特許第5720575号(P5720575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5720575金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液及びこれを用いた金属微細構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720575
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液及びこれを用いた金属微細構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20150430BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   H01L21/304 647A
   B81C1/00
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-537265(P2011-537265)
(86)(22)【出願日】2010年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2010068397
(87)【国際公開番号】WO2011049092
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年10月3日
(31)【優先権主張番号】特願2009-244542(P2009-244542)
(32)【優先日】2009年10月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大戸 透
(72)【発明者】
【氏名】松永 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】山田 健二
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−088253(JP,A)
【文献】 特開平11−323394(JP,A)
【文献】 特開2006−160716(JP,A)
【文献】 特開昭61−119720(JP,A)
【文献】 特開2004−204052(JP,A)
【文献】 特開2005−181814(JP,A)
【文献】 特開2005−174961(JP,A)
【文献】 特開2004−079966(JP,A)
【文献】 特開2003−109949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B81C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属微細構造体の一部もしくは全部が、窒化チタン、チタン、ルテニウム、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、タンタル、酸化タンタル、および窒化タンタルから選ばれる少なくとも一種の材料を用いてなる金属微細構造体の処理液であって、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールと、一部または全部がフッ素で置換されていてもよいヒドロカルビルアルカノールアミド、およびポリオキシエチレンヒドロカルビルアミンからなる群から選ばれる1種以上と水からなることを特徴とする金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
【請求項2】
前記一部または全部がフッ素で置換されていてもよいヒドロカルビルアルカノールアミドが、下記一般式(1)で表される請求項に記載の金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
【化1】
〔式中、R1は炭素数2〜24のアルキル基、またはアルケニル基を示す。1は一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミンが下記一般式(2)で表される請求項に記載の金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
【化2】
〔式中、R2は炭素数2〜24のアルキル基、またはアルケニル基を示す。また、n、mは0〜20の整数を示し、n、mは同じでも異なっていてもよい。但し、m+nは1以上である。〕
【請求項4】
前記パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールが、下記一般式(3)で表される請求項に記載の金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
【化3】
〔式中、n、mは1〜20の整数を示し、n、mは同じでも異なっていてもよい。〕
【請求項5】
前記パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールと、一部または全部がフッ素で置換されていてもよいヒドロカルビルアルカノールアミド、およびポリオキシエチレンヒドロカルビルアミンからなる群から選ばれる1種以上の含有量が10ppm〜10%である請求項のいずれかに記載の金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
【請求項6】
ウェットエッチング又はドライエッチングの後の洗浄工程において、請求項1〜のいずれかに記載の処理液を用いることを特徴とする金属微細構造体の製造方法。
【請求項7】
前記金属微細構造体の一部もしくは全部が、窒化チタン、チタン、ルテニウム、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、タンタル、酸化タンタル、および窒化タンタルから選ばれる少なくとも一種の材料を用いてなるものである請求項に記載の金属微細構造体の製造方法。
【請求項8】
