特許第5799744号(P5799744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000002
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000003
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000004
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000005
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000006
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000007
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000008
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000009
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000010
  • 特許5799744-シートの隙隠し構造 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799744
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】シートの隙隠し構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/44 20060101AFI20151008BHJP
   B60R 22/26 20060101ALI20151008BHJP
【FI】
   B60N2/44
   B60R22/26
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-228629(P2011-228629)
(22)【出願日】2011年10月18日
(65)【公開番号】特開2013-86645(P2013-86645A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 岳洋
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−278571(JP,A)
【文献】 特開2005−212591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
B60R 22/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートにおいて、シートベルトを配設するため、シートクッションに切欠部が形成され、該切欠部に対応させてシート表皮に帯状部材が設けられ、該帯状部材は前記切欠部のシートベルト配設位置を除く部分に設けられ、シートベルト周りの隙間を覆い隠しているシートの隙隠し構造であって、前記帯状部材は、その一端がシートクッション上の前記切欠部に臨む第1位置に対応するシート表皮に固定され、他端は前記切欠部を跨いで前記第1位置に対向するシートクッション上まで延びて設けられ、弾性部材は、その一端が前記帯状部材の下方のシート表皮に固定され、他端が前記帯状部材の下面で一端と他端との間に固定され、前記弾性部材は前記帯状部材が切欠部を跨いでシート表皮上に当接する本来位置から移動したとき、前記本来位置へ戻るように引張力を発生することを特徴とするシートの隙隠し構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートにおいて、シートベルトを配設するためシートクッションに形成された切欠部における、シートベルト周りの隙間を覆い隠す隙隠し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、かかる隙隠し構造を備えた車両用シートの一例が示されており、ここでは、切欠部である貫通孔に二つ並べて設けられたシートベルトバックルの間に帯状部材が配設され、バックル間の隙間を覆うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−1211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の構造においては、乗員にシートベルトを装着する際などにシートベルトバックルが貫通孔内で移動すると、バックルと帯状部材とが強く干渉して、帯状部材が固定状態から外れたり、破損したりすることがある。その結果、隙間を覆うことができなくなるのみならず、固定されない帯状部材が乱雑な状態に置かれ、見栄えが悪くなってしまう。
