(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押さえ板は、前記フィンを前記押さえ板裏面側から前記貫通孔に挿入させるとともに前記押さえ板裏面と前記ベース板表面との間に前記当接板を挟んだ状態で、前記ベース板に固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒートシンク。
前記フィン部材は、1枚の平板を所定の角度で折り曲げることにより形成され、折り曲げられた一方の側の平板部分を前記当接板とし、他方の側の平板部分を前記フィンとすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヒートシンク。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係るヒートシンク800を示す分解斜視図である。
図2は、本実施の形態に係るヒートシンク800を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態に係るヒートシンク800を側面から見た平面図である。
図4は、本実施の形態に係る1枚のフィン部材300を示す図であり、(a)がフィン部材300の斜視図、(b)がフィン部材300が折り曲げられていない状態のアルミニウム板301の平面図である。本実施の形態におけるヒートシンク800の構成について、
図1から
図4に基づいて以下に説明する。
【0011】
図1に示すように、ヒートシンク800は、ベース板100と押さえ板200とフィン部材300とを備える。ベース板100と押さえ板200とフィン部材300とは、熱伝導性の高いアルミニウム等により形成されている。ベース板100と押さえ板200とフィン部材300とは、熱を伝達し易く、成型し易い材質であればアルミニウムに限られない。ヒートシンク800は、例えば、LED(発光ダイオード)を光源とするLED照明装置等において、LED、点灯装置等の電気・電子部品等から発熱する熱を放熱するために用いられる。
【0012】
ベース板100は、板状(平板)であり、例えば、アルミニウム板である。ベース板100は、熱を伝達し易く、成型し易い材質であればアルミニウムに限られない。図には示していないが、ベース板100において、フィン部材300が設置される面(ベース板表面101)の反対側の面(ベース板裏面102)には、例えば、LEDモジュール(光源)、点灯回路、電源回路等の発熱する電気・電子部品が取り付けられる。
【0013】
ベース板100は、
図1に示すように、1辺の長さL8×1辺の長さL9の矩形形状のアルミニウム板である。しかし、ベース板100の形状は、このような矩形に限られず、使用態様によってどのような形状としてもよい。例えば、ベース板100の形状は、円形やその他の多角形でもよい。
【0014】
フィン部材300は、当接板320と、当接板320から略垂直に突き出した板状のフィン310とを備える。当接板320は、ベース板表面101に配置され、ベース板表面101に当接する当接板裏面322と当接板裏面322の裏側の当接板表面321とを有する。フィン部材300は、1枚のアルミニウムの平板を所定の角度(例えば、直角)に折り曲げることにより形成される。フィン部材300は、断面形状がL字形状である。
【0015】
フィン部材300の折り曲げられた一方の側の平板部分が当接板320となり、他方の側の平板部分がフィン310となる。本実施の形態では、
図1に示すように、3つのフィン部材が並べて配置される。
【0016】
フィン部材300は、当接板320が幅(P1−P2方向の長さ)L6、当接板320の長手方向(フィン310の幅方向、Q1−Q2方向)の長さL5の矩形形状である。フィン310は、フィン幅L4、フィン高さL7の矩形形状である。フィン部材300は、当接板320を隙間なく並べてベース板表面101に並べられる。このように配置することにより、フィン310はベース板表面101からベース板表面101の方向に垂直に立設されることになる。
【0017】
押さえ板200は、当接板表面321と当接する押さえ板裏面202と、押さえ板裏面202の裏側の面である押さえ板表面201とを有する。押さえ板200の外形は、ベース板100と外形と略同一形状である。また、押さえ板200は、押さえ板200の一部が押さえ板表面201側に切り起こされて形成された切り起こし片220と、フィン310を押さえ板裏面202側から挿入するフィン挿入孔210(貫通孔)を備える。また、フィン挿入孔210の少なくとも一部は切り起こし片220が切り起こされることにより形成される。本実施の形態では、フィン挿入孔210は切り起こし片220が切り起こされることにより形成される。
