状の封止部材9をMEA10の外周部10a上に容易に配置することができる。
【0052】
開口部26は、MEA10の外周部10aよりも面方向内側の内側領域A1上において厚み方向に貫通して形成される。具体的には、開口部26は、平面視において、貫通孔28の外縁(開口部26の端縁26a)がMEA10の外周部10aよりも面方向内側に位置するように形成される。
【0053】
封止部材9は、MEA10の外周部10aと、アノードセパレータ11AのMEA10側の面における外周部と、カソードセパレータ11CのMEA10側の面における外周部とを接着する。本実施の形態の封止部材9(アノード封止部材9Aおよびカソード封止部材9C)は、MEA10の外周部10aにおける高分子電解質膜15を挟んで、アノードセパレータ11Aとカソードセパレータ11Cとを接着している。
【0054】
本実施の形態のアノード封止部材9Aは、端縁26aよりも面方向外側の領域で、MEA10と厚み方向に重なるように配置されている。カソード封止部材9Cも同様に、端縁26aよりも面方向外側の領域でMEA10厚み方向に重なるように配置されている。アノード封止部材9Aおよびカソード封止部材9CとMEA10とが重なっている部分を、領域F1と称する。本実施の形態においては、領域F1は、平面視において、端縁26aから、面方向外側に所定の長さ離れた位置までの領域である。
【0055】
封止部材9は、例えば、熱硬化性樹脂シートである。封止部材9は、MEA10の外周部とセパレータ11とを接着することができれば、これに限定されない。封止部材9は、例えば、絶縁性の樹脂に内包された繊維シートであってもよい。樹脂に内包された繊維シートは、絶縁性、耐熱性、およびガス透過性等を考慮して、例えば、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。また、樹脂および繊維は、強度、厚み、線膨張係数、および含有物質等に応じて、例えば、セラミックス繊維等の無機繊維を使用してもよい。また、樹脂は、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはポリウレタン樹脂等の他の熱硬化性樹脂であってもよく、また、繊維を含有する樹脂と他の樹脂とを多層に積層した構成、または部分的に組成の異なる構成であってもよい。
【0056】
図1および図2に示すように、セパレータ11の外周部および封止部材9には、マニホールド孔12およびボルト孔6がそれぞれ厚み方向に貫通して設けられている。なお、図1および図2では、ボルト孔6をセパレータ11内に設けているが、ボルト孔6をセパレータ11に設けずにセパレータ11の外側で締結ボルト7を配置して燃料電池モジュール2を締結してもよい。マニホールド孔12は、燃料ガス、酸化剤ガス、および冷却水のそれぞれが流通する貫通孔である。複数の燃料電池モジュール2が積層された状態では、それぞれの燃料電池モジュール2のマニホールド孔12が積層されて結合し、燃料ガスマニホールド、酸化剤ガスマニホールド、および冷却水マニホールドを形成する。
【0057】
次に、図4を用いて、燃料電池モジュール2の構成について詳細に説明する。図4は、締結前の状態の燃料電池モジュール2の断面図である。
【0058】
図4に示すように、燃料電池モジュール2は、MEA10の外周部10aに封止部材9が位置する状態で、アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cで挟んで構成される。本実施の形態の燃料電池モジュール2は、高分子電解質膜15の第1の主面15a(図3)および第2の主面15b上に封止部材9が位置する状態で、一対のセパレータ11で挟んで構成される。また、燃料電池モジュール2において、セパレータ11の外周部の位置と封止部材9の外周部の位置とが厚み方向に揃った状態で積層される。
【0059】
封止部材9の内縁部20上の一対のセパレータ11間の距離t1は、封止部材9の外縁部22上の一対のセパレータ11間の距離t2よりも大きい。具体的には、アノードセパレータ11AのMEA10側の内面11Aiと、カソードセパレータ11CのMEA10側の内面11Ciとの距離は、封止部材9の外縁部22上よりも内縁部20上の方が大きい。さらに、本実施の形態では、一対のセパレータ11間の距離t1は、MEA10の外周部10aにおける一対のセパレータ11間の距離t3よりも大きい。
【0060】
ここで、封止部材9の外縁部22とは、平面視における額縁状の封止部材9の外周部を意味する。封止部材9の内縁部20とは、平面視における額縁状の封止部材9の内周部、すなわち、貫通孔28の外縁部を意味する。
【0061】
