特許第5749532号(P5749532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5749532遊技盤固定機構、遊技機及び遊技盤の固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749532
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】遊技盤固定機構、遊技機及び遊技盤の固定方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   A63F7/02 326C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-66356(P2011-66356)
(22)【出願日】2011年3月24日
(65)【公開番号】特開2012-200351(P2012-200351A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】502411610
【氏名又は名称】株式会社 日東
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】名畑 豊
【審査官】 ▲吉▼川 康史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−095421(JP,A)
【文献】 特開2006−094941(JP,A)
【文献】 実開平07−016097(JP,U)
【文献】 特開2004−344281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤を枠体に固定する遊技盤固定機構において、
一端側が略円錐形状であり、側面に溝部を有する鍵部材と、
前記鍵部材の少なくとも一部を挿入可能な挿入穴を有する主部材と、
前記主部材の側面側に配置され、前記鍵部材が前記挿入穴に挿入された際に前記溝部と係合可能な係合部を有する固定部材と、
前記固定部材の側面を移動し、前記溝部と前記係合部とが係合した場合に前記係合部が移動することを規制する規制部材と、
を備えた、
遊技盤固定機構。
【請求項2】
前記係合部は、前記挿入穴の底面方向に緩衝溝を有し、前記鍵部材が前記挿入穴に挿入されると、前記鍵部材の一端側によって押圧されて前記緩衝溝の幅が狭まり、前記溝部が前記係合部と係合可能な係合位置に位置決めされると、前記鍵部材による前記緩衝溝の幅が復元することで前記溝部と係合する、
請求項1に記載の遊技盤固定機構。
【請求項3】
前記規制部材は、前記固定部材方向に突出した突出部を有し、
前記固定部材は、前記挿入穴の開口方向と同一方向が開いたU字形状であって、前記規制部材が前記係合位置に位置決めされると、前記U字形状内の間に挿入された前記突出部が離脱する方向に前記突出部を押圧する押圧部を有する、
請求項1又は2に記載の遊技盤固定機構。
【請求項4】
前記主部材は、前記挿入穴の開口端部に凸部を有し、
前記規制部材は、前記凸部と係合することで前記規制部材が前記主部材から脱落することを防止する脱落防止部を有する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技盤固定機構。
【請求項5】
前記鍵部材、前記主部材、前記固定部材及び前記規制部材はいずれも樹脂製である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の遊技盤固定機構。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の遊技盤固定機構であって、
遊技領域を有する遊技盤に固定された前記固定部材に前記遊技盤を所定位置で着脱可能に収容する枠体に固定された前記鍵部材を挿入することで、前記遊技盤と前記枠体とを固定する、
遊技盤固定機構。
【請求項7】
遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技盤を所定位置で着脱可能に収容する枠体と、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の遊技盤固定機構と、
を備えた、
