特許第5799838号(P5799838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799838
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】車両用シートクッションフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
   B60N2/427
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-19686(P2012-19686)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-159126(P2013-159126A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 剛史
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−073548(JP,A)
【文献】 特開2006−038813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に配置された縦フレーム体間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体によって結合してシートクッションの骨格が形成され、
前記前側の横フレーム体を含む両縦フレーム体の前端部間のスペースを上側から覆うように、両縦フレーム体にパネルが固定されて成る車両用シートクッションフレームであって、
前側の横フレーム体のパネル側は凹形状とされ、この凹形状は、凹形状が形成されることにより、形成前に比べて前側の横フレーム体のパネル側とパネルとの距離が拡大され、
前記パネルは、両縦フレーム体との固定部に近接して曲げ形成部を備え、両固定部に比べて両固定部間における高さが低くなるように形成されており、
前記前側の横フレーム体は、パネルの曲げ形状を受け入れる凹形状とされ、且つ前側の横フレーム体の長手方向において前側の横フレーム体とパネル下面との距離が全体として均等となるように前記パネルの曲げ形成部の下に変形起点部を対向されていることを特徴とする車両用シートクッションフレーム。
【請求項2】
請求項1において、
前記前側の横フレーム体は、前記両縦フレーム体との結合部に比べて、該結合部間に位置する部位の断面外形面積が小さくされることにより前記凹形状が形成されていることを特徴とする車両用シートクッションフレーム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記パネルは、両固定部間において前側から後側に向けて漸次高さが低くなるように傾斜して形成されており、
前記前側の横フレーム体の凹形状は、パネル側表面がパネル形状に沿って前側から後側に向けて漸次高さが低くなるように傾斜して形成されていることを特徴とする車両用シートクッションフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両側に配置された縦フレーム体間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体によって結合してシートクッションの骨格が形成され、前側の横フレーム体を含む両縦フレーム体の前端部間のスペースを上側から覆うように、両縦フレーム体にパネルが固定されて成る車両用シートクッションフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
車両前突時には、シートに着座した乗員の体が、シートベルトに拘束された状態で、シート表面上を前下方に滑り落ちる現象、所謂サブマリン現象が起きることがある。このとき、乗員保護の観点から乗員に過大な衝撃荷重が加わらないようにする必要がある。そのため、従来よりシート周辺の部品に各種の工夫が施されている。下記特許文献1には、車両前突時に乗員の腰部に過大な荷重が加わらないようにシートバックフレームの一部を変形容易にした発明が開示されている。また、一部の車両では、シートクッションの前部上方から入る荷重に対して、シートクッションの前部を変形させて、車両前突時のサブマリン現象によって乗員がシートの前下方に移動することに伴うエネルギを吸収することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−145538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一部の車両のシートでは、サブマリン現象に伴うエネルギを吸収するために必要な変形量をシート前部で確保することができない。なぜなら、シート前部を構成するパネルの下方には、シートの骨格を成す前側の横フレーム体が配置されており、衝突荷重によりパネルが変形しても前側の横フレーム体によりパネルの変形が阻害され、パネルの変形によるエネルギ吸収量が不足する問題がある。
このような問題に鑑み本発明の課題は、前側の横フレーム体を予め変形させてパネルとの間にスペースを確保することにより、サブマリン現象に伴う衝撃荷重を受けてパネルが変形して、シート前部で衝撃荷重を吸収できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、両側に配置された縦フレーム体間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体によって結合してシートクッションの骨格が形成され、前記前側の横フレーム体を含む両縦フレーム体の前端部間のスペースを上側から覆うように、両縦フレーム体にパネルが固定されて成る車両用シートクッションフレームであって、前側の横フレーム体のパネル側はパネルとの距離を拡大するように凹形状とされていることを特徴とする。
