(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タンクの仕様データは、第1の仕様データ及び第2の仕様データの2種類からなり、前記第2の仕様データは、前記第1の仕様データよりも前記タンクの区分が詳細なデータであり、
前記第1の仕様データを用いて第1の混合整数線形計画法による計算を行い、更に前記第1の混合整数線形計画法による計算結果及び前記第2の仕様データを用いて第2の混合整数線形計画法による計算を行う
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の受入計画策定方法。
【背景技術】
【0002】
都市ガス事業者は、所定の熱量(地域にもよるが、現状45MJ/m
3N前後)で都市ガスを送出するように義務づけられている。このような熱量を有する都市ガスは、主にLNG(液化天然ガス)を原料として製造される。産地により多少異なるが、LNGの熱量は40〜45.5MJ/m
3Nである。都市ガス事業者は、これを定められた熱量に調整し送出している。
【0003】
このようにして熱量調整を行ってガスを送出する工場には、原料となるLNGを保管するタンクがある。このLNGタンクは、ほぼ大気圧程度に設計されていることから、外部からの入熱、あるいはタンカーからLNGをタンク内に受け入れている際に、BOG(Boil Off Gas)と称される気化ガスが発生する。BOGの成分は気化しやすい熱量の低い分子組成となるため、タンクに貯蔵されているLNGの熱量は、通常、貯蔵期間の長さに伴い上昇していく傾向にある。
【0004】
図15は、従来のLNG船の輸送例を示す図である。
図15に示す例では、複数のLNG船(A船、B船)が、アジア地域やヨーロッパ地域等世界各地に存在するLNGの産地から、臨海部に設けられるLNG基地である工場1、工場2にLNGを輸送している。A船、B船は、天然ガスを液化し、約−160℃程度の極低温液体の形態に変化させたものを荷積みし、予め作成されている配船計画に従って、工場1、工場2にLNGを輸送する。
【0005】
各工場では、複数のタンクA、タンクB、・・・が設置されている。産地毎に熱量の異なるLNGを受け入れるため、タンクごとに熱量の管理範囲を設定している。各タンクからは、用途に応じて所定の原料となるように熱量を調整し、需要先に供給することになる。例えば、
図15の工場1のタンクAでは、都市ガス用、ローリー出荷用にそれぞれ調整後、各需要先に供給する。
【0006】
このようなLNGの受入計画の策定に関して、従来からいくつかの手法が提案されている。例えば、特許文献1には、発電能力等を活用してLNGタンカー船の有効利用及び収益の最大化を図ることができるLNGタンカー船最適配船計画システムを提供する技術が提案されている。
【0007】
また例えば、特許文献2には、多港揚げを含む配船計画を迅速に作成し、多港揚げに伴う費用を精度良く算出する技術が提案されている。
【0008】
また例えば、特許文献3には、配船計画を迅速に作成し、実運用時の計画変更も容易なLNG船運用管理方法及びシステムを提供する技術が提案されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下では、液化原料として、LNG(液化天然ガス)を例に挙げて説明する。但し、本発明の適用範囲はLNGに限らない。本発明は、前述した課題がある液化原料に対して適用すれば、同様の効果を奏する。
【0020】
図1は、受入計画策定システム1の概要を示す図である。
図1に示すように、受入計画策定システム1は、例えば、端末2とサーバ3がネットワーク6を介して接続されている。ネットワーク6は、例えば、インターネット又はLAN(Local Area Network)等である。端末2は、例えば、PC(Personal
Computer、以下「コンピュータ」)や携帯端末(携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等)等であり、ネットワーク6に接続し、データ通信(HTTP通信、TCP/IP通信など)が可能であれば、どのような機器でも良い。サーバ3も、端末2と同様に、ネットワーク6に接続し、データ通信が可能であれば良いが、望ましくは高性能なサーバ用コンピュータが良い。
【0021】
端末2には、本発明の一形態である受入計画策定プログラム4がインストールされている。本発明の実施形態では、端末2が、受入計画策定プログラム4に従って各種の手段として機能し、LNG(液化天然ガス)タンカー船の来船スケジュールを計算し、ユーザに提示する。端末2は、必要に応じて、データの要求命令をサーバ3に送信する。
【0022】
サーバ3には、本発明の実施形態において利用される各種のデータを記憶するデータベース(以下「DB」)5が構築されている。データベース5には、例えば、年間の船の運航スケジュールデータ、LNGを配分する各工場(受入基地)における各タンクの仕様データ、各工場における用途別の年間需要量一覧データ等が記憶されている。サーバ3は、データの要求に対してDB5を検索し、要求されたデータを端末2に送信する。
