特許第5805730号(P5805730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805730
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/72 20060101AFI20151015BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20151015BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20151015BHJP
   A47C 7/30 20060101ALI20151015BHJP
【FI】
   B60N2/72
   A47C7/02 A
   A47C7/18
   A47C7/30 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-217503(P2013-217503)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-169067(P2014-169067A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年1月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-23686(P2013-23686)
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永安 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 栄司
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−044418(JP,A)
【文献】 特開2001−277913(JP,A)
【文献】 実開平05−001344(JP,U)
【文献】 実開昭58−114162(JP,U)
【文献】 特開2000−318498(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/021497(WO,A1)
【文献】 米国特許第05976097(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
A47C 7/00−7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座乗員の荷重を支えるための骨格となるシートフレームと、
該シートフレーム上に載置されて、可撓性を持って着座乗員の荷重を受け止めるシートパッドとを有する乗物用シートであって、
着座乗員の前記シートパッドにおける座圧分布の中心部に対応して支持体が設けられ、
該支持体は、前記シートフレームに対して、前端部では前方から後方へ向けて高くなるように傾斜した直線を中心として左右方向に回動自在に支持され、且つ前記中心線より低い位置にある後端部では左右方向に移動自在に支持され、
前記シートパッドは、着座乗員の左右の大腿部を支持しシートフレームによって定位置で支えられる固定部と、
該固定部の後方にあって着座乗員の臀部を支持し前記支持体によって動ける状態で支えられる可動部とを備えることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記支持体は、その支持面に沿って伸縮するばね体を備えることを特徴とする乗物用シート。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記シートパッドの固定部と可動部との境界部に、可動部を支持体の動きに追従させ易くするための切り込みが形成されていることを特徴とする乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座乗員の荷重を支えるための骨格となるシートフレームと、このシートフレーム上に載置されて、可撓性を持って着座乗員の荷重を受け止めるシートパッドとを有する乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートに乗員が長時間同じ姿勢で着座していると、乗員の疲労度合は高まる。そこで、シートに着座した乗員が着座姿勢を変え易くしたシートが開発されている(下記特許文献1参照)。係るシートは、シートクッションが車両フロア上のベース部材に対して左右方向に揺動可能とされている。その結果、乗員は、着座姿勢のまま体を左右に揺動させ易くなり、体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4095583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のシートでは、シートクッション全体がベース部材に対して左右方向に揺動可能とされているため、乗員の着座姿勢が不安定となり、乗り心地が悪い。