【0018】
押さえ板200は、フィン幅L4に合わせた長辺の長さL3のフィン挿入孔210が設けられている。フィン挿入孔210は、矩形形状の孔であり、長辺はL3、短辺はL1である。押さえ板200のフィン挿入孔210は、凹凸のないアルミニウムの平板に、フィン挿入孔210の形状(L3×L1の矩形)であって長辺の一つを残した形状に切り込みをいれ、切り込まれた片もち梁状の片を切り起こすことで形成される。板厚等を考慮すると、短辺の切り込みは実際にはL1より長い。
【0019】
フィン挿入孔210は、矩形形状であり、長手方向の長さL3、短手方向の長さL1である。フィン挿入孔210の長手方向の長さL3は、フィン幅L4と略同一、あるいはやや長い。
【0020】
図1に示すベース板100、押さえ板200、3つのフィン部材300を組み立てると
図2に示すヒートシンク800となる。以下に、ベース板100、押さえ板200、3つのフィン部材300の組み立て方法の一例を示す。
(1)3つのフィン310をそれぞれ3つのフィン挿入孔210に挿入し、フィン挿入孔210のP1側の長辺周縁に沿わせる。当接板320の当接板表面321を押さえ板200の押さえ板裏面202に密着させる。
(2)ベース板100のベース板表面101を当接板320の当接板裏面322に密着させる。
(3)押さえ板200をベース板100に、例えば、ネジ止め等により固定する。押さえ板200とベース板100とによる挟持力により、押さえ板200とベース板100との間に当接板320を固定する。
【0021】
図3に示すように、フィン部材300はベース板100と押さえ板200とに挟まれる形で固定されている。フィン部材300の当接板320が、ベース板100のベース板表面101と押さえ板200の押さえ板裏面202との間に挟まれることにより固定される(
図1参照)。ベース板100のベース板表面101とフィン部材300の当接板裏面322とが密着し、フィン部材300の当接板表面321と押さえ板200の押さえ板裏面202とが密着する。そして、フィン310は、フィン挿入孔210に挿入され、フィン挿入孔210から押さえ板表面201側に露出する。
【0022】
押さえ板200は、フィン310を押さえ板裏面202側からフィン挿入孔210に挿入させるとともに押さえ板裏面202とベース板表面101との間に当接板320を挟んだ状態で、ベース板100に固定される。ベース板100と押さえ板200とは、例えば、ネジやリベット、接着剤等により固定、接着される。
【0023】
また、本実施の形態では、フィン部材300が3つ(フィン310の枚数が3枚)の例を挙げているが、求められる放熱性能に応じてフィン310の枚数は変えることができる。フィン310を設置する間隔L62(
図3参照)も、求められる放熱性能に応じて自由に調整することができる。
【0024】
図3に示すように、ベース板100、フィン部材300、押さえ板200の板厚は、それぞれ均一であり、厚みが略一定な平板であるが、その板厚は一定でなくてもよい。
【0025】
例えば、ベース板100において電気・電子部品が取り付けられるベース板裏面102は平面である必要があるが、ベース板100の部品取り付け部分の冷却を促進するために、部品取り付け部分近傍のみベース板100の厚みを厚くしてもよい。この場合、ベース板表面101は、平面ではなく曲面、斜面、あるいは凹凸のある面となる場合がある。
【0026】
押さえ板200は、フィン幅L4(
図1参照)に合わせたフィン挿入孔210が設けられている。フィン挿入孔210の設置位置は、ヒートシンク800の外形、設置するフィン310の枚数(すなわち、フィン部材300の個数)や、フィン310の間隔L62等を考慮して自由に調整できる。
【0027】
本実施の形態では、
図2及び
図3に示すように、3つのフィン部材300のうち、P2側のフィン部材300の当接面端面A323と、ベース板100のP2側の端面であるベース板端面A103と、押さえ板200のP2側の端面A203とは、ほぼそろえて(略一平面上となるように)配置される。
【0028】
図1で示すように、当接板のフィン幅方向(Q1−Q2方向)の長さL5は、ベース板100のフィン幅方向(Q1−Q2方向)の長さL9(
図1参照)よりも短く形成されている。したがって、
