特許第5721517号(P5721517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721517
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】硫化カルボニルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/26 20060101AFI20150430BHJP
   B01J 31/02 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   C01B31/26 Z
   B01J31/02 102Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-92439(P2011-92439)
(22)【出願日】2011年4月18日
(65)【公開番号】特開2012-224494(P2012-224494A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】大野 博基
(72)【発明者】
【氏名】横尾 秀次郎
(72)【発明者】
【氏名】入江 志保
【審査官】 佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−197414(JP,A)
【文献】 米国特許第03235333(US,A)
【文献】 特開昭60−078937(JP,A)
【文献】 特開昭61−064335(JP,A)
【文献】 特開昭52−131993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/00−31/36
B01J 31/02
Science Direct
CiNii
WPI
CAplus(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中で一酸化炭素と硫黄を反応させて硫化カルボニルを製造する方法であって、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、tert−ブチルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、およびtert−ブチルイミノ−トリス(ピロリジノ)ホスホランからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性有機化合物を用いることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化カルボニルの製造方法に関する。特に、硫黄と一酸化炭素を液相で反応させて硫化カルボニルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硫化カルボニルは、有機系反射防止膜のプラズマによる高異方性および高選択性エッチング用のエッチングガスとして注目される重要な化合物である。従来、この硫化カルボニルの製造方法としては、炭酸ガスと二硫化炭素とを反応させる方法と、硫黄と一酸化炭素とを反応させる方法が知られている。
【0003】
炭酸ガスと二硫化炭素とを触媒の存在下、気相で反応する方法が、例えば、米国特許第4120944号明細書(特許文献1)、米国特許第3409399号明細書(特許文献2)、特公昭47−40632号公報(特許文献3)に記載されているが、触媒活性低下が課題である。硫黄と一酸化炭素とを反応させる硫化カルボニルの製造方法は、気相での反応と液相での反応が知られている。気相での反応は、例えば、特公昭56−45847号公報(特許文献4)、特公昭61−5409号公報(特許文献5)には、触媒の存在下または無触媒で硫黄と一酸化炭素を反応させる方法が記載されているが、過剰に用いる硫黄の分離が必要であり、さらに、いったん生成した硫化カルボニルが高温のため、分解する恐れがある。無触媒の場合、きわめて高い反応温度が必要であり、高価な耐食材料を用いる必要がある。
【0004】
硫黄と一酸化炭素とを反応させる硫化カルボニルの製造方法のうち、液相での反応は、以下の特許文献に記載されている方法が知られている。
(1)米国特許第2992896号明細書(特許文献6)には、脂肪族アルコール溶媒中、脂肪族3級アミンと硫化水素を懸濁させ、硫黄と一酸化炭素とを反応させて硫化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(2)米国特許第2992897号明細書(特許文献7)には、脂肪族アルコール溶媒を用い、アルカリあるいはアルカリ土類金属のサルファイド、バイサルファイドを触媒に用い、硫黄と一酸化炭素を反応させて硫化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(3)米国特許第2992898号明細書(特許文献8)には、水酸基を有する3級脂肪族アミン溶液中で硫黄と一酸化炭素を反応させて硫化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(4)米国特許第3235333号明細書(特許文献9)には、触媒として、アルカリ金属のカルボン酸塩、アルカリ金属の蟻酸塩、アルカリ金属の酢酸塩、I、IIあるいはIII族金属のアルコキシド、テトラメチルグアニジン、蟻酸カリウムのいずれかを用い、50℃から150℃の温度、一酸化炭素の圧力が200psig(1.38MPa)から5000psig(34.4MPa)で硫黄と一酸化炭素を反応させて硫化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(5)特開昭61−197414号公報(特許文献10)には、2級脂肪族アミンを、セレン(Se)を触媒として、一酸化炭素と硫黄とを反応させることによりチオカルバミン酸アミン塩を製造し、生成したチオカルバミン酸アミン塩を加熱することにより、硫化カルボニルと2級アミンに分解し、得られた2級アミン反応液を再度一酸化炭素と硫黄と反応させる、連続的に硫化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(6)国際公開第2004/089824号(特許文献11)には、二硫化炭素に溶解した硫黄と一酸化炭素とを反応させる硫化カルボニルの製造プロセスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4120944号明細書
【特許文献2】米国特許第3409399号明細書
【特許文献3】特公昭47−40632号公報
【特許文献4】特公昭56−45847号公報
【特許文献5】特公昭61−5409号公報
【特許文献6】米国特許第2992896号明細書
【特許文献7】米国特許第2992897号明細書
【特許文献8】米国特許第2992898号明細書
【特許文献9】米国特許第3235333号明細書
【特許文献10】特開昭61−197414号公報