このような問題に鑑み本発明の課題は、乗物用シートにおいて、乗員の体はホールドしながら部分的に体を動かし易くすることにより、乗員の着座姿勢は安定に維持しながら体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、着座乗員の荷重を支えるための骨格となるシートフレームと、該シートフレーム上に載置されて、可撓性を持って着座乗員の荷重を受け止めるシートパッドとを有する乗物用シートであって、着座乗員の前記シートパッドにおける座圧分布の中心部に対応して支持体が設けられ、該支持体は、前記シートフレームに対して、前端部では前方から後方へ向けて高くなるように傾斜した直線を中心として左右方向に回動自在に支持され、且つ前記中心線より低い位置にある後端部では左右方向に移動自在に支持され、前記シートパッドは、シートフレームによって定位置で支えられる固定部と、前記支持体によって動ける状態で支えられる可動部とを備えることを特徴とする。
第1発明によれば、シートパッドの固定部がシートフレームによって定位置で支えられるので、乗員は、シートパッドの固定部によって着座姿勢を安定に維持することができる。一方、シートパッドの可動部が支持体によって動ける状態で支えられるので、乗員は、着座姿勢のまま体を揺動させ易くなり、骨盤を腰椎付近を中心に回転させ、また座圧を変化させて、体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記支持体は、その支持面に沿って伸縮するばね体を備えることを特徴とする。
第2発明によれば、支持体がばね体を備えるため、支持体をシートフレームにおいて必要とされるばね体と兼用することができる。また、支持体がばね体を備えるため、支持体の前端部の回動角度と後端部の移動位置との間で位相のずれが生じた場合、或いは、前端部が回転運動であるのに対して後端部が直線運動である場合でも、ばね体によりそのずれを吸収することができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記シートパッドの固定部と可動部との境界部に、可動部を支持体の動きに追従させ易くするための切り込みが形成されていることを特徴とする。
第3発明によれば、シートパッドの固定部と可動部とが相対的な動きに対し互いに影響され難くなるため、固定部をより定位置に安定させ易くすることができると共に、可動部は支持体と共に動き易くすることができる。従って、乗員の着座姿勢は安定に維持しながら体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制する効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の分解斜視図である。
図2】上記第1実施形態の部分拡大斜視図である。
図3】上記第1実施形態の部分拡大分解斜視図である。
図4】上記第1実施形態の幅方向垂直断面図である。
図5】上記第1実施形態の前後方向垂直断面図である。
図6】上記第1実施形態の作用を説明する説明図である。
図7】本発明の第2実施形態の前後方向垂直断面図である。
図8】上記第2実施形態の支持体の斜視図である。
図9】上記第2実施形態の固定ブラケットの正面図である。
図10】本発明の第3実施形態の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1〜6により本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態は、車両のフロントシートのシートクッションに本発明を適用したものである。各図では、矢印により当該シートを車両に搭載した際の各方向を示している。
係るシートクッションは、従来公知の車両用シートと同様に、着座乗員の荷重を支えるための骨格となるクッションフレーム10(本発明のシートフレームに相当)の上に、可撓性を持って着座乗員の荷重を受け止めるクッションパッド20(本発明のシートパッドに相当)が載置され、更に、それらクッションフレーム10及びクッションパッド20がクッションカバー30によって被われて成る。係るシートクッションの基本構成は従来周知のものと同一であり、基本構成についての詳細な図示及び説明は省略する。
クッションフレーム10は、左右のサイドフレーム11、12にクッションパネル14及びリヤパイプ13が溶接結合されて成る。クッションパネル14は、左右のサイドフレーム11、12の前端に溶接され、サイドフレーム11、12の上端面と共に、クッションパッド20を支持する面を形成している。
【0010】
クッションパネル14の後側で、左右のサイドフレーム11、12に挟まれる部分には、後方に向けて下がるように傾斜された傾斜部14Aが形成され、この傾斜部14Aの左右方向の中央部には、概ね三角形状の揺動片41が、段付ヒンジピン41Aによって左右方向に揺動自在に取り付けられている。このため、揺動片41は、傾斜部14Aに垂直の回動軸線を中心として揺動されることになる。つまり、揺動片41は、前方から後方へ向けて高くなるように傾斜した直線を中心として左右方向に揺動自在に支持されている。
揺動片41の三角形状の下辺は、後方の水平方向に向けて折り曲げられて、この折り曲げ部の板面は部分的に切り起こされてばね受41Bが形成されている。このばね受41Bは揺動片41の左右方向に4個設けられ、各ばね受41Bには、4本のSばね42(本発明のばね体に相当)の前端がそれぞれ掛合されている。
【0011】
