(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液100質量部に対してアルカリ性の水性媒体600〜3000質量部を混合し、液温(T1)が70℃以下のアントラキノン構造を有する顔料が析出した顔料分散液(A)を得る第一工程と、
次いで、該顔料分散液(A)の最終温度を50℃以下であって、且つT2<T1となる温度(T2)へ調整する第二工程とを有するアントラキノン構造を有する顔料微粒子の製造方法であって、
温度(T1)から温度(T2)への調整を、該顔料分散液(A)を得た時点を起算点として120秒以内で行うことを特徴とするアントラキノン構造を有する顔料微粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で用いる顔料は、アントラキノン構造を有する。このような顔料としては、例えば、C.I.ピグメント レッド83、C.I.ピグメント レッド177、C.I.ピグメント レッド89等が挙げられる。中でも粒子径の小さい顔料微粒子が得られ、カラーフィルターを構成する赤色フィルタセグメントとして好適に使用できることからC.I.ピグメント レッド177が好ましい。
【0018】
アントラキノン構造を有する顔料を硫酸中に溶解した硫酸溶液の調製に用いる硫酸の濃度は、アントラキノン構造を有する顔料が溶解し、かつスルホン化や酸化等の化学反応を受けない範囲であれば特に限定されないが、通常70〜100重量%の範囲であり、特に95〜98重量%の市販濃硫酸が使用できれば経済的、操作的に有利である。
【0019】
硫酸溶液中のアントラキノン構造を有する顔料の含有率は3〜40質量%が、生産の効率性と、ナノサイズの粒径の顔料の品質とを両立することができることから好ましい。硫酸溶液中のアントラキノン構造を有する顔料の含有率は5〜25質量%がより好ましい。
【0020】
硫酸溶液を作る際に、アントラキノン構造を有する顔料のスルフォン化や酸化等の化学反応が起こるのを防ぐ為、硫酸溶液の温度が45℃以下となるようアントラキノン構造を有する顔料と硫酸とを混合するのが好ましく、32〜42℃となるように混合するのがより好ましい。
【0021】
本発明で用いるアルカリ性の水性媒体は、例えば、水に溶解した際にアルカリ性を呈する化合物を水に溶解することで調製することができる。前記アルカリ性を呈する化合物としては、例えば、水酸基ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の無機塩類、トリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン、金属アルコキシド等の有機塩類等が挙げられ。アルカリ性を呈する化合物の中でも無機塩類が好ましく、中でも水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0022】
本発明では、第一工程において、
アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液100質量部に対してアルカリ性の水性媒体600〜3000質量部を混合する必要がある。アルカリ性の水性媒体の量が600質量部よりも少ない場合、希釈熱と中和熱による温度上昇が著しく、製造操作上危険である。また、混合溶液の液温(T1)を70℃以下にするのが困難となり、その結果、析出するアントラキノン構造を有する顔料が析出してできる粒子の粒径が大きくなることから好ましくない。アルカリ性の水性媒体の量が3000質量部よりも多い場合、反応設備の容量が過大となり、経済的に不利である。
【0024】
アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液とアルカリ性の水性媒体とを混合して得られる
顔料分散液(A)は、液温(T1)を70℃以下に維持する必要がある。液温を70℃以上にすると粒子径の大きいアントラキノン構造を有する顔料の微粒子が析出することから好ましくない。液温(T1)は60℃以下がより好ましい。
【0025】
また、アルカリ性の水性媒体の温度は5〜35℃が、液温(T1)が70℃以下の
顔料分散液(A)を得やすいことから好ましい。
【0026】
また、
顔料分散液(A)を調製する際は
顔料分散液(A)のpHが7〜14となるようにアントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液とアルカリ性の水性媒体とを混合するのが、粒子の成長を抑制し、粒子径の小さな顔料微粒子が得られることから好ましく、pH10〜13となるように前記硫酸溶液と水性媒体を混合するのがより好ましい。pH7〜14の
顔料分散液(A)は、前記硫酸溶液と水性媒体とを以下の組合せで混合する事により得ることが出来る。
【0027】
pH7の
顔料分散液(A)を得る際の
アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液とアルカリ性の水性媒体の混合割合
は、顔料濃度12.5質量%と98質量%濃度の濃硫酸87.5質量%を含有する顔料の硫酸溶液100gに対して、濃度6.54質量%の水酸化ナトリウム水溶液を1070g
とすればよい。
【0028】
pH13の
顔料分散液(A)を得る際の
アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液とアルカリ性の水性媒体の混合割合
は、顔料濃度12.5質量%と98質量%濃度の濃硫酸87.5質量%を含有する顔料の硫酸溶液100gに対して、濃度6.54質量%の水酸化ナトリウム水溶液を1150g
とすればよい。
【0029】
本願発明は、アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液100質量部に対してアルカリ性の水性媒体600〜3000質量部を混合し、液温(T1)が70℃以下のアントラキノン構造を有する顔料が析出した
顔料分散液(A)を得る第一工程と、
次いで、該顔料分散液(A)の
最終温度を50℃以下で
あって、且つ
T2<T1となる温度(T2)へ調整する第二工程
とを有する。第一工程において、
アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液と
アルカリ性の水性媒体とを混合する際には種々の機械的手段を用いることができる。機械的手段としては、例えば、エジェクターや複数の流体がそれぞれ流通する微細流路と該流体の混合部を有する攪拌装置(マイクロミキサー)を例示することができる。中でも、マイクロミキサーを用いて
アントラキノン構造を有する顔料の硫酸溶液と
アルカリ性の水性媒体と
の混合を行うことが、
顔料分散液の温度制御が容易で
顔料分散液(A)の液温を70℃以下に維持しやすいことから好ましい。以下、好ましく使用できるマイクロミキサーの一例を説明する。
【0030】
好ましいマイクロミキサーとしては、例えば、第一の流体が流通する流体供給路に通ずる第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体が流通する流体供給路に通ずる第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部と、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じ、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部とを有するマイクロミキサーであり、第一のプレートと第二のプレートの少なくとも一方が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路であり、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートであるマイクロミキサー1を例示することができる。
