【実施例】
【0012】
以下、図に沿って本発明の一実施例を説明する。
図1は本発明の一実施例を示すものであり、主要構成部品を分解した状態を示す斜視図である。
1は例えばアルミニウム等の非磁性体で構成されたフレーム構造体、2はこのフレーム構造体の左右側面に配置される一対のローラ、3はフレーム構造体1の中に収納されるボードであり、発泡材からなる基盤とその両面に接着剤で接着された磁性体、例えば鉄製の平板で構成されている。
4は電子黒板本体の表面において、マーカーによって書き込みを行う筆記面(以下筆記シートと称する。)であり、5はフレーム構造体1の一端に配置されて、前記筆記シート4上の筆記を読み取る読取装置、6は外装を構成する化粧枠であり、この化粧枠には、操作パネル9が配置されている。
7は筆記用のマーカーやイレイサーを置く樹脂材で構成されたトレイである。尚、図示しないが、化粧枠6の裏側は、筆記シート保護用の樹脂性プレートで覆われる。
【0013】
図2に化粧枠6を外した状態の概念図を示し、
図3に化粧枠6を取り付けた状態の概念図を示す。
上記のとおり、ボード3の表面は鉄製の平板で構成されているため、筆記シート4上に図示しない、例えば磁気シートやボタン状の磁石材を貼り付けることが可能となっている。
フレーム構造体1の左右のスペーサーフレーム部8とボード3は、連続した平面を構成し、筆記シート4にマーカー等で筆記する場合の筆圧を受け止める筆記サポート面を構成する。したがって、筆記面の左右の一定部分には磁石材などが貼り付かない構造となっている。
【0014】
フレーム構造体1の左右のスペーサーフレーム部8の近傍には、これに平行に一対のローラ2が配置されており、このローラ2の一つにはこのローラ2を回転駆動するモーター21が接続されている。
また、一対のローラ2及びフレーム構造体1を覆うように、筆記シート4が配置されている。
この筆記シート4は、上記のモーター21によるローラ2の回転によって、左右にフィードされる。
このフィードによって、筆記シート4の前面は後面に移動されると共に、後面は前面に移動される。
上記のモーター21の接続されたローラ2の近傍には、これに平行して読取装置5が取り付けられている。
【0015】
図4にこの読取装置5及び周辺回路のブロック図を示す。
読取装置5は、光源51及び導光体52からなる照明装置50と、光センサー素子が縦方向に配置された光センサーブロック53を3つ縦方向に配置した光センサーアレイ54からなっている。
各光センサーブロック53は、上下2つのアレイに分けられ、それぞれの出力は、アナログスイッチ55に接続されている。
そして、3つの光センサーブロック53に接続された、3つのアナログスイッチ55の出力がイメージプロセッサ10に並列に接続されている。
一方照明装置50の光源51は、LEDドライバー56に接続されている。
【0016】
照明装置の光源51には、赤色発光LED、青色発光LED、及び緑色発光LEDが配置されており、これらの各LEDは、LEDドライバー53によって、交互に発光させられ、その光が導光体52に入射され、この導光体52に隣接して配置された筆記シート4は縦方向短冊状に均一に照らされる。
この照明装置50によって均一に照らされた筆記シート4上の筆記は、ここに隣接して配置された光センサーアレイ54の夫々の光センサー素子で読み取られる。
操作パネル9に設けられた図示しないコピーボタンが押された場合、上記の筆記シート4が移動され、その移動に同期して、筆記シート4上の筆記がこの読取装置5によって順次読み取られる。
【0017】
読取装置5の読取タイミングチャートを
図5に示す。
各光センサー素子の読取タイミングを
図5(1)に示す。従来の電子黒板装置においては、この読取タイミングの周期で、読取時間が制限され、例えば光センサーブロック53が100個の光センサー素子からなっている場合、読取周期にこの100を乗算した時間が読取時間となる。
これに対して、本実施例では
図5(2)に示すように、光センサーブロック53を、上下の2つのアレイに分けて、上下のアレイを半周期分ずらして交互に読み取り、これをアナログスイッチ55で交互に切り替えてイメージプロセッサ10に出力している。
これにより、読取速度は、実質的に従来に比べ2倍に向上する。
【0018】
イメージプロセッサ10の構成を
図6に示す。
