特許第5755697号(P5755697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5755697-トイレットロール 図000002
  • 特許5755697-トイレットロール 図000003
  • 特許5755697-トイレットロール 図000004
  • 特許5755697-トイレットロール 図000005
  • 特許5755697-トイレットロール 図000006
  • 特許5755697-トイレットロール 図000007
  • 特許5755697-トイレットロール 図000008
  • 特許5755697-トイレットロール 図000009
  • 特許5755697-トイレットロール 図000010
  • 特許5755697-トイレットロール 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5755697
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】トイレットロール
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   A47K10/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-180501(P2013-180501)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-47296(P2015-47296A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2014年10月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】小沼 敦嗣
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−325372(JP,A)
【文献】 特開2009−150032(JP,A)
【文献】 特開2012−213508(JP,A)
【文献】 特表2009−505780(JP,A)
【文献】 特開2006−087903(JP,A)
【文献】 特開2002−177376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/16
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭剤が付与されたトイレットペーパーが紙管に巻かれたトイレットロールであって、
前記トイレットペーパーは、複数のトイレットペーパー原紙が積層されたものであり、
積層されたトイレットペーパー原紙同士が対面する面である積層内面の少なくとも一面に有機酸又はその塩である消臭剤が付与され、
その消臭剤の付与面積が平面視で5%以上の範囲あり、
トイレットペーパー全体としての消臭剤の含有量が有効成分で0.0001〜2.0g/m2であり、
かつ、積層されたトイレットペーパー原紙同士が対面しない面である積層外面からは消臭剤が付与されていない、
ことを特徴とするトイレットロール。
【請求項2】
複数のトイレットペーパー原紙が、エンボスが付与されたトイレットペーパー原紙の凸部が積層内面に位置するようにして積層され、かつ、そのエンボスが付与されたトイレットペーパー原紙のエンボス凸部側面に、消臭剤が付与されている、請求項1記載のトイレットロール。
【請求項3】
前記有機酸又はその塩が、ポリフェノール、ポリフェノール誘導体及びポリフェノール類似体である請求項1又は2記載のトイレットロール。
【請求項4】
ポリフェノール、ポリフェノール誘導体及びポリフェノール類似体が、柿タンニン又はその誘導体である請求項3記載のトイレットロール。
【請求項5】
トイレットペーパーの積層外面に、模様印刷が施されている請求項1〜4の何れか1項に記載のトイレットロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のトイレットペーパーが紙管に巻かれたトイレットロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ空間の消臭を目的としてトイレットロールに消臭剤を付与することが提案されている。例えば、トイレットペーパーの巻終わりを接着するテールシール糊に消臭剤を含ませる方法や、紙管内面に消臭剤を付与する方法等が提案されている。しかし、前者のものは使用開始と同時に消臭剤付与部分が使用されてしまうため、消臭効果の持続性に問題がある。後者のものは、消臭剤の付与位置が紙管という限られた部位であるため臭気成分と消臭剤との接触機会が十分ではなく、消臭機能のさらなる向上が求められるものであった。
【0003】
そこで、トイレットロールを構成するトイレットペーパーに消臭剤を付与することが考えられる。トイレットペーパーに消臭剤を付与することができれば、臭気成分との接触機会は格段に向上する。トイレットペーパー自体に消臭剤を付与する場合、トイレットペーパーの両外面に消臭剤を付与すれば簡易にこれが達成できる。
【0004】
しかし、トイレットペーパーは、使用時に直接肌に触れるものであるため、使用時に消臭剤が肌に触れてしまうことを嫌う消費者がいる。このため、トイレットロールにおいてトイレットペーパーに消臭剤を付与する場合には、使用時に使用者が触れない位置に消臭剤を付与することが望ましい。
【0005】