アノードセパレータ11Aの外面11AoからMEA10(高分子電解質膜15)までの距離Daは、外周部から中央部に向かうにつれて徐々に長くなっている。さらに、本実施の形態では、アノード側と同様に、カソードセパレータ11Cの外面11CoからMEA10(高分子電解質膜15)までの距離Dcも、外周部から中央部に向かうにつれて徐々に長くなっている。すなわち、アノードセパレータ11Aの外面11Aoおよびカソードセパレータ11Cの外面11Coの両方が、外周部から中央部に向かうにつれて厚み方向に膨らんでいる。
【0062】
セパレータ11間の距離t1がt2よりも大きいことにより、アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cを、MEA10に対応する領域が凸になるような形状(太鼓状)にすることができる。具体的には、アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cにおいて、MEA10において電極(アノード電極14A、カソード電極14C)上に位置する部分が凸になるような形状にすることができる。このため、燃料電池モジュール2を、外周部から中央部に向かってやや膨らむ形状にすることができる。
【0063】
次に、燃料電池モジュール2を積層して締結した構成について、図5を用いて説明する。図5は、燃料電池モジュール2を積層して締結した状態の燃料電池スタック1の部分断面図である。
【0064】
図5に示すように、燃料電池スタック1において、複数の燃料電池モジュール2が厚み方向に積層されている。図4に示す締結前の燃料電池モジュール2において、セパレータ11の外面が凸状に形成されていたが、図5に示す締結後の燃料電池モジュール2においては、セパレータ11の中央部が平坦又は略平坦な状態となっている。
【0065】
燃料電池モジュール2の締結時において、燃料電池モジュール2において凸状のセパレータ11の中央部同士が接触した状態でセパレータ11に圧力が加わる。このとき、締結によって、燃料電池モジュール2におけるMEA10に対応する領域に対して、特に圧力がかかりやすくなる。すなわち、締結時には、燃料電池モジュール2における中央部の膨らんだ箇所に特に圧力がかかりやすくなる。これにより、セパレータ11の中央部は、MEA10側に変形して平坦(略平坦)な状態となる。図5に示す燃料電池モジュール2においては、アノードセパレータ11Aの外周部と、隣接するカソードセパレータ11Cの外周部とが接触していない非接触領域を含む。
【0066】
締結前においてセパレータ11の中央部は凸状の形状であるため、締結後に平坦な状態となっているセパレータ11の中央部には、締結の圧力に対して反発力が働いている。当該反発力が働いているセパレータ11の中央部において、隣接する燃料電池モジュール2のセパレータ11間の接触面積を増加させることができる。具体的には、燃料電池モジュール2のアノードセパレータ11Aと、隣接する燃料電池モジュール2のカソードセパレータ11Cとの間の接触面積を増加させることができる。この結果、燃料電池モジュール2間の電気抵抗を低減することができ、燃料電池スタック1の発電性能を向上させることができる。
【0067】
また、隣接する燃料電池モジュール2のセパレータ11同士の接触面積を増加させて電気抵抗を低減させるために変位吸収部材などの追加の部材を用いなくても、セパレータ11同士の接触面積を増加させることができる。このため、燃料電池スタック1の部品点数を減らすことができ、燃料電池スタック1の製造工程を簡素化できるとともに、製造コストを下げることが可能である。すなわち、少ない部品点数および低コストで、発電性能を向上させた燃料電池スタック1を製造することが可能である。
【0068】
次に、図6を用いて、セパレータの厚みおよび面圧と、燃料電池モジュール2間の接触面積との関係を説明する。図6は、MEA10にかかる面圧(中央面圧)と、隣接するセパレータ11間の接触面積との関係を示すシミュレーション結果である。
【0069】
図6のシミュレーションにおいて、セパレータ11の厚みを0.75mm、1.5mm、3.0mmの3種類、アノードセパレータ11Aとカソードセパレータ11Cとの間の距離を0.3mm〜0.4mmの範囲で計算した。また、セパレータ11の中央部が外周部よりも厚み方向に0.01mm膨らんだ構成を想定した。図6は、このような構成において、一対のセパレータ11の外側から圧力を加えたときのシミュレーション結果である。図6において、丸形状のマーカーは、セパレータ11の厚みが0.75mmのときの結果を示し、四角形状のマーカーは、セパレータ11の厚みが1.5mmのときの結果を示し、三角形状のマーカーは、セパレータ11の厚みが3.0mmのときの結果を示す。
【0070】
また、アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cの厚みは、均一でなく、MEA10部分で0.01mm薄くなっている状態を想定した。なお、図6に示すシミュレーション結果は、一例の結果であって、各構成部材の材料物性および形状による影響を受け得る。