一方、リヤパイプ13の左右方向の中央部には、固定ブラケット44が溶接固定され、固定ブラケット44は、リヤパイプ13の後側で下方に向けて延ばされ、その延長部にばねブラケット43が図3、5に良く示されるように取り付けられている。ばねブラケット43は、固定ブラケット44に比べて左右方向に長く形成された断面L字型金具であり、L字型の上側部には、左右方向に長く左右方向の中央部が低い円弧形状の摺動孔43Aが形成されている。この摺動孔43Aを貫通する段付ボルト43Bによって、固定ブラケット44に対しばねブラケット43は左右方向に摺動自在に取り付けられている。このとき、段付ボルト43Bはブッシュ43Cを介して、固定ブラケット44に溶接固定されたウエルドナット44Aに締結されている。なお、ブッシュ43Cは、ベアリングによって置き換えることもできる。
ばねブラケット43のL字型の下側前部には、上記揺動片41のばね受41Bと同様の4個のばね受43Dがばね受41Bとは反対向きに形成されている。そして、各ばね受43Dには、上述のように各ばね受41Bに前端が掛合された4本のSばね42の後端がそれぞれ掛合されている。
揺動片41とばねブラケット43の左右の各端部は、それぞれ連結片51によって連結され、各連結片51間にはSばね42が配置されている。
【0012】
4本のSばね42は、後端で折り返されたSばね2組が左右方向に並べられて成り、各Sばね42の後端の各ばね受43Dとの掛合部には樹脂製の緩衝材42Bが設けられ(図2参照)、各Sばね42と各ばね受43Dとが直接当らないようにすることにより、乗員着座時にきしみ音が発生するのを抑制している。また、左右方向に4列並べられた各Sばね42間には、樹脂製の連結片42Cが適当数(図1では2つ)設けられ、各Sばね42を一体化している。緩衝材42B及び連結片42Cは、樹脂のインサート成形により各Sばね42に一体に形成されている。
4本のSばね42、揺動片41、ばねブラケット43及び連結片51によって支持体40が構成されている。
【0013】
クッションパッド20は、一般的なものに比べて左右両側部に後方から前方に向けて切り込みが入れられて切り込み部20Bが形成され(図1参照)、この切り込み部20Bの前端部間で、クッションパッド20の下面にも、左右方向に切り込みが入れられて切り込み部20Aが形成されている(図5参照)。その結果、クッションパッド20は、クッションフレーム10のクッションパネル14及びサイドフレーム11、12の上面に載置されて定位置で支えられる部分である固定部21と、支持体40のSばね42の上に載置されて動ける状態で支えられる部分である可動部22とを備えることになる。固定部21と可動部22は、クッションパッド20として一体に形成されているが、切り込み部20Aと切り込み部20Bとにより部分的に分けられているため、固定部21は、クッションパネル14及びサイドフレーム11、12の上面で安定して固定され、可動部22は、支持体40の上で左右方向に揺動自在に固定されている。
図4、6において、Pは着座乗員の臀部を示し、図5において、60はシートバックを示し、Pは着座乗員の下肢を示す。
【0014】
このように構成された車両用シートは、乗員が着座すると、乗員の大腿部をクッションパッド20の固定部21上に支持し、乗員の臀部の殆どをクッションパッド20の可動部22上で支持する。このため、乗員は、固定部21によって支持されて着座姿勢を安定して維持することができる。また、乗員は、可動部22によって着座姿勢のまま体を揺動させることができ、骨盤を腰椎付近を中心に回転させ、また座圧を変化させて、体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。
詳細には、シートクッション上に着座した乗員が上体を左右に揺動させると、支持体40のSばね42は、揺動片41と共に左右方向に揺動され、クッションパッド20の可動部22と共に揺動される。このとき、Sばね42の後端部に一体に設けられているばねブラケット43も、揺動片41、Sばね42と共に、摺動孔43Aに沿って左右方向に揺動される。この場合、摺動孔43Aが円弧形状に形成されているため、Sばね42が撓まなくても支持体40は揺動できる。そのため、支持体40の揺動が円滑に行われる。しかも、摺動孔43Aの円弧形状は、支持体40の左右幅の中心位置で最も低く形成されるため、支持体40を介して段付ボルト43Bが受ける重力により、揺動された支持体40は揺動前の位置に戻される力を受けることになる。そのため、乗員が上体を左右に揺動させないで着座している状態では、支持体40は、揺動されない中立位置に維持される。
【0015】
図6には、シートに着座した乗員Pが上体を矢印Tで示すように右に傾けた状態を示している。このとき、クッションパッド20の可動部22は、支持体40と共に網掛け矢印で示すように左上側に移動し、乗員Pの臀部の左側が可動部22(クッションカバー30を含む)から浮き上がる方向に動き、臀部の左側と可動部22との接触圧が低くなる。図6とは反対に、シートに着座した乗員Pが上体を左に傾けた場合には、可動部22は網掛け矢印方向とは反対の右上側に移動し、乗員Pの臀部の右側が可動部22から浮き上がる方向に動き、臀部の右側と可動部22との接触圧が低くなる。