また、消臭剤の中には、有機酸などアンモニア等のトイレ空間の主たる悪臭成分に対して優れた消臭効果を奏するものがあるが、このような酸はトイレットロールの製造装置内の鉄部材を錆びさせる。トイレットロールの製造装置には、トイレットペーパーの搬送路を構成するために表面平滑な鉄製のガイドロール(ペーパーロールとも称される)が設置されるが、係る有機酸はガイドロールの表面性に影響を与える。そして、ガイドロールの表面が消臭剤により荒らされると、紙粉増加や操業性悪化の要因となる。これについては、ガイドロールをステンレスやクロムメッキ性製のものへ変更したり、清掃頻度を高めることによりある程度は防止できることであるが、多くのガイドロール等の部材を交換したり洗浄するのには費用や手間がかかる。さらに、トイレットロールでは、デザイン性を向上させるために模様印刷を施したり、柔らかさや嵩高さ、さらにデザイン性の向上のためにエンボスが付与されたりすることがよく行なわれるが、このような模様印刷やエンボスを付与するトイレットロールの製造過程では、より搬送路が複雑で多くのガイドロールを要する搬送路となるため、より消臭剤を外面に付与したトイレットロールを製造することが困難となる。このように、有機酸を有効成分とする消臭剤を十分な消臭効果を発揮する程度にトイレットペーパーに付与してトイレットロールを製造することは非常に困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−94238号公報
【特許文献2】特開2013−70815号公報
【特許文献3】特開2012−213508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、使用時に消臭剤が肌に触れがたく、しかも、製造が容易な、有機酸を含む消臭剤が付与されたトイレットペーパーが巻かれたトイレットロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
消臭剤が付与されたトイレットペーパーが紙管に巻かれたトイレットロールであって、
前記トイレットペーパーは、複数のトイレットペーパー原紙が積層されたものであり、
積層されたトイレットペーパー原紙同士が対面する面である積層内面の少なくとも一面に有機酸又はその塩である消臭剤が付与され、
その消臭剤の付与面積が平面視で5%以上の範囲あり、
トイレットペーパー全体としての消臭剤の含有量が有効成分で0.0001〜2.0g/m2であり、
かつ、積層されたトイレットペーパー原紙同士が対面しない面である積層外面からは消臭剤が付与されていない、
ことを特徴とするトイレットロール。
【0009】
〔請求項2記載の発明〕
複数のトイレットペーパー原紙が、エンボスが付与されたトイレットペーパー原紙の凸部が積層内面に位置するようにして積層され、かつ、そのエンボスが付与されたトイレットペーパー原紙のエンボス凸部側面に、消臭剤が付与されている、請求項1記載のトイレットロール。
【0010】
〔請求項3記載の発明〕
前記有機酸又はその塩が、ポリフェノール、ポリフェノール誘導体及びポリフェノール類似体である請求項1又は2記載のトイレットロール。
【0011】
〔請求項4記載の発明〕
ポリフェノール、ポリフェノール誘導体及びポリフェノール類似体が、柿タンニン又はその誘導体である請求項3記載のトイレットロール。
【0012】
〔請求項5記載の発明〕
トイレットペーパーの積層外面に、模様印刷が施されている請求項1〜54の何れか1項に記載のトイレットロール。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明によれば、使用時に消臭剤が肌に触れがたく、しかも、製造が容易な、有機酸を含む消臭剤が付与されたトイレットペーパーが巻かれたトイレットロールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るトイレットロールの斜視図である。
図2】本発明の実施形態のトイレットペーパーの断面図である。
図3】本発明の他の実施形態のトイレットペーパーの断面図である。
図4】本発明の別の実施形態のトイレットペーパーの断面図である。
図5】本発明の実施形態のトイレットロールの製造方法を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態のトイレットロールに係る紙管の形成過程を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態のトイレットロールに係る二次原反ロールの形成過程を説明するための図である。
図8】本発明の実施形態のトイレットロールに係る二次原反ロールの別の形成過程を説明するための図である。
図9】本発明の実施形態のトイレットロールに係るトイレットペーパーの形成過程を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態のトイレットロールに係るトイレットペーパーの形成過程を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図1〜10を参照しながら以下に説明する。但し、本発明は、この実施形態に限られない。
【0016】
[トイレットロール]
本発明に係るトイレットロールの実施形態を図1〜4を参照しながら説明する。本実施形態に係るトイレットロール10は、長尺のトイレットペーパー12が紙管11に巻かれたものであり、そのトイレットペーパー12自体に消臭剤が付与されたものである。
【0017】
本実施形態に係るトイレットロール10の大きさ等は、幅L1が100〜115mm、直径L2が100〜120mm、巻き長さ(トイレットペーパーの全長)が18〜70m、紙管内径L3が35〜50mmであるのが望ましい。この大きさであれば一般的なトイレットロール用のペーパーホルダーが利用でき、トイレットペーパー12の長さも十分であり、また、巻きが崩れるおそれがない。
【0018】
本実施形態に係るトイレットペーパー12は、紙厚が、100〜350μm、1プライ当り米坪が11.0〜25.0g/m2であるのが望ましい。この範囲であれば使用時の柔らかさや吸水性を確保できる。なお、本発明に係る米坪とは、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法によるものであり、紙厚とは、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて5回測定した平均値をいう。なお、紙厚は、複数プライのまま測定する。
