特許第5793142号(P5793142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5793142-導電積層体およびタッチパネル 図000016
  • 特許5793142-導電積層体およびタッチパネル 図000017
  • 特許5793142-導電積層体およびタッチパネル 図000018
  • 特許5793142-導電積層体およびタッチパネル 図000019
  • 特許5793142-導電積層体およびタッチパネル 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793142
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】導電積層体およびタッチパネル
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20150928BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B32B27/18 J
   B32B27/30 A
【請求項の数】8
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2012-523537(P2012-523537)
(86)(22)【出願日】2012年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2012057860
(87)【国際公開番号】WO2012133367
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年1月7日
(31)【優先権主張番号】特願2011-69504(P2011-69504)
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104950
【弁理士】
【氏名又は名称】岩見 知典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義和
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 修
(72)【発明者】
【氏名】浅井 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】上岡 武則
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/35059(WO,A1)
【文献】 特開2009−252014(JP,A)
【文献】 特開2005−89622(JP,A)
【文献】 特開2007−327065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/18
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に架橋層を、基材のもう一方の面に導電層と、保護層とを積層した導電積層体であって、下記(i)〜(iv)を満たす導電積層体;
(i)前記架橋層が、構造内に2個以上の重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物が重合反応した構造を含む架橋高分子からなり、かつ、前記架橋層の全質量に対する前記炭素−炭素二重結合基由来の構造の炭素−炭素二重結合基の単位構造部分の質量含有率が9〜26質量%である;
(ii)前記架橋層の厚みが50nm〜1μmである;
(iii)前記導電層が線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分を含む;
(iv)前記保護層の平均厚みtが70nm〜1μmである。
【請求項2】
前記架橋層は、前記炭素−炭素二重結合基が重合反応した構造として、アクリロイル基が重合反応した構造を含む架橋高分子からなる請求項1に記載の導電積層体。
【請求項3】
前記架橋層側と前記保護層側との間の、JIS C2151(2006)に基づいた静摩擦係数が0.75以下、かつ、JIS C2151(2006)に基づいた動摩擦係数が0.65以下である請求項1または2に記載の導電積層体。
【請求項4】
前記架橋層面および前記保護層面のいずれかが、JIS L0849(2004)に基づいた方法にて試験用添付白布 綿(カナキン3号)によって50往復摩擦した際に、摩擦方向と平行方向に発生する傷の数が、2cm四方内に10個以下である請求項1〜3のいずれかに記載の導電積層体。
【請求項5】
前記架橋層側からC光源による光を入射したときのJIS Z8729(2004)に基づいたL*a*b*表示色系における透過光色調b*が1.5以下である請求項1〜4のいずれかに記載の導電積層体。
【請求項6】
前記架橋層側の表面抵抗値が1×1013Ω/□以下である請求項1〜5のいずれかに記載の導電積層体。
【請求項7】
前記基材の厚みが100μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の導電積層体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の導電積層体を用いた、タッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電積層体に関する。さらに詳しくは、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュールなどの電極部材に使用される導電積層体に関するものである。またさらに、導電積層体を用いたタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを搭載する携帯電話、ゲーム機、パソコン等が普及している。タッチパネルには電極部材が使用されており、複雑な操作を可能にするタッチパネルには複数の電極部材が使用されている。それら電極部材をタッチパネルにまで加工するには、複数の工程(例えば、電極部材の導電層表面に所望のパターンを形成する工程、加圧・加熱により電極部材同士を貼り合わせる工程等)を要するため、使用する電極部材には様々なエネルギーストレスがかかる。
【0003】
タッチパネルに使用する電極部材としては、高分子基材上に設けられた導電性薄膜層の上にアミノ基等の官能基を有する高分子化合物からなる層を積層した導電積層体(特許文献1)、プラスチック基材上に設けられた金属薄膜や導電性高分子薄膜からなる導電性薄膜層の上にシアノ基等の高分子化合物からなる層を積層した導電積層体(特許文献2)、高分子基材上に設けられた針状の導電性金属酸化物を含む導電層上に親水性官能基であるカチオン性第四級アンモニウム塩基やスルホン基を有する高分子化合物からなる層を積層した導電積層体(特許文献3)、さらには球状の金属微粒子を含む導電層上に、ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂・ケイ素等からなる金属アルコキシドの加水分解物・シリコーン化合物等の種々の層を積層した透明導電膜(特許文献4)等、特定の官能基もしくは骨格構造を有する高分子化合物からなる層を各導電性薄膜層上に積層した導電積層体が提案されている。
【0004】
さらに、高分子基材上に設けた線状構造体であるカーボンナノチューブ(以下CNTと略すこともある)を含む導電層の上に、薄膜のシリコンコート層すなわちシリカ層を積層した導電積層体(特許文献5)や、ポリエステル樹脂とCNTからなる薄膜層をポリエステルフィルム基材上の片面もしくは両面に積層した導電積層体(特許文献6)、炭素−炭素二重結合として各種ビニル基・ビニリデン基を有する樹脂とCNTからなる薄膜層を基材上の片面もしくは両面に積層した導電積層体(特許文献7、8、9)も提案されている。また、導電成分の線状構造体としてCNTとは別に銀等の金属ナノワイヤーを使用した導電積層体も提案され(特許文献10)、それら導電性の線状構造体を使用した導電積層体を用いて構成されているタッチパネルも提案されている(特許文献10、11)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−115221号公報
【特許文献2】特開2007−276322号公報
【特許文献3】特開平11−198275号公報
【特許文献4】特許第3442082号公報
【特許文献5】特許第3665969号公報
【特許文献6】特開2009−96181号公報
【特許文献7】特許第4349793号公報
【特許文献8】特開2009−155374号公報
【特許文献9】特開2006−328311号公報
【特許文献10】特表2009−505358号公報
【特許文献11】特開2009−283376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されている積層体のように、導電層の上に積層する層が、アミノ基、シアノ基、カチオン性第四級アンモニウム塩基、スルホン基等の官能基を有する高分子化合物を成分とする場合は、熱や湿度に対しての耐久性に劣るため基材がダメージを受け、基材の黄変等の問題を引き起こす。特に基材が樹脂基材である場合は、電極部材を製品まで加工する際の複数の工程を経ることによって、基材内に内存しているオリゴマーという比較的低分子量の成分が熱によって基材表面に析出するため、電極部材の表面白化や異物欠点の原因となり、電極部材の光学特性や電気特性に悪影響を及ぼす。ひいては、それら電極部材を使用した製品(例えば、タッチパネルや液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュール等)の品位が劣るものとなってしまう。
【0007】
また、特許文献4〜10の技術によっても、特許文献1〜3と同様にオリゴマー析出を抑制できない。従って、それら導電積層体を用いて構成されているタッチパネル(特許文献10、11)は、品位が劣るものとなってしまう。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、熱に対して良好な耐久性を有する導電積層体を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、基材の一方の面に架橋層を、基材のもう一方の面に導電層と、保護層とを積層した下記(i)〜(iv)を満たす導電積層体。
(i)前記架橋層が、構造内に2個以上の重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物が重合反応した構造を含む架橋高分子からなり、かつ、前記架橋層の全質量に対する前記炭素−炭素二重結合基由来の構造の炭素−炭素二重結合基の単位構造(>C=C<:式量24)部分の質量含有率が9〜26質量%である。
(ii)前記架橋層の厚みが50nm〜1μmである。
(iii)前記導電層が線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分を含む。
(iv)前記保護層の平均厚みtが70nm〜1μmである。
【0010】
また、本発明は、上記の導電積層体を用いたタッチパネルを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱に対して良好な耐久性を有する導電積層体を提供できる。本発明の導電積層体は、タッチパネル用途に好適に使用できる。さらに、本発明の導電積層体は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、電子ペーパーなどのディスプレイおよび太陽電池モジュールなどに使用される電極部材にも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の導電積層体の断面模式図の一例である。
図2】本発明の導電積層体の導電層側から観察した線状構造体の模式図の一例である。
図3】本発明の一態様であるタッチパネルの一例を示した模式図である。
図4】本発明の線状構造体近傍の断面模式図の一例である。
図5】流動床縦型反応装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の導電積層体は、図1に一例を示すように、基材1の一方の面に架橋層4を積層し、基材のもう一方の面に導電層2および保護層3を積層した構成を有する。各層は、下記(i)〜(iv)の条件を満たす。
(i)前記架橋層が、構造内に2個以上の重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物が重合反応した構造を含む架橋高分子からなり、かつ、架橋層の全質量に対する前記炭素−炭素二重結合基由来の構造の炭素−炭素二重結合基の単位構造(>C=C<:式量24)部分の質量含有率が9〜26質量%である。
(ii)前記架橋層の厚みが50nm〜1μmである。
(iii)前記導電層が線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分を含む。
(iv)前記保護層の平均厚みtが70nm〜1μmである。
【0014】
詳細は後述するが、本発明における導電層は、線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分を含有する層である。なお、導電成分が線状構造体からなるネットワーク構造を有することから、線状構造体の量が一定以下の場合には、面内において線状構造体が存在しない領域が散在する場合がある。かかる領域が存在しても、面内において線状構造体が連続的に一様に存在し、ネットワークを形成することで任意の2点間で導電性を示しうる場合には導電層を形成しているものとする。すなわち、かかる場合においては、線状構造体が形成する層状領域(散在する線状構造体が存在しない領域も含めて)を導電層と定義する。そして、かかる場合において線状構造体が存在しない領域では、保護層の表面が線状構造体の表面に比較して、基材側に存在する(保護層側から見た場合、保護層内に線状構造体が一部埋没した様な)状態となる場合がある。かかる場合も含めて基材表面から線状構造体の最表層までを導電層と定義する。また、線状構造体のある部分では線状構造体の最表層から積層体の最表面までを、線状構造体のない部分では基材の表面から積層体の最表面までを保護層と定義する。
【0015】
上記(i)〜(iv)の条件を満たすことで、熱に対して良好な耐久性を有する導電積層体となる理由は、以下のように推定される。
【0016】
すなわち、導電積層体を構成する各層に対して加熱等により熱エネルギーが加わることにより、分子鎖のミクロブラウン運動が活発化することで、層を形成する分子鎖間の空間、すなわち自由体積が増大し、オリゴマーが層内を移動して表面に徐々に析出してくると考えられる。しかし、本発明の導電積層体においては、架橋層が、構造内に2個以上の重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物を上記特定の範囲で含む組成物を重合して得られるものであり、緻密な架橋構造を形成しているため、架橋層の自由体積が小さくなり、オリゴマーの移動が抑制されるものと推定している。ここで、架橋層の架橋構造の緻密さの指標として架橋層の全質量に対する重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物が重合反応した構造(以下、炭素−炭素二重結合基由来の構造とも呼ぶ)の炭素−炭素二重結合基の単位構造、すなわち、>C=C<(式量24)、部分の質量含有率(以降、架橋単位構造質量含有率と記すこともある)を用いている。架橋単位構造質量含有率が9質量%未満である場合、炭素−炭素二重結合基由来の構造を起点とする架橋点が少なくなり、架橋層の架橋構造の密度が小さくなってしまうため、自由体積を小さくする効果が十分ではなくなり、オリゴマーの移動の抑制作用が得られないと推定している。一方、架橋単位構造質量含有率が26質量%より大きい場合は、架橋点が多くなりすぎて、架橋に伴う架橋層内の応力緩和ができなくなり、例えば、導電積層体のカールや平面性の悪化を招く。導電積層体のカールや平面性の悪化が起こった場合、導電層内の線状構造体のネットワーク構造に不良(例えば、線状構造体同士の導電接点不良や線状構造体自体の折れなどによる破損等)が発生することで、導電性が低下し、所望の表面抵抗値を達成しづらくなってしまう。従って、架橋単位構造質量含有率が9質量%〜26質量%であることで、架橋構造が緻密に形成され、架橋層の自由体積が小さくなり、オリゴマー析出の抑制と表面導電性を両立する導電積層体となりうるのである。架橋単位構造質量含有率は、好ましくは19質量%〜24質量%、より好ましくは21質量%〜24質量%の範囲であると、前記のオリゴマー析出抑制効果が得られやすくなり、架橋層の厚みを薄くすることができるため好ましい。
【0017】
また、架橋層の自由体積が小さくても、架橋層の厚みが50nm未満である場合は、厚み方向に対しオリゴマーの総移動距離が短くなり、結局オリゴマーが析出してしまう。一方、架橋層の厚みが1μmより厚い場合、前述の積層体のカールや平面性の悪化による線状構造体のネットワーク構造不良の原因になる。従って、架橋層の厚みが、50nm〜1μmであることも重要である。
【0018】
以上のように、架橋層が、前記条件(i)および(ii)を満足することにより、導電積層体のオリゴマー析出の抑制と表面導電性を両立することができる。
【0019】
本発明の導電積層体において、基材を介し架橋層と反対面に、導電層が形成されている。導電層は、前述のように、線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分を含有する層である。導電層における導電成分が線状構造体であると、その線状構造体が導電層面に対しネットワーク構造を形成することで、線状構造体が存在しない疎な部分があっても、線状構造体が存在する部分を通じて電気が流れるため、導電積層体全体としては、表面の抵抗値は充分低く実用レベルで問題ない。
【0020】
特に、導電積層体をその重要な用途の一つであるタッチパネル等に使用するためには、導電層が線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分を含むことが重要である。例えば、導電積層体をタッチパネルの電極部材として用いる場合、導電層に電極部材として所望のパターンを形成する工程が必要である。すなわち、導電層には、パターニングにより、導電成分が残存して導電性を有する領域(以下、導電領域と呼ぶ)と、導電成分が除去されて電気絶縁された領域(以下、絶縁領域と呼ぶ)とが形成される。絶縁領域の電気絶縁が不十分であると電極部材として使用した際に短絡等の不具合が発生し、電極部材として使用することができない。
【0021】
例えば、導電層が、金属やITO等の導電性金属酸化物等からなる場合、導電領域の導電性には問題がないが、絶縁領域については、全ての導電層を除去しないと十分な絶縁性が得られないことから、絶縁領域については、基材がむき出しにならざるを得ない。その場合、導電領域については、導電層がオリゴマーの析出をある程度防止するものの、絶縁領域については、オリゴマーの析出を抑制することができない。一方、導電成分が線状構造体であると、後述の効果によって、オリゴマー析出抑制効果と電気絶縁が両立しやすいと推測している。
【0022】
導電成分が線状構造体であると、図4のように線状構造体の存在する部分の保護層厚み24または25に対して、線状構造体が存在しない部分の保護層厚み23が厚くなる。除去剤を用いて、絶縁領域になるべき部分の線状構造体を除去することによって、パターニングを行う際、除去剤内の除去成分(例えば、酸成分や塩基成分)によって保護層が浸食される速度は、保護層の場所によって変わらないので、厚みの薄い線状構造体の存在する部分の保護層が除去された時点において、その他の部分は、保護層がまだ残存している。保護層に浸透した除去成分が、前記線状構造体の存在する部分では短時間に線状構造体に到達し、線状構造体の長軸方向に選択的に浸食が進行することで、線状構造体が除去される速度は、その周囲の保護層が除去される速度より大きくなる。そのため、パターニングの際に、保護層を残して、線状構造体のみを除去することができる。すなわち、導電成分である線状構造体が除去された絶縁領域においても、基材表面は露出することなく保護層に覆われているので、オリゴマー析出を抑制することができると推定している。また、上記メカニズムによってパターニングが行われることにより、形成された導電領域と絶縁領域との段差が視認できないほど非常に小さく、さらに保護層の局所的な剥離や溶解が発生しにくくなるものと推定している。
【0023】
保護層の平均厚みtが70nm未満である場合は、保護層および線状構造体に除去成分が浸透しきるまでの時間が短くなるために、除去成分の浸透完了までの時間差が小さくなり、その結果、線状構造体のみを選択的に除去できず、保護層をも一緒に除去してしまうため、基材が露出しやすくなり、オリゴマー析出抑制の効果が得られない。保護層の平均厚みtが70nm以上であることにより、パターニング後にも保護層を残すことができ、オリゴマー析出を抑制することができる。また保護層の平均厚みtが1μmより厚い場合、導電側(本発明では、導電層および保護層が積層されている側)表層の線状構造体が少なくなることにより導電性が低下し、所望の表面抵抗値を達成しづらくなったり、除去成分が線状構造体に到達することができず、除去不足により電気絶縁が不十分で短絡等の不具合が発生したりする等の問題が発生する。保護層の平均厚みtが1μm以下となることで、導電成分の導電性を妨げず、抵抗値の異常な上昇や導通不良のない導電積層体を得ることができる。保護層の平均厚みtは、好ましくは100nm〜500nm、さらに好ましくは100nm〜400nm、最も好ましくは150nm〜350nmである。保護層の平均厚みtが100nm〜500nmであるとパターニング後に充分に保護層が残りオリゴマー析出の防止効果が高い。保護層の平均厚みtが100nm〜400nmであると、オリゴマー析出の防止効果を有しつつ、低い表面抵抗値がさらに得やすくなる。さらに保護層の平均厚みtが150nm〜350nmであると、導電成分の導電性が多少高いものであっても、導電積層体が安定して低い表面抵抗値となりやすい。