第1発明によれば、前側の横フレーム体のパネル側はパネルとの距離を拡大するように凹形状とされているため、パネルがサブマリン現象に伴う衝撃荷重を受けたとき大きく変形することができ、シート前部でのエネルギ吸収量を大きくすることができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前側の横フレーム体は、両縦フレーム体との結合部に比べて、該結合部間に位置する部位の断面外形面積が小さくされることにより前記凹形状が形成されていることを特徴とする。
第2発明によれば、前側の横フレーム体における両縦フレーム体との結合部間に位置する部位はパネルとの距離を拡大するために当該部位の断面外形面積が小さくされ、強度も小さくなるが、両結合部の断面外形面積は小さくされず維持されているため、その強度も本来の強度が維持され、シートクッションフレームとしての強度を維持することができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記パネルは、両縦フレーム体との固定部に近接して曲げ形成部を備え、両固定部に比べて両固定部間における高さが低くなるように形成されており、前記前側の横フレーム体は、パネルの曲げ形状を受け入れる凹形状とされ、且つ前側の横フレーム体の長手方向において前側の横フレーム体とパネル下面との距離が全体として均等となるように前記パネルの曲げ形成部の下に変形起点部を対向されていることを特徴とする。
第3発明によれば、前側の横フレーム体の長手方向において前側の横フレーム体とパネル下面との距離が均等となるようにされているため、車両衝突に伴うパネルの変形が縦フレーム体間のどの位置で生じても、エネルギ吸収量を均一にすることができ、安定した衝突安全性を確保することができる。
【0008】
本発明の第4発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記パネルは、両固定部間において前側から後側に向けて漸次高さが低くなるように傾斜して形成されており、前記前側の横フレーム体の凹形状は、パネル側表面がパネル形状に沿って前側から後側に向けて漸次高さが低くなるように傾斜して形成されていることを特徴とする。
第4発明によれば、サブマリン現象により乗員の体が前下方にずれ落ちるのを、パネルの傾斜形状により抑制しつつ、前側の横フレーム体のパネル側表面がパネル形状に沿って傾斜されていることによりパネルの変形量を確保して、エネルギ吸収性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
図2】上記実施形態の分解斜視図である。
図3】上記実施形態の平面図である。
図4】上記実施形態の側面図である。
図5】上記実施形態の前側の横フレーム体と縦フレーム体との結合状態を説明する説明図である。
図6】上記実施形態の前側の横フレーム体とパネルとの位置関係を説明する説明図である。
図7図3のVII−VII線断面図である。
図8】上記実施形態における横フレーム体の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜4に示すように、車両用のシートクッション1の骨格は、車両進行方向Fに沿って両側に縦フレーム体11、12が平行配置され、その縦フレーム体11、12の間の前側及び後側を、それぞれ横フレーム体13、14によって結合して形成されている。両縦フレーム体11、12の前端部には、前側の横フレーム体13を含めて両縦フレーム体11、12間のスペースを上側から覆うようにパネル15が固定されている。前側の横フレーム体13は、円筒パイプの側部中央部を潰して平坦部131が形成され、パネル15との距離を拡大するように凹形状とされている。図7には、横フレーム体13の断面形状が示されており、平坦部131の前後方向長さは横フレーム体13を成す円筒パイプの直径よりも大きくされている。また、前側の横フレーム体13は、両縦フレーム体11、12との結合部132、132に比べて、結合部132、132間に位置する部位の断面外形面積が小さくされることにより前記凹形状が形成されている。ここで、断面外形面積は、パイプ部分の断面積とパイプ内の中空部分の開口面積とを加えたものである。なお、横フレーム体13が中実体で形成されている場合には、断面外形面積は、中実体そのものの断面積である。
【0011】
パネル15は、両縦フレーム体11、12との固定部153、153に近接して曲げ形成部152,152を備え、両固定部153、153に比べて両固定部153、153間の平坦部151の高さが低くなるように形成されている。一方、前側の横フレーム体13は、上述のようにパネル15の曲げ形状を受け入れる凹形状とされ、しかも横フレーム体13の長手方向において横フレーム体13とパネル15下面との距離が全体として均等となるように、パネル15の曲げ形成部152,152の下に変形起点部133,133が位置するように配置されている。図6にこの様子が示されている。但し、図3から明らかなように、パネル15の曲げ形成部152,152は車両進行方向Fに対して左右方向で傾斜して形成されているのに対して、横フレーム体13の変形起点部133,133は車両進行方向Fに平行に形成されているため、曲げ形成部152,152と変形起点部133,133との位置関係は、前後方向の位置によって図6の位置から幅方向に若干変化する。図6では、変形起点部133,133が曲げ形成部152,152より横フレーム体13の両端側に位置している。この位置関係となるのは図3で見て横フレーム体13の最後部付近であるが、図3で見て横フレーム体13の前部付近では変形起点部133,133が曲げ形成部152,152より横フレーム体13の反両端側に位置することになる。
図6に示すように、前側の横フレーム体13の両縦フレーム体11、12との結合部132、132の変形されていない部分の寸法Lは、横フレーム体13を変形加工する際に横フレーム体13を機械に保持するために設定されている。
【0012】