【0019】
また、本実施形態に係るトイレットペーパー12は、パルプ繊維を90%以上含むものであり、好ましくは98%以上、より好ましくは100%である。パルプ繊維としては、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)が最も好ましく、特にLBKPとNBKPとから構成され、LBKPの配合割合が50%超、好適には70%以上であるのがよい。
【0020】
ここで、本実施形態のトイレットペーパー12は、特徴的に、図2図4に示されるように、複数のトイレットペーパー原紙13が積層されたプライ構造を有しており、その積層内面13A〜13Dの少なくとも一面に有機酸又はその塩である消臭剤が付与されている。(図中、消臭剤の付与位置を符号15で示す)。消臭剤付与部分15が積層内面13A〜13Dに位置していることで、使用時に消臭剤が肌に触れがたくなる。
【0021】
図2に示す形態は、2プライの積層構造であり、その二つの積層内面13A,13Bの双方に消臭剤が付与されているが、必ずしも双方の面13A,13Bに付与されている必要はなく、例えば、一方の積層内面13Aのみに消臭剤が付与されていてもよい。
【0022】
また、図3に示す形態は、3プライの積層構造であり、この3プライ構造の場合には、積層内面は、四面13A〜13D存在することになるが、そのうちのいずれかの面に消臭剤が付与されていればよい(図示の形態は、全ての積層内面13A〜13Dに消臭剤が付与されている)。
【0023】
なお、本実施形態のトイレットペーパー12におけるプライ数については、2〜4プライとするのが望ましい。4プライを超えるとトイレットペーパーが厚すぎて使いづらくなるとともに、十分な巻き長さを確保することが難しくなる。
【0024】
また、本実施形態のトイレットロール10では、トイレットペーパー12の積層内面13A…に消臭剤が位置しているため、消臭剤によるトイレ空間の消臭効果はトイレットペーパー原紙13を透過して消臭剤の効果が発揮される。すなわち、消臭剤がトイレットペーパー原紙13を透過して揮散したり、トイレットロール周辺空気がトイレットペーパー原紙13を透過して消臭剤付与部分15の消臭剤と接触することにより消臭効果が発揮される。このため、本発明のトイレットロール10では、プライ数にかかわらず、トイレットペーパー12を紙管11に巻いた状態において常に紙管11よりも外面側に位置する面(巻き取り外面)に近い積層内面に、消臭剤付与面があるのが望ましい。
【0025】
したがって、少なくともトイレットロール10の状態において、巻き取り外面に最も近い積層内面に消臭剤が付与されているのが望ましい。この面に消臭剤が付与されていれば、消臭剤の揮散や周辺空気との接触性を向上させやすく、特に消臭効果が高めることができる。なお、巻き取り外面に近い面について、より詳細に説明すると、具体的には、図2に示す2プライの形態では、二つの積層内面13A,13Bのうち一方に設けるのであれば、符号13Aで示す面であり、図3に示す3プライの形態では、符号13Aの面である。但し、本発明では全ての積層内面に消臭剤が付与されていることを否定しない。
【0026】
本発明の特に好ましい形態は、図2に示されるように2プライの二面の双方の積層内面13A,13Bに消臭剤が付与されている形態、3プライの四面の巻き取り外面に近い面の二面13A,13Bに消臭剤が付与されている形態である。製造が容易で、消臭剤の付与量を十分にでき、またロール形態としても消臭剤と外気との接触が十分に確保できる。さらに、トイレットペーパー12の柔らかさの点でも設計しやすく、巻き長さも十分に確保できる。
【0027】
他方、本実施形態のトイレットペーパー12においては、その消臭剤の付与面積が平面視で5%以上の範囲となっている。より、好ましくは20%以上の範囲である。上限は全面に消臭剤付与範囲である100%である。ここで、付与面積が平面視で5%の範囲とは、紙面の一方面から見た際に消臭剤が付与されている部分の範囲が、その一方面の5%以上の範囲を有しているということである。したがって、積層内面の一面のみに設けた場合には、その付与面における消臭剤の付与範囲が5%以上ということになる。複数の積層内面に消臭剤が付与されている場合は、各面の積層状態で各面の消臭剤付与範囲が重なり合う部分と重なり合わない部分とを合わせた範囲が、一方面の5%以上ということである。
【0028】
ここで、本発明では、長尺のトイレットペーパー12の先端部分のみ消臭剤が付与されているもの、巻き開始部分のみに消臭剤が付与されているもの、トイレットペーパーの全長の中央部分のみに消臭剤が付与されたものであってもよいが、その場合、使用開始初期や使用後期に消臭効果が低下或いは得られなくなるおそれがある。したがって、好ましくは、長尺のトイレットペーパーの長手方向×幅方向の特定の範囲に消臭剤が付与されていない部分が存在するにしても、当該部分の長手方向長さが1m未満であるのが望ましい。換言すれば本発明では、トイレットペーパーの長手方向に少なくとも1m毎に消臭剤の付与部分が存在しているのが望ましい。当該部分が1m未満であれば、十分に消臭性能を得ることができる。すなわち、トイレットロールを構成するトイレットペーパーはロール状に巻かれた場合でもある程度の通気性があることから、1m程度の消臭剤未付与部分があっても、消臭効果を十分に発揮できる。もっとも特に好ましくは、トイレットペーパー12の全長に渡って、さらに特に好ましくは紙面全体に分散して、消臭剤が位置しているものである。トイレットロールは、芯際にいくほどロール周長が短くなるが、紙管の周長の長さの範囲で消臭剤が塗布されていれば、使用開始から使用終了まで常にロール外表面に近い位置に消臭剤付与部分が位置されていることになり、使用開始から使用終了まで消臭効果を持続して発揮させることができる。