【0024】
ここで保護層の平均厚みtは以下のようにして求める。サンプルの観察部分を氷もしくはエポキシ樹脂のような氷よりさらに固着力の強い成分で埋包後、日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にダイヤモンドナイフをセットしてフィルム平面に垂直な方向に切断する。次いで得られたフィルム断面を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kV、観察倍率10000〜100000倍にて、画像のコントラストを適宜調節して観察する。得られた断面写真から図4に示す線状構造体が存在しない部分の保護層厚み23(保護層厚みが厚い部分)と、単一の線状構造体の頂点上の保護層厚み24もしくは線状構造体からなる集合体の頂点上の保護層厚み25(保護層厚みが薄い部分)の各任意の5箇所を測定(拡大倍率から計算)し、平均して保護層の平均厚みtを求める。なお、本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求めるものとする。
【0025】
以上のように、本発明の導電積層体は、基材の一方の面では架橋層がオリゴマーの表面への析出を抑制し、もう一方の面では、保護層がオリゴマーの表面への析出を抑制している。特に、導電層のパターニングを行っても、保護層が残存し、基材表面が露出しないことから、加熱時のオリゴマーの析出を有効に抑制することができ、熱に対して良好な耐久性を有する。
【0026】
本発明における架橋層は、前述のように、炭素−炭素二重結合基由来の構造を含む。重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を含む官能基としては、例えば、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリリデン基、アリリジン基、ビニルエーテル基等が挙げられる。また、炭素−炭素二重結合基の炭素にハロゲン元素(例えば、フッ素や塩素等)や芳香環を有する置換基(例えばフェニル基やナフチル基等)等が結合したもの、例えば、フッ化ビニル基やフッ化ビニリデン基、塩化ビニル基や塩化ビニリデン基、また芳香環としてフェニル基(ベンゼン環)を有するスチリル基等、イソプロペニル基、イソペンテニル基、ブタジエニル基(例えば、CH=C(R)−C(R)=CH−、CH=C(R)−C(=CH)−(R、RはHまたはCH))のように共役ポリエン構造を有するもので、前記R=Hの場合ビニル基を有し、R=CHの場合ビニリデン基を有するような官能基等が挙げられる。要求される特性や生産性等をふまえて、これらの1種類または2種以上を使用する。これらの中でも、熱に対して耐久性を高め、オリゴマーの析出を抑制する観点から、炭素−炭素二重結合基部分の反応性が高く架橋点を形成しやすい、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、およびメタクリロイルオキシ基から選ばれた基を好ましく使用することができる。また、炭素−炭素二重結合の周辺に立体障害が大きいメチル基(−CH)を有するメタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基よりも、立体障害の小さい水素(−H)を有するアクリロイル基、アクリロイルオキシ基の方が、得られた架橋層が構造上、より緻密な架橋構造を形成しやすく、より熱に対して耐久性が高くオリゴマーの析出抑制効果が得られやすいため、より好ましく使用することができる。中でも、加熱時の熱エネルギーを得た空気中の水分によって加水分解の基点となる可能性のあるエステル基(−COO−)を有しているアクリロイルオキシ基に対し、より安定性の高いカルボニル基(−CO−)のみを有しているアクリロイル基は、さらに熱に対して耐久性が高くオリゴマーの析出抑制効果が得られやすいため、最も好ましい。
【0027】
構造内に2個以上の重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリメタクリレート等が挙げられる。また、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環状骨格を分子構造内に一部有する、トリアクリレート・トリメタクリレート・テトラアクリレート・テトラメタクリレート・ペンタアクリレート・ペンタメタクリレート・ヘキサアクリレート・ヘキサメタクリレート等も挙げられる。また、上記化合物の一部構造を変性した化合物、例えば2−ヒドロキシプロパン酸等で変性した2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、また、シリコーン骨格を導入したシリコーントリアクリレート、シリコーントリメタクリレート、シリコーンテトラアクリレート、シリコーンテトラメタクリレート、シリコーンペンタアクリレート、シリコーンペンタメタクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、シリコーンヘキサメタクリレート等も挙げられる。さらに骨格内にビニル基および/またはビニリデン基と共にその他骨格を有するもの、例えばウレタン骨格を有するウレタントリアクリレート、ウレタントリメタクリレート、ウレタンテトラアクリレート、ウレタンテトラメタクリレート、ウレタンペンタアクリレート、ウレタンペンタメタクリレート、ウレタンヘキサアクリレート、ウレタンヘキサメタクリレート;エーテル骨格を有するポリエーテルトリアクリレート、ポリエーテルトリメタクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、ポリエーテルテトラメタクリレート、ポリエーテルペンタアクリレート、ポリエーテルペンタメタクリレート、ポリエーテルヘキサアクリレート、ポリエーテルヘキサメタクリレート;エポキシ由来の骨格を有するエポキシトリアクリレート、エポキシトリメタクリレート、エポキシテトラアクリレート、エポキシテトラメタクリレート、エポキシペンタアクリレート、エポキシペンタメタクリレート、エポキシヘキサアクリレート、エポキシヘキサメタクリレート;エステル骨格を有するポリエステルトリアクリレート、ポリエステルトリメタクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルテトラメタクリレート、ポリエステルペンタアクリレート、ポリエステルペンタメタクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、ポリエステルヘキサメタクリレート等も挙げられる。用途や要求される特性や生産性等をふまえて、これらの1種類もしくは2種以上混合した組成物、またはこれらの2種以上が共重合したオリゴマーを使用することができるが、これらに限定されるものではない。市販されているものとして、例えば、共栄社化学(株)製のライトアクリレートシリーズ、ライトエステルシリーズ、エポキシエステルシリーズ、ウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYL(登録商標)シリーズ、PETIA、TMPTA、TMPEOTA、OTA 480、DPHA、PETA−K、綜研化学(株)製のフルキュアー(登録商標)シリーズ、東洋インキ製造(株)製の"LIODURAS(リオデュラス)(登録商標)"シリーズ、中国塗料(株)製のフォルシード(登録商標)シリーズ、マツイカガク(株)製のEXPシリーズ等が挙げられる。
【0028】
ここで、架橋層の架橋単位構造質量含有率は以下のようにして求める。先ず、サンプルから架橋層を剥離し、架橋層を溶解可能な溶剤に溶解させる。また必要であれば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィーのうち分離可能な方法を選択し、溶解した測定サンプルを、それぞれ単一物質に分離精製した後、以下の定性分析および定量分析に供する。
【0029】
その後、各物質について、必要に応じて濃縮および希釈を行いサンプルを調製する。まず、定性分析を行いサンプル中に含まれる成分を特定する。分析手法は、まず(1)の群の分析手法を組み合わせて行い、その分析手法で検出できない成分があった場合、(2)の群の分析手法を組み合わせて分析を行うようにする。なお、各群の分析手法は、先に示したものから順に適用し、先の手法で検出できない成分があった場合に次の手法を用いることとする。また組み合わせる場合にも、同様に先に記した手法を優先して用い、より少ない組み合わせで測定できる手法を優先して適用することとする。
【0030】
(1)核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、19F−NMR)、二次元核磁気共鳴分光法(2D−NMR)、赤外分光光度法(IR)、ラマン分光法、各種質量分析法(ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、熱分解ガスクロマトグラフィー−質量分析法(熱分解GC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)、ダイナミック二次イオン質量分析法(Dynamic−SIMS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、その他スタティック二次イオン質量分析法(Static−SIMS)等)。
【0031】
(2)X線回折法(XRD)、中性子回折法(ND)、低速電子線回折法(LEED)、高速反射電子線回折法(RHEED)、原子吸光分析法(AAS)、紫外光電子分光法(UPS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線元素分析法(XRF)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)、荷電粒子励起X線分光法(PIXE)、低エネルギーイオン散乱分光法(RBSまたはLEIS)、中エネルギーイオン散乱分光法(MEIS)、高エネルギーイオン散乱分光法(ISSまたはHEIS)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透過電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(TEM−EDX)、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(SEM−EDX)、その他元素分析。
【0032】
次いで、分取したサンプルの定量分析を行う。予め質量を測定した1,1,2,2−テトラブロモエタン(以下TBEと略す)を適宜重クロロホルム等で希釈した内標溶液を調製する。前記分取したサンプルに前記TBE内標溶液を添加し、この試験溶液をH−NMRを用いて測定する。次いで得られたH−NMRスペクトルにおいて、前駆体時点で炭素−炭素二重結合基であった(測定時点で炭素−炭素二重結合基で存在するかどうかは問わない)炭素に結合した水素に該当するピークのピーク面積と、内標準として添加したTBEの水素(プロトン、H)に該当するピーク面積との面積比率を用いて、サンプル中の炭素−炭素二重結合基量を算出する。これと、同様にして算出したサンプル中の他の構造の量との比率から架橋単位構造質量含有率を算出する。
【0033】
本発明の導電積層体における架橋層の厚みは50nm〜1μmである。架橋層の厚みが50nm〜1μmであると、積層体のカールや平面性の悪化に伴う線状構造体のネットワーク構造の不良(例えば、線状構造体同士の導電接点不良や線状構造体自体の折れなどによる破損等)が無く、加熱時におけるオリゴマー析出の抑制と表面導電性が両立された積層体が得られる。架橋層の厚みが50nm未満である場合は、厚み方向に対しオリゴマーの総移動距離が短くなり、オリゴマーが析出してしまう。一方、架橋層の厚みが1μmより厚い場合、積層体のカールや平面性の悪化による線状構造体のネットワーク構造の不良が生じる原因になる。本発明における架橋層の厚みとは、後述する方法にて測定する平均厚みのことである。本発明においては、上記観点から架橋層の厚みは、好ましくは50nm〜800nm、さらに好ましくは80nm〜500nm、より好ましくは100nm〜350nmである。
【0034】
ここで架橋層の厚みは以下のようにして求める。サンプルの観察部分を氷もしくはエポキシ樹脂のようなに氷よりさらに固着力の強い成分で埋包後、日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にダイヤモンドナイフをセットしてフィルム平面に垂直な方向に切断する。次いで得られたフィルム断面を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kV、観察倍率10000〜100000倍にて、画像のコントラストを適宜調節して観察する。得られた断面写真から架橋層を厚みと直交する方向に16等分した境界の15箇所において厚みを測定(拡大倍率から計算)し、平均して架橋層の厚みを求める。なお、本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求めるものとする。
【0035】
本発明の導電積層体は、線状構造体からなる導電成分を含む導電層を有する。本発明において線状構造体とは、短軸の長さと長軸の長さの比、すなわちアスペクト比=長軸の長さ/短軸の長さが10より大きい構造体のことである。一方、例えば球状構造体はアスペクト比=1である。短軸および長軸の好ましい長さは、線状構造体の種類によっても異なる。短軸の長さは形成するパターンよりも小さく、1nm〜1000nm(1μm)の範囲が好ましい。また長軸の長さは短軸の長さに対し、前記アスペクト比=長軸の長さ/短軸の長さが10より大きくなるような長さであれば良く、1μm〜100μm(0.1mm)が好ましい。線状構造体としては、例えば、繊維状導電体や、針状導電体等が挙げられる。
【0036】
繊維状導電体としては、炭素系繊維状導電体、金属系繊維状導電体、金属酸化物系繊維状導電体などが挙げられる。これらは表面処理を施されていてもよい。
【0037】
炭素系繊維状導電体としては、ポリアクリルニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ガラス状カーボン、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノコイル、カーボンナノワイヤー、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどが挙げられる。
【0038】
金属系繊維状導電体としては、金、白金、銀、ニッケル、シリコン、ステンレス鋼、銅、黄銅、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、錫、マグネシウムからなる群より選択される金属単体またはこれらの2種以上の合金からなる繊維状導電体が挙げられる。
【0039】
金属酸化物系繊維状導電体としては、InO、InOSn、SnO、ZnO、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O2、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−Cなどから選択された金属酸化物または金属酸化物複合体からなる繊維状導電体が挙げられる。
【0040】
さらに、植物繊維、合成繊維、無機繊維などの非金属材料の表面に前記金属、前記金属酸化物またはCNTをコーティングまたは蒸着したものも繊維状導電体に含まれる。
【0041】
前記針状導電体としては、金属、炭素系化合物、金属酸化物などからなるウィスカーのような針状導電体が挙げられる。金属としては、元素の周期表における第2族、第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第11族、第12族、第13族、第14族または第15族に属する元素が挙げられる。具体的には、金、白金、銀、ニッケル、ステンレス鋼、銅、黄銅、アルミニウム、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、アンチモン、パラジウム、ビスマス、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、テルル、錫、マグネシウムや、これらを含む合金が挙げられる。炭素系化合物としては、カーボンナノホーン、フラーレン、グラフェンなどが挙げられる。金属酸化物としては、InO、InOSn、SnO、ZnO、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−Cなどが挙げられる。
【0042】
これらの線状構造体の単独、または複数を使用することができ、さらに、必要に応じて他のマイクロ〜ナノサイズの導電性材料を添加しても良い。
【0043】
これら線状構造体のうち、透明性等の光学特性および導電性等の観点から銀ナノワイヤーもしくはCNTを好ましく使用することができる。
【0044】
線状構造体の一例として、CNTについて説明する。CNTは、単層CNT、二層CNTおよび三層以上の多層CNTのいずれでもよい。直径が0.3〜100nm、長さ0.1〜20μm程度のCNTが好ましく用いられる。なお、導電積層体の透明性を高め、表面抵抗値を低減するためには、直径10nm以下、長さ1〜10μmの単層CNTまたは二層CNTが好ましい。また、CNTの集合体にはアモルファスカーボンや触媒金属などの不純物は極力含まれないことが好ましい。これら不純物が含まれる場合は、酸処理や加熱処理などによって適宜精製することができる。このCNTは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、触媒化学気相法(化学気相法の中で担体に遷移金属を担持した触媒を用いる方法)などによって製造される。なかでも生産性がよく、アモルファスカーボン等の不純物の生成を少なくできる触媒化学気相法が好ましい。
【0045】
CNT分散液を基材に塗布することにより、導電層を形成することができる。CNT分散液を得るには、CNTを溶媒とともに、混合分散機や超音波照射装置によって分散処理を行うことが一般的である。分散処理に際して、さらに分散剤を添加することが望ましい。
【0046】
分散剤としては、CNTが分散できれば特に限定はないが、得られる導電層と基材との密着性、導電層の硬度および耐擦過性の点で、合成高分子、天然高分子等のポリマーを選択することが好ましい。さらに、分散性を損なわない範囲で架橋剤を添加してもよい。
【0047】
分散剤として用いられる合成高分子としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合樹脂、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、変性フェノキシ系樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンが挙げられる。分散剤として用いられる天然高分子としては、例えば、多糖類であるデンプン、プルラン、デキストラン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、セルロースおよびその誘導体が挙げられる。ここで誘導体とは、カルボン酸基を有する化合物の場合にカルボン酸基がエステル化されたもののように、一部の官能基が、反応したものを意味する。これらは、1種または2種以上を混合して用いることができる。中でも、CNTの分散性に優れることから、多糖類ならびにその誘導体が好ましい。さらにセルロースならびにその誘導体が、膜形成能が高く好ましい。中でもエステル誘導体が好ましく、具体的には、カルボキシメチルセルロースやその塩などが好適である。
【0048】
また、CNTと前記分散剤との配合比を調整することも可能である。CNTと分散剤の配合比は、基材との密着性、硬度および耐擦過性に問題のない配合比が好ましい。具体的には、CNTの含有量が導電層全体に対し5質量%〜90質量%の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、35質量%〜70質量%の範囲である。CNTの含有量が5質量%以上であると、タッチパネルに必要な導電性が得られ易い。また、CNT分散液を基材表面に塗布する際に、はじきが生じることなく均一に塗布しやすくなり、ひいては良好な外観品位を有する導電積層体を生産性良く供給することができる。CNTの含有量が90質量%以下であると、CNTの溶媒中での分散性が良く、凝集し難くなり、良好なCNT塗布層が得られ易くなり、生産性が良いので好ましい。さらに得られる塗布膜も強固で、生産工程中に擦過傷が発生し難くなり、表面抵抗値の均一性を維持できるので好ましい。
