特許第5803740号(P5803740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5803740車両用シートの面状体部材、及びその部材を取付ける方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5803740
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】車両用シートの面状体部材、及びその部材を取付ける方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20151015BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20151015BHJP
   B60N 2/58 20060101ALI20151015BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   B60N2/56
   A47C7/74 B
   B60N2/58
   B60N2/44
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-41270(P2012-41270)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-177031(P2013-177031A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯室 佳季
(72)【発明者】
【氏名】富永 晋
【審査官】 松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−350827(JP,A)
【文献】 米国特許第04558905(US,A)
【文献】 特開2006−149585(JP,A)
【文献】 特開2008−073441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
A47C 7/62,7/74,31/02
B68G 7/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートカバーがシートパッドに形成された細長形状の吊り込み溝内にホグリングにより吊り込み支持されてシートパッドに表装される際に、前記シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設される着座者のための働きをなす車両用シートの面状体部材であって、
前記シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設される面状体部材は、前記細長形状の吊り込み溝の少なくとも片側縁線に沿って位置する縁辺部位を有して配設されるものであり、
該縁辺部位における前記ホグリングにより支持される位置に対応する箇所が前記吊り込み溝から離間する方向に切り欠かれた形状の切り欠き部されていることを特徴とする車両用シートの面状体部材。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートの面状体部材であって、
前記シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設される面状体部材は、前記吊り込み溝を跨いだ配設状態として配設されておって該吊り込み溝に沿って長孔が形成されており、該長孔の前記吊り込み溝に沿った両孔辺が前記縁辺部位となっており、
前記吊り込み溝内でホグリングにより吊り込み支持される箇所は複数個あって、最初に取付けられるホグリングの支持箇所に対応する長孔箇所は両孔辺の縁辺部位が前記切り欠き部されており、その後取付けられるホグリングの支持箇所に対応する長孔箇所は一方の縁辺部位のみに前記切り欠き部が形成されていることを特徴とする車両用シートの面状体部材。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用シートの面状体部材を取付ける方法であって、
前記吊り込み支持させるために前記吊り込み溝内でホグリングを取付けるための作業は、ホグリング取付け工具を用いて前記面状体部材の縁部位に形成された切り欠き部のスペースを利用して前記面状体部材にホグリング取付け工具の影響を与えることなく行うことを特徴とする車両用シートの面状体部材を取付ける方法。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用シートの面状体部材を取付ける方法により請求項2に記載の車両用シートの面状体部材を取付ける方法であって、
