特許第5648102号(P5648102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5648102
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】サーバーラック室内システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20141211BHJP
   F24F 1/02 20110101ALI20141211BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20141211BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   F24F1/00 451
   F24F1/02 441A
   F24F1/02 441B
   F24F7/06 B
   F24F3/14
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-166970(P2013-166970)
(22)【出願日】2013年8月9日
【審査請求日】2013年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−237469(JP,A)
【文献】 特開2000−314540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F24F 1/02
F24F 3/14
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のサーバーラックから構成されるサーバーラック列が吹き出し口を備えた床の上に配設され、該床の下方には床下空間が設けられており、
前記床下空間には、外気取り入れ孔を介して外気が導入され、外気が吹き出し口を介してサーバーラック列に提供され、サーバーラック列を通過した排気が床下空間に流体連通している空調機で冷気とされるようになっているサーバーラック室内システムにおいて、
空調機とサーバーラック列の間の位置には、少なくとも2つの回転ロール間に架け渡されて回転自在な除湿布が配設され、少なくとも1つの回転ロールは床下空間の途中位置にあり、
床下空間に導入された外気が除湿布と接触して除湿され、除湿後の外気がサーバーラック列に提供されるようになっており、
除湿布から水分を除去して該除湿布を再生する際に、除湿布にサーバーラック列を通過した排気が提供されるようになっているサーバーラック室内システムであって、
空調機と回転自在な除湿布の間に床下空間の下面から床下空間よりも上方までの高さを有する衝立が設けてあり、
床下空間に導入された外気や空調機から吹き出された冷気は、衝立の空調機側の面を沿って上昇し、衝立を超えて衝立のサーバーラック列側の面に沿って降下し、この降下の際に、衝立とサーバーラック列の間の位置にある除湿布で除湿がおこなわれるようになっているサーバーラック室内システム
【請求項2】
2つの回転ロール間に架け渡された除湿布の内部にペルチェ素子が配設され、この際に、ペルチェ素子の発熱面をサーバーラック列側の除湿布に対向させ、ペルチェ素子の冷却面を空調機側の除湿布に対向させる請求項に記載のサーバーラック室内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を導入して冷気として適用するサーバーラック室内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットやLANなどのネットワーク上で複数のパソコンに多様な機能やサービスを提供したり、データを一元化するサーバーがラックに集積されてサーバーラックを構成し、複数のサーバーラックが隣接するように配設されてサーバーラック列を構成し、複数のサーバーラック列が通路を挟んで配設されてサーバーラック室内システムが構成される。各サーバーラック列間の通路は、サーバーラックの背面から排気が排出されるホットアイル空間と、冷気が提供されるコールドアイル空間のいずれか一方を形成しており、サーバーラック室内システムにおいては、このホットアイル空間とコールドアイル空間が交互に形成されているのが一般的である。なお、このサーバーラック室内システムはデータセンターなどと称されることもある。
【0003】
上記通路はたとえば二重床構造となっており、かつ、この二重床を構成する上床には冷気が流通する多数の吹き出し口が開設されており、空調機から提供された冷気は二重床の間に形成されている床下空間を流通するようになっている。
【0004】