【0029】
このように本実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットペーパー12に消臭剤が付与されていることから、トイレットロール10の広範な範囲を占める周面12Aに消臭剤が位置されていることになり、紙管11などの狭い範囲にのみに消臭剤が付与されているものと比較してトイレ空間内の悪臭成分との接触機会が多くなり、消臭効果に優れる。但し、本発明に係るトイレットロール10は、紙管に消臭剤が付与されていることを否定しない。
【0030】
さらに、トイレットペーパー先端からトイレットペーパーの終端まで消臭剤が適当間隔で間欠的に或いは連続的に配置されているものでは、トイレットペーパー12を使用する毎に、トイレットロールの周面12Aに新しいトイレットペーパー12が位置されることになるため、その毎に新たな消臭剤も周面近くに位置されるようになり消臭効果の持続性も優れるようになる。
【0031】
他方、本実施形態に係るトイレットペーパー全体としての消臭剤の含有量は、有効成分で0.0002〜2.0g/m2とするのが好ましい。より好ましくは0.006〜0.8g/m2である。特に好ましくは、0.01〜0.5g/m2である。0.0002g/m2未満であると消臭効果が得られ難く、2.0g/m2を超えても消臭効果は得られるものの、塗布量が過剰となるとともに、特にコスト高となる。
【0032】
ここで、本発明に係る消臭剤は、有機酸又はその塩である。これらは一種又は二種以上を含まれていてみよい。なかでも、その有機酸又はその塩が、茶 柿、ブドウ等の植物及び植物の加工品から抽出されるなどした、ポリフェノール又はポリフェノールの誘導体又は類似体であるのが望ましい。フェノール系水酸基による反応性により、悪臭成分の一つであるアンモニアに対して高い消臭機能を有するものの、鉄を酸化させるものであるため、トイレットペーパーの積層外面に付与するのは好ましくないものである。
【0033】
ポリフェノール、ポリフェノールの誘導体及び類似体は、トイレ空間内における悪臭成分との化学反応により消臭効果を奏するものであり、トイレ空間内において極めて優れた消臭効果を奏する。また、ポリフェノール誘導体のなかには、アンモニアに加えて、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミンに対して反応性を有して消臭機能を有するものも存在するが、もちろん本発明に用いるポリフェノール等はそのようなものであってもよい。
【0034】
本発明に係るポリフェノール、ポリフェノールの誘導体及び類似体のより好ましい具体例としては、タンニン、カテキン、ルチン、アントシアニン、エラグ酸、クマリン、フラボン及びこれらの誘導体又は前駆体である。これらはトイレの悪臭成分に対して特に高い消臭効果を発揮する。なお、これらの物質は、適宜複数付与されていてもよい。
【0035】
上記具体例のなかでも、特に好ましいものは、タンニン及びその誘導体である。タンニン及びタンニン誘導体は、分子量が大きくフェノール系水酸基を多く有するため消臭機能に優れる。なお、タンニンは、縮合型タンニン、加水分解型タンニンのいずれでもよい。また、タンニンのなかでも、柿由来の柿タンニンは、分子量が非常に大きく、消臭効果に極めて優れるため、本発明に係る消臭剤成分として、この柿タンニン及び柿タンニン誘導体の少なくとも一方を含むようにするのがよい。但し、柿タンニン及び柿タンニン誘導体は、濃度が高まると特有の茶褐色の色が顕著となるため、2.0g/m2を超えて付与するとトイレットペーパー原紙が茶褐色に染色して、清潔感を低下させるおそれがある。
【0036】
他方、本発明に係るトイレットロール10では、図4に示すように、トイレットペーパー12にエンボス14が付与されているのが望ましい。エンボス14の付与態様としては、図4に示すように、一方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aが他方のトイレットペーパー原紙に対面し、そのエンボス凸部によって他方のトイレットペーパー原紙との間に空隙を有するようされている所謂ダブルエンボスの形態、図示はしないが、トイレットペーパー12の一方面にエンボス凸部のみが存在し、他方の面にそのエンボス凸部に対応する凹部のみが形成されている、所謂シングルエンボスの形態のいずれであってもよい。エンボス14が付与されていることにより嵩高となるとともに、紙面の面積が増加して消臭剤と外気との接触機会がより増加する。特に、図4に示される、プライを構成するトイレットペーパー原紙13のうちエンボスが付与されているものが、そのエンボス凸部頂部14Aが積層内面側に位置するようにして積層されて空隙が形成されているダブルエンボスが望ましい。このエンボス態様では、エンボスによって各プライ間に空隙ができるため、通気性に優れ、より消臭剤と外気とが接触しやすくなり、高い消臭効果が得られる。
【0037】
また、上記ダブルエンボスの場合には、図示例の如く、エンボス凸部頂部14Aにラミネート糊16が配され、これによってトイレットペーパー原紙同士が接着されているのが望ましい。このようにするとプライ剥離が好適に防止される。
【0038】
なお、本実施形態のうちエンボスを付与する例においては、その具体的なエンボス柄、エンボス深さ、エンボス密度、エンボスを構成する個々の単位エンボスの形状、エンボス付与面積は限定されるものではない。消臭剤の効力、消臭剤液の性状、その付与量、エンボスによるデザイン性、嵩高性、柔らかさの向上性を考慮して、適宜定めることができる。好ましい例を示せば、紙面全体に、エンボス密度30〜100個/cm2、エンボス深さ0.2〜2.0mmで付与された所謂マイクロエンボスの形態、エンボス密度で0.1〜25個/cm2、エンボス深さ0.3〜2.5mmで図柄を描くように付与されたマクロエンボス或いはデザインエンボスとも称されるエンボス形態である。なかでもマクロエンボス或いはデザインエンボスとも称されるエンボスは、頂部が広くラミネート糊を適量容易に付与でき、デザイン性の向上の効果も得られることから特に望ましい。