【0031】
以下、マイクロミキサー1の一実施形態を
図1〜
図7に従って説明する。
図1は、マイクロミキサー1の一例を示す概略図である。
【0032】
マイクロミキサー1は、中空状のケースCを有し、このケースCの中には第一の流体(F1)が流通する流体供給路に通ずる第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体(F2)が流通する流体供給路に通ずる第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部を有する積層体110が固定されている。
【0033】
マイクロミキサー1は、第一のプレートと第二のプレートが積層した積層部に加え、例えば、
図1に示すように熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層してあるミキサーが硫酸溶液と水との混合時に混合溶液の温度を精密に制御できることから好ましい。
【0034】
更に、流体F1と流体F2の熱交換を行う熱媒体H11が流れる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層体110に積層されている事が、流体F1及び流体F2の温度を均一化でき、流体F1と流体F2の温度の差による混合効率の低下を減少できることから好ましい。
【0035】
前記マイクロミキサー1のケースCの左端C1には、第1の流体(F1)をケースC内に供給する第1流体供給部1Aが設けられ、ケースCの下部右端C2には、第2の流体(F2)をケースC内に供給する第2流体供給部2Aが設けられている。以下、これらの各流体供給部4A,4Bを区別しないで説明する場合には、単に流体供給部1として説明する。
【0036】
流体供給部1Aは、ケースCの左端部に形成された開口部1Bと、開口部1Bに連結されたコネクタ1Cとを有している。コネクタ1Cは、第1の流体(F1)が流通する流体供給路に通じており、従って、この流体供給路は第一のプレートの第一の微小管状流路に通じている。そして、この流体供給路は第1の流体(F1)を貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、第1の流体(F1)はその機構により加圧状態でコネクタ1C側に圧送されるようになっている。開口部1BとケースC内に固定された積層体11の側面11aには空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された第1の流体(F1)を一時貯留する貯留部S1として機能する。
【0037】
流体供給部2Aは、ケースCの下部右端に形成された開口部2Bと、開口部2Bに連結されたコネクタ2Cとを有している。コネクタ2Cは、第2の流体(F2)が流通する流体供給路に通じており、従って、この流体供給路は第二のプレートの第二の微小管状流路に通じている。そして、この流体供給路は第2の流体(F2)を貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、第2の流体(F2)はその機構により加圧状態でコネクタ3B側に圧送されるようになっている。開口部1BとケースC内に固定された積層体11の側面11bには空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された第2の流体(F2)を一時貯留する貯留部S2として機能する。
【0038】
また、ケースCの下部左端C3には、熱媒H1をケースC内に供給する熱媒供給部3Aが形成されている。熱媒供給部3Aは、上記流体供給部1A、2Aと同様に開口部3B、コネクタ3Cを有している。熱媒供給部3Aに供給された熱媒H1は、積層体11内に形成された流路を通過し、ケースCの上端C4に形成された熱媒送出部4AからケースC外部へ送出される。熱媒送出部4Aは、上記流体供給部1A、2Aと同様に開口部4B、コネクタ4Cをそれぞれ有している。
【0039】
また、ケースCの右端C4は、ケースCの右端部に形成された開口部5Bと開口部5Bに連結されたコネクタ5Cからなる送出部5Aを有している。開口部5BとケースC内に固定された積層体11の側面11cには空間が設けられ、該空間は、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じ、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部S3として機能する。
【0040】
即ち、第一の流体(F1)及び第二の流体(F2)は、各流体供給部1A、2AからケースC内部に供給され、積層体11に形成された第1の微小管状流路及び第2の微小管状流路にそれぞれ流通する。そして、第1の微小管状流路の出口に到達した第一の流体(F1)及び第2の微小管状流路の出口に到達した第二の流体(F2)は、これらの出口部に通ずる混合部S3へと排出され、混合される。得られた混合流体(F3)は、送出部5AからケースC外部へ送出される。尚、マイクロミキサー1のケースCや各流体供給部1A、2A、送出部5Aの位置等は上記構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0041】
次に、上記積層体11について説明する。
図2に示すように、積層体11は、長方形状の各カバープレートP1、P2との間に、流路が形成されたプレート群12を備えている。
【0042】
プレート群12は、2枚の第一のプレート5と2枚の第二のプレート7とが積層されて構成されている。本実施形態では第一のプレートと第二のプレートとが交互に積層された積層体を形成している。
【0043】
カバープレートP1、P2、第一のプレート5及び第二のプレート7は、その外形が同じ長方形状に形成されている。また、カバープレートP1、P2、第一のプレート5及び第二のプレート7の材質は特に限定されず、例えば金属材、樹脂、ガラス、セラミックス等、流路を形成するための加工が容易で、各プレートを液漏れ等が生じ難い密着状態で互いに固定できる材質であればよい。また、各プレートを同じ材質から形成しても良いし、異なる材質で形成してもよい。例えば、各プレートをステンレス鋼から形成し、拡散結合により密着状態で固定してもよい。各プレートの加工方法は、例えば射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプリカ法、切削、エッチング、フォトリソグラフィー、レーザーアプレーション等の公知の各種方法のうち、その材質に応じた好適な方法を選択できる。
【0044】
次に、第一のプレート5と第二のプレート7について詳述する。
図3に示すように第一のプレート5には矩形且つ板状の第一の微小管状流路形成部6Aを有している。
【0045】