【0071】
図6に示すように、セパレータ11の厚みが0.75mm、1.5mm、3.0mmのいずれの厚みである場合でも、締結時にMEA10にかかる面圧が大きくなるほど、隣接するセパレータ11間の接触面積は大きくなった。MEA10にかかる面圧が同じとき、セパレータ11の厚みが薄くなるほど、隣接するセパレータ11間の接触面積は大きくなった。
【0072】
図6の結果から、セパレータ11の厚みが薄くなるほど、締結時においてセパレータ11が凸形状から平面形状に形状を変形しやすくなるため、隣接するセパレータ11間の接触面積が増加することを知見した。特に、セパレータ11の厚みが1mm以下の薄型セパレータを用いることで、隣接するセパレータ11間の接触面積を大きくすることができ、締結の圧力変動に対する影響を小さくすることができる。また、MEA10に接する部分のセパレータ11の厚みが厚い場合においては、隣接するセパレータ11間の接触面積が全体的に大きくなるが、この場合でも、締結時において、隣接するセパレータ11間の接触面積を増加させることができる。
【0073】
次に、図7を参照して、燃料電池モジュール2の製造方法について説明する。図7は、燃料電池モジュール2の製造方法の例示的なフローチャートである。図7に示すように、燃料電池モジュール2の製造方法は、準備工程ST10と、配置工程ST20と、封止工程ST30とを含む。
【0074】
準備工程ST10では、MEA10と、一対のセパレータ11と、封止部材9(アノード封止部材9Aおよびカソード封止部材9C)とを準備する。
【0075】
配置工程ST30では、MEA10を挟むように、アノード封止部材9Aおよびカソード封止部材9Cを配置する。具体的には、MEA10の外周部10a上に封止部材9A,9Cを配置する。すなわち、MEA10の第1の主面15a側の外周部10a上にアノード封止部材9Aを配置し、MEA10の第2の主面15b側の外周部10a上にカソード封止部材9Cを配置する。さらに、封止部材9およびMEA10を挟むように一対のセパレータ11を配置する。
【0076】
封止工程ST30では、MEA10と、アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cとを、アノード封止部材9Aおよびカソード封止部材9Cによって接着して封止する。MEA10および封止部材9を、アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cにより挟み込んで加熱することにより、一対の封止部材9が一体となりMEA10とセパレータ11とを接着することができる。
【0077】
封止工程ST30において、封止部材9の内縁部20よりも大きい圧力を封止部材9の外縁部22にかけた状態で封止する。これにより、封止部材9の内縁部20上の一対のセパレータ11間の距離t1が、封止部材9の外縁部22上の一対のセパレータ11間の距離t2よりも大きい燃料電池モジュール2を形成することができる。すなわち、セパレータ11の中央部を厚み方向に膨らませて形成することができる。
【0078】
以上のように、準備工程ST10、配置工程ST20、および封止工程ST30を経て、本実施の形態にかかる燃料電池モジュール2が製造される。このように製造された燃料電池モジュール2を積層し、締結することにより燃料電池スタック1が完成する。これにより、個々の燃料電池モジュール2内だけでなく、複数の燃料電池モジュール2間の電気抵抗を低減した燃料電池スタック1を得ることができる。
【0079】
[効果]
本実施の形態1にかかる燃料電池モジュール2は、膜−電極接合体10と、膜−電極接合体10を挟み込む一対のセパレータ11と、膜−電極接合体10と、一対のセパレータ11のそれぞれとを接着して封止する封止部材9とを備える。膜−電極接合体10は、高分子電解質膜15と、高分子電解質膜15の第1の主面15aに設けられたアノード電極14Aと、高分子電解質膜15の第2の主面15bに設けられたカソード電極14Cとを有する。封止部材9は、膜−電極接合体10の外周部10aよりも面方向内側の内側領域A1上において厚み方向に貫通した開口部26を有する。封止部材9は、膜−電極接合体10の外周部10aと、膜−電極接合体10に面する一対のセパレータ11のそれぞれの外周部とを接着する。封止部材9の内縁部20上の一対のセパレータ11間の距離t1は、封止部材9の外縁部22上の一対のセパレータ11間の距離t2よりも大きい。
【0080】
この構成によれば、セパレータ11と、セパレータ11の外側に設けられる部材との間の接触面積を増加させることができる。この結果、電気抵抗を低減させることができ、発電性能を向上させることができる。
【0081】
また、一対のセパレータ11のうちの少なくとも一方は、外周部から中央部に向かうにつれて、厚み方向に膨らんで形成される。