また、シートが所謂チルトダウンシート(シートバックをシートクッションに対して前傾して折り畳む際に、シートバックの前傾動作に連動してシートクッションが下方に退避動作してシートをよりコンパクトに折り畳むように構成されたシート)である場合には、シートの姿勢を変化させ、シートバックを大きく後傾させたときに、上記貫通孔下方に配置されたシートフレームに化粧用に被せられたシールドが、シートクッションとの相対移動により突出して、帯状部材を下方から押し上げることがあり、その場合の押上量が大きいと、帯状部材を破損させる場合がある。
本発明は、このような問題に鑑み、帯状部材がシートベルトなどの移動体に追従して移動可能とすることにより、帯状部材がシートベルトなどの移動体と干渉して正規の隙隠し状態を乱されることを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、車両用シートにおいて、シートベルトを配設するため、シートクッションに切欠部が形成され、該切欠部に対応させてシート表皮に帯状部材が設けられ、該帯状部材は前記切欠部のシートベルト配設位置を除く部分に設けられ、シートベルト周りの隙間を覆い隠しているシートの隙隠し構造であって、前記帯状部材は、その一端がシート表皮に固定され、他端は弾性部材を介してシート表皮に固定され、前記弾性部材は、前記帯状部材が前記切欠部を覆う本来位置から移動したとき、前記帯状部材が前記本来位置へ戻るように引張力を発生することを特徴とするシートの隙隠し構造である。
第1発明によれば、シートベルトなどの移動体が移動して帯状部材と干渉しても、帯状部材は弾性部材の弾性により上記移動体と共に移動することができ、移動体が元の位置に復帰すれば、それと共に帯状部材も弾性部材の引張力により元の位置に戻ることができる。このため、帯状部材は移動体と干渉しても損傷を受けるなどの悪影響を避けることができ、また、シートベルトと共に移動して、常時、シートベルト周りの切欠部の隙間を覆い隠すことができ、見栄えを良好に維持することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記帯状部材は、その一端がシートクッション上の前記切欠部に臨む第1位置に対応するシート表皮に固定され、他端は前記切欠部を跨いで前記第1位置に対向するシートクッション上まで延びて設けられ、前記弾性部材は、その一端が前記帯状部材の下方のシート表皮に固定され、他端が前記帯状部材の下面で一端と他端との間に固定され、前記弾性部材は前記帯状部材が切欠部を跨いでシート表皮上に当接する本来位置から移動したとき、前記帯状部材が前記本来位置へ戻るように引張力を発生することを特徴とするシートの隙隠し構造である。
第2発明によれば、切欠部からシート表皮面上に突出して配設されるシートベルトの移動や他の移動体の下方からの移動に対し、帯状部材はシートベルトなどの移動体と干渉しても、その他端が弾性部材の弾性によりシート表皮から離れるように上方へ移動して、損傷を受けるなどの悪影響を受けるのを回避でき、シートベルトなどの移動体の元の位置への復帰後は、弾性部材の引張力により帯状部材も再びその他端がシート表皮に当接する本来位置に復帰し、シートベルト周りの切欠部を覆い隠すことができる。
また、帯状部材が切欠部を覆っている状態では、弾性部材は帯状部材の下にあって、車両乗員からは帯状部材のみが見え、弾性部材は殆ど見えないので、煩雑な感じを与えず見栄えを良くすることができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1発明において、前記帯状部材は第1帯状部材及び第2の帯状部材から成り、該第1帯状部材は、その一端がシートクッション上の前記切欠部に臨む第1位置に対応するシート表皮に固定され、前記第2帯状部材は、その一端が前記切欠部を跨いで前記第1位置に対向するシートクッション上の第2位置に対応するシート表皮に固定され、両帯状部材の各他端は、両帯状部材によって切欠部が覆われるように互いに重ね合わされ、両帯状部材の切欠部側下面に前記弾性部材の各端部がそれぞれ固定され、弾性部材は両帯状部材が切欠部上で一つの平面を形成する本来位置から移動したとき、前記帯状部材が前記本来位置へ戻るように引張力を発生することを特徴とするシートの隙隠し構造である。
第3発明によれば、シートベルトなどの移動体との干渉により帯状部材が移動する際、2つの帯状部材が共に一端側を中心として観音開き状に移動するため、帯状部材が1枚のみの場合に比べて全体としての動きのバランスが良く、シートベルトなどの移動体と干渉して移動しているときの帯状部材の見栄えを良好とすることができる。
また、帯状部材が切欠部を覆っている状態では、弾性部材は帯状部材の下にあって、車両乗員からは帯状部材のみが見え、弾性部材は殆ど見えないので、煩雑な感じを与えず見栄えを良くすることができる。
更に、シートベルトのための切欠部は、ベンチタイプのシートのシートクッション上で乗員の着座面と着座面との間に設けられる場合が多く、シート表皮にも切欠部の両側部に境界線が形成されることが多い。このようなシートの場合、両帯状部材の各一端のシート表皮への固定位置を前記境界線と一致するように合わせることができ、帯状部材がシート表皮のデザイン線を乱すことを防止することができ、見栄えを良くすることができる。