第一の微小管状流路形成部6Aは、その上面6aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に1本以上の第一の微小管状流路6を有している。第一の微小管状流路6は第一の微小管状流路形成部6Aの左側端6bから右側端6cに向かって溝状に形成されており、左側端6b、右側端6c及び上面6aにおいて開口している。左側端6bの開口は第一の微小管状流路6の入口6dであって、右側端5cの開口は第一の微小管状流路6の出口6eとなる。入口6dは、第1の流体F1が供給される上記第1流体供給部1Aに連通している。
【0046】
第一の微小管状流路6は、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端6bから右側端6cまで延びている。第一の微小管状流路6の幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ2mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、第一の微小管状流路6の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、生産性を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0047】
また、第一の微小管状流路6内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mm
2が好ましく、0.01〜40mm
2がより好ましい。
【0048】
図3において第一の微小管状流路6は5本配置されているが、本数には特に制限はない。複数本配置する場合、各々の微小管状流路6の幅及び深さは同一でも良いし異なっていても良い。また、第一の微小管状流路6の入口と出口の流路幅は同一であっても良いし、異なっていても良い。第一プレートの更なる例示を
図4に示す。
【0049】
次に、第二のプレート7について詳述する。
図5に示すように第二のプレート7には矩形且つ板状の第二の微小管状流路形成部7Aを有している。
【0050】
第二の微小管状流路形成部7Aは、その上面7aに1本の第二の微小管状流路8を有している。第二の微小管状流路8は、第二の微小管状流路形成部7Aの下側端7bから短手方向(7c方向、図中Y方向)に向かって溝状に形成され、更に、Y方向の中央付近で1回右端方向に直角に屈曲しており、下側端7b、右側端7d及び上面7aにおいて開口している。下側端7bの開口は第二の微小管状流路8の入口8aであって、右側端7dの開口は第一の微小管状流路6の出口8bとなる。入口8aは、第2の流体F1が供給される上記第2流体供給部2Aに連通している。
【0051】
マイクロミキサー1は、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積であることを特徴とする。このような構造を有することにより、第二の流体F2は入り口部において大径部の入口8aを流れ、小径部8bに流入する。小径部に流入した各流体第二の流体F2は、入口に流入したときの流速よりも大きな流速で出口8bに流入し、混合部(
図1におけるS3)流入する。その結果、第一の流体F1と第二の流体F2との混合速度を高めることができる。特に、第一の流体F1、第二の流体F2のうち少なくとも一方が流動性が低く混合しにくい流体である場合、即ち高粘度流体である場合や、互いに粘度が大きく異なる場合等に特に効果を発揮することができる。
【0052】
前記小径部の断面積は、少なくとも大径部の断面積よりも小さい断面積となればよい。小径部の幅及び深さは例えば幅0.1mm以上20mm以下、深さ5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ2mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、生産性を向上させることができる流路形状が好ましい。
【0053】
また、第二のプレートは
図5に示したように混合部に通ずる出口部が流体の進行方向に平行して設置された複数個の壁で分割され、複数本の流路が形成されているもの以外に、例えば、
図6に例示するように1本の流路でもかまわない。ここで、壁の数は、例えば、1〜250個である。また、第二のプレート上に形成される第二の微小管状流路の数は
図5に示すように1本でも良いし、
図6に示すように複数本有っても良い。
【0054】
マイクロミキサー1には熱交換用の媒体を流通させる温調プレートを積層しても良い。温調プレートと第一のプレートと第二のプレートとを積層したマイクロミキサーを例えば、
図7に示す。
【0055】
温調プレート12は、
図7に示すように、一方の面12aに断面凹溝形状の温調流路13が所定の間隔だけ離れて設けられている。温調流路12の断面積は、反応流路に対して熱を伝えることができれば特に限定されるものではないが概ね0.1〜4.0(mm
2)の範囲である。更に好ましくは0.3〜1.0(mm
2)である。温調流路6の本数は、熱交換効率を考慮して適宜の本数を採用することができ、特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは10〜100本である。
【0056】
温調流路12は、
図7に示す様に、温調プレート12の長手方向に沿って複数本配列された主流路13aと、主流路13aの上流側及び下流側端部で主流路13aに連通する供給側流路13bおよび排出側流路13cとを備えていてもよい。
【0057】
図7では供給側流路13bと排出側流路13cは2回直角に屈曲して温調プレートの側面12d、12eからそれぞれ外部に開口している。温調流路12の各流路の本数は、温調流路12の主流路13a部分のみが複数本配列され、供給側流路13bおよび排出側流路13cはそれぞれ1本で構成されている。
【0058】
以上のように構成された積層体110において、第1流体供給部1AからケースC内へ加圧状態で供給された第1の流体(F1)は、貯留部S1に一時貯留された後、積層体110に複数設けられた第一の微小管状流路6へ分割される。また、第2流体供給部2AからケースC内へ加圧状態で供給された第2の流体(F2)貯留部S2に一時貯留された後、積層体11に複数設けられた第二の微小管状流路8へ分割される。
【0059】
第一のプレート5の各第一の微小管状流路6に流入した第1の流体(F1)は、第一の微小管状流路6の出口6eへと通じ、混合部S3へと送出される。また、第二のプレート7の各第二の微小管状流路8に流入した第2の流体(F2)は、大径部から小径部にかけて流速を高めながら送出され、出口8bから混合部S3へ送出される。
【0060】
流速を高めながら混合部S3へ送出された第2の流体(F2)は、混合部S3に送出された第2の流体(F2)と混合する。このとき第2の流体(F2)の速度が高まっているため混合部S3における混合効率は向上する。
【0061】
第1の流体(F1)と第2の流体(F2)は、混合部S3において乱流を生じさせながら混じり合い、得られた混合流体(F3)は混合流体の送出部5Aに向かって流れる。そして、送出部5AからケースC外へ向かって送出される。
【0062】
また、好ましく用いることができる第二のマイクロミキサーとして、例えば、第1流体が流れる第1流路が形成された第1流路形成部と、第2流体が流れる第2流路が形成された第2流路形成部とを有する混合プレートを備え、前記第1流路の出口と前記第2流路の出口とが、前記第1流体及び前記第2流体が合流する合流路を介して対向し、前記合流路の中心軸方向における前記第1流路の出口の開口位置は、前記第2流路の前記合流路の中心軸方向における開口位置に含まれるか又は同一であることを特徴とするマイクロミキサー2を挙げることができる。