【0023】
尚、受入計画策定システム1の構成は、
図1に示す例に限らない。例えば、受入計画策定システム1は、端末2のみで構成されても良い。つまり、端末2が、DB5を備えるようにしても良い。
【0024】
また、受入計画策定プログラム4は、サーバ3にインストールされていても良い。つまり、サーバ3が、受入計画策定プログラム4に従って各種の手段として機能しても良い。この場合、端末2は、ユーザとのインターフェースの役割を果たす。つまり、端末2は、ユーザから入力されるデータをサーバ3に送信し、サーバ3から受信するデータを出力(表示や印刷など)する。
【0025】
また、DB5に代えて、単なるファイルとしてデータを記憶しても良い。また、DB5に記憶されているデータは、外部のサーバから取得するようにしても良い。
【0026】
図2は、端末2(サーバ3)を実現するコンピュータのハードウエア構成図である。尚、
図2のハードウエア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0027】
端末2(サーバ3)を実現するコンピュータは、制御部11、記憶部12、メディア入出力部13、通信制御部14、入力部15、表示部16、周辺機器I/F部17等が、バス18を介して接続される。
【0028】
制御部11は、CPU(Central
Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。CPUは、記憶部12、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス18を介して接続された各装置を駆動制御し、コンピュータが行う後述する処理を実現する。ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは、揮発性メモリであり、記憶部12、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部11が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0029】
記憶部12は、例えば、HDD(Hard
Disk Drive)であり、制御部11が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating
System)等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0030】
メディア入出力部13(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)等のメディア入出力装置を有する。通信制御部14は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク6間の通信を媒介する通信インターフェースであり、ネットワーク6を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。ネットワーク6は、有線、無線を問わない。
【0031】
入力部15は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。入力部15を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。表示部16は、液晶パネル、有機EL等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。尚、入力部15及び表示部16は、タッチパネルディスプレイのように、一体となっていても良い。
【0032】
周辺機器I/F(インターフェース)部17は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部17を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部17は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。バス18は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0033】
図3は、サーバ3のDB5に記憶される、年間の船の運航スケジュールデータの一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、年間の船の運航スケジュールデータは、船種、(湾来航)日時、(原料)積載量(t)、入港の許容される工場、受入の許容されるタンク、積載している原料の熱量ポイントから構成される。
【0035】