前記金属微細構造体が、半導体装置またはマイクロマシンである請求項又はに記載の金属微細構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液及びこれを用いた金属微細構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスや回路基板といった広い分野で用いられる微細構造を有する素子の形成・加工方法として、フォトリソグラフィー技術が用いられている。当該分野においては、要求性能の高度化に伴い、半導体デバイスなどの小型化、高集積化、あるいは高速度化が著しく進み、フォトリソグラフィーに用いられるレジストパターンは微細化、そしてアスペクト比の増加の一途をたどっている。しかし、このように微細化などが進むと、レジストパターンの倒壊が大きな問題となる。
【0003】
レジストパターンの倒壊は、レジストパターンを現像した後のウエット処理(主に現像液を洗い流すためのリンス処理)で用いる処理液を該レジストパターンから乾燥させる際に、該処理液の表面張力に起因する応力が作用することで発生することが知られている。そこで、レジストパターンの倒壊を解決するために、非イオン性界面活性剤やアルコール系溶剤可溶性化合物などを用いた低表面張力の液体により洗浄液を置換して乾燥する方法(例えば、特許文献1及び2参照)、レジストパターンの表面を疎水化する方法(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
ところで、フォトリソグラフィー技術を用いて形成される金属、金属窒化物あるいは金属酸化物などからなる微細構造体(以下、金属微細構造体という。また、金属、珪素含有金属、金属窒化物あるいは金属酸化物を含めて単に金属という。)においては、構造体を形成している金属自体の強度が、レジストパターン自体の強度もしくはレジストパターンと基材との接合強度より高いことから、レジストパターンに比べ、該構造体パターンの倒壊は発生しにくい。しかし、半導体装置やマイクロマシンの小型化、高集積化、あるいは高速度化がさらに進むに従い、該構造体のパターンは微細化、そしてアスペクト比の増加による該構造体のパターンの倒壊が大きな問題となってくる。有機物であるレジストパターンと金属微細構造体の表面状態は全く違うことから、上記のレジストパターンの倒壊の場合と異なり、有効な対応策が見当たらないため、半導体装置やマイクロマシンの小型化、高集積化、あるいは高速度化にあたっては、パターンの倒壊が生じないようなパターンの設計を行うなど、パターン設計の自由度が著しく阻害される状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−184648号公報
【特許文献2】特開2005−309260号公報
【特許文献3】特開2006−163314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、半導体装置やマイクロマシンといった金属微細構造体の分野においては、パターンの倒壊を抑制する有効な技術は、知られていないのが実状である。
本発明は、このような状況下になされたもので、半導体装置やマイクロマシンといった金属微細構造体のパターン倒壊を抑制しうる処理液及びこれを用いた金属微細構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、一部または全部がフッ素で置換されていてもよいアルキル基およびアルケニル基のいずれかからなるヒドロカルビル基を有し、オキシエチレン構造を含むパターン倒壊抑制剤を含有する処理液により、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
【0008】
[1] 一部または全部がフッ素で置換されていてもよいアルキル基およびアルケニル基のいずれかからなるヒドロカルビル基を有し、オキシエチレン構造を含むパターン倒壊抑制剤を含有する金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
[2] 前記パターン倒壊抑制剤が、ヒドロカルビルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミン、およびパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールからなる群から選ばれる1種以上である[1]に記載の金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
【0009】
[3] 前記ヒドロカルビルアルカノールアミドが、下記一般式(1)で表される[2]に記載の処理液。
【化1】
〔式中、R1は炭素数2〜24のアルキル基、またはアルケニル基を示す。〕
【0010】
[4] 前記ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミンが下記一般式(2)で表される[2]に記載の処理液。
【化2】
〔式中、R2は炭素数2〜24のアルキル基、またはアルケニル基を示す。また、n、mは0〜20の整数を示し、n、mは同じでも異なっていてもよい。但し、m+nは1以上である。〕
【0011】
[5] 前記パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールが、下記一般式(3)で表される[2]に記載の処理液。
【化3】
〔式中、n、mは1〜20の整数を示し、n、mは同じでも異なっていてもよい。〕
【0012】
[6] さらに水を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の処理液。
[7] 前記ヒドロカルビルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミン、およびパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールからなる群から選ばれる1種以上の含有量が10ppm〜10%である[2]〜[6]のいずれかに記載の処理液。
[8] 前記金属微細構造体の一部もしくは全部が、窒化チタン、チタン、ルテニウム、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムシリケート、窒化ハフニウムシリケート、白金、タンタル、酸化タンタル、窒化タンタル、ニッケルシリサイド、ニッケルシリコンゲルマニウム、およびニッケルゲルマニウムから選ばれる少なくとも一種の材料を用いてなるものである[1]〜[7]のいずれかに記載の処理液。