また、パネル15は、両固定部153、153間における平坦部151が前側から後側に向けて漸次高さが低くなるように傾斜して形成されており、前側の横フレーム体13の凹形状を成す平坦部131は、パネル15の形状に沿って前側から後側に向けて漸次高さが低くなるように傾斜して形成されている(図2、4、7参照)。なお、各図において、本発明と直接関係しない部分については記載を省略している。
【0013】
上記実施形態によれば、前側の横フレーム体13のパネル15側はパネル15との距離を拡大するように凹形状とされているため、パネル15がサブマリン現象に伴う衝撃荷重を受けたとき大きく変形することができ、シート前部でのエネルギ吸収量を大きくすることができる。
また、前側の横フレーム体13における両縦フレーム体11、12との結合部132、132間に位置する部位はパネル15との距離を拡大するために当該部位の断面外形面積が小さくされ、強度も小さくされるが、両結合部132、132の断面外形面積は小さくされず維持されているため、その強度も本来の強度が維持され、シートクッション1としての強度を維持することができる。
更に、前側の横フレーム体13の長手方向において横フレーム体13とパネル15の下面との距離が均等となるようにされているため、車両衝突に伴うパネル15の変形が縦フレーム体11、12間のどの位置で生じても、エネルギ吸収量を均一にすることができ、安定した衝突安全性を確保することができる。
また、サブマリン現象により乗員の体が前下方にずれ落ちるのを、パネル15の傾斜形状により抑制しつつ、前側の横フレーム体13の平坦部(パネル側表面)131がパネル15の形状に沿って傾斜されていることによりパネル15の変形量を確保して、エネルギ吸収性能を維持することができる。
【0014】
なお、図2において、18は補強パネルであり、図3に破線で示すようにパネル15の平坦部151の下面に溶接固定されている。このように補強パネル18をパネル15に付加することによりパネル15の強度を調整して、車両衝突時におけるパネル15の変形によるエネルギ吸収量を適切に設定している。また、16、17はシートクッションを前後スライド動作させるための前後スライド機構であり、19は前後スライド機構16、17の操作レバーである。操作レバー19は、図1、2に示されるように、全体として車両進行方向F側に凸のU字状に形成されており、周知のとおり前側部を上方に引上げるように操作されると、操作レバーの前後方向の間にある支持点を中心として揺動されて、一対の後端部において前後スライド機構16、17のロックを解除するように構成されている。
図4において、実線の19で示す位置は、操作レバー19が操作されていない位置を示し、二点鎖線の19aは操作レバー19を引上げ操作して前後スライド機構16、17のロックが解除される位置、二点鎖線の19bは操作レバー19が前後スライド機構16、17のロックが解除される位置を超えて上限位置まで操作された位置をそれぞれ示している。
このように、操作レバー19は、横フレーム体13の下方にあり、操作レバー19を上限位置まで操作しても横フレーム体13に干渉しないように設計されている。横フレーム体13を凹形状とするために、横フレーム体13を全体として下方を凸となるように形成した場合は、横フレーム体13と操作レバー19との隙間に余裕がなくなる心配があるが、上記実施形態のように横フレーム体13のパネル15側のみを潰して凹形状を形成した場合は、横フレーム体13と操作レバー19との隙間には全く影響を与えないようにすることができる。
【0015】
図7において、2はパネル15と後側の横フレーム体14との間に張設されたばね体であり、このばね体2はばね材の周りに緩衝材として樹脂コーティングが施されている。
図5は、両縦フレーム体11、12と前側の横フレーム体13との結合状態を示しており、図5から明らかなように、横フレーム体13の両結合部132、132に対応させて両縦フレーム体11、12の側部には貫通孔111、121が穿設されており、この貫通孔111、121に横フレーム体13の両結合部132、132を貫通させた状態で、貫通孔111、121を形成する縦フレーム体11、12の縁部と横フレーム体13の両結合部132、132との間が溶接して固定されている。
図8は、前側の横フレーム体13の変形例を示し、(A)〜(C)の各横フレーム体13a、13b、13cは、図7において断面で示された横フレーム体13に対応する断面で示されている。図8(A)は、パネル15の平坦部151と平行な線上に長径部を配した楕円とされた例であり、図8(B)はパネル15の平坦部151に向けて窪み134を横フレーム体13の長手方向に沿って形成された例であり、図8(C)は、パネル15の平坦部151と平行な線上に長辺部を配した長方形に形成された例である。
各横フレーム体13a、13b、13cは、いずれもパネル15との間の距離を確保しつつ、断面外形面積を必要レベルに維持して強度を確保している。
図8(C)の場合は、上記実施形態における横フレーム体13の平坦部131と同様(図7参照)、パネル15側の面が平面にて形成されているため、車両衝突に伴ってパネル15が変形して、横フレーム体13cに当接したとき、パネル15を平面で受けるため、乗員がパネル15から受ける反力を部分的に大きくしないようにすることができる。
なお、これらの変形例の横フレーム体13a、13b、13cは、中空のパイプでも良いし、中実のロッドとされても良い。
【0016】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.横フレーム体は、円筒状のものに限らず、角筒状、板状のものでも良い。
2.横フレーム体の凹形状は、パネル側表面のみでなく、反パネル側も含めて横フレーム体全体が凹形状とされても良い。
【符号の説明】
【0017】
1 シートクッション
11、12 縦フレーム体
13、14 横フレーム体
131 平坦部(パネル側表面)
132 結合部
133 変形起点部
15 パネル
152 曲げ形成部
153 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8