【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
《処理液の調製》
表1に示される配合組成(質量%)に従い、実施例に係る金属微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液1〜4を調合した。なお、残部は水である。
【0038】
【表1】
*1:「ダイヤノール300(商品名)」:第一工業製薬株式会社製、比重:1.01(20℃)、粘度:約1100Pas(25℃)、非イオン性、一般式(1)の範囲
*2:「ダイヤノールCDE(商品名)」:第一工業製薬株式会社製、比重:1.01(20℃)、粘度:約220Pas(50℃)、非イオン性、一般式(1)の範囲
*3:「アミラヂンC1802(商品名)」:第一工業製薬株式会社製、比重:0.916(20℃)、非イオン性、一般式(2)の範囲
*4:「フロラードFC−170C(商品名)」:住友スリーエム株式会社製、比重:1.32(25℃)、非イオン性、一般式(3)の範囲
*5: 各化合物が有するアルキル基の炭素数
【0039】
実施例1〜4
図1(a)に示すように、シリコン基板104上に窒化珪素103(厚さ:100nm)及び酸化珪素102(厚さ:1200nm)を成膜した後、フォトレジスト101を形成した後、該フォトレジスト101を露光、現像することにより、
図1(b)に示す円−リング状開口部105(φ125nm、円と円との距離:70nm)を形成し、該フォトレジスト101をマスクとしてドライエッチングにより酸化珪素102に
図1(c)に示す円筒状の孔106を、窒化珪素103の層までエッチングして形成した。次いで、フォトレジスト101をアッシングにより除去し、
図1(d)に示す酸化珪素102に窒化珪素103の層に達する円筒状孔106が開孔された構造体を得た。得られた構造体の円筒状孔106に、金属107として窒化チタンを充填・堆積し(
図1(e))、化学的機械研磨(ケミカルメカニカルポリッシング;CMP)により、酸化珪素102上の余分な金属(窒化チタン)107を除去し、
図1(f)に示す酸化珪素102中に金属(窒化チタン)の円筒108が埋め込まれた構造体を得た。得られた構造体の酸化珪素102を0.5%フッ酸水溶液により溶解除去(25℃、1分浸漬処理)した後、純水リンス、処理液1〜4(30℃、10分浸漬処理)、及び純水リンスの順で接液処理し、乾燥を行い、
図1(g)に示す構造体を得た。
得られた構造体は、金属(窒化チタン)の円筒−煙突状のパターン(φ125nm,高さ:1200nm(アスペクト比:9.6),円筒と円筒との間の距離:70nm)を有する微細構造であり、70%以上の該パターンは倒壊することがなかった。
ここで、パターンの倒壊は、「FE−SEM S−5500(型番)」:日立ハイテクノロジーズ社製を用いて観察し、倒壊抑制率は、パターン全本数中の倒壊しなかったパターンの割合を算出して求めた数値であり、該倒壊抑制率が50%以上であれば合格と判断した。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0040】
比較例1
実施例1において、
図1(f)に示される構造体の酸化珪素102をフッ酸により溶解除去した後、純水のみで処理した以外は、実施例1と同様にして
図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、
図1(h)に示されるような倒壊をおこしていた(倒壊抑制率は50%未満となる。)。比較例1において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0041】
比較例2〜10
実施例1において、
図1(f)に示される構造体の酸化珪素102をフッ酸により溶解除去し純水で処理した後、処理液1の代わりに表2に示す比較液1〜9で処理する以外は、実施例1と同様にして
図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、
図1(h)に示されるような倒壊をおこしていた。各例2〜10において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0042】
【表2】
*1:「DKSディスコートN−14(商品名)」:第一工業製薬株式会社製,0.01%水
*2:「カチオーゲンTML(商品名)」:第一工業製薬株式会社製,0.01%水
*3:「サーフィノール104(商品名)」:日信化学工業株式会社製,0.01%水
*4:「エパン420(商品名)」:第一工業製薬株式会社製,0.01%水
*5:「フロラードFC−93(商品名)」:3M社製,0.01%水
*6:「サーフロンS−111(商品名)」:AGCセイミケミカル(株)製,0.01%水
【0043】
【表3】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった円筒数/全円筒数)×100[%]
【0044】
実施例5〜8
実施例1〜4において、金属107として窒化チタンの代わりにタンタルを用いた以外は実施例1〜4と同様にして
図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体は、金属(タンタル)の円筒108の円筒状のパターン(φ125nm,高さ:1200nm(アスペクト比:9.6)、円筒と円筒との間の距離:70nm)を有する微細構造であり、70%以上の該パターンは倒壊することがなかった。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表4に示す。
【0045】
比較例11〜20
比較例1〜10において、金属107として窒化チタンの代わりにタンタルを用いた以外は比較例1〜10と同様にして、各々比較例11〜20の
図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、
図1(h)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった円筒数/全円筒数)×100[%]
【0047】
実施例9〜12
図2(a)に示すように、シリコン基板上に形成された酸化珪素層201上にポリシリコン202(厚さ:100nm)を成膜し、その上にフォトレジスト203を形成した後、該フォトレジスト203を露光、現像することにより、
図2(b)に示す角柱状開口部204(1000nm×8000nm)を形成し、該フォトレジスト203をマスクとしてドライエッチングによりポリシリコン202に
図2(c)に示す角柱状孔205を、酸化珪素層201までエッチングして形成した。次いで、フォトレジスト203をアッシングにより除去し
図2(d)に示すポリシリコン202に酸化珪素層201に達する角柱状孔205が開孔された構造体を得た。得られた構造体の角柱状孔205に金属としてチタンを充填・堆積して、金属(チタン)角柱206及び金属(チタン)層207を形成し(
図2(e))、該金属(チタン)層207上にフォトレジスト208を形成した(
図2(f))。次いで、フォトレジスト208を露光、現像することにより、
図2(g)に示す2つの金属(チタン)角柱206を含む範囲を覆う長方形型フォトマスク209を形成し、該長方形型フォトマスク209をマスクとして、金属(チタン)層207をドライエッチングすることにより、