【0013】
[9] ウェットエッチング又はドライエッチングの後の洗浄工程において、[1]〜[8]のいずれかに記載の処理液を用いることを特徴とする金属微細構造体の製造方法。
[10] 前記金属微細構造体の一部もしくは全部が、窒化チタン、チタン、ルテニウム、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムシリケート、窒化ハフニウムシリケート、白金、タンタル、酸化タンタル、窒化タンタル、ニッケルシリサイド、ニッケルシリコンゲルマニウム、およびニッケルゲルマニウムから選ばれる少なくとも一種の材料を用いてなるものである[9]に記載の金属微細構造体の製造方法。
[11] 前記金属微細構造体が、半導体装置またはマイクロマシンである[9]又は[10]に記載の金属微細構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体装置やマイクロマシンといった金属微細構造体のパターン倒壊を抑制しうる処理液及びこれを用いた金属微細構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1〜8及び比較例1〜20で作製する金属微細構造体の作製段階毎の断面模式図である。
図2】実施例9〜24及び比較例21〜60で作製する金属微細構造体の作製段階毎の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液は、一部または全部がフッ素で置換されていてもよいアルキル基およびアルケニル基のいずれかからなるヒドロカルビル基を有し、オキシエチレン構造を含むパターン倒壊抑制剤を含有する。このパターン倒壊抑制剤中のオキシエチレン構造部が金属微細構造体のパターンに用いられる金属材料に吸着し、そこから伸びるヒドロカルビル基が疎水性を示すことで、該パターン表面を疎水化するものと考えられる。そしてその結果、処理液の表面張力に起因する応力の発生を低減させ、半導体装置やマイクロマシンといった金属微細構造体のパターン倒壊を抑制することができると考えられる
なお、本発明において疎水化とは、本発明の処理液にて処理された金属の表面と水との接触角が70°以上となることをいう。また、本発明において、「オキシエチレン構造」とは、「−CH2CH2O−」の構造をいう。
【0017】
本発明の処理液に用いられるパターン倒壊抑制剤としては、ヒドロカルビルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミン、およびパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0018】
ヒドロカルビルアルカノールアミドとしては、好ましくは下記一般式(1)で表されるものである。
【0019】
【化4】
【0020】
式中、R1は炭素数2〜24のアルキル基、またはアルケニル基を示す。アルキル基としては、炭素数6〜18のアルキル基が好ましく、炭素数8〜18のアルキル基がより好ましく、炭素数8、10、12、14、16、18のアルキル基がさらに好ましい。このアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、またハロゲン原子、置換基を有していてもよい。
例えばn−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、1−ペンチルへキシル基、シクロヘキシル基、1−ヒドロキシヘキシル基、1−クロロヘキシル基、1,3−ジクロロヘキシル基、1−アミノヘキシル基、1−シアノヘキシル基、1−ニトロヘキシル基などの各種ヘキシル基のほか、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種エイコシル基などが挙げられ、より好ましくは各種ヘキシル基のほか、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種オクタデシル基であり、更に好ましくは各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種セチル基、各種オクタデシル基である。
【0021】
アルケニル基としては、炭素数2〜24のアルケニル基が好ましく、炭素数4〜18のアルケニル基がより好ましく、炭素数6〜18のアルケニル基がさらに好ましい。
【0022】
ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミンとしては、下記一般式(2)で表されるものであることが好ましく挙げられる。
【化5】
【0023】
式(2)中、R2は炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基を示す。アルキル基としては、炭素数6〜18のアルキル基が好ましく、炭素数8〜18のアルキル基がより好ましく、炭素数8、10、12、14、16、18のアルキル基がさらに好ましく、炭素数18が特に好ましい。このアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、またハロゲン原子、置換基を有していてもよく、例えばn−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、1−ペンチルへキシル基、シクロヘキシル基、1−ヒドロキシヘキシル基、1−クロロヘキシル基、1,3−ジクロロヘキシル基、1−アミノヘキシル基、1−シアノヘキシル基、1−ニトロヘキシル基などの各種ヘキシル基のほか、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種エイコシル基などが挙げられ、より好ましくは各種ヘキシル基のほか、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種オクタデシル基であり、更に好ましくは各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種セチル基、各種オクタデシル基であり、各種オクタデシル基が特に好ましい。