【0063】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図8〜
図13に従って説明する。
図8は、マイクロミキサー2の一例を示す概略図である。マイクロミキサー2は、中空状のケースCを有し、このケースCの中には各種微細流路が形成された積層体11が固定されている。この積層体11には、混合対象物又は反応対象物である第1流体F1及び第2流体F2と、これらの各流体F1,F2とそれぞれ熱交換を行う第1熱媒H1(第1媒体)及び第2熱媒H2(第2媒体)とが流れる流路が形成されている。
【0064】
ケースCの左端C1には、第1流体F1をケースC内に供給する第1流体供給部4Aが設けられ、ケースCの右端C2には、第2流体F2をケースC内に供給する第2流体供給部4Bが設けられている。以下、これらの各流体供給部4A,4Bを区別しないで説明する場合には、単に流体供給部4として説明する。
【0065】
流体供給部4は、ケースCの端部に形成された開口部2と、開口部2に連結されたコネクタ3とを有している。コネクタ3は、各流体F1,F2をそれぞれ貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、各流体F1,F2はその機構により加圧状態でコネクタ3側に圧送されるようになっている。開口部2とケースC内に固定された積層体11の各側面11a,11bとの間には空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された各流体F1,F2を一時貯留する貯留部S1,S2として機能する。
【0066】
また、ケースCの上端C3には、各熱媒H1,H2をケースC内に供給する各熱媒供給部7A,7Bがそれぞれ形成されている。熱媒供給部7A,7Bは、上記流体供給部4と同様に開口部5A,5B、コネクタ6A,6Bをそれぞれ有している。各熱媒供給部7A,7Bに供給された熱媒H1,H2は、積層体11に形成された流路を通過し、ケースCの下端C4に形成された各熱媒送出部7C,7DからケースC外部へそれぞれ送出される。各熱媒送出部7C,7Dは、上記流体供給部4と同様に開口部5C,5D、コネクタ6C,6Dをそれぞれ有している。
【0067】
また、ケースCの下端C4には、積層体11内で混合又は反応した各流体F1,F2の混合液F3(又は反応液)をケースC外へ送出する送出部10が設けられている。送出部10は、開口部8と、開口部8に連結されたコネクタ9とを有している。
【0068】
即ち、各流体F1,F2は、各流体供給部4A,4BからケースC内部に供給され、積層体11に形成された微細流路において混合又は反応される。ここで各流体F1,F2は、微細流路で混合されることにより拡散距離が短くなり混合速度が大きくなるとともに、所望とする処理量だけが効率よく混合される。混合液F3(又は反応液)となって送出部10からケースC外部へ送出される。尚、マイクロミキサー1のケースCや各流体供給部4A,4B、送出部10の位置等は上記構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0069】
次に、上記積層体11について説明する。
図9に示すように、積層体11は、長方形状の各カバープレートP1,P2との間に、流路が形成されたプレート群12を備えている。
【0070】
プレート群12は、3枚の温調プレート13と2枚の混合プレート14とが積層されて構成されている。本実施形態では、温調プレート13が最上層及び最下層となって、混合プレート14がいずれかの温調プレート13に挟まれた状態で積層されている。
【0071】
各カバープレートP1,P2、各温調プレート13及び各混合プレート14は、その外形が同じ長方形状に形成されている。また、各カバープレートP1,P2、温調プレート13及び混合プレートの材質は特に限定されず、例えば金属材、樹脂、ガラス、セラミックス等、流路を形成するための加工が容易で、各プレート13,14,P1,P2を液漏れ等が生じ難い密着状態で互いに固定できる材質であればよい。また、各プレート13,14,P1,P2を同じ材質から形成しても良いし、異なる材質で形成してもよい。例えば、各プレート13,14,P2,P2をステンレス鋼から形成し、拡散結合により密着状態で固定してもよい。各プレート13,14,P2,P2の加工方法は、例えば射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプリカ法、切削、エッチング、フォトリソグラフィー、レーザーアプレーション等の公知の各種方法のうち、その材質に応じた好適な方法を選択できる。
【0072】
次に、混合プレート14について
図10及び
図11に従って詳述する。
図10に示すように、本実施形態の混合プレート14は、一対のプレートからなり、矩形且つ板状の第1流路形成部14Aと第2流路形成部14Bとを有している。
【0073】
第1流路形成部14Aは、その上面14aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に3本の第1流路15を有している。各第1流路15は、等間隔で配置され、第1流路形成部14Aの左側端14bから右側端14cに向かって溝状に形成されており、左側端14b、右側端14c及び上面14aにおいて開口している。左側端14bの各開口は第1流路15の入口15aであって、右側端14cの開口は第1流路15の出口15bとなる。入口15aは、第1流体F1が供給される上記第1流体供給部4Aに連通している。
【0074】
また、第1流路15は、流路径の大きい大径部16と流路径の小さい小径部17と、大径部16から小径部17への径変化を緩やかにするためのテーパ部18が設けられている。
【0075】
大径部16は、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端14bから右側端14cの手前まで延びている。大径部16の幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ2mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部16の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、生産性を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0076】
小径部17も断面矩形状に形成された流路であって、右側端14cの手前から右側端14cに向かって延びている。小径部17は、少なくとも大径部16の断面積よりも小さい断面積となればよいが、例えば幅0.1mm以上20mm以下、深さ5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ2mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部17の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、生産性を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0077】