図2に示すように、P2側のフィン部材300の当接面端面A323のQ1側とQ2側には、ベース板100と押さえ板200との間に隙間部A501が形成される。押さえ板200は、この隙間部A501のある位置において、ベース板100に固定される。この位置でネジ止めすることにより、ネジ等は押さえ板200とベース板100とを貫通して固定し、フィン部材300の当接板320は貫通しない。
【0029】
また、
図3に示すように、P2側のフィン部材300の当接板320の当接面端面A323の反対側の当接板端面B324と、真ん中のフィン部材300の当接面端面A323とは、当接するか、あるいは極小さい隙間しかできないように、隣り合うフィン部材300同士が並べられる。P1側のフィン部材300の当接板端面B324のP1側は、隙間部B502となる。隙間部A501、隙間部B502は、なくてもよい。また、P1側のフィン部材300の当接面端面A323のP1側にも隙間部が生じるように設計してもよい。隙間部A501、隙間部B502がない場合には、ネジ等は、押さえ板200とベース板100と当接板320とを貫通して固定することになる。
【0030】
上述したように、切り起こし片220は、凹凸のない平板に、フィン挿入孔210の形状(L8×L9の矩形)の長辺一辺を残して切り込みをいれ、切り起こすことで形成される。そして、切り起こし片220は、フィン挿入孔210から押さえ板表面201側に露出するフィン310と平行になるように切り起こされる。フィン310が当接板320(あるいはベース板100、押さえ板200)に対して直角に設けられている場合は、切り起こし片220も押さえ板200(あるいはベース板100、当接板320)に対して直角になるように起こされる(曲げられる)。
【0031】
図2に示すように、フィン310は、フィン挿入孔210のP1側の長辺に沿って挿入される。これにより、フィン挿入孔210は当接板表面321により塞がれる。また、
図3に示すように、フィン310と切り起こし片220とは交互に配置される。このように、隣り合うフィン310の間に、切り起こし片220が配置されることで、切り起こし片220もフィン310と同様の機能を有する。つまり、切り起こし片220の表面から熱を放熱するという機能を有する。
【0032】
フィン挿入孔210のフィン長手方向(フィン幅方向、Q1−Q2方向)に垂直な方向の長さ(フィン挿入孔210の幅L1)を大きくすることにより、切り起こし片220の高さL10が高くなる。切り起こし片220は、熱を放熱するというフィンの機能も持ち合わせるので、フィン部材300を固定できる範囲の中で大きくすることが望ましい。
【0033】
しかし、フィン挿入孔210の幅L1は、そのフィン挿入孔210に挿入されたフィン310と、そのフィン挿入孔210により形成された切り起こし片220との間隔を示すものである。そして、切り起こし片220と隣のフィン挿入孔210に挿入されているフィン310との間隔L2(
図1,
図3参照)は隣り合うフィン挿入孔210の間隔L2である。このとき、平行に配置されているフィン310と切り起こし片220との間隔は、等間隔に近い方が放熱効率がよいと考えられる。したがって、放熱性を高めつつ切り起こし片220の高さL10を高くするように、フィン挿入孔210の間隔を設計する必要がある。
【0034】
ベース板100の厚みを一定でない形状にした場合には、ベース板100のベース板表面101とフィン部材300の当接板裏面322との密着性、フィン部材300の当接板表面321と押さえ板200の押さえ板裏面202との密着性を損なわないようにする必要がある。フィン部材300の形状、押さえ板200の形状も、ベース板100のベース板表面101との凹凸が埋まるような形状にする必要がある。
【0035】
フィン部材300は、平板を折り曲げることで成形される。フィン部材300において、ベース板100や押さえ板200と接する部分(当接板320)のフィン長手方向に垂直な方向の長さL6は、隣に設置するフィン部材300と重ならない範囲で最大の長さとする。
【0036】
図4は、(a)がフィン部材300の斜視図であり、(b)フィン部材300が折り曲げられる前の状態のアルミニウム板301を示す図である。上述したように、フィン部材300は、1枚のアルミニウム板を略直角に折り曲げた形状である。ただし、折り曲げた箇所(折り曲げ部325)のフィン幅方向の両側には、フィン幅L4より突出した当接板320の部分(当接板突出部326)が設けられている。
【0037】
図4(b)に示すように、フィン部材300は、当接板320の幅L5よりもフィン幅L4の方が短く形成されている。これにより、折り曲げ部325の両側に当接板突出部326が設けられる。この当接板突出部326により、フィン挿入孔210を当接板320が完全に塞ぐことができ、当接板320と押さえ板200との密着性が高まる。