【0024】
アルケニル基としては、炭素数2〜24のアルケニル基が好ましく、炭素数4〜18のアルケニル基がより好ましく、炭素数6〜18のアルケニル基がさらに好ましい。
【0025】
また、式中のn、mは0〜20の整数を示し、好ましくは0〜14であり、より好ましくは1〜5である(但し、m+nは1以上である)。n、mが上記範囲内であれば、式中R2で示される官能基と親水性−疎水性とのバランスの影響にもよるが、本発明に用いられるポリオキシエチレンヒドロカルビルアミンは水や有機溶剤などの溶媒に容易に溶解し処理液として好適に用いることができる。
【0026】
一般式(1)で示される化合物のうち、特に好ましいものとしては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドであり、R1の炭素数が8〜18の混合となっているもの、炭素数8、10、12、14、16、18であるものが挙げられる。より具体的には製品名ダイヤノール300(第一工業製薬株式会社製)、製品名ダイヤノールCDE(第一工業製薬株式会社製)、製品名アミゾールCDE(川研ファインケミカル株式会社製)、製品名アミゾールFDE(川研ファインケミカル株式会社製)などが挙げられる。
【0027】
一般式(2)で示される化合物のうち好ましいものとしては、製品名アミート102、製品名アミート105、製品名アミート105A、製品名アミート302、製品名アミート320(以上 花王株式会社製)等が挙げられ、特に好ましいものとしてはポリオキシエチレンステアリルアミンであり、具体的には製品名アミラヂンD(第一工業製薬株式会社製)、製品名アミラジンC−1802(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールとしては、下記一般式(3)で表される化合物であり、具体的には製品名フロラードFC−170C(住友スリーエム株式会社製)等が挙げられる。
【0029】
【化6】
〔式中、n、mは1〜20の整数を示し、n、mは同じでも異なっていてもよい。〕
【0030】
本発明の処理液は、さらに水を好ましく含み、水溶液であることが好ましい。水としては、蒸留、イオン交換処理、フィルター処理、各種吸着処理などによって、金属イオンや有機不純物、パーティクル粒子などが除去されたものが好ましく、特に純水、超純水が好ましい。
【0031】
本発明の処理液は、上記したヒドロカルビルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミン、およびパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールの群から選ばれる1種以上を含み、さらに好ましくは水を含み、その他、処理液に通常用いられる各種添加剤を処理液の効果を害しない範囲で含んでいてもよい。
【0032】
本発明の処理液中のヒドロカルビルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンヒドロカルビルアミン、およびパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールの群から選ばれる1種以上を含有する処理液中の含有量は、10ppm〜10%であることが好ましい。上記化合物の含有量が上記範囲内であれば、これらの化合物の効果が十分得られるが、取り扱いやすさや経済性や泡立ちを考慮して、より低濃度の5%以下で用いることが好ましく、より好ましくは10ppm〜1%、更に好ましくは10〜2000ppmであり、特に好ましくは10〜1000ppmである。また、これらの化合物の水に対する溶解性が十分ではなく相分離するような場合、アルコールなどの有機溶剤を加えてもよいし、酸、アルカリを加えて溶解性を補ってもよい。
また相分離せず単に白濁した場合でも、その処理液の効果を害しない範囲で用いてもよいし、その処理液が均一となるように撹拌を伴って使用してもよい。また、処理液の白濁を避けるために、上記と同様にアルコールなどの有機溶剤や酸、アルカリを加えてから用いてもよい。
【0033】
本発明の処理液は、半導体装置やマイクロマシンといった金属微細構造体のパターン倒壊を抑制に好適に用いられる。ここで、金属微細構造体のパターンとしては、TiN(窒化チタン)、Ti(チタン)、Ru(ルテニウム)、RuO(酸化ルテニウム)、SrRuO3(酸化ルテニウムストロンチウム)、Al23(酸化アルミニウム)、HfO2(酸化ハフニウム)、HfSiOx(ハフニウムシリケート)、HfSiON(窒化ハフニウムシリケート)、Pt(白金)、Ta(タンタル)、Ta25(酸化タンタル)、TaN(窒化タンタル)、NiSi(ニッケルシリサイド)、NiSiGe(ニッケルシリコンゲルマニウム)、NiGe(ニッケルゲルマニウム)などから選ばれる少なくとも一種の材料を用いてなるものが好ましく挙げられ、TiN(窒化チタン)、Ti(チタン)、Ru(ルテニウム)、RuO(酸化ルテニウム)、SrRuO3(酸化ルテニウムストロンチウム)、Al23(酸化アルミニウム)、HfO2(酸化ハフニウム)、Pt(白金)、Ta(タンタル)、Ta25(酸化タンタル)、TaN(窒化タンタル)がより好ましく、TiN(窒化チタン)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、Al23(酸化アルミニウム)、HfO2(酸化ハフニウム)Ru(ルテニウム)がさらに好ましい。なお、金属微細構造体は、SiO2(シリコン酸化膜)やTEOS(テトラエトキシオルソシラン酸化膜)などの絶縁膜種の上にパターニングされる場合や、金属微細構造の一部に絶縁膜種が含まれる場合もある。
【0034】
本発明の処理液は、従来の金属微細構造体はもちろんのこと、より微細化、高アスペクト比となる金属微細構造体に対して、優れたパターン倒壊抑制の効果を発揮する。ここで、アスペクト比は(パターンの高さ/パターン幅)により算出される値であり、3以上、さらには7以上という高アスペクト比を有するパターンに対して、本発明の処理液は優れたパターン倒壊抑制の効果を有する。また、本発明の処理液は、パターンサイズ(パターン幅)が300nm以下、150nm以下、100nm以下、さらには50nm以下であっても1:1のライン・アンド・スペースという微細なパターンや、同様にパターン間の間隔が300nm以下、150nm以下、100nm以下さらには50nm以下である円筒あるいは円柱状構造を持つ微細なパターンに対して、優れたパターン倒壊抑制の効果を有する。