最初に前記両孔辺の縁辺部位に形成された切り欠き部箇所のホグリングをホグリング取付け工具により取付け、その後、一方の縁辺部位のみが前記切り欠き部された箇所のホグリングを順次ホグリング取付け工具により取付けることを特徴とする車両用シートの面状体部材を取付ける方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの面状体部材、及びその部材を取付ける方法に関する。詳細には、シートカバーがシートパッドに形成された細長形状の吊り込み溝内にホグリングにより吊り込み支持されてシートパッドに表装される際に、シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設される面状体部材に関する。及び、その面状体部材を介挿配設する際のホグリングを取付ける作業における取付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは、大別して、シートクッションとシートバックとから成っており、これらはシートパッドの外面がシートカバーにより包被表装されて形成される。シートカバーを表装する際にシートパッドの外面形状にピシッと密着させて見栄え良く表装するために、シートカバーはいわゆる吊り込み構造支持により取付けられることがある(下記特許文献1参照)。吊り込み支持は、シートカバーを支持する箇所のシートバッドの箇所に細長形状の吊り込み溝が形成されており、この吊り込み溝内に埋め込み配設されたワイヤと、シートカバーに取付けられたワイヤとをC形状のホグリングにより挟持して、シートカバーを吊り込み溝内に引き込み支持するものである。この際のホグリングの取付け作業は、ホグリンガーと称されるホグリング取付け工具を用いて行われる。ホグリンガーの先端にホグリングを装着した状態で、ホグリンガーをシートパッドの吊り込み溝内に挿入してホグリングのC形状の開口隙間から吊り込み溝内に埋め込み配設されたワイヤとカバーに取付けられたワイヤとを取り込んで挟持して取付けるものである。
一方、最近の車両用シートには着座者のための各種装備が備えられており。そのための装備品としてシートパッドとシートカバーとの間に面状体部材が介挿配設されることがある。例えば、着座の有無を電気的に検出するためのセンサーシートや、シートの表面部を通電して暖める面状発熱体(下記特許文献2参照)が介挿配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−350827号公報
【特許文献2】特開2007−52945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように車両用シートのシートパッドとシートカバーとの間に面状体部材が介挿配設される場合、これらの面状体部材の機能や性能を充分発揮させるために、面状体部材を配設する面積は極力大きく取ることが望まれている。特に、シートクッションにおける着座位置となる天板部箇所には広く配設されることが望まれる。
しかし、シートカバーの取付けに吊り込み支持構造が用いられる場合には、シートパッドに吊り込み溝が形成されるため、この溝箇所を回避させて面状体部材を配設させることが必要なことから配設面積が制約される問題がある。特に、吊り込み支持におけるホグリングの取付けはホグリンガーを用いて取付け作業が行われることから、ホグリンガーを用いた作業により配設される面状体部材が損傷する恐れがあり、取付け作業において面状体部材に損傷を及ぼされることがないように、従来一般的には面状体部材は吊り込み溝が形成された位置から大幅に離間させた後退した位置として配設されていた。このため面状体部材の配設面積は大幅に制約されるという問題が生じていた。
特に、シートクッションの天板部箇所に配設される面状体部材は、その配設面積を多くするため、吊り込み溝を跨いで配設されることがある。この場合には、上述した理由から吊り込み溝に対応する面状体部材の箇所にホグリンガーの作業による影響がないように吊り込み溝から大幅に離間させた大きな長孔形状が形成された構成とされる。したがって、この場合にもやはり面状体部材の配設面積が大幅に制約されるという問題があった。
【0005】
而して、本発明は上述した問題点を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シートカバーが吊り込み支持される場合であっても、シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設される面状体部材の配設面積を、ホグリング取付け工具によるホグリング取付け作業の影響を受けることなく、可能な限り広く取ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートの面状体部材は次の手段をとる。
先ず、本発明に係る車両用シートの面状体部材の基本的構成は、シートカバーがシートパッドに形成された細長形状の吊り込み溝内にホグリングにより吊り込み支持されてシートパッドに表装される際に、前記シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設されて構成されるものであり、着座者のための働きをなすものである。
