特許第5669412号(P5669412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669412
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】エタノール製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/08 20060101AFI20150122BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   C12P7/08
   C12M1/00 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-50764(P2010-50764)
(22)【出願日】2010年3月8日
(65)【公開番号】特開2011-182701(P2011-182701A)
(43)【公開日】2011年9月22日
【審査請求日】2012年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】日高 亮太
【審査官】 櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−000024(JP,A)
【文献】 特開平04−155256(JP,A)
【文献】 特開平07−023764(JP,A)
【文献】 Teissier et al.,Journal of Biotechnology,Vol.55,p.157-169(1997)
【文献】 Nilsson et al.,Bioprocess Biosyst. Eng.,Vol.25,p.183-191(2002)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 7/08
C12M 1/00
CAplus/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料から生成された糖液を発酵槽に供給し、該発酵槽内にて連続的にエタノール発酵を行うエタノール製造方法であって、
前記エタノール発酵の際に発生する二酸化炭素の濃度の実測値と前記糖液の糖濃度の実測値に基づいて理論的に求められる二酸化炭素の濃度の予測値との不一致度合いを求める第1工程と、
前記不一致度合いが予め決められた許容値を超えた場合に、前記エタノール発酵の状態が不良であると判断する第2工程とを含み、
前記第2工程にて前記エタノール発酵の状態が不良であると判断された場合に、前記発酵槽への前記糖液の供給を停止する処理及び前記発酵槽内に吹き込む空気の量を増加する処理を実行し、
前記予測値は以下の手順により求められることを特徴とするエタノール製造方法。
1)前記糖液の糖濃度の実測値から、該糖液の糖分が全てエタノールに変換されたと仮定した場合のエタノール濃度を求める。
2)求めた前記エタノール濃度と前記発酵槽における希釈率からエタノール生成量を求める。
3)求めた前記エタノール生成量から、該エタノールと等モルの二酸化炭素が発生すると仮定した場合の二酸化炭素量を求める。
4)求めた前記二酸化炭素量と、前記発酵槽に吹き込む空気量とから前記予測値を求める。
【請求項2】
バイオマス原料から生成された糖液が供給され、酵母によるエタノール発酵が連続的に行われる発酵槽と、前記発酵槽内で発生した二酸化炭素の濃度を計測する二酸化炭素濃度計と、前記糖液の濃度を計測する糖濃度計とを備えたエタノール製造装置であって、
前記二酸化炭素濃度計による前記二酸化炭素の濃度の実測値と、前記糖濃度計による前記糖液の糖濃度の実測値に基づいて理論的に求められる二酸化炭素の濃度の予測値との不一致度合いを求め、該不一致度合いが予め決められた許容値を超えた場合に、前記エタノール発酵の状態が不良であると判断して、前記発酵槽への前記糖液の供給を停止する処理及び前記発酵槽内に吹き込む空気の量を増加する処理を実行する制御手段を備え
前記予測値は以下の手順により求められた値であることを特徴とするエタノール製造装置。
1)前記糖液の糖濃度の実測値から、該糖液の糖分が全てエタノールに変換されたと仮定した場合のエタノール濃度を求める。
2)求めた前記エタノール濃度と前記発酵槽における希釈率からエタノール生成量を求める。
3)求めた前記エタノール生成量から、該エタノールと等モルの二酸化炭素が発生すると仮定した場合の二酸化炭素量を求める。