【0039】
他方、本実施形態のトイレットペーパーでは、積層外面に模様印刷が施されているのが望ましい。積層外面に模様印刷が施されているとトイレットロールの意匠性が向上する。
【0040】
[トイレットロールの製造方法]
次いで、本発明のトイレットロールの製造方法例についても、特に図5図10を参照しながら説明する。本実施形態のトイレットロールを製造するには、この製造方法例により効率よく製造することができ、特に有効であり、ここに示される製造方法例に起因する特有の特性を有することができる。但し、本発明のトイレットロールの製造方法は、この方法に限定されるわけではない。
【0041】
この本実施形態のトイレットロールの製造方法は、図5に示すように、長尺の紙管30を製造する紙管形成工程(A)と、その長尺の紙管にトイレットペーパーを巻いてログを製造するログ形成工程(B)と、ログを裁断して個々のトイレットロールにするログ裁断工程(C)と、図7及び図8に例示される前記ログ形成工程においてトイレットペーパーを形成するための二次原反ロールの形成工程とを有している。
【0042】
(紙管形成工程(A))
本実施形態の紙管形成工程は、図5中(A)及び図6に示すように、原反ロール31A,32Aから繰出された二枚の帯状の紙管原紙31,32のうち一方の紙管原紙31の一方面に糊付けロール51によって接着糊44を付与し、前記一方の紙管原紙31の糊付けされた面に他方の紙管原紙32を幅方向に一部重ね、前記他方の紙管原紙32の糊付け面と接しない面をマンドレルシャフト52に対向する面、すなわち紙管内面となる面にして、各紙管原紙31,32をマンドレルシャフト52に螺旋状に巻き付けて連続的に筒状部分3を形成し、その筒状部分3をトイレットロールの複数倍幅以上の幅でカッター58によりカットして長尺のスパイラル紙管30(スパイラル式紙管とも称される)を形成している。このスパイラル紙管は、一方の紙管原紙31が紙管外面側、他方の紙管原紙32が紙管内面側となる態様の二層積層構造となる。なお、本実施形態では、2枚の紙管原紙31,32をスパイラル巻きしているが、3枚以上の紙管原紙をスパイラル巻きして長尺の紙管を形成してもよい。また、本発明では、スパイラル紙管ではなく平巻き紙管とすることもできる。
【0043】
図示の形態では、各紙管原紙31,32のマンドレルシャフト52への巻き付けは、一対のプーリー53,53間に巻き掛けられた平ベルト54により、マンドレルシャフト52上の所定部分に位置する筒状部分3に回転力を与え、その回転により紙管原紙31,32をマンドレルシャフト52の軸心に対して所定角度で引き込んで、螺旋状に巻くようにしている。図示例では、一対のプーリー53,53を二機配置して二つの平ベルト54,54により、筒状部分3に回転力を与えているが、一機の一対のプーリーと平ベルトにより筒状部分に回転力を与えるようにしてもよい。また、図示しないが、筒状部分3に平ベルト54ではなくロールを当接させて回転力を与えるようにしても、各紙管原紙31,32をマンドレルシャフト52に巻き付けることができる。
【0044】
このようにして長尺紙管30を形成した後には、この長尺紙管30をコンベア55に供給して適宜の搬送経路で連続的又は断続的に次段のログ形成工程(B)におけるワインダーX2に供給していく。
【0045】
(二次原反ロール形成工程)
本実施形態のトイレットロールの製造方法は、図7及び図8に示すように、抄紙設備で抄造するなどした一次原反ロール60から繰出したトイレットロール10の複数倍幅以上の幅の原紙61の一方面に塗布装置65Aによって消臭剤を付与した後、巻き取り装置66で巻き取って消臭剤が付与された二次原反ロール70とする。
【0046】
本実施形態のトイレットロールを製造方法は、特にこの一次原反ロール60から繰出した原紙61に消臭剤を付与した後、その消臭剤付与面61Aをガイドロール6,6…等の鉄製ロールに接触することなく搬送して、その消臭剤付与面が巻き取り内面となるようにして二次原反ロール70に巻き取るのが望ましい。このようにすれば、有機酸を含む消臭剤の付与面がガイドロール等に接触して、ガイドロール等を腐食等させるおそれがない。
【0047】
具体的な搬送経路は、特に限定されるものではないが、例えば、図7、8に示すように搬送経路を構築すれば、一次原反ロール60から繰出した原紙61に消臭剤を付与した後、その消臭剤付与面をガイドロール6,6…に接触することなく搬送して、その消臭剤付与面61Aが巻き取り内面となるようにして巻き取って二次原反ロール70にすることができる。
【0048】
他方、本実施形態のトイレットロールの製造方法においては、原紙61に対して消臭剤を付与する消臭剤付与装置65Aとしては、公知のロール転写式の塗工機や印刷機、スプレー塗布装置を用いることができる。図7は、ロール転写式の消臭剤塗布装置を用いて消臭剤を付与する例を示しており、図8は、スプレー塗布装置を用いて消臭剤を付与する例を示している。消臭剤を付与する装置は、フレキソ印刷装置、グラビア印刷装置、二流体方式のスプレー塗布装置、ローターダンプニング噴霧方式のスプレー塗布装置が望ましい。特に、好ましいのは、フレキソ印刷装置である。フレキソ印刷装置は、印圧の調整がしやすく、トイレットペーパーの原紙特有の表面のクレープがあってもムラのない塗布が可能で、原紙にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点がある。
【0049】