そして、かかる構成において、前記面状体部材は、前記細長形状の吊り込み溝の少なくとも片側縁線に沿って位置する縁辺部位を有して配設されるものであり、該縁辺部位における前記ホグリングにより支持される位置に対応する箇所が前記吊り込み溝から離間する方向に切り欠かれた形状の切り欠き部されていることを特徴とする構成である。
【0007】
そして、上記車両用シートの面状体部材を取付ける方法は、前記吊り込みを支持させるために前記吊り込み溝内でホグリングを取付けるための作業は、ホグリング取付け工具を用いて前記面状体部材の縁部位に形成された切り欠き部のスペースを利用して前記面状体部材にホグリング取付け工具の影響を与えることなく行うことを特徴とするものである。
【0008】
上記した本発明に係る車両用シートの面状体部材及びその取付け方法によれば、シートパッドに形成される吊り込み溝内でホグリングが取付けられる位置に対応する面状体部材の縁辺部位には、吊り込み溝から離間する方向に切り欠かれた形状の切り欠き部が形成されている。このためこの切り欠き部を利用してホグリング取付け工具としてのホグリンガーによるホグリングの取付け作業を行うことができる。このため、この取付け作業により面状体部材に損傷等の影響を及ぼすことが避けられる。
また、面状体部材の縁辺部位の切り欠き部を除いた部位は吊り込み溝の側縁線に極力近付けて形成することが可能なことから、面状体部材の配設面積を広く取ることが可能となる。
【0009】
なお、上記した本発明に係る車両用シートの面状体部材及びその取付け方法の好ましい手段は次の通りである。すなわち、先ず、前記シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設される面状体部材は、前記吊り込み溝を跨いだ配設状態として配設されておって該吊り込み溝に沿って長孔が形成されており、該長孔の前記吊り込み溝に沿った両孔辺が前記縁辺部位となっている。
そして、前記吊り込み溝内でホグリングにより吊り込み支持される箇所は複数個あって、最初に取付けられるホグリングの支持箇所に対応する長孔箇所は両孔辺の縁辺部位が前記切り欠き部されており、その後取付けられるホグリングの支持箇所に対応する長孔箇所は一方の縁辺部位のみに前記切り欠き部が形成されている構成である。
【0010】
そして、上記好ましい車両用シートの面状体部材を取付ける方法は、最初に前記両孔辺の縁辺部位に形成された切り欠き部箇所のホグリングをホグリング取付け工具により取付け、その後、一方の縁辺部位のみが前記切り欠き部された箇所のホグリングを順次ホグリング取付け工具により取付けることを特徴とするものである。
【0011】
上記した本発明に係る好ましい車両用シートの面状体部材及びその取付け方法によれば、面状体部材は配設面積を多く取る観点から吊る込み溝を跨いで配設される。そして、吊り込み溝に対応する箇所が長孔に形成されて、長孔の前記吊り込み溝に沿った両孔辺が面状体部材の縁辺部位となっている。そして、最初に取付けられるホグリングの支持箇所に対応する両側の縁辺部位には共に切り欠き部が形成されている。このため、最初に取付けられるホグリングのホグリング取付け工具(ホグリンガー)による取付けに際して、面状体部材に損傷等を与えることなく取付け作業をすることができる。それは、最初のホグリングを取付ける際には、シートカバーに取付けられたワイヤの吊り込み溝に対する配設位置が、吊り込み溝位置近傍には配設されているが、この状態では不確定な配設状態にある。このため、ホグリンガーの先端にホグリングを装着した状態で、ホグリンガーによりシートカバー側に配設されたワイヤのホグリングへの取り込み作業をするとき、その作業箇所に面状体部材があると、ホグリンガーが面状体部材に咬み込んだり傷つけたりして損傷を与えることがある。しかし、本発明の場合にはシートカバー側のワイヤの配設が予定される箇所の面状体部材の縁辺部位には切り欠き部が形成されており、面状体部材に損傷等の影響を及ぼすことがない。したがって、この意味における切り欠き部の吊り込み溝から離間して形成する切り欠きの大きさは、作業者が通常シートカバー側のワイヤを配設する位置を考慮して設定されるものである。
【0012】