【0035】
[金属微細構造体の製造方法]
本発明の金属微細構造体の製造方法は、ウェットエッチング又はドライエッチングの後の洗浄工程において、上記した本発明の処理液を用いることを特徴とするものである。より具体的には、該洗浄工程において、好ましくは金属微細構造体のパターンと本発明の処理液とを浸漬、スプレー吐出、噴霧などにより接触させた後、水で該処理液を置換してから乾燥させる。ここで、金属微細構造体のパターンと本発明の処理液とを浸漬により接触させる場合、浸漬時間は10秒〜30分が好ましく、より好ましくは15秒〜20分、さらに好ましくは20秒〜15分、特に好ましくは30秒〜10分であり、温度条件は10〜60℃が好ましく、より好ましくは15〜50℃、さらに好ましくは20〜40℃、特に好ましくは25〜40℃である。また、金属微細構造体のパターンと本発明の処理液との接触の前に、あらかじめ水で洗浄を行ってもよい。このように、金属微細構造体のパターンと本発明の処理液とを接触させることにより、該パターンの表面上を疎水化することにより、パターンがその隣のパターンに接触するようなパターンの倒壊を抑制することが可能となる。
【0036】
本発明の処理液は、金属微細構造体の製造工程において、ウェットエッチング又はドライエッチングの工程を有し、その後にウエット処理(エッチングまたは洗浄、それらの洗浄液を洗い流すためのリンス)する行程、乾燥する工程からなり、金属微細構造体の種類を問わずに、広く適用することができる。例えば、(i)DRAM型の半導体装置の製造における、導電膜周辺の絶縁膜などをウェットエッチングした後(例えば特開2000−196038号公報及び特開2004−288710号公報参照)、(ii)短冊状のフィンを有するトランジスタを備えた半導体装置の製造における、ゲート電極の加工時のドライエッチングもしくはウェットエッチングの後に生成した汚染物を除去するための洗浄工程の後(例えば特開2007−335892号公報参照)、(iii)マイクロマシン(微小電気機械装置)のキャビティ形成において、導電性膜の貫通孔を介して絶縁膜からなる犠牲層を除去してキャビティを形成する際の、エッチング時に生成した汚染物を除去するための洗浄工程の後(例えば特開2009−122031号公報参照)などといった、半導体装置やマイクロマシンの製造工程におけるエッチング工程後に、本発明の処理液は好適に用いることができる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
《処理液の調製》
表1に示される配合組成(質量%)に従い、実施例に係る金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液1〜4を調合した。なお、残部は水である。
【0038】
【表1】
*1:「ダイヤノール300(商品名)」:第一工業製薬株式会社製、比重:1.01(20℃)、粘度:約1100Pas(25℃)、非イオン性、一般式(1)の範囲
*2:「ダイヤノールCDE(商品名)」:第一工業製薬株式会社製、比重:1.01(20℃)、粘度:約220Pas(50℃)、非イオン性、一般式(1)の範囲
*3:「アミラヂンC1802(商品名)」:第一工業製薬株式会社製、比重:0.916(20℃)、非イオン性、一般式(2)の範囲
*4:「フロラードFC−170C(商品名)」:住友スリーエム株式会社製、比重:1.32(25℃)、非イオン性、一般式(3)の範囲
*5: 各化合物が有するアルキル基の炭素数
【0039】
実施例1〜4
図1(a)に示すように、シリコン基板104上に窒化珪素103(厚さ:100nm)及び酸化珪素102(厚さ:1200nm)を成膜した後、フォトレジスト101を形成した後、該フォトレジスト101を露光、現像することにより、図1(b)に示す円−リング状開口部105(φ125nm、円と円との距離:70nm)を形成し、該フォトレジスト101をマスクとしてドライエッチングにより酸化珪素102に図1(c)に示す円筒状の孔106を、窒化珪素103の層までエッチングして形成した。次いで、フォトレジスト101をアッシングにより除去し、図1(d)に示す酸化珪素102に窒化珪素103の層に達する円筒状孔106が開孔された構造体を得た。得られた構造体の円筒状孔106に、金属107として窒化チタンを充填・堆積し(図1(e))、化学的機械研磨(ケミカルメカニカルポリッシング;CMP)により、酸化珪素102上の余分な金属(窒化チタン)107を除去し、図1(f)に示す酸化珪素102中に金属(窒化チタン)の円筒108が埋め込まれた構造体を得た。得られた構造体の酸化珪素102を0.5%フッ酸水溶液により溶解除去(25℃、1分浸漬処理)した後、純水リンス、処理液1〜4(30℃、10分浸漬処理)、及び純水リンスの順で接液処理し、乾燥を行い、図1(g)に示す構造体を得た。
得られた構造体は、金属(窒化チタン)の円筒−煙突状のパターン(φ125nm,高さ:1200nm(アスペクト比:9.6),円筒と円筒との間の距離:70nm)を有する微細構造であり、70%以上の該パターンは倒壊することがなかった。
ここで、パターンの倒壊は、「FE−SEM S−5500(型番)」:日立ハイテクノロジーズ社製を用いて観察し、倒壊抑制率は、パターン全本数中の倒壊しなかったパターンの割合を算出して求めた数値であり、該倒壊抑制率が50%以上であれば合格と判断した。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0040】
比較例1
実施例1において、図1(f)に示される構造体の酸化珪素102をフッ酸により溶解除去した後、純水のみで処理した以外は、実施例1と同様にして図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、図1(h)に示されるような倒壊をおこしていた(倒壊抑制率は50%未満となる。)。比較例1において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0041】