熱量とは、別の形態になっているエネルギーが燃焼によって熱エネルギーに変わった場合に得られるエネルギーの量である。熱量ポイントは、熱量に関して予め規定された値である。
【0036】
船種とは、船の種類である。一般に、LNGの産地によって船の種類が決まっている。また、LNGの熱量は、産地によって決まっている。従って、船種毎に、積載している原料の熱量ポイントを定義することができる。
【0037】
図3の例の場合、例えば、船種が「A船」のLNG船が、「2012/4/3」の日時、「50000」の積載量を積載し、湾に来航することが示されている。また、「A船」の船種は、入港の許容される工場が「工場1・2」、受入の許容されるタンクが「工場1A、工場1B、工場2A、工場2B」、積載している原料の熱量ポイントが「0.2」であることが示されている。
【0038】
なお、「工場1A」のタンクとは、工場1のタンクAのことである。その他のタンクの名称も同様にして付されている。
【0039】
図4及び
図5は、サーバ3のDB5に記憶される、各工場における各タンクの仕様データの一例を示す図である。
【0040】
図4及び
図5に示すように、各タンクの仕様データは、残存量初期値、タンク在庫管理許容上下限量、目標熱量ポイント指定期間、指定期間の目標熱量ポイント上下限、及び使用可能用途から構成される。
【0041】
指定期間の目標熱量ポイント上下限とは、指定期間内に各タンクで受入れた船の原料の熱量ポイントの合計値の上下限値である。実際に運用可能であるには、この値を守ることが望ましい。用途は、例えば、都市ガス用、ローリー出荷用、自家消費用等である。熱量を直接計算するのではなく目標熱量ポイントで管理する理由は、熱量計算を直接行うと、後述する式(3)で表されるような非線形計算が必要なため非線形最適化問題となり、計算量が膨大となるので実用的な時間内に計算を終了することが困難になるためである。
【0042】
各タンクの仕様データは2種類ある。
図4に示すデータが、後述する線形計画法の第1段階の計算に用いられる。また、
図5に示すデータが、後述する線形計画法の第2段階の計算に用いられる。第2段階の方が、第1段階よりも詳細になっている。各タンクの仕様データを2段階に分ける理由は、第1段階から詳細なデータで線形計画法の計算を行うと、計算量が膨大となり、実用的な時間内に計算を終了することが困難になるためである。
【0043】
図4の例の場合、例えば、「工場1_BC」のタンク群は、残存量初期値が「150000」、在庫管理上限量が「237700」、在庫管理下限量が「55300」、目標熱量ポイント管理値の指定期間が「直近3週間」、目標熱量ポイント管理値の上限が「10.0」、目標熱量ポイント管理値の下限が「5.0」、使用可能用途が「都市ガス用、ローリー出荷用、自家消費用」である。
【0044】
一方、
図5の例の場合、「工場1_BC」のタンク群が詳細に分けられている。「工場1_B」のタンク群は、残存量初期値が「30000」、在庫管理上限量が「67700」、在庫管理下限量が「22300」、目標熱量ポイント管理値の指定期間が「直近3週間」、目標熱量ポイント管理値の上限が「7.0」、目標熱量ポイント管理値の下限が「5.0」、使用可能用途が「都市ガス用、ローリー出荷用、自家消費用」である。また、「工場1_C」のタンク群は、残存量初期値が「120000」、在庫管理上限量が「170000」、在庫管理下限量が「33000」、目標熱量ポイント管理値の指定期間が「直近2週間」、目標熱量ポイント管理値の上限が「なし」、目標熱量ポイント管理値の下限が「12.0」、使用可能用途が「都市ガス用、ローリー出荷用」である。
【0045】
図6は、サーバ3のDB5に記憶される、各工場における用途別年間需要量一覧データの一例を示す図である。
【0046】
図6に示すように、各工場における用途(都市ガス用、ローリー出荷用等)別年間需要量一覧データは、用途別日別需要量から構成される。
図6(a)は、日間都市ガス向けLNG需要量(t)の工場別日別需要量であり、
図6(b)は、ローリー向けLNG需要量(t)の工場別日別需要量である。
【0047】
図6(a)の場合、例えば、日付が「2012/4/1」は、工場1の需要量が「7898」、工場2の需要量が「15642」、工場3の需要量が「6848」である。
図6(b)の場合、例えば、日付が「2012/4/1」は、工場1の需要量が「293」、工場2の需要量が「1371」、工場3の需要量が「229」である。
【0048】
図7は、端末2の受入計画策定処理を説明するフローチャートである。ステップS1において、端末2の制御部11は、年間の船の運航スケジュールデータ(
図3)、原料を配分する各工場における各タンクの仕様データ(
図4)、各工場における用途別の年間需要量一覧データ(
図6(a)、
図6(b))から、工場への配船を仮決めする最適化問題(第1段階の整数線形計画法)を解く。
【0049】