【0082】
この構成によれば、セパレータ11と、セパレータ11の外側に設けられる部材との間の接触面積をより一層増加させることができる。
【0083】
また、本実施の形態1にかかる燃料電池スタック1は、燃料電池モジュール2を少なくとも2つ有し、少なくとも2つの燃料電池モジュール2は積層され、かつ締結されている。
【0084】
この構成によれば、隣接する燃料電池モジュール2のセパレータ11間の接触面積を増加させることができ、電気抵抗を低減させることができる。
【0085】
また、本実施の形態1にかかる燃料電池モジュール2の製造方法は、準備工程ST10と、配置工程ST20と、封止工程ST30とを含む。準備工程ST10において、膜−電極接合体10と、一対のセパレータ11と、封止部材9とを準備する。配置工程ST20において、膜−電極接合体10の外周部10aを挟むように封止部材9を配置し、膜−電極接合体10および封止部材9を挟むように一対のセパレータ11を配置する。封止工程ST30において、封止部材9の内縁部20よりも大きい圧力を封止部材9の外縁部22にかけた状態で封止する。
【0086】
この製造方法によれば、封止部材9の内縁部20上の一対のセパレータ11間の距離t1を、封止部材9の外縁部22上の一対のセパレータ11間の距離t2よりも大きくすることができる。
【0087】
なお、本開示は上述した実施の形態1に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。上述した実施の形態では、封止工程ST30において、封止部材9の内縁部20よりも大きい圧力を封止部材9の外縁部22にかけた状態で封止するとしたが、これに限定されない。封止部材9の内縁部20上の一対のセパレータ11間の距離t1が、封止部材9の外縁部22上の一対のセパレータ11間の距離t2よりも大きく形成することができれば、他の方法であってもよい。
【0088】
例えば、封止部材9の外縁部22を内縁部20よりも強く押すようにプレス面に段差を付けておいてもよい。具体的には、プレス機のプレス面において、封止部材9の外縁部22に接触する部分が、内縁部20に接触する部分よりもMEA側に位置するように形成しておいてもよい。
【0089】
また、例えば、一定の圧力をかけた際にMEA10(具体的には、アノード電極14A、カソード電極14C)よりも封止部材9の方が薄くなるような材料を選定してもよい。さらに、プレス面を弾性体にしてプレスすることで、セパレータ11間の距離に差をつけることができる。すなわち、セパレータ11の中央部を厚み方向に膨らませて形成することができる。
【0090】
また、複数の燃料電池モジュール2を有する燃料電池スタック1について説明したが、これに限定されない。燃料電池モジュール2は1つであってもよい。このとき、例えば、燃料電池モジュール2を一対の集電板3および一対の端板4で挟んで締結して燃料電池を形成してもよい。このような構成によっても、セパレータ11と、セパレータ11の外側に設けられる部材(例えば集電板3)との間の接触面積を増加させることができる。
【0091】
また、封止部材9は、MEA10の外周部10aにおける高分子電解質膜15を挟んで、アノードセパレータ11Aとカソードセパレータ11Cとを接着しているとしたが、これに限定されない。封止部材9は、アノード電極14Aおよびカソード電極14C上に配置されてMEA10とセパレータ11とを接着してもよい。
【0092】
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2にかかる燃料電池モジュール30について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0093】
実施の形態1では、燃料電池モジュール2の全周においてセパレータ11と封止部材9の端部が揃った構成で説明したが、実施の形態2では、封止部材の一部がセパレータ11の外縁よりも面方向内側に位置する構成について説明する。
【0094】
図8は、実施の形態2に係る燃料電池モジュール30の封止部材32およびMEA10の平面図である。図9は、図8に示す封止部材32およびMEA10のB−B線断面図である。
【0095】
図8に示すように、平面視において、封止部材32の外縁の少なくとも一部が、セパレータ11A,11Cのうちの少なくとも一方の外縁よりも内側に位置する。本実施の形態では、平面視において、封止部材32の外縁の少なくとも一部が、セパレータ11A,11Cの両方の外縁よりも内側に位置する。すなわち、図8及び図9に示す封止部材32は、領域A2において、図2の封止部材9の外縁の少なくとも一部を厚み方向に切り欠いた形状である。
【0096】