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤固定機構、遊技機及び遊技盤の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体に遊技盤を取り付ける際に、着脱作業を容易化した遊技機の開閉着脱機構が知られている。例えば、特許文献1には、遊技盤を収容する収容枠に配設された固定ヒンジ部材と、遊技盤に配設された固定ヒンジ部材のヒンジピンと係脱および係合状態で相対揺動が可能な揺動ヒンジ部材と、収容枠に枠体内方に突出して配設され前後方向に弾性変形可能な押圧辺部を有する押さえ部材とを備えた開閉着脱機構が記載されている。この開閉着脱機構は、揺動ヒンジ部材が固定ヒンジ部材に係合されたときに押圧辺部が遊技盤の全面と係合して遊技盤の後方に付勢するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−167319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした開閉着脱機構では、遊技盤と収容枠にそれぞれ固定ヒンジ部材と揺動ヒンジ部材とを固定する必要があるという課題がある。また、着脱時にヒンジピンに係合させた状態で揺動させるという作業が必要であるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、着脱時の労力を低減しつつ、省スペースで取り付け可能な着脱機構及びこの固定機構を有する遊技機を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の遊技盤固定機構は、
遊技盤を枠体に固定する遊技盤固定機構において、
一端側が略円錐形状であり、側面に溝部を有する鍵部材と、
前記鍵部材の少なくとも一部を挿入可能な挿入穴を有する主部材と、
前記主部材の側面側に配置され、前記鍵部材が前記挿入穴に挿入された場合に前記溝部と係合可能な係合部を有する固定部材と、
前記固定部材の側面を移動し、前記溝部と前記係合部とが係合した際に前記係合部が前記固定部材から離れる方向に移動することを規制する規制部材と、
を備えたものである。
【0008】
この遊技盤固定機構では、主部材に設けられた挿入穴に鍵部材の少なくとも一部が挿入されると、鍵部材の側面に設けられた溝部に主部材の側面側に配置された固定部材の係合部が係合する。このとき、規制部材が固定部材の表面を移動し、係合部が固定部材から離れる方向に移動することを規制する。こうすることにより、規制部材を固定部材の表面に沿って移動させるという小さな動きで溝部と係合部との係合状態が解除されることを未然に防止することができる。言い換えると、溝部を有する鍵部材と係合部を有する固定部材とを固定した状態に保つことができるため、挿入穴に鍵部材を挿入し、規制部材を固定部材の表面に沿って移動させるという小さな動きにより、簡単かつ省スペースで鍵部材を主部材に固定することができる。
【0009】
本発明の遊技機固定機構において、前記係合部は、前記挿入穴の底面方向に緩衝溝を有し、前記鍵部材が前記挿入穴に挿入されると、前記鍵部材の一端側によって押圧されて前記緩衝溝の幅が狭まり、前記溝部が前記係合部と係合可能な係合位置に位置決めされると、前記鍵部材による前記緩衝溝の幅が復元することで前記溝部と係合するものとしてもよい。こうすることにより、鍵部材が固定されると緩衝溝の幅が復元するため、鍵部材が固定部材から脱落する可能性を未然に低減することができる。このように、緩衝溝の復元力を用いて鍵部材を固定部材に固定可能であるため、鍵部材を主軸に固定するために新たな操作を必要とせず、簡単な操作で固定部材に鍵部材を固定することができる。また、緩衝溝が挿入穴の開口端方向に設けられているため、開口端方向から係合部が押圧された場合には緩衝溝の幅が狭まるが、底辺方向から押圧された場合には、緩衝溝の幅が狭まることはない。こうすることにより、挿入穴にかぎ部材を挿入するという簡単な操作で固定部材に鍵部材を固定することができ、かつ、挿入穴に挿入された鍵部材が挿入穴から離脱する可能性を未然に低減することができる。
【0010】
本発明の遊技盤固定機構において、前記規制部材は、前記固定部材方向に突出した突出部を有し、前記固定部材は、前記挿入穴の開口方向と同一方向が開いたU字形状であって、前記規制部材が前記係合位置に位置決めされると、前記U字形状内の間に挿入された前記突出部が離脱する方向に前記突出部を押圧する押圧部を有していてもよい。こうすれば、突出部を有する固定部材と押圧部を有する規制部材とが離間する方向に力がかかるため、係合部を有する固定部材と溝部を有する鍵部材との係合が解除されると、固定部材と規制部材とが離間する方向に押圧されることになる。このため、規制部材を主部材の表面に沿って挿入穴の表面方向に移動させる際に必要な力を低減させることができる。
【0011】
本発明の遊技盤固定機構において、前記主部材は、前記挿入穴の開口端部に凸部を有し、前記規制部材は、前記凸部と係合することで前記規制部材が前記主部材から脱落することを防止する脱落防止部を有していてもよい。こうすれば、凸部と脱落防止部とが係合することで、押圧部によって突出部が押圧された際に、規制部材が主部から脱落する可能性を未然に低減することができる。
【0012】