上記により、最初のホグリングを吊り込み溝内に取付けることにより、シートカバー側のワイヤの位置はほぼ定められた状態となり、吊り込み溝の位置となる。このため、その後のホグリングを取付けるためのホグリンガーによる作業は、ホグリンガーを吊り込み溝に直接挿し込んで行うことができるため、最初のホグリングの取付け時に必要とした意味での切り欠き部は必要としない。しかし、ホグリンガーによる取付け作業は、吊り込み溝の一方側から作業が行われるため、その作業が行われる側の面状体部材の縁辺部位に切り欠き部が形成されている。これはホグリングがC形状であることから、C形状の開口部を横向きの配置状態として挟持させることが必要とされることによる。したがって、2番目以降のホグリングの取付け作業においても、ホグリンガーが作業される箇所には切り欠き部が形成されており、ホグリンガーによって面状体部材に損傷等の影響を及ぼすことがない。なお、この意味における切り欠き部の吊り込み部から離間して形成される切り欠きの大きさは、吊り込み溝内に作業時に差し込まれるホグリンガーの先端部の大きさを考慮して設定されるものである。
上記により吊り込み支持の作業上必要とされる位置に形成される切り欠き部を除いた面状体部材の縁辺部位は、吊り込み溝の側縁線に極力近付けて形成することが可能なことから、面状体部材の配設面積を広く取ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記した手段をとることにより、シートカバーが吊り込み支持される場合であっても、シートカバーとシートパッドとの間に介挿配設される面状体部材の配設面積を、ホグリング取付け工具によるホグリング取付け作業の影響を受けることなく、可能な限り広く取ることができる。特に、面状体部材が吊り込み溝を跨いで配設される場合には、その効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両用シートにおける吊り込み構造の実施形態を示す断面図である。
図2】シートクッションに面状体部材を配設した状態を示す平面図である。
図3図2のIII−III線断面を示し、ホグリンガーによるホグリング取付け作業におけるホグリングが吊り込み溝外の取付け状態にある場合を示す断面図である。
図4】同ホグリンガーによるホグリング取付け作業におけるホグリングが吊り込み溝内の取付け状態にある場合を示す断面図である。
図5】同ホグリンガーによるホグリング取付け作業におけるホグリングが吊り込み溝内にあって位置変更された状態を示す断面図である。
図6】ホグリング取付け工具であるホグリンガーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
先ず、本実施形態に適用できる面状体部材の例としては、着座の有無を電気的に検出するセンサーシートや、シートの表面部を通電して暖める面状発熱体等各種あるが、本実施形態の面状体部材はセンサーシートの場合である。また、この面状体部材のセンサーシートの配設状態例はシートクッションの天板部の吊り込み溝を跨いで配設される場合である。
本実施形態のセンサーシートが配設される車両用シートは、図示を省略するが、通常、着座者の着座部となるシートクッションと、着座者の背もたれとなるシートバックとからなっている。なお、シートバックの上部には着座者の頭部を支持するヘッドレストが設けられている。シートクッションやシートバックは、その骨格がフレーム部材により形成されており、このフレーム部材に対しシートパッドが配置され、シートパッドの外表面がシートカバーにより被覆されて形成される。本発明が対象とする面状体部材はシートパッドの外表面がシートカバーにより被覆される際に、シートパッドとシートカバーとの間に介挿配設されるものである。
シートカバーをシートパッドに被覆する場合、シートカバーをシートパッドの外表面形状に沿ってピシッと張設被覆するためにいわゆる吊り込み支持構造が採られている。図1は本実施形態が適用される吊り込み支持構造の一般的構造を示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、シートカバー10の吊り込み支持構造は、シートクッションやシートバックを構成するシートパッド20に吊り込み溝22が形成されている。吊り込み溝22はシートカバー10の吊り込み位置に沿って断面凹形状の溝が細長状に形成されている。この吊り込み溝22の底部には後述するホグリング18を取り付けるためのワイヤ16が埋設されている。このワイヤ16は細長状の吊り込み溝の長さ範囲に対応した長さとして埋設されており、ホグリング18が取り付けられる箇所は当該ワイヤ16がむき出し状態となるように吊り込み溝22の底部の当該箇所のみが深溝22aに形成されている。
一方、シートカバー10の吊り込み位置の裏面側にもワイヤ14が吊り紐12を介して取り付けられている。そして、シートカバー10は吊り込み溝22内にその吊り込み位置の部位が折り畳まれた状態として引き込まれた状態とされており、シートカバー10側に取付けられたワイヤ14とシートパッド側に埋設されたワイヤ16とがホグリング18により挟持されてシートカバー10がシートパッド20に吊り込み支持される。ホグリング18による2本のワイヤ14,16の支持箇所は、吊り込み溝22内において所定間隔を置いて複数個設定されている。この支持箇所の所定間隔はシートカバー10のシートパッド20の該表面への張設状態を考慮して適宜設定される。なお、ホグリング18はC形状に形成されており、2本のワイヤ14,16への取付けの詳細は後述するが、図6に示されるホグリング取り付け工具としてのホグリンガー30を用いて行なわれる。