このようにシートに着座した乗員Pが上体を揺動させて、臀部と可動部22との接触圧力を変化させると、乗員Pの臀部にマッサージ効果を生じさせ、臀部の血行を促進して乗員Pの体の疲労度合が高まるのを抑制することができる。
また、上述のように乗員Pの上体の動きに応じて可動部22が左右に移動するため、乗員は、あたかも健康器具を使用している場合のように上体を動かし易くなり、運動効果により体の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。
なお、可動部22は、固定部21と共にクッションカバー30によって被われており、可動部22は、クッションカバー30を介して固定部21に連結されていることになる。しかし、この実施形態では、クッションカバー30に通常より高い伸縮性を持たせており、可動部22は、その移動時、クッションカバー30を介して固定部21に引張られることなく、自由に移動することができる。
【0016】
<第2実施形態>
図7〜9により本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態が上記第1実施形態に対して特徴とする点は、支持体40の後部の揺動を第1実施形態のような直線運動ではなく回動運動に変更した点である。その他の構成は両実施形態とも同一であり、同一部分には同一符号を付して再度の説明は省略する。図7〜9においても、矢印により車両用シートを車両に搭載した際の各方向を示している。
【0017】
リヤパイプ13には固定ブラケット48が溶接固定されている。この固定ブラケット48は、リヤパイプ13の上部から前下側に、且つやや後方側に傾斜して延設された延設部を有し、その延設部には、図9に良く示されるように、左右方向に長く摺動孔48Aが形成されている。摺動孔48Aは、支持体40の揺動軌跡に沿って延びるように円弧状に形成されている。図7には、第1実施形態の揺動片41と同様の揺動片45の回動中心線CLが示され、この回動中心線CLに直交する面PLに沿って固定ブラケット48が配置されていることが示されている。
Sばね42の後端は、第1実施形態のばねブラケット43に相当する第2ばねブラケット47に掛合されている。第2ばねブラケット47には、後方に向けて、しかも揺動片45の傾斜と平行になるように下方に傾斜した傾斜部46Bを備えた第1ばねブラケット46が溶接して設けられている(図7、8参照)。第1ばねブラケット46には、傾斜部46Bにウエルドナット46Aが溶接して固定され、このウエルドナット46Aには、固定ブラケット48の摺動孔48Aを貫通して段付ボルト48Bが締結されている。ここで、段付ボルト48Bと摺動孔48Aとの間にはブッシュ48Cが介挿されており、両者の摩擦抵抗を小さくするようにしている。揺動片45と第2ばねブラケット47の左右の各端部は、それぞれ連結片52によって連結され、各連結片52間にはSばね42が配置されている。
【0018】
このように構成された車両用シートは、第1実施形態の場合と同様に、シートクッション上に着座した乗員が上体を左右に揺動させると、支持体40は、左右方向に揺動され、クッションパッド20の可動部22も共に揺動される。このとき、第2ばねブラケット47も、第1ばねブラケット46、段付ボルト48Bを介して固定ブラケット48の摺動孔48Aに案内される。そのため、支持体40は、段付ヒンジピン41Aの回動中心によって回動されることになる。
【0019】
従って、第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、シートに着座した乗員が上体を左右に揺動させると、乗員の臀部が可動部22から交互に浮き上がるようになり、臀部と可動部22との接触圧が交互に低くなる。その結果、乗員Pの臀部にマッサージ効果を生じさせ、臀部の血行を促進して乗員Pの体の疲労度合が高まるのを抑制することができる。また、あたかも健康器具を使用している場合のように上体を動かし易くなり、運動効果により体の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。このとき、乗員の大腿部は、クッションパッド20の固定部21上に支持されて着座姿勢を安定して維持することができる。
【0020】
<第3実施形態>
図10により本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態が上記第1実施形態に対して特徴とする点は、支持体40の後部の揺動を第1実施形態のような直線運動ではなく回動運動に変更した点、並びに第1実施形態では固定ブラケット44に対する支持体40の後部の支持が1点支持であったものを2点支持に変更した点である。その他の構成は両実施形態とも同一であり、同一部分には同一符号を付して再度の説明は省略する。図10においても、矢印により車両用シートを車両に搭載した際の各方向を示している。