また、第1流路形成部14Aと第2流路形成部14Bとの間には、所定幅の空間からなる合流路19が設けられている。
図3では底面及び上面が開口するとともに、混合プレート14の前面14g側の開口及び背面14h側の開口を有する。前面14g側の開口部19cは、合流路19の出口であって、上記した送出部10に連通する。また背面14h側の開口部19bは、ケースC又はその他の部材によって閉塞される。この合流路19は、両側の各側面が第1流路形成部14A及び第2流路形成部14Bによって構成された、平面視において長方形をなす長尺状の流路であって、その長手方向が混合プレート14の短手方向と平行になっている。
【0078】
また、第2流路形成部14Bは、第2流体F2が流れる第2流路20を有し、合流路19に対して第1流路形成部14Aと対称的(線対称)に形成されている。即ち、第2流路形成部14Bの上面14dにおける短手方向の中央部に3本の第2流路20が溝状に形成されて、等間隔で配置されている。また、各第2流路20は、左側端14e、右側端14f及び上面14d及び底面において開口している。左側端14eの各開口は、第2流路20の出口20bであって、右側端14fの開口は第2流路20の入口20aを構成する。これらの入口20aは、第2流体F2が供給される上記第2流体供給部4Bに連通している。
【0079】
また、第2流路20は、大径部21及び小径部22と、それらの間に設けられたテーパ部23を有している。大径部21は、第1流路形成部14Aの大径部16と同じ形状及び同じ流路径であって、第2流路形成部14Bの右側端14fから左側端14e手前まで延びている。小径部22も、第1流路形成部14Aの小径部17と同じ形状及び同じ流路径であって、左側端14eの手前から左側端14eに向かって延びている。
【0080】
図11に示すように、このように形成された第1及び第2流路形成部14A,14Bは、第1流路15の出口15bと第2流路20の出口20bとが、合流路19を介して1対1で対向した位置となるように配置される。また、第1流路15の出口15bは、合流路19の中心軸X1の方向における開口位置が、第2流路20の出口20bの上記中心軸X1における開口位置と同一となるように配置される。さらに、それらの出口15b,20bの開口面は平行になっている。また、第1流路15及び第2流路20の出口15b,20bの断面における中心軸は、同一の中心軸X2である。尚、第1流路15は平面視において左側に設けられる必要はなく、右側でもよいし、第2流路20は平面視において右側に設けられる必要はなく、左側でもよい。さらに、合流路19の対向する各側面のうち一方の側面に3つの第1流路15の出口15bが合流路19の長手方向に沿って並んで配置され、他方の側面に3つの第2流路20の出口20bが合流路19の長手方向に沿って並んで配置されている。
【0081】
このため、第1流路15及び第2流路20の入口15a,20aから加圧状態で各流体F1,F2をそれぞれ供給すると、各流体F1,F2は各大径部16,21を流れ、各テーパ部18,23を介して各小径部17,22に流入する。小径部17,22に流入した各流体F1,F2は、入口15a,20aに流入したときの流速よりも大きな流速で出口15b,20bから合流路19に流入する。このとき、上記したように出口15b,20bが中心軸X1方向において同じ開口位置であり、1対1で対向しているため、出口15b,20bから送出された各流体F1,F2の流れは合流路19において正面から衝突した状態となる。このため、各流体F1,F2を層流状態で合流させた場合等に比べ、各流体F1,F2の接触面積を高めて効率よく混合することができる。また、正面から対向する各流体F1,F2の流れを衝突させることにより、各流体F1,F2内の流体要素は、第1流体F1の流れの方向と、この方向と反対方向である第2流体F2の流れの方向とからせん断力をうけるため、混合速度を高めることができる。特に、各流体F1,F2のうち少なくとも一方が流動性が低く混合しにくい流体である場合、即ち高粘度流体である場合や、互いに粘度が大きく異なる場合等に特に効果を発揮することができる。
【0082】
合流路19は、背面側の開口部19bが閉塞されているため、衝突した各流体F1,F2は、上記主液圧送機構の圧力により開口部19cへ向かって流れる。
合流路19において発生する圧力損失、高粘度流体及び異粘度流体の安定した通流、混合力、装置的強度を考慮すると、合流路19の幅、即ち各出口15b,20bの間の距離は、0.1mm以上30mm以下が好ましく、その深さは0.3mm以上が好ましい。この幅は、各流体F1,F2の粘性(流れやすさ)と、目的とする混合度合等に応じて変更可能である。幅を短くすれば、圧力損失が比較的大きくなるが各流体同士の衝突力を増大させ、流体内のせん断力を高めることができる。幅を長くすれば、衝突力は比較的弱くなるが、圧力損失を低減することができる。
【0083】
次に、温調プレート13について
図12に従って説明する。温調プレート13は、長方形状且つ板状に形成され、混合プレート14とほぼ同じ大きさとなっている。温調プレート13は、その長手方向の中央であって、混合プレート14が積層された際に合流路19と重なる位置に断熱部30を有している。断熱部30は、温調プレート13の前面13cから奥行方向(図中Y方向)に長尺状に切り欠くことで形成されており、その厚み方向(図中Z方向)に貫通し、前面13c側に開口部30aを有している。この断熱部30の幅は、上記混合プレート14の合流路19の幅とほぼ同一となっている。
【0084】
断熱部30に対して左側及び右側には、略長方形状の凹部24が形成されている。この凹部24には、温調プレート13の上面13aに溝状にそれぞれ形成された流入路26及び流出路27が連通している。
【0085】
また、凹部24の前面側及び背面側には、長尺状の壁部24a,24bが凹部24の底面から突出形成されている。壁部24a,24bは、温調プレート13の長手方向(図中X方向)に延びるように設けられ、その先端と凹部24の内壁面との間には流路の一部を構成するための空間が設けられている。また、凹部24の底面であって、各壁部24a,24bの間には、同じく長尺状の壁部25が4本突出形成されている。壁部25は、凹部24の幅(図中X方向の長さ)よりも短く、その両端と凹部24の内壁面との間には流路の一部を構成するための空間が設けられている。これらの各壁部24a,24b,25により、凹部24内の空間が区画されて熱媒H1,H2が流れる流路が構成され、流入路26及び流出路27を含めて熱媒H1,H2が流れる媒体流路としての熱媒流路31が構成される。熱媒流路31は、背面側の流入路26を入口とし、温調プレート13の中央側から凹部24の左側面24cに向かって延び、左側面24c手前で屈曲して右側面24dに向かって延びる。さらに右側面24d手前で屈曲して再び左側面24cに向かって延びる。このように、熱媒流路31は、凹部24内で複数回屈曲する曲折形状をなし、前面側に設けられた流出路27を出口とする。
【0086】
温調プレート13の左側の凹部24に形成された熱媒流路31Aには熱媒H1が供給され、右側の凹部24に形成された熱媒流路31Bには熱媒H2が供給される。この温調プレート13の上方又は下方に混合プレート14が積層されると、
図12に示すように、第1流体F1が流れる第1流路15の上方又は下方に熱媒H1が流れる第1熱媒流路31Aが重なり、第2流体F2が流れる第2流路20の上方又は下方に熱媒H2が流れる第2熱媒流路31Bが重なる。このため、第1熱媒H1と第1流体との間で熱交換が行われ、第2熱媒H2と第2流体との間で熱交換が行われる。