【0049】
また、前記金属や金属酸化物のナノワイヤーの例は、特表2009−505358号公報、特開2009−146747号公報、特開2009−70660号公報に開示されている。また、ウィスカーのような針状導電体としては、例えば、チタン酸カリウム繊維とスズおよびアンチモン系酸化物の複合化合物であるデントールWKシリーズ(大塚化学(株)製)のWK200B、WK300R、WK500や、二酸化ケイ素繊維とスズおよびアンチモン系酸化物の複合化合物であるデントールTMシリーズ(大塚化学(株)製)のTM100等が市販されている。
【0050】
線状構造体は、図2に示すように、導電層中においてネットワーク構造を形成している。線状構造体が繊維状導電体の場合、単一の繊維状導電体6もしくは、繊維状導電体の集合体7が、重なりによって接点を形成することにより、ネットワーク構造を形成する。ネットワーク構造の中で、繊維状導電体は、図2に示すように、直線部および屈曲部を有する場合が多いが、繊維状導電体の中でもナノワイヤーと呼ばれる構造体は、図2の符号8に示すように、弧の形状をしている場合が多い。また、ウィスカーのような針状導電体9は、直線上の形状をしている。導電層において、線状構造体は、図2に示すように、符号11、12、13のような重なりからなる接点を有するネットワーク構造を形成している。
【0051】
線状構造体がネットワーク構造を形成することで、面方向の導電パスが増え、導電積層体の保護層側の面を低い表面抵抗値に調整しやすい。また、導電層をパターニングする際に、除去剤中の酸成分がネットワーク構造を伝って線状構造体を選択的に侵食することで、保護層が残りやすくなり、熱に対してより良好な耐久性を有する導電積層体を得ることができる。本発明におけるネットワーク構造とは、少なくとも1つの接点で線状構造体同士が接していることで、最も小さいネットワーク構造は2本の線状構造体が、ある一接点を有している場合である。接点は線状構造体のいかなる部分同士で形成されていてもよく、線状構造体の末端部同士が接していたり、末端と線状構造体の末端以外の部分が接していたり、線状構造体の末端以外の部分同士が接していてもよい。また、接するとはその接点が接合していても、単に接触しているだけでもよい。ネットワーク構造は、後述する方法にて観察することができる。
【0052】
本発明における保護層の成分としては、無機系高分子化合物、または、有機系高分子化合物が好ましく用いられる。
【0053】
無機系高分子化合物としては、無機系の酸化物等が挙げられる。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルキコシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどのオルガノアルコキシシラン類;などから、加水分解および重合反応によって形成させる珪素酸化物のゾル−ゲルコーティング膜やスパッタ蒸着膜などが使用できる。
【0054】
有機系高分子化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、可視光透過性、基材の耐熱性、ガラス転移点および膜硬度などを考慮して、適宜選択することができる。かかる樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ウレタンメタクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ナイロンやベンゾグアナミン等のポリアミド系樹脂、ABS樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素原子を含有する樹脂、フッ素原子を含有する樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等の樹脂の構造内にフッ素原子を含有する樹脂)、シリコーン系樹脂(直鎖シリコーン系樹脂、シリコーンレジン系樹脂、直鎖シリコーン系樹脂やシリコーンレジン系樹脂とその他樹脂との共重合体やグラフト構造の共重合体、前記直鎖シリコーン系樹脂・前記シリコーンレジン系樹脂・前記その他樹脂との共重合体やグラフト構造の共重合体のシリコーンの分子鎖末端、分子鎖中、分岐鎖中など構造内に各種官能基を導入した変性シリコーン系樹脂)等の有機系の高分子化合物が挙げられる。さらに、前述した架橋層に使用される構造内に2個以上の重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物から得られる樹脂であってもよい。用途や要求する特性や生産性等をふまえ、これらの1種類、2種以上を含む組成物、または、これらの2種以上が共重合したオリゴマーを使用することができる。好ましくはS元素、P元素、金属元素、金属イオン、および、官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物を用いることがより好ましい。S元素、P元素およびN元素は、その電子軌道状態から、その他元素と結合しない電子対(孤立電子対)を有することがあったり、金属イオンとイオン結合を有する官能基(例えば、−ONa、−COONa、−SONaなど)を形成したりする。また金属元素は配位結合を形成することがある。それら孤立電子対、イオン結合および配位結合は、熱に対して不安定であったり、後述する除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分と容易に作用してしまい、N元素、S元素、P元素、金属元素または金属イオンがもともと結合していた元素との結合を容易に切断・開裂したりする結果、保護層の熱に対する耐久性が低下したり、保護層の前述した除去剤に対する耐性が低下する場合がある。従って、これらS元素、P元素、金属元素、金属イオン、および、官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物を用いると、熱に対する耐久性や除去剤に対する耐性を高くしやすくなり、保護層の厚みを薄くできたり、除去剤の除去成分の変更が容易であったりするので好ましい。S元素、P元素、金属元素、金属イオン、および、官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物の例としては、前記のアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ウレタンメタクリレート系樹脂、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。要求される特性や生産性等をふまえてこれらの1種類または2種以上を用いることができる。中でも、透明性等の光学特性が優れる点、除去剤中の酸成分に対する耐性が良好である点から多官能アクリル系高分子化合物、多官能メタクリル系高分子化合物、多官能ウレタンアクリレート系高分子化合物および多官能ウレタンメタクリレート系高分子化合物から選ばれる高分子化合物を好ましく使用することができる。
【0055】
多官能アクリル系高分子化合物、多官能メタクリル系高分子化合物、多官能ウレタンアクリレート系高分子化合物、多官能ウレタンメタクリレート系高分子化合物を形成する多官能モノマーや多官能オリゴマーとしては、前述した架橋層に使用される構造内に2個以上の重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を有する化合物として例示した化合物を好適に使用することができる。
【0056】
さらに、保護層を構成する高分子化合物が架橋構造を有していると、熱に対する耐久性と除去剤の除去成分に対する耐性をより向上させることができるので好ましい。架橋構造とは保護層を形成する成分の結合が3次元的につながった状態である。架橋構造をとることで保護層を構成する成分の結合が緻密になり保護層の自由体積が小さくなる結果、基材からのオリゴマーの移動を抑制する効果、および、保護層への除去成分の浸透を抑制する効果が高くなり、それにより積層体の熱に対する耐久性を向上させるものと推定している。この架橋構造を有することによる効果は、有機系高分子化合物であっても、また、無機系高分子化合物であっても同様に得られるが、無機系高分子化合物が架橋構造をとると有機系高分子化合物に比べ柔軟性や屈曲性が低下し、保護層が脆くなり、生産時に脆性破壊しやすくなる場合があるため、有機系高分子化合物の架橋構造体が好ましい。
【0057】
有機系高分子化合物を架橋構造とする方法を以下に示す。なお、以下に示す方法は、前述の架橋層を積層する際についても好適に適用することができる。その手法としては、原料として多官能モノマーや多官能オリゴマーを用い、加熱硬化する方法や、紫外光、可視光、電子線等の放射線の照射により光硬化する方法が挙げられる。熱硬化の場合は、熱エネルギーが硬化反応のドライビングフォースであるため、モノマーやオリゴマーをより多官能にすると、反応に時間を要し硬化時間を長くする等の対処が必要となる場合がある。一方、光硬化の場合は、後述するような光開始剤を含有し、そこに前記放射線を照射することで発生する開始種によって連鎖的に反応が進行するため、硬化時間が短くても良い。かかる理由から、光硬化がより好ましい。
【0058】
ここで、光開始剤とは、紫外光、可視光、電子線等の放射線を吸収し、反応の開始種であるラジカル種、カチオン種、アニオン種等の活性種を生成し、化学反応を開始する物質である。これらは、1種のみ使用してもよいが、極大吸収波長の値が各々20nm以上異なる光開始剤を2種以上使用することが好ましい。
【0059】
その理由を以下に示す。例えば開始種がラジカル種である場合を挙げると、ラジカル種は非常に反応性が高いが、その高い反応性のために反応する前にラジカルが失活してしまい、架橋構造の形成が思うように進行しない場合がある。ところが、前記放射線を放出するランプ等の放出体からは、実際は単一波長の放射線のみを放出しているわけではなく、様々な波長の放射線を放出している。極大吸収波長の差が20nm以上の光開始剤を2種以上混合することで、より広い領域の波長を利用することができ、その結果、充分に反応を進行させることができる。さらに、光開始剤を3種以上含有させるとさらに効果的である。
【0060】
なお、ここでいう極大吸収波長とは、光開始剤を溶剤に溶解させ、紫外可視分光光度法(UV−Vis)より求めた吸収スペクトルが極大値となる波長のことである。また、極大値が複数ある場合は複数の極大値の内、最も吸光度の大きい極大値を採るものとする。極大吸収波長の値の差が20nm未満の場合は、混合した光開始剤の吸収帯が重なってしまう領域が存在するので1種の光開始剤のみと同等の効果しか得られないと推定している。
【0061】
また、前記反応の開始種は大気中の酸素とも容易に反応して失活しやすいため、酸素による開始種の失活を抑制するために、窒素やアルゴン等の不活性ガスにて置換した雰囲気下や酸素脱気した雰囲気下等の酸素濃度を低くした雰囲気下で保護層の架橋構造を形成するのも有効である。酸素濃度を低くした雰囲気下にて、極大吸収波長の値が20nm以上異なる光開始剤を2種以上含有させて架橋構造を形成することが特に好ましい。
【0062】
光開始剤としては例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系光開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光開始剤;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのα−ヒドロキシケトン系光開始剤やα−アミノケトン光開始剤系;イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系光開始剤;メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。光開始剤の市販品としては、例えば1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとしてCiba(登録商標)IRGACURE(登録商標)184(チバ・ジャパン(株)製)、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンとしてCiba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907(チバ・ジャパン(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1としてCiba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369(チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0063】
本発明の導電積層体において、架橋層側と保護層側との間の、JIS C2151(2006)に基づいた静摩擦係数(以下単に静摩擦係数と記す場合もある)が0.75以下、かつ、JIS C2151(2006)に基づいた動摩擦係数(以下単に動摩擦係数と記す場合もある)が0.65以下であることが好ましい。一般に本発明の様な導電積層体は、各層を基材上に積層する際、ロール状に巻き取った基材を加工装置によって巻き出し、ある層を基材上に形成した後、再び巻き取ってロール状にする、いわゆるロールtoロールにより生産をする場合が多い。また、本発明の導電積層体を製造後に電極部材に加工する際においても、同様にロールtoロールでの加工が採用される場合が多い。ロールtoロール工程において、導電積層体の架橋層側と保護層側が接触した状態でロールとなるが、ロールの巻き出しおよび巻き取りの際に、架橋層と保護層の摩擦によって両層のいずれかもしくは両方に傷がついてしまう場合がある。そのようにして生じた傷の部分は、各層が抉られたり割れたりしたクラックのような欠陥となっている。そのため、その部分では架橋層および保護層の積層厚みが極端に薄い、もしくは、基材が剥き出しになっていることから、熱によってオリゴマーが析出する起点となってしまう場合がある。また、傷部分では線状構造体のネットワーク構造が破壊されて電気の流れが阻害されることにより表面抵抗値が上昇したり、傷部分が目視にて視認できるような欠点となりタッチパネルや電子ペーパー等の製品にした際に品位が低下する場合もある。架橋層側と保護層側との、静摩擦係数が0.75以下、かつ、動摩擦係数が0.65以下であることで、架橋層と保護層が適度に滑り、複数のロールtoロール加工による生産においても摩擦による傷が入らなくなり、その結果、導電積層体およびそれを用いた製品を、熱に対する耐久性と良好な導電性と高品位であることを兼ね備えたものとすることができる。静摩擦係数が0.75より大きいと、架橋層と保護層が接触している箇所が加工の際の動作開始時に傷が入り易くなってしまう場合がある。また、動摩擦係数が0.65より大きいと、加工の際の動作中に傷を継続的に形成してしまう場合がある。前記静摩擦係数は、好ましくは0.60以下、さらに好ましくは0.55以下である。前記動摩擦係数は、好ましくは0.50以下、さらに好ましくは0.45以下である。各摩擦係数の下限は上述の傷の形成の観点からは特には限定されないが、導電積層体をロールに巻き取る際の巻き方や巻き硬度によっては滑り過ぎてしまい、巻き取りにくくなったり、移送時にロールが傾いた際にロール形状が崩れやすくなる場合があるため、静摩擦係数0.08以上、動摩擦係数0.05以上が好ましい。
【0064】
前記静摩擦係数および動摩擦係数を前記特定の範囲にする方法としては、滑り性を向上させる添加剤を架橋層または保護層内に混合する方法が挙げられる。添加剤がブリードアウトする恐れがあるため、加熱や、紫外光、可視光、電子線等の放射線を照射することによって、添加剤を、前記各層を形成する際に用いる化合物と反応させ固定させるか、または各層を形成する際に用いる化合物自体が前記各摩擦係数を満たす層を形成することができるものを選択する方法を採ることが好ましい。さらに、架橋層および保護層の両層に、静摩擦係数および動摩擦係数を前記特定の範囲にするための方法を適用してもよいが、効果が発現するのであれば片方の層にのみ適用してもよい。導電材である線状構造体への作用や影響を考慮すると架橋層側に適用することが好ましい。前記静摩擦係数および動摩擦係数を低減する添加剤としては、例えば、フッ素原子を含有する低分子化合物・モノマー・オリゴマー等、シリコーン系の低分子化合物・モノマー・オリゴマー・樹脂等が挙げられる。そして、シリコーン骨格を導入したシリコーントリアクリレート、シリコーントリメタクリレート、シリコーンテトラアクリレート、シリコーンテトラメタクリレート、シリコーンペンタアクリレート、シリコーンペンタメタクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、シリコーンヘキサメタクリレート、等のモノマーまたはオリゴマーを添加剤として使用し、これら添加剤と前記各層を形成する際に用いる化合物とを反応させて固定することができる。このような添加剤で市販されているものとして、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYL1360、信越化学(株)製のX−12−2456シリーズ等が挙げられる。
【0065】
また本発明の導電積層体は、架橋層面もしくは保護層面のいずれかが、JIS L0849(2004)に基づいた方法にて試験用添付白布 綿(カナキン3号)によって50往復摩擦した際に、摩擦方向と平行方向に発生する傷の数が、2cm四方内に10個以下であることが好ましい。前述の通り、架橋層および保護層に形成した傷は、熱に対する耐久性、導電性および品位を低下させる要因となるので、架橋層または保護層自体が傷の入りにくい耐傷付き性、すなわち高い表面擦過性を有している層であることも好ましい。摩擦方向と平行方向に発生する傷の数は、好ましくは2cm四方内に5個以下、さらに好ましくは3個以下、最も好ましくは0個である。傷の発生個数を2cm四方内に10個以下にする方法としては、架橋層もしくは保護層を形成するための化合物のうち、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を含む官能基を分子内に4つ以上含む化合物、すなわち4官能以上の化合物を用いる方法が挙げられる。4官能以上の化合物を導入することでその箇所で分子鎖が固定され、物理的応力(この場合は試験用添付白布 綿(カナキン3号)による50往復摩擦)に対し分子鎖が切れにくくなることで、表面擦過性が高くなるものと推定している。架橋層または保護層に使用する前述の化合物のうち、表面擦過性の向上を付与しやすいものとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート等が挙げられる。また、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環状骨格を分子構造内に一部有する、テトラアクリレート・テトラメタクリレート・ペンタアクリレート・ペンタメタクリレート・ヘキサアクリレート・ヘキサメタクリレートのいずれか等も挙げられる。また上記化合物の一部構造を変性した化合物、例えば2−ヒドロキシプロパン酸等で変性した2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等も挙げられる。また、シリコーン骨格を導入したシリコーンテトラアクリレート、シリコーンテトラメタクリレート、シリコーンペンタアクリレート、シリコーンペンタメタクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、シリコーンヘキサメタクリレート等も挙げられる。さらに骨格内に炭素−炭素二重結合基と共にその他骨格を有するもの、例えばウレタン骨格を有するウレタンテトラアクリレート、ウレタンテトラメタクリレート、ウレタンペンタアクリレート、ウレタンペンタメタクリレート、ウレタンヘキサアクリレート、ウレタンヘキサメタクリレート;エーテル骨格を有するポリエーテルテトラアクリレート、ポリエーテルテトラメタクリレート、ポリエーテルペンタアクリレート、ポリエーテルペンタメタクリレート、ポリエーテルヘキサアクリレート、ポリエーテルヘキサメタクリレート;エポキシ由来の骨格を有するエポキシテトラアクリレート、エポキシテトラメタクリレート、エポキシペンタアクリレート、エポキシペンタメタクリレート、エポキシヘキサアクリレート、エポキシヘキサメタクリレート;エステル骨格を有するポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルテトラメタクリレート、ポリエステルペンタアクリレート、ポリエステルペンタメタクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、ポリエステルヘキサメタクリレート等も挙げられる。これらを用途や要求される特性や生産性等をふまえ選択して使用すればよい。これらの単体もしくは2種以上混合した組成物、またこれらの2種以上が共重合したオリゴマーを使用することができる。
【0066】