【0017】
図6はホグリンガー30の斜視図を示す。ホグリンガー30は先端の上部取付アーム32aと下部取付アーム32bによりC形状のホグリング18を保持するようになっている。作業者はこの取付アーム32にホグリング18を保持させた状態で、ハンドル部34を持ってその取付アーム32を吊り込み溝22に差し込んで取付け作業する。ホグリンガー30におけるホグリング10の取付アーム32への供給、及びワイヤ14,16に対する挟持作動は自動的に行われるようになっている。ホグリング18は駆動機構を備えた本体部36の側部に配設された搬送路ケース38内に整列状態として収納されており、一回取り付け作業するごとに取付アーム32に順次一個あて供給されるようになっている。また、本体部前方の下部に配設された引き金40を引き作動することにより本体部36の駆動機構が作動して上部取付アーム32aと下部取付アームbとが2本のワイヤ14,16を取り込んだホグリング18を挟持させるために近接作動する。上部取付アーム32aと下部取付アーム32bの近接作動は支持軸42a、42bを支点として回動作動することに行なわれる。
【0018】
図2はシートクッション50のシートパッド20とシートカバー10との間に配設される面状体部材としてのセンサーシート60の配設状態を示す平面図である。なお、図2ではシート表皮となるシートカバー10が省略された状態として図示されている。なお、図3図5図2におけるIII―III線断面における当該箇所に配設されるホグリングの取付作業を説明するための図であるが、これらの各図にはシートカバー10も含めて図示されている。
図2に示されるシートクッション50のシートパッド20には吊り込み溝22が形成されている。吊り込み溝22はシートパッド20の着座面側となる外表面に複数列形成されている。着座者の両側位置に着座者から見て着座方向の縦方向の吊り込み溝22L,22Rが形成されており、着座者の後部位置に2本の横方向の吊り込み溝22F,22Bが並行に形成されている。2本の横方向の吊り込み溝22F,22Bは両端が両側の縦方向の吊り込み溝22L,22Rと接続状態として形成されている。これら各吊り込み溝溝22L,22R、22F,22Bは前述した図1に示す形態形状として形成されている。すなわち、横方向の形成される前方側の吊り込み溝22Fを例にして説明すると、吊り込み溝22Fは凹断面形状で細長の溝が直線状に形成されており、その長さ範囲にはホグリング18により支持される箇所が2箇所設定されている。×印で示した箇所が当該箇所であり、その他の吊り込み溝22L,22R、22Bの箇所にも同様に吊り込み支持位置が×印で示されている。そして、当該箇所はシートパッド20に埋設されたワイヤ16をむき出し状態とする深溝22aに形成されている。なお、本実施形態では、吊り込み溝22Fにおける×印箇所のホグリング18取付け順序は、X1、X2の順となっている。
【0019】
面状体部材としてのセンサーシート60は、シートパッド20の着座面側となる外表面に広く配設されている。この配設は、シートクッション50のいわゆる天板面の略全域に敷設されるように配設されている。従って、本実施形態ではセンサーシート60は、横方向の前方側の吊り込み溝22Fを跨いだ状態として配設されている。
センサーシート60の跨いで配設される吊り込み溝22Fに対応する箇所は、当該吊り込み溝22Fに沿った形状の長孔62が空けられている。したがって、センサーシート60はこの長孔62を挟んで前方領域部位60Aと後方領域部位60Bとからなっており、両部位60A,60Bは両側で連接されている。
長孔62の吊り込み溝22Fに沿って形成される孔辺である縁辺部位64は、吊り込み溝22Fの側縁線66に沿って極力近接して配設される。この極力近接させた状態での配設は、作業者がセンサーシート60をシートパッド20の上面に載置して配設する際に、その通常の作業状態で、センサーシート60の縁辺部位64が吊り込み溝22F内に入ることのない近接状態に設定されるものである。本実施形態における吊り込み溝22Fの側縁線66aからセンサーシート60の前方領域部位60Aの縁辺部位64aまでの離間長さSaと、吊り込み溝22Fの側縁線66bからセンサーシート60の後方領域部位60Bの縁辺部位64bまでの離間長さSbは、ほぼ同じ長さに設定されており、この長さSa、Sbは吊り込み溝22Fの溝幅Sxとほぼ同じとされている。
【0020】