本発明の遊技盤固定機構において、前記鍵部材、前記主部材、前記固定部材及び前記規制部材はいずれも樹脂製であってもよい。こうすることにより、全ての部材を樹脂成形のみで製作できるため、異なる製法でそれぞれの部材を製作する場合と比較して、より製作時の労力を低減することができる。また、緩衝溝及び押圧部も樹脂製となるため、例えば、金属と比較して弾性が大きい樹脂を用いた場合には、緩衝溝及び押圧部の変形範囲が広くなり、より大きな効果を期待することができる。
【0013】
本発明の遊技盤固定機構は、遊技領域を有する遊技盤に固定された前記固定部材に前記遊技盤を所定位置で着脱可能に収容する枠体に固定された前記鍵部材を挿入することで、前記遊技盤と前記枠体とを固定してもよい。こうすることにより、規制部材を固定部材の側面表面に沿って移動するという簡単な操作で、簡単かつ省スペースで鍵部材を主部材に固定することができる。
【0014】
本発明の遊技機は、遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技盤を所定位置で着脱可能に収容する枠体と、上述したいずれかの遊技盤固定機構と、を備えたものである。この遊技機では、遊技盤固定機構を備えるから、これと同じ効果、例えば、溝部を有する鍵部材と係合部を有する固定部材とを固定した状態に保つことができるため、規制部材を固定部材の側面表面に沿って移動するという簡単な操作で、固定部材に鍵部材を固定することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】遊技盤固定機構10の構成の概略を示す斜視図である。
図2】遊技盤固定機構10の構成の概略を示す分解斜視図である。
図3】遊技盤固定機構10の構成の概略を示す分解図である。
図4】遊技機12で遊技盤固定機構10を使用する状態を示す説明図である。
図5】ロックバネ42の動きを説明するための説明図である。
図6】U字ピン44と固定部材規制部56との位置関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、上記簡単に説明した図面に基づいて、本発明を実施するための形態の一例を説明するにあたり、本実施の形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施の形態の遊技盤固定機構10が遊技盤固定機構に相当し、係止溝22が溝部に相当し、ロックピン20が鍵部材に相当し、ロックピン挿入穴32が挿入穴に相当し、凸部34が凸部に相当し、主軸30が主部材に相当し、緩衝溝42cが緩衝溝に相当し、ロックバネ42が係合部に相当し、U字ピン44が押圧部に相当し、固定部材40が固定部材に相当し、固定部材規制部56が突出部に相当し、係止爪54が脱落防止部に相当し、解除リング50が規制部材に相当し、遊技機12が遊技機に相当し、遊技盤14が遊技盤に相当し、枠体16が枠体に相当する。なお、遊技盤固定機構10の使用方法を説明することにより、本発明の遊技盤固定機構を用いた遊技盤の固定方法の一例も明らかにしている。
【0017】
次に、図1及び図2を用いて、本発明の第一の実施の形態である遊技盤固定機構10の構成を詳しく説明する。ここで、図1は遊技盤固定機構10の構成の概略を示す斜視図であり、図2は、遊技盤固定機構10の構成の概略を示す分解図である。この遊技盤固定機構10は、図2に示すように、遊技盤14に取り付けられる主軸30(図3参照)と、主軸30に挿入されるロックピン20と、主軸30に挿入されたロックピン20をロックバネ42で固定する固定部材40と、ロックバネ42の移動を規制する解除リング50と、を備えており、図1に示すように、固定部材40と解除リング50とが一体化した状態の主軸30にロックピン20を挿入することで固定する。
【0018】
ロックピン20は、図2に示すように、合成樹脂によって成形された略円錐形状の部材であり、側面を囲う溝状の係止溝22を有している。このロックピン20の外径はロックピン挿入穴32の内径と略同一の長さであるため、ロックピン20をロックピン挿入穴32に挿入することができる。また、係止溝22は、ロックピン20がロックピン挿入穴32に挿入された際、後述するロックバネ42と係合し、ロックピン20を主軸30に固定する。このとき、係止溝22は、ロックピン20の周囲を囲う溝状であるため、ロックピン20をロックピン挿入穴32に挿入するという簡単な動作で、ロックピン20を所望の位置に位置決めすることができる。
【0019】
主軸30は、合成樹脂によって成形された筒状の部材であり、中心にロックピン20を挿入可能なロックピン挿入穴32を有し、ロックピン挿入穴32の開口端側には、凸部34が側面方向に形成されている。この主軸30は、ロックピン20を固定するためのガイド部材としての役割を有し、側面側に配置された固定部材40及び解除リング50と関連してロックピン20を固定する。この凸部34は、後述するロックバネ規制部52と係合して(図3参照)、解除リング50が主軸30から脱落する可能性を低減する。