【0087】
これらの熱媒流路31A,31Bは、断熱部30が介在することによって各熱媒流路31A,31B周辺部の間の熱移動が抑制されるので、温度差が大きい熱媒H1,H2を各熱媒流路31A,31Bに供給しても、熱媒H1,H2の温度が所望の温度より著しく低下又は上昇することがない。このため、流路内の各流体F1,F2が温度変化しやすいマイクロミキサー1においても、第1流体及び第2流体F1,F2の精密な温度調整を行うことができる。従って、流体F1,F2が所望の温度より範囲より低下するのを抑制することができるので、各流路15,20や合流路19が析出物によって閉塞されず、晶析等による微粒子製造においても生産性の低下を防止することができる。
【0088】
図12に示すように、3層の温調プレート13及び2層の混合プレート14を交互に積層すると、温調プレート13の断熱部30と混合プレート14の合流路19とが重なって積層体11の積層方向の長さと同じ深さの合流路32が構成される。合流路32の左側面には、6つの第1流路15の出口15bが開口し、右側面には、第1流路15の出口15bのそれぞれに対応した位置に6つの第2流路20の出口20bが開口する。各温調プレート13及び各混合プレート14が密着状態で互いに結合されることにより、混合プレート14の第1流路15及び第2流路20は、温調プレート13の底面によってその上面側の開口を閉塞される。また温調プレート13の各熱媒流路31A,31Bは、混合プレート14の底面か、若しくはカバープレートP1の底面によってその上面側の開口を閉塞される。
【0089】
以上のように構成された積層体11において、第1流体供給部4AからケースC内へ加圧状態で供給された第1流体F1は、貯留部S1に一時貯留された後、積層体11に設けられた6つの第1流路15へ分割される。また、第2流体供給部4BからケースC内へ加圧状態で供給された第2流体F2は、貯留部S2に一時貯留された後、積層体11に設けられた6つの第2流路20に分割される。
【0090】
混合プレート14の各第1流路15にそれぞれ流入した第1流体F1は、大径部16から小径部17にかけて流速を高めながら送出され、出口15bから合流路19へ送出される。また、各第2流路20にそれぞれ流入した第2流体F2は、大径部21から小径部22にかけて流速を高めながら送出され、出口20bから合流路19へ送出される。
【0091】
各第1流路15の出口15bからそれぞれ送出された第1流体F1の微小な流れは、各第2流路20の出口20bからそれぞれ送出された第2流体F2の微小な流れと1対1で正面から衝突する。このため、各流体F1,F2の微小な流れは、その衝突位置付近でそれぞれ混合されるため、全体としての混合速度をより高めることができる。
【0092】
6対の出口15b,20bからそれぞれ送出された各流体F1,F2は、合流路19内で乱流を生じさせながら混じり合い、合流路32の出口32aに向かって流れる。出口から32aから送出された混合液F3は送出部10に送られ、この送出部10からケースC外へ向かって送出される。
【0093】
このマイクロミキサー2において、混合対象の流体F1,F2の処理量を増加させる場合には、合流路32の幅、即ち出口15b,20b間の距離を変えずに、合流路32の長さを延長すればよい。或いは、合流路32の幅を変えずに、合流路19の側面に開口する流路15,20の本数を増加させるか、混合プレート14の積層数を増加させればよい。従って、合流路32における混合効率を低下させずに、処理量を増大することができる。また、流路幅が小さく圧力損失が高まりやすいマイクロミキサーにおいて、上記マイクロミキサー1は合流路32の容積が比較的大きく、圧力損失の増大による流路の閉塞を防ぐことができる。さらに混合対象の流体の粘性等に応じて合流路32の幅も適宜変更できる構成であるため、装置の自由度を向上することができる。
【0094】
第二工程において、前記第一工程で得られた
顔料分散液(A)の
最終温度を50℃以下で
あって、且つ
T2<T1となる温度(T2)へ調整する。その際に、温度(T2)への調整を、
顔料分散液(A)を得た時点を起算点として120秒以内で行うことが必要である。温度(T2)が30℃を超える温度とすると、顔料粒子の成長を制御することが困難となることから好ましくない。温度(T2)は
分散状態を維持する温度であれば低いほうが好ましく、例えば、25℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。
【0095】
温度(T2)への調整にかかる時間が120秒を超えるとやはり顔料粒子の成長を制御することが困難となることから好ましくない。温度(T2)への調整にかかる時間は短いほうが好ましく、例えば、90秒以内好ましく、60秒以内がより好ましい。
【0096】
第二工程で
顔料分散液(A)の液温を温度(T2)へと調節する手段としては、種々の熱交換器を使用することができる。熱交換器の中でも、総括伝熱係数(U値)が1000〜5000の熱交換器が、冷却能力が良好で
顔料分散液(A)の液温を温度(T2)まで速やかに調節できることから好ましく、2000〜4000がより好ましい。
【0097】
熱交換器としては、例えば、スパイラル式熱交換器、エジェクター式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器、多管円筒式熱交換器、多重円管式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、タンクコイル式熱交換器、タンクジャケット式熱交換器、直接接触液液式熱交換器等を挙げることができる。前記スパイラル式熱交換器は、2枚の板を中心部から渦巻状に巻きあげ、2つの流路から構成されている。この構造は、プロセス液の流路断面積に対して、伝熱面積を広くとれるために、熱交換効率に極めて優れた機器である。
【0098】
もう一つの例として、マイクロ熱交換器を例示することができる。マイクロ熱交換器の一例として、
顔料分散液(A)が流通する微小流路を配設したプレートと
顔料分散液(A)との間で熱交換が行われる流体が流通する微小流路を配設したプレートが交互に積層する装置を
例示することができる。
【0099】
図13にマイクロ熱交換器1が有する積層体の斜視図を示す。
図13は、
顔料分散液(A)を流す微小管状流路を配設したプレートと、混合液との間で熱交換が行われる流体を流す流路を配設したプレートが交互に積層してなる反応装置で、微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mm
2 となる空隙サイズを有する微小管状流路を有するマイクロ熱交換器1が有する積層体の斜視図である。
【0100】
前記マイクロ熱交換器1は、例えば
図13において同一の長方形板状からなる第1プレート(前記
図13中の2)と第2プレート(前記
図13中の3)とが複数交互に積層されて構成されている。各1枚の第1プレートには前記断面積が0.1〜4.0(mm
2 )の流路が設けられている(以下、この流路が設けられたプレートをプロセスプレートという)。また第2プレートには温調流体用の流路(以下、温調流路という)が設けられている(以下、温調流路が設けられたプレートを温調プレートという)。そして、
図14に示すようにそれらの供給口および排出口が、化学反応用デバイス1の端面1b、1c、側面1d、1eの各領域に分散して配置され、それら領域に