また、本実施形態のトイレットロール10において特に印刷による模様が付与されたものを製造するにあたっては、消臭剤を付与する際に、原紙61に模様印刷を行なうのが望ましい。図7の形態では、一つの圧胴65Cに対して複数の刷版ロール65B,65aが配された多色刷り印刷装置65を用いて、消臭剤付与装置65Aに係る刷版ロール65aによる消臭剤の付与と同時に、刷版ロール65Bによって模様印刷を行い、消臭剤付与面と同一面に模様印刷を行なっている。この場合は、消臭剤付与面と印刷面が同一面となる。このように印刷装置により消臭剤を付与する場合には、消臭剤を着色インクに混合して付与してもよい。特に、図7に示すような多色刷り印刷装置を用いる場合には、模様を形成するための一部の色の着色インキ中に消臭剤を混合して付与するようにしてもよいし、全ての色の着色インキ中に消臭剤を混合するようにしてもよい。
【0050】
また、図8の形態では、ロール転写式の印刷機65の圧胴ロール65Dの近傍に消臭剤付与装置65Aであるスプレー塗布装置を設けて、圧胴65Cから離れた直後の原紙に対してその印刷面と反対の面に消臭剤を付与している。この場合には、消臭剤付与面と模様印刷面が表裏の関係になり、特に消臭剤付与面を積層内面、模様印刷面を積層外面としたトイレットロールを製造することが可能となる。
【0051】
一方、本実施形態のトイレットロールの製造方法において消臭剤を付与するにあたっては、各付与装置での付与に適した液体状やスラリー状の消臭剤を含む薬液として用いる。係る消臭剤を含む薬液は、消臭剤のほか、溶媒、有効成分である消臭剤をトイレットペーパー原紙に定着させるための接着剤、インク、その他の助剤等を含みうる。溶媒としては、水、アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピルアルコール、エタノール、メタノール等が例示できる。これらを少なくとも一種含むのが望ましく、特に水と、プロピルアルコール、エタノール、メタノールの少なくとも一種で構成される低級アルコールとが含まれているのがよい。
【0052】
接着剤としては、消臭剤の効果を妨げない範囲で選択でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉、等が例示できる。
【0053】
ここで、消臭剤としてポリフェノール等を用いる場合には、このポリフェノール等を0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは、1.0〜10重量%含むポリフェノール系消臭液に対して、上記接着剤、インク、水や低級アルコール等の溶媒、その他の助剤を適宜混合して、消臭剤を含む薬液とすることができる。
【0054】
なお、ポリフェノール系消臭液には、ポリフェノール等以外のその他の成分として、水等の溶媒や保存剤、pH調製剤等の助剤を含みうる。また、本実施形態に係るポリフェノール系消臭剤には、安定性、ポリフェノール等への官能基の付与、自身の反応性による消臭効果のさらなる向上の観点等のためその他の有機酸、有機酸塩が配合されていてもよい。係る有機酸、有機酸塩は、例えば、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、グルタル酸、アミノ酸、アジピン酸、アスコルビン酸、又はこれらの無機塩もしくは有機塩が例示できる。塩を形成する無機塩基としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等が例示できる。また、有機塩基としては、窒素含有塩基、例えば一級、二級又は三級アミン、イミノ基、グアニジノ基、イミダゾリノ基、イミダゾリル基、ピリジル基等の基を有する化合物が例示できる。
【0055】
なお、ポリフェノール系消臭液は、市販されているものを用いることができる。例えば、リリース科学工業株式会社製のPancil COS-15、Pancil COS-17、Pancil CL-10、Pancil AS-10、Pancil AS-20、Pancil BA-210-1、Pancil COS-5、Pancil FG-22、Pancil FG-25、Pancil FG-30、Pancil FG-60、Pancil FG-70、Pancil FG-99、Pancil FX10、Pancil PO -10、Pancil BA-200E-1を適宜用いることができる。
【0056】
他方、本実施形態のトイレットロールの製造方法では、原紙61を巻き取る巻き取り装置66は公知のものを用いることができる。本実施形態のトイレットロールの製造方法では、原紙61Aを巻き取って二次原反ロール70を形成するにあたって、図3、4に示されるように、その消臭剤付与面61Aが巻き取り内面となるようにして巻き取るのが望ましい。このようにして巻き取ることで、二次原反ロール70の外周面に消臭剤付与面61Aが露出されないため、二次原反ロール70を巻き取り装置66から排出する際や、次段のログ形成工程に移送する際に、消臭剤が設備や移送機器に触れることがなく、係る設備や移送機器の鉄製部材を消臭剤により酸化することがない。
【0057】
(ログ形成工程(B))
本実施形態のトイレットロールの製造方法では、上記の長尺の紙管30の製造、二次原反ロール70の製造と平行して又はその後において、ログ形成工程(図5中(B)でワインダーX2によりログ75を製造する。なお、ログ75とは、最終製品であるトイレットロールの直径と同径でありかつ幅が最終製品の複数倍幅以上ある中間製品である。ログ75の形成は、紙管形成工程(A)で製造した長尺の紙管30をワインダーX2の巻き取り部85にセットし、これと実質的に同幅又はそれよりも若干幅狭のトイレットペーパー7を巻き付けるようにして行なう。
【0058】
長尺紙管30に巻き付けるトイレットペーパー7は、ワインダーX2において、二次原反ロール70A,70Bから繰出した各原紙71A,71Bを消臭剤付与面が積層内面となるようにして積層して、連続的に形成していく。
【0059】