ステップS2において、端末2の制御部11は、ステップS1の処理で解いた工場への配船の仮決め案に基づき、年間の船の運航スケジュールデータ(
図3)、原料を配分する各工場における各タンクの詳細な仕様データ(
図5)、各工場における用途別の年間需要量一覧データ(
図6(a)、
図6(b))から、工場毎にタンク別の船の受入・タンク繰り計画を作成する最適化問題(第2段階の整数線形計画法)を解く。
【0050】
ここで、
図5に示すタンクの仕様データは、
図4に示すタンクの仕様データよりも、タンクの区分が詳細に分けられている。逆に言えば、ステップS1では、本来のタンクの仕様データ(
図5)よりも簡略化されているタンクの仕様データ(
図4)を用いて最適化計算を行い、工場への配船を仮決めする。これによって、実用的な時間内に全体の最適化計算を終えることができる。
【0051】
図8は、
図7のステップS1の処理を詳細に説明するフローチャートである。ステップS11において、端末2の制御部11は、DB5を参照し、入力情報を入力する。入力情報は、(1)年間の船の運航スケジュールに関する情報(
図3)、(2)原料を配分する各工場における各タンクの仕様に関する情報(
図4)、(3)各工場における用途別の年間需要量一覧に関する情報(
図6)、である。
【0052】
ステップS12において、端末2の制御部11は、第1段階の混合整数線形計画法を解くための制約条件を設定する。制約条件は、タンク在庫管理許容上下限量、指定期間の工場別タンク別目標熱量ポイント上下限、用途別日別需要量、入港の許容される工場、受入の許容されるタンク、である。
【0053】
ステップS13において、端末2の制御部11は、第1段階の混合整数線形計画法による計算を行う。具体的には、端末2の制御部11は、意思決定変数をタンクiの受入量、タンクiの需要割当量とし、ステップS12において設定される制約条件を満たすように、次式の目的関数を最小化する。
【0055】
端末2の制御部11は、上記式(1)で表される目的関数の値を最小化する意思決定変数の値を求める。この意思決定変数の値を最適解といい、この最適解を求めることを、線形計画法を解くという。なお、混合整数線形計画法は、公知の技術によって解くことができる。
【0056】
ステップS14において、端末2の制御部11は、ステップS13の処理で計算された結果である、各工場への受入計画及びタンク群別需要割当結果を記憶する。
【0057】
図9は、
図7のステップS2の処理を詳細に説明するフローチャートである。この処理は、
図8の処理で得られた第1段階の受入計画(
図8のステップS14)に基づいて、工場毎にタンク別の受入・需要割当結果を計算するものである。
【0058】
ステップS21において、端末2の制御部11は、DB5とステップS14の出力結果を参照し、入力情報を入力する。入力情報は、(1)年間のLNG船の運航スケジュールに、
図8の処理で得られた第1段階の計算結果である入船工場を加えた情報(ステップS14の出力結果)、(2)原料を配分する各工場における各タンクの仕様(第1段階よりも詳細なもの)に関する情報(
図5)、(3)各工場における用途別の年間需要量一覧に関する情報(
図6)、である。
【0059】
ステップS22において、端末2の制御部11は、第2段階の混合整数線形計画法を解くための制約条件を設定する。制約条件は、タンク在庫管理許容上下限量、指定期間の工場別タンク別目標熱量ポイント上下限、用途(都市ガス用、ローリー用といった用途毎)別日別需要量、入港の許容される工場、受入の許容されるタンク、である。
【0060】
ステップS23において、端末2の制御部11は、第2段階の混合整数線形計画法計算を行う。具体的には、端末2の制御部11は、意思決定変数をタンクiの受入量、タンクiの需要割当量とし、ステップS22において設定される制約条件を満たすように、式(1)の目的関数を最小化する。
【0061】
ステップS24において、端末2の制御部11は、ステップS23の処理で計算された結果を実現した場合のタンク在庫推移を記憶する。
【0062】
ステップS25において、端末2の制御部11は、ステップS23の処理で計算された結果を実現した場合のタンク熱量推移を計算する。産気(m
3/t)Vapの計算は次式に従って行う。産気とは液体原料が気化した際に発生する質量当たり体積である。
【0064】
但し、Calは、熱量(MJ/m
3)である。a、bは定数であり、熱量と産気の実データから回帰分析にて求める。
【0065】
タンク群AのX日の熱量Cal
A,X(MJ/m
3)の計算は、次式に従って行う。
【0067】
但し、
Vol
A,X:タンク群AのX日の質量(t)、
Vap
A,X:タンク群AのX日の産気(m
3/t)、
Vol_In
T,A,X:X日にタンク群Aに受入れる液種Tの質量(t)、
Cal_In
T,A,X:X日にタンク群Aに受入れる液種Tの熱量(MJ/m
3)、
Vap_In
T,A,X:X日にタンク群Aに受入れる液種Tの産気(m
3/t)、