顔料分散液(A)と、温調流体を流すためのコネクタ30とジョイント部31とからなる継手部32がそれぞれ連結されている。
【0101】
これらの継手部を介して、
顔料分散液(A)
の流体α(混合液)が端面1bから供給されて、熱交換されて冷却された
顔料分散液(A)
の流体βが端面1cに排出され、温調流体γが側面1eから供給されて側面1dに排出されるようになっている。
【0102】
マイクロ熱交換器1の平面視形状は図示のような長方形とは限定されず、正方形状、または端面1b、1c間よりも側面1d、1e間が長い長方形状としてもよいが、以下では簡単のために図示形状に即して、端面1bから端面1cに向かう方向を、プロセスプレートと温調プレートの長手方向と称し、側面1dから側面1eに向かう方向をプロセスプレートと温調プレートの短手方向と称することにする。
【0103】
プロセスプレートは、
図15に示すように、一方の面2aに断面凹溝形状の流路4をプロセスプレートの長手方向に貫通して延し、短手方向に所定間隔p
0で複数本配列したものである。流路4の長さをLとする。断面形状は、幅w
0、深さd
0とする。
【0104】
流路4の断面形状は、流体αの種類、流量や流路長さLに応じて適宜設定することができるが、断面内の温度分布の均一性を確保するために、幅w
0、深さd
0は、それぞれ0.1〜16〔mm〕、0.1〜2〔mm〕の範囲に設定している。なお、幅、深さの記載は図面を参照した場合であって、この値は熱伝面に対して広い値となる様に適宜解釈しうる。特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは10〜100本である。
【0105】
前記流体αは各流路4内に流され、
図13ないし
図15に矢印で示すように、一方の端面2b側から供給されて他方の端面2c側へ排出される。
【0106】
温調プレートは、
図13に示すように、一方の面3aに断面凹溝形状の温調流路6が所定の間隔だけ離れて設けられている。温調流路6の断面積は、反応流路に対して熱を伝えることができれば特に限定されるものではないが概ね0.1〜4.0(mm
2)の範囲である。更に好ましくは0.3〜1.0(mm
2)である。温調流路6の本数は、熱交換効率を考慮して適宜の本数を採用することができ、特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは10〜100本である。
【0107】
温調流路6は、
図13及び
図15に示す様に、温調プレートの長手方向に沿って複数本配列された主流路6aと、主流路6aの上流側及び下流側端部でそれぞれ流路4と略直交に配置されて各主流路6aに連通する供給側流路6bおよび排出側流路6cとを備えていてもよい。
図13及び
図15では供給側流路6bと排出側流路6cは2回直角に屈曲して温調プレートの側面3d、3eからそれぞれ外部に開口している。温調流路6の各流路の本数は、温調流路6の主流路6a部分のみが複数本配列され、供給側流路6bおよび排出側流路6cはそれぞれ1本で構成されている。
【0108】
なお、温調流路6の各主流路6aは、流路4に対して、温調プレートの短手方向において、流路4が分布する範囲を積層方向に重なる範囲に設けられる。
【0109】
そして、好ましくは各主流路6aが、隣り合う2本の流路4、4間に位置するように積層方向に配列し、さらに好ましくは、各主流路6aが各流路4に積層方向に重なるように配列する。
【0110】
各複数のプロセスプレート、温調プレートは、プロセスプレート、温調プレートを同一方向に交互に重ねて積層され、互いに固着、積層されている。
【0111】
そのため、マイクロ熱交換器1の形態において、各流路4、温調流路6は、凹溝の開口面が上に積層されるプレートの下面により覆われ、両端が開口する長方形断面のトンネル形状とされる。
【0112】
このような各プロセスプレート、温調プレートは、適宜の金属材料を用いることができるが、例えばステンレス鋼板にエッチング加工を施すことにより流路4、温調流路6などを形成し、流路面を電解研磨仕上げするなどして製作することができる。
【0113】
第二工程で
顔料分散液(A)の液温を
最終温度(T2)へと調節する機械的手段の中でも総括伝熱係数が1000kal/m
2・℃HRのものが、熱交換効率が良好なことから好ましい。
【0114】
第二工程が終了した後、顔料微粒子が溶液中に分散した分散体が得られる。この分散体を最終製品としても良いし、微粒子を種々の手段により回収し、乾燥させたドライ顔料としても良い。
【0115】
本発明の製造方法で得られる顔料微粒子を着色剤として用いる場合、得られた顔料微粒子をそのまま使用してもよいし、界面活性剤、樹脂、ロジン、顔料誘導体等で処理して使用してもよい。
【0116】
本発明の製造方法では、硫酸溶液中、または、水中に分散剤を添加することができる。分散剤は析出した顔料表面に素早く吸着して、微細な顔料粒子を形成し、且つこれらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。本発明では、このような分散剤として、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料性の低分子または高分子分散剤を使用することができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。顔料の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
【0117】
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、N−アシル−N−アルキルタウリン塩が好ましい。N−アシル−N−アルキルタウリン塩としては、特開平3−273067号明細書に記載されているものが好ましい。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0118】
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)としては、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0119】
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
【0120】
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0121】
顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
【0122】
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール一部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール一部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル―アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル―メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0123】