4)求めた前記二酸化炭素量と、前記発酵槽に吹き込む空気量とから前記予測値を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス原料によるエタノールの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッチ処理でエタノール発酵する場合、複数のエタノール発酵タンクにて、タンク毎の冷却水温度を制御し、こまめな温度管理で、飲料アルコールの品質管理をしている。この場合、発酵工程が約20日程度かかり、1日毎の温度管理を実施し、サンプルを1日かけて培養し酵母数の確認をしても問題はない。
しかし、バイオマスを原料とし、生産性の高い連続発酵を実施する場合には、原料の変化や、酵母流出等による発酵条件の変化が大きいので、発酵条件の迅速な検出と、その検出結果に基づく対応が必要である。
特許文献1では、連続発酵によるエタノールを製造する際、製造プロセスを監視し、成分を安定化させるために発酵槽内で生成されるエタノールの濃度を制御している。具体的には、連続発酵槽からの炭酸ガス発生速度、原料供給速度(希釈率)及び槽内温度を計測することにより、エタノール濃度の増加分を推定する。そして、このエタノール濃度の増加分に基づいて、原料供給速度及び発酵槽温度を操作することによってエタノール濃度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−155256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術によれば、例えば、エタノール濃度の増加分がそれまでよりも少なくなれば、エタノール発酵に何らかの異常が発生していると考えられるので、求めたエタノール濃度の増加分からエタノール発酵の良否が判断できる。しかし、エタノール発酵が順調に進んでいるか否かを判断するために連続発酵槽からの炭酸ガス発生速度、原料供給速度(希釈率)及び槽内温度を測定し、あらかじめ決められた演算を実行する必要があり、エタノール発酵の良否判定に到るまでの一連の過程が簡単とはいえなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、連続的にエタノール発酵を行うための発酵槽内で発生する二酸化炭素の濃度に基づいて簡単に連続エタノール発酵の良否を判断するエタノール製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係るエタノール製造方法は、バイオマス原料から生成された糖液を発酵槽に供給し、該発酵槽内にて連続的にエタノール発酵を行うエタノール製造方法であって、
前記エタノール発酵の際に発生する二酸化炭素の濃度の実測値と前記糖液の糖濃度の実測値に基づいて理論的に求められる二酸化炭素の濃度の予測値との不一致度合いを求める第1工程と、
前記不一致度合いが予め決められた許容値を超えた場合に、前記エタノール発酵の状態が不良であると判断する第2工程とを含み、
前記第2工程にて前記エタノール発酵の状態が不良であると判断された場合に、前記発酵槽への前記糖液の供給を停止する処理及び前記発酵槽内に吹き込む空気の量を増加する処理を実行し、
前記予測値は以下の手順により求められる。
1)前記糖液の糖濃度の実測値から、該糖液の糖分が全てエタノールに変換されたと仮定した場合のエタノール濃度を求める。
2)求めた前記エタノール濃度と前記発酵槽における希釈率からエタノール生成量を求める。
3)求めた前記エタノール生成量から、該エタノールと等モルの二酸化炭素が発生すると仮定した場合の二酸化炭素量を求める。
4)求めた前記二酸化炭素量と、前記発酵槽に吹き込む空気量とから前記予測値を求める。
【0006】
【0007】
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係るエタノール製造装置は、バイオマス原料から生成された糖液が供給され、酵母によるエタノール発酵が連続的に行われる発酵槽と、前記発酵槽内で発生した二酸化炭素の濃度を計測する二酸化炭素濃度計と、前記糖液の濃度を計測する糖濃度計とを備えたエタノール製造装置であって、
前記二酸化炭素濃度計による前記二酸化炭素の濃度の実測値と、前記糖濃度計による前記糖液の糖濃度の実測値に基づいて理論的に求められる二酸化炭素の濃度の予測値との不一致度合いを求め、該不一致度合いが予め決められた許容値を超えた場合に、前記エタノール発酵の状態が不良であると判断して、前記発酵槽への前記糖液の供給を停止する処理及び前記発酵槽内に吹き込む空気の量を増加する処理を実行する制御手段を備え