また本発明の導電積層体において、架橋層側の表面抵抗値が1×1013Ω/□以下であることが好ましい。架橋層側に静電気が生じた場合には、埃や塵が付着する場合があり、この埃や塵は傷や欠点の原因となり、熱に対する耐久性の悪化要因になったり、得られるタッチパネルや電子ペーパー等の品位を悪化させてしまう場合がある。架橋層側の表面抵抗値が1×1013Ω/□以下の帯電防止性を有していると、導電積層体の運搬輸送工程・加工工程等において、仮に防塵環境ではなかったとしても埃や塵が付着しにくいため、付着塵埃による傷や欠点がない。そのため、熱に対する耐久性を低下させることがなく、かつ高品位のタッチパネルや電子ペーパー等の製品が得られるため好ましい。架橋層側の表面抵抗値は、好ましくは1×1012Ω/□以下、さらに好ましくは1×1010Ω/□以下である。また、架橋層側の表面抵抗値は、1×10Ω/□以上であることが好ましい。本発明に適用できる帯電防止機構には(1)イオン導電と(2)電子導電がある。
【0067】
(1)のイオン導電による帯電防止機構を適用するには、架橋層の成分にカチオン種、アニオン種および非イオン種の成分を混合するか、もしくは層中の成分と直接結合させることで、架橋層の表面抵抗値を調整することができる。特に層中の成分に直接結合させる方法は、帯電防止性を付与する成分のブリードアウトや劣化が少なく、初期の表面抵抗値を長期にわたって維持しやすいことから好ましい。具体的には、架橋層に含まれる成分の一部に、帯電防止性を付与することのできる4級アンモニウム塩系官能基を有する成分を導入することが好ましい。混合する手法に使用できる成分として、市販されているものとしては、例えば、花王(株)製のエレクトロストリッパー(登録商標)QN、エレクトロストリッパー(登録商標)AC、レオドール(登録商標)TW−L120、エマゾール(登録商標) L−10V、クラリアント ジャパン(株)製のHostastat(登録商標) FA 14、Hostastat(登録商標) FA 18、Hostastat(登録商標) FA 38、Hostastat(登録商標) FE 2、Hostastat(登録商標) FE 20、三菱化学(株)製の“サフトマー”(登録商標)ST−1000シリーズ、“サフトマー”(登録商標)ST−2000シリーズ、“サフトマー”(登録商標)ST−3000シリーズ、等が挙げられる。架橋層に含まれる成分の一部と直接結合させる手法に使用できる成分として、市販されているものとしては、例えば、綜研化学(株)製のフルキュアー(登録商標)HCE−022、フルキュアー(登録商標)HCE−032、東洋インキ製造(株)製の“LIODURAS(リオデュラス)”(登録商標)LAS1211等が挙げられる。
【0068】
(2)の電子導電による帯電防止機構は、それ自身が電気を通す成分、例えば、金属微粒子、金属酸化物微粒子または本発明に使用される線状構造体等を、帯電防止性を付与したい層に含有させることで、それら成分のもつ導電性によって表面抵抗値を調整するものである。それ自身が電気を通す成分として前述の導電層の導電成分である線状構造体を適用しても良いし、五酸化アンチモン、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、または、Al・Ga・錫・リン・フッ素・ATOから選ばれた成分をドープもしくは表面被覆した酸化亜鉛・酸化チタン・酸化ジルコニウム・硫酸バリウム・酸化錫等を使用しても良い。市販されている微粒子粉末として、例えば、三井金属鉱業(株)製のパストラン(登録商標)TYPE−IV 4000シリーズ、パストラン(登録商標)TYPE−IV 6000シリーズ、ハクスイテック(株)製のパゼットCK、パゼットGK、パゼットAK、パゼットAB、23−K等が挙げられる。また市販されている微粒子粉末を溶剤やバインダー成分に分散加工もしくは相溶加工させた塗液として、例えば、住友大阪セメント(株)製のTR−AS―1(lot.2、試作品番)、触媒化成工業(株)製のELCOM(登録商標) P−3501、ELCOM(登録商標) TO−1002ATCが挙げられる。さらに前述の架橋層に使用することのできる化合物と共に導電成分を混合した、市販の製品として例えば、綜研化学(株)製のフルキュアー(登録商標)LHT−11、東洋インキ製造(株)製の“LIODURAS(リオデュラス)”(登録商標)LASTYPシリーズ、“LIODURAS(リオデュラス)”(登録商標)LASTYZAシリーズ、“LIODURAS(リオデュラス)”(登録商標)LASTYSTシリーズ、“LIODURAS(リオデュラス)”(登録商標)LASTYPTシリーズ、“LIODURAS(リオデュラス)”(登録商標)LASTYAシリーズが挙げられる。
【0069】
また本発明の導電積層体は、架橋層側からC光源による光を入射したときのJIS Z8729(2004)に基づいたL*a*b*表示色系における透過光色調b*が1.5以下であることが好ましい。タッチパネルや電子ペーパーは、その構成や動作方式によっては、電極部材を複数枚使用することがある。タッチパネルや電子ペーパーの表示原理は、バックライトと呼ばれる表示部背面に設置した光源の透過光や、外光から入射した光の反射光を利用しているため、電極部材を複数枚使用した場合、導電積層体の各層による光の吸収や、空気および各層の間の界面における光の反射によって、黄色みを帯びて見え、表示される映像の色再現性低下や画質の低下を引き起こす場合がある。黄色みの指標として透過光色調b*値(C光源)を採用し、導電積層体の架橋層側から光を入射したときの透過光色調b*値(C光源)が1.5以下であると、本発明の導電積層体を複数含む製品においても、表示される映像の色再現性低下や画質の低下を防止できる。透過光色調b*値(C光源)は、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.5以下である。また、b*値(C光源)は、−5.0以上であることが好ましく、より好ましくは−4.0以上、さらに好ましくは−3.0以上である。
【0070】
透過光のb*値(C光源)を1.5以下にする方法としては、導電積層体を黄色の補色である青色に着色することが有効であり、青系の色素、染料または顔料や青色を帯びた樹脂分等の添加剤を添加・分散・相溶または結合させることで、b*値の低下を図ることができる。青系の色素、染料、顔料等の添加剤の例として、例えば、アントラキノン骨格を有する化合物、ポルフィリン骨格を有する化合物、テトラアザポルフィリン骨格を有する化合物、フタロシアンニン骨格を有する化合物、ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、22、60、64;特許第3879402号公報および特許第4440720号公報に開示されている化合物等が挙げられる。市販されているものとして、例えば、日本化薬(株)製のKayaset(登録商標)シリーズの、Kayaset(登録商標) Blue FR、Kayaset(登録商標) Blue N、Kayaset(登録商標) Blue A−2R、Kayaset(登録商標) Blue A−D、Kayaset(登録商標) Blue A−CRが挙げられる。これら青系の添加剤にて着色する層としては、基材、架橋層、導電層および保護層のいずれの層でも良いが、導電材である線状構造体への影響や生産性等を考慮し、架橋層を着色することが好ましい。青系の添加剤の好ましい含有量は、添加剤の種類や添加する層の厚み等により異なるが、添加する層の厚み(T)(μm)と添加する層の総固形分に対する青系の添加剤の質量含有率(A)(質量%)との積(T)×(A)が、0.10以上0.50以下であることが好ましく、より好ましくは0.15以上0.30以下である。
【0071】
本発明の導電積層体は、前記導電層側から光を入射した際のJIS K7361−1(1997)に基づいた全光線透過率が80%以上であることが好ましい。全光線透過率が80%以上である導電積層体を組み込んだタッチパネルは、優れた透明性を示し、タッチパネルの下層に設けたディスプレイの表示を鮮やかに認識することができるためである。全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。全光線透過率を上げるための方法としては、例えば、使用する基材の全光線透過率を上げる方法、前記導電層の膜厚をより薄くする方法、また、保護層が光学干渉膜となるように積層する方法、前述の青系の添加剤の添加量を極力減らすこと等が挙げられる。
【0072】
基材の全光線透過率を上げる方法としては、基材の厚みを薄くする方法、あるいは全光線透過率の大きな材質の基材を選定する方法が挙げられる。全光線透過率の大きな材質としては、例えば、透明度の高い樹脂、ガラスなどを挙げることができる。厚み250μm以下で巻き取り可能なフィルムであっても、厚み250μmを超える基板であっても、上記全光線透過率の範囲であれば、好ましく用いることができる。コスト、生産性、取り扱い性等の観点からは、厚み250μm以下の樹脂フィルムが好ましく、より好ましくは190μm以下、さらに好ましくは150nm以下、最も好ましくは100μm以下である。基材の厚みが100μm以下であると、導電積層体を電極部材として複数枚使用するタッチパネルや電子ペーパーにおいて、軽量化や薄型化が可能となったり、光学特性が改善したり、また基材が薄い分、熱加工温度を下げたり熱加工時間を短くすることができることで、加工時のオリゴマーの析出が抑えられる場合があり、タッチパネルや電子ペーパー等の製品にする際のコストや性能上のメリットが大きい。また、透明度の高い樹脂の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、およびこれら樹脂を混合または共重合したものが挙げられる。基材としては、例えばこれらの樹脂からなる未延伸フィルム、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムを適用することができる。これら基材のうち、成形性、透明性等の光学特性および生産性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどのポリエステルフィルム、PENを混合および/または共重合したPETフィルム、ポリプロピレンフィルム、アラミドフィルムなどを好ましく使用することができる。
ガラス基板の材質としては、通常のソーダガラスを用いることができる。
【0073】
また、これらの複数の材質を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた基材、2種以上の樹脂を積層した基材などの複合基材であってもよい。さらに、基材は、必要に応じ、表面処理を施してあっても良い。表面処理は、グロー放電処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の処理、あるいは樹脂層を設けることであっても良い。易接着層を表面に有するフィルムも基材として好ましく用いることができる。基材の種類は上述に限定されることはなく、用途に応じて透明性や耐久性や可撓性やコスト等から最適なものを選ぶことができる。
【0074】
次に、保護層が光学干渉膜となるように積層する方法の説明を以下に示す。導電層は、その導電成分の物性により光を反射または吸収する。そのため、導電積層体の全光線透過率を上げるには、保護層が光学干渉膜となるように設計し、保護層側の波長380〜780nmの光の平均反射率を4%以下に下げることが効果的である。保護層側の波長380〜780nmの光の平均反射率は、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。平均反射率が4%以下であると、タッチパネル用途などに用いる場合の全光線透過率80%以上の性能を生産性良く得ることができるので好ましい。
【0075】
本発明の導電積層体は、導電層側の表面抵抗値が、1×10Ω/□以上、1×10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは1×10Ω/□以上、1.5×10以下である。この範囲にあることで、タッチパネル用の導電積層体として好ましく用いることができる。すなわち、表面抵抗値が、1×10Ω/□以上であることにより、消費電力を少なくすることができる。また、表面抵抗値が、1×10Ω/□以下であることにより、タッチパネルの座標読みとりにおける誤差の影響を小さくすることができる。
【0076】
基材および前記各層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、有機および/または無機の微粒子、架橋剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、核剤、染料、充填剤、分散剤およびカップリング剤などを用いることができる。
【0077】
次に、本発明の導電積層体を製造する方法について、例を挙げて説明する。本発明の導電積層体を製造するにあたっては、基材上の一方の面に架橋層を形成し、基材上の他方の面に導電層を形成し、さらに該導電層上に保護層を形成することが好ましい。
【0078】
架橋層、導電層および保護層を形成する方法としては、形成する材料により最適な方法を選択すれば良く、真空蒸着、EB蒸着、スパッタなどのドライ法、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、一般的な方法を挙げることができる。なかでも、保護層を均一に積層でき、かつ、下層への傷が入りにくいスリットダイコート、もしくは保護層を均一に、かつ、生産性良く形成できるマイクログラビアを使用したウエットコート法が好ましい。
【0079】
次に、本発明の導電積層体を、除去剤を用いたケミカルエッチングによってパターン形成する方法について例を挙げて説明する。導電積層体の導電層を除去したい部分の保護層上に除去剤を塗布する。除去剤が非ニュートン流動性をもつ場合、導電積層体の種類、大きさ、形状を問わず公知の方法を用いて塗布することができるので好ましい。塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、ディスペンサー法、ステンシル印刷法、パッド印刷法、スプレー塗布、インクジェット法、マイクログラビア印刷法、ナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、カーテンコート法、フローコート法などが挙げられるが、これらに限定されない。また、導電層のエッチングムラをより低減するためには除去剤を均一に塗布することが好ましい。
【0080】
除去剤を塗布して形成する除去膜の厚みは、除去される導電層の材質や厚み、加熱温度や加熱時間によって適宜決められる。乾燥後の厚みが0.1〜200μmであることが好ましく、2〜200μmであることがより好ましい。乾燥後の除去膜の厚みを前記範囲内とすることで、除去膜中に必要量の導電層除去成分が含まれ、導電層を面内においてより均一に除去することができる。また、加熱時に横方向へのダレを抑制できるため、塗布膜境界ラインの位置ずれがなく所望のパターンを得ることができる。
【0081】
次に、除去剤を塗布した導電積層体を、80℃以上で加熱処理する。加熱処理温度は、除去剤に含まれる溶剤以外の成分の沸点よりも低い温度であることが好ましく、200℃以下が好ましい。前記温度範囲で加熱処理することで、除去剤が塗布された部分の導電層および保護層は、溶解または分解され、可溶化される。加熱処理の手段は、目的や用途に応じて選択でき、例えば、ホットプレート、熱風オーブン、赤外線オーブン、周波数300メガヘルツ〜3テラヘルツのマイクロ波照射などを挙げることができるがこれに限定されない。
【0082】
加熱処理後、液体を用いた洗浄により、除去剤および導電層および保護層の溶解または分解された物を除去し、所望の導電パターンを得る。洗浄工程で使用される液体は、除去剤に含まれる樹脂が溶解するものが好ましく、具体的には、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、テトラヒドロフランなどの有機溶剤が上げられる。また、前記有機溶剤を含む水溶液、水酸化ナトリウム、エタノールアミン、トリエチルアミンなどを含む塩基性水溶液、純水なども挙げられるがこれらに限定されない。洗浄工程では残存物なく洗浄するため、前記液体を25〜100℃に加温し使用してもよい。
【0083】
次に、除去剤について説明する。除去剤とは、酸成分もしくは塩基成分を含有する溶液である。酸成分もしくは塩基成分を含有することで、保護層上に除去剤を塗布することにより、導電層の線状構造体を選択的に除去することができる。酸成分もしくは塩基成分は、沸点が80℃以上の酸または沸点が80℃以上の塩基、もしくは外部エネルギーにより酸または塩基を発生させる化合物からなる群から選ばれる一種以上が好ましい。除去剤は、酸成分もしくは塩基成分、溶媒、樹脂およびレベリング剤を含むものが好ましい。レベリング剤を含むことにより、除去剤に高い浸透力を付与し、従来では除去が困難であった繊維状導電成分をも容易に除去することができる。除去剤を、導電層側の保護層の一部に塗布し、80℃以上で加熱処理し、その後、液体を用いた洗浄を行うことによって、除去剤が塗布された部分の導電層を選択的に除去することができる。除去剤を所望の箇所に塗布することにより、鋭角や曲線を含む複雑かつ高精細な導電パターンも任意に形成することができる。加熱処理温度は、除去剤のうちの溶媒以外の成分の沸点よりも低い温度であることが好ましく、200℃以下が好ましい。
【0084】
ここで、沸点は大気圧下における値をいい、JIS−K5601−2−3(1999)に準拠して測定する。除去剤に用いられる酸の沸点は、100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。なお、本発明においては、大気圧下において明確な沸点を持たず、昇温すると気化よりも先に熱分解が始まる酸も、熱分解が始まる温度が80℃以上であれば沸点が80℃以上の酸に含めるものとする。また、導電層を除去する際の加熱処理温度における蒸気圧が30kPa以下であるものがより好ましい。沸点が80℃以上の酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マロン酸などのジカルボン酸;クエン酸、トリカルバリル酸などのトリカルボン酸;メタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸;ベンゼンスルホン酸などのフェニルスルホン酸;トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸;フェノールスルホン酸;ニトロベンゼンスルホン酸;スチレンスルホン酸;ポリスチレンスルホン酸などのスルホン酸化合物;トリフルオロ酢酸などの有機酸を一部フッ素化した誘導体;硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸などの無機酸などを挙げることができる。これらの2種以上を混合して使用してもよい。
【0085】
これらの中でも、高い酸化力を有する酸が好ましく、硫酸またはスルホン酸化合物がより好ましい。硫酸の大気圧下における沸点は290℃であり、例えば150℃における硫酸の蒸気圧は1.3kPa以下であるため、この温度で加熱しても液状を保持し、導電層内の線状構造体へ深く浸透する。さらに、硫酸は高い酸化力を有しているため、80〜200℃程度の低温でも導電層と反応しやすく、硝酸や酢酸よりも短時間の加熱処理で、基材に影響を与えることなく導電層を除去することができる。また、スルホン酸化合物は、大気圧下では固体酸であることから蒸発することがなく、例えば150℃における蒸気圧は1.3kPa以下であるため、この温度で加熱しても蒸発または昇華することなく、加熱時に効率よく反応が促進されるため、短時間の加熱処理で導電層を除去することができる。さらに、固体酸を含む除去剤は非ニュートン流動性の制御が容易となるため、例えば線幅30μm程度の線幅の小さい直線パターンを線幅のばらつき(うねり)を少なく形成できるなど、高精細なパターン形成を行うことができ、特に好ましい。
【0086】
除去剤に用いられる塩基の沸点は、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。なお、大気圧下において明確な沸点を持たず、昇温すると気化よりも先に熱分解が始まる塩基も、熱分解が始まる温度が80℃以上であれば沸点が80℃以上の塩基に含めるものとする。また、導電膜を除去する際の加熱処理温度における蒸気圧が30kPa以下であるものがより好ましい。沸点が80℃以上の塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化バリウム、グアニジン、水酸化トリメチルスルホニウム、ナトリウムエトキシド、ジアザビシクロウンデセン、ヒドラジン、ホスファゼン、プロアザホスファトラン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、アミノ基を有するアルコキシシランなどを挙げることができる。これらの2種以上を混合して使用してもよい。
【0087】