【特許文献11】国際公開第2004/089824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の(1)〜(6)の硫化カルボニルの製造方法は、以下の点で依然として改善の余地がある。
(1)、(2)、(3)の製造方法は、液相で、比較的低温でも硫黄と一酸化炭素から硫化カルボニルが生成することを示しているが、選択性、品質についてはなんら述べられていない。(1)や(2)の方法は、溶媒に脂肪族アルコールやグリコール類を用いることから、副生成物の生成は避けられない。
(4)の製造方法は、触媒量のアルカリの存在で、比較的低温で、望ましくは80℃から150℃で、硫黄と一酸化炭素を反応させるが、一酸化炭素の圧力が、1.38MPa(200psig)以上、望ましくは3.44MPa(500psig)以上の圧力が開示されており、比較的高い圧力が必要である。さらに、実施例は、大部分メタノールを溶媒に用いて行われており、溶媒は、メタノールが最適と思えるが、アルカリ条件では、生成した硫化カルボニルがアルカリ条件下で反応するおそれがあり、副生成物を伴うおそれがある。
(5)の製造方法は、まず、一酸化炭素と、硫黄と2当量の2級アミンからチオカルバミン酸アミン塩を作り、これを熱分解する、という2段反応であり、しかも、有害性の高いセレンを用いる必要があり、有利な工業生産の方法とはいえない。
(6)の製造方法は、二硫化炭素に溶解した硫黄が一酸化炭素と反応して硫化カルボニルが生成することを前提に、製造プロセスの組み立て方法が開示されているが、反応条件、触媒の有無については何も記載されていない。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、有機系反射防止膜のプラズマによる高異方性、高選択性エッチング用のエッチングガスとして注目される重要な化合物である硫化カルボニル(COS)を効率よく簡便に、かつ安価に製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
高純度の硫化カルボニルを製造する際、選択性と熱的安定性を考慮して、より低温での反応を実現すべく、鋭意検討を重ねた結果、塩基性有機化合物を触媒として用い、硫黄と一酸化炭素とを適当な有機溶媒を用いて反応することにより、穏やかな条件で、高選択率で硫化カルボニルを製造しうることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、有機溶媒中で一酸化炭素と硫黄を反応させて硫化カルボニルを製造する方法であって、触媒としてアミジン塩基、フォスファゼン塩基、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、アルキル基またはアラルキル基で置換された4級アンモニウムハイドロオキサイド、脂肪族環状2級アミンおよび脂肪族2級アミンからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性有機化合物を用いることを特徴とする。
【0010】
さらに具体的には、本発明は、以下の[1]〜[3]項に関する。
[1] 有機溶媒中で一酸化炭素と硫黄を反応させて硫化カルボニルを製造する方法であって、触媒としてアミジン塩基、フォスファゼン塩基、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、アルキル基またはアラルキル基で置換された4級アンモニウムハイドロオキサイド、脂肪族環状2級アミンおよび脂肪族2級アミンからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性有機化合物を用いることを特徴とする方法。
[2] 塩基性有機化合物がアミジン塩基、フォスファゼン塩基、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンおよび7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンから選ばれる、[1]に記載の硫化カルボニルの製造方法。
[3] アミジン塩基が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンおよび1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンからなる群から選ばれ、フォスファゼン塩基がアルキルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(ただし、アルキルは炭素数1〜8個のアルキル基である。)およびアルキルイミノ−トリス(ピロリジノ)ホスホラン(ただし、アルキルは炭素数1〜8個のアルキル基である。)からなる群から選ばれる、[1]または[2]に記載の硫化カルボニルの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、硫化カルボニル(COS)を、効率よく簡便に、かつ安価に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、有機溶媒中、塩基性有機化合物を触媒として用いて、一酸化炭素と硫黄とを反応することを特徴とする硫化カルボニルの製造方法である。
【0013】
本発明において使用する触媒は、アミジン塩基、フォスファゼン塩基、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)、アルキル基またはアラルキル基で置換された4級アンモニウムハイドロオキサイド、脂肪族環状2級アミンおよび脂肪族2級アミンからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性有機化合物である。
【0014】
アミジン塩基とは、アミジン骨格を有する塩基性有機化合物をいう。ここで、アミジン骨格とは式(1)で表される構造をいう。
【0015】
【化1】
【0016】
アミジン塩基の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)等が挙げられる。
【0017】
フォスファゼン塩基とは、フォスファゼン骨格を有する塩基性有機化合物をいう。ここで、フォスファゼン骨格とは式(2)で表される構造をいう。
【0018】
【化2】
【0019】
フォスファゼン塩基の具体例としては、アルキルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(ただし、アルキルは炭素数1〜8個のアルキル基である。)、アルキルイミノ−トリス(ピロリジノ)ホスホラン(ただし、アルキルは炭素数1〜8個のアルキル基である。)等が挙げられる。
【0020】
脂肪族2級アミンとしては、ジ−n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等が挙げられる。
【0021】