図2に示すように、当接板320が当接板突出部326を有することにより、フィン挿入孔210の孔縁部211と当接板320との間に隙間ができにくくなる。
【0038】
次に、ベース板100のベース板裏面102に取り付けられた電気・電子部品で発生した熱の放熱について説明する。
【0039】
電気・電子部品で発生した熱はベース板100によって広げられ、ベース板100から空気中へ放熱されるものと、ベース板100(ベース板表面101)に接している当接板裏面322を介してフィン部材300に伝えられる熱に分かれる。
【0040】
フィン部材300に伝えられた熱は、フィン部材300(主に、フィン310)から空気中へ放熱されるものと、フィン部材300(当接板表面321)に接している押さえ板裏面202を介して押さえ板200に伝えられる熱に分かれる。
【0041】
押さえ板200に伝えられた熱は押さえ板200(主に、押さえ板表面201、切り起こし片220)から空気中へ放熱される。このように、電気・電子部品で発生した熱は最終的に全て空気中へと放熱される。ここで、物体表面から空気へ熱伝達される熱量(単位[W])は、熱伝達率(単位[W/m
2/K])と、放熱する面の面積(単位[m
2])と、温度差(単位[K])との積で表される。
【0042】
押さえ板200に切り起こし片220を形成(設置)することで、切り起こし片220の両面が放熱面として機能し、放熱する面の面積が増える。また、切り起こし片220を切り起こしたことにより生じた孔(フィン挿入孔210)はフィン部材300の当接板320により塞がれるため、穴が開いていることによる放熱面積の損失もない。特に、当接板320が当接板突出部326を備えていることにより、フィン挿入孔210は当接板320により完全に塞がれるので放熱面積の損失がない。
【0043】
加えて、フィン挿入孔210を切り起こしにより設けているため、押さえ板200のフィン310の長手方向(Q1−Q2方向)の曲げに対して強度が増す。これにより、押さえ板200を端部や数点箇所でのみベース板100に固定した場合においても、押さえ板200の湾曲を抑えることができる。
【0044】
また、フィン部材300の当接板320により、フィン部材300がベース板100や押さえ板200と接する部分を可能な限り大きくとることができる。これにより、ベース板100とフィン部材300(当接板320)、フィン部材300(当接板320)と押さえ板200の接触面積を増やすことができ、熱の伝導性を上げる効果が得られる。加えて、フィン部材300を安定して固定する効果もある。ベース板100とフィン部材300(当接板320)、フィン部材300(当接板320)と押さえ板200との接触部分にグリースや接着剤を挟むことで接触熱抵抗を抑え、より放熱性能を上げることもできる。
【0045】
また、ヒートシンク800からの熱輻射を増加させるため、ヒートシンク800の表面に塗装、または表面処理加工を施してもよい。
【0046】
以上のように、本実施の形態に係るヒートシンク800は、ベース板100、フィン部材300、押さえ板200の3部品より構成され、フィン部材300がベース板100と押さえ板200とに挟まれ固定され、押さえ板200にはフィン310を挿入させる穴(フィン挿入孔210)が設けられ、フィン挿入孔210の少なくとも一部は切り起こしによって形成されていることを特徴とする。このように、ヒートシンク800は、押さえ板200に切り起こしによる切り起こし片220を設置することで、切り起こし片220の両面が放熱面として機能し、放熱する面の面積が増え、放熱性能があがる。また、押さえ板200の剛性が上がり、フィン部材300とベース板100とを安定して密着させることができる。
【0047】
また、本実施の形態に係るヒートシンク800によれば、フィン部材300、ベース板100、押さえ板200を用いてヒートシンク800を構成することができる。それぞれの構成部材(フィン部材300、ベース板100、押さえ板200)は、1枚の平板(アルミニウム板)を切り起こし加工、曲げ加工等により成型することができるものである。また、本実施の形態に係るヒートシンク800は、フィン部材300を押さえ板200を用いてベース板100に固定することにより構成されているので、プレス機や電気炉といった大型設備を使用することなく組み立てることができ、軽量で放熱性に優れたヒートシンク800を容易に製造することができる。
【0048】
実施の形態2.