外部エネルギーにより酸を発生させる化合物としては、紫外線等の放射線の照射および/または熱によって酸を発生させる化合物を挙げることができる。例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホナートなどのスルホニウム化合物;4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾイン化合物;4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトンなどのフェニルケトン化合物;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンフェノンなどのアセトフェノン化合物;2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサンテン化合物;2−アミノアントラキノン、2−エチルアントラキノンなどのアントラキノン化合物;ベンズアントロン、メチレンアントロンなどのアントロン化合物;2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾールなどのイミダゾール化合物;2−(3,4−ジメトキシシチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン化合物;2−ベンゾイル安息香酸、過酸化ベンゾイルなどのベンゾイル化合物;2−ピリジルトリブロモメチルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホンなどのスルホン化合物;4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸などのヨードニウム化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、N−メチルアクリドン、ニフェジピン、カンファーキノン、四臭化炭素などが挙げられる。これらの2種以上を混合して使用してもよい。
【0088】
外部エネルギーにより塩基を発生させる化合物としては、紫外線等の放射線の照射および/または熱によって塩基を発生させる化合物を挙げることができる。例えば、ビス[(α−メチル)−2,4,6−トリニトロベンジルオキシカルボニル]メタンジフェニレンジアミン、N−[(2−ニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル−2−プロピルアミンなどのアミン化合物;ベンジルカルバメート、ベンジルスルホンアミド、ベンジル4級アンモニウム塩、イミン、イミニウム塩、コバルトアミン錯体、オキシム化合物などが挙げられる。これらの2種以上を混合して使用してもよい。
【0089】
除去剤において、酸成分もしくは塩基成分の含有量は、溶媒を除いた成分中1〜80質量%が好ましい。その中でも、沸点が80℃以上の酸の含有量は、溶媒を除いた成分中の質量割合が10〜70質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。沸点が80℃以上の塩基の含有量は、溶媒を除いた成分中0.01〜70質量%が好ましい。また、外部エネルギーにより酸を発生させる化合物の含有量は、溶媒を除いた成分中0.1〜70質量%が好ましい。外部エネルギーにより塩基を発生させる化合物の含有量は、溶媒を除いた成分中1〜80質量%が好ましい。ただし、この範囲に限定されず、化合物の分子量、発生する酸または塩基の量、除去される導電層の材質や膜厚、加熱温度および加熱時間により適宜選択できる。
【0090】
除去剤に使用する溶媒の具体例として、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;アセトン、アセトフェノン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレン、ベンジルアルコールなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、1,2−プロパンジオール、テルピネオール、アセチルテルピネオール、ブチルカルビトール、エチルセルソルブ、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロールなどのアルコール類;トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノアリールエーテル類;ポリエチレングリコールモノアリールエーテル類;プロピレングリコールモノアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ソルベントナフサ、水、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルエチレン尿素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、テトラメチル尿素などが挙げられる。これらの2種以上を混合して使用してもよい。
【0091】
除去剤において、溶媒の含有量は、除去剤中1質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。溶剤の含有量を1質量%以上とすることにより、除去剤の流動性を向上させ、塗布性をより高めることができる。溶媒の含有量は、99.9質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。溶剤の含有量を99.9質量%以下とすることにより、加熱時の流動性を適切な範囲に保つことができ、所望のパターンを精度よく維持することができる。
【0092】
除去剤は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂を含有することで、除去剤に非ニュートン流動性を付与することができ、公知の方法により容易に導電積層体に塗布することができるようになるためである。また、加熱処理時の除去剤の流動を抑制し、塗布位置の精度を向上させることができる。この目的に使用できる樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメタクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。また、非イオン性親水性樹脂、アニオン性親水性樹脂、両イオン性親水性樹脂、カチオン性親水性樹脂などの親水性樹脂を含有すると、水や塩基性水溶液や有機溶剤の水溶液で容易に洗浄することができ、除去面の残存物を低減することができる。かかる親水性樹脂としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、親水性ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリエチルオキサゾリン、ポリアクリル酸、ゼラチン、ヒドロキシアルキルグア、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アラビアガム、ペクチン、キサンタンガム、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム、アクリルアミド系共重合体、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルフォニウム、ポリビニルピリジン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミンなどおよびこれらの変性物などが挙げられる。これらの中でも、酸存在下や高温条件下でも変性し難く、極性溶媒に高い溶解性を示す、カチオン性樹脂がより好ましい。カチオン性樹脂は、高い溶解性を有することにより、加熱処理後、液体を用いた洗浄によって導電層を除去する工程において、短時間で導電層を除去することができる。なお、カチオン性樹脂としては、例えば、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミン、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−9、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−52、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−68などおよびこれらの変性物などが挙げられる。例えば、ポリクオタニウム−10は、側鎖末端にトリメチルアンモニウム基を有するので、酸性条件下においてトリメチルアンモニウム基がカチオン化し、静電反発の作用により高い溶解性を示し、また、加熱による脱水重縮合が生じ難く、加熱後でも高い溶媒溶解性を保持する。このため、加熱処理後、液体を用いた洗浄によって導電層を除去する工程において、短時間で導電膜を除去することができるので好ましい。
【0093】
除去剤に、樹脂を含有したものを用いる場合の樹脂の含有量は、溶媒を除いた成分中0.01〜80質量%が好ましい。かかる範囲の中でも、除去剤中の樹脂含有量は、導電層除去に要する加熱温度を低く抑え、加熱時間を短縮することが可能となるために、非ニュートン流動性を維持できる範囲で極力少ないことがより好ましい。
【0094】
除去剤の粘度は、25℃で2〜500Pa・S程度が好ましい。粘度をかかる範囲とすることで、均一な塗布膜をスクリーン印刷法によって容易に形成することができる。除去剤の粘度は、例えば、溶媒と樹脂の含有量により調整することができる。
【0095】
除去剤に用いるレベリング剤は、除去剤の表面張力を50mN/m未満に低下させる性質を持つ化合物が好ましい。なお、本発明においては、表面張力を50mN/m未満に低下させる性質をもつ化合物であれば、高分子化合物であってもレベリング剤に分類するものとする。レベリング剤の具体例としては、変性ポリアクリレートなどのアクリル系化合物やアクリル系樹脂;分子骨格に二重結合を有するビニル系化合物やビニル系樹脂;アルキルオキシシリル基および/またはポリシロキサン骨格などを有するシリコーン系化合物やシリコーン系樹脂;フッ素化アルキル基および/またはフッ素化フェニル基などを有するフッ素系化合物やフッ素系樹脂などを挙げることができる。保護層表面の材質や極性状態によって、これらを適宜選択して用いることができる。フッ素化アルキル基および/またはフッ素化フェニル基などを有するフッ素系化合物やフッ素系樹脂は、表面張力低減能が強いため、特に好ましく用いられる。
【0096】
除去剤において、レベリング剤の含有量は、導電積層体への濡れ性やレベリング性などの界面活性能と、得られる塗膜の酸含有量のバランスから、溶媒を除いた成分中0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.05〜3質量%がさらに好ましい。
【0097】
除去剤が、沸点80℃以上の酸または外部エネルギーにより酸を発生させる化合物を含む場合、さらに硝酸塩または亜硝酸塩を含むことが好ましい。酸と導電成分の反応は、それぞれの種類によって反応速度が異なる場合があるが、硝酸塩または亜硝酸塩を含むことにより、加熱処理時、酸と硝酸塩または亜硝酸塩とが反応し、系中にて硝酸が生成することから、導電成分の溶解をより促進させることができる。このため、短時間の加熱処理により導電層を除去することができる。硝酸塩としては、例えば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、またはそれら硝酸塩の水和物が挙げられる。亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸銀、亜硝酸バリウムなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、硝酸生成の反応速度などを考慮すると硝酸塩が好ましく、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムがより好ましい。
【0098】
除去剤は、目的に応じて、酸化チタン、アルミナ、シリカなどの無機微粒子;チキソトロピック性を付与することができるチキソ剤;帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候剤、耐熱剤、酸化防止剤、防錆剤、スリップ剤、ワックス、離型剤、相溶化剤、分散剤、分散安定剤、レオロジーコントロール剤などの添加剤を含有してもよい。
【0099】
除去剤の製造方法について例を挙げて説明する。まず、溶媒に樹脂を添加し、十分に撹拌して溶解させる。次に、沸点が80℃以上の酸、沸点が80℃以上の塩基および外部エネルギーにより酸または塩基を発生させる化合物から選ばれた化合物、レベリング剤および必要に応じて前記添加剤を加え撹拌する。添加方法および添加順序は特に限定されない。各段階における撹拌は、加熱条件下で行ってもよく、溶解速度を上げる目的から50〜80℃で撹拌することが好ましい。
【0100】
次に、本発明のタッチパネルについて説明する。本発明のタッチパネルは、本発明の導電積層体を単独もしくは複数枚搭載したものであり、さらに他の部材を組み合わせて搭載してもよい。タッチパネルの例としては、抵抗膜式タッチパネルや静電容量式タッチパネル等が挙げられる。本発明のタッチパネルは、たとえば図3に示すように、導電層がパターニングされた導電積層体14の複数枚を、接着剤や粘着剤等の接合層19によって接合して積層したものである。さらに、該積層物の片側に、タッチパネルの画面側の基材20、および該基材20の表面に積層したハードコート層21が積層される。かかるタッチパネルは、例えば、リード線と駆動ユニット等を取り付け、液晶ディスプレイの前面に組み込んで用いられる。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
【0102】
(1)表面抵抗値R
表面抵抗値は、非接触式抵抗率計(ナプソン(株)製 NC−10)を用い渦電流方式で100mm×50mmのサンプルの中央部分を測定した。検出限界を超えて表面抵抗値が得られなかった場合は、次いで以下の方法にて測定した。
【0103】
高抵抗率計(三菱化学(株)製 Hiresta(登録商標)−UP MCP−HT450)を用い、リングタイププローブ(三菱化学(株)製 URSプローブ MCP−HTP14)を接続して二重リング方式で100mm×100mmのサンプルの中央部分を測定した。
いずれの方法も、5サンプルについて測定し、平均値を表面抵抗値R[Ω/□]とした。
【0104】
(2)積層体の構成の観察
サンプルの観察したい部分近傍を、氷で埋包し凍結固着、もしくはエポキシ樹脂のような氷よりさらに固着力の強い成分で埋包後、日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にダイヤモンドナイフをセットしてフィルム平面に垂直な方向に切断した。次いで得られたフィルムの断面を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察した。観察倍率は、2500〜200000倍の範囲から、積層体の厚みが表示装置の縦方向の長さの50〜90%となる倍率を選択し、画像のコントラストを適宜調節して観察した。
【0105】
(3)架橋層に含まれる官能基種および構造の同定
先ず、(1)または(2)の方法にて、導電積層体のどちらの側が架橋層側の面かを特定した。次いでサンプルから架橋層を剥離し、架橋層を溶解可能な溶剤に溶解させた。必要に応じ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィー等を適用し、架橋層に含まれる成分を、それぞれ単一物質に分離精製して、以下の定性分析および定量分析に供した。なお、同様の方法を保護層を対象に実施し、保護層の化合物の含有元素、構造および結合様態の同定も実施することができる。
【0106】
その後、各物質について必要に応じて濃縮および希釈を行いサンプルを調製した。まず、定性分析用を行い、サンプル中に含まれる成分を特定した。分析手法は、まず(i)の群の分析の手法を組み合わせて行い、その分析で検出できなかった成分については(ii)の群の分析の手法を組み合わせて分析を行った。なお各群の測定手法は、先に示したものから順に適用し、先のもので検出できなかった場合に次の測定法を用いた。また組み合わせる場合にも、同様に先に記したものを優先して用い、より少ない組み合わせで測定できるものを優先して適用した。
(i)核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、19F−NMR)、二次元核磁気共鳴分光法(2D−NMR)、赤外分光光度法(IR)、ラマン分光法、各種質量分析法(ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、熱分解ガスクロマトグラフィー−質量分析法(熱分解GC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)、ダイナミック二次イオン質量分析法(Dynamic−SIMS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、その他スタティック二次イオン質量分析法(Static−SIMS)等)。
(ii)X線回折法(XRD)、中性子回折法(ND)、低速電子線回折法(LEED)、高速反射電子線回折法(RHEED)、原子吸光分析法(AAS)、紫外光電子分光法(UPS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線元素分析法(XRF)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)、荷電粒子励起X線分光法(PIXE)、低エネルギーイオン散乱分光法(RBSまたはLEIS)、中エネルギーイオン散乱分光法(MEIS)、高エネルギーイオン散乱分光法(ISSまたはHEIS)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透過電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(TEM−EDX)、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(SEM−EDX)、ガスクロマトグラフィー(GC)その他元素分析。
【0107】
(4)架橋単位構造質量含有率の測定
(3)の方法を実施の後、得られた架橋層の剥離物もしくは分離物のうち任意の一部を分取し、質量を測定し、測定サンプルとした。その後、予め質量を測定した1,1,2,2−テトラブロモエタン(以下TBEと略す)を適宜重クロロホルム等で希釈して既知の濃度とする内標溶液を用意した。前記分取したサンプルに前記TBE内標溶液を添加し、この試験溶液をH−NMRを用いて測定した。得られたH−NMRスペクトルにおいて、炭素−炭素二重結合基を含む官能基の炭素−炭素二重結合基部分の水素(プロトン、H)に由来するピークのピーク面積と、内標として添加したTBEの水素(プロトン、H)に該当するピーク面積との面積比率、予め測定したサンプルの質量およびTBE内標溶液の濃度から、炭素−炭素二重結合基量を算出した。これと、同様にして算出した、測定サンプル中の他の構造との比較から、測定サンプルの全質量に対する炭素−炭素二重結合基の単位構造部分の質量含有率を算出した。なお、ここで炭素−炭素二重結合基とは、反応して他の構造に変化している炭素−炭素二重結合基由来の基も含む。
【0108】
(5)架橋層の厚み
先ず、(1)または(2)の方法にて、導電積層体のどちらの側が架橋層側の面かを特定した。(2)と同様にして、導電積層体をフィルム平面に垂直な方向に切断した。次いで得られた断面の架橋層の部分を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kV、観察倍率10000〜100000倍にて、画像のコントラストを適宜調節して各倍率にて観察した。得られた断面写真から架橋層を厚みと直交する方向に16等分した境界の15箇所において厚みを測定し、平均値を求めた。なお、本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求めた。
【0109】
(6)線状構造体の判別(導電成分の構造)、線状構造体のネットワーク状態
先ず、(1)または(2)の方法にて、導電積層体のどちらの側が架橋層側の面かを特定した。サンプルの導電層側の表面を、走査透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 日立走査透過電子顕微鏡HD−2700)を用いて観察した。
【0110】
前記方法にて観察が困難な場合は、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察倍率10000〜200000倍で、画像のコントラストを適宜調節して観察した。
【0111】
さらに前記方法にて観察が困難な場合は、次いでカラー3D レーザー顕微鏡((株)キーエンス製 VK−9710)を用いて、付属の標準対物レンズ10X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 10X)、20X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 20X)、50X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 50X)、150X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 150XA)にて各倍率で保護層側の同位置を表面観察し、その画像データから観察アプリケーション((株)キーエンス製 VK−HV1)を用いて画像解析し確認した。
【0112】
