【実施例】
【0027】
以下、合成例及び実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0028】
[合成例1]N−(3−トリメトキシシリルプロピル)β−アラニンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、N−(2−トリイソプロピルシロキシカルボニル)エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン122.3g(0.3モル)を仕込み、50℃に加熱した。内温が安定した後、メタノール10.6g(0.33モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で6時間撹拌した。生成した固体を濾取、その後ヘキサン200mLで洗浄し、真空下乾燥を行い、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)β−アラニンを白色固体として50.4g得た。
【0029】
[実施例1]N−(3−トリメトキシシリルプロピル)β−アラニンからのシラノール及びシラノール縮合体水溶液の調製
撹拌機、還流器、ディーンスターク及び温度計を備えたフラスコに、合成例1で得られたN−(3−トリメトキシシリルプロピル)β−アラニン10g、水40gを仕込み、60℃で2時間撹拌した後、60℃、10kPaの圧力で生成したメタノールをゆっくりと留去した。得られた水溶液に不揮発分が33%となるように水を加え濃度を調製することで、透明な水溶液を22.0g得た。得られた水溶液の
1H−NMRスペクトルを
図1に、
29Si−NMRスペクトルを
図2にチャートで示す。
以上の結果より、得られた水溶液はN−(2−ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノプロピルトリシラノール及びシラノール縮合体水溶液であることが確認され、
29Si−NMRスペクトルより、全ケイ素中のトリシラノールは2.2モル%、シラノール縮合体は97.8モル%であることが明らかとなった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、残留メタノールは0.2質量%であった。
上記水溶液を水で25倍に希釈した液を調製したが、こちらも透明であった。25倍希釈水溶液の
29Si−NMRスペクトルを
図3にチャートで示す。
29Si−NMRスペクトルより、25倍希釈水溶液の全ケイ素中のトリシラノールは42.1モル%、シラノール縮合体は57.9モル%であることが明らかとなった。また、本水溶液並びに本水溶液を25倍に希釈した水溶液はいずれも室温で1ヶ月放置してもゲル状化合物は発生せず、安定に保存することができた。
【0030】
[合成例2]N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)β−アラニンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、N−(2−トリイソプロピルシロキシカルボニル)エチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン117.5g(0.3モル)を仕込み、50℃に加熱した。内温が安定した後、メタノール10.6g(0.33モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で6時間撹拌した。生成した固体を濾取、その後ヘキサン200mLで洗浄し、真空下乾燥を行い、N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)β−アラニンを白色固体として68.8g得た。
【0031】
[実施例2]N−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)β−アラニンからのシラノール及びシラノール縮合体水溶液の調製
撹拌機、還流器、ディーンスターク及び温度計を備えたフラスコに、合成例2で得られたN−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)β−アラニン10g、水40gを仕込み、60℃で2時間撹拌した後、60℃、10kPaの圧力で生成したメタノールをゆっくりと留去した。得られた水溶液に不揮発分が33%となるように水を加え濃度を調製することで、透明な水溶液を24.3g得た。得られた水溶液の
1H−NMRスペクトルを
図4に、
29Si−NMRスペクトルを
図5にチャートで示す。
以上の結果より、得られた水溶液はN−(2−ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノプロピルメチルジシラノール及びシラノール縮合体水溶液であることが確認され、
29Si−NMRスペクトルより、全ケイ素中のジシラノールは12.2モル%、シラノール縮合体は87.8モル%であることが明らかとなった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、残留メタノールは0.2質量%であった。
上記水溶液を水で25倍に希釈した液を調製したが、こちらも透明であった。25倍希釈水溶液の
29Si−NMRスペクトルを
図6にチャートで示す。
29Si−NMRスペクトルより、25倍希釈水溶液の全ケイ素中のジシラノールは70.5モル%、シラノール縮合体は29.5モル%であることが明らかとなった。また、本水溶液並びに本水溶液を25倍に希釈した水溶液はいずれも室温で1ヶ月放置してもゲル状化合物は発生せず、安定に保存することができた。
【0032】
[合成例3]N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)β−アラニンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、N−(2−トリイソプロピルシロキシカルボニル)エチル−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン75.2g(0.2モル)を仕込み、50℃に加熱した。内温が安定した後、メタノール7.0g(0.22モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で6時間撹拌した。生成した固体を濾取、その後ヘキサン150mLで洗浄し、真空下乾燥を行い、N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)β−アラニンを白色固体として37.6g得た。
【0033】
[実施例3]N−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)β−アラニンからのシラノール及びシラノール縮合体水溶液の調製
撹拌機、還流器、ディーンスターク及び温度計を備えたフラスコに、合成例3で得られたN−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)β−アラニン10g、水40gを仕込み、60℃で2時間撹拌した後、60℃、10kPaの圧力で生成したメタノールをゆっくりと留去した。得られた水溶液に不揮発分が33%となるように水を加え濃度を調製することで、透明な水溶液を27.1g得た。得られた水溶液の
1H−NMRスペクトルを
図7に、
29Si−NMRスペクトルを
図8にチャートで示す。
以上の結果より、得られた水溶液はN−(2−ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノプロピルジメチルシラノール及びシラノール縮合体水溶液であることが確認され、
29Si−NMRスペクトルより、全ケイ素中のシラノールは58.9モル%、シラノール縮合体は41.1モル%であることが明らかとなった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、残留メタノールは0.3質量%であった。
上記水溶液を水で25倍に希釈した液を調製したが、こちらも透明であった。25倍希釈水溶液の
29Si−NMRスペクトルを
図9にチャートで示す。
29Si−NMRスペクトルより、25倍希釈水溶液の全ケイ素中のシラノールは91.5モル%、シラノール縮合体は8.5モル%であることが明らかとなった。また、本水溶液並びに本水溶液を25倍に希釈した水溶液はいずれも室温で1ヶ月放置してもゲル状化合物は発生せず、安定に保存することができた。