Vol_BOG
A:タンク群Aから発生するBOGの質量(t)、
Cal_BOG:タンク群Aから発生するBOGの熱量(MJ/m
3)、
Vap_BOG:タンク群Aから発生するBOGの産気(m
3/t)、
である。
【0068】
ステップS26において、端末2の制御部11は、ステップS24において記憶されるタンク在庫推移、及びステップS25において計算されるタンク熱量推移に基づいて、タンクのLNGを最終的に満たさなければならない品質(熱量)にするために必要な追加原料の質量を計算する。タンク群AのX日のLNGを最終的に満たさなければならない品質(熱量)にするために必要な追加原料の質量Vol_Add
A,Xの計算は、次式に従って行う。
【0070】
但し、
MustCal:最終的に満たさなければならない品質(熱量)(MJ/m
3)、
Cal_Out
T,A,X:X日にタンク群Aから払出される液種Tの熱量(MJ/m
3)、
Vol_Out
T,A,X:X日にタンク群Aから払出される液種Tの質量(t)、
Vap_Out
T,A,X:X日にタンク群Aから払出される液種Tの産気(m
3/t)、
Cal_Add:必要な追加原料の熱量(MJ/m
3)、
Vap_Add:必要な追加原料の産気(m
3/t)、
である。
【0071】
ステップS27において、端末2の制御部11は、追加原料を使用した結果、元々の原料調達が足りずにさらに追加調達が必要か否かを判定し、追加調達が必要と判定した場合、ステップS28に進む。
【0072】
ステップS28において、端末2の制御部11は、追加調達情報を入力する。追加調達情報は、追加原料の追加調達分を積んだ船を調達するための入港スケジュール、及び積載量である。
【0073】
ステップS29において、端末2の制御部11は、タンク別需要割当、タンク別受入量、タンク別熱量推移、受入計画、追加原料調達量を表示部16等に出力する。
【0074】
図10は、タンク別需要割当結果の出力例を示す図である。例えば、日付が「2012/4/1」の場合、都市ガス向けの用途に対しては、工場1Aに「0」、工場1Bに「8380」、工場1Cに「0」の需要が割り当てられている。また、日付が「2012/4/1」の場合、ローリー向けの用途に対しては、工場1Aに「0」、工場1Bに「0」、工場1Cに「260」の需要が割り当てられている。
【0075】
図11は、タンク別受入量の出力例を示す図である。例えば、日付が「2012/4/3」に、A船によって輸送される「50,000(t)」のLNGは、「工場1A」に受け入れられる。また、日付が「2012/4/5」に、B船によって輸送される「48,000(t)」のLNGは、「工場1A」に受け入れられる。また、日付が「2012/4/6」に、B船によって輸送される「20,000(t)」のLNGは「工場1A」、「30,000(t)」のLNGは「工場1B」に受け入れられる。
【0076】
図12は、ステップ24の「タンク在庫の推移の記憶」に基づく、タンク別在庫推移の出力例を示す図である。
図12において、横軸は日付であり、縦軸は、タンク在庫高(t)である。工場2CのLNGの在庫(t)は、下限値〜上限値の間を推移している。
【0077】
図13は、ステップ25の「タンク熱量推移の計算」に基づく、タンク別熱量推移の出力例を示す図である。
図13において、横軸は日付であり、縦軸は、タンク熱量(MJ/m
3)である。
【0078】
図14は、受入計画の出力例を示す図である。受入計画は、船種、日時、積載量、及び入港工場等を含む。例えば、日時が「2012/4/3」には、船種が「A船」、積載量が「50,000(t)」のLNG船が、「工場2」に入港することを示している。
【0079】
以上のように、本実施形態の受入計画策定システム1によれば、タンク別需要割当、タンク別受入量、タンク別熱量推移、受入計画、追加原料調達量等をユーザに提示することができる。ユーザは、それらの結果を元に計画案の評価を行い、再度条件を変えて計算することもできる。そして、より望ましい計画案を算出したい場合、目標熱量ポイント上下限等を調整して再度計算を行うことも可能である。
【0080】
[発明の実施の形態における効果]
1.1日単位に解を求めるのではなく、年間スケジュールを1度に求めることができる。また、タンクごとの受入計画を策定することができる。
2.熱量を直接計算するのではなく、目標熱量ポイントを設定し線形で表現して混合整数線形計画法に定式化して解くことで、実用的な時間内に、実現可能な望ましい受入計画を策定することができる。
3.2段階で混合整数線形計画法による計算を行うことにより、輸送船やタンクの数が多くても、実用的な時間内に受入計画を策定することができる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る受入計画策定システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。