図5は、本実施の形態におけるヒートシンク810を示す斜視図である。
図6は、(a)が本実施の形態に係る押さえ板290の斜視図であり、(b)が(a)のフィン挿入孔210を正面から見た正面図、(c)がフィン挿入孔210を正面から見た正面図の他の例を示す図である。本実施の形態におけるヒートシンク810の構成について、
図5、
図6に基づいて以下に説明する。
【0049】
なお、実施の形態1で説明したものと同様の機能及び構成を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
ヒートシンク810は、ベース板100と押さえ板290とフィン部材300とを備える。ベース板100のベース板裏面102(
図1参照)には、LEDモジュール等の電気・電子部品が取り付けられる。ベース板100と押さえ板290とに挟まれる形でフィン部材300が固定されている。実施の形態1と相違する構成は、押さえ板290のフィン挿入孔210の形状である。
【0051】
図5に示すように、フィン310は、フィン挿入孔210のP1側の長辺に沿って挿入されている。フィン310の折り曲げ部325近傍のQ1−Q2方向の両端部は、フィン挿入孔210の孔縁部211に形成された切り欠き部240に嵌め込まれている。
【0052】
図6(b)に示すように、押さえ板290のフィン挿入孔210の形状は、切り起こしとして使われる領域248とフィン310が挿入される領域249とに分けられる。フィン310が挿入される領域249は、フィン310の板厚に合わせた幅L11、フィンの長手方向の幅(フィン幅L4)に合わせた長さL12となっている。
【0053】
切り起こしとして使われる領域248のフィン長手方向に平行な方向の長さL3は、フィン310の長手方向の長さL4に合わせて形成された領域249の長手方向の長さL12に比べ短くなっている。領域248のフィン310の長手方向に垂直な方向の長さL13は、切り起こす高さL10を増やすために、フィンピッチを考慮した上で、できる限り長くすることが好ましい。
【0054】
図6(c)に示すように、フィン310が挿入される切り欠き部240の位置は、フィン挿入孔210の端部に限らず、フィン挿入孔210の中央等に自由に配置してよい。
図6(c)に示すように、フィン310を挿入する領域249は、フィン挿入孔210の中央部に存在する。この場合、領域249のP1側の領域(領域247)を塞ぐために、当該フィン部材300のP1側隣のフィン部材300の当接板320で塞ぐことができるように、当接板320の幅L6(
図3参照)を設計する必要がある。
【0055】
以上のように、本実施の形態のヒートシンク810によれば、フィン挿入孔210の孔縁部211にフィン310の一部を嵌め込む切り欠き部240を備えるので、フィン部材300の位置決めが容易になり、フィン310の抜けを防止できる。
【0056】
また、本実施の形態のヒートシンク810によれば、フィン挿入孔210の一部にフィン幅L4に合わせて、切り起こし部分(領域248)よりも幅A(長手方向の長さ)の広い部分(領域249)を設け、フィン挿入孔210の形状を切り起こし部分(領域248)とフィン挿入部分(領域249)とで構成したので、フィン部材300の位置決めが容易になり、フィン310の抜けを防止できる。
【0057】
また、押さえ板290では、フィン310の幅L4よりも切り起こし部分(領域248)のフィン長手方向の長さL3を短くしたので、フィン310と押さえ板290の接触面積が増え、より安定して固定することができる。例えば、実施の形態1において説明した押さえ板200の場合よりも、少なくとも
図6(a)に示した破線領域250(破線で囲まれた領域)の分はフィン310と押さえ板290の接触面積が増えている。
【0058】
実施の形態3.