そして、吹き出し口を介してコールドアイル空間に提供された冷気は、それぞれのサーバーラック列の該コールドアイル空間に臨む前面を介してサーバーラック列を構成する各サーバーラックに提供され、サーバーラックに収納されたサーバーを通過する過程で冷気は熱を奪って昇温して暖気となってサーバーラックの背面からホットアイル空間に排出される。サーバーラックの背面から排出された排気は空調機や空気制御装置等に戻され、ここで再び冷気に戻されるようになっており、このような冷気の循環がサーバーラック室内で繰り返されることにより、各サーバーが所定温度状態に制御されるのが一般的である。
【0005】
このように、空調機からの冷気を二重床の床下空間に流し、床からコールドアイル空間に冷気を吹き出して各サーバーラックに提供する空調方式は、床吹き出し空調と称されることもあり、空調機から横方向に冷気を流して各サーバーラックに冷気を提供する空調方式と区別される。
【0006】
この床吹き出し空調においては、各コールドアイル空間の前方位置に空調機が配設され、空調機から吹き出された冷気は床下空間を流通しながら吹き出し口を介して上方のサーバーラックに提供される。
【0007】
ところで、空調機に投入されるエネルギー低減の観点から、サーバーラック室に外気を導入し、これを冷気として有効活用する冷房方式が注目されており、このように外気冷房方式が適用されたサーバーラックにおける空調機に関する技術が特許文献1に開示されている。なお、特許文献1で開示される空調機は、導入された外気を加湿器で空調する加湿空調方式の空調機である。
【0008】
サーバーラック室の空調に際しては、温度の他に湿度の管理も重要である。湿度が高すぎると結露や電気回路の短絡の問題が生じ得るし、湿度が低すぎると静電気障害が生じ得るからである。
【0009】
また、この湿度管理に関し、外気冷房方式を適用するに当たり、たとえば湿度の高い夏期においては、外気導入後に除湿をおこなった後に冷気をサーバーラック列に提供する必要がある。
【0010】
この除湿に当たり、静止ブロック型のデシカント(シリカゲルやゼオライト等の乾燥剤を角形もしくは円筒形に成形したもの)をたとえば床下空間に配設しておき、床下空間に導入された外気をこのデシカントに通過させ、この通過の過程で除湿をおこない、除湿後の外気からなる冷気をサーバーラック列に提供する構成のサーバーラック室内システムが適用されている。なお、このようにデシカントを使用してたとえば外気の除湿をおこない、除湿後の外気を冷気としてサーバーラックに提供する方式をデシカント空調と称することができる。
【0011】
このようなデシカント空調においては、吸湿したデシカントから水分を取り除いて除湿性能のあるデシカントを再度生成する、いわゆるデシカントの再生が必要となる。このデシカントの再生に当たり、上記する静止ブロック型のデシカントを適用する場合には、デシカントに熱を提供するためのヒーター等の熱源が必要となり、エネルギー低減を目的として外気冷房方式を採用しているにも関わらず、デシカント再生用の熱源に要するエネルギーでエネルギー低減効果が減殺されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−261696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、外気冷房方式を適用したサーバーラック室内システムに関し、除湿機構の再生に多くのエネルギーを必要とせず、もってエネルギー低減性能の高い外気冷房方式のサーバーラック室内システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成すべく、本発明によるサーバーラック室内システムは、2以上のサーバーラックから構成されるサーバーラック列が吹き出し口を備えた床の上に配設され、該床の下方には床下空間が設けられており、前記床下空間には、外気取り入れ孔を介して外気が導入され、外気が吹き出し口を介してサーバーラック列に提供され、サーバーラック列を通過した排気が床下空間に流体連通している空調機で冷気とされるようになっているサーバーラック室内システムにおいて、空調機とサーバーラック列の間の位置には、少なくとも2つの回転ロール間に架け渡されて回転自在な除湿布が配設され、少なくとも1つの回転ロールは床下空間の途中位置にあり、床下空間に導入された外気が除湿布と接触して除湿され、除湿後の外気がサーバーラック列に提供されるようになっており、除湿布から水分を除去して該除湿布を再生する際に、除湿布にサーバーラック列を通過した排気が提供されるようになっているものである。
【0015】
本発明のサーバーラック室内システムは、床下空間に導入された外気を除湿する除湿機構として、二重床の下方の床下空間と上方の上方空間の間を除湿布が回転しながら移動する機構を適用し、この回転姿勢の除湿布によって外気の除湿をおこなうとともに、回転姿勢の除湿布の再生をサーバーラック背面から排出された熱を帯びた排気でおこなうものであり、この構成により、除湿材の再生に当たって該再生に固有の熱源を不要とし、外気冷房方式を適用していることと相俟ってエネルギー低減性能の高いシステムである。
【0016】