それでも観察が困難な場合は、次いで原子間力顕微鏡(Digital Instruments社製 NanoScope(登録商標)III)を用いて、カンチレバーをシリコン単結晶、走査モードをタッピングモード、測定環境を温度25℃および相対湿度65%RHにて観察した。
【0113】
(7)保護層の平均厚みt
先ず、(1)または(2)の方法にて、導電積層体のどちらの側が保護層側の面かを特定した。(2)と同様にして、フィルム平面に垂直な方向に切断した。次いで得られた断面の保護層の部分を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察倍率10000〜100000倍にて、画像のコントラストを適宜調節して観察した。得られた断面写真から図4に示す線状構造体が存在しない部分の保護層厚み23(前記保護層厚みが厚い部分)と、単一の線状構造体の頂点上の保護層厚み24もしくは線状構造体からなる集合体の頂点上の保護層厚み25(前記保護層厚みが薄い部分)に該当する部分について、おのおの任意の5箇所を測定(拡大倍率から計算)し、平均して保護層の平均厚みを求めた。なお、本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求めるものとする。
【0114】
(8)線状構造体の径r、保護層の平均厚みtの観察
電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて(7)と同様に断面もしくは保護層側表面を観察し、線状構造体の部分と線状構造体が積層していない部分の画像のコントラストを適宜調節して観察した。なお、rとtの大小の判断は、断面観察から線状構造体の径rを測定し(7)より求めたtと比較した。
【0115】
(9)熱に対する耐久性(パターニング前)の評価
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7361−1(1997)に基づいて、導電積層体の厚み方向のヘイズ値を、導電層側(保護層側)から光を入射させて測定した。5サンプルについて測定した値から平均値を算出し、これを初期ヘイズHzとした。次いで、5サンプルとも安全扉つき恒温器セーフティーオーブン(エスペック(株)製 SPHH−201)にて130℃で30分間加熱した。加熱後の5サンプルを、加熱前と同様に、導電層側(保護層側)から光を入射させてヘイズ値を測定した。5サンプルについて測定した値から平均値を算出し、これを加熱後ヘイズHzとした。加熱前後のヘイズ変化として、前記初期ヘイズHzと加熱後ヘイズHzとの比Hz/Hzが1.20以下である場合を合格とし、Hz/Hzが1.20より大きい場合を不合格とした。なお、Hz/Hzが小さいほどオリゴマーの析出が少なく熱に対する耐久性が高いことを意味する。最も耐久性が良いものは加熱前後でのヘイズ変化がない、すなわちHz/Hzが1.0である。逆にHz/Hzが大きいほど熱に対する耐久性が悪いことを意味する。
【0116】
(10)熱に対する耐久性(パターニング後)の評価
(i)以下のようにして、導電層がパターニングされた導電積層体を得た。
後述する除去剤を用意し、導電積層体上にSUS#500メッシュを用いて、除去剤を乾燥後の膜厚が2.4μmとなるようにスクリーン印刷した。印刷パターンは、ライン長5cm、ライン幅500μmの直線ラインとした。除去剤を塗布後、赤外線オーブンに入れ、130℃で3分間加熱処理し、オーブンから取り出し室温まで放冷した後、25℃の純水を用いて1分間洗浄を行い、付着している除去剤および分解物を除去した。そして、前記基板を圧空を用いて水切りしてから、赤外線オーブンで80℃1分間乾燥し、導電層がパターニングされた導電積層体を得た。
(ii)次いで、パターニングされた導電積層体を恒温器セーフティーオーブン(エスペック(株)製 SPHH−201)にて130℃で30分間加熱した。パターニング部分の表面を光学顕微鏡((株)ニコン製 ECLIPSE−L200)にて観察し、加熱前後でのパターニング部分表面のオリゴマーの析出有無を観察した。なお、オリゴマーの析出有無は、加熱前の表面に存在していなかった斑点や斑点模様が、加熱後に存在するか否かで判断した。光学顕微鏡でオリゴマーが観察できなかった場合は、トプコン社製走査型電子顕微鏡ABT−32を用いて、同様に表面を観察し、オリゴマーの析出有無を確認した。任意の10点にて観察を行いオリゴマーの析出が1カ所もない場合を合格とする。
【0117】
(11)パターニング部分の電気絶縁性の評価
(10)にて作製した導電層がパターニングされた導電積層体を、直線パターンのライン長の両端部から、それぞれ1cmの部分で切断し、中央を該直線パターン(エッチングライン)で仕切られた3cm×10cmの導電積層体を得た。そして、エッチングラインの右側と左側に絶縁抵抗計(三和電気計器(株)製、EA709DA−1)の探針をあて、直流25V印加で10MΩ以上の電気抵抗を示した場合を合格、10MΩ未満の電気抵抗を示した場合を不合格とした。
【0118】
(12)パターニング部分の導電成分の残存有無の観察
(10)にて作製した導電層がパターニングされた導電積層体のパターニング部分を、(7)または(8)に記載と同様の方法、もしくは走査透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 日立走査透過電子顕微鏡HD−2700)にて観察した。(6)にて判別した導電成分が確認できない場合を合格(導電成分の残存無し)、確認できる場合を不合格(導電成分の残存有り)とした。
【0119】
(13)光開始剤の極大吸収波長の差の測定
(3)と同様のいずれかの方法にて保護層の成分を分離精製し、各種成分の内、光開始剤に該当する化合物のみを抽出した。光開始剤に該当するかしないかが不明な場合は、放射線を照射し、ラジカル種、カチオン種、アニオン種のいずれかが発生する化合物を光開始剤とした。次いで、光開始剤を溶解可能な溶剤に溶解させた。次いで、この溶液を石英セル中に入れ、紫外可視分光光度計(UV−Bis Spectrophotometer、日本分光(株)製 V−660型)を用いて、光路長1cmにて、波長200〜900nmにおける吸収スペクトルを測定し、極大吸収波長を求めた。
【0120】
各光開始剤において、同様に3回吸収スペクトルを測定し、極大吸収波長を求めて、その平均値を光開始剤の極大吸収波長とした。保護層に含まれる複数の光開始剤について、極大吸収波長の差を求めた。
【0121】
なお、吸収波長の極大値が複数ある場合は、以下を極大吸収波長とする。吸収スペクトルにおける200〜400nmの領域に存在する複数の極大値の内、最も吸光度の大きい極大値における波長を極大吸収波長とした。ここで、溶剤に溶解させた際の光開始剤の濃度が高すぎると、最も吸光度の大きい極大値において、吸光度が使用する装置の検出限界を越えてしまい、あたかもその極大値が無いように観察されてしまうことがあるので、適宜光開始剤の濃度を変えて同様に測定し、各同濃度において相対的に最も吸光度の大きい極大値における波長を極大吸収波長とした。
【0122】
(14)全光線透過率の測定
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7361−1(1997)に基づいて、導電積層体の厚み方向の全光線透過率を、導電層側から光を入射させて測定した。5サンプルについて測定した値から平均値を算出し、これを全光線透過率とした。
【0123】
(15)架橋層側と保護層側との間の摩擦係数の測定
JIS C2151(2006)に準拠し、2枚の導電積層体の架橋層側と保護層側を接触させた状態で200gの荷重をかけて摩擦係数を評価した。10サンプルについて静摩擦係数および動摩擦係数を求め、10サンプルの平均値を、それぞれ静摩擦係数および動摩擦係数とした。
【0124】
(16)表面擦過性の測定
JIS L0849(2004)に準拠し、導電積層体の架橋層側と保護層側の表面を試験用添付白布 綿(カナキン3号)によって50往復摩擦した。次いで摩擦面のうち任意の2cm四方を2箇所選び、各箇所を摩擦面に対し10°方向から、蛍光灯で照らしながら、摩擦方向と平行方向(摩擦方向に対し±10°以内)の傷を目視観察し、長さ0.5mm以上の傷を数えた。5サンプルにて評価を行い、計10箇所の平均を小数第1位を四捨五入して整数で求め、摩擦方向と平行方向に傷の数(以下単に傷の数と記す)とした。本発明における判定基準は、下記の3段階に分類し、A、B級であれば合格と判定した。
A級:傷の数が2個以下。
B級:傷の数が3以上10個以下。
C級:傷の数が11個以上。
【0125】
(17)透過光色調b*値(C光源)の測定
導電積層体の架橋層側からC光源による光を入射した際の透過率を、JIS Z8729(2004)に基づき、分光光度計(島津製作所製、UV−3150)を用いて測定した。C光源で2゜視野の380〜780nmにおける透過率スペクトルを1nm間隔で測定し、XYZ(CIE1976)表色系の透過色度計算結果にて透過光色調b*値を測定した。5サンプルにて測定し、5サンプルの透過光色調b*値の平均値を透過光色調b*値(C光源)とした。
【0126】
各実施例および比較例に使用した材料等を以下に示す。
[保護層]
(1)保護層材料A
・S元素、P元素、金属元素、金属イオン、および、官能基を構成するN元素をいずれも含まず、架橋構造を形成しない直鎖メタクリル系樹脂(綜研化学(株)製 フォレットGS−1000、固形分濃度30質量%)
(2)保護層材料B
・S元素、P元素、金属元素、金属イオン、および、官能基を構成するN元素をいずれも含まず、光開始剤により架橋構造を形成する多官能アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%)
(3)保護層材料C
・S元素、P元素、金属元素、金属イオン、および、官能基を構成するN元素をいずれも含まず、フッ素を含有し、光開始剤により架橋構造を形成する多官能アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーUAF−1、固形分濃度48.4質量%)
(4)保護層材料D
・S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まず、骨格構造内にN元素を含み、光開始剤により架橋構造を形成する多官能アクリル系/ウレタンアクリレート系混合組成物(中国塗料(株)製 フォルシードNo.420C、固形分濃度50質量%)
(5)保護層材料E
・S元素、P元素、金属元素、金属イオン、および、官能基を構成するN元素をいずれも含まず、骨格構造内にN元素を含み、光開始剤により架橋構造を形成する多官能ウレタンアクリレート系組成物(根上工業(株)製 アートレジンUN−904M、固形分濃度80質量%)
(6)保護層材料F
・官能基を形成するN元素を含み、光開始剤により架橋構造を形成する多官能アクリル系/メタクリレート系混合組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHCE−022、固形分濃度52.1質量%)
(7)保護層材料G
・Acrylamide t−Butyl Sulfonic Acid(別名2−Acrylamide−2−Methyl Propane Sulfonic Acid、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)およびMethyl Methacrylate(別名メタクリル酸メチル、2−メチル−2−プロペン酸メチル、略名MMA)を共重合して得られた、S元素を含み、架橋構造を形成しない直鎖アクリル系樹脂(固形分濃度100質量%)
(8)保護層材料H
・Acrylamide t−Butyl Sulfonic Acid Sodium Sait(別名2−Acrylamide−2−Methyl Propane Sulfonic Acid Sodium Sait、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)およびMethyl Methacrylate(別名メタクリル酸メチル、2−メチル−2−プロペン酸メチル、略名MMA)を共重合して得られたS元素および金属イオンを含み、架橋構造を形成しない直鎖アクリル系樹脂(固形分濃度100質量%)
(9)保護層材料I
・特開2008−222848号公報の実施例1に記載の方法で得た、P元素を含み、光開始剤により架橋構造を形成する多官能アクリル系樹脂と下記添加剤Aとを含有した組成物(固形分濃度40質量%)。
【0127】
[添加剤]
(10)添加剤A
・極大吸収波長240nmの光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)184)
(11)添加剤B
・極大吸収波長300nmの光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)
(12)添加剤C
・極大吸収波長320nmの光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)
(13)添加剤D
・極大吸収波長250nmの光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)651)。
【0128】
[導電層]
(1)導電層A「針状二酸化ケイ素系・ATO(アンチモンドープ酸化錫)複合化合物導電層」
バインダー成分として前記保護層材料A(アクリル系樹脂)、導電成分として針状形状の二酸化ケイ素系・ATO(アンチモンドープ酸化錫)複合化合物(大塚化学(株)製 デントール(登録商標)TM100、短軸:700〜900nm、長軸:15〜25μm)を用い、固形分全体に対する導電成分量が60質量%となるように混合(固形分混合比:バインダー成分/導電成分=40質量%/60質量%)した。次いでこの混合液に塗料固形分濃度50質量%となるように酢酸エチルを加えて希釈し、針状二酸化ケイ素系・ATO複合化合物分散塗液を得た。この針状二酸化ケイ素系・ATO複合化合物分散塗液を、材質がSUSのシム(シム厚み100μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材上に塗布した後、120℃で5分間乾燥し、針状二酸化ケイ素系・ATO複合化合物導電層を形成した。
【0129】
(2)導電層B「銀ナノワイヤー導電層」
特表2009−505358号公報の例1(銀ナノワイヤーの合成)に記載されている方法にて銀ナノワイヤー(短軸:50〜100nm、長軸:20〜40μm)を得た。次いで、同特表2009−505358号公報の例8(ナノワイヤー分散)に記載されている方法にて銀ナノワイヤー分散塗液を得た。この銀ナノワイヤー分散塗液を、塗液全体に対する銀ナノワイヤー量が0.04質量%となるように濃度調整した。この濃度調整した銀ナノワイヤー分散塗液を、材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材上に塗布した後、120℃で2分間乾燥し、銀ナノワイヤー導電層を形成した。
【0130】
(3)導電層C「CNT導電層」
(触媒調製)
クエン酸アンモニウム鉄(緑色)(和光純薬工業(株)製)2.459gをメタノール(関東化学(株)製)500mLに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(岩谷化学工業(株)製)を100g加え、室温で60分間攪拌し、40℃から60℃で攪拌しながら減圧乾燥してメタノールを除去し、軽質マグネシア粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0131】
(CNT組成物製造)
図5の概略図で示す流動床縦型反応装置でCNTを合成した。反応器100は内径32mm、長さは1200mmの円筒形石英管である。反応器100は、中央部に石英焼結板101を具備し、下部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ライン104、上部には排ガスライン105および、触媒投入ライン103を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器106を具備する。加熱器106には装置内の流動状態が確認できるよう点検口107が設けられている。
【0132】
前記触媒12gを取り、密閉型触媒供給器102から触媒投入ライン103を通して投入し、石英焼結板101上に触媒108をセットした。次いで、原料ガス供給ライン104からアルゴンガスを1000mL/分で供給開始した。反応器内をアルゴンガス雰囲気下とした後、温度を850℃に加熱した。
【0133】
反応器内の温度が850℃に到達した後、温度を保持し、原料ガス供給ライン104のアルゴン流量を2000mL/分に上げ、石英焼結板上の触媒108の流動化を開始させた。加熱炉点検口107から流動化を確認した後、原料ガス供給ライン104から供給されるアルゴンに、メタンを流量95mL/分となるように混合した。該混合ガスを90分供給した後、アルゴンガスのみの流通に切り替え、合成を終了させた。
【0134】
加熱を停止させて、反応器が室温になるまで放置した後、反応器から触媒とCNTを含有するCNT組成物を取り出した。
【0135】
上記で示した触媒付きCNT組成物23.4gを磁性皿に取り、予め446℃まで加熱しておいたマッフル炉(ヤマト科学(株)製、FP41)にて大気下、446℃で2時間加熱した後、マッフル炉から取り出した。加熱処理後のCNT組成物を、触媒を除去するため、6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。濾過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。これを濾過し、数回水洗した後、濾過物を120℃のオーブンで一晩乾燥することで、触媒が除去されたCNT組成物を57.1mg得ることができた。上記操作を繰り返すことによりマグネシアおよび金属が除去されたCNT組成物を500mg用意した。
【0136】
触媒を取り除いたCNT組成物80mgを濃硝酸(和光純薬工業(株)製 1級 Assay60〜61%)27mLに添加し、130℃のオイルバスで5時間攪拌しながら加熱した。加熱攪拌終了後、CNTを含む硝酸溶液をろ過し、蒸留水で水洗後、水を含んだウエット状態のままCNT組成物を1266.4mg得た。
【0137】
(CNT分散塗液)
50mLの容器に硝酸処理後のCNT組成物を10mg(乾燥時換算)および分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(シグマ社製90kDa,50−200cps)10mgを量りとり、蒸留水を加えて総量を10gにし、超音波ホモジナイザー出力20W、20分間で氷冷下分散処理した。得られた液を高速遠心分離機にて10000G、15分遠心し、上清9mLを採取した。この操作を複数回繰り返し得た上清145mLにエタノール5mLを加え、コーターで塗布可能なCNT濃度約0.1質量%のCNT分散塗液(CNTと分散剤の配合比1対1)を得た。このCNT分散塗液を石英ガラスに塗布および乾燥したCNT導電層の屈折率は1.82であった。
【0138】
(CNT導電層の形成)
前記CNT分散塗液をマイクログラビアコーター(グラビア線番150R、グラビア回転比80%)を用いて基材上に塗布した後、100℃で1分間乾燥し、CNT導電層(CNT塗膜でのCNT集合体として短軸:10〜30nm、長軸:1〜5μm)を形成した。
【0139】
(4)導電層D「銀ナノ微粒子導電層」
特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調製)に記載されている方法にて銀ナノ微粒子(短軸、長軸(粒径):9〜15nm)分散液を得た。次いで、同特開2001−243841号公報の[実施例1〜8]に記載されている方法にて銀ナノ微粒子分散液を塗布し、銀ナノ微粒子導電層を形成した。
【0140】
(5)導電層E「銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子混合導電層」
特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調製)に記載されている方法にて得た銀ナノ微粒子分散液に、特表2009−505358号公報の例8(ナノワイヤー分散)に記載されている方法にて得た銀ナノワイヤー分散塗液を、銀ナノ微粒子と銀ナノワイヤーの質量比が銀ナノ微粒子/銀ナノワイヤー=8/2となるように混合し、銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子混合分散液を得た。次いで、同特開2001−243841号公報の[実施例1〜8]に開示されている方法にて銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子混合分散液を基材上に塗布および乾燥し、銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子導電層を形成した。
【0141】
(6)導電層F「ITO(酸化インジウム錫)薄膜導電層」
組成In/SnO=90/10のインジウム・錫酸化物ターゲットを用いて、真空度10−4Torrにてアルゴン/酸素混合ガス導入のもとスパッタリング法にて、厚み250nmのITO(酸化インジウム錫)薄膜導電層を基材上に形成した。
【0142】
[架橋層]
(1)架橋層材料A