比較例2〜10
実施例1において、図1(f)に示される構造体の酸化珪素102をフッ酸により溶解除去し純水で処理した後、処理液1の代わりに表2に示す比較液1〜9で処理する以外は、実施例1と同様にして図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、図1(h)に示されるような倒壊をおこしていた。各例2〜10において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0042】
【表2】
*1:「DKSディスコートN−14(商品名)」:第一工業製薬株式会社製,0.01%水
*2:「カチオーゲンTML(商品名)」:第一工業製薬株式会社製,0.01%水
*3:「サーフィノール104(商品名)」:日信化学工業株式会社製,0.01%水
*4:「エパン420(商品名)」:第一工業製薬株式会社製,0.01%水
*5:「フロラードFC−93(商品名)」:3M社製,0.01%水
*6:「サーフロンS−111(商品名)」:AGCセイミケミカル(株)製,0.01%水
【0043】
【表3】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった円筒数/全円筒数)×100[%]
【0044】
実施例5〜8
実施例1〜4において、金属107として窒化チタンの代わりにタンタルを用いた以外は実施例1〜4と同様にして図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体は、金属(タンタル)の円筒108の円筒状のパターン(φ125nm,高さ:1200nm(アスペクト比:9.6)、円筒と円筒との間の距離:70nm)を有する微細構造であり、70%以上の該パターンは倒壊することがなかった。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表4に示す。
【0045】
比較例11〜20
比較例1〜10において、金属107として窒化チタンの代わりにタンタルを用いた以外は比較例1〜10と同様にして、各々比較例11〜20の図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、図1(h)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった円筒数/全円筒数)×100[%]
【0047】
実施例9〜12
図2(a)に示すように、シリコン基板上に形成された酸化珪素層201上にポリシリコン202(厚さ:100nm)を成膜し、その上にフォトレジスト203を形成した後、該フォトレジスト203を露光、現像することにより、図2(b)に示す角柱状開口部204(1000nm×8000nm)を形成し、該フォトレジスト203をマスクとしてドライエッチングによりポリシリコン202に図2(c)に示す角柱状孔205を、酸化珪素層201までエッチングして形成した。次いで、フォトレジスト203をアッシングにより除去し図2(d)に示すポリシリコン202に酸化珪素層201に達する角柱状孔205が開孔された構造体を得た。得られた構造体の角柱状孔205に金属としてチタンを充填・堆積して、金属(チタン)角柱206及び金属(チタン)層207を形成し(図2(e))、該金属(チタン)層207上にフォトレジスト208を形成した(図2(f))。次いで、フォトレジスト208を露光、現像することにより、図2(g)に示す2つの金属(チタン)角柱206を含む範囲を覆う長方形型フォトマスク209を形成し、該長方形型フォトマスク209をマスクとして、金属(チタン)層207をドライエッチングすることにより、図2(h)に示す下部の両端に金属(チタン)角柱206を有する金属(チタン)板210を形成した。さらに、長方形フォトマスク209をアッシングにより除去し、図2(i)に示すポリシリコン202と金属(チタン)角柱206とを有する金属(チタン)板210からなる構造体を得た。得られた構造体のポリシリコン202を水酸化テトラメチルアンミニウム水溶液により溶解除去した後、純水、処理液1〜5、及び純水の順で接液処理し、乾燥を行い、実施例9〜12の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
【0048】
得られた橋梁構造体211は、金属(チタン)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(チタン)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(チタン)板210が倒壊することがなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。ここで、パターンの倒壊は、「FE−SEM S−5500(型番)」:日立ハイテクノロジーズ社製を用いて観察した。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表5に示す。
【0049】
比較例21
実施例9において、図2(i)に示される構造体のポリシリコン202を水酸化テトラメチルアンミニウム水溶液により溶解除去した後、純水のみで処理した以外は、実施例9と同様にして図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体211の50%以上は、図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。比較例21において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表5に示す。
【0050】
比較例22〜30