脂肪族環状2級アミンとしては、ピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、モルフォリン等が挙げられる。
【0022】
アルキル基またはアラルキル基で置換された4級アンモニウムハイドロオキサイドにおけるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜4個のアルキル基であり、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルが挙げられる。
アルキル基またはアラルキル基で置換された4級アンモニウムハイドロオキサイドにおけるアラルキル基は、好ましくは炭素数7〜10個のアラルキル基であり、その具体例としては、ベンジル、パラメチルベンジルが挙げられる。
アルキル基またはアラルキル基で置換された4級アンモニウムハイドロオキサイドの具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイドが挙げられる。
【0023】
以上の塩基性有機化合物のなかでも、アミジン塩基、フォスファゼン塩基、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)が好ましい。
【0024】
本発明の方法に用いる有機溶媒としては、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタンのような脂肪族飽和炭化水素、DMF、アセトニトリル、N−メチルピロリドンのような非プロトン性極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソールのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、メタノールのようなアルコール類が適している。ケトン類や脂肪族塩素系溶媒は、塩基性有機化合物触媒により分解、縮合等のおそれがあり、望ましくない。
【0025】
有機溶媒中の触媒の濃度は、0.005〜2.0mol/Lが好ましく、より好ましくは0.02〜1mol/Lの範囲で用いられる。
【0026】
反応温度は、通常50℃以上で進行し、150℃未満で行う。
【0027】
反応圧力は、常圧以上で行い、10MPa未満が適当である。
【0028】
反応の形態としては、限定するものではないが、たとえば、適当な溶媒に触媒を共存させ、硫黄を懸濁させ、撹拌下、一酸化炭素を反応器に導入することにより反応させる。生成する硫化カルボニルは、気相を冷却し、凝縮することにより、未反応の一酸化炭素、溶媒、副生物と分離される。あるいは、気相を連続的に取り出し、冷却することにより、凝縮し、未反応の一酸化炭素と分離される。反応は、バッチでも連続でも可能であり、連続で行う場合には、消費された硫黄と一酸化炭素を連続的に反応器に供給される。加圧下で反応を行うことにより、生成硫化カルボニルを効率的に分離が可能になる。加圧された反応ガスを冷却することにより、硫化カルボニルを凝縮させ、一酸化炭素と分離し、凝縮硫化カルボニルを更に精留することにより容易に高純度の硫化カルボニルをえることが出来る。水分の存在は極力避けるべきであり、硫化カルボニルが炭酸ガスと硫化水素に分解し、生成物の純度を下げ、触媒の失活を招く恐れがある。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の硫化カルボニルの製造方法について実施例を示して説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0030】
[実施例1]
トルエン20mLおよび硫黄2.0g(62mmol)を200mLのオートクレーブに入れ、触媒として、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデカ−7−エン(DBU)1.14g(7.5mmol)を加え、撹拌し、反応温度を64℃に設定し、一酸化炭素を0.8MPaまで圧入し、反応を開始した。260分後、圧力は0.6MPaになり、反応が終了した。
反応終了後、常圧に戻しつつ、反応容器のガスをジプロピルアミンのテトラヒドロフラン溶液に吸収させ、ヨウ化メチルを加え生成したジプロピルチオカルバミン酸メチルをHPLCで定量分析した結果、54mmolのCOSが生成しており、加えた一酸化炭素量とほぼ一致した。すなわち、COSの収率はほぼ100%であった。
【0031】
[実施例4〜8ならびに参考例2、3、9および10
実施例1と同様の反応を、DBUの代わりに各種塩基性有機化合物を用いて行った。結果を実施例1とあわせ、表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表中の略称は次の化合物を表す。
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DPA:ジ−n−プロピルアミン
DBN:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
MTBD:7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
TBD:1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
BEMP:tert−ブチルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン
BTTP:tert−ブチルイミノ−トリス(ピロリジノ)ホスホラン
TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド
BTMAH:ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド
【0034】
[実施例13]
ジメチルホルムアミド(DMF)20mLおよび硫黄2.0g(62mmol)を200mLのオートクレーブに入れ、触媒として、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデカ−7−エン)(DBU)76mg(0.5mmol)を加え、撹拌し、反応温度を68℃に設定し、一酸化炭素を0.8MPaまで圧入し、反応を開始した。120分後、圧力は0.6MPaになり、反応が終了した。
反応終了後、常圧にもどしつつ、反応容器のガスをジエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液に吸収させ、ヨウ化メチルを加え生成したジエチルチオカルバミン酸メチルをGCで定量分析した結果、54mmolのCOSが生成しており、加えた一酸化炭素量とほぼ一致した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の方法により製造される硫化カルボニルは、有機系反射防止膜のプラズマによる高異方性および高選択性エッチング用のエッチングガスとして好適に利用できる。