・炭素−炭素二重結合基としてスチリル基を有するポリスチレン樹脂(和光純薬工業(株)製 Styrene,Polymer(スチレン,ポリマー)、固形分濃度100質量%、架橋単位構造質量含有率=23質量%)
(2)架橋層材料B
・炭素−炭素二重結合基としてメタクリロイル基を有するメタクリル系樹脂(綜研化学(株)製 フォレットGS−1000、固形分濃度30質量%、架橋単位構造質量含有率=24質量%)
(3)架橋層材料C
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有するアクリル系組成物(マツイカガク(株)製 EXP8002UVアンカー剤−B、固形分濃度40質量%、架橋単位構造質量含有率=12質量%)
(4)架橋層材料D
・炭素−炭素二重結合基としてメタクリロイル基を有するメタクリル系組成物(共栄社化学(株)製 ライトエステルTMP、固形分濃度100質量%、架橋単位構造質量含有率=20質量%)
(5)架橋層材料E
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有するアクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%、架橋単位構造質量含有率=24質量%)
(6)架橋層材料F
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有するウレタンアクリレート系組成物(共栄社化学(株)製 AT−600、固形分濃度100質量%、架橋単位構造質量含有率=9質量%)。
【0143】
(7)架橋層材料G
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有する下記(a)〜(d)からなる組成物(架橋単位構造質量含有率=22質量%)
(a)アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%)77.80質量部
(b)アクリル系/ウレタンアクリレート系混合組成物(中国塗料(株)製 フォルシードNo.420C、固形分濃度50質量%)6.29質量部
(c)添加剤B(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)2.07質量部
(d)添加剤C(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)2.07質量部。
【0144】
(8)架橋層材料H
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基およびメタクリロイル基を有する多官能アクリル系/メタクリレート系混合組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHCE−032、固形分濃度51.4質量%、架橋単位構造質量含有率=26質量%)
(9)架橋層材料I
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有する下記(a)〜(e)からなる混合組成物(青色素添加剤の含有量は(a)、(b)の総固形分量に対し、0.5質量%、架橋単位構造質量含有率=22質量%)
(a)アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%)77.80質量部
(b)アクリル系/ウレタンアクリレート系混合組成物(中国塗料(株)製 フォルシードNo.420C、固形分濃度50質量%)6.29質量部。
(c)添加剤B(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)2.07質量部
(d)添加剤C(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)2.07質量部
(e)アントラキノン系青色素添加剤(日本化薬(株)製 Kayaset Blue A−2R)0.22質量部。
【0145】
(10)架橋層材料J
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有する下記(a)〜(d)からなる混合組成物(滑り性付与添加剤の含有量は(a)の総固形分量に対し、0.3質量%、架橋単位構造質量含有率=23質量%)
(a)アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%)77.80質量部
(b)添加剤B(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)1.87質量部
(c)添加剤C(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)1.87質量部
(d)シリコーンアクリレート系滑り性付与添加剤(ダイセル・サイテック(株)製 EBECRYL1360、ポリシロキサンヘキサアクリレート、固形分濃度100質量%)0.12質量部。
【0146】
(11)架橋層材料K
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有する下記(a)〜(d)からなる混合組成物(滑り性付与添加剤の含有量は(a)の総固形分量に対し、1.0質量%、架橋単位構造質量含有率=23質量%)
(a)アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%)77.80質量部
(b)添加剤B(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)1.87質量部
(c)添加剤C(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)1.87質量部
(d)シリコーンアクリレート系滑り性付与添加剤(ダイセル・サイテック(株)製 EBECRYL1360、ポリシロキサンヘキサアクリレート、固形分濃度100質量%)0.40質量部。
【0147】
(12)架橋層材料L
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有する下記(a)〜(d)からなる混合組成物(滑り性付与添加剤の含有量は(a)の総固形分量に対し、3.0質量%、架橋単位構造質量含有率=23質量%)
(a)アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%)77.80質量部
(b)添加剤B(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)1.87質量部
(c)添加剤C(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)1.87質量部
(d)シリコーンアクリレート系(ポリシロキサンヘキサアクリレート)滑り性付与添加剤(ダイセル・サイテック(株)製 EBECRYL1360、固形分濃度100質量%)1.19質量部。
【0148】
(13)架橋層材料M
・炭素−炭素二重結合基を含有しないポリエステル変性シリコーン系(末端水酸基(ヒドロキシル基)ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン)組成物(信越化学(株)製 X−22−8300、固形分濃度25質量%、架橋単位構造質量含有率=0質量%)
(14)架橋層材料N
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有するアクリル系組成物(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートBP−10EA、固形分濃度100質量%、架橋単位構造質量含有率=6質量%)
(15)架橋層材料O
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有するアクリル系組成物(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートPE−4A、固形分濃度100質量%、架橋単位構造質量含有率=27質量%)
(16)架橋層材料P
・炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を有する下記(a)〜(e)からなる混合組成物(青顔料添加剤の含有量は(a)、(b)の総固形分量に対し、0.3質量%、架橋単位構造質量含有率=22質量%)
(a)アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアーHC−6、固形分濃度51質量%)77.80質量部
(b)アクリル系/ウレタンアクリレート系混合組成物(中国塗料(株)製 フォルシードNo.420C、固形分濃度50質量%)6.29質量部
(c)添加剤B(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)2.07質量部
(d)添加剤C(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)2.07質量部
(e)青顔料添加剤(ピグメントブルー15:6)0.15質量部。
【0149】
[除去剤]
除去剤(酸を含有する除去剤)の製法を以下に示す。
容器にエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)70g、N,N’−ジメチルプロピレン尿素(東京化成工業(株)製)30gおよび硝酸ナトリウム5gを入れて混合した。これに、ポリクオタニウム−10(ISPジャパン製)5gとチキソ剤としてチクサトロールMAX(エレメンティスジャパン(株)製、ポリエステルアミド誘導体)0.5gを加え、オイルバスで60℃に加熱しながら30分間撹拌した。
【0150】
次に、容器をオイルバスから外し、室温まで放冷した後、レベリング剤(DIC(株)製、F−555)0.5gとp−トルエンスルホン酸一水和物(東京化成工業(株)製、大気圧下における沸点:103〜106℃)10gを加え、15分間撹拌した。得られた溶液をメンブレンフィルター(ミリポア(株)製オムニポアメンブレンPTFE、公称0.45μm径)で濾過して、除去剤を得た。
【0151】
(実施例1)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を基材として用いた。次いで、前記架橋層材料A 100g、ベンゼン 1026gを混合、撹拌し、架橋層塗布液を調製した。この架橋層塗布液を、基材上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布した後、120℃で2分間乾燥し、厚み950nmの架橋層を形成した。
【0152】
次いで、基材の架橋層とは反対の面に、前記のようにして、前記導電層Aを形成した。
次いで、前記保護層材料A 296g、酢酸エチル 704gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Aの上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布した後、120℃で2分間乾燥し、厚み950nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0153】
(実施例2)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を基材として用いた。次いで、前記架橋層材料B 500g、酢酸エチル 1382gを混合、撹拌し、架橋層塗布液を調製した。この架橋層塗布液を、基材上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布した後、120℃で2分間乾燥し、厚み850nmの架橋層を形成した。
【0154】
次いで、基材の架橋層とは反対の面に、前記のようにして、前記導電層Aを形成した。
次いで、前記保護層材料A 500g、「酢酸エチル 1500gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Aの上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布した後、120℃で2分間乾燥し、厚み800nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0155】
(実施例3)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を基材として用いた。次いで、前記架橋層材料C 300g、トルエン 764g、メチルエチルケトン 764gを混合、撹拌し、架橋層塗布液を調製した。この架橋層塗布液を、基材上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、100℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み700nmの架橋層を形成した。
【0156】
次いで、基材の架橋層とは反対の面に、前記のようにして、前記導電層Bを形成した。
次いで、前記保護層材料B 150g、前記添加剤A 3.60g、前記添加剤B 7.15g、酢酸エチル 1907gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Bの上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み450nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0157】
(実施例4)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 150g、前記添加剤A 3.60g、前記添加剤B 7.15g、酢酸エチル 2288gとしたこと以外は、実施例3と同様にして、厚み380nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0158】
(実施例5)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 150g、前記添加剤A 3.60g、前記添加剤B 7.15g、酢酸エチル 2748gとしたこと以外は、実施例3と同様にして、厚み310nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0159】
(実施例6)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 150g、前記添加剤A 3.60g、前記添加剤B 7.15g、酢酸エチル 3561gとしたこと以外は、実施例3と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0160】
(実施例7)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料D 76.5g、前記添加剤A 3.60g、前記添加剤B 7.15g、トルエン 990g、酢酸エチル 990gとしたこと以外は、実施例6と同様にして、厚み450nmの架橋層を設け、本発明の導電積層体を得た。
【0161】
(実施例8)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料E 78.4g、前記添加剤B 1.88g、前記添加剤C 1.88g、酢酸エチル 1423gとしたこと以外は、実施例6と同様にして、厚み310nmの架橋層を設け、本発明の導電積層体を得た。
【0162】
(実施例9)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料F 40.0g、前記添加剤B 1.88g、前記添加剤C 1.88g、酢酸エチル 1462gとしたこと以外は、実施例6と同様にして、厚み310nmの架橋層を設け、本発明の導電積層体を得た。
【0163】
(実施例10)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料C 150g、前記添加剤A 3.41g、前記添加剤B 6.79g、酢酸エチル 3373gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0164】
(実施例11)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 77.80g、前記保護層材料D 6.29g、前記添加剤A 2.07g、前記添加剤B 2.07g「酢酸エチル 1916gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0165】
(実施例12)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料E 100g、前記添加剤A 3.76、酢酸エチル 3470gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0166】
(実施例13)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料F 120g、前記添加剤A 2.94g、前記添加剤B 5.85g、酢酸エチル 2913gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0167】
(実施例14)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 117g、前記保護層材料G 6.63g、前記添加剤A 3.12g、前記添加剤B 6.20g、酢酸エチル 3094gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0168】
(実施例15)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 117g、前記保護層材料H 6.63g、前記添加剤A 3.12g、前記添加剤B 6.20g、酢酸エチル 3094gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0169】
(実施例16)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 117g、前記保護層材料I 16.58g、前記添加剤B 6.2g、酢酸エチル 2954gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0170】
(実施例17)
実施例8と同様に、架橋層および導電層を積層した。次いで、特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調製)に開示されている方法にて得た銀ナノ微粒子分散液を蒸発乾固し、銀ナノ微粒子を得た。
【0171】
次いで、前記保護層材料B 123.5g、前記銀ナノ微粒子 3.32g、前記添加剤A 3.12g、前記添加剤B 6.20g、酢酸エチル 3090gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Bの上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0172】
(実施例18)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を基材として用いた。次いで、前記架橋層材料E 78.4g、前記添加剤B 1.88g、前記添加剤C 1.88g、酢酸エチル 3566gを混合、撹拌し、架橋層塗布液を調製した。この架橋層塗布液を、基材上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み70nmの架橋層を形成した。
【0173】
次いで、基材の架橋層とは反対の面に、前記のようにして、前記導電層Cを形成した。
次いで、前記保護層材料B 50g、前記添加剤A 1.20g、前記添加剤B 2.38g、酢酸エチル 2370gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Cの上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み75nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0174】
(実施例19)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 77.80g、前記保護層材料D 6.29g、前記添加剤A 2.07g、前記添加剤B 2.07g、酢酸エチル 3825gとしたこと以外は、実施例18と同様にして、厚み75nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0175】
(実施例20)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料G 100g、酢酸エチル 4752gとしたこと以外は、実施例19と同様にして、厚み70nmの架橋層を設け、本発明の導電積層体を得た。
【0176】
(実施例21)
導電層を前記導電層Eとしたこと以外は、実施例8と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0177】