たとえば2つの回転ロール間に架け渡された回転自在な除湿布は空調機とサーバーラック列の間の位置に配設されており、下方の回転ロールは床下空間に位置しており、したがって回転する除湿布は床下空間と床上空間を繰り返し移動することができる。ここで、回転ロール間に架け渡された除湿布の実施の形態として、2つの回転ロール間に除湿布が架け渡された形態の他にも、たとえば下方に3つ、上方に2つの回転ロールが配設され、これら5つの回転ロール間に架け渡された除湿布が移動する形態や、2つの回転ロール間に除湿布が架け渡された構成を1つのユニットとして、2以上のユニットを併設させてなる複数連形態などを挙げることができる。
【0017】
ここで、除湿布は、布(織物)や不織布、フィルムなどから形成され、除湿布に高分子収着材の粉末を含浸させたり、シリカゲルやゼオライト等の乾燥剤を接着剤を介して除湿布に接着させたり、ブロック状の乾燥剤を留めピンにて除湿布に固定すること等により形成される。
【0018】
2以上のサーバーラック列は通路を挟んで二重床の上に配設され、交互に形成される各通路はそれぞれコールドアイル空間とホットアイル空間を形成する。
【0019】
床下空間の適所に設けられた外気取り入れ孔から床下空間に導入された外気は、少なくとも床下空間において除湿布と接触してその除湿が図られる。
【0020】
回転自在な除湿布が空調機とサーバーラック列の間の位置に配設されていることから、各ホットアイル空間から排出された排気はたとえばサーバーラック列の上方を空調機側に流れる過程で除湿布に提供され、この排気の熱によって除湿布の再生が図られる。
【0021】
除湿布を通過した排気は空調機に送られ(排気の一部はサーバーラック室外へ排出されてもよい)、空調機で冷気が生成されて床下空間に提供されることになる。
【0022】
このように、外気導入方式における「冷気」とは、導入された外気のほかにも、外気がサーバーラックを通過する過程で生じた排気が空調機に通されて生成されたもの、これらが混合したものなどが含まれている。なお、空調機の前方であって排気が空調機に入る直前の位置に冷却板等を配設しておき、排気が冷却板等に接触する過程で予冷され、予冷後の排気を空調機に送ることで空調機における必要エネルギー(排気を冷気とする際に必要なエネルギー)を低減させてもよい。
【0023】
上記するような回転自在な除湿布からなる除湿機構は、たとえば2階以上のビルにおいては各階に設けておくのが好ましい。たとえば5階建てのビルにおいて、各階を二重床構造とし、各二重床の適所に外気取り入れ孔が設けてあり、各階に配設された空調機とサーバーラック列の間の位置に回転自在な除湿布からなる除湿機構が配設された構成を適用できる。
【0024】
また、床下空間への外気の導入形態としては、床下空間の適所に外気取り入れ孔を設けておくだけの形態の他にも、この外気取り入れ孔に外気導入ファンを設けておいて積極的に外気を導入する形態や、空調機から冷気を吹き出す吹き出し部の近傍に外気取り入れ孔を設けておいて、空調機から吹き出された冷気の流れを利用して真空雰囲気を形成し、この真空雰囲気にて外気を導入する、いわゆるエジェクター効果を利用した外気導入方式などを適用できる。
【0025】
ここで、回転自在な除湿布のより具体的な実施の形態として、以下2つの形態を挙げることができる。
【0026】
回転自在な除湿布の一つの実施の形態は、空調機と回転自在な除湿布の間に床下空間の下面から床下空間よりも上方までの高さを有する衝立が設けてあり、床下空間に導入された外気や空調機から吹き出された冷気は、衝立の空調機側の面を沿って上昇し、衝立を超えて衝立のサーバーラック列側の面に沿って降下し、この降下の際に、衝立とサーバーラック列の間の位置にある除湿布で除湿がおこなわれるようになっている形態である。
【0027】
外気を衝立を超えて衝立のサーバーラック列側の面に沿って降下させ、この降下の過程で除湿布に接触させることにより、外気と除湿布の接触面積を多くすることができ、もしくは接触時間を長くすることができ、除湿布による除湿性が極めて高くなる。
【0028】
なお、この形態においては、2つの回転ロール間に架け渡された除湿布の内部にペルチェ素子を配設しておき、この際に、ペルチェ素子の発熱面をサーバーラック列側の除湿布に対向させ、ペルチェ素子の冷却面を空調機側の除湿布に対向させることにより、ペルチェ素子の発熱面からの熱による除湿布の再生効果が高められ、ペルチェ素子の冷却面から吸熱によって外気の予冷効果が得られる。
【0029】
また、回転自在な除湿布の他の実施の形態は、床下空間に導入された外気が除湿布を通過するようになっている形態である。
【0030】
この形態の除湿機構では、床下空間を流通する外気が床下空間にある除湿布を通過する過程で除湿がおこなわれるものであり、既述する衝立を備えた形態の除湿機構に比して外気と除湿布の接触面積が相対的に少なくなることから除湿性能は劣るものの、除湿機構の構成が極めてシンプルであることから除湿機構の製作コストは相対的に安価となる。