【0008】
本発明の第4発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記帯状部材は、前記シート表皮に対して縫合可能な布により袋体が形成され、その袋体内に剛性を備えた板体が挿入されて成り、前記切欠部上を直線的に跨ぐことを可能とすることを特徴とするシートの隙隠し構造である。
第4発明によれば、袋体をシート表皮に縫合することができるため、帯状部材のシート表皮との固定を、シート表皮の縫製時に同時に容易に行うことができ、しかも袋体内には板体が挿入されるため、切欠部を覆い隠す際に要求される適度な剛性を持たせることができる。そのため、帯状部材が剛性不足により切欠部に落ち込むことを防止でき、見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るシートの隙隠し構造を適用した第1の実施形態を示す車両用シートの全体斜視図である。
図2】上記第1の実施形態のシートクッション側のシート表皮の斜視図である。
図3図2におけるA部の拡大図である。
図4図3におけるIV−IV線断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態を示す図3と同様の斜視図である。
図6図5におけるVI−VI線断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態を示す図4と同様の断面図である。
図8】本発明の第4の実施形態を示す図6と同様の断面図である。
図9】本発明の第1の実施形態の使用状態の説明図である。
図10】本発明の第2の実施形態の使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、車両のベンチタイプの3人掛けのリヤシートを示し、シート1は主にシートクッション2とシートバック3とから成っている。4はシートバック3の上端に設けられた3組のヘッドレストである。
シートクッション2のインナ側後方の着座面上には、図1では明らかに示されていないが、切欠部が形成されており、この切欠部を通してシートベルトのバックル6が配設されている。バックル6の固定端は、切欠部を介して車両フロアの強度部材(不図示)に固定されている。
図1のシート1は、図では明らかではないが、車幅方向に2分割されるタイプであり、図2には分割タイプの片側のシートクッションのシート表皮10を示している。図2では、クッションパッドが図示されてないが、シート表皮10は、クッションパッドの上方から被せられて、下方にぶら下がる係止手段12、13によりクッションパッドの下方で固定されている。
シート表皮10の後方端には、上述のようにシートベルトバックル6が配設されるための切欠部11が形成されており、バックル6の周辺から切欠部11が見えないようにするため、切欠部11の後端側には帯状部材20が設けられている。
【0011】
図3、4に良く示されているように帯状部材20は、その一端23がシートクッション2上の切欠部11に臨む縁部(第1位置)に対応するシート表皮10に縫合(固定)され、他端24は切欠部11を跨いで上記第1位置に対向するシートクッション2上まで延びて設けられている。
帯状部材20は、シート表皮10に対して縫合可能な布により袋体21が形成され、その袋体21内に剛性を備えた板体22が挿入されて成る。袋体21は、切欠部11を覆い隠すのに必要な面積の布を2枚用意し、その2枚の布を重ねて周囲を縫合することにより、衣服におけるポケットのように形成され、板体22はポケット全体を満たす大きさで挿入されている。また、板体22は樹脂プレートであり、切欠部11上を直線的に跨ぐことを可能とする程度の剛性を備える。但し、実際の縫製工程では、2枚の布の間に樹脂プレートを挟んで布の周囲を縫製されており、プレートも布と共に縫合されている。
帯状部材20の下側には弾性部材30が設けられており、弾性部材30は、その一端31が帯状部材20の下方で、切欠部11を成すシート表皮10の縁部でシート表皮10に縫合(固定)されている。弾性部材30の他端32は、帯状部材20の下面で、その一端23と他端24との間に縫合(固定)されている。弾性部材30は帯状部材20が切欠部11を跨いでシート表皮10上に当接する本来位置から移動したとき、帯状部材20がその本来位置へ戻るように引張力を発生する。
【0012】
このように構成されることにより、図9の矢印で示すようにシートベルトのバックル6が移動して帯状部材20と干渉しても、帯状部材20は弾性部材30の弾性によりシート表皮10から離れるように矢印で示す上後方へシートベルトのバックル6と共に移動することができる。シートベルトのバックル6が元の位置に復帰すれば、それと共に帯状部材20も弾性部材30の引張力によりシート表皮10に接する本来位置に戻ることができる。そのため、帯状部材20はシートベルトのバックル6と干渉しても損傷を受けるなどの悪影響を避けることができ、また、シートベルトのバックル6と共に移動して、常時、シートベルトバックル6の周りの切欠部11の隙間を覆い隠すことができ、見栄えを良好に維持することができる。