切り欠き領域A2を設けることで、切り欠き領域A2に向けて厚み方向にセパレータ11に圧力を加えた場合に、セパレータ11の中央部を外周部よりも膨らませることができるため、セパレータ間距離t1とt2との傾斜角度を大きくすることができる。
【0097】
また、切り欠き領域A2を設けることで、図9に示す封止部材32が封止工程において圧力を受けて面方向に変形した場合でも、切り欠き領域A2内に封止部材32を収めておくことができる。このため、アノードセパレータ11Aおよびカソードセパレータ11Cの外縁から封止部材32がはみ出すことを防止できる。
【0098】
封止部材32がセパレータ11の外縁から面方向外側にはみ出していないことで、燃料電池モジュール30を積層する場合に、位置合わせを容易に行うことができ、精度の高い燃料電池スタックを形成することができる。
【0099】
[効果]
本実施の形態2にかかる燃料電池モジュール2は、第1の主面15aに垂直な方向から見たときに、封止部材32の外縁の少なくとも一部が、一対のセパレータ11のうちの少なくとも一方の外縁よりも内側に位置する。
【0100】
この構成によれば、切り欠き領域A2上のセパレータ11に圧力が加わったときに、セパレータ11の中央部を外周部よりも厚み方向に膨らませることができる。
【0101】
また、第1の主面15aに垂直な方向から見たときに、封止部材32の外縁の少なくとも一部が、一対のセパレータ11の両方の外縁よりも内側に位置する。
【0102】
この構成によれば、一対のセパレータ11の両方において、より容易に、セパレータ11の中央部を外周部よりも厚み方向に膨らませることができる。
【0103】
なお、本実施の形態における封止部材32の形状は一例であって、これに限定されない。例えば、図10に示すような封止部材34であってもよい。図10は、MEA10および封止部材34の平面図である。
【0104】
図10に示すように、封止部材34は、四隅において切り欠き領域A3を有する。封止部材34の外縁は、平面視において中心O1から対称に配置された位置において、セパレータ11A,11Cのうちの少なくとも一方の外縁よりも内側に位置してもよい。また、封止部材34の外縁は、セパレータ11A,11Cの両方の外縁よりも内側に位置していてもよい。切り欠き領域A3は、封止部材9の平面視において中心から対称に形成されていてもよい。すなわち、封止部材34は、平面視において、中心O1に対して点対称に形成されていてもよい。この場合、封止工程ST30において燃料電池モジュールに圧力をかけた場合、中心O1に対して対称に圧力がかかりやすくなり、精度の高い燃料電池モジュールを得ることができる。
【0105】
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0106】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施の形態における要素の組み合わせや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示にかかる燃料電池モジュールおよび燃料電池スタック、ならびに燃料電池モジュールの製造方法によれば、優れた発電性能を有する燃料電池スタックを実現しうる燃料電池モジュールを提供できる。このため、ポータブル電源、電気自動車用電源、または家庭内コージェネレーションシステム等に使用する燃料電池の分野において有用である。
【符号の説明】
【0108】
1 燃料電池スタック
2,30 燃料電池モジュール
3 集電板
4 端板
5 バネ
6 ボルト孔
7 締結ボルト
8 ナット
9,32 封止部材
9A アノード封止部材
9C カソード封止部材
10 膜−電極接合体
10a 外周部
11 セパレータ
11A アノードセパレータ
11C カソードセパレータ
11W 冷却水セパレータ
11Ai,11Ci 内面
11Ao,11Co 外面
12 マニホールド孔
13A 燃料ガス流路溝
13C 酸化剤ガス流路溝
13W 冷却水流路溝
14A アノード電極
14C カソード電極
15 高分子電解質膜
15a 第1の主面
15b 第2の主面
16 アノード触媒層
17 カソード触媒層
18 ガス拡散層
18A アノードガス拡散層
18C カソードガス拡散層
20 内縁部
22 外縁部
26 開口部
26a 端縁
28 貫通孔
90 封止部材
100 膜−電極接合体
111 アノードセパレータ
112 カソードセパレータ
131,132 ガス流路溝
150 電解質膜
151 第1の主面
152 第2の主面
160 アノード触媒層
170 カソード触媒層
181 アノードガス拡散層
182 カソードガス拡散層
190 アノード電極
200 カソード電極
210 燃料電池モジュール
A1 内側領域
A2,A3 切り欠き領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12