(実施例22)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 77.80g、前記保護層材料D 6.29g、前記添加剤A 1.38g、前記添加剤B 1.38g、前記添加剤C 1.38g、酢酸エチル 1916gとしたこと以外は、実施例8と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0178】
(実施例23)
前記添加剤Cの代わりに前記添加剤Dを用いた以外は、実施例22と同様にして、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0179】
(実施例24)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料C 300g、トルエン 764g、メチルエチルケトン 764gとしたこと以外は、実施例22と同様にして、厚み700nmの架橋層を設け、本発明の導電積層体を得た。
【0180】
(実施例25)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料G 100g、酢酸エチル 4267gとしたこと以外は、実施例22と同様にして、厚み130nmの架橋層を設け、本発明の導電積層体を得た。
【0181】
(実施例26)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料G 100g、酢酸エチル 3596gとし、この架橋層塗布液を、基材上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させて、厚み90nmの架橋層を形成したこと以外は、実施例22と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0182】
(実施例27)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 77.80g、前記保護層材料D 6.29g、前記添加剤A 1.38g、前記添加剤B 1.38g、前記添加剤C 1.38g、酢酸エチル 4086gとしたこと以外は、実施例26と同様にして、厚み120nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0183】
(実施例28)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料H 77.80g、前記添加剤B 1.88g、前記添加剤C 1.88g、酢酸エチル 1423gとして、厚み310nmの架橋層を形成したこと以外は、実施例22と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0184】
(実施例29)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料H 155.6g、前記添加剤B 3.76g、前記添加剤C 3.76g、酢酸エチル 1630gとして、厚み310nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例22と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0185】
(実施例30)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料H 233.4g、前記添加剤B 5.64g、前記添加剤C 5.64g、酢酸エチル 1227gとして、厚み310nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例22と同様にして本発明の導電積層体を得た。
【0186】
(実施例31)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料I 50.0g、酢酸エチル 2138gとして、厚み130nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例22と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0187】
(実施例32)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料I 100g、酢酸エチル 1735gとして、厚み310nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例22と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0188】
(実施例33)
厚み50μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を基材として用いた。次いで、前記架橋層材料C 300g、トルエン 764g、メチルエチルケトン 764gを混合、撹拌し、架橋層塗布液を調製した。この架橋層塗布液を、基材上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、100℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み700nmの架橋層を形成した。
【0189】
次いで、基材の架橋層とは反対の面に、前記のようにして、前記導電層Bを形成した。
次いで、前記保護層材料B 77.80g、前記保護層材料D 6.29g、前記添加剤A 1.38g、前記添加剤B 1.38g、前記添加剤C 1.38g、酢酸エチル 1916gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Bの上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み250nmの保護層を形成し、本発明の導電積層体を得た。
【0190】
(実施例34)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料G 100g、酢酸エチル 4267gとして、厚み130nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例33と同様にして本発明の導電積層体を得た。
【0191】
(実施例35)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料J 100g、酢酸エチル 1734gとして、厚み310nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例33と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0192】
(実施例36)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料K 100g、酢酸エチル 1740gとして、厚み310nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例33と同様にして本発明の導電積層体を得た。
【0193】
(実施例37)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料L 100g、酢酸エチル 1755gとして、厚み310nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例33と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0194】
(実施例38)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料P 300g、酢酸エチル 2190gとして、厚み700nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例22と同様にして、本発明の導電積層体を得た。
【0195】
(比較例1)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を、架橋層、導電層および保護層を設けずに、各種評価を行った。
【0196】
(比較例2)
実施例22と同様に導電層および保護層を形成し、架橋層のみを設けずに、導電積層体を得た。
【0197】
(比較例3)
実施例8と同様に架橋層および導電層を設け、保護層のみを設けずに、導電積層体を得た。
【0198】
(比較例4)
実施例18と同様に架橋層および導電層を設け、保護層のみを設けずに、導電積層体を得た。
【0199】
(比較例5)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を基材として用いた。次いで、前記架橋層材料E 78.4g、前記添加剤B 1.88g、前記添加剤C 1.88g、酢酸エチル 3566gを混合、撹拌し、架橋層塗布液を調製した。この架橋層塗布液を、基材上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み70nmの架橋層を形成した。
【0200】
次いで、基材の架橋層とは反対の面に、前記のようにして、前記導電層Dを形成した。
次いで、前記保護層材料B 150g、前記添加剤A 3.60g、前記添加剤B 7.15g、酢酸エチル 2748gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Dの上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み310nmの保護層を形成し、導電積層体を得た。
【0201】
(比較例6)
導電層を前記導電層Fとしたこと以外は、比較例5と同様にして、導電積層体を得た。
【0202】
(比較例7)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製)を基材として用いた。次いで、前記架橋層材料E 78.4g、前記添加剤B 1.88g、前記添加剤C 1.88g、酢酸エチル 6752gを混合、撹拌し、架橋層塗布液を調製した。この架橋層塗布液を、基材上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み40nmの架橋層を形成した。
【0203】
次いで、基材の架橋層とは反対の面に、前記のようにして、前記導電層Bを形成した。
次いで、前記保護層材料B 311.2g、前記保護層材料D 25.16g、前記添加剤A 5.52g、前記添加剤B 5.52g、前記添加剤C 5.52g、酢酸エチル 2152gを混合、撹拌し、保護層塗布液を調製した。この保護層塗布液を、前記導電層Bの上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させ、厚み800nmの保護層を形成し、導電積層体を得た。
【0204】
(比較例8)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料E 784g、前記添加剤B 18.8g、前記添加剤C 18.8g、酢酸エチル 3420gとし、厚み1100nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例22と同様にして、導電積層体を得た。
【0205】
(比較例9)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 77.80g、前記保護層材料D 6.29g、前記添加剤A 1.38g、前記添加剤B 1.38g、前記添加剤C 1.38g、酢酸エチル 8260gとし、厚み60nmの保護層を形成したこと以外は、実施例8と同様にして、導電積層体を得た。
【0206】
(比較例10)
保護層塗布液の組成を前記保護層材料B 778.0g、前記保護層材料D 62.9g、前記添加剤A 13.8g、前記添加剤B 13.8g、前記添加剤C 13.8g、酢酸エチル 3672gとし、厚み1100nmの保護層を形成したこと以外は、実施例8と同様にして、導電積層体を得た。
【0207】
(比較例11)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料M 1000g、酢酸エチル 1800gとし、この架橋層塗布液を、基材上に材質がSUSのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布した後、120℃で2分間乾燥させて、厚み950nmの架橋層を形成したこと以外は、実施例22と同様にして、導電積層体を得た。
【0208】
(比較例12)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料N 153g、前記添加剤A 7.20g、前記添加剤B 14.3g、トルエン 892g、酢酸エチル 892gとして、厚み950nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例22と同様にして、導電積層体を得た。
【0209】
(比較例13)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料O153g、前記添加剤A7.20g、前記添加剤B 14.3g、トルエン 2915g、酢酸エチル 2915gとして、厚み310nmの架橋層を設けたこと以外は、実施例33と同様にして、導電積層体を得た。
【0210】
(比較例14)
架橋層塗布液の組成を前記架橋層材料O 15.3g、前記添加剤A 0.72g、前記添加剤B 1.43g、トルエン 1355g、酢酸エチル 1355gとし、この架橋層塗布液を、基材上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、紫外線を1.2J/cm照射して硬化させて、厚み40nmの架橋層を形成したこと以外は、実施例22と同様にして、導電積層体を得た。
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】
【表3】
【0214】
【表4】
【0215】
【表5】
【0216】
【表6】
【0217】
【表7】
【0218】
【表8】
【0219】
【表9】
【0220】
【表10】
【0221】
【表11】
【0222】
【表12】
【0223】
【表13】
【0224】
【表14】
【0225】
実施例の1〜38のいずれにおいても、パターニング前後ともに、導電積層体の熱に対する耐久性は良好であった。また、パターニングによって導電成分を除去した部分は、良好な電気絶縁性を示した。中でも、炭素−炭素二重結合基としてアクリロイル基を含む架橋層を有するものは、アクリロイル基を含まないもの(実施例1、2、7)と比較して、熱によるヘイズ上昇が小さく良好な耐久性を得ることができた。架橋層にアクリロイル基を含んでいれば、架橋層の架橋単位構造質量含有率を少なく(実施例3〜6)しても、架橋層の厚みを薄く(実施例8、25〜27)しても、アクリロイル基以外の構造を含んで(実施例9)いても、その他の成分を含んで(実施例25〜27)いても、熱によるヘイズ上昇が小さく、より良好な耐久性を得ることができた。また、架橋層に帯電防止成分が含まれている場合(実施例28〜30)、色調を補正する添加剤(実施例31、32、38)や滑り性を向上させる添加剤(実施例35〜37)が含まれている場合であっても、良好な耐久性を得ることができた。
【0226】
架橋層表面の摩擦係数が小さく滑り性が良好な場合は(実施例35〜37)、滑り性を向上させる添加剤の添加量を調節することで、往復摩擦によって生じる傷の個数を減少させることができた。
【0227】
保護層成分の組成や含まれる元素を変更(実施例10、11)したり、導電成分の種類が異なっても(実施例1〜3、18〜20)、パターニングによって導電成分を除去した部分は、良好な電気絶縁性を示し、かつ、熱に対する耐久性も良好であった。
【0228】
保護層の成分が架橋構造でなくても、前記特定の元素を含まず、かつ、保護層の平均厚みtが厚い場合(実施例1、2)、パターニングによって導電成分を除去した部分は、良好な電気絶縁性を示し、かつ、熱に対する耐久性も良好であった。保護層の成分が前記特定の元素を含む場合であっても、架橋構造を有しており、かつ、保護層厚みtを特定の範囲とした場合(実施例12〜17)も同様に、パターニングによって導電成分を除去した部分は、良好な電気絶縁性を示し、かつ、熱に対する耐久性も良好であった。
【0229】
保護層の平均厚みtが相対的に厚い場合、全光線透過率が相対的に低くなる場合があったが(実施例1〜4、21)、導電積層体としての実用レベルには充分耐えうるレベルであった。また、保護層の平均厚みtが相対的に薄い場合、熱に対する耐久性が相対的に低下する場合があったが(実施例18〜20)、導電積層体としての実用レベルには充分耐えうるレベルであった。
【0230】
さらに、保護層を架橋させる際に、極大吸収波長の値の差が特定の範囲となる光開始剤を混合することで(実施例22、24)、該当する光開始剤を混合しない場合(実施例6、8)や極大吸収波長の値の差が特定の範囲外である光開始剤を混合する場合(実施例23)と比較して、除去剤に対する耐性と熱に対する耐久性が向上した。
【0231】
導電成分として非線状構造体成分をさらに含有した導電層とする場合(実施例21)は、非線状構造体成分を含有しない場合(実施例8)と比較して、非線状構造体成分が蜜に存在するため、全光線透過率が相対的に低くなり、かつ、導電成分を除去する際に保護層が侵食されやすくなり、除去剤に対する耐性が相対的に低くなった。
【0232】
基材の厚みが相対的に薄い場合(実施例33、34)は、基材の厚みが厚い場合(実施例24、25)と比較して、全光線透過率が高くなった。
【0233】
導電層を設けない場合は、表面抵抗値が大きすぎて測定できず、導電積層体としては使用できない(比較例1)。
【0234】
架橋層を設けない場合(比較例2)や、架橋層を設けても厚みが特定の範囲より薄い場合(比較例7)は、熱に対する耐久性が悪かった。また、架橋層の厚みが充分であっても、架橋層が炭素−炭素二重結合基由来の構造を含まない場合(比較例11)や、架橋層において炭素−炭素二重結合基由来の構造の質量含有率が特定の範囲より小さい場合(比較例12)も、熱に対する耐久性が悪かった。逆に炭素−炭素二重結合基由来の構造の質量含有率が特定の範囲より大きい場合(比較例13)や、架橋層厚みが特定の範囲よりも厚い場合(比較例8)は、導電積層体のカールや平面性不良により表面抵抗値が極端に高くなる異常が発生することがわかった。炭素−炭素二重結合基由来の構造の質量含有率が特定の範囲より大きい場合において、導電積層体のカールや平面性不良を回避できるまで架橋層を薄くした場合(比較例14)は、結局、架橋層の厚みが特定の範囲よりも薄くなり、熱に対する耐久性が劣るものとなった。
【0235】
保護層を設けない場合(比較例3、4)、導電成分として線状構造体を含まない導電層である場合(比較例5、6)、および、保護層の平均厚みtが特定の範囲より薄い場合(比較例9)は、いずれもパターニングによって導電成分を除去した部分の熱に対する耐久性が不足した。
【0236】
保護層の平均厚みtが特定の範囲より極端に厚い場合(比較例10)は、表面抵抗値が大きすぎて測定できず、導電積層体としては使用できない。また、保護層が厚すぎることによって、保護層のみならず導電成分までもが除去されないため、ケミカルエッチングによるパターニング形成が不可能である。
【産業上の利用可能性】
【0237】
本発明の導電積層体は、タッチパネル等に使用する電極部材を形成する際の加工工程における熱に対して、良好な耐久性を有する。また本発明の導電積層体は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュールなどの電極部材にも使用することができる。
【符号の説明】
【0238】
1:基材
2:導電層
3:保護層
4:架橋層
5:積層面に垂直な方向より観察した導電面
6:単一の繊維状導電体(線上構造体の一例)
7:繊維状導電体の集合体(線上構造体の一例)
8:金属や金属酸化物のナノワイヤー(線上構造体の一例)
9:ウィスカーのような針状導電体(線上構造体の一例)
10:導電性薄膜
11:繊維状導電体の重なりよって形成した接点
12:金属や金属酸化物のナノワイヤーの重なりよって形成した接点
13:ウィスカーのような針状導電体の重なりよって形成した接点
14:導電層および保護層がパターン化された導電積層体
15:導電層および保護層がパターン化された導電積層体の基材
16:パターン化された導電層
17:パターン化された保護層
18:架橋層
19:接着剤や粘着剤等の接合層
20:タッチパネルの画面側の基材
21:タッチパネルの画面側の基材に積層したハードコート層
22:保護層表面
23:線状構造体が存在しない部分の保護層厚みt1
24:線状構造体の存在する部分の保護層厚みt2(単一の線状構造体の場合)
25:線状構造体の存在する部分の保護層厚みt2(線状構造体からなる集合体の場合)
26:集合体を形成する単一の線状構造体
27:線状構造体からなる集合体
28:基材
100:反応器
101:石英焼結板
102:密閉型触媒供給機
103:触媒投入ライン
104:原料ガス供給ライン
105:排ガスライン
106:加熱器
107:点検口
108:触媒
図1
図2
図3
図4
図5