【発明の効果】
【0031】
以上の説明から理解できるように、本発明のサーバーラック室内システムによれば、床下空間に導入された外気を除湿する除湿機構として、二重床の上方の空間と下方の床下空間の間を除湿布が回転する機構を適用し、この除湿布で外気の除湿をおこなうとともに、除湿布の再生はサーバーラック背面から排出された熱を帯びた排気を使用しておこなうことにより、除湿材の再生のための固有の熱源を不要とし、外気冷房方式を適用していることと相俟ってエネルギー低減性能の高いサーバーラック室内システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態1を示した模式図である。
図2】(a)、(b)はそれぞれ、除湿布の実施の形態1,2を示した模式図である。
図3】本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態2を示した模式図である。
図4】本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態3を示した模式図である。
図5】本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態4を示した模式図である。
図6】本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態5を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態を説明する。なお、図示例は、一つの階におけるサーバーラック室内システムを説明したものであるが、2階以上の複数階のそれぞれにサーバーラック室内システムが適用される場合には、各階ともに図示例のシステムが適用される。
【0034】
(サーバーラック室内システムの実施の形態1)
図1は本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態1を示した模式図であり、図2a、bはそれぞれ、除湿布の実施の形態1,2を示した模式図である。
【0035】
図示するサーバーラック室内システム10は、床吹き出し空調形式のシステムである。二重床2の上床2Aには複数のサーバーラック1が側方に並べられてサーバーラック列1aを構成し、複数のサーバーラック列1aが通路を介して並べられてその全体が構成されている。対向するサーバーラック列1aの間の通路は、サーバーラックの前面であって冷気をサーバーラック1内に取り込む側となるコールドアイル空間CAと、サーバーラック1の背面側に位置するホットアイル空間のいずれかを形成しており、併設する複数のサーバーラック列1a間に形成されるそれぞれの通路には、コールドアイル空間CAとホットアイル空間が交互に形成されている。なお、図示例は、コールドアイル空間CAを通る縦断面である。
【0036】
サーバーラック室において、各コールドアイル空間CAの前方位置にはそれぞれに固有の空調機3が配設されている。なお、空調機の配設態様はコールドアイル空間の前方位置のみに限定されるものではなく、必要に応じて他の部位(たとえば図示例では紙面の奥側にある最後尾のサーバーラック列の奥の各所)にさらに空調機が配設される形態であってもよい。
【0037】
二重床2は、上床2Aと下床2Bから構成され、これら2つの床2A,2B間に床下空間VCが形成されており、この床下空間VCを冷気が流通する床下空調方式が採用されている。
【0038】
空調機3とサーバーラック列1aの間の位置には、床下空間VCの内部に回転ロール5bが配設され、この直上の床上空間には別途の回転ロール5aが配設され、これらの回転ロール5a、5b間にロール状で連続した除湿布6が架け渡されている。不図示のサーボモータ等のアクチュエータが駆動するとたとえば回転ロール5aが回転し、この回転によって除湿布6は上床2Aの上下間を回転しながら繰り返し移動することになる(Y方向)。なお、この回転ロール5a,5bと除湿布6、もしくはこれらの変形例をまとめて、本明細書では除湿機構と称する。
【0039】
除湿布6のより具体的な構成を図2a,bに示す。
【0040】
図2aで示す除湿布6は、布(織物)や不織布、フィルムなどから形成され、シリカゲルやゼオライト等のブロック状の乾燥剤8を接着剤を介して除湿布6に接着させたものである。なお、除湿布6へのブロック状の乾燥剤8の固定方法はこの接着方法のほかにも、ブロック状の乾燥剤8を除湿布6に対してピン留めする方法もある。
【0041】
一方、図2bで示す除湿布6では、高分子収着材の粉末(含浸乾燥剤8A)が含浸された形態である。
【0042】
図示例のように除湿剤が固定もしくは含浸された除湿布6を回転ロール5a、5b間で回転させる過程で、回転姿勢の除湿布6のうち、ある領域では外気等の除湿をおこない、別の領域では水分を含んだ除湿布6を乾燥させてその再生が図られるようになっている(以下で詳述)。