前記予測値は以下の手順により求められた値である。
1)前記糖液の糖濃度の実測値から、該糖液の糖分が全てエタノールに変換されたと仮定した場合のエタノール濃度を求める。
2)求めた前記エタノール濃度と前記発酵槽における希釈率からエタノール生成量を求める。
3)求めた前記エタノール生成量から、該エタノールと等モルの二酸化炭素が発生すると仮定した場合の二酸化炭素量を求める。
4)求めた前記二酸化炭素量と、前記発酵槽に吹き込む空気量とから前記予測値を求める。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のエタノール製造方法においては、連続的なエタノール発酵により発生する二酸化炭素の濃度の実測値と、糖液の糖濃度の実測値から求めた二酸化炭素の濃度の予測値とを比較することにより、簡単に連続エタノール発酵の状態の良否を判断することが可能である。
【0010】
さらには、エタノール発酵の状態が不良であると判断された場合に、連続エタノール発酵の環境を整えることができる。
【0011】
請求項記載のエタノール製造装置においては、二酸化炭素濃度計による実測値と糖濃度計による実測値に基づいて求められる二酸化炭素濃度の予測値とを比較することにより、簡単に連続エタノール発酵の状態の良否を判断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係るエタノール製造装置の説明図である。
図2】発酵槽内で発生する二酸化炭素の予測値と実測値とを示すグラフである。
図3】エタノールの連続発酵におけるグルコース濃度及びエタノール濃度を示すグラフである。
図4】希釈率が0.20の場合の二酸化炭素濃度の実測データである。
図5】希釈率が0.30の場合の二酸化炭素濃度の実測データである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係るエタノール製造装置10は、生ごみ(バイオマスの一例)を原料としてエタノールを生成するものである。エタノールは、糖化工程、固液分離工程、発酵工程及び蒸留工程を経て製造される。糖化工程は、生ごみ中のでんぷんを糖に変える工程である。固液分離工程は、糖化工程で生成された糖を含む生ごみから、不溶性の固形分(肉、野菜くず等)を取り除き、糖液を得る工程である。発酵工程は、固液分離工程で得られた糖液に酵母を添加し、連続エタノール発酵させる工程である。蒸留工程は、発酵工程で得られた発酵液のエタノール濃度を高める工程である。
【0014】
エタノール製造装置10は、図1に示すように、発酵槽11、二酸化炭素濃度計(CO計)12、及び糖濃度計(例えば、ブリックス計)13を備えている。
発酵槽11は、下部より前工程で生成された糖液が供給され、発酵槽11内に添加された酵母によってエタノールを連続的に発酵させるものである。発酵液は、発酵槽11上部より流出し、蒸留工程における蒸留装置(不図示)に送られる。発酵槽11では、培養と槽内反応促進のための攪拌を目的としてエアポンプ15により空気が吹き込まれる。
【0015】
二酸化炭素濃度計12は、発酵槽11内で発生した二酸化炭素の濃度を計測するものである。発酵槽11内で発生したガスは、発酵槽11の天井部から引き出されたテフロン(登録商標)製チューブを介してドレンポット16に送られ、前処理装置17を通って、二酸化炭素濃度計12まで導入される。なお、ドレンポット16では、ガス中に液体として存在する水が取り除かれる。また、前処理装置17ではガス中の水蒸気が取り除かれる。二酸化炭素濃度計12は、エタノール製造装置10の制御装置(制御手段の一例)20に接続されている。
【0016】
糖濃度計13は、発酵槽11に流入する糖液の濃度を計測するものである。糖濃度計13は、制御装置20に接続されている。
【0017】
次に、エタノール製造装置10を用いたエタノールの製造方法について説明する。
発酵槽11内で発生する二酸化炭素の濃度は二酸化炭素濃度計12にて計測される。一方、発酵槽11内で発生する二酸化炭素の濃度の予測値は、制御装置20によって、糖濃度計13にて計測された糖液の糖濃度に基づいて理論的に求められる。
【0018】
制御装置20では、この二酸化炭素の濃度の実測値と予測値との誤差(不一致度合い)を求め(第1工程)、この誤差が予め決められた許容値以下の場合には、連続エタノール発酵の状態は良好であると判断する。また、この誤差が予め決められた許容値を超える場合には、連続エタノール発酵の状態は不良であると判断する(第2工程)。ここで、誤差は(式1)で求められ、誤差の許容値は、例えば25%とすることができる。なお、この誤差の許容値は、26.8%を超えなければよく、例えば20%としてもよい。