【0020】
固定部材40は、図2に示すように、合成樹脂によって成形された筒状の部材であり、固定部材40の内径の長さと主軸30の外径の長さとが略同一となるように成形されている。このため、主軸30は固定部材40の内側に嵌め込むことができる。この固定部材40には、ロックピン20を固定するロックバネ42及び後述する係止爪54を押圧するU字ピン44をそれぞれ3つ有しており、それぞれ互いに隣接するロックバネ42及びU字ピン44は、固定部材40の外周面に等間隔に配置されている。また、ロックバネ42は、固定部材40の内面方向に突出したロック部42aと、ロック部42aに連接する揺動部42bとからなり、ロック部42aと揺動部42bとの間には緩衝溝42cが設けられている(図3参照)。U字ピン44は、図2に示すように、一端側が連接する一対の突起部44aにより略U字形状に形成されている。また、U字ピン44の他端側を突起部44aが互いに離間する方向に押圧すると、一端側を基点として互いに離間する方向に移動可能であるが、他端側を解放すると、元の状態に戻る。
【0021】
解除リング50は、図2に示すように、合成樹脂によって成形された筒状の部材であり、解除リング50の内径の長さと固定部材40の外径の長さが略同一となるように成形されている。このため、固定部材40を解除リング50の内側に嵌め込むことができる。この解除リング50には、ロックバネ42が解除リング50の方向に移動することを規制するロックバネ規制部52、解除リング50が主軸30から離脱することを防止する係止爪54及び固定部材40がロックピン挿入穴32の開口方向に移動することを規制する固定部材規制部56をそれぞれ3つ有しており、それぞれ互いに隣接するロックバネ規制部52、係止爪54及び固定部材規制部56は、解除リング50の内周面に等間隔で配置されている(図3参照)。また、ロックバネ規制部52及び固定部材規制部56は、いずれも内側方向に延伸された凸部であり、係止爪54は、ロックピン挿入穴32の開口方向に延伸された爪状の部材である。なお、ここで図3は、遊技盤固定機構10の構成の概略を示す分解図であり、図3(A)は、遊技盤固定機構10の構成の概略を示す側面図であり、図3(B)は、図3(A)のA−A断面で切断した分解断面図である。
【0022】
ここで、図4を用いて、遊技盤固定機構10と遊技盤14及び枠体16の関係を明らかにし、遊技盤固定機構10で遊技盤14と枠体16とを固定する固定方法について詳しく説明する。ここで図4は、遊技機12で遊技盤固定機構10を使用する状態を示す説明図であり、図4(A)は、遊技機12を正面から見た正面図、図4(B)は、遊技盤14及び枠体16を側面から見た側面図である。遊技盤固定機構10は、図4(A)に示すように、遊技盤14の角付近にロックピン20が固定されている。この部分は、通常遊技盤カバーの装飾によって正面からは視認されにくい部分であるため、遊戯者が遊戯を行うに際し、注意をひく可能性が少ない。一方、枠体16に取り付けられた主軸30は、正面から見た場合には、遊技盤14の裏側に隠れるため、遊戯者が遊戯を行うに際し、注意をひくことはない。このように、遊技盤固定機構10を用いることで、遊戯者に固定部分を意識させることなく、遊技盤14を枠体16に固定することができる。
【0023】
また、遊技盤14を枠体16へ取り付ける際には、図4(B)に示すように、枠体16を埋設された主軸30に正面方向から遊技盤14に取り付けられたロックピン20を挿入する。このとき、ロックピン20がロックピン挿入穴32に挿入されて位置決めされることにより、遊技盤14も所望の位置に位置決めされることになる。このため、枠体16に遊技盤14を取り付ける際の労力を低減しつつ、遊技盤14を所望の位置に位置決めする労力も低減させることができる。なお、遊技盤14を枠体16から解放する際には、ロックピン20を離脱すればよい。
【0024】
次に、こうして構成された本実施の形態の遊技盤固定機構10を用いて遊技盤を固定する固定方法について、図5及び図6を用いて更に詳しく説明する。ここで、図5は、遊技盤固定機構10のロックバネ42の動きを説明するための説明図であり、図5(A)は、解除リング50をロックバネ42が移動可能な位置に位置決めした状態を示し、図5(B)は、ロックピン挿入穴32にロックピン20を挿入している途中の状態を示し、図5(C)は、係止溝22とロックバネ42とが係合している状態を示し、図5(D)は、ロックピン20が解除リング50のロックバネ規制部52で規制された状態を示している。また、図6は、遊技盤固定機構10のU字ピン44と固定部材規制部56との位置関係を説明するための説明図であり、図6(A)は、U字ピン44の一端側が開いている状態、図6(B)は、U字ピン44の一端側が閉じている状態をそれぞれ示している。なお、図5及び図6では、説明の都合上、必要な部分のみを図面に表しており、関連の薄い部分については、一部省略して記載している。