第1実施形態における固定ブラケット44と同様に、リヤパイプ13(図1参照)には固定ブラケット49(図10参照)が溶接固定され、支持体40(図1参照)の後端部にはばねブラケット50(図10参照)が結合されている。固定ブラケット49におけるリヤパイプ13の後側で下方に向けて延びる部分には、その左右両側部に一対のウェルドナット49Aが溶接固定されている。また、断面L字型のばねブラケット50の上側部には、第2実施形態の固定ブラケット48の摺動孔48A(図9参照)と同様に、円弧状の摺動孔50Aが形成されている。一対のウェルドナット49Aには、一対の段付ボルト50Bが摺動孔50Aを貫通して締結されている。このとき、各段付ボルト50Bとばねブラケット50の摺動孔50Aの端縁部との間には、それぞれブッシュ50Cが介挿されており、両者間の摩擦抵抗を小さくするようにしている。それにより支持体40が左右方向に回動されたとき、ばねブラケット50は一対の段付ボルト50Bに支持されて摺動孔50Aに沿って円弧状に揺動される。なお、第2実施形態における支持体40の揺動幅と第3実施形態におけるそれとを等しく設定する場合、摺動孔50Aは摺動孔48Aに比べて左右幅を大きく設定される必要がある。その差は、支持体40が揺動されるとき、摺動孔48A内を摺動するのが一つの段付ボルト48Bであるのに対し、摺動孔50A内を摺動するのが一対の段付ボルト50Bであることによって生じ、一対の段付ボルト50B間の距離に相当する分だけ、摺動孔50Aは摺動孔48Aに比べて左右幅を大きく設定される。
【0021】
このように構成された車両用シートは、第1実施形態の場合と同様に、シートクッション上に着座した乗員が上体を左右に揺動させると、支持体40は、その前端部が段付ヒンジピン41Aを回動中心として回動され、後端部が摺動孔50Aの円弧形状に沿って揺動される。そのため、クッションパッド20の可動部22も共に揺動される。従って、第1、第2実施形態と同様、乗員Pの臀部にマッサージ効果を生じさせ、臀部の血行を促進して乗員Pの体の疲労度合が高まるのを抑制することができる。また、あたかも健康器具を使用している場合のように上体を動かし易くなり、運動効果により体の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。このとき、乗員の大腿部は、クッションパッド20の固定部21上に支持されて着座姿勢を安定して維持することができる。
第3実施形態では、支持体40の後端部に結合されたばねブラケット50が一対の段付ボルト50Bによって支持されている。そのため、支持体40は、前端部の段付ヒンジピン41Aによる支持点と合わせて3点で支持されていることになり、第1及び第2実施形態における2点支持の構成に比べて安定して乗員を支持することができる。その結果、乗員が上体を左右に揺動させないで着座している状態では、左右に揺れることなく安定的に上体が支持される。
【0022】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態では、クッションパッド20の固定部21は、可動部22と一体に構成されていたが、両者は互いに独立して別体に形成されていても良い。
2.上記実施形態では、クッションパッド20の左右両側部に後方から前方に向けて切り込みが入れられて固定部21と可動部22とが形成されたが、この切り込みによって形成される面を垂直面とせず、左右方向に向かうに従って高さが高くなる傾斜面で形成し、可動部22がクッションパッド20の左右幅方向全体となるようにすることもできる。その場合、クッションパッド20の左右両側部では固定部21と可動部22とが上下方向に形成されるため、乗員の座圧を受けると、固定部21と可動部22とが直接接触してしまうことになるが、それを防止して固定部21と可動部22との相対移動を可能とするように、両者間に摺動部材を介在させる必要がある。
3.上記実施形態では、ばねブラケット43に形成される摺動孔43A、固定ブラケット48に形成される摺動孔48A、及びばねブラケット50に形成される摺動孔50Aを、それぞれ円弧形状に形成したが、左右方向に直線状に形成することもできる。但し、その場合、支持体40は、その前端側を中心として回転されるので、摺動孔43A、48A、50Aが直線状に形成されていると、支持体40は左右方向に捩じられるように変形される必要がある。
4.上記実施形態では、支持体40としてSばね42を備える例を説明したが、支持体40は板状部材で構成されても良い。また、伸縮性を備えた布であっても良い。
5.上記実施形態では、本発明をシートクッションに適用した場合を説明したが、シートバックに適用しても良い。
6.上記実施形態では、本発明を車両用シートに適用した場合を説明したが、航空機、船、電車など他の乗物のシートに適用しても良い。
【符号の説明】
【0023】
10 クッションフレーム(シートフレーム)
11、12、15、16 サイドフレーム
13 リヤパイプ
14 クッションパネル
14A 傾斜部
20 クッションパッド(シートパッド)
20A、20B 切り込み部
21 固定部
22 可動部
30 クッションカバー
40 支持体
41、45 揺動片
41A 段付ヒンジピン
41B ばね受
42 Sばね(ばね体)
42A 前端部
42B 緩衝材
42C 連結片
43、50 ばねブラケット
43A、48A、50A 摺動孔
43B、48B、50B 段付ボルト
43C、48C、50C ブッシュ
43D ばね受
44、48、49 固定ブラケット
44A、46A、49A ウエルドナット
46 第1ばねブラケット
46B 傾斜部
47 第2ばねブラケット
51、52 連結片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10