図7は、本実施の形態における押さえ板291を示す斜視図である。
図7では、押さえ板291におけるフィン挿入孔210の部分のみを示しており、フィン挿入孔210の数は、実施の形態1及び2と同様に3つでもよい。それ以外の構成は、実施の形態1及び実施の形態2において説明したものと同様であり、本実施の形態に係るヒートシンクも、フィン部材300がベース板100と押さえ板291とに挟まれる形で固定されている。
【0059】
本実施の形態に係るヒートシンクにおいて実施の形態1,2と異なる点は、押さえ板291のフィン挿入孔210及び切り起こし片の形状であり、他の部材は同一である。したがって、実施の形態1及び実施の形態2において説明したものと同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
本実施の形態に係る押さえ板291は、押さえ板291の一部が押さえ板裏面202側に切り起こされた第2切り起こし片223(押さえ片)であって、切り起こされることによりフィン挿入孔210(貫通孔)の一部が形成される第2切り起こし片223(押さえ片)を備える。押さえ板291は、第2切り起こし片223が切り起こされることによりフィン挿入孔210の中央部が形成される。
【0061】
図7に示すように、押さえ板291には、切り起こしにより形成されたフィン挿入孔210が設けられている。押さえ板291は、フィン挿入孔210を形成するための切り起こしとして、ベース板100(
図2参照)の逆側(押さえ板表面201側)に、フィン310(
図2参照)とほぼ平行になるように起こされた第1切り起こし片221,222と、ベース板100側に切り起こされた第2切り起こし片223とを備える。
【0062】
押さえ板291では、フィン挿入孔210を形成するための切り起こしが3つあり、真ん中の切り起こし片を第2切り起こし片223として押さえ板裏面202側(ベース板100側)に切り起こし、第2切り起こし片223の両側の切り起こし片を第1切り起こし片221,222として押さえ板表面201側に切り起こしている。
【0063】
図8は、比較のためのヒートシンク820であって、ベース板100と、フィン挿入孔210が設けられた比較例の押さえ板299とによりフィン部材300を固定している状態を、フィン310の長手方向に垂直な方向から見た平面図の模式図である。比較例の押さえ板299は、フィン挿入孔210を備えているが切り起こし片は備えていないものとする。
図8を用いて、本実施の形態における押さえ板291の効果について説明する。
【0064】
比較例のヒートシンク820のように、ベース板100と押さえ板299とをフィン310の長手方向の両端部でネジ500によりネジ止めした場合、ネジ500の個数は最小限に抑えることができる。しかし、
図8に示すように、押さえ板299が湾曲することで押さえ板299の中央が浮いてしまい、フィン部材300の当接板320の中央部においてベース板100からの熱伝導が低下する。
【0065】
本実施の形態に係る押さえ板291では、中央の第2切り起こし片223がフィン310の中央部付近においてフィン310をベース板100へ押し付ける側に折り曲げられている。したがって、押さえ板299が湾曲することで押さえ板299の中央が浮いてしまったとしても、第2切り起こし片223はフィン310の中央部でフィン部材300をベース板100に押し付けることができ、フィン部材300の当接板320とベース板100との密着性を高めることができる。
【0066】
図7に示すように、第2切り起こし片223の第2切り起こし片先端部224は、押さえ板表面201よりも押さえ板裏面202側に位置するように切り起こされている。このとき、P1側の長辺の孔縁部211と第2切り起こし片223の第2切り起こし片先端部224との間にフィン310が挿入しやすいように、第2切り起こし片223の長さL14を短くしてもよい。
【0067】
また、本実施の形態に係る押さえ板291では、フィン挿入孔210を切り起こしにより形成しているため、押さえ板291を押さえ板291の端部や押さえ板291の数点箇所でのみ固定した場合においても、押さえ板291の湾曲を抑えることができる。
【0068】
押さえ板291において、第1切り起こし片221,222と第2切り起こし片223との位置や大きさ、数は自由に調整することができるが、ネジ500等で押さえ板291を数点固定した場合においては、第2切り起こし片223を固定した点の間に設けることでフィン部材300とベース板100との密着性を高めることができるため好ましい。
【0069】
以上のように、本実施の形態に係るヒートシンクは、押さえ板291の切り起こした部分の一部をベース板100側に折り曲げることを特徴とする。この構成により、押さえ板291に取り付けられた折り曲げ部分(第2切り起こし片223)でフィン部材300とベース板100とを押さえることができ、フィン部材300とベース板100の密着性が向上する。
【0070】
実施の形態4.