図示の形態は、特に、エンボスが付与されたトイレットペーパー7、特に、エンボスの凸部が積層される他の原紙に対面するようにして配置されている、所謂ダブルエンボスとも称される態様でエンボスが付与されたトイレットペーパー7を形成してく例を示している。
【0060】
この形態では、図9に示すように、まず、二次原反ロール形成工程で製造した二つの二次原反ロール70A,70Bを、上下方向の最下点から原紙を水平に引き出した際に、その方向が異なる方向となるようにして、対面配置する。この時、二次原反ロール70A,70Bは、上述のとおり外周面は消臭剤非付与面となっている。そして、各原反ロール70A,70Bから原紙71A,71Bを繰出し、その直後に各原紙71A,71Bの消臭剤非付与面にテンションロール8aを接するように配置して、繰り出し時にテンションを調整するとともに、そのテンションロールの後段の重ね合わせガイドロール8bで各原紙71A,71Bの消臭剤付与面61Aが対面するようにして一次的に積層して、下流に搬送して、エンボスを付与するためのエンボス付与装置20A,20Bに導く。このように、二次原反ロール70A,70Bから繰出した一方面に消臭剤が付与された原紙71A,71Bを消臭剤付与面61Aが対面するようにして一次的に積層することにより、消臭剤付与面61Aが積層内面となり、その状態で搬送される限り、ガイドロールをシートの表裏どちらの面に接するように配しても、消臭剤付与面61Aがガイドロールに接することがなくなる。
【0061】
また、図示の形態では、二次原反ロール70A,70Aの上下方向の最下点から原紙71A,71Bを繰出しているが必ずしもこのように繰出する必要はない。重ね合わせガイドロール8bまでのガイドロール構成は、図示の形態に限定されない。但し、重ね合わせガイドロール8bに至るまでの経路に鉄製のガイドロールは配置しないのが望ましい。
【0062】
消臭剤付与面61Aが積層内面となるようにした状態の原紙71A,71Bは、エンボス付与装置20A,20Bの直前で再剥離して、各原紙71A,71Bをそれぞれ別途に、表面のエンボス形状に対応する多数のエンボス付与凸部が形成されたエンボスロール21A,21Bと、このエンボスロール21A,21Bを受ける受けロール22A,22Bとで構成されるエンボス付与装置20A,20Bに導いて、それらエンボスロール21A,21Bと受けロール22A,22Bとの間に原紙71A,71Bを通して、各々の原紙71A,71Bに別途にエンボスを付与する。
【0063】
原紙を再剥離するにあたっては、図9に示すとおり、エンボス付与装置に直前のガイドロール8cから各原紙71A,71Bを分離させて、各々エンボス付与装置20A,20Bを構成するロールに導くようにすればよい。但し、各エンボス付与装置20A,20Bへ導くために原紙の消臭剤付与面61Aに接するガイドロール8dが必要ならばそのように配して搬送路8xを構成してもよい。もちろん、このガイドロール8dを消臭剤により酸化されない素材とすることができる。
【0064】
分離された原紙71A,71Bをそれぞれ別途にエンボス付与装置に供給するにあたっては、特に図9に示すように、原紙71A,71Bを、その消臭剤付与面61Aが表面弾性の受けロール22A,22Bの表面に対面するようにして巻き掛けるようにする。そして、その受けロール22A、22B上を搬送する過程でエンボスロール21A,21Bとの間に通してエンボスを付与するようにし、そのエンボス付与後から原紙71A,71Bがエンボスロール21A,21Bに巻き掛けられた状態で下流へ搬送するようにする。このようにすると、金属製のエンボスロール21A,21Bに消臭剤付与面を接触させることなくエンボスを付与することができる。
【0065】
また、本実施形態のトイレットロールの製造方法では、好ましく、原紙71Aがエンボスロール21A上を搬送されている際に、このエンボスロール21Aのエンボス付与凸部の頂部のみに接するように配置した転写ロールを有するロール転写設備25Aによって原紙71Aの表面にラミネート糊を付与する。原紙71Aは、エンボス付与時における押圧によってエンボスロール21Aの表面凹凸形状に応じた形状に変形された状態でエンボスロール表面に配されているため、このようにすると原紙71Aのエンボス凸部頂部の位置のみにラミネート糊29が付与される。ラミネート糊は、公知のものが利用できる。
【0066】
本実施形態のトイレットロールに係る製造方法では、このようにしてエンボスが付与された原紙71A,71Bは、前記エンボスロール21A,21Bから離すとともに、図10にも示すように、その消臭剤が付与された面を、他の原反ロール70A(70B)から繰り出され他のエンボス付与装置20A(20B)で消臭剤を付与した原紙71A(71B)に、消臭剤付与面を対面させて積層し、積層内面に消臭剤が付与されたトイレットペーパー7とする。特に図示例のトイレットロールに係る製造方法では、一方の原紙71Aのエンボス凸部頂部にラミネート糊29が付与されているため、各原紙71A,71Bがそのラミネート糊29により接着された態様で積層一体化されトイレットペーパーとされる。
【0067】
なお、図示例では、一方のエンボスロール21Bから離れた原紙71Bを他方のエンボスロール21Aに隣接して配されたマリッジロール23に導いて、そのマリッジロール23上で積層一体化するようにしている。但し、この図示の形態に限らず、エンボスロール21A,21B同士をその周面が対面するように近接配置し、各エンボスロール21A,21Bの周面が対面する位置において各原紙71A,71Bの消臭剤塗布面が付き合わせられて積層一体化されるようにしてもよい。
【0068】