【0043】
空調機3と除湿機構の間には、二重床2の下床2Bから床下空間VCよりも上方までの高さを有する(具体的には空調機3の上面レベル相当までの高さを有する)衝立4が設けてある。
【0044】
また、サーバーラック室のうち、空調機3に対してサーバーラック列1aと反対側の位置の側面(紙面で手前側の端面)には外気取り入れ孔2aが設けてあり、この外気取り入れ孔2aにはダクトが流体連通していて、ダクトの各空調機3の位置には開口が開設され、開口を介して外気が床下空間VCに流れ込むようになっている。
【0045】
より具体的には、空調機3の下方から床下空間VCに冷気が送り出される(X2方向)が、この空調機3の下面には湾曲状の外気導入板2bが床下空間VC内に張り出すようにして取り付けられており、空調機3から送り出された冷気は外気導入板2bの上面を滑りながら床下空間VC内に提供される(X2方向)。一方、外気導入板2bの先端と下床2Bの間には導入された外気が流通する隙間があり、この隙間の前方には、外気導入板2bの上を空調機3からの冷気が流れる(X2方向)過程で真空領域VAが形成される。この真空領域VAにより、エジェクター効果で外気取り入れ孔2aからの外気の導入が促進され(X1方向)、導入された外気は空調機3からの冷気とともに床下空間VCを流れる。なお、外気の導入形態は図示例以外にも、単に外気取り入れ孔2aのみを有する形態や、外気取り入れ孔2aの外側に導入ファンを備えた形態などであってもよい。
【0046】
ここで、「冷気」とは、サーバーラック1の背面から排出された排気が空調機3を通過する過程で生成された気体や、床下空間VCに導入された外気、これらが混合した気体などを含んでいる。
【0047】
空調機3から流下した(X2方向)冷気や床下空間VCに導入された(X1方向)外気は、流下方向にある衝立4の空調機3側の面を沿って上昇し、衝立4を超えて衝立4のサーバーラック列1a側の面に沿って降下する(X3方向)。
【0048】
そして、この降下の際に、衝立4とサーバーラック列1aの間に位置して回転する(Y方向)除湿布6に外気等が接する過程で除湿がおこなわれ、除湿後の外気等が床下空間VCを流通し、上床2Aに設けられている不図示の吹き出し口を介して床上のコールドアイル空間CAに提供され(X4方向)、各サーバーラック1の前面から各サーバーラック1に提供される。なお、このような冷気の上昇は、サーバーラック1の背面に排気排出用のファンが一般に取り付けられており、このファンの駆動によって二重床2の上方空間は床下空間VCに比して一般に減圧雰囲気となっており、これら2つの空間の差圧によって齎されるものである。
【0049】
冷気はサーバーラック1内を流通する過程でサーバーから熱を奪い、冷気が昇温して生成された排気はサーバーラック1の背面からホットアイル空間に排出され、ホットアイル空間の上方で空調機3側に流れる(X5方向)。空調機3のうち、サーバーラック列1aと反対側には排気の一部をサーバーラック室外に排気する(X8方向)ための排気ファン7bが設けてあり、排気ファン7bを駆動するとホットアイル空間にある排気が吸引され、この排気ファン7bに向かう排気の流れ(X5方向、X7方向)が形成される。
【0050】
ホットアイル空間にて空調機3側に流れてきた排気の一部は空調機3側にある最端のサーバーラック1の端部を回り込み、空調機3側の位置で回転している除湿布6に流れ込む(X6方向)。
【0051】
このように流れ込んできた排気の熱により、湿度のある除湿布6(および乾燥剤8,8A)から水分が取り除かれ、除湿布6(および乾燥剤8,8A)の再生が図られる。
【0052】
このように、図示例の除湿機構では、回転姿勢の除湿布6のうち、空調機3側の全面で外気等からの除湿がおこなわれることより、高い除湿効果が期待できる。
【0053】
一方、回転姿勢の除湿布6のうち、サーバーラック列1a側の全面で排気による再生が図られることより、高い再生効果が期待できる。
【0054】
空調機3の前方であって排気が空調機3に入る直前の位置には冷却板7aが設けてあり、排気が冷却板7aに接触する過程で予冷され、予冷後の排気が空調機3に送られるようになっている(X9方向)。なお、図示する冷却板7aは、外気が導入等されているサーバーラック室天井の空間まで延びている冷却パイプを備えていてもよい。
【0055】
冷却板7aで予冷された排気は空調機3に送られ、ここで冷気が生成されて空調機3の下方から床下空間VCに吹き出され、吹き出された冷気と導入された外気が衝立4に沿って再度上昇し、除湿されてサーバーラック列1aに提供されることになる。
【0056】
図示するサーバーラック室内システム10によれば、床下空間VCに導入された外気を除湿する除湿機構として、二重床2の下方の床下空間VCと上方の上方空間の間を除湿布6が回転しながら移動する機構を適用し、この回転姿勢の除湿布6によって外気の除湿をおこなうとともに、回転姿勢の除湿布6の再生をサーバーラック背面から排出された熱を帯びた排気でおこなうことにより、除湿材の再生に当たって該再生に固有の熱源を不要とし、外気冷房方式を適用していることと相俟ってエネルギー低減性能の高いシステムとなる。