図9は、本実施の形態における押さえ板292を示す斜視図である。
図10は、本実施の形態における押さえ板292のバリエーションを示す斜視図である。
図9及び
図10では、押さえ板292のフィン挿入孔210が1つの場合を示している。それ以外の構成は、実施の形態1〜2において説明したものと同様であり、本実施の形態に係るヒートシンクは、フィン部材300がベース板100と押さえ板292とに挟まれる形で固定されている。
【0071】
本実施の形態に係るヒートシンクにおいて実施の形態1〜3と異なる点は、押さえ板292のフィン挿入孔210の形状及び第2切り起こし片の形状であり、他の部材は同一である。したがって、実施の形態1〜3において説明したものと同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
図9に示すように、押さえ板292の第2切り起こし片225は、両側の第1切り起こし片221,222よりも長い長さL20(P1−P2方向の長さ)で切り起こされている。第2切り起こし片225は、根元は押さえ板表面201側に切り起こされているが、その角度は第1切り起こし片221,222よりも小さい角度である。そして、第2切り起こし片225は、第2切り起こし片先端部226がベース板100の方を向くように、第2切り起こし片225の途中(屈曲部227)から略直角に折り曲げられている。
【0073】
図9に示す押さえ板292では、第2切り起こし片225の第2切り起こし片先端部226がフィン310の中央部付近においてフィン部材300(当接板320)をベース板100へ押し付ける側に弾性力を有する。したがって、第2切り起こし片225は、フィン部材300の中央部で、フィン部材300をベース板100に押し付けているので、当接板320とベース板100との密着性を高めることができる。また、第2切り起こし片225を切り起こすことにより形成された切り欠き領域210aは、このフィン挿入孔210に挿入されるフィン部材300のP1側の隣のフィン部材300の当接板320により塞がれるので、熱伝導の損失はない。
【0074】
図10に示すように、押さえ板292の第2切り起こし片225aは、両側の第1切り起こし片221,222よりも長い幅L20で切り起こされている。第2切り起こし片225aは、押さえ板裏面202側に切り起こされている。そして、第2切り起こし片225aは、根元からL21の長さの箇所で折りたたまれている。折りたたまれた角部(第2切り起こし片先端部226a)から第2切り起こし片225aの根元までの長さL21は、フィン挿入孔210の幅L1と同程度かやや短くなるように形成する。
【0075】
図10に示す押さえ板292では、真ん中の第2切り起こし片225aの第2切り起こし片先端部226aがフィン310の中央部付近においてフィン部材300をベース板100へ押し付ける側に弾性力を有する。したがって、第2切り起こし片225aは、フィン部材300の中央部で、フィン部材300をベース板100に押し付けているので、フィン部材300の当接板320とベース板100との密着性を高めることができる。
【0076】
以上のように、本実施の形態に係る押さえ板292において、第2切り起こし片225,225aのように、第2切り起こし片225,225aに弾性を持たせることで、よりフィン部材300を押さえ板裏面202方向に押さえつける力が強まり、フィン部材300(当接板320)とベース板100の密着性を高めることができる。
【0077】
また、以上のように、本実施の形態に係る押さえ板292では、押さえ板292の切り起こした部分(第2切り起こし片225)を屈曲部227からベース板100側(押さえ板裏面202側)に折り曲げることを特徴とする。この構成により、押さえ板292に取り付けられた折り曲げ部分(第2切り起こし片225の屈曲部227から先の部分)でフィン部材300とベース板100とを抑える(押さえる)ことができ、フィン部材300とベース板100との密着性があがる。