誤差(%) = {予測値(%)−実測値(%)}/予測値(%) (式1)
【0019】
連続エタノール発酵の状態が不良であると判断した場合には、制御装置20はエアポンプ15を制御して発酵槽11への空気吹込み量を増やす。また、制御装置20はバルブ25を操作して糖液の発酵槽11への供給を停止する(第3工程)。これにより、培養を図り、発酵の環境を整える。
【0020】
ここで、二酸化炭素の濃度の実測値と予測値が予め決められた誤差内で一致するのであれば、連続エタノール発酵は順調であると判断できる根拠について説明する。
酵母は、糖(C12)を消費して好気呼吸及び嫌気呼吸を行う。
好気呼吸は酵母自身が分裂して増殖する際の呼吸であり、次式で示す反応が行われる。
12+6HO+6O → 6CO+12HO (式2)
【0021】
嫌気呼吸はエタノール発酵の際の呼吸であり、次式で示す反応が行われる。
12 → 2CO+2COH (式3)
ここで、発酵槽11での二酸化炭素発生量(C)は、次式で求められる。
C = A+B−L (式4)
ここで、C:発酵槽11での二酸化炭素発生量、A:嫌気呼吸(エタノール発酵)による二酸化炭素発生量、B:好気呼吸による二酸化炭素発生量、L:液中に溶け込む二酸化炭素量である。
【0022】
エタノール発酵収率が高い(例えば90〜95%)場合には、嫌気呼吸(エタノール発酵)による二酸化炭素発生量(A)に比べて、好気呼吸による二酸化炭素発生量(B)、及び液中に溶け込む二酸化炭素量(L)は、無視できる程度に小さい。従って、次式が成り立つ。
C ≒ A (式5)
即ち、エタノール発酵収率が高い場合には、発生する二酸化炭素はほとんど嫌気呼吸(エタノール発酵反応)によるものといえる。従って、エタノール発酵収率が高い場合に(式5)に基づいて発酵槽11内で発生する二酸化炭素の濃度を予測することができる。
そこで、二酸化炭素濃度の予測値と実測値とを比較して、許容誤差内で一致するのであれば、連続エタノール発酵の状態は順調であると判断できる。反対に、許容誤差内で一致しないのであれば、連続エタノール発酵の状態は不良であると判断できる。
【0023】
続いて、その検証実験について説明する。
この実験は、エタノール発酵収率を95%程度に維持した状態で、エアポンプ15による空気吹込み量を変更し、二酸化炭素濃度の予測値と実測値を比較したものである。実験条件は以下の通りである。
<実験条件>
1.発酵温度 :30(℃)
2.発酵槽容積 :930(L)
3.菌種 :サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces.Cerevisiae)
4.希釈率 :0.20(1/h)
【0024】
空気吹込み量(V)が0.05vvmのとき、二酸化炭素濃度計12による二酸化炭素濃度の実測値は、49%であった。一方、糖濃度計13による糖液の糖濃度は79.02(g/L)であった。
この糖液の糖濃度から、二酸化炭素濃度の予測値を求めると以下の通りとなる。
【0025】
まず、エタノール濃度は、糖濃度の実測値から、糖液の糖分が全てエタノールに変換されたと仮定して次式のように求められる。
エタノール濃度(g/L)
=糖液の糖濃度(g/L)×0.5114
=79.02×0.5114
=40.41 (式6)
【0026】
次に、発酵速度は、次式のように求められる。
発酵速度(g/L/h)
=エタノール濃度(g/L)×希釈率(1/h)
=40.41×0.2
=8.082 (式7)
【0027】
次に、エタノール生成量は、次式のように求められる。
エタノール生成量(g/min)
=発酵速度(g/L/h)×発酵槽容積(L)/60(min)
=8.082×930(L)/60(min)
=125.3 (式8)
【0028】
次に、発生する二酸化炭素量は、1)エタノールと等モルの二酸化炭素が発生すること、2)二酸化炭素の分子量が46であることを考慮し、次式のように求められる。
二酸化炭素量(L/min)
=エタノール生成量(g/min)/46×22.4(L/mol)
=(125.3/46)×22.4
=61 (式9)
【0029】
次に、エアポンプ15による空気吹込み量は、次式のように求められる。
エアポンプ15による空気吹込み量(L/min)