本発明の製造方法で得られる顔料微粒子の粒径は、コントラストが高いカラーフィルターが得られることから6〜13nmが好ましく、7〜11nmがより好ましい。ここで、本発明でいう粒径とはX線小角散乱法(SAXS、Small angle X−ray scattering)による一次粒子径を表す。測定条件を下記に示す。
【0124】
<X線小角散乱法(SAXS)による一次粒子径の測定方法>
得られた顔料微粒子10mgを、Al製試料ホルダーの円形孔(径5mm、厚さ0.5mm)に押し込んで固定し、透過用の試料台にセットした。(株)リガク社製X線回折装置RINT−TTRIIを用いて小角散乱プロファイルの測定を行う。測定条件は、CuKα特性エックス線(波長 0.1541841nm)、管電圧50kV、管電流300mAである。カーブフィッティングの解析には、(株)リガク社製ソフトウェアNANO−Solverを使用する。
【実施例】
【0125】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に述べる。例中、%は特に断りがない限り重量基準である。
【0126】
<本実施例及び比較例で用いたデバイス>
硫酸溶液、水酸化ナトリウムの水溶液をそれぞれ入れるタンク、マイクロミキサー、熱交換器及び得られた顔料微粒子を含む分散体を回収するタンクを
図16に示すように繋ぎ、製造装置とした。
図16の67のマイクロミキサーは
図1に記載のマイクロミキサーで、積層部が
図7に記載された積層部であるマイクロミキサーを用いた。このマイクロミキサーはドライエッチング加工により第一の微小管状流路が形成された第一のプレート5が1枚、同じくエッチング加工により第二の微小管状流路が形成された第二のプレート7が1枚、及び温調プレート12が2枚交互に積層されており、更にこの積層体を2枚のカバープレートで挟み込んでいる。プレートの材質はSUS304である。板厚はプレート5、プレート7が0.4mmである。温調プレート12が1.0mmである。第一のプレート5の微小管状流路の断面寸法は幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ38mmであり、微小管状流路本数は10本である。第二のプレート7は微小管状流路の大径部8aの断面寸法は幅1.2mm×深さ0.2mm×長さ20mmである。小管状流路の小径部8bは幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ2mmであり、微小管状流路本数は10本である。温調プレート12の断面寸法は幅1.2×深さ0.5×長さ40mmである。
【0127】
図16の69の熱交換器は
図13に記載の熱交換器を用いた。熱交換器69はドライエッチング加工により反応流路4が1本形成されたプロセスプレート20枚と同じくエッチング加工により温調流路6が4本形成された温調プレート22枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。反応流路4の長さは198mmである。
【0128】
図16に示すデバイスにおいて、マイクロミキサーと熱交換器との間の配管は、実施例に応じて適宜交換し、
顔料分散液(A)が熱交換器に入るまでの時間を変更できるようにした。
【0129】
実施例1
アントラキノン構造を有する顔料としてC.Iピグメントレッド177 1gに対して98質量%の濃硫酸7gの比率で混合して硫酸溶液を得た(硫酸溶液中の顔料の含有率:12.5質量%)。顔料を溶解する際の液温は37℃で攪拌時間は2時間である。また、別途、6.5%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を調製した。硫酸溶液100gを
図16に示すデバイスのタンク62にいれ、また、水酸化ナトリウム水溶液1500gをタンク64に入れた。
【0130】
プランジャーポンプ65及び66を用いて、タンク62中の硫酸溶液とタンク64中の水酸化ナトリウム水溶液を重量比1:11.3の比率で流量88g/分になるようにマイクロミキサー67に送り、マイクロミキサーにて
顔料分散液(A)を得た。このときの
顔料分散液(A)の液温(T1)は60℃であった。次に、
顔料分散液(A)を熱交換器へ移送し、液温の
最終温度(T2)が30℃である顔料微粒子の分散体1を得た。温度(T2)への調整にかかった時間は
顔料分散液(A)を得た時点を起算点として5秒であった。
【0131】
得られた顔料微粒子の分散体1中の顔料微粒子の結晶子径(at12.2、at26.8)、粒子径(SAX粒子径)及び粒度分布(D
10、D
90)を下記の条件に従って測定した。結果を第1表に示す。
【0132】
<測定条件>
装置:株式会社リガク製広角X線回折装置:RINT Ultima+
測定条件
光学系:集中ビーム光学系
回折軸走査モード:θ−2θスキャン
測定範囲(2θ):2°〜40°
管電圧/管電流:40kV/30mA
X線波長(CuKα):1.542Å
スキャンスピード:1°/min.
ステップ:0.02°
スリット:DS:1/2°、RS:1/2°、SS:0.3mm
【0133】
<測定試料作製方法>
粉末用ガラス試料板の窪み部分(深さ0.5mm)に80mg程度の顔料粉末を乗せ、もう一枚のガラス板を窪みの上に当てて顔料粉末を均し、顔料粉末の面がガラス試料板の上面と境無く平滑になるようにした。
【0134】
算出方法:Schrrerの式により結晶子径を算出した。
Schrrerの式=Dhkl=Kλ/βcosθ
ここで、
B2=β2+b2
Dhkl:(hkl)面に垂直方向の結晶子の大きさ(Å)
K:定数 0.9
λ:X線の波長(Å:CuKαの場合 1.542Å)
θ:回折角(rad)
B:測定した回折線半値幅(rad)
b:標準試料の回折線半値幅(rad)
である。
【0135】
標準試料:Si(200mesh)
【0136】
実施例2〜4及び比較例1〜4
第1表及び第2表に示す条件以外は実施例1と同様にして顔料微粒子の分散体2〜4及び比較対照用顔料微粒子の分散体1´〜4´を得た。実施例1と同様にして顔料微粒子の結晶子径(at12.2、at26.8)、粒子径(SAX粒子径)及び粒度分布(D
10、D
90)を測定した。結果を第1及び第2表に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
比較例5
ジメチルスルホキシド17gと、ナトリウムメトキシド28質量%メタノール溶液0.55gと、C.Iピグメントレッド177 1gとを混合して顔料溶解溶液を得た(ジメチルスルホキシド中の顔料の含有率:5.5質量%)。これとは別に分散媒として、1mol/l塩酸4.3mlを含む水97gを用意した。
【0140】
ここで、1℃に温度コントロールし、藤沢薬品工業社製GK−0222−10型ラモンドスターラーにより500rpmで攪拌した水97gに、顔料溶解溶液を日本精密化学社製NP−KX−500型大容量無脈流ポンプを用いて注入し、顔料微粒子の分散体5´を得た。分散体5´生成時の液温の温度(T1)は40℃であった。得られた顔料微粒子の分散体5´中の顔料微粒子の結晶子径、小角散乱法によるSAXS粒子径、粒径分散度を測定した。結果を第2表に示す。
【0141】
比較例6及び7
第3表に示す配合割合を用いた以外は比較例5と同様にして顔料微粒子の分散体6´及び7´を得た。得られた顔料微粒子の分散体6´及び7´中の顔料微粒子の結晶子径、小角散乱法によるSAXS粒子径、粒径分散度を下記の方法に従って測定した。結果を第3表に示す。
【0142】
【表3】