実施例9において、図2(i)に示される構造体のポリシリコン202を水酸化テトラメチルアンミニウム水溶液により溶解除去し純水で処理した後、処理液1の代わりに表2に示す比較液1〜9で処理する以外は、実施例9と同様にして、比較例22〜30の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体211の50%以上は、図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた(倒壊抑制率は50%未満となった。)。比較例22において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率を表5に示す。
【0051】
【表5】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]
【0052】
実施例13〜16
実施例9〜12において、金属としてチタンの代わりに酸化アルミニウムを用いた以外は実施例9〜12と同様にして、実施例13〜16の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
得られた橋梁構造体211は、金属(酸化アルミニウム)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(酸化アルミニウム)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(酸化アルミニウム)板210が倒壊することなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表6に示す。
【0053】
比較例31〜40
比較例21〜30において、金属としてチタンの代わりに酸化アルミニウムを用いた以外は比較例21〜30と同様にして、比較例31〜40の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体の50%以上は、図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表6に示す。
【0054】
【表6】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]
【0055】
実施例17〜20
実施例9〜12において、金属としてチタンの代わりに酸化ハフニウムを用いた以外は実施例9〜12と同様にして、実施例17〜20の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
得られた橋梁構造体211は、金属(酸化ハフニウム)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(酸化ハフニウム)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(酸化ハフニウム)板210が倒壊することがなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表7に示す。
【0056】
比較例41〜50
比較例21〜30において、金属としてチタンの代わりに酸化ハフニウムを用いた以外は比較例21〜30と同様にして、比較例41〜50の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体の50%以上は、図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表7に示す。
【0057】
【表7】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]
【0058】
実施例21〜24
実施例9〜12において、金属としてチタンの代わりにルテニウムを用いた以外は実施例9〜12と同様にして、実施例21〜24の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
得られた橋梁構造体211は、金属(ルテニウム)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(ルテニウム)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(ルテニウム)板210が倒壊することはなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。ここで、パターンの倒壊は、「FE−SEM S−5500(型番)」:日立ハイテクノロジーズ社製を用いて観察した。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表8に示す。
【0059】
比較例51〜60
比較例21〜30において、金属としてチタンの代わりにルテニウムを用いた以外は比較例21〜30と同様にして、比較例51〜60の図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体の50%以上は、図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表8に示す。
【0060】
【表8】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の処理液は、半導体装置やマイクロマシン(MEMS)といった金属微細構造体の製造におけるパターン倒壊の抑制に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
101.フォトレジスト
102.酸化珪素
103.窒化珪素
104.シリコン基板
105.円状開口部
106.円筒状孔
107.金属(窒化チタンまたはタンタル)
108.金属(窒化チタンまたはタンタル)の円筒
201.酸化珪素層
202.ポリシリコン
203.フォトレジスト
204.角柱状開口部
205.角柱状孔205
206.金属(チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムまたはルテニウム)角柱
207.金属(チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムまたはルテニウム)層
208.フォトレジスト
209.長方形型フォトマスク
210.金属(チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムまたはルテニウム)板
211.橋梁構造体
図1
図2