=空気吹込み量(vvm)×発酵槽容積(L)
=0.05×930(L)
=46.5 (式10)
【0030】
従って、二酸化炭素濃度の予測値は、次式のように求められる。
二酸化炭素濃度の予測値(%)
=二酸化炭素量(L/min)
/{エアポンプによる空気吹込み量(L/min)
+二酸化炭素量(L/min)}×100
=61/(46.5+61)×100
=56.7 (式11)
【0031】
その後、空気吹込み量(V)を0.025(vvm)、0.01(vvm)、0.075(vvm)、0.1(vvm)と変更し、それぞれについて同様に実測値と予測値を求めたところ、図2に示す通りとなった。なお、図2の横軸は予測値、縦軸は実測値を示している。図2から分かるように、予測値が実測値よりも大きい傾向がある。これは糖濃度の実測値から糖液の糖分が全てエタノールに変換されたと仮定していることに起因する。即ち、糖分の中にはエタノール発酵されにくい成分を含有しており、この成分の影響で予測値の方が大きくなっている。しかしながら、傾向としてはよく一致している。
そして、各点について(式1)で示される誤差(%)を求めたところ、最大で26.8%となった。
【0032】
以上の実験結果から、二酸化炭素濃度の実測値と予測値とを比較し、この実測値と予測値が予め決められた誤差内で一致するのであれば、連続エタノール発酵の状態は良好(順調)と判断でき、反対に一致しないのであれば、連続エタノール発酵の状態は不良と判断できるとの結論を得た。
なお、更に実験を行ったところ、発酵温度は少なくとも25℃〜35℃の範囲では前述の結論に変わりは無いことが確認できた。
【実施例】
【0033】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
まず、原料となる生ごみから、糖化工程、及び固液分離工程を経て生成された糖液を発酵槽11内に供給し、連続エタノール発酵させた。発酵条件は以下の通りである。
<発酵条件>
1.発酵温度 :30(℃)
2.発酵槽容積 :930(L)
3.菌種 :サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces.Cerevisiae)
【0034】
その結果、図3に示すようになった。なお、図3の横軸は反応時間(経過時間)を示し、縦軸はグルコース濃度及びエタノール濃度を示している。
図3中、期間Aにおいては、希釈率(D)は0.20(1/h)である。この期間Aにおける二酸化炭素濃度の予測値は52%前後で推移した。この予測値と図4に示す実測データとを比較すると、誤差25%以下でよく一致していた。実際、図3から明らかなように、この期間Aにおいては生成されるエタノール濃度は高く、連続エタノール発酵の状態は良好であった。
【0035】
一方、期間Bにおいては、希釈率(D)を変更して0.30(1/h)とした。この期間Bにおける二酸化炭素濃度の予測値は55%前後で推移した。実測値は図5に示すように反応時間98時間以降低下した。この予測値と図5に示す実測データとを比較すると、反応時間108時間の時点では誤差は25%以上であり、連続エタノール発酵の状態が不良であると判断した。実際、図3から明らかなように、この期間Bにおいては実際に、エタノール濃度が低下していた。即ち、連続エタノール発酵の状態が不良であった。
そこで、空気吹込み量を増やし、糖液の供給を停止した。これにより、培養を図ったところ、その後のエタノール発酵の状態は回復に向かった。
【0036】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。例えば、前述のそれぞれ実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明を構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、本実施の形態では、原料は生ごみであったが、これに限らず、任意のバイオマス原料であれば良い。また、不一致度合いとして誤差を使用していたが、これに限らない。例えば、不一致度合いを二酸化炭素濃度の実測値と予測値との差としても良い。更には、不一致度合いを二酸化炭素濃度の実測値と予測値との差に基づき演算された値としても良い。
【符号の説明】
【0037】
10:エタノール製造装置、11:発酵槽、12:二酸化炭素濃度計、13:糖濃度計、15:エアポンプ、16:ドレンポット、17:前処理装置、20:制御装置、25:バルブ
図1
図2
図3
図4
図5