吊り込み溝22Fのホグリング18が取付け配設される吊り込み支持位置X1,X2に対応する位置の縁辺部位64には台形形状に切り欠かれた切り欠き部70が形成されている。この切り欠き部70は前方領域部位60Aの縁辺部位64aには吊り込み支持位置X1に対応する1ヶ所のみに切り欠き部70aが形成されており、後方領域部位60Bの縁辺部位64bには吊り込み支持位置X1及びX2に対応する2ヶ所の全部の吊り込み支持位置に切り欠き部70b1、70b2が形成されている。これはホグリング18の取付け作業上の観点からのものである。すなわち、図3に示すように、本実施形態ではワイヤ14を先端に取付けた状態でシートカバー10を二つ折りにして吊り込み溝22Fの前方領域部位60Aの側縁線66aに沿って配設して、後方領域部位60Bの側縁線66b側からホグリンガー30により作業を行うことがあることによるものである。なお、ホグリング18の取付け順序は、前述もしたようにX1,X2の順で行われるものである。したがって、上記構成によれば、最初のホグリング18が取付けられる吊り込み支持位置X1の長孔62位置には切り欠き部70a,70b1が両側に形成されており、その後にホグリング18が取付けられる吊り込み支持位置X2の長孔62位置には片側のみに切り欠き部70b2が形成されている。
【0021】
上記構成におけるホグリングの取付け作業は、図3から図5に示す順で行われる。
図3は最初のホグリングを取付けるためにシートカバー10を吊り込み溝22Fに対して配設した状態を示すものである。先ず、予め、図2に示すように、センサーシート60はシートクッション50を構成するシートパッド20の着座面側となる外表面に載置される。この載置は、長孔62がシートパッド20の吊り込み溝22Fに沿って位置し、かつ、切り欠き部70a,70b1が最初のホグリングによる吊り込み支持位置X1に形成された深溝22aに対応する位置として載置される。
かかる載置状態のセンサーシート60の前方領域部位60Aの上面に、図3に示されるように、先端にワイヤ14が位置する状態にシートカバー10を二つ折りにして配置する。この二つ折りにした先端部の位置は、ワイヤ14をその後ホグリンガー30により吊り込み溝22F内に取り込む作業上の観点から、通常は吊り込み溝22Fが目視できる位置状態となるようにして置かれる。このため、ワイヤ14の位置は吊り込み溝22Fの側縁線66aに沿った位置状態として置かれる。
そして、かかる状態として置かれたワイヤ14に対してホグリンガー30をあてがい、その先端の取付アーム32に保持させたホグリング10内にワイヤ14を取り込む。この取り込みはホグリング14のC形状の開口から行なわれるため、その開口は下向きとされ、ホグリンガー30は上方から下方に向けて操作され、その操作の継続として図4に示す状態に移行する。
【0022】
図3に示すワイヤ14の置かれる位置状態が、図2に示す吊り込み溝22Fの側縁線66aからセンサーシート60の前方領域部位60Aの縁辺部位64aまでの離間長さSa
の範囲内であれば、ホグリンガー30の下方移行操作によってセンサーシート60の縁辺部位64aの近傍部位60Aが損傷することがない。しかし、ワイヤ14の置かれる位置は作業上どうしても多少のバラツキが生じるものであり、上記離間長さSaを越えた位置にワイヤ14が置かれる場合も生じる。かかるような位置にワイヤ14が置かれた場合で、本実施形態のように切り欠き部70aが形成されていない場合には、ホグリンガー30の下方移行操作によってセンサーシート60の縁辺部位64aの近傍部位60Aにホグリンガー30が咬みこんだ入り、傷つけたりして損傷を及ぼすことがある。そして、損傷によりセンサーシート60の機能に影響を及ぼすことがある。
本実施形態の場合は、仮に、ワイヤ14の置かれる位置が上記離間長さSaを越えた位置となる場合であっても、かかる位置には切り欠き部70aが形成されているため、ホグリンガー30の取付け操作においてホグリンガー30によりセンサーシート60が傷つけられたり,咬みこまれたりして損傷をすることがなく、所期通りの機能を発揮させることができる。したがって、切り欠き部70aを形成するための切り欠きの大きさ、すなわち、吊り込み溝から離間して形成する切り欠きの大きさは、作業者が通常シートカバー側のワイヤを配設する位置を考慮して設定されるものである。
【0023】
ホグリンガー30の取付け作業操作が、上述した図3に示す状態から図4に示す状態に移行すると、ホグリング18のC形状内にシートパッド20に埋設されたワイヤ16も取り込んだ状態とする。ワイヤ16はシートパッド20の吊り込み溝22Fの底部に埋設されているが、最初のホグリング18を取付ける吊り込み支持位置X1は深溝22aに形成されておりむき出し状態となっている。このむき出し状態となっているワイヤ16に向けてホグリング18を保持したホグリンガー30の先端を吊り込み溝22F内に差し込んで下方移行させて、ホグリングのC形状の開口からワイヤ16を取り込んだ状態とする。したがって、この状態ではホグリング18のC形状内にはシートパッド側のワイヤ16とシートカバー側のワイヤ14とが一緒になって取り込まれた状態にある。