【0057】
(サーバーラック室内システムの実施の形態2)
図3は本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態2を示した模式図である。
【0058】
図示するサーバーラック室内システム10Aは、図1で示すサーバーラック室内システム10に対して、2つの回転ロール5a,5b間に架け渡された除湿布6の内部にペルチェ素子9を配設したものである。
【0059】
より具体的には、ペルチェ素子9の発熱面9aをサーバーラック列1a側の除湿布6に対向させ、ペルチェ素子9の冷却面9bを空調機3側の除湿布6に対向させている。
【0060】
図示例のサーバーラック室内システム10Aによれば、ペルチェ素子9の発熱面9aからの熱によって除湿布6の再生効果が高められ、ペルチェ素子9の冷却面9bから吸熱によって外気の予冷効果が得られる。
【0061】
(サーバーラック室内システムの実施の形態3)
図4は本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態3を示した模式図である。
【0062】
図示するサーバーラック室内システム10Bは、図1で示すサーバーラック室内システム10の構成をより簡素化したものであり、衝立を廃して回転ロール5a、5bと除湿布6のみから構成された除湿機構を適用するものである。
【0063】
床下空間VCを流通する外気が床下空間VCにある除湿布6を通過する過程で(X3’方向)除湿がおこなわれるものであり、衝立4を備えた形態の除湿機構に比して外気と除湿布6の接触面積が相対的に少なくなることから除湿性能は劣るものの、除湿機構の構成が極めてシンプルであることから除湿機構の製作コストは相対的に安価となる。
【0064】
(サーバーラック室内システムの実施の形態4)
図5は本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態4を示した模式図である。
【0065】
図示するサーバーラック室内システム10Cは、2つの回転ロール5a,5b間に除湿布6が架け渡された構成を1つのユニットとして、2つのユニットを併設させた複数連形態の除湿機構を有している。なお、所望する除湿性能に応じて、3つ以上のユニットを併設させてもよい。
【0066】
(サーバーラック室内システムの実施の形態5)
図6は本発明のサーバーラック室内システムの実施の形態5を示した模式図である。
【0067】
図示するサーバーラック室内システム10Dは、下方に2つの回転ロール5bを配し、これらよりも若干高い位置に別途の1つの回転ロール5b’を配し、上方位置に2つの別途の回転ロール5aを配し、これらにロール状の除湿布6が順次架け渡され、上下に移動自在に構成された連続連形態の除湿機構を具備するものである。
【0068】
このように、サーバーラック室内システム10Bによれば、外気等が除湿布6と接する領域が少なくなるため、サーバーラック室内システム10C,10D等の複数連形態の除湿機構や連続連形態の除湿機構を適用することで所望の除湿性能を確保することができる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
1…サーバーラック、1a…サーバーラック列、2…二重床、2A…床(上床)、2B…下床、2a…外気取り入れ孔、2b…外気導入板、3…空調機、4…衝立、5a,5b,5b’…回転ロール、6…除湿布、7a…冷却板、7b…排気ファン、8…ブロック状の乾燥剤、8A…含浸乾燥剤、9…ペルチェ素子、10,10A,10B,10C,10D…サーバーラック室内システム、VC…床下空間、VA…真空領域
【要約】

【課題】外気冷房方式を適用したサーバーラック室内システムに関し、除湿機構の再生に多くのエネルギーを必要とせず、エネルギー低減性能の高い外気冷房方式のサーバーラック室内システムを提供すること。
【解決手段】2以上のサーバーラック1から構成されるサーバーラック列1aが吹き出し口を備えた床2Aの上に配設され、外気取り入れ孔2aを介して床下空間VCに導入された外気がサーバーラック列1aに提供され、サーバーラック列1aを通過した排気が空調機3で冷気とされるサーバーラック室内システム10において、空調機3とサーバーラック列1aの間の位置には2つの回転ロール5a,5b間に架け渡されて回転自在な除湿布6が配設され、少なくとも1つの回転ロール5bは床下空間VCの途中位置にあり、外気が除湿布6と接触して除湿され、除湿布6から水分を除去して除湿布6を再生する際に除湿布6に排気が提供されるようになっている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6