上記の3つのアナログスイッチ55からのアナログ出力は、アナログ入力インタフェース91を介して、イメージプロセッサ10に並列に入力される。
アナログ入力インタフェース91からのアナログ出力は、赤色、青色、緑色の各LEDの点灯に同期して、発光色毎に順次、アナログ・デジタル変換手段92で並列にデジタル化される。尚アナログ出力は、白色での反射時に最高2.5ボルトとなる信号である。
このデジタル化された読取データ(以下アナログ読取値をデジタル化したデータを読取データと称する。)は、MUX(マルチプレクサ)により、順次外部メモリ90の第1画像メモリ領域93に転送され、記録される。
このとき、最小値検出手段94によって、読取データの最小値が検出され、補正係数算出手段95に出力される。
この補正係数算出手段95で、各発光色での最小値が算出され保持される。
尚、何も筆記していない状態での各発光色での読取データは、最大値として予め計測されており、最大値記録手段96に記録保持されている。
この発光色毎の読取データの最大値は、補正係数算出手段95に入力される。
【0019】
筆記シート一面分の読み取りが完了すると、筆記シート4の移送は停止する。
この読取動作により、通常の電子黒板装置の場合は、縦2000*横3000の読取データが第1画像メモリ領域93に記録される。
尚、筆記面積がより大きいワイドタイプの電子黒板の場合は、縦2000*横4000の読取データが第1画像メモリ領域93に記録される。
また上記のとおり、赤色、青色、緑色の発光色毎の読取データの最小値と、最大値記録手段96からの最大値は、補正係数算出手段95に入力され、この補正係数算出手段95によって、各補正係数が算出される。
【0020】
読取データは通常256階調を表す値となるが、実際には、マーカーの消耗などにより、256階調が得られないことがある。
このため、読取データ補正手段97は、各発光色の読取データの最小値を最大値から引いた値を256階調となるように補正して、外部メモリの第2画像メモリ領域98に記録する。
例えば、最大値が200で最小値が5の場合、256を195で割った値を読取データに乗算し、これを読取データとするように補正して、第2メモリ領域98に記録する。
【0021】
白黒モードで出力する場合、従来は、赤色、青色、緑色の各LEDを同時に点灯して読み取りを行っていたが、例えばある色の筆記がかすれて薄く、他の色の筆記が濃い場合、筆記面全体での読取データの最大値(この場合は濃い色の部分の値)で補正されるため、薄い色の筆記がプリントされないことがある。
これに対し、本実施例装置においては、発光色毎に補正するため、この補正した読取データを黒の値として、出力インタフェース99から、プリンタに出力することで、かすれた薄い色があっても、濃くなるように補正されて再現性よくプリントされる。
【0022】
以上の構成からなる電子黒板装置の、化粧枠6上の操作パネル9に設けられた図示しないスイッチを操作することにより、モーター21が駆動され、筆記シート4はフィードされると共に、電子黒板装置の側面に配置された読取装置5によって、筆記シート4の筆記が読み取られる。
印刷用スイッチを操作した場合は、この読み取られた読取データは、出力インタフェース99から、図示しないプリンタに送られA4サイズの用紙に300dpi相当の解像度で印刷される。
また、着脱式のUSBメモリへの記録用ボタンを操作した場合は、出力インタフェース99から、図示しないUSBメモリへ、前記読み取られた読取データが転送され記録される。
また、筆記シート4のフィードによって、本体の後面に位置していた筆記シート4が本体前面に移動し、この面も筆記に利用される。
尚、必要であれば、操作パネル9の移送スイッチによって、読み取られた面を、再度本体前面に移動させる。
【0023】
尚、図示しないが、この電子黒板装置には、プリンタ接続用の接続端子、パソコン接続用の接続端子、ローカルエリアネットワーク接続端子、及びUSBメモリ接続用の接続端子が設けられている。
【0024】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、読取装置の構造は種々変形が可能である。
例えば、光センサーブロック53は2つ或いは4つとしてもよい。
イメージプロセッサ10の構成もこれに限定されない。
また、上記実施例では筆記面を移送可能な筆記シートとしたが、筆記面を固定した筆記ボードとして読取装置を自走する方式にしてもよい。