【0024】
図4に示す状態でC形状のホグリング18内に取り込んだ2本のワイヤ14,16をC形状内に確実に保持させるために、図5に示すようにホグリンガー30を傾け操作してC形状の開口部の位置しない箇所に2本のワイヤ14,16を位置させる。この状態で、ホグリンガー30の上下の取付アーム32a,32bを挟み込んで開口部を狭める。これにより、ホグリング18から2本のワイヤ14、16が外れないように確実に保持される。この結果、シートカバー10が吊り込み溝22Fに取り込まれて、シートパッド20に吊る込み支持される。
上記のホグリンガー30の作業において、ホグリンガー30はセンサーシート60の後方領域部位60B側に傾けさせるが、これは反対側の前方領域部位60A側には二つ折りにされたシートカバー10があって傾けることができないためである。
この後方領域部位60B側にホグリンガー30を傾けさせるとき、この位置には縁辺部位64bが切り欠かれた切り欠き部位70b1が形成されているため、センサーシート60の縁辺部位64b近傍をホグリンガーにより傷付けたり損傷を与えたりすることがない。したがって、切り欠き部70b1を形成するための切り欠きの大きさ、すなわち、吊り込み溝22Fから離間して形成する切り欠きの大きさは、ホグリンガー30の作業における傾きを考慮して設定されるものである。
以上により、最初のホグリング10を取付ける吊り込み支持位置X1における取付け作業は終了する。なお、この最初の取付け作業を終えた状態では、二つ折りされたシートカバー10の先端に取付けられたワイヤ14は、吊り込み溝22F内に落とし込まれた位置状態か、若しくは吊り込み溝22Fの上部位置にある。これは最初の取付けによりワイヤ14が細長状の吊り込み溝22F内に入り込んで位置決め状態とされることによる。
【0025】
したがって、2番目以降の取付けである吊り込み支持位置X2の取付けは、ホグリング18を保持したホグリンガー30を吊り込み溝22Fに直接差し込んで図4に示す状態とすることができる。したがって、上述した最初のホグリング18の取付けのように切り欠き部70aの設定は必要としない。
その後の取付け作業は、上述した最初のホグリング18の取付けのように図5に示すようにホグリンガー30を傾けて、ホグリング18内に2本のワイヤ14、16を確実に保持して吊る込み支持する。このため、2遍目以降の取付けにおいても、ホグリンガー30を傾けたときにホグリンガー30が干渉するのを避ける切り欠き部70b1は必要とされ設定されている。
以上により吊り込み溝22Fにおけるホグリング18による吊り込み支持取付け作業は完了する。
【0026】
上記の取付け作業によれば、ホグリンガー30によりホグリング10の取付けが行なわれる際、センサーシート60と干渉のおそれのある箇所には切り欠き部70a、70b1、70b2が形成されているため、その取付け作業においてセンサーシートに損傷を生じることがなく、所期通りの機能を発揮させることができる。
そして、切り欠き部70a、70b1、70b2を除いたセンサーシート60の前方領域部位60Aの縁辺部位64a、及び後方領域部位60Bの縁辺部位64bは、吊り込み溝22Fの側縁線66に極力近づけて配置することが可能となることから、センサーシート60の配置面積を可及的に広く取ることができる。特に、前方領域部位60Aの縁縁部位64aに形成される切り欠き部70aは最初の吊り込み支持位置X1に対応する1箇所のみであるので、広く取ることが可能となる。この吊り込み溝22Fが形成される位置はいわゆるシートクッションにおける天板部位置である着座者にとって機能上最も重要視される箇所であるので、わづかなスペースでもこの種面状態部材の面積を広くできることは意味のあるものである。
【0027】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、上記実施形態では、面状体部材を車両用シートのシートクッションに配設した場合であったが、シートバックのシートパッドとシートカバーとの間に介挿配設することもできる。
また、面状体部材の配設は、吊り込み溝を跨いで配設される場合であったが、上記実施形態におけるセンサーシートの前方領域部位60Aと後方領域部位60Bとを分離させた独立の面状体部材として、吊り込み溝に近接させて配設する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 シートカバー
12 吊り紐
14、16 ワイヤ
18 ホグリング
20 シートパッド
22 吊り込み溝
22a 深溝
30 ホグリンガー
32 取付アーム
50 シートクッション
60 センサーシート(面状体部材)
62 長孔
64 縁辺部位
66 側縁線
70 切り欠き部
X1、X2 吊り込み支持位置(ホグリング取付位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6