図2(h)に示す下部の両端に金属(チタン)角柱206を有する金属(チタン)板210を形成した。さらに、長方形フォトマスク209をアッシングにより除去し、
図2(i)に示すポリシリコン202と金属(チタン)角柱206とを有する金属(チタン)板210からなる構造体を得た。得られた構造体のポリシリコン202を水酸化テトラメチルアンミニウム水溶液により溶解除去した後、純水、処理液1〜5、及び純水の順で接液処理し、乾燥を行い、実施例9〜12の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
【0048】
得られた橋梁構造体211は、金属(チタン)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(チタン)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(チタン)板210が倒壊することがなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。ここで、パターンの倒壊は、「FE−SEM S−5500(型番)」:日立ハイテクノロジーズ社製を用いて観察した。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表5に示す。
【0049】
比較例21
実施例9において、
図2(i)に示される構造体のポリシリコン202を水酸化テトラメチルアンミニウム水溶液により溶解除去した後、純水のみで処理した以外は、実施例9と同様にして
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体211の50%以上は、
図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。比較例21において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表5に示す。
【0050】
比較例22〜30
実施例9において、
図2(i)に示される構造体のポリシリコン202を水酸化テトラメチルアンミニウム水溶液により溶解除去し純水で処理した後、処理液1の代わりに表2に示す比較液1〜9で処理する以外は、実施例9と同様にして、比較例22〜30の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体211の50%以上は、
図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた(倒壊抑制率は50%未満となった。)。比較例22において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率を表5に示す。
【0051】
【表5】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]
【0052】
実施例13〜16
実施例9〜12において、金属としてチタンの代わりに酸化アルミニウムを用いた以外は実施例9〜12と同様にして、実施例13〜16の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
得られた橋梁構造体211は、金属(酸化アルミニウム)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(酸化アルミニウム)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(酸化アルミニウム)板210が倒壊することなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表6に示す。
【0053】
比較例31〜40
比較例21〜30において、金属としてチタンの代わりに酸化アルミニウムを用いた以外は比較例21〜30と同様にして、比較例31〜40の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体の50%以上は、
図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表6に示す。
【0054】
【表6】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]
【0055】
実施例17〜20
実施例9〜12において、金属としてチタンの代わりに酸化ハフニウムを用いた以外は実施例9〜12と同様にして、実施例17〜20の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
得られた橋梁構造体211は、金属(酸化ハフニウム)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(酸化ハフニウム)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(酸化ハフニウム)板210が倒壊することがなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表7に示す。
【0056】
比較例41〜50
比較例21〜30において、金属としてチタンの代わりに酸化ハフニウムを用いた以外は比較例21〜30と同様にして、比較例41〜50の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体の50%以上は、
図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表7に示す。
【0057】
【表7】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]
【0058】
実施例21〜24
実施例9〜12において、金属としてチタンの代わりにルテニウムを用いた以外は実施例9〜12と同様にして、実施例21〜24の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。
得られた橋梁構造体211は、金属(ルテニウム)板210(縦×横:15000nm×10000nm,厚さ:300nm,アスペクト比:50)及びその両端に金属(ルテニウム)角柱(縦×横:1000nm×8000nm,高さ:100nm)を有する微細構造であるが、70%以上の金属(ルテニウム)板210が倒壊することはなく、酸化珪素層201に触れることはなかった。ここで、パターンの倒壊は、「FE−SEM S−5500(型番)」:日立ハイテクノロジーズ社製を用いて観察した。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表8に示す。
【0059】
比較例51〜60
比較例21〜30において、金属としてチタンの代わりにルテニウムを用いた以外は比較例21〜30と同様にして、比較例51〜60の
図2(j)に示す橋梁構造体211を得た。得られた橋梁構造体の50%以上は、
図2(k)に示されるような倒壊をおこしていた。各例において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表8に示す。
【0060】
【表8】
*1:倒壊抑制率=(倒壊しなかった橋梁構造数/全橋梁構造数)×100[%]