【0025】
遊技盤固定機構10を用いて固定する際には、図5に示すように、解除リング60をロックピン挿入穴32の底面方向(図5中の右側方向)に主軸30の側面に沿って移動し、解除リング50をロックバネ42が移動可能な位置に位置決めする(図5(A)参照)。解除リング50がロックバネ42が移動可能な位置に位置決めされると、解除リング50の移動に伴ってロックバネ規制部52もロックピン挿入穴32の底面方向に移動し、ロックバネ42が外側方向に移動可能な状態となる。
【0026】
ロックピン20がロックピン挿入穴32の側面に沿って挿入されると、図5(B)に示すように、ロックピン20の一端側がロックバネ42のロック部42aと当接する。この状態で更にロックピン20をロックピン挿入穴32に挿入すると、ロックピン20の先端部の傾斜に沿ってロック部42aが押圧される。このとき、ロックバネ42の揺動部42bが外側方向に移動し、緩衝溝42cが狭まる方向に移動する。このように、ロック部42aが回動しつつ移動することで、ロックピン20を挿入することができる。
【0027】
このとき、図6に示すように、解除リング50が主軸30の側面に沿ってロックピン挿入穴32の底面方向に移動するに伴って、固定部材規制部56がU字ピン44の開口部に近づく。そして、解除リング50がロックバネ42が移動可能な位置に位置決めされたときには、固定部材規制部56がU字ピン44の開口に入り込む(図6(A)参照)。このとき、固定部材規制部56の横幅は、一対の突起部44aの間隔よりも若干大きく形成されているため、固定部材規制部56が一対の突起部44aの間に入り込むと、固定部材規制部56により突起部44aは互いに遠ざかる方向に押圧されることになる。
【0028】
さて、図5に示すように、ロックピン20がロックピン挿入穴32に挿入され、ロック部42aが係止溝22と対向する位置まで移動すると、揺動部42b及び緩衝溝42cの復元力により、ロック部42aは元の位置に戻る。このとき、係止溝22はロック部42aが埋没可能な大きさに形成されているため、ロック部42aが元の位置に戻ると、ロックバネ42のロック部42aと係止溝22とが係合する(図5(C)参照)。こうすることにより、ロックピン20をロックバネ42で固定することができる。ロックバネ42は固定部材40の外周位置に略均等の位置に設けられているため、ロックピン20を周囲から均等に押さえることができる。こうすることにより、ロックピン20がロックバネ42で押圧されることにより進行方向が変わり、ロックピン20がロックピン挿入穴32の側面に衝突して破損する可能性を未然に低減することができる。
【0029】
次に、解除リング50を解放して自由に移動可能な状態とすると、U字ピン44の復元力により、解除リング50は主軸30の側面に沿ってロックピン挿入穴32の開口方向(図5中左方向)に移動し、解除リング50のロックバネ規制部52がロック部42aと対向する位置(本発明の係合位置に相当する位置)に位置決めされる(図5(D)及び図6(B)参照)。こうすることにより、ロックバネ42がロックピン挿入穴32から遠ざかる方向に移動することを規制することができる。言い換えると、ロックピン20がロックピン挿入穴32から離脱する可能性を未然に低減することができる。このとき、解除リング50に設けられた係止爪54が主軸30に設けられた凸部34に当接し、解除リング50が解除位置よりもロックピン挿入穴32の底面方向に移動することを規制する(図6(B)参照)。このため、解除リング50が主軸30から離脱することを未然に防止することができる。
【0030】
一方、ロックピン20を固定部材40から取り外す際には、固定する場合と逆の操作を行えば良い。具体的には、解除リング50を主軸30の側面表面に沿ってロックピン挿入穴32の底面方向に移動させ、ロックバネ42が移動可能な位置に位置決めする。このとき、ロック部42aと係止溝22との係合が解除可能な状態となるため、ロックピン20をロックピン挿入穴32の開口方向に移動させることにより、ロックピン20をロックピン挿入穴32から離脱させることができる。ロックピン20をロックピン挿入穴32から離脱させた後に解除リング50を開放して自由に移動可能な状態とすれば、U字ピン44の復元力により、解除リング50のロックバネ規制部52がロック部42aと対向する位置に位置決めされることになる。
【0031】
以上詳述した本発明の実施の形態の一例である遊技盤固定機構10によれば、主軸30に設けられたロックピン挿入穴32にロックピン20が挿入されると、ロックピン20の側面に設けられた係止溝22に主軸30の側面に配置された固定部材40のロックバネ42が係合する。このとき、解除リング50が固定部材40の側面に沿って移動し、ロックバネ42が固定部材40から離れる方向に移動することを規制するため、係止溝22とロックバネ42との係合状態が解除されることを未然に防止することができる。言い換えると、係止溝22を有するロックピン20とロックバネ42を有する固定部材40とを固定した状態に保つことができるため、ロックピン挿入穴32にロックピン20を挿入するという簡単な操作で、主軸30にロックピン20を固定することができる。