積層一体化の態様については、特に、図10(b)に示すように、各原紙71A,71Bのエンボス凸部の頂部26A,26B同士が対面一致するようにして、所謂「Tip To Tip」の形態で積層するようにしてもよいし、図には示さないが、エンボス凸部の頂部同士が対面一致していない所謂「Nested」の形態で積層してもよい。これらは、エンボスのパターンを「Tip To Tip」用、「Nested」用として選択して実施することができる。なお、図10中において消臭剤付与位置は符号27A,27Bで示されている。
【0069】
但し、本発明のトイレットロールを製造するにあたっては、図示の形態に限定されず、例えば、二次原反ロールを形成するための一次原反ロール60が、予め積層されたシートを巻き取ったものとして製造してもよい。また、原反ロールを3つ以上にして、各々原紙を繰出して、消臭剤付与面が外面とならないように一次的に積層するようにすれば 3プライ以上のものを製造できる。さらに、ワインダーにセットする複数の二次原反ロールのうちいくつかを消臭剤が付与されていないものとすることもでき、この場合には、消臭剤が付与されたトイレットペーパー原紙と、消臭剤が付与されていないトイレットペーパー原紙が積層一体化されたトイレットペーパーとなる。
【0070】
また、本実施形態のトイレットロールに係る製造方法においては、各原反ロール70A,70Bから各原紙71A,71Bを繰出した後に重ね合わせガイドロール8bで一度積層した後、エンボス付与装置20A,20Bの直前で再剥離するように構成されているが、本発明では、このように搬送路を構成せずに、原反ロール70A,70Bから各原紙71A,71Bを一時的に積層することなく各エンボス付与装置20A,20Bに別途に導いて、表面弾性の受けロール22A,22Bに巻き掛けるようにしてもよい。
【0071】
さらに、本実施形態では、各原反ロール70A,70Aから繰出された原紙71A,71Bのそれぞれにエンボスの付与を行なっているが、エンボス付与装置を一機のみとして、一方の原紙のみにエンボスを付与するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態のトイレットロールの製造方法においては、各原反ロール70A,70Bから各原紙71A,71Bを繰出した後に重ね合わせガイドロール8bで一度積層した後、エンボスを付与することなくそのままトイレットペーパー7としてもよい。この場合には、エンボスが付与されていないトイレットペーパーとなる。さらに、各原反ロール70A,70Bから各原紙71A,71Bを繰出して重ね合わせガイドロール8bで一度積層した後、その重ね合わせたままの状態で一機のエンボス付与装置によりエンボスを付与して、一方面にエンボス凸部、その反対面にその凸部に対応する凹部が形成される所謂シングルエンボスの態様のトイレットペーパー7としてもよい。
【0073】
以上のように原紙71A,71Bを積層してトイレットペーパー7を形成した後には、本実施形態では、ミシン目線形成装置82にてミシン目線の形成を行ない、その後に、巻き取り部85において長尺紙管30に巻き付けて2プライのログを形成する。但し、ミシン目線形成装置及びミシン目線の付与は必須ではない。また、本実施形態において、図示はしないが、ミシン目線付与装置82の前段に既知のコンタクトエンボス付与装置を設けてコンタクトエンボスを付与してもよい。
【0074】
本実施形態に係るトイレットペーパー7の形成は、ワインダーX2におけるログ製造工程の一連の流れのなかで、そのワインダー中に設置された金属製のエンボスロールや、ガイドロールに消臭剤付与面を接触させることなく、消臭剤付与面が積層内面とされたトイレットペーパーを連続的に形成するため、トイレットロールの生産性を低下させることがない。また、原反ロールからエンボスを付与してトイレットペーパーとするまで、また、それ以降において、設備の金属部材を酸化・腐食・変色させたり、傷めたりするおそれがない。消臭剤が付着することによる機材の洗浄の手間も低減される。
【0075】
<ログ裁断工程(C)>
以上のように、積層内面に消臭剤が付与されたトイレットペーパー7が長尺紙管30に巻かれたログ75を製造したならば、図5に示すように、このログ75を既知のログアキュームレーターX3で複数本をストックしつつ後段のログカッター設備X4へと移動させる。そして、その後に特に図5中(C)に示すように、既知のログカッター91でログ75を製品幅に裁断し、図1に示すような、本実施形態に係る個々のトイレットロール10,10…とする。本実施形態に係るログ75は、その表面に消臭剤が露出されていないため、ログ形成後以降の工程においても消臭剤が製造設備を傷めるおそれがない。
【符号の説明】
【0076】
10…トイレットロール、11…紙管、12…トイレットペーパー、13…トイレットペーパー原紙、13A〜13D…トイレットペーパー原紙の積層内面、15…消臭剤の付与部分、12A…トイレットロールの周面、14…エンボス、14A…エンボス凸部、16…ラミネート糊、L1…ロールペーパーの幅、L2…ロールペーパーの直径、L3…紙管内径、31A,32A…原反ロール、31,32…長尺の紙管原紙、51…糊付けロール、44…接着糊、52…マンドレルシャフト、58…カッター、53…プーリー、54…平ベルト、3…筒状部分、55…コンベア、X2…ワインダー、60…一次原反ロール、61…原紙、61A…消臭剤付与面、65A…消臭剤塗布装置、65B…フレキソ版、65C…圧胴、66…巻き取り装置、70…二次原反ロール、6…ガイドロール、75…ログ、70A,70B…原紙、7…トイレットペーパー、71A,71B…原紙、8a…テンションロール、8b…重ね合わせガイドロール、8c…エンボスロール直前のガイドロール、20A,20B…エンボス付与装置、21A,21B…エンボスロール、22A,22B…受けロール、25A…ロール転写設備、29…ラミネート糊、27A,27B…消臭剤付与位置、23…マリッジロール、82…ミシン目線形成装置、85…巻き取り部、91…ログカッター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10