また、帯状部材20が切欠部11を覆っている状態では、弾性部材30は帯状部材20の下にあって、車両乗員からは帯状部材20のみが見え、弾性部材30は殆ど見えないので、煩雑な感じを与えず見栄えを良くすることができる。
更に、帯状部材20における袋体21はシート表皮10に縫合することができるため、帯状部材20のシート表皮10との固定を、シート表皮10の縫製時に同時に容易に行うことができる。しかも袋体21内には板体22が挿入されるため、切欠部11を覆い隠す際に要求される適度な剛性を持たせることができる。そのため、帯状部材20が剛性不足により切欠部11に落ち込むことを防止でき、見栄えを良くすることができる。
【0013】
<第2の実施形態>
図5、6は本発明の第2の実施形態を示す。ここで、帯状部材は第1帯状部材40及び第2の帯状部材50から成る。第1帯状部材40は、その一端43がシートクッション10上の切欠部11に臨む縁部(第1位置)に対応するシート表皮10に縫合(固定)され、第2帯状部材50は、その一端53が切欠部11を挟んで第1位置に対向するシートクッション上の縁部(第2位置)に対応するシート表皮10に縫合(固定)されている。両帯状部材40、50の各他端44、54は、両帯状部材40、50によって切欠部11が覆われるように互いに重ね合わされ、両帯状部材40、50の切欠部11側下面に弾性部材30の各端部31、32がそれぞれ固定されている。なお、弾性部材30の一端31は、帯状部材40がシート表皮10に縫合される際に併せて縫合されている。弾性部材30は両帯状部材40、50が切欠部11上で一つの平面を形成する本来位置から移動したとき、両帯状部材40、50がその本来位置へ戻るように引張力を発生する。
【0014】
かかる第2の実施形態によれば、図10の矢印で示すようにシートベルトのバックル6が移動し、そのシートベルトバックル6との干渉により帯状部材40、50が移動する際、2つの帯状部材が矢印のように共に一端側を中心として観音開き状に移動する。このため、帯状部材が1枚のみの場合に比べて全体としての動きのバランスが良く、シートベルトのバックル6と干渉して移動しているときの帯状部材40、50の見栄えを良好とすることができる。
また、帯状部材40、50が切欠部11を覆っている状態では、弾性部材30は帯状部材40、50の下にあって、車両乗員からは帯状部材40、50のみが見え、弾性部材30は見えないので、煩雑な感じを与えず見栄えを良くすることができる。
更に、シートベルトのバックル6のための切欠部11は、ベンチタイプのシート1のシートクッション2上で乗員の着座面と着座面との間に設けられる場合が多く、シート表皮10にも切欠部11の両側部に境界線14、15が形成されることが多い。このようなシートの場合、両帯状部材40、50の各一端43,53のシート表皮10への固定位置を前記境界線14、15と一致するように合わせることができ、帯状部材40、50がシート表皮10のデザイン線を乱すことを防止することができ、見栄えを良くすることができる。
【0015】
<第3の実施形態>
図7は本発明の第3の実施形態を示し、図4で示す第1の実施形態と相違する点は、弾性部材30の一端31の固定位置である。図7では、弾性部材30の一端31が切欠部11の側壁に縫合されている。
かかる第3の実施形態によれば、弾性部材30の一端31が切欠部11の側壁に縫合され、弾性部材30の他端32がその直上の帯状部材20の下面に縫合されており、弾性部材30に引張力を発生させるために、ある程度の長さを維持しながら、弾性部材30の他端32の固定位置を帯状部材20の他端24に近い位置とすることができる。そのため、帯状部材20がシート表皮10から離れるように移動したとき、弾性部材30により帯状部材20を本来位置に戻す引張力が効率的に帯状部材20に伝達され、弾性部材30の弾性係数を小さなものとすることができる。
【0016】
<第4の実施形態>
図8は本発明の第4の実施形態を示し、図6で示す第2の実施形態と相違する点は、弾性部材30の一端31の固定位置である。図8では、弾性部材30の一端31が帯状部材40の下面に縫合されている。
かかる第4の実施形態によれば、弾性部材30は両帯状部材40、50の他端側、つまり固定端ではない自由端側に近い位置に縫合されているため、弾性部材30の引張力を両帯状部材40、50に効率的に伝達することができ、弾性部材30の弾性係数を小さなものとすることができる。
【0017】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.弾性部材は帯状のものでなくても紐状のものでも良い。
【符号の説明】
【0018】
10 シート表皮
11 切欠部
20、40、50 帯状部材
21、41、51 袋体
22、42、52 板体
30 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10