【0078】
また、以上のように、本実施の形態に係る押さえ板292では、押さえ板292の切り起こした部分(第2切り起こし片225a)をベース板100側(押さえ板裏面202側)に折り曲げ、さらに、屈曲部227aから先の部分をベース板100側(押さえ板裏面202側)に折りたたむことを特徴とする。この構成により、押さえ板292に取り付けられた折りたたみ部分(第2切り起こし片225a)の先端部である第2切り起こし片先端部226aでフィン部材300とベース板100とを抑える(押さえる)ことができ、フィン部材300とベース板100との密着性があがる。
【0079】
また、以上のように、本実施の形態に係る押さえ板292では、押さえ板292に設けられた折り曲げ部分(第2切り起こし片225,225a)はフィン310幅のほぼ中央に設けられていることを特徴とする。この構成により、押さえ板292に取り付けられた折り曲げ部分(第2切り起こし片225,225a)でフィン部材300とベース板100とを抑える(押さえる)ことができ、フィン部材300(当接板320)とベース板100との密着性があがる。
【0080】
実施の形態5.
図11は、実施の形態5に係る照明装置900の斜視図である。
図12は、実施の形態5に係る照明装置900の断面図である。実施の形態5における照明装置900の構成について、
図11と
図12とに基づいて以下に説明する。なお、実施の形態1と同様の機能構成部については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
実施の形態5における照明装置900は、天井などに取り付ける取り付け部(図示なし)と、電源(図示なし)と、光源を点灯させる点灯装置(図示なし)と、器具本体190とを備えている。器具本体190は、実施の形態1に記載のヒートシンク800と基板160と基板160に実装されたLED170(光源)、LED170からの光を要求される照射範囲を照らすよう集光させるリフレクタ180から構成される。
【0082】
基板160は、ガラスエポキシ基板やアルミ基板、セラミック基板などが使われる。熱の伝導性の高いものを使用することで、より放熱性能を向上させることができる。
【0083】
リフレクタ180は、白色高反射ポリカなど、反射率の高い材料で成形される。
【0084】
基板160は、ヒートシンク800の光の発光方向側の面に取り付けられる。すなわち、ベース板100のベース板裏面102に基板160が取り付けられる。ベース板裏面102には、基板160の他、電源装置、点灯装置等の電気・電子部品が取り付けられてもよい。
【0085】
ヒートシンク800と基板160の間には、2つの部材を密着させるために、高放熱性のグリースや接着剤、シートを挟んでもよい。
実施の形態1のヒートシンクを照明装置に用いることで軽量な照明装置にすることができる。照明装置に用いるヒートシンクは実施の形態2や3に記載のヒートシンクでもよい。
【0086】
以上のように、本実施の形態に係る照明装置900によれば、押し出し加工や鍛造加工、その他鋳造法を用いたヒートシンクに比べ軽量で放熱性に優れたヒートシンク800を有する照明装置900を得ることができる。また、大型設備がなくても組み立てられ、金型を用いたヒートシンクに比べ軽量で放熱性能の優れたヒートシンクを得る。大型設備がなくても組み立てることができ、製造コストの低い照明装置900を得ることができる。
【0087】
以上、実施の形態1〜5について説明したが、これらの5つの実施の形態のうちの複数を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの5つの実施の形態のうち複数を部分的に組み合わせて実施しても構わない。その他、これらの5つの実施の形態を全体として、あるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。また、本質的でない部分の構成を他の構成で置き換えた構成であってもよい。