【0032】
また、ロックピン20をロックピン挿入穴32に挿入する際には、揺動部42bが外側に移動すると共に緩衝溝42cの幅が狭ってロックピン20をロックピン挿入穴32に挿入可能な状態となり、ロックピン20が所定の位置まで挿入されると、揺動部42b及び緩衝溝42cが復元してロック部42aと係止溝22とが係合する。このように揺動部42b及び緩衝溝42cの復元力によってロックピン20が主軸30に固定されるため、ロックピン20を固定する際に新たな操作を必要とせず、簡単な操作で主軸30にロックピン20を固定することができる。
【0033】
更に、解除リング50が開放位置に位置決めされると、解除リング50の内側に設けられた固定部材規制部56が固定部材40に設けられたU字ピン44の突起部44aが互いに遠ざかる方向に移動して挿入される。このため、U字ピン44の復元力により、解除リング50がU字ピン44から離脱する方向に押圧されることになり、解除リング50を主軸30の表面に沿って移動させる際の労力を低減させることができる。
【0034】
更にまた、主軸30には凸部34が設けられており、解除リング50が固定位置に位置決めされる際には、解除リング50に設けられている係止爪54と係合するため、解除リング50が主軸30から脱落する可能性を未然に低減することができる。
【0035】
そして、ロックピン20、主軸30、固定部材40及び解除リング50はいずれも樹脂製であるため、異なる素材で作成する場合と比較して、製造時の労力を低減することができる。また、この場合には、緩衝溝42c及びU字ピン44も樹脂製であるため、例えば、金属と比較して弾性が大きい樹脂を用いた場合には、緩衝溝42c及びU字ピン44が変形する変形範囲が広くなり、金属製の場合と比較して、より効果が大きい。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
例えば、上述した実施の形態では、遊技盤14の角付近にロックピン20が固定され、枠体16に主軸30が固定されているものとしたが、枠体16に解除リング50を固定してもよい。こうすれば、遊技盤14を枠体に外す際に遊技盤14と共にロックピン20をロックピン挿入穴32開口方向に移動させると、ロックピン20の移動に伴って主軸30も同じ方向に移動することになる。こうすることにより、相対的に解除リング50がロックピン挿入穴32の底面方向に移動することになるため、上述したロックバネ42が移動可能な位置に解除リング50が位置決めされることになる。このため、遊技盤14を移動させるという簡単な操作で固定状態を解除することができる。また、解除リング50を動かす必要が無いため、遊技盤固定機構10を解除リング50が操作できない位置に配置することもできる。言い換えると、遊技盤固定機構10の配置の自由度を向上させることができる。
【0038】
上述した実施の形態では、遊技盤14の角付近に主軸30が固定され、枠体16にロックピン20が固定されているものとしたが、遊技盤14の角付近にロックピン20が固定され、枠体16に主軸30が固定されていても良い。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
上述した実施の形態では、遊技盤14の角付近にロックピン20が固定されているものとしたが、遊技盤14にロックピン20の一部が貫通可能な貫通孔を有し、枠体16とこの貫通孔に挿入したロックピン20とで遊技盤14を挟み込むようにして遊技盤14を枠体に固定しても良い。こうすれば、遊技盤14にロックピン20を固定する労力を低減することができる。
【0040】
上述した実施の形態では、遊技盤固定機構10は樹脂製であるものとしたが、遊技盤固定機構10は金属製であってもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述した実施の形態で示すように、遊技機分野、特に遊技盤を枠体に固定する固定機構として利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…遊技盤固定機構、12…遊技機、14…遊技盤、16…枠体、20…ロックピン、22…係止溝、30…主軸、32…ロックピン挿入穴、34…凸部、40…固定部材、42…ロックバネ、42a…ロック部、42b…揺動部、42c…緩衝溝、44…U字ピン、44a…突起部、50…解除リング、52…ロックバネ規制部、54…係止爪、56…固定部材規制部、60…解除リング。


図